説明

残容量調整装置

【課題】複数の二次電池セルを組み合わせた二次電池装置に、二次電池セルを取り付ける際の安定性を高める。
【解決手段】第1残容量取得部510は、複数の二次電池セルのいずれかが取り外された状態で、残りの二次電池セルの残容量を当該二次電池セルの残容量計から取得する。第2残容量取得部520は、取り外された位置に取り付けるべき二次電池セルの残容量を当該二次電池セルの残容量計から取得する。充放電制御部530は、第1残容量取得部510により取得された残容量と、第2残容量取得部520により取得された残容量とが対応するよう、二次電池装置100の充放電回路250に残りの二次電池セルを充電または放電させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の二次電池セルを含む二次電池装置の残容量調整装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、大容量の二次電池(蓄電池ともいう)の需要が拡大している。とくに、電気自動車、ハイブリット車(プラグインハイブリッド車を含む)などの自動車用途や、太陽光発電や風力発電などの自然エネルギーにもとづき発電された電力を蓄積する蓄電用途が拡大している。また、事業用だけでなく家庭用の蓄電システムも実用化されている。
【0003】
二次電池を大容量化するには、複数の二次電池セルを組み合わせて使用する必要がある。容量を増大するためには、直列接続より並列接続のほうが有利である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−59663号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
複数の二次電池セルが並列接続されて構成された二次電池装置において、二つの二次電池セル間に電位差が生じると二次電池セル間に電流が流れる。この電流が大電流の場合、大電流が流入した二次電池セルに不具合が発生する可能性がある。一般に、二次電池セルは過充電されると寿命が短くなる。ある二次電池セルを交換する際、新しく取り付けた二次電池セルと、既存の二次電池セルとの間に電位差がある場合、取り付けた瞬間に突入電流が発生する。この突入電流は二次電池セル間の電位差が大きいほど大きくなる。
【0006】
電池は残容量が減少するにしたがい電圧が低下する性質を持つ。したがって、新しく取り付ける二次電池セルの残容量と、既存の二次電池セルの残容量とに差があると、二次電池セル間に電位差が生じることになる。
【0007】
本発明はこうした状況に鑑みなされたものであり、その目的は、複数の二次電池セルを組み合わせた二次電池装置に、二次電池セルを取り付ける際の安全性を高める技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のある態様の残容量調整装置は、複数の二次電池セルが並列接続された二次電池装置の残容量調整装置であって、複数の二次電池セルのいずれかが取り外された状態で、残りの二次電池セルの残容量を当該二次電池セルの残容量計から取得する第1残容量取得部と、取り外された位置に取り付けるべき二次電池セルの残容量を当該二次電池セルの残容量計から取得する第2残容量取得部と、第1残容量取得部により取得された残容量と、第2残容量取得部により取得された残容量とが対応するよう、二次電池装置の充放電回路に残りの二次電池セルを充電または放電させる充放電制御部と、を備える。
【0009】
本発明の別の態様もまた、残容量調整装置である。この装置は、複数の二次電池セルが並列接続された二次電池装置の残容量を調整するための残容量調整装置であって、負荷を備える。負荷は、複数の二次電池セルのいずれかが取り外された状態において、その位置に二次電池セルが取り付けられる際、その二次電池セルと、その二次電池セルと並列関係にある二次電池セルとの電流路に挿入される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、複数の二次電池セルを組み合わせた二次電池装置に、二次電池セルを取り付ける際の安全性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施の形態1に係る二次電池装置の残容量調整装置を説明するための図である。
【図2】本発明の実施の形態2に係る二次電池装置の残容量調整装置を説明するための図である(通常時)。
【図3】本発明の実施の形態2に係る二次電池装置の残容量調整装置を説明するための図である(交換時)。
