説明

歯磨組成物及び歯磨製品

【解決手段】(A)グリセリン、(B)ソルビット、プロピレングリコール及びポリエチレングリコールから選ばれる粘稠剤、(C)シリカ系研磨剤、(D)雲母チタンを含有してなり、(A)及び(B)成分の合計配合量が30〜55質量%、(A)/(B)の質量比が0.5〜2.0で、(C)成分の配合量が10〜25質量%の歯磨組成物を、ポンプディスペンサーを備えた容器に収容する。更に、上記の歯磨組成物に(E)ラウリル硫酸塩を配合する。
【効果】本発明の歯磨組成物は、ポンプディスペンサー容器からの排出性に優れ、1回の吐出量を適量に調整でき、排出後に容器の内容物排出口の口元に残存して固化することがなく、連続使用可能であり、歯ブラシに載せやすく、歯ブラシから垂れ難く、かつ歯牙表面の清掃効果が十分発揮される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポンプディスペンサーを備えた容器に収容される歯磨組成物に関し、更に詳述すると、ポンプディスペンサーを備えた容器の内容物排出口からの排出が容易であり、排出後に内容物排出口の口元に付着して固化することがなく、歯ブラシに載せやすく、かつ歯ブラシから垂れ難く、歯牙表面の清掃効果が十分発揮される歯磨組成物及びこれを用いた歯磨製品に関する。
【背景技術】
【0002】
容器本体とポンプディスペンサーとを備え、容器本体の上部開口部にポンプディスペンサーが装着され、ポンプディスペンサーの押圧部を押圧することで、内容物排出口から容器本体に収容された内容物が排出される容器(以下、ポンプディスペンサー容器と記す。)に歯磨組成物を収容し、使用時にポンプディスペンサーによって歯磨組成物を排出して使用できる歯磨剤は、通常のチューブに収容された歯磨剤と異なり、1回の歯磨使用量をコントロールでき、また、チューブ容器に収容された歯磨剤よりも粘度が低いことから口腔内での分散性にも優れるので、歯磨の効果効能を十分に発揮させるのに適していると考えられる。
【0003】
一方、歯磨組成物には、歯牙表面のステイン等の歯牙汚れに対する清掃効果を発揮させるために無水ケイ酸、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム等の研磨剤が一般的に配合されている。
【0004】
しかし、歯牙表面に対する十分な清掃効果を発揮させるのに十分量の研磨剤が配合された歯磨組成物は、上記ポンプディスペンサー容器に収容すると、ポンプディスペンサーの押圧による収容容器からの排出性が悪く、また、排出時にポンプディスペンサーの内容物の口元に付着、残存して固化し、このため使用回数の増加に伴って容器からの排出が困難になるなどの課題があった。
【0005】
出願人は、流動性を高めた低粘度の液状歯磨組成物を提案した(特許文献1〜3参照)。これら液状歯磨組成物は、十分な清掃効果を発揮するための研磨剤が含まれ、かつ25℃での粘度を20〜180ポアズに設定したものである。
【0006】
しかし、上記液状歯磨組成物は、プラスチックボトル容器に収容した場合の流動性が良く、排出は容易であるものの、1回の吐出量を調整できるポンプディスペンサー容器に収容すると、押圧して排出時に容器から出すぎてしまい、歯ブラシへ載せ難い、歯ブラシから垂れやすいという課題があり、ポンプディスペンサー容器には収容し難いものであった。
【0007】
よって、上記したような収容容器からの排出性や使用性などの課題が解決され、歯牙の清掃性に優れた、ポンプディスペンサー容器に収容して使用するのに適した歯磨組成物の開発が望まれる。
【0008】
なお、従来から、歯磨外観にパール光沢を付与するために雲母チタンが口腔用組成物に配合されている(特許文献4〜6参照)が、雲母チタンを配合した歯磨組成物がポンプディスペンサー容器からの排出性や使用性等に優れることは知られていない。
特許文献4は、研磨性シリカと雲母チタンを配合し、良好なパール感を与え、液分離や安定性に優れた透明性を有する歯磨組成物に関する特許であり、配合可能な成分としてグリセリン、ソルビット、プロピレングリコールなどの粘稠剤、研磨性シリカ、雲母チタンが記載されている。特許文献5はパール感を有するとともに、香味の劣化や液分離等がない歯磨き剤に関する特許であり、配合可能な成分として湿潤剤、研磨性シリカ、マイカチタン等が記載されている。特許文献6は、雲母チタンを含有し、透明度を一定範囲に調整した、色調の良好なパール光沢を有する練歯磨組成物に関する特許であり、配合可能な成分として湿潤剤(グリセリン、ソルビトール、ポリエチレングリコール)、研磨性シリカ、雲母チタンが記載され、実施例1,3にはソルビトール液(70%)を40質量%、グリセリンを5質量%、雲母チタンを0.1又は2質量%、研磨性シリカを20質量%配合した歯磨組成物が記載されている。しかし、上記特許文献4〜6の歯磨組成物は、グリセリンとその他の湿潤剤の配合比が限定されておらず、ポンプディスペンサー容器で使用した場合は排出性や口元への固化が生じ、ポンプディスペンサー容器に収容して使用し難いものである。
【0009】
【特許文献1】特開平4−210908号公報
【特許文献2】特開平4−217614号公報
【特許文献3】特開平4−217615号公報
