説明

残容量管理装置、圧縮機能付きメモリカード、および外部機器

【課題】 圧縮機能付きメモリカードに適した容量管理技術を提供することを目的とする。
【解決手段】 本発明は、圧縮機能付きメモリカードの残容量を管理する残容量管理装置であって、データ分類部、圧縮率記憶部、および残容量予想部を備える。この内、データ分類部は、メモリカードの入力データの種類を検出する。圧縮率記憶部は、データ分類部の検出する入力データの種類別に、標準圧縮率を記憶する。残容量予想部は、データ分類部の検出する入力データの種類について圧縮率記憶部から標準圧縮率を情報取得し、メモリカードの物理的な残容量を標準圧縮率で割ることによって、メモリカードに書き込み可能な残容量(仮想残容量)を予想する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧縮機能付きメモリカードの仮想残容量を管理する残容量管理装置に関する。
また、本発明は、この残容量管理装置を利用する圧縮機能付きメモリカードに関する。
また、本発明は、この残容量管理装置を利用する外部機器(圧縮機能付きメモリカードにデータアクセスする装置)に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カード内にデータ圧縮機能を内蔵し、外部から書き込まれる入力データをカード内で圧縮記録する圧縮機能付きメモリカードが開示されている(例えば、特許文献1,2)。
この種の圧縮機能付きメモリカードは、物理的なメモリ容量を超えて、入力データを書き込めるなどの利点を有する。
【特許文献1】特開平1−219981号公報(第2頁右上欄第7〜12行)
【特許文献2】特開平2−64795号公報(第3頁左上欄第15〜19行)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、圧縮機能付きメモリカードは、カード内でデータ圧縮を行うため、外部からメモリカードに書き込み可能な残容量(仮想残容量)の判断が難しくなる。
特に、汎用のメモリカードの場合、画像や音声などの多種類のデータが書き込まれる。これらのデータには、冗長性の高い非圧縮データから、既に外部機器側で圧縮済みのデータまで様々なデータが存在する。これらのデータごとにカード内での圧縮効率が大きく変動するため、仮想残容量の判断が非常に難しくなる。
さらに、カード内圧縮の処理シーケンスや外部からの書き込み速度の違いによっても、外部から書き込み可能な残容量が複雑に変化する不可解な現象も生じる。
そこで、本発明では、このような圧縮機能付きメモリカードに適した容量管理技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
《請求項1》
請求項1に記載の発明は、圧縮機能付きメモリカードに書き込み可能な残容量(仮想残容量)を管理する残容量管理装置であって、データ分類部、圧縮率記憶部、および残容量予想部を備える。
このデータ分類部は、メモリカードに書き込まれる入力データの種類を検出する。
圧縮率記憶部は、入力データの種類別に標準圧縮率を予め記憶する。
残容量予想部は、データ分類部が検出した種類に対応する標準圧縮率を圧縮率記憶部から情報取得し、メモリカードの物理的な残容量をその標準圧縮率で割ることによって、仮想残容量を求める。
【0005】
《請求項2》
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の残容量管理装置において、圧縮率記憶部が、メモリカードにおける圧縮率の実績を統計処理することにより、標準圧縮率を更新する。
【0006】
《請求項3》
請求項3に記載の発明は、圧縮機能付きメモリカードに書き込み可能な残容量(仮想残容量)を管理する残容量管理装置である。この残容量管理装置は、圧縮率の標準的値である標準圧縮率を記憶する圧縮率記憶部と、仮想残容量を予想する残容量予想部とを備える。
さらに、この残容量予想部は、入力データを圧縮しながら記録する処理シーケンスAで動作するメモリカードの場合、メモリカードの物理的な残容量を標準圧縮率で割って仮想残容量を算出する。
