説明

歯間ブラシ及びその製造方法

【課題】歯間ブラシの一部を包装材によって構成することで簡素化を図り、無駄な材料と工数の削減によって最終製品の価格を大幅に低減することができ、これにより、極めてコンパクト且つ衛生的に携帯することが可能な使い捨ての歯間ブラシを提供する。
【解決手段】屈曲変形可能な軸部12の一端側に植毛部11を設けたブラシ本体10と、このブラシ本体10を被覆する熱接着可能なシート状包装材20とを備え、シート状包装材20は、ブラシ本体10の植毛部11を収容する中空状の第1熱接着部21と、ブラシ本体の軸部12の他端側を保持する第2熱接着部22と、第1熱接着部21を第2熱接着部22から除去するための分離手段23とを有し、シート状包装材20の第1熱接着部21を除去した後、残りの第2熱接着部22が、ブラシ本体10の把持部を形成する構成となっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装を含む製品全体の構成を極めて簡素化することができ、材料及び工数の削減によって最終製品の価格を大幅に低減することが可能であり、携帯性に優れ、使い捨てや販促品に好適な歯間ブラシ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、口腔衛生用品として歯間ブラシが身近なものとなっている。歯間ブラシは、歯間や歯と歯肉間の汚れを清掃する道具であり、植毛されている部分を歯間又は歯と歯肉間に入れて汚れを除去することができる。
【0003】
従来の一般的な歯間ブラシを図5(a)〜(c)に示す。同図(a)及び(b)において、従来の歯間ブラシ100は、金属製ワイヤからなる軸部112の一端側に植毛部111を設けたブラシ本体110を有し、軸部112の他端側にプラスチック製のハンドル120を一体成形した構成となっていた。軸部112は屈曲自在となっており、例えば、前歯の間を清掃するときは軸部112を真っ直ぐな状態のままで使用し、奥歯の間を清掃するときは軸部112を曲げて使用していた。
【0004】
また、この歯間ブラシ100には、植毛部111を保護するための同じくプラスチック製のキャップ130が付属しており、使用時にキャップ130をハンドル120の後端部に装着することで、ハンドル120の長さを延長することができた。
【0005】
このような歯間ブラシ100は、同図(c)に示すように、複数本の歯間ブラシ100、100、100・・・をブリスターパック140内に密封してセット状態とし、これを更に包装箱150内に収納して販売されていた。
【0006】
一方、従来の簡素化された歯間ブラシを図6(a)及び(b)に示す。同図(a)において、歯間ブラシ200は、薄いプラスチック板で軸部211と把持部212とを連成した板状本体210を有し、軸部211の先端側にゴム状ブラシ220を設けた構成となっていた。このような歯間ブラシ200は、同図(b)に示すように、複数本の歯間ブラシ200、200、200…を単一のブリスターパック230内に纏めて密封した状態で販売されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実公平7−46172号公報
【特許文献2】特開平2009−489号公報
【特許文献3】意匠登録第935356号公報
【特許文献4】意匠登録第1188968号公報
【特許文献5】意匠登録第1188971号公報
【特許文献6】意匠登録第1188972号公報
【特許文献7】意匠登録第1189395号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところが、図5(a)〜(c)に示す歯間ブラシ100は、プラスチック製のハンドル120及びキャップ130を備えた構成となっており、しっかりした造りの製品であるが、歯間ブラシ100の製造から包装までの過程で多くの材料と工数とを要し、最終製品の価格が高いという問題があった。歯間ブラシ100は、製品の立派な造りや高価格のために、3〜4日の繰り返し使用を想定しており、爪楊枝のように気軽に使い捨てることはできなかった。特に、歯間ブラシ100自体にキャップ130を備えているにもかかわらず、全体をブリスターパック140で包装し、これを更に包装箱150に収納しており、製品と包装に余分な材料と工数とを要していた。