【特許文献4】特公平7−59491号公報
【特許文献5】特開平11−43423号公報
【特許文献6】特開平11−217320号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
前記したように、歯牙に対する十分な清掃力を確保するために研磨剤を配合した歯磨組成物を、1回の吐出量を調整できるポンプディスペンサー容器に収容し、歯磨使用量を簡単に調整でき、排出性や使用性が良く、歯磨の効能効果を満足に発揮させることは難しく、上記した課題を克服した歯磨組成物の開発が望まれている。
【0011】
本発明はかかる要望に応えるべくなされたもので、十分な清掃効果を確保できる研磨剤が配合された歯磨組成物において、ポンプディスペンサー容器から容易に排出できて1回の吐出量を調整でき、かつ前記容器からの排出時にポンプディスペンサーの内容物排出口の口元に付着して固化せず、連続して使用可能であり、歯ブラシに載せやすく、歯ブラシから垂れ難く、歯牙表面の清掃効果が十分発揮される、ポンプディスペンサー容器用の歯磨組成物及び歯磨製品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意研究を重ねた結果、(A)グリセリンと、(B)ソルビット、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールから選ばれる少なくとも1種の粘稠剤と、(C)シリカ系研磨剤と、(D)雲母チタンとを組み合わせて配合し、(A)及び(B)成分の合計配合量が30〜55質量%で、(A)/(B)の質量比が0.5〜2.0の割合で含有させ、かつ(C)成分を10〜25質量%含有させ、かかる研磨剤含有の歯磨組成物を、ポンプディスペンサーを備えたプラスチック等の容器に収容すると、歯磨組成物がポンプディスペンサーの内容物排出口から容易に排出し、1回の吐出量を適量に調整できる上、排出後に内容物排出口の口元に付着、残存して固化することがなく、繰り返し使用しても排出性が低下せず連続使用が可能であり、歯ブラシに載せやすく、歯ブラシから垂れ難く、かつ歯牙表面の清掃効果を十分発揮させることができることを見出した。更に、上記歯磨組成物にラウリル硫酸塩を配合することにより、より高い清掃効果や泡立ちを得ることができることを見出した。
【0013】
本発明では、歯磨組成物の配合成分としては公知成分であるグリセリンとソルビット、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールから選ばれる少なくとも1種の粘稠剤とを適当割合で組み合わせ、シリカ系研磨剤を適量配合した組成中に雲母チタンを配合することによって、これら併用組成中で、通常使用されるシリカ系研磨剤よりも粒径が大きいが研磨性の低い雲母チタンによって、ポンプディスペンサーの内容物流入路及び排出部とシリカ系研磨剤との摩擦が低減され、排出量のコントロールが容易となり、上記した従来技術では解決困難であったポンプディスペンサー容器からの排出性や内容物排出口の口元への固化、歯ブラシへの載せやすさといった課題を解決でき、上記の優れた特性を有する歯磨組成物が得られるものと考えられる。
【0014】
従って、本発明は、(A)グリセリン、(B)ソルビット、プロピレングリコール及びポリエチレングリコールから選ばれる少なくとも1種の粘稠剤、(C)シリカ系研磨剤、(D)雲母チタンを含有してなり、(A)及び(B)成分の合計配合量が30〜55質量%、かつ(A)/(B)の質量比が0.5〜2.0で、(C)成分の配合量が10〜25質量%であり、ポンプディスペンサーを備えた容器に収容されることを特徴とする歯磨組成物、更に、上記歯磨組成物に(E)ラウリル硫酸塩を配合した歯磨組成物を提供する。
また、上記歯磨組成物を、ポンプディスペンサーを備えた容器に収容してなることを特徴とする歯磨製品を提供する。
【発明の効果】
【0015】
本発明の歯磨組成物は、ポンプディスペンサー容器からの排出性に優れ、1回の吐出量を適量に調整でき、かつ排出後に容器の内容物排出口の口元に残存して固化することがなく、排出性が低下せず連続使用可能であり、歯ブラシに載せやすく、歯ブラシから垂れ難く、かつ歯牙表面の清掃効果が十分発揮されるもので、ポンプディスペンサー容器に収容した歯磨製品として使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明につき更に詳細に説明すると、本発明の歯磨組成物は、(A)グリセリン、(B)ソルビット、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールから選ばれる粘稠剤、(C)シリカ系研磨剤、(D)雲母チタンを含有する。
【0017】
(A)グリセリンとしては、例えば、ライオンオレオケミカル(株)から販売されているものを使用することができる。その配合量は、組成物全体に対して(以下、配合量について特に断らない限りは同様。)12.5〜25%(質量%、以下同様。)、特に17〜25%が好ましい。12.5%未満では、排出時にポンプディスペンサー容器の口元が固化して使用が困難になる場合があり、25%を超えるとポンプディスペンサー容器からの排出性に劣る場合がある。
【0018】