また、入力データを非圧縮で一旦記録して後から入力データを圧縮する処理シーケンスBで動作するメモリカードの場合、非圧縮記録用の物理的な残容量を求めて仮想残容量とする。
【0007】
《請求項4》
請求項4に記載の発明は、入力データを非圧縮で一旦記録して後から入力データを圧縮するタイプの圧縮機能付きメモリカードについて、書き込み可能な残容量(仮想残容量)を管理する残容量管理装置である。この残容量管理装置は、圧縮率の標準的値である標準圧縮率を記憶する圧縮率記憶部と、仮想残容量を予想する残容量予想部とを備える。
【0008】
さらに、この残容量予想部は、低速対応演算部、および高速対応演算部を有する。
この低速対応演算部は、圧縮記録用の物理的な残容量を標準圧縮率で割った値を求めて、『低速書き込み可能な仮想残容量』とする。
一方、高速対応演算部は、非圧縮記録用の物理的な残容量を求めて、『高速書き込み可能な仮想残容量』とする。
【0009】
《請求項5》
請求項5の圧縮機能付きメモリカードは、請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の残容量管理装置と、外部機器から書き込まれる入力データをカード内で圧縮記録する記録部とを備え、この残容量管理装置を用いて、記録部の残容量管理を行うことを特徴とする。
【0010】
《請求項6》
請求項6の外部機器は、請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の残容量管理装置と、圧縮機能付きメモリカードに対してデータ書き込みを行うカードインターフェース部とを備え、この残容量管理装置を用いて、圧縮機能付きメモリカードの残容量管理を行うことを特徴とする。
【0011】
《請求項7》
請求項7の外部機器は、圧縮機能付きメモリカードにデータを書き込む外部機器であって、請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の残容量管理装置から、標準圧縮率を取得し、標準圧縮率の高低に応じて、書き込む入力データのデータサイズを増減調整するデータ生成部と、データ生成部でデータサイズの調整された入力データを圧縮機能付きメモリカードに書き込むカードインターフェース部とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
《請求項1》
請求項1の残容量管理装置は、入力データの種類ごとに標準圧縮率を記憶する。そして、メモリカードに実際に書き込まれる入力データの種類を検出し、その種類に応じた標準圧縮率を使用して仮想残容量を計算する。
このように、入力データの種類に即した標準圧縮率を選択使用して、仮想残容量を計算することにより、仮想残容量の正確性を高めることができる。
【0013】
《請求項2》
請求項2の残容量管理装置は、メモリカードの圧縮率の実績に従って標準圧縮率を更新する。その結果、メモリカードの使用実績を加味した仮想残容量を計算することが可能になり、仮想残容量の正確性が更に高くなる。
【0014】
《請求項3》
請求項3の残容量管理装置では、圧縮機能付きメモリカードの処理シーケンスA,Bに応じて、仮想残容量の計算方法を切り換える。
まず、処理シーケンスAでは、メモリカード内において入力データを圧縮しながら記録する。このような動作では、メモリカードの物理的な残容量が圧縮データで一杯になるまで、入力データを書き込むことができる。したがって、メモリカードの物理的な残容量を標準圧縮率で割った値が、処理シーケンスAの仮想残容量となる。
一方、処理シーケンスBでは、メモリカード内において入力データを非圧縮で一旦記録し、後からこの入力データを圧縮記録する。このような動作では、非圧縮記録の書き込み限界が外部から書き込み可能な残容量(すなわち仮想残容量)となる。したがって、非圧縮記録用の残容量が、処理シーケンスBの仮想残容量とする。
このように処理シーケンスA,Bに応じて残容量計算を切り換えることにより、仮想残容量の正確性が更に高くなる。
【0015】
《請求項4》
請求項4の残容量管理装置は、圧縮機能付きメモリカードとして、入力データを非圧縮で一旦記録し、後から入力データを圧縮するものを想定する。