【図4】本発明の実施の形態2に係る残容量調整装置の構成例を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態1の変化例に係る、二次電池装置の残容量調整装置を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、本発明の実施の形態1に係る二次電池装置100の残容量調整装置500を説明するための図である。図1に示す二次電池装置100は、3つの二次電池セル(第1二次電池セルS11、第2二次電池セルS21および第3二次電池セルS31)が並列接続されて構成される。第1二次電池セルS11、第2二次電池セルS21および第3二次電池セルS31の正極は結合され、充放電回路250に接続される。また、第1二次電池セルS11、第2二次電池セルS21および第3二次電池セルS31の負極はグラウンドに接続される。
【0013】
並列接続される二次電池セルの数は任意であり、設計者により決定される。二次電池セルにはリチウムイオン電池、ニッケル水素電池、鉛電池などを採用できる。本明細書ではリチウムイオン電池を採用する例を説明する。
【0014】
第1二次電池セルS11、第2二次電池セルS21および第3二次電池セルS31のそれぞれには、第1残容量計21、第2残容量計22および第3残容量計23が接続される。二次電池の残容量は、二次電池の両端電圧から推定できる。したがって、残容量計をシンプルに構成するには電圧計があれば足りる。
【0015】
ただし、電池の残容量−電圧特性はキャパシタのように線形なものではない。電池は内部インピーダンスが大きく、内部インピーダンスは温度や電流により変化するため、高精度に電池の残容量を検出するためには、電圧だけでなく、温度や電流も計測し、それらの値から所定のアルゴリズムにより残容量を計算するとよい。また、二次電池は充放電回数が増えるにしたがい満充電容量が低下していくため、その低下分を反映したアルゴリズムを採用すると、より高精度に残容量を計算できる。
【0016】
図1では二次電池装置100を蓄電システムに適用する例を描いている。当該蓄電システムは、二次電池装置100、双方向AC−DCコンバータ200および充放電回路250を備える。
【0017】
双方向AC−DCコンバータ200は、需要家構内の電力線と充放電回路250との間に接続される。双方向AC−DCコンバータ200は、電力系統300から供給される交流電力を直流電力に変換する。充放電回路250はこの直流電力を二次電池装置100に充電する。また、双方向AC−DCコンバータ200は、充放電回路250により二次電池装置100から放電された直流電力を交流電力に変換し、需要家構内の電力線に出力する。この交流電力は、需要家構内の負荷400で消費される。
【0018】
本実施の形態では、並列接続された複数の二次電池セルのいずれかを交換する場面を考える。図1では、第1二次電池セルS11が交換される例を描いている。作業員は既存の第1二次電池セルS11を取り外し、新たな第1二次電池セルS11を、取り外された位置(図1では、第1端子T1と第2端子T2との間)に取り付ける。その際、残容量調整装置500を使用する。本実施の形態では、残容量調整装置500は作業員により持ち運ばれる装置(たとえば、ノート型またはタブレット型のPC)であるとする。なお、残容量調整装置500は二次電池装置100の専用のコントローラであってもよい。
【0019】
作業員は、残容量調整装置500と各残容量計21、22、23とを有線または無線ネットワークにより接続する。たとえば、バス型のネットワークを形成し、RS−485にしたがい残容量調整装置500と各残容量計21、22、23との間でシリアル通信してもよい。作業員は、このようなネットワーク環境を、新たな第1二次電池セルS11を二次電池装置100に取り付ける前に構築する。第1残容量計21は新たな第1二次電池セルS11に取り付けられる。また、作業員は残容量調整装置500と充放電回路250とを有線または無線の信号線により接続する。
【0020】
残容量調整装置500は、第1残容量取得部510、第2残容量取得部520および充放電制御部530を備える。これらの構成は、ハードウエア的には、任意のプロセッサ、メモリ、その他のLSIで実現でき、ソフトウエア的にはメモリにロードされたプログラムなどによって実現されるが、ここではそれらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックがハードウエアのみ、ソフトウエアのみ、またはそれらの組合せによっていろいろな形で実現できることは、当業者には理解されるところである。
【0021】
第1残容量取得部510は、並列接続された複数の二次電池セルのいずれかが取り外された状態(図1では、第1二次電池セルS11が取り外れた状態)で、残りの二次電池セル(図1では、第2二次電池セルS21および第3二次電池セルS31)の残容量を当該二次電池セルの残容量計(図1では、第2残容量計22および第3残容量計23)から取得する。
【0022】
第2残容量取得部520は、取り外された位置に取り付けるべき二次電池セル(図1では、第1二次電池セルS11)の残容量を当該二次電池セルの残容量計(図1では、第1残容量計21)から取得する。
【0023】