(B)成分は、ソルビット、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールから選ばれる粘稠剤である。
ソルビットは、例えば東和化成工業(株)製の市販品、プロピレングリコールは、例えば旭硝子(株)製の市販品を使用できる。
ポリエチレングリコールは、平均分子量190〜630、特に280〜420のものが好ましい。なお、上記平均分子量は医薬部外品原料規格2006記載の平均分子量を示す。具体的には、ポリエチレングリコール200(平均分子量190〜210)、ポリエチレングリコール300(平均分子量280〜320)、ポリエチレングリコール400(平均分子量380〜420)、ポリエチレングリコール600(平均分子量570〜630)が例示できる。商品によっては、例えばポリエチレングリコール#200等のように、ポリエチレングリコールと数値の間に#がつく場合がある。ポリエチレングリコールは、例えば第一工業製薬(株)製のものを使用できる。
【0019】
上記(B)成分の粘稠剤は、1種類を単独で使用しても、2種類又は3種類を併用してもよいが、併用する場合、特にソルビットとプロピレングリコールとの併用、ソルビットとプロピレングリコールと平均分子量200〜400のポリエチレングリコールとの併用、とりわけソルビットとプロピレングリコールと平均分子量400のポリエチレングリコールとの3種類の併用が好ましい。
【0020】
ソルビット、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールから選ばれる粘稠剤の配合量は12.5〜30%、特に15〜25%が好ましい。12.5%未満では、ポンプディスペンサー容器の口元が固化し、30%を超えるとポンプディスペンサー容器からの排出性が改善されない場合がある。
【0021】
本発明では、ポンプディスペンサー容器からの排出性を確保するため、(A)グリセリンと(B)上記粘稠剤の合計配合量は30〜55%、好ましくは40〜50%の範囲である。30%未満ではポンプディスペンサー容器の内容物排出口の口元に付着して固化してしまい、連続的に使用できず、55%を超えるとポンプディスペンサー容器からの排出性に劣る。
【0022】
また、本発明では、ポンプディスペンサー容器からの歯磨組成物の排出性を確保するため、(A)成分/(B)成分が質量比で0.5〜2.0、好ましくは0.7〜1.5である。(A)/(B)が0.5未満ではポンプディスペンサー容器の口元に付着して固化してしまい、連続的に使用できず、2.0を超えるとポンプディスペンサー容器からの排出性に劣る。
【0023】
(C)シリカ系研磨剤としては、例えば無水ケイ酸、アルミノシリケート、ジルコノシリケート、シリカゲル、カルシウムシリケートなど、歯磨組成物の製造に通常使用されているものを用いることができる。具体的には、多木化学(株)から販売されている市販品を使用することができる。配合量は、10〜25%であり、好ましくは10〜20%、より好ましくは15〜20%である。10%未満では、歯の汚れに対する清掃効果が満足に発揮されず、25%を超えるとポンプディスペンサータイプの容器からの排出性に劣る。
【0024】
(D)雲母チタンは、平均粒径(レーザー散乱測定法による測定値。以下、特に断らない限りは同様。)が10〜100μm、特に50〜90μmのものが好ましい。平均粒径10μm未満では雲母チタン配合による排出性改善効果が十分に発揮されないことがあり、100μmを超えると雲母チタンが内容物排出部に目詰まりし、連続的に使用できない場合がある。このような雲母チタンとしては、メルク(株)製の雲母チタン、例えば、MP−149(平均粒径65〜82μm)、MP−45(平均粒径49〜57μm)等が利用可能である。
【0025】
雲母チタンの配合量は0.03〜3.0%、特に0.03〜1.0%、とりわけ0.03〜0.5%が好ましい。0.03%未満では、雲母チタンによるポンプディスペンサーからの排出性改善効果が十分に発揮されないことがあり、3.0%を超えるとポンプディスペンサー容器の口元が固化してしまい、連続的に使用できない場合がある。
【0026】
更に、本発明組成物には(E)ラウリル硫酸塩を配合することが、優れた清掃効果や泡立ちを得るために好適である。
ラウリル硫酸塩は、高級脂肪酸より合成された平均アルキル鎖長が12であるアニオン性界面活性剤である。具体的には、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム等のアルカリ金属塩、ラウリル硫酸アンモニウムなどが挙げられるが、歯磨組成物への配合のしやすさから、ラウリル硫酸ナトリウムが最も好ましい。ラウリル硫酸ナトリウムは、例えば東邦化学工業(株)製のものを使用できる。
ラウリル硫酸塩の配合量は0.5〜2.0%、特に1.0〜1.5%が好ましく、0.5%未満であると十分な清掃効果や泡立ちが得られず、2.0%を超えると口腔粘膜に対して刺激が生じる場合がある。
【0027】
本発明の歯磨組成物は、半透明なジェル(ゲル)状に調製できるもので、上記必須成分に加えて本発明の効果を損なわない範囲で下記成分を任意に配合できる。例えば、上記以外の他の粘稠剤、粘結剤、甘味剤、防腐剤、着色料、香料、各種有効成分等を水と混和し、常法に従って製造できる。なお、シリカ系研磨剤以外の研磨剤は配合しないことが望ましい。