このような圧縮機能付きメモリカードに対応して、仮想残容量の正確性を高めるために、『低速書き込み可能な仮想残容量』と『高速書き込み可能な仮想残容量』の区別を行う。
【0016】
すなわち、低速書き込みであれば、入力データの圧縮が逐次完了するまで待つことで、より多くのデータをメモリカードに書き込むことができる。この場合、非圧縮記録用の残容量に拘わらず、圧縮記録用の物理的な残容量を標準圧縮率で割った値まで、外部から書き込むことが可能になる。
一方、高速書き込みであれば、入力データの圧縮完了を待てず、非圧縮で一旦記録可能な残容量までしか外部から書き込めない。そこで、高速書き込み可能な仮想残容量として、非圧縮記録用の残容量を求める。
このように低速書き込み/高速書き込みの両ケースに区別して仮想残容量を求めることにより、外部機器側の書き込み動作に合わせた正確な仮想残容量を求めることができる。
【0017】
《請求項5》
請求項5の圧縮機能付きメモリカードは、請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の残容量管理装置を搭載したものである。したがって、圧縮機能付きメモリカードにおいて、正確な残容量管理を行うことが可能になる。
【0018】
《請求項6》
請求項5の外部機器は、請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の残容量管理装置を搭載したものである。したがって、外部機器において、圧縮機能付きメモリカードの残容量管理が一段と正確になる。
【0019】
《請求項7》
一般に、カード内圧縮で生成される圧縮データのデータサイズが大きくばらつくと、仮想残容量を正確に予想することが難しくなる。
そこで、請求項7の外部機器は、請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の残容量管理装置から標準圧縮率を取得し、この標準圧縮率の高低に応じて、外部機器で生成する入力データのデータサイズを増減調整する。このような処理により、カード内圧縮後のデータサイズのばらつくを抑制することができる。その結果、仮想残容量の正確性を高めることができる。
また、非可逆圧縮を実施する外部機器の場合、カード内圧縮の標準圧縮率の分だけ、非可逆圧縮の圧縮率を低く抑えることができる。その結果、入力データの非可逆劣化を改善することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
《実施形態の構成説明》
図1は、本実施形態の構成を示すブロック図である。
図1において、例えば電子カメラである外部機器10には、カメラ側制御部10aおよびカードインターフェース10bが設けられる。このカードインターフェース10bには、圧縮機能付きメモリカード11が装着される。
【0021】
このメモリカード11には、入出力インターフェース部12、制御部16、圧縮処理部19、伸張部21、および不揮発性メモリ22が設けられる。
この入出力インターフェース部12は、内部に一時バッファを備え、外部機器10側とのデータのやり取りを柔軟に実行する。
制御部16は、メモリカード11の内部動作を制御する。また、制御部16は、入出力インターフェース部12を介して、外部機器10側から種々のカスタム設定を受け付ける。このカスタム設定の機能により、メモリカード11内の処理シーケンスを外部機器10から適宜に切り換えることができる。
【0022】
圧縮処理部19は、外部機器10から書き込まれた入力データを圧縮処理して圧縮データを生成する。ここでの圧縮処理は、可変長符号化、ランレングス符号化、直交変換、再量子化、エントロピー符号化その他の圧縮処理の中から、入力データの種類に適したものを採用することが好ましい。
伸張部21は、メモリカード11内の圧縮データを読み出し、この圧縮データを伸張処理して、入力データを復元する。
不揮発性メモリ22には、入力データを非圧縮のまま記録するための非圧縮記録領域18、および圧縮データを保存するための圧縮記録領域20が動的に設けられる。
さらに、この制御部16には、下記の機能ブロックが設けられ、残容量管理装置として機能する。
【0023】
