段ボールシートとその罫線加工方法
【課題】 製凾時に罫線部分から簡単且つ正確に折り曲げることができる段ボールシートを提供する。
【解決手段】 段ボールシートAの所定箇所を裏ライナa3から表ライナa2に向かって断面U字状の直状溝となるように圧潰することにより罫線3を加工していると共に、この罫線の幅方向の中央部に、裏ライナa3と中芯a1とを貫通しているが表ライナa2には貫通していない小孔4aを該罫線3の長さ方向に小間隔毎に穿設することによりミシン目状の折り目4を形成してあり、製凾時に罫線3の両側の段ボールシート部分A1、A2を、表ライナa2側を凸円弧状に湾曲させながら折り目4から簡単且つ正確に折り曲げることができるように構成している。
【解決手段】 段ボールシートAの所定箇所を裏ライナa3から表ライナa2に向かって断面U字状の直状溝となるように圧潰することにより罫線3を加工していると共に、この罫線の幅方向の中央部に、裏ライナa3と中芯a1とを貫通しているが表ライナa2には貫通していない小孔4aを該罫線3の長さ方向に小間隔毎に穿設することによりミシン目状の折り目4を形成してあり、製凾時に罫線3の両側の段ボールシート部分A1、A2を、表ライナa2側を凸円弧状に湾曲させながら折り目4から簡単且つ正確に折り曲げることができるように構成している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、罫線部分から簡単且つ正確に折り曲げることができる段ボールシートとその罫線加工方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
段ボールシートには、段ボール箱の胴部を形成するための罫線と、これらの罫線の両端延長線上に形成された切り目(スロット)とが設けられていて、罫線を順次直角に折り曲げることによって段ボール箱の胴部を形成すると共に、隣接する切り目間に形成されているフラップを順次折り曲げることによって段ボール箱の蓋部と底部とを形成するように構成しているが、罫線の構造としては、例えば、特許文献1に記載されているように、断面凹円弧状の溝に形成されている罫線や、特許文献2に記載されているように断面コ字状の溝に形成されている罫線が広く知られている。
【0003】
段ボールシートの加工機は、図13に示すように、段ボールシートAに罫線3A(図14、図16に示す)を加工する上下一対のクリーサリング11A 、12A と、切り目(図示せず)を加工する切込み刃15A 、16A を装着している上下一対のスロッタ軸13A 、14A とからなると共に、上記上側のクリーサリング11A の外周面は段ボールシートAに平面的に圧接する平坦な押接面に形成されているが、下側のクリーサリング12A は外周部の断面形状を断面凸円弧状又は矩形状に形成されている。
【0004】
そして、この段ボールシートの加工機に段ボールシートAを供給し、下側のクリーサリング12A によって該段ボールシートAの裏ライナa3の所定部分を表ライナa2に向かって圧潰して所定深さの直状溝からなる上記罫線3Aを加工したのち、上下一対のスロッタ軸13A
、14A の切込み刃15A 、16A によって切り目を加工している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−328181号公報
【特許文献2】特開2002−67191公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、断面が凹円弧状の直状溝形状に形成されている上記前者の罫線3Aにあっては、図14に示すように、その溝底中央部が折曲部Xとなり、この罫線3Aの折曲部Xが、連続波形状に形成されている中芯a1の山部の内面に全長に亘って重なるようにして凹入している場合にはこの折曲部Xを中央にして該折曲部Xを有する罫線3Aが内側となるように両側の段ボールシート部分A1、A2を正確に折り曲げることができるが、クリーサリングによって加工される罫線3Aの位置は、必ずしも上記のような状態に加工されるとは限らず、むしろ、殆どの罫線は、上記図14に示すように折曲部Xが中芯a1の山部と谷部間の傾斜部に該傾斜部をその折曲部Xの先端部と一体に凹溝状に変形させながら加工されたり、傾斜部と山部間に亘って交差するように加工されている。
【0007】
そのため、この折曲部Xに対して表ライナa2に一体に接着している上記中芯a1の谷部が一方の段ボールシート部分A1側にずれた位置に設けられた状態となって、折曲部Xを中心として両側の段ボールシート部分A1、A2を該折曲部Xが内側となるように折り曲げると、両側の段ボールシート部分A1、A2が折曲部Xを中心として均等に折り曲げることができず、凸円弧状に折り曲げられる表ライナa2の頂部が折曲部Xに対して図15に示すように一方の段ボールシート部分A1側に偏った状態となって外観を損するばかりでなく、精度のよい段ボール箱を製作することができないといった問題点があった。