【0028】
粘稠剤としては、グリセリン、ソルビット、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール以外に、例えばキシリトール、マルチトール、ラクチトール等の糖アルコール、1,3−ブチレングリコール、ポリプロピレングリコール等の多価アルコール、エタノール、変性エタノール、糖アルコール還元でんぷん糖化物等を必要に応じて配合することができる。その配合量は本発明の歯磨組成物の形態、使用目的等に応じ適宜選択されるが、(A)及び(B)成分との合計配合量が35〜60%となる範囲が好ましい。
【0029】
粘結剤としては、カラギーナン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースナトリウム、アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、トラガントガム、カラヤガム、アラビヤガム、ローカストビーンガム、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルピロリドン、カーボポール、シリカゲル、アルミニウムシリカゲル、ビーガム、ラポナイト等が挙げられる(配合量は通常0.1〜2.0%)。
【0030】
発泡剤としては、ラウリル硫酸塩に加えて、他のアニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤を配合し得る。
アニオン性界面活性剤としては、ミリスチル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸ナトリウム、N−ラウロイルサルコシンナトリウム、N−ミリストイルサルコシンナトリウム等のN−アシルサルコシンナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、水素添加ココナッツ脂肪酸モノグリセリドモノ硫酸ナトリウム、ラウリルスルホ酢酸ナトリウム、N−パルミトイルグルタミン酸ナトリウム等のN−アシルグルタミン酸塩、N−メチル−N−アシルタウリンナトリウム、N−メチル−N−アシルアラニンナトリウム、α−オレフィンスルフォン酸ナトリウムなどが挙げられる。
【0031】
非イオン性界面活性剤としては、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルなどの糖アルコール脂肪酸エステル類、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル等の多価アルコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油などのエーテル型の活性剤、ラウリン酸ジエタノールアミド等の脂肪酸アルカノールアミド類が挙げられる。
カチオン性界面活性剤としては、アルキルアンモニウム、アルキルベンジルアンモニウム塩等が挙げられる。両性界面活性剤としては、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、脂肪酸アミドプロピルベタインなどが挙げられる。
これら界面活性剤は1種又は2種以上を使用することができる。その配合量は本発明の歯磨組成物の形態、使用目的等に応じ適宜選択されるが、ラウリル硫酸塩との合計配合量は0.5〜4.0%が好ましい。
【0032】
甘味剤としては、サッカリンナトリウム、ステビオサイド、ステビアエキス、パラメトキシシンナミックアルデヒド、ネオヘスペリジルヒドロカルコン、ペルラルチン、グリチルリチン、ソーマチン、アスパラチルフェニルアラニンメチルエステル等が挙げられる。
【0033】
防腐剤としては、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル等のパラオキシ安息香酸エステル、安息香酸又はその塩などが挙げられる。
【0034】
着色料としては、赤色2号、赤色3号、赤色225号、赤色226号、黄色4号、黄色5号、黄色205号、青色1号、青色2号、青色201号、青色204号、緑色3号、酸化チタン等を挙げることができる。
【0035】
香料は、ペパーミント油、スペアミント油、アニス油、ユーカリ油、ウィンターグリーン油、カシア油、クローブ油、タイム油、セージ油、レモン油、オレンジ油、ハッカ油、カルダモン油、コリアンダー油、マンダリン油、ライム油、ラベンダー油、ローズマリー油、ローレル油、カモミル油、キャラウェイ油、マジョラム油、ベイ油、レモングラス油、オリガナム油、パインニードル油、ネロリ油、ローズ油、ジャスミン油、イリスコンクリート、アブソリュートペパーミント、アブソリュートローズ、オレンジフラワー等の天然香料、及び、これらの天然香料の加工処理(前溜部カット、後溜部カット、分留、液抽出、エッセンス化、粉末香料化等)した香料、及び、メントール、カルボン、アネトール、シネオール、サリチル酸メチル、シンナミックアルデヒド、オイゲノール、3−1−メントキシプロパン−1,2−ジオール、チモール、リナロール、リナリールアセテート、リモネン、メントン、メンチルアセテート、N−置換−パラメンタン−3−カルボキサミド、ピネン、オクチルアセデヒド、シトラール、プレゴン、カルビートアセテート、アニスアルデヒド、エチルアセテート、エチルブチレート、アリルシクロヘキサンプロピオネート、メチルアンスラニレート、エチルメチルフェニルグリシデート、バニリン、ウンデカラクトン、ヘキサナール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブタノール、イソアミルアルコール、ヘキセノール、ジメチルサルファイド、シクロテン、フルフラール、トリメチルピラジン、エチルラクテート、メチルラクテート、エチルチオアセテート等の単品香料、更に、ストロベリーフレーバー、アップルフレーバー、バナナフレーバー、パイナップルフレーバー、グレープフレーバー、マンゴーフレーバー、バターフレーバー、ミルクフレーバー、フルーツミックスフレーバー、トロピカルフルーツフレーバー等の調合香料等、歯磨組成物に用いられる公知の香料素材を使用することができ、実施例の香料に限定されない。
【0036】
また、これらの成分以外にも薬効成分あるいは有効成分として、デキストラナーゼ、アミラーゼ、プロテナーゼ、ムタナーゼ等の酵素、モノフルオロリン酸ナトリウム等のアルカリ金属モノフルオロフォスフェート、フッ化ナトリウム、フッ化第1スズ等のフッ化物、トラネキサム酸、イプシロンアミノカプロン酸、アルミニウムクロルヒドロキシアラントイン、アズレン、グリチルリチン酸塩、グリチルレチン酸、ビタミン類等の抗炎症剤、銅クロロフィル、グルコン酸銅、セチルピリジニウムクロライド、塩化ベンザルコニウム、トリクロサン、ヒノキチオール、塩化リゾチーム等の殺菌剤、ポリリン酸塩類、ゼオライト等の歯石予防剤を配合できる。
【0037】
本発明の歯磨組成物の粘度は、25℃での粘度を40〜180ポアズに設定することが望ましい。粘度が40ポアズ未満であると、歯ブラシに載せ難くなったり、歯ブラシから垂れやすくなり、180ポアズを超えるとポンプディスペンサー容器からの排出性が悪くなる場合がある。なお、粘度は、東機産業(株)(形式:VISCOMETER TVB−10)、ローターNo.6を使用、回転数20rpm、測定時間3分間、25℃における測定値である。
【0038】
本発明の歯磨組成物は、ポンプディスペンサーを備えた容器に収容されて歯磨製品として調製することができる。この場合、収容容器は、容器本体とポンプディスペンサーとを備え、容器本体の上部開口部に装着されたポンプディスペンサーの押圧部を押圧することで、そのポンプ機構によって、容器本体内に収容された内容物がポンプディスペンサーの内容物排出口から排出されるものである。このような収容容器は、ポンプディスペンサーを備えていれば特に制限はなく、使用目的に応じたものを採用でき、市販品を使用可能である。また、特開2005−41514号公報、特開2005−153901号公報、特開2006−232380号公報、特許第3062631号公報に記載の容器なども使用可能である。
【0039】
図1〜3に示す容器は、上記収容容器の具体例であり、本発明では、特に図1に示す容器が、収容された歯磨組成物の排出性、内容物排出口の口元での固化防止性の点から好適に使用できる。
【0040】
図1は、本発明に使用し得るポンプディスペンサー容器の一実施例を示す概略断面図である。図1の容器は、容器本体1とその上部開口部に装着されたポンプディスペンサー2とを備え、容器本体1は、外観形状を形成する外層3と、その内部に収容された袋体4とから構成される。袋体4の上部開口部5はポンプディスペンサー2の底部に密着している。なお、図示はしないが、容器外層3と袋体4の間には容器口部から底部まで縦方向に帯状に延びる接着層(酸変性ポリオレフィン系接着樹脂等の接着性樹脂で構成)が少なくとも1本以上形成されており、容器の外層3と袋体4は、この接着層で接着固定されるものの、他の部分は剥離自在となっている。この容器においては、ポンプディスペンサー2の押圧部6を上部から押圧することにより、ポンプディスペンサー2内のポンプ機構(図示していない)により、容器本体1内が減圧して袋体4が収縮し、袋体4に充填された歯磨組成物の一定量が、ポンプディスペンサー2の底部に密着された袋体4の上部開口部5に通じる内容物流入路(図示していない)を通じて、内容物排出口7から容器外部に排出されるものである。なお、必要に応じて、ポンプディスペンサー2にオーバーキャップ8を被せることができる。
【0041】
ここで、容器本体の外層3の材質は、内容物を排出できる程度の硬度を有するもの、例えば、ポリプロピレン、低密度ポリエチレン樹脂、高密度ポリエチレン樹脂、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート等が使用できるが、特に高密度ポリエチレン樹脂が好ましい。内容物を充填する袋体4の材質としては、例えば、ナイロン、エチレンビニルアルコール共重合体、ポリプロピレン、低密度ポリエチレン樹脂、高密度ポリエチレン樹脂等の容器外層3に対して相溶性の低い合成樹脂が使用できるが、特にナイロンが好ましい。