(1)データ分類部31・・外部機器10から書き込まれる入力データの種類を検出する。
(2)圧縮率記憶部32・・入力データの種類ごとに、カード内圧縮における標準圧縮率を記憶する。また、この圧縮率記憶部32は、カード内圧縮の圧縮率の実績を監視し、その実績を入力データの種類別に統計処理して、標準圧縮率を入力データの種類別に更新する。
(3)残容量予想部33・・外部からメモリカード11に書き込み可能な残容量(仮想残容量)を予想する。さらに、この残容量予想部33は、低速書き込み可能な仮想残容量を求める低速対応演算部34と、高速書き込み可能な仮想残容量を求める高速対応演算部35とを有する。
【0024】
《残容量管理装置による仮想残容量の算出動作》
図2は、制御部16(残容量管理装置)による仮想残容量の算出手順を示す流れ図である。制御部16は、外部機器10側から残容量の情報要求を受けると、この算出手順を開始する。
以下、図2に示すステップ番号の順番に、この算出手順を説明する。
【0025】
[ステップS1] データ分類部31は、入力データを、予め定められた種類に分類する。このような入力データの種類は、実際に入力されるデータのヘッダ情報やタグ情報などから検出すればよい。また、カメラ側制御部10aと制御部16との間でデータ通信を行うことによって、より細かな入力データの種類を情報取得してもよい。
なお、ここでの入力データの分類は、カード内圧縮の圧縮率に有意差をもたらすものであることが好ましい。例えば、
(1)ファイルフォーマットの種類・・JPEG,TIFF,RAWなど
(2)画像圧縮モードの種類・・ファイン,ベーシックなど
(3)画像サイズ設定・・縦横解像度など
などを組み合わせて、入力データの種類を細かく分類してもよい。
【0026】
[ステップS2] 残容量予想部33は、ステップS1で得た入力データの種類から、圧縮率記憶部32が記憶する『種類別の標準圧縮率』を情報取得する。
ここでの『種類別の標準圧縮率』のデフォルト値(工場出荷時の値)は、カード内圧縮の実験(例えば、種類別のテストデータを用意してカード内圧縮を行い、その圧縮率を求める)から予め作成される。
なお、この『種類別の標準圧縮率』は、後述するように、カード内圧縮を実施するたびにデータ更新される(図4のステップS48参照)。
【0027】
[ステップS3] 次に、残容量予想部33は、現在のカスタム設定を照会し、処理シーケンスA,Bの選択状態を情報取得する。
この処理シーケンスAは、入出力インターフェース部12から入力データを受け取りながら圧縮処理を実施し、圧縮データを順次に記録する処理シーケンスである。
一方、処理シーケンスBでは、入出力インターフェース部12から受け取った入力データを、非圧縮で非圧縮記録領域18に一旦記録し、この記録された入力データを後から圧縮記録する
ここで、処理シーケンスAにカスタム設定されている場合、残容量予想部33はステップS4に動作を移行する。
一方、処理シーケンスBにカスタム設定されている場合、残容量予想部33はステップS5に動作を移行する。
【0028】
[ステップS4] 残容量予想部33は、不揮発性メモリ22に確保可能な圧縮記録領域20の物理的な残容量を情報取得する。この実残容量を、下式のように、ステップS2で得た『種類別の標準圧縮率』で割ることにより、仮想残容量を求める。
仮想残容量=(圧縮記録用の実残容量)÷(種類別の標準圧縮率)
この仮想残容量は、処理シーケンスAの仮想残容量である。
このような動作の後、残容量予想部33はステップS7に動作を移行する。
【0029】
[ステップS5] 残容量予想部33内の低速対応演算部34は、不揮発性メモリ22に確保可能な圧縮記録領域20の物理的な残容量を情報取得する。この実残容量を、ステップS2で得た『種類別の標準圧縮率』で割ることにより、低速書き込み可能な仮想残容量を求める。この仮想残容量は、処理シーケンスBにおいて、外部機器10が低速で書き込み可能な残容量に該当する。
【0030】
[ステップS6] 一方、残容量予想部33内の高速対応演算部35は、不揮発性メモリ22に確保可能な非圧縮記録領域18の物理的な残容量を情報取得する。残容量予想部33は、この非圧縮記録用の残容量を、高速書き込み可能な仮想残容量とする。