【0009】
一方、図6(a)及び(b)に示す歯間ブラシ200は、軸部211と把持部212とを連成した板状本体210の簡素化及びコンパクト化が図られていたものの、プラスチック製の軸部211を屈曲させることができないという問題があった。また、簡素化したとはいっても、歯間ブラシ200の製造とは別にブリスターパック230の包装に材料と工数を要し、これらのコストが最終製品の価格に含まれていた。特に、複数本の歯間ブラシ200、200、200…を単一のブリスターパック230内に纏めて密封した状態で販売されていたので、使用者は、1本の歯間ブラシ200を衛生的に携帯することができなかった。
【0010】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、歯間ブラシの一部を包装材によって構成することで簡素化を図り、無駄な材料と工数の削減によって最終製品の価格を大幅に低減することができ、これにより、極めてコンパクト且つ衛生的に携帯することが可能な使い捨ての歯間ブラシの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明の歯間ブラシは、屈曲変形可能な軸部の一端側に植毛部を設けたブラシ本体と、このブラシ本体を被覆する熱接着可能なシート状包装材とを備え、前記シート状包装材は、前記ブラシ本体の植毛部を収容する中空状の第1熱接着部と、前記ブラシ本体の軸部の他端側を保持する第2熱接着部と、前記第1熱接着部を第2熱接着部から除去するための分離手段とを有し、前記シート状包装材の第1熱接着部を除去した後、残りの前記第2熱接着部が、前記ブラシ本体の把持部を形成する構成としてある。
【0012】
上記構成からなる本発明の歯間ブラシによれば、シート状包装材が、歯間ブラシのキャップ及び把持部を構成するので、歯間ブラシの構成要素として別途、キャップ及び把持部を設ける必要がない。これにより、従来、キャップ及び把持部に要していた材料及び工数を省略することができ、包装を含めた歯間ブラシ全体が極めて簡素な構成となり、最終製品の価格を大幅に低減することができる。
【0013】
また、最終製品である歯間ブラシは、シート状包装材によって1本ずつ密封されているので、必要な本数だけコンパクト且つ衛生的に携帯することが可能であり、軸部を自由に屈曲させて使用することもできる。
【0014】
このような本歯間ブラシは、簡素且つ安価であるが故に、使用者が躊躇することなく使い捨てることができ、また、歯間ブラシが1本ずつ包装されているのでそのまま流通させても衛生的であり、例えば、飲食店に爪楊枝のように備えて販促品として配布することが可能である。
【0015】
好ましくは、裏表2枚の前記シート状包装材で前記ブラシ本体を被覆し、前記分離手段を境にして、前記第1熱接着部は、前記ブラシ本体の植毛部を回避するように裏表2枚の前記シート状包装材の周縁部を略コ字形に熱接着した構成とし、一方、前記第2熱接着部は、前記ブラシ本体の軸部の他端側を挟持するように裏表2枚の前記シート状包装材の全面を熱接着した構成とし、前記第1熱接合部を除去する前の歯間ブラシ全体を薄いシート状とした構成としてある。
【0016】
上記構成によれば、シート状包装材に密封された本歯間ブラシ全体を薄いシート状とすることができ、例えば、ポケットに入れ、本の間にしおりとして挟み、財布のカード入れに挿し込み、又は煙草の箱にしまう等、様々な態様で携帯することができる。また、本歯間ブラシを販促品として無料配布する場合は、従来の爪楊枝と同様にテーブルに備付け、又は箸袋の中に収納することも可能である。さらに、どの態様で携帯又は配布した場合でも、歯間ブラシの衛生はシート状包装材によって確保される。
【0017】
好ましくは、前記シート状包装材とプラスチック板とを互いに熱接着したブリスターパックによって前記ブラシ本体を被覆し、前記分離手段を境にして、前記第1熱接着部のプラスチック板を膨出させることで、前記ブラシ本体の植毛部を収容する中空部を形成した構成とする。
【0018】
上記構成によれば、ブリスターパックを介してブラシ本体の植毛部を視認することができ、包装された製品が歯間ブラシであることを一見して認識させることができる。また、第2熱接着部に相当するブリスターパックのプラスチック板が、歯間ブラシの把持部の剛性を高め、部品点数や材料を省略したにもかかわらず、歯間ブラシの使いやすさと耐久性を向上させることが可能となる。