充放電制御部530は、第1残容量取得部510により取得された残容量と、第2残容量取得部520により取得された残容量とが対応または実質的に一致するよう、二次電池装置100の充放電回路250に残りの二次電池セルを充電または放電させる。図1では、充放電制御部530は、第1二次電池セルS11の残容量と、第2二次電池セルS21の残容量および第3二次電池セルS31の残容量のそれぞれとが実質的に一致するよう、充放電回路250に充電指示信号または放電指示信号を送出する。
【0024】
通常、第2二次電池セルS21の残容量と第3二次電池セルS31の残容量とは、ほぼ一致している。また、第2二次電池セルS21および第3二次電池セルS31は満充電状態ではないことが多いため、満充電状態の新たな第1二次電池セルS11が取り付けられると、第1二次電池セルS11から第2二次電池セルS21および第3二次電池セルS31に電流が流れる。
【0025】
そこで、第1二次電池セルS11を取り付ける前に、第2二次電池セルS21および第3二次電池セルS31を充電して満充電状態にすることにより、第1二次電池セルS11の電圧と第2二次電池セルS21および第3二次電池セルS31の電圧とを一致させる。または、両者の電圧をできるだけ近づける。その後、作業員が第1二次電池セルS11を取り付けることにより、第1二次電池セルS11から第2二次電池セルS21および第3二次電池セルS31に流れる電流を抑制できる。
【0026】
また、取り付けられる第1二次電池セルS11の残容量が自己放電などにより低下している場合がある。この場合、第2二次電池セルS21および第3二次電池セルS31の残容量のほうが、第1二次電池セルS11の残容量より大きい場合がある。この場合、第1二次電池セルS11を取り付ける前に、第2二次電池セルS21および第3二次電池セルS31を放電して、第2二次電池セルS21および第3二次電池セルS31の残容量を第1二次電池セルS11の残容量に一致またはできるだけ近づける。その後、作業員が第1二次電池セルS11を取り付けることにより、第2二次電池セルS21および第3二次電池セルS31から第1二次電池セルS11に流れる電流を抑制できる。
【0027】
以上説明したように実施の形態1によれば、二次電池装置100のいずれかの二次電池セルを交換する際、取り付けるべき二次電池セルの残容量と、既存の二次電池セルの残容量とが一致するよう既存の二次電池セルを充電または放電することにより、新たな二次電池セルを取り付ける際の安全性を高めることができる。すなわち、新たな二次電池セルを取り付ける際の大きな突入電流の発生を抑制できる。また、残容量調整装置500を持ち運びが容易なノート型PCなどで構成することにより、作業員の持ち運びの負担を軽減できる。
【0028】
図2、3は、本発明の実施の形態2に係る二次電池装置100の残容量調整装置600を説明するための図である。図2、3に示す二次電池装置100は、図1に示す二次電池装置100と同様に、3つの二次電池セル(第1二次電池セルS11、第2二次電池セルS21および第3二次電池セルS31)が並列接続されて構成される。図2、3でも、図1と同様に二次電池装置100を蓄電システムに適用する例を描いている。蓄積システムの構成は、実施の形態1と実施の形態2とで共通であるため、その説明を省略する。
【0029】
実施の形態2でも、並列接続された複数の二次電池セルの第1二次電池セルS11を交換する場面を考える。実施の形態2では残容量計は基本的に必要ないので図に描いていない。図2は、第1二次電池セルS11が取り外される前の通常状態を示している。図3は、既存の第1二次電池セルS11が取り外され、新たな第1二次電池セルS11が取り付けられる交換時の状態を示している。
【0030】
図2に示すように通常状態では、第1二次電池セルS11の正極と、第2二次電池セルS21および第3二次電池セルS31の正極との経路中に設置された第3端子T3および第4端子T4との間は短絡されている。なお、図示しないが第3端子T3および第4端子T4は、第2二次電池セルS21および第3二次電池セルS31の正極側にも設けられる。
【0031】
図3に示すように、作業員は既存の第1二次電池セルS11を取り外し、新たな第1二次電池セルS11を、取り外された位置(すなわち、第1端子T1と第2端子T2との間)に取り付ける際、その第1二次電池セルS11の正極と、取り外されていない第2二次電池セルS21および第3二次電池セルS31の正極との間(すなわち、第3端子T3と第4端子T4との間)に、着脱自在で可搬型の残容量調整装置600を接続する。その後、第1二次電池セルS11を第1端子T1と第2端子T2との間に接続する。
【0032】
残容量調整装置600は負荷650を備える。負荷650の両端はそれぞれ第3端子T3と第4端子T4に電気的に接続される。通常、第2二次電池セルS21の残容量と第3二次電池セルS31の残容量とは、ほぼ一致している。また、第2二次電池セルS21および第3二次電池セルS31は満充電状態ではないことが多いため、満充電状態の新たな第1二次電池セルS11を取り付けると、第1二次電池セルS11から第2二次電池セルS21および第3二次電池セルS31に電流が流れようとする。
【0033】
実施の形態2では第1二次電池セルS11と、第2二次電池セルS21および第2二次電池セルS21との間に負荷650が接続されているため、第1二次電池セルS11に発生する電力は負荷650により消費される。したがって、第1二次電池セルS11から第2二次電池セルS21および第3二次電池セルS31に流れる電流を抑制できる。
【0034】
また、取り付けられる第1二次電池セルS11の残容量が自己放電などにより低下している場合がある。この場合、第2二次電池セルS21および第3二次電池セルS31の残容量のほうが、第1二次電池セルS11の残容量より大きい場合がある。この場合も、第2二次電池セルS21および第3二次電池セルS31に発生する電力は負荷650により消費される。したがって、第2二次電池セルS21および第3二次電池セルS31から第1二次電池セルS11に流れる電流を抑制できる。
【0035】
作業員は、取り付けられた第1二次電池セルS11の残容量と、取り外されていない第2二次電池セルS21および第3二次電池セルS31の残容量のそれぞれとが対応または実質的に一致すると、残容量調整装置600を取り外し、第3端子T3と第4端子T4との間を短絡させる。すなわち、図2の状態に戻す。作業員は負荷650に電流が流れているか否かを検出するための図示しない電流計の値を確認することにより、上述の残容量が実質的に一致したか否かを判断できる。負荷650に電流が流れなくなると、上述の残容量が実質的に一致したと判断できる。また、図1に示したように、各二次電池セルに残容量計を接続して、各二次電池セルの残容量を確認してもよい。
【0036】
図4は、本発明の実施の形態2に係る残容量調整装置600の構成例を示す。残容量調整装置600は、負荷650としてヒータ650Aおよびファン650Bを備える。ヒータ650Aおよびファン650Bは直列または並列に接続される。図4では直列に接続される例を描いている。ファン650Bおよびヒータ650Aは、筐体に、ファン650Bがヒータ650Aに送風する位置関係で固定されていてもよい。また、ファン650Bおよびヒータ650Aは筐体に固定されず、作業員が任意に配置を変えることができてもよい。
【0037】
以上説明したように実施の形態2によれば、二次電池装置100のいずれかの二次電池セルを交換する際、取り付けるべき二次電池セルと、既存の二次電池セルとの間に負荷650を接続することにより、新たな二次電池セルを取り付ける際の安全性を高めることができる。すなわち、新たな二次電池セルを取り付ける際の大きな突入電流の発生を抑制できる。また、各二次電池セルの残容量を計測する必要がないため残容量計が必要ない。残容量計から残容量を取得しない構成では、作業員による配線作業が軽減される。
【0038】
また、ヒータ650Aに加えてファン650Bを用いることにより、ファン650B自身で電力を消費するとともにヒータ650Aの温度を下げることができ、残容量調整装置600の安全性を高めることができる。
【0039】
以上、本発明を実施の形態をもとに説明した。この実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0040】
図5は、本発明の実施の形態1の変化例に係る、二次電池装置100の残容量調整装置500を説明するための図である。図1では説明を単純化するために、二次電池装置100を、複数の二次電池セルの並列接続で構成する例を挙げたが、図5では二次電池装置100を、複数の二次電池セルがそれぞれ直列接続された複数の直列回路の並列接続で構成する例を挙げる。
【0041】
図5に示す例では、二次電池セルを2つ直列接続した直列回路が3つ設けられ、その3つの直列回路が並列接続される。第1直列回路は、第1二次電池セルS11および第4二次電池セルS12が直列接続されて構成される。第2直列回路は、第2二次電池セルS21および第5二次電池セルS22が直列接続されて構成される。第3直列回路は、第3二次電池セルS31および第6二次電池セルS32が直列接続されて構成される。
【0042】
各直列回路の正極(図5では、第1二次電池セルS11、第2二次電池セルS21および第3二次電池セルS31の正極)は結合され充放電回路250に接続される。また、各直列回路の負極(図5では、第4二次電池セルS12、第5二次電池セルS22および第6二次電池セルS32の負極)はグラウンドに接続される。各直列回路に含まれる二次電池セルの数、および並列接続される直列回路の数は任意であり、設計者により決定される。
【0043】
第1二次電池セルS11、第2二次電池セルS21、第3二次電池セルS31、第4二次電池セルS12、第5二次電池セルS22および第6二次電池セルS32のそれぞれには、第1残容量計21、第2残容量計22、第3残容量計23、第4残容量計24、第5残容量計25および第6残容量計26が接続される。