【0031】
[ステップS7] 残容量予想部33は、上述のように求めた仮想残容量と、ステップS2で取得した『種類別の標準圧縮率』を外部機器10に情報伝達する。
以上の動作により、制御部16(残容量管理装置)による仮想残容量の算出動作が完了する。
【0032】
《外部機器10によるメモリカード11へのデータ書き込み動作》
図3は、外部機器10によるメモリカード11へのデータ書き込み手順を示す流れ図である。
以下、図3に示すステップ番号の順番に、この処理を説明する。
【0033】
[ステップS21] 外部機器10のカメラ側制御部10aは、圧縮機能付きメモリカード11の装着を検出すると、ステップS22以降の動作を開始する。
【0034】
[ステップS22] カメラ側制御部10aは、メモリカード11に対し、残容量の情報要求を行う。メモリカード11側では、この情報要求に応えて、上述したステップS1〜S7の動作が実行される。その結果、カメラ側制御部10aは、仮想残容量と『種類別の標準圧縮率』とを情報取得する。
【0035】
[ステップS23] カメラ側制御部10aは、情報取得した仮想残容量に、低速書き込み用/高速書き込み用といった区別があるか否かを判別する。
ここで、『低速書き込み可能な仮想残容量』と『高速書き込み可能な仮想残容量』とをそれぞれ情報取得している場合、カメラ側制御部10aはステップS24に動作を移行する。
また、仮想残容量を一種類のみ情報取得している場合、カメラ側制御部10aはステップS25に動作を移行する。
【0036】
[ステップS24] カメラ側制御部10aは、撮影コマ間隔やレリーズタイムラグの製品仕様(またはカスタム設定)に応じて、メモリカード11の書き込み速度を決定する。
この書き込み速度から低速書き込みが可能な場合、カメラ側制御部10aは、低速書き込み可能な仮想残容量を以降の処理で使用する。
一方、この書き込み速度から低速書き込みが不可能な場合、カメラ側制御部10aは、高速書き込み可能な仮想残容量を以降の処理で使用する。
【0037】
[ステップS25] カメラ側制御部10aは、メモリカード11から情報取得した『種類別の標準圧縮率』に反比例する方向に、カメラ側制御部10aで生成する画像ファイルのデータサイズを増減調整する。すなわち、この標準圧縮率が小さいほど(すなわち高圧縮)、画像ファイルのデータサイズを大きくする。逆に、この標準圧縮率が大きいほど(すなわち低圧縮)、画像ファイルのデータサイズを小さくする。
例えば、このようなデータサイズの増減調整は、JPEG画像ファイルであればスケールファクタなどの調整で実現できる。
【0038】
[ステップS26] カメラ側制御部10aは、仮想残容量をデータサイズで割ることにより、撮影可能な残コマ数を求める。
【0039】
[ステップS27] カメラ側制御部10aは、残コマ数が1コマ以上か否かを判定する。
ここで、残コマ数が1コマ以上の場合、カメラ側制御部10aは撮影動作が可能と判断して、ステップS29に動作を移行する。
一方、残コマ数が1コマに足りない場合、カメラ側制御部10aは撮影動作が不可能と判断して、ステップS28に動作を移行する。
【0040】
[ステップS28] カメラ側制御部10aは、外部機器10の表示画面に、メモリカード11が満杯である旨を表示し、動作を完了する
【0041】
[ステップS29] ここで、カメラ側制御部10aは、ユーザーからのレリーズ操作を待機する。レリーズ操作がなされると、カメラ側制御部10aは、ステップS30に動作を移行する。
【0042】
[ステップS30] カメラ側制御部10aは、ユーザーのレリーズ操作に従って、撮像動作を実施し、画像データを生成する。
【0043】
[ステップS31] カメラ側制御部10a(請求項7のデータ生成部に対応)は、この画像データを、ステップS25で調整したデータサイズに略一致するように固定長圧縮し、画像ファイルを生成する。
【0044】
[ステップS32] カメラ側制御部10aは、生成した画像ファイルを、カードインターフェース10bを介してメモリカード11に書き込む。なお、ステップS24において書き込み速度を選択している場合は、その書き込み速度に合わせた書き込み処理を実行する。
このメモリカード11の書き込みの後、カメラ側制御部10aはステップS21に戻って動作を繰り返す。
このような一連の動作により、外部機器10によるメモリカード11へのデータ書き込みが遂行される。
【0045】
《メモリカード11内部におけるデータ記録動作》
図4は、メモリカード11内部におけるデータ記録の動作手順を示す流れ図である。
以下、図4に示すステップ番号の順番に、この処理を説明する。
【0046】
[ステップS41] 制御部16は、外部機器10から書き込まれる入力データを、予め定められた種類に分類する(詳細はステップS1を参照)。
【0047】
[ステップS42] 次に、制御部16は、現在のカスタム設定を照会し、処理シーケンスA,Bの選択状態を情報取得する。
ここで、処理シーケンスAにカスタム設定されている場合、制御部16はステップS43に動作を移行する。
一方、処理シーケンスBにカスタム設定されている場合、制御部16はステップS44に動作を移行する。
【0048】
[ステップS43] ここでは、制御部16は、処理シーケンスAに従って、カード内の記録動作を制御する。その結果、圧縮処理部19は、入出力インターフェース部12から直に入力データを取り込んでカード内圧縮を順次実行する。このカード内圧縮で生成される圧縮データは、圧縮記録領域20に順次記録される。
このよう処理シーケンスAの動作後、制御部16はステップS48に動作を移行する。
【0049】
[ステップS44] ここでは、制御部16は、処理シーケンスBに従って、カード内の記録動作を制御する。その結果、入出力インターフェース部12は、入力データを非圧縮のまま、非圧縮記録領域18に一旦記録する。
【0050】
[ステップS45] 制御部16は、外部機器10からのデータアクセスが休止中か否かを判定する。
もし、外部機器10からのデータ書き込みが継続していたり、データ読み出しの要求がある場合、制御部16は、データアクセスが継続中と判断して、ステップS46に動作を移行する。
一方、データアクセスが休止期間中の場合、制御部16はステップS47に動作を移行する。
【0051】
[ステップS46] 制御部16は、現在のデータアクセスを優先的に処理する。このデータアクセスの処理が完了すると、制御部16はステップS45に動作を戻す。
【0052】
[ステップS47] ステップS45で検出されたデータアクセスの休止期間中、圧縮処理部19は、非圧縮記録領域18から非圧縮の入力データを逐次読み出し、カード内圧縮を順次実行する。このカード内圧縮で生成される圧縮データは、圧縮記録領域20に順次記録される。
なお、制御部16は、この圧縮記録の済んだ順に、非圧縮記録領域18内の不要になった入力データを随時に消去(メモリ解放)する。
【0053】
[ステップS48] 圧縮率記憶部32は、今回のカード内圧縮による圧縮率の最新結果を圧縮処理部19から情報取得する。圧縮率記憶部32は、この最新の圧縮率を、種類別の過去実績に分類した上で統計処理を行い、その種類の標準圧縮率を更新する。
例えば、この種類別に実施する統計処理としては、前回まで標準圧縮率と、最新の圧縮率とを加重平均するだけでもよい。
また例えば、この種類別に実施する統計処理としては、過去実績として保持する複数の圧縮率について平均値や最頻値や中間値などを求めて、標準圧縮率としてもよい。
以上の動作により、メモリカード11のデータ記録処理が完了する。
【0054】
《本実施形態の効果など》
上述したように、本実施形態では、種類別の標準圧縮率を保持し、その標準圧縮率を用いて、入力データの種類別に仮想残容量を求める。そのため、多様な入力データが書き込まれるメモリカード11において、仮想残容量の正確性を高めることができる。
【0055】
また、本実施形態では、カード内圧縮の圧縮率の実績から、標準圧縮率を随時に更新する。その結果、仮想残容量の正確性が更に高くなる。
さらに、本実施形態では、メモリカード11内の処理シーケンスに応じて、仮想残容量の算出方法を変更する。すなわち、処理シーケンスAの場合、圧縮記録領域20の物理的な残容量を種類別の標準圧縮率で割った値を求め、仮想残容量とする。