【0019】
好ましくは、前記シート状包装材の分離手段を、ミシン目又は切欠部とした構成とする。このような構成によれば、使用者は、例えば、シート状包装材の第1及び第2熱接着部をそれぞれ把持し、シート状包装材の第1熱接着部を引っ張ることで、第2熱接着部から容易に除去することができ、本歯間ブラシを使用することができる。
【0020】
好ましくは、一連の前記シート状包装材によって複数の前記ブラシ本体を被覆し、一連の前記シート状包装材を前記ブラシ本体ごとに分離可能とし、全体を複数本の前記歯間ブラシの連成体とした構成とする。
【0021】
上記構成によれば、複数本の歯間ブラシを構成するシート状包装材を一連としたことにより、全体としてシート状包装材の面積を大きくすることができ、製品の説明、宣伝広告などの多くの情報表示が可能となる。また、使用者は、一連のシート状包装材を任意に分離して、必要な本数の歯間ブラシを纏めて携帯することができる。
【0022】
好ましくは、前記シート状包装材に、文字、記号、数字、図形、模様又は色彩を表示した構成とする。このような構成によれば、製品名、製品の材料、製品の使用方法、製造元の情報、価格、宣伝広告などの情報をシート状包装材に表示し、本歯間ブラシを商品として販売したり、販促品として飲食店等で無料配布したりすることができる。
【0023】
また、上記目的を達成するために、本発明の歯間ブラシの製造方法は、一連の前記シート状包装材によって複数の前記ブラシ本体を被覆した後、前記シート状包装材を前記ブラシ本体ごとに分離し又は分離可能とし、同時に複数本の歯間ブラシを製造するようにしてある。
【0024】
上記方法によれば、軸部の一端側に植毛するブラシ本体の製造工程と、これらブラシ本体の包装工程とによって、一度に大量の本歯間ブラシを短時間で製造することができ、材料、部品点数及び工数を大幅に削減し、製造コストと最終製品の価格とを低減することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明の歯間ブラシによれば、歯間ブラシの一部を包装材によって構成することで簡素化を図り、無駄な材料と工数の削減によって最終製品の価格を大幅に低減することができる。これにより、極めてコンパクト且つ衛生的に携帯することが可能な使い捨ての歯間ブラシを提供することが可能となる。
【0026】
また、本発明の歯間ブラシの製造方法によれば、軸部の一端側に植毛するブラシ本体の製造工程と、これらブラシ本体の包装工程とによって、一度に大量の本歯間ブラシを短時間で製造することができる。これにより、材料、部品点数及び工数を大幅に削減し、製造コストと最終製品の価格とを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の第1実施形態に係る歯間ブラシを示すものであり、同図(a)は平面図、同図(b)は側面図、同図(c)は使用時の状態の平面図である。
【図2】上記歯間ブラシの各製造工程を示すフローチャートである。
【図3】同図(a)〜(d)は図2の各製造工程を示す説明図である。
【図4】同図(a)〜(d)はそれぞれ本発明の第2〜5実施形態に係る歯間ブラシを示す平面図である。
【図5】従来の一般的な歯間ブラシを示すものであり、同図(a)は携帯時の状態の側面図、同図(b)は使用時の状態の側面図、同図(c)は流通時の状態の平面図である。
【図6】従来の簡素化された歯間ブラシを示すものであり、同図(a)は使用時の状態の側面図、同図(b)は流通時の状態の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
まず、本発明の第1実施形態に係る歯間ブラシについて、図1(a)〜(c)を参照しつつ説明する。
【0029】
[歯間ブラシの構成]
同図(a)及び(b)において、本実施形態の歯間ブラシ1は、ブラシ本体10を短冊状のシート状包装材20で被覆した構成となっている。全体の大きさは、指での把持を容易にするため、例えば、図中の短辺を1cm、長辺を7cmとすることができるが、歯間ブラシ1の外形や寸法は、特に限定されるものではない。
【0030】