ポンプディスペンサー2の材質としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、高密度ポリエチレン樹脂等が使用できるが、特にポリプロピレンが好ましい。なお、ポンプディスペンサー2の形状に特に制限はなく、使用条件に応じた形状を採用できる。
オーバーキャップ8の材質としては、スチレン系樹脂、高密度ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン等が使用できるが、特にスチレン系樹脂が好ましい。
【0042】
図2は、本発明にかかわるポンプディスペンサー容器の他の一実施例を示す概略断面図であり、この容器は、図1の容器における袋体4を具備せず、容器本体1’内に、ポンプディスペンサーの内容物流入路に通じるチューブ9を備え、該チューブ9を通じて容器本体内に収容された内容物が上昇して内容物排出口7’から排出される以外は、図1と同様である。チューブの材質としては、ポリエチレン、ナイロン、シリコン、テフロン(登録商標)等が使用できるが、特にシリコンが好ましい。チューブ径は、3〜10mmが好ましく、特に排出性の点から4〜7mmであるものが好ましい。
【0043】
図3の容器は、特公平6−27057号公報に記載されたもので、容器本体11とその上部開口部に装着されたポンプディスペンサー12とを備え、容器本体11は、外観形状を形成する外層13の内部の内容物充填部14に内容物が充填され、組成物充填部14の上部開口部15はポンプディスペンサー12の底部に密着している。更に、容器本体11の底部には、摺動可能かつ気密に可動底面部16が設置され、この可動底面部16は容器本体11の内部の減圧に応じて容器本体11内を上昇する。この容器においては、ポンプディスペンサー12の押圧部17を上部から押圧することにより、ポンプディスペンサー12内のポンプ機構(図示していない)により、容器本体11の内部が減圧し、可動底面部16が上昇することにより、内容物充填部14に充填された歯磨組成物の一定量が、容器の上部開口部15に通じる内容物流入路(図示していない)を通じて、内容物排出口18から排出されるものである。
【0044】
容器本体11の材質としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン、高密度ポリエチレン樹脂等が使用できるが、特に高密度ポリエチレン樹脂が好ましい。
ポンプディスペンサー12の材質としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、高密度ポリエチレン樹脂等が使用できるが、特にポリプロピレンが好ましい。
【0045】
上記ポンプディスペンサー容器において、内容物排出口の口径は、2〜10mmが好ましく、特に口元の固化防止の点から3〜5mmであるものが好ましい。このような細い口径のものを使用することで、容器の内容物排出口の口元への歯磨組成物の固化をより効果的に防止でき、排出量のコントロールがより容易となり、歯磨組成物を歯ブラシ上へより載せやすくなる。
また、ポンプディスペンサー内の内容物流入路の口径は2〜10mm、特に3〜7mmであることが、内容物を良好に排出できることから好ましい。
ポンプディスペンサー容器の容器本体の高さ、幅は特に限定されないが、高さは50〜150mm、特に80〜120mm、幅は20〜60mm、特に30〜50mmが好ましい。
【実施例】
【0046】
以下、実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるものではない。なお、実施例中の%は特に断らない限り質量%である。また、表1〜3中のグリセリンは純分85%、ソルビットは純分70%、その他の成分は純分100%のものを使用し、配合量は純分換算した値を示した。
【0047】
〔実施例、比較例〕
下記表1〜3に示す組成の歯磨組成物を下記に示す製造法により調製し、得られた歯磨組成物について、ポンプディスペンサーからの排出性、ポンプディスペンサーの口元固化性、歯ブラシでの使用性、タンニン鉄ステイン清掃力、歯磨時の泡立ち、歯磨時の口腔粘膜に対する刺激性を下記方法により評価した。結果を表1〜3に示す。
【0048】
試験歯磨組成物の調製:
(1)精製水中に水溶成分(粘結剤、プロピレングリコール等を除く)を常温で混合溶解させた後、グリセリンを添加混合し、A相を調製した。
(2)プロピレングリコール中に粘結剤及び防腐剤を常温で分散させたB相を調製した。
(3)撹拌中のA相の中にB相を添加混合し、C相を調製した。
(4)C相中に、香料、研磨剤、界面活性剤等の水溶性成分以外の成分を、1.5Lニーダー(石山工作所製)を用い常温で混合し、減圧(5.3kPa)による脱泡を行い、歯磨組成物1.2kgを得た。なお、組成中にプロピレングリコールを含まない歯磨組成物(実施例2)に関しては、ポリエチレングリコール400中に粘結剤及び防腐剤を添加混合し、C相を調製した。
なお、粘度は、東機産業(株)(形式:VISCOMETER TVB−10)、ローターNo.6を使用、回転数20rpm、測定時間3分間、25℃における測定値である。
【0049】
(1)ポンプディスペンサー容器からの排出性の評価方法