【0056】
一方、処理シーケンスBの場合には、『高速書き込み可能な仮想残容量』と『低速書き込み可能な仮想残容量』とを区別して求める。
前者の高速書き込み可能な仮想残容量は、処理シーケンスBにおいて遅れて実施されるカード内圧縮を待たずに、入力データを高速に書き込む際の仮想残容量である。この高速書き込み可能な仮想残容量としては、非圧縮記録領域18の物理的な残容量の値を使用する。
【0057】
一方、後者の低速書き込み可能な仮想残容量は、カード内圧縮を待ちながら、入力データを比較的低速で書き込む際の仮想残容量である。この低速書き込み可能な仮想残容量としては、処理シーケンスAの場合の仮想残容量を使用する。
このように本実施形態では、処理シーケンスA,Bの違い、更には低速書き込み/高速書き込みの違いを考慮して、それぞれに適した仮想残容量を計算する。したがって、仮想残容量の正確性が格段に高くなる。
【0058】
また、本実施形態では、メモリカード11内の制御部16を用いて、本発明の残容量管理装置を実現する。したがって、外部機器10側などに残容量管理装置を別途設ける必要がなくなり、一段と汎用性の高い圧縮機能付きメモリカード11となる。
さらに、本実施形態では、外部機器10側において、標準圧縮率の高低に応じて、メモリカード11に書き込むデータサイズを増減調整する。このようなデータサイズの調整により、カード内圧縮後の圧縮容量のバラツキ変動を抑制することが可能になる。その結果、上述した残容量管理装置における仮想残容量の正確性を更に高めることが可能になる。また特に、外部機器10において画像圧縮ファイルを生成する場合、カード内圧縮の分だけ、画像圧縮ファイルを低圧縮に画質設定することが可能になり、画像の非可逆圧縮に伴う画質劣化を改善することが可能になる。
【0059】
《実施形態の補足事項》
なお、上述した実施形態では、残容量管理装置をメモリカード11に内蔵するケースについて説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではない。一般的に、残容量管理装置を外部機器10に内蔵してもよい。例えば、図2に示す動作を、カメラ側制御部10aで実施することにより、残容量管理装置を内蔵した外部機器10を実現することができる。
【0060】
また、上述の実施形態では、ステップS45において外部機器10からのデータアクセスの無い期間を、データアクセスの休止期間として検出している。この場合、データアクセスが僅かでも発生すれば、カード内のデータ圧縮が休止することとなり、データアクセスの高速処理を最優先した圧縮機能付きメモリカードが実現する。
【0061】
しかしながら、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、制御部16が、データアクセスの頻度を監視して、所定頻度以下の低頻度期間をデータアクセスの休止期間として検出してもよい。この場合、データアクセスの有無によって、カード内のデータ圧縮の動作が寸断されるという弊害を防止し、データアクセスの高速処理とカード内圧縮処理とをバランスよく実行できる。
【産業上の利用可能性】
【0062】
以上説明したように、本発明は、圧縮機能付きメモリカードなどに利用可能な容量管理技術である。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本実施形態の構成を示すブロック図である。
【図2】制御部16(残容量管理装置)による仮想残容量の算出手順を示す流れ図である。
【図3】外部機器10によるメモリカード11へのデータ書き込み手順を示す流れ図である。
【図4】メモリカード11内部におけるデータ記録の動作手順を示す流れ図である。
【符号の説明】
【0064】
10 外部機器
10a カメラ側制御部
10b カードインターフェース
11 メモリカード
12 入出力インターフェース部
16 制御部
18 非圧縮記録領域
19 圧縮処理部
20 圧縮記録領域
21 伸張部
22 不揮発性メモリ
31 データ分類部
32 圧縮率記憶部
33 残容量予想部
34 低速対応演算部