ブラシ本体10は、金属製ワイヤからなる軸部12の一端側に植毛部11を設けた構成となっており、軸部12を屈曲させることで植毛部11を自由な角度に曲げることができる。軸部12には、例えば、超硬ステンレスワイヤを用いることで強度と細さを両立させることができる。
【0031】
一方、本実施形態のシート状包装材20は、裏表2枚のシート状包装材20A、20Bを互いに熱接着した構成としてあり、長手方向の中央に略三角形状の切欠部23が設けてある。この切欠部23を境界に、シート状包装材20は、図中の左右方向に分離可能となっている。以下の説明において、切欠部23を基準にして、左側のシート状包装材20の部分を第1熱接着部21といい、右側のシート状包装材20の部分を第2熱接着部22という。
【0032】
本実施形態では、シート状包装材20の材料として、PET、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン等のプラスチックフィルムにアルミ箔をラミネートしたハイバリア素材を用いており、ブラシ本体10の衛生を確保するとともに劣化を防止している。第1熱接着部21は、裏表2枚のシート状包装材20A、20Bの周縁部3辺のみを図中逆コ字型に熱接着してあり、植毛部11を収容する中空部21aを形成した袋状となっている。一方、第2熱接着部22は、その全面を熱接着してあり、ブラシ本体10の他端側の軸部12を、裏表2枚のシート状包装材20A、20Bでしっかりと挟持する一枚の板片状となっている(第1及び第2熱接着部21、22の熱接着部分については、図1(c)の符号24を付したハッチングを参照)。
【0033】
ここで、本実施形態における「熱接着」とは、互いの接合面を熱で接合させる手段を広く含み、例えば、接着剤の塗布面を熱で溶かして接合すること、接着剤を使用せずに樹脂どうしを熱で融着すること、又は熱と圧力を同時に加えて塑性変形で圧着すること等が含まれる。
【0034】
[歯間ブラシの使用方法]
次に、上記構成からなる歯間ブラシ1の使用方法について説明する。まず、図1(a)及び(b)に示す未開封状態において、第1熱接着部21の把持部21bと、第2熱接着部22とをそれぞれ把持し、これら第1及び第2熱接着部21、22を互いに反対方向へ引っ張る。すると、同図(c)に示すように、切欠部23の箇所でシート状包装材20が切断され、袋状の第1熱接着部21を、第2熱接着部22から簡単に除去することができる。
【0035】
そして、第1熱接着部21を除去すると、ブラシ本体10の一端側が外部に露出するとともに、第2熱接着部22がそのまま板片状の把持部を形成し、歯間ブラシ1が使用可能な開封状態となる。その後、使用者は、軸部12を真っ直ぐのまま、又は任意の角度に屈曲させて歯間ブラシ1を使用することができる。
【0036】
[歯間ブラシの製造方法]
次に、歯間ブラシ1の製造方法について、図2及び図3(a)〜(d)を参照しつつ説明する。まず、図2のステップS1において、ブラシ本体10の製造工程を実施する。この工程では、図3(a)に示すように、2本の細い金属線12a、12bを撚り合わせてワイヤ状の軸部12を形成し、軸部12の撚り合わせの隙間にナイロン等の繊維状物を挟み込んで放射状の植毛部11とする。これによりブラシ本体10が完成する。
【0037】
次いで、図2のステップS2に進み、ブラシ本体10の配置工程を実施する。この工程では、図3(b)に示すように、一連のシート状包装材20A又は20B上に、図示しないパーツフィーダを用いて、多数本のブラシ本体10、10、10・・・をマトリックス状に等間隔に配置する(同図(b)では、裏側のシート状包装材20B上に各ブラシ本体10を配置している)。
【0038】
その後、図2のステップS3に進み、シート状包装材20の熱接着工程を実施する。この工程では、図3(c)に示すように、一連のシート状包装材20B上に、同じく一連のシート状包装材20Aを被せ、各ブラシ本体10を間に介在させた状態で、シート状包装材20A及び20Bを図示しないヒートシーラーで互いに熱接着する。このときの熱接着部分を符号24のハッチングで示す。このハッチングが示すように、各ブラシ本体10の植毛部11を含む一端側は熱接着せず、当該箇所を除く全体を熱接着している。これにより、シート状包装材20A及び20Bの間に、各植毛部11を収容する中空部21a、21a、21a・・・が形成される。
【0039】