【0008】
一方、罫線3A' が断面コ字状の直状溝からなる後者の段ボールシートAにあっては図16に示すように、その溝底部の直角に屈折している両側内隅角部が折曲部X1、X1となるため、罫線3A' の両側段ボールシート部分A1、A2を該折曲部X1、X1から簡単に折り曲げることができるが、このように折曲部X1、X1を2箇所に設けていると、これらの折曲部X1、X1から折り曲げようとする力を均等に作用させることができない場合が生じて、図17に示すように、両側段ボールシート部分A1、A2の裏ライナどうしを合わせた場合、互いにその面方向にずれた状態となって正確な折り曲げができなくなるといった問題点がある。
【0009】
また、下側のクリーサリング12A によって段ボールシートAの裏ライナa3を中芯a1と共に表ライナa2に向かって断面コ字状に圧潰して罫線3A' を加工すると、裏ライナa3から両側折曲部X1、X1に至る部分に大きな引張力が作用して該裏ライナa3部分に破れが発生し、段ボール箱の強度を低下させる虞れがあった。
【0010】
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、罫線から円滑に且つ正確に折り曲げることができると共に裏ライナに破れなどを生じさせることなく、次工程の製凾時には確実且つ能率よく製凾をすることができる段ボールシートとその罫線加工方法を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために本発明の段ボールシートは、請求項1に記載したように、所定箇所に複数条の罫線と切り目を加工している段ボールシートにおいて、上記罫線は段ボールシートの裏ライナの所定箇所を一定幅で且つ一定の深さでもって中芯と共に圧潰してなる直状溝からなると共に、この罫線の幅方向の中央部から中芯に亘って小孔を表ライナに貫通させることなく罫線の全長に亘って小間隔毎にミシン目状に穿設することにより罫線の幅方向の中央部に折り目を形成していることを特徴とする。
【0012】
このように構成した段ボールシートにおいて、請求項2に係る発明は、上記罫線を形成している直状溝は断面凹円弧状溝に形成されていることを特徴とする。
【0013】
請求項3に係る発明は、上記段ボールシート罫線加工方法であって、製函ライン上における罫線加工部に段ボールシートを供給して該段ボールシートの裏ライナ側の所定箇所に一定幅と深さを有する直状溝からなる罫線を施す際に、この罫線と共に該罫線の幅方向の中央部における裏ライナから中芯に至る部分に、表ライナに貫通させることなく多数の小孔を罫線の長さ方向に小間隔毎にミシン目状に穿設して折り目を形成することを特徴とする。
【0014】
請求項4に係る発明は、上記請求項3に記載の発明において、罫線加工部は上下一対のクリーサリングからなると共に段ボールシートの裏ライナ側の所定箇所を溝状に圧潰して罫線を施す下側クリーサリングの外周面中央部に周方向に小間隔毎に穿孔用突起を突設してあり、この穿孔用突起により罫線の形成と同時に罫線の幅方向の中央部に折り目形成用の小孔を罫線の全長に亘って長さ方向に小間隔毎に穿設することを特徴とする。
【0015】
一方、請求項5に係る発明は、外周面中央部に周方向に小間隔毎に穿孔用突起を突設している折り目形成用ローラを罫線加工部に対する段ボールシート供給側に配設して、罫線加工部によって罫線を加工する前に、該罫線の幅方向の中央部に相当する段ボールシート部分に上記折り目形成用ローラによって小孔を全長に亘って小間隔毎に穿設して折り目を形成することを特徴とする。
【0016】
さらに請求項6に係る発明は、外周面中央部に周方向に小間隔毎に穿孔用突起を突設している折り目形成用ローラを罫線加工部とスロッタ加工部との間に配設して、罫線加工部によって段ボールシートに罫線を加工したのち、該罫線の幅方向の中央部に上記折り目形成用ローラによって小孔を全長に亘って小間隔毎に穿設して折り目を形成することを特徴とする。
【0017】
また、請求項7に係る発明は、上記請求項3乃至請求項6に記載の発明において、断面凹円弧状の直状溝からなる罫線を加工することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