図1に示すポンプディスペンサー容器に表1〜3に示す組成の歯磨組成物を100g充填し、歯磨組成物の容器からの排出性を被験者10名により評価した。(i)排出性が非常に良い、(ii)排出性が良い、(iii)排出性が悪い、(iv)排出性が非常に悪い、の4段階で回答を得、排出性が非常に良いを4点、排出性が良いを3点、排出性が悪いを2点、排出性が非常に悪いを1点として、10名の平均点から以下の基準でポンプディスペンサー容器からの排出性を評価した。
なお、図1に示すポンプディスペンサー容器としては、容器外層3の材質:高密度ポリエチレン樹脂、袋体4の材質:ナイロン、ポンプディスペンサー2の材質:ポリプロピレン、容器の高さ(D):145mm、容器幅(L):40mm、内容物排出口7の口径:3mm、内容物流入路の口径:5mmのものを使用した。
【0050】
ポンプディスペンサー容器からの排出性の評価基準
◎:平均点3.5点以上4.0点
○:平均点3.0点以上3.5点未満
△:平均点2.0点以上3.0点未満
×:平均点1.0点以上2.0点未満
【0051】
(2)ポンプディスペンサー容器の口元固化性の評価方法
図1及び3に示すポンプディスペンサー容器それぞれに表1〜3に示す組成の歯磨組成物を100g充填し、25℃,20RH%恒温槽内にて10日間連続して歯磨組成物を容器の内容物排出口から排出し、10日間後のポンプディスペンサー容器の口元の固化度合いを被験者10名により目視にて評価した。評価は、(i)口元が全く固化せず歯磨組成物の排出性が非常に良い、(ii)口元がやや固化するが歯磨組成物の排出性は良い、(iii)口元が固化し歯磨組成物の排出性が悪い、(iv)口元が固化し歯磨組成物が排出されない、の4段階で回答を得た。この回答のうち、口元が全く固化せず歯磨組成物の排出性が非常に良いを4点、口元がやや固化するが歯磨組成物の排出性は良いを3点、口元が固化し歯磨組成物の排出性が悪いを2点、口元が固化し歯磨組成物が排出されないを1点として、各組成物を図1及び3に示す容器各5本、合計10本にそれぞれ充填し、合計10本分の平均点から、以下の基準で口元固化性を評価した。
なお、この評価試験では、図1に示すポンプディスペンサー容器としては、容器外層3の材質:高密度ポリエチレン樹脂、袋体4の材質:ナイロン、ポンプディスペンサー2の材質:ポリプロピレン、容器の高さ(D):145mm、容器幅(L):40mm、内容物排出口7の口径:3mm、内容物流入路の口径:5mmのものを使用した。図3に示すポンプディスペンサー容器として容器本体11の材質:高密度ポリエチレン樹脂、ポンプディスペンサー12の材質:ポリプロピレン、容器の高さ(D):150mm、容器幅(L):40mm、内容物排出口18の口径:3mm、内容物流入路の口径:5mmのものを用いた。
【0052】
ポンプディスペンサー容器の口元固化性の評価基準
◎:平均点3.5点以上4.0点
○:平均点3.0点以上3.5点未満
△:平均点2.0点以上3.0点未満
×:平均点1.0点以上2.0点未満
【0053】
(3)歯ブラシでの使用性の評価方法(歯ブラシへの載せやすさ、歯ブラシからの垂れ難さ)
図1に示すポンプディスペンサー容器に表1〜3に示す組成の歯磨組成物を100g充填し、ポンプディスペンサー容器の内容物排出口から歯磨組成物0.5gを排出して歯ブラシ上にとり、歯ブラシへの乗せやすさ、歯ブラシへ乗せた30秒後の歯ブラシからの垂れ度合いを評価した。歯ブラシはクリニカハブラシ(ライオン(株)、フラット3列)を使用した。(i)歯ブラシに乗せやすく、歯ブラシから全く垂れない、(ii)歯ブラシに乗せやすく、歯ブラシからほとんど垂れない、(iii)歯ブラシに乗せにくく、歯ブラシから少し垂れて落ちる、(iv)歯ブラシに乗せにくく、歯ブラシからほとんど垂れて落ちる、の4段階で回答を得た。この回答のうち、(i)歯ブラシに乗せやすく、歯ブラシから全く垂れないを4点、(ii)歯ブラシに乗せやすく、歯ブラシからほとんど垂れないを3点、(iii)歯ブラシに乗せにくく、歯ブラシから少し垂れて落ちるを2点、(iv)歯ブラシに乗せにくく、歯ブラシからほとんど垂れて落ちるを1点として、10本の歯ブラシの平均点から以下の基準で使用感を評価した。
なお、この評価試験では、図1に示すポンプディスペンサー容器として容器外層の材質:高密度ポリエチレン樹脂、袋体の材質:ナイロン、ポンプディスペンサーの材質:ポリプロピレンのものを用いた。容器の高さ(D)は145mm、容器幅(L)は40mm、内容物排出口7の口径は3mm、内容物流入路の口径は5mmのものを使用した。
【0054】
歯ブラシでの使用性の評価基準
◎:平均点3.5点以上4.0点以下
○:平均点3.0点以上3.5点未満
△:平均点2.0点以上3.0点未満
×:平均点1.0点以上2.0点未満
【0055】
(4)タンニン鉄ステイン清掃力評価の試験方法
(4−1);タンニン鉄ステイン付着ハイドロキシアパタイトペレットの作製方法