最後に、図2のステップS4に進み、各歯間ブラシ1、1、1・・・の分離工程を実施する。この工程では、図3(d)に示すように、各ブラシ本体10の中間且つ両側に略三角形状の切欠部23、23、23・・・をそれぞれ打ち抜くとともに、一連のシート状包装材20を各ブラシ本体10ごとに切断して分離する。切断線を符号25の点線で示す。この場合、切断線25に沿ってシート状包装材20を実際に切断してもよいし、あるいは切断線25に沿って事後的に切断可能なミシン目を設けてもよい。いずれの場合でも、切断線25によって分離された又は分離可能な多数の歯間ブラシ1、1、1・・・が製造される。
【0040】
上述のように、歯間ブラシ1の製造工程は、従来の製品製造工程に相当するステップS1と、従来の包装工程に相当するステップS2〜S4とからなる。このような歯間ブラシ1の製造工程S1〜S4を、従来の歯間ブラシの製造から包装までの各工程と比較すれば、歯間ブラシ1が、極めて効率よく安価に大量生産可能であることを容易に理解できる。
【0041】
[歯間ブラシの作用効果]
以上説明したように、本実施形態に係る歯間ブラシ1によれば、シート状包装材20が歯間ブラシ1のキャップ及び把持部を構成するので、歯間ブラシ1の構成要素としてキャップ及び把持部を別途設ける必要がない。これにより、従来、キャップ及び把持部に要していた材料及び工数を省略することができ、包装を含めた歯間ブラシ1全体が極めて簡素な構成となり、最終製品の価格を大幅に低減することができる。この結果、使用者が躊躇することなく使い捨てることのできる簡素且つ安価な歯間ブラシ1が実現する。
【0042】
また、シート状包装材20に密封された歯間ブラシ1全体を薄いシート状とすることができ、例えば、ポケットに入れ、本の間にしおりとして挟み、財布のカード入れに挿し込み、又は煙草の箱にしまう等、様々な態様で携帯することができる。また、歯間ブラシ1を販促品として無料配布する場合は、従来の爪楊枝と同様にテーブルに備付け、又は箸袋の中に収納することも可能である。さらに、どの態様で携帯又は配布した場合でも、歯間ブラシ1の衛生はシート状包装材20によって確保される。
【0043】
なお、本発明の歯間ブラシは、上述した第1実施形態に限定されるものではない。例えば、第1実施形態の歯間ブラシ1では、シート状包装材20の分離手段を切欠部23としたが、これに限定されるものではない。図4(a)に示す第2実施形態の歯間ブラシ2のように、シート状包装材20の分離手段をミシン目31としてもよい。
【0044】
また、図4(b)に示す第3実施形態の歯間ブラシ3のように、シート状包装材20の第1及び第2熱接着部21、22に、それぞれ面積の広い把持部32、33を設けてもよい。このような把持部32、33を設けることによって、第1熱接着部21を第2熱接着部22からより容易に分離することが可能となる。
【0045】
さらに、図4(c)に示す第4実施形態の歯間ブラシ4のように、第1及び第2熱接着部34、35自体の面積を広くして、全体をそれぞれ把持部34、35としてもよい。本歯間ブラシ4では、第1及び第2熱接着部34、35をそれぞれ円形とし、二つの円形がほぼ線接触して接合部の幅が狭くなるようなデザインとし、この接合部を容易に切断可能な分離手段36としている。
【0046】
このように、本歯間ブラシの外観はシート状包装材20によって形成されるので、シート状包装材20の輪郭形状を自由に変更することができ、また、シート状包装材20の表裏面には、文字、記号、数字、図形、模様又は色彩などの情報や外観構成要素を表示することが可能である。
【0047】
したがって、本歯間ブラシは、デザインの自由度が大きく、例えば、動物、植物、魚、アニメキャラクター、果実、アイスクリームやキャンディ等の食べ物、自動車や携帯電話等の工業製品又は商標など、あらゆるものをモチーフにして、その外観を二次元的にデザインすることができる。このようなデザインの自由度が、本歯間ブラシの利用価値を増大させ、有償の商品又は無償の販促品としての需要を喚起し、産業の発達に寄与することになる。
【0048】