35 高速対応演算部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機能付きメモリカードに書き込み可能な残容量(仮想残容量)を管理する残容量管理装置であって、
前記メモリカードに書き込まれる入力データの種類を検出するデータ分類部と、
前記入力データの種類別に、圧縮率の標準的値である標準圧縮率を予め記憶する圧縮率記憶部と、
前記データ分類部が検出した前記入力データの種類について、対応する前記標準圧縮率を前記圧縮率記憶部から情報取得し、前記メモリカードの物理的な残容量を該標準圧縮率で割ることによって、前記仮想残容量を求める残容量予想部と
を備えたことを特徴とする残容量管理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の残容量管理装置において、
前記圧縮率記憶部は、前記メモリカードにおける圧縮率の実績を統計処理することにより、前記標準圧縮率を更新する
ことを特徴とする残容量管理装置。
【請求項3】
圧縮機能付きメモリカードに書き込み可能な残容量(仮想残容量)を管理する残容量管理装置であって、
圧縮率の標準的値である標準圧縮率を記憶する圧縮率記憶部と、
前記仮想残容量を予想する残容量予想部とを備え、
前記残容量予想部は、
前記メモリカードが、入力データを圧縮しながら記録する処理シーケンスAで動作する場合、前記メモリカードの物理的な残容量を前記標準圧縮率で割った値を、前記仮想残容量として算出し、
前記メモリカードが、入力データを非圧縮で一旦記録して後から入力データを圧縮する処理シーケンスBで動作する場合、非圧縮記録用の物理的な残容量を求めて、仮想残容量とする
ことを特徴とする残容量管理装置。
【請求項4】
入力データを非圧縮で一旦記録して後から入力データを圧縮するタイプの圧縮機能付きメモリカードについて、書き込み可能な残容量(仮想残容量)を管理する残容量管理装置であって、
圧縮率の標準的値である標準圧縮率を記憶する圧縮率記憶部と、
前記仮想残容量を予想する残容量予想部とを備え、
前記残容量予想部は、
圧縮記録用の物理的な残容量を前記標準圧縮率で割った値を求めて、『低速書き込み可能な仮想残容量』とする低速対応演算部と、
非圧縮記録用の物理的な残容量を求めて、『高速書き込み可能な仮想残容量』とする高速対応演算部とを備えた
ことを特徴とする残容量管理装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の残容量管理装置と、
外部機器から書き込まれる入力データをカード内で圧縮記録する記録部とを備え、
前記残容量管理装置を用いて、記録部の残容量管理を行う
ことを特徴とする圧縮機能付きメモリカード。
【請求項6】
請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の残容量管理装置と、
圧縮機能付きメモリカードに対して、データ書き込みを行うカードインターフェース部とを備え、
前記残容量管理装置を用いて、前記圧縮機能付きメモリカードの残容量管理を行う
ことを特徴とする外部機器。
【請求項7】
圧縮機能付きメモリカードにデータを書き込む外部機器であって、
請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の残容量管理装置から、標準圧縮率を取得し、前記標準圧縮率の高低に応じて、前記メモリカードに書き込む前記入力データのデータサイズを増減調整するデータ生成部と、
前記データ生成部でデータサイズの調整された前記入力データを圧縮機能付きメモリカードに書き込むカードインターフェース部と
を備えたことを特徴とする外部機器


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−185354(P2006−185354A)
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−380776(P2004−380776)
【出願日】平成16年12月28日(2004.12.28)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】