【0044】
第1残容量取得部510は、複数の二次電池セルのいずれかが取り外された状態(図5では、第1二次電池セルS11が取り外れた状態)で、その二次電池が属する直列回路以外の直列回路に属する二次電池セル(図5では、第2二次電池セルS21、第5二次電池セルS22、第3二次電池セルS31および第6二次電池セルS32)の残容量を当該二次電池セルの残容量計(図5では、第2残容量計22、第3残容量計23、第5残容量計25および第6残容量計26)から取得する。
【0045】
第2残容量取得部520は、取り外された位置に取り付けるべき二次電池セル(図5では、第1二次電池セルS11)および当該二次電池セルが属する直列回路の残りの二次電池セル(図5では第4二次電池セルS12)の残容量を当該二次電池セルの残容量計(図5では、第1残容量計21および第4残容量計24)から取得する。
【0046】
充放電制御部530は、第1残容量取得部510により取得された残容量を直列回路ごとに合計するとともに、第1残容量取得部510により取得された残容量を合計する。充放電制御部530は、各直列回路の残容量の合計が対応または実質的に一致するよう、二次電池装置100の充放電回路250に、新たに取り付けられる二次電池セルが属さない直列回路に属する二次電池セルを充電または放電させる。
【0047】
なお、取り付けるべき二次電池セルの段以外の段では、その段に属する複数の二次電池セルの残容量が等しいとみなしてもよい。この場合、充放電制御部530は、取り付けられた二次電池セルの残容量と、その段に属する他の二次電池セルの残容量が対応または実質的に一致するよう、二次電池装置100の充放電回路250に、他の二次電池セル(より厳密にはその二次電池が属する直接回路)を充電または放電させる。
【0048】
以上説明したように本変形例によれば、実施の形態1に係る残容量調整装置500による残容量調整を、複数の二次電池セルが直列接続された直列回路の並列接続にも拡張できる。なお、実施の形態2に係る残容量調整装置600による残容量調整を、複数の二次電池セルが直列接続された直列回路の並列接続に拡張するのは容易である。取り付けるべき二次電池セルが属する直列回路の正極と、その二次電池セルが属さない直列回路の正極との間に、残容量調整装置600を接続すればよい。
【符号の説明】
【0049】
100 二次電池装置、 S11 第1二次電池セル、 S12 第4二次電池セル、 S21 第2二次電池セル、 S22 第5二次電池セル、 S31 第3二次電池セル、 S32 第6二次電池セル、 T1 第1端子、 T2 第2端子、 T3 第3端子、 T4 第4端子、 21 第1残容量計、 22 第2残容量計、 23 第3残容量計、 24 第4残容量計、 25 第5残容量計、 26 第6残容量計、 200 双方向AC−DCコンバータ、 250 充放電回路、 300 電力系統、 400 負荷、 500 残容量調整装置、 510 第1残容量取得部、 520 第2残容量取得部、 530 充放電制御部、 600 残容量調整装置、 650 負荷、 650A ヒータ、 650B ファン。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の二次電池セルが並列接続された二次電池装置の残容量調整装置であって、
前記複数の二次電池セルのいずれかが取り外された状態で、残りの二次電池セルの残容量を当該二次電池セルの残容量計から取得する第1残容量取得部と、
取り外された位置に取り付けるべき二次電池セルの残容量を当該二次電池セルの残容量計から取得する第2残容量取得部と、
前記第1残容量取得部により取得された残容量と、前記第2残容量取得部により取得された残容量とが対応するよう、前記二次電池装置の充放電回路に前記残りの二次電池セルを充電または放電させる充放電制御部と、
を備える残容量調整装置。
【請求項2】
複数の二次電池セルが並列接続された二次電池装置の残容量を調整するための残容量調整装置であって、
負荷を備え、
前記負荷は、前記複数の二次電池セルのいずれかが取り外された状態において、その位置に二次電池セルが取り付けられる際、その二次電池セルと、その二次電池セルと並列関係にある二次電池セルとの電流路に挿入されることを特徴とする残容量調整装置。
【請求項3】
前記負荷は、ヒータおよび前記ヒータに送風するファンであり、
前記ヒータおよび前記ファンは直列または並列に接続されることを特徴とする請求項2に記載の残容量調整装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−78227(P2013−78227A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−217614(P2011−217614)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】