但し、本歯間ブラシは、裏表2枚のシート状包装材20A、20Bを熱接着する構成に限定されるものではない。例えば、図4(d)に示す第5実施形態の歯間ブラシ5のように、プラスチック板20Cとシート状包装材20Dとを互いに熱接着したブリスターパック40によって、ブラシ本体10を被覆してもよい。ブリスターパック40の中央には、第1熱接着部37を第2熱接着部38から除去するための分離手段31を設け、この分離手段31を境にして、第1熱接着部37のプラスチック板20Cを膨出させることで、ブラシ本体10の植毛部11を収容するための中空部37aを形成する。
【0049】
上記構成からなる歯間ブラシ5によれば、ブリスターパック40のプラスチック板20Cを介してブラシ本体10の植毛部11を視認することができ、包装された製品が歯間ブラシであることを一見して認識させることができる。また、第2熱接着部38に相当するプラスチック板20Cが、歯間ブラシ5の把持部の剛性を高め、部品点数や材料を省略したにもかかわらず、歯間ブラシ5の使いやすさと耐久性を向上させることが可能となる。
【符号の説明】
【0050】
1 歯間ブラシ
10 ブラシ本体
11 植毛部
12 軸部
20、20A、20B シート状包装材
21 第1熱接着部
21a 中空部
21b 把持部
22 第2熱接着部
23 切欠部(分離手段)
24 熱接着部
25 切断線
2 歯間ブラシ
31 ミシン目(分離手段)
3 歯間ブラシ
32 第1熱接着部
33 第2熱接着部
4 歯間ブラシ
34 第1熱接着部
35 第2熱接着部
36 分離手段
5 歯間ブラシ
20C プラスチック板
20D シート状包装材
40 ブリスターパック
37 第1熱接着部
38 第2熱接着部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
屈曲変形可能な軸部の一端側に植毛部を設けたブラシ本体と、このブラシ本体を被覆する熱接着可能なシート状包装材とを備え、
前記シート状包装材は、前記ブラシ本体の植毛部を収容する中空状の第1熱接着部と、前記ブラシ本体の軸部の他端側を保持する第2熱接着部と、前記第1熱接着部を第2熱接着部から除去するための分離手段とを有し、
前記シート状包装材の第1熱接着部を除去した後、残りの前記第2熱接着部が、前記ブラシ本体の把持部を形成する、ことを特徴とする歯間ブラシ。
【請求項2】
裏表2枚の前記シート状包装材で前記ブラシ本体を被覆し、前記分離手段を境にして、前記第1熱接着部は、前記ブラシ本体の植毛部を回避するように裏表2枚の前記シート状包装材の周縁部を略コ字形に熱接着した構成とし、一方、前記第2熱接着部は、前記ブラシ本体の軸部の他端側を挟持するように裏表2枚の前記シート状包装材の全面を熱接着した構成とし、前記第1熱接合部を除去する前の歯間ブラシ全体を薄いシート状とした、請求項1記載の歯間ブラシ。
【請求項3】
前記シート状包装材とプラスチック板とを互いに熱接着したブリスターパックによって前記ブラシ本体を被覆し、前記分離手段を境にして、前記第1熱接着部のプラスチック板を膨出させることで、前記ブラシ本体の植毛部を収容する中空部を形成した、請求項1記載の歯間ブラシ。
【請求項4】
前記シート状包装材の分離手段を、ミシン目又は切欠部とした請求項1〜3のいずれか1項に記載した、歯間ブラシ。
【請求項5】
一連の前記シート状包装材によって複数の前記ブラシ本体を被覆し、一連の前記シート状包装材を前記ブラシ本体ごとに分離可能とし、全体を複数本の前記歯間ブラシの連成体とした、請求項1〜4のいずれか1項に記載した歯間ブラシ。
【請求項6】
前記シート状包装材に、文字、記号、数字、図形、模様又は色彩を表示した、請求項1〜5のいずれか1項に記載した歯間ブラシ。
【請求項7】
一連の前記シート状包装材によって複数の前記ブラシ本体を被覆した後、前記シート状包装材を前記ブラシ本体ごとに分離し又は分離可能とし、同時に複数本の歯間ブラシを製造することを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載した歯間ブラシの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−160917(P2011−160917A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−25358(P2010−25358)
【出願日】平成22年2月8日(2010.2.8)
【出願人】(591215649)栃木精工株式会社 (1)
【Fターム(参考)】