ハイドロキシアパタイトペレット表面(ペンタックス社製、直径7mm×厚さ3.5mm)をサンドブラストにて処理後、中性洗剤水溶液中、超音波洗浄機で洗浄した。30%リン酸水溶液にて表面をエッチング(10分間)、水洗し、自然乾燥後、タンニン鉄ステイン付着前のペレットのLab値(L0)を測定した。上記のペレットに対し、0.5%アルブミン水溶液→タンニン抽出液→0.6%クエン酸鉄(III)アンモニウム水溶液で1時間ずつ繰り返し浸漬する操作を50回繰り返し、常温で1日風乾した後、流水で洗浄し、再び風乾して着色ペレットを作製した。なお、タンニン抽出液は、沸騰させたイオン交換水1200mL中に、日本茶(銘柄:老松)50g、紅茶(リプトン社製 ブリスク ティーバック)5袋、インスタントコーヒー(ネスカフェ(商品名)、ネスレ日本社製)12gを入れ一晩放置し、日本茶及び紅茶をろ過にて取り除き作製した。作製した着色ペレットの表面の色を測定し、その値をL1とした。
【0056】
(4−2)タンニン鉄ステイン除去効果の評価法
表1〜3に示す組成の歯磨組成物を2倍量のイオン交換水で希釈し、歯磨分散液を作製した。上記方法で作製したタンニン鉄ステイン付着ハイドロキシアパタイトペレットを歯磨分散液に浸漬し、平切りの歯ブラシ(PCクリニカ)をセットした自動研磨試験機(メーカー、加重、温度)にて200回ブラッシングし、ブラッシング後のペレットのLab値(L2)を測定した。以下の式より、タンニン鉄ステイン除去率を算出し、このタンニン鉄ステイン除去率から以下の基準に従い評価した。
タンニン鉄ステイン除去率(%)=〔(L2−L1)/(L0−L1)〕×100
【0057】
タンニン鉄ステイン除去効果(ステイン清掃力)の評価基準
◎:タンニン鉄ステイン除去率50%以上
○:タンニン鉄ステイン除去率40%以上50%未満
△:タンニン鉄ステイン除去率30%以上40%未満
×:タンニン鉄ステイン除去率30%未満
【0058】
(5)歯磨時の泡立ちの評価方法
被験者10名を用い、表2に示す組成の歯磨組成物約1gを歯ブラシにとり、3分間歯磨を行った際の泡立ちについて、(i)泡立ちが非常に良い、(ii)泡立ちが良い、(iii)泡立ちがやや少ない、(iv)泡立ちが少ない、の4段階で回答を得た。この回答のうち、泡立ちが非常に良いを4点、泡立ちが良いを3点、泡立ちがやや少ないを2点、泡立ちが少ないを1点として、10名の平均点から以下の基準で使用感を評価した。
◎:平均点3.5点以上4.0点以下
○:平均点3.0点以上3.5点未満
△:平均点2.0点以上3.0点未満
×:平均点1.0点以上2.0点未満
【0059】
(6)口腔粘膜に対する刺激性の評価方法
粘膜刺激に敏感な被験者10名を用い、表2に示す各組成の歯磨組成物約1gを歯ブラシにとり、3分間歯磨を行った際の口腔粘膜に対する刺激の程度を、(i)刺激を強く感じるを1点、(ii)刺激を感じるを2点、(iii)刺激をほとんど感じないを3点、(iv)刺激を感じないを4点として、10名の平均点から以下の基準で口腔粘膜に対する刺激性を評価した。
◎:平均点3.5点以上4.0点以下
○:平均点3.0点以上3.5点未満
△:平均点2.0点以上3.0点未満
×:平均点1.0点以上2.0点未満
【0060】
【表1】

【0061】
【表2】

【0062】
【表3】

【0063】
グリセリン(純分85%):ライオンオレオケミカル(株)製
ソルビット(純分70%):東和化成工業(株)製
プロピレングリコール:旭硝子(株)製
ポリエチレングリコール400:第一工業製薬(株)製
無水ケイ酸:多木化学(株)製
雲母チタン:メルク(株)製(商品名:MP−149、平均粒径:75μm)
ラウリル硫酸ナトリウム:東邦化学工業(株)製
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の歯磨組成物を収容する容器の一実施例を示す概略断面図である。
【図2】本発明の歯磨組成物を収容する容器の他の一実施例を示す概略断面図である。
【図3】本発明の歯磨組成物を収容する容器の他の一実施例を示す概略断面図である。
【符号の説明】
【0065】
1、1’、11 容器本体
2、12 ポンプディスペンサー
3、13 外層
4 袋体
5、15 上部開口部
6、17 押圧部
7、7’、18 内容物排出口
8 オーバーキャップ
9 チューブ
14 内容物充填部
16 可動底面部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)グリセリン、(B)ソルビット、プロピレングリコール及びポリエチレングリコールから選ばれる少なくとも1種の粘稠剤、(C)シリカ系研磨剤、(D)雲母チタンを含有してなり、(A)及び(B)成分の合計配合量が30〜55質量%、かつ(A)/(B)の質量比が0.5〜2.0で、(C)成分の配合量が10〜25質量%であり、ポンプディスペンサーを備えた容器に収容されることを特徴とする歯磨組成物。
【請求項2】
更に、(E)ラウリル硫酸塩を含有する請求項1記載の歯磨組成物。
【請求項3】
請求項1又は2記載の歯磨組成物を、ポンプディスペンサーを備えた容器に収容してなることを特徴とする歯磨製品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−215176(P2009−215176A)
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−57514(P2008−57514)
【出願日】平成20年3月7日(2008.3.7)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【Fターム(参考)】