請求項1に係る発明によれば、段ボールシートに加工している罫線は、段ボールシートの裏ライナの所定箇所を一定幅で且つ一定の深さでもって中芯と共に圧潰してなる直状溝からなると共に、この罫線の幅方向の中央部から中芯に亘って小孔を表ライナに貫通させることなく罫線の全長に亘って小間隔毎にミシン目状に穿設することにより罫線の幅方向の中央部に折り目を形成しているので、罫線が裏ライナから中芯の山部と谷部との間の傾斜面部分に亘って圧潰、形成されていても、ミシン目状の折り目を形成している上記多数の小孔が弱体部となって罫線を挟んで設けられている両側の段ボールシート部分をこの罫線の中央部のミシン目状の折り目から均等な曲げ力でもって円滑に且つ正確に折り曲げることができる。
【0019】
この際、段ボールシートの表ライナにはミシン目が設けられていないので外観を損する虞れはないのは勿論、この表ライナも折り目に重なるようにして容易に且つ正確に折り曲げることができる。その上、罫線を介して隣接する両側の段ボールシート部分を該罫線から折り曲げると、罫線の幅方向の中央部に設けている上記ミシン目状の折り目に曲げ応力が集中してこの折り目の両側の段ボールシート部分に引張力が殆ど作用せず、そのため、このような罫線を加工している段ボールシートを自動製凾機に供給して製凾を行うと、罫線部分に破損を生じさせることなく、罫線を挟んだ両側シート部分が正確に折り曲げることができ、精度のよい段ボール箱を能率よく製造することができる。
【0020】
さらに、請求項2に係る発明によれば、上記罫線を形成している直状溝は断面U字状に形成されているので、罫線を形成している裏ライナに破れなどを生じさせることなく簡単に加工することができ、このように罫線を形成している溝の深さが浅くても、ミシン目状の折り目から容易に且つ正確に折り曲げることができる。
【0021】
また、請求項3に係る発明は、上記段ボールシートの罫線加工方法であって、製函ライン上における罫線加工部に段ボールシートを供給して該段ボールシートの裏ライナ側の所定箇所に一定幅と深さを有する直状溝からなる罫線を施す際に、この罫線と共に該罫線の幅方向の中央部における裏ライナから中芯に至る部分に、表ライナに貫通させることなく多数の小孔を罫線の長さ方向に小間隔毎にミシン目状に穿設して折り目を形成するので、製凾時には裏ライナなどに破れが生じさせることなく、折り目から容易に且つ正確に折り曲げることができると共に優れた外観を呈する段ボール凾を作製し得る罫線を加工することができる。
【0022】
このような段ボールシートの罫線加工方法において、請求項4に係る発明は、罫線加工を行う上下一対のクリーサリングにおける下側クリーサリングの外周面中央部に周方向に小間隔毎に穿孔用突起を突設しているので、この下側クリーサリングによって段ボールシートの裏ライナの所定箇所に溝状の罫線を加工すると同時にこの罫線の幅方向の中央部に上記穿孔孔突起によって折り目形成用の小孔を全長に亘ってミシン目状に正確に形成することができる。
【0023】
一方、請求項5に係る発明によれば、外周面中央部に周方向に小間隔毎に穿孔用突起を突設している折り目形成用ローラを罫線加工部に対する段ボールシート供給側に配設しているので、罫線加工部によって罫線を加工する前に、該罫線の幅方向の中央部に相当する段ボールシート部分に上記折り目形成用ローラによって小孔を全長に亘って小間隔毎に穿設して折り目を形成することができ、請求項6に係る発明によれば、外周面中央部に周方向に小間隔毎に穿孔用突起を突設している折り目形成用ローラを罫線加工部とスロッタ加工部との間に配設しているので、罫線加工部によって段ボールシートに罫線を加工したのち、該罫線の幅方向の中央部に上記折り目形成用ローラによって小孔を全長に亘って小間隔毎に穿設して折り目を形成することができ、いずれの罫線加工方法においても、既存の段ボールシート加工機を使用してこの加工機に折り目形成用ローラを組み込むことにより、罫線の幅方向の中央部に表ライナーを傷つけることなくミシン目状の折り目を形成した段ボールシートを加工することができる。
【0024】
また、請求項7に係る発明によれば、断面U字状の直状溝からなる罫線の幅方向の中央部にミシン目状の折り目を加工するので、罫線を形成する裏ライナ部分に破れなどを生じさせることなく簡単且つ正確にミシン目状の折り目を加工することができ、罫線を形成している溝の深さが浅くても、ミシン目状の折り目から容易に且つ正確に折り曲げることができる段ボールシートを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】段ボールシートの簡略斜視図。
【図2】罫線部分の拡大縦断正面図。
【図3】その平面図。
【図4】罫線から折り曲げた状態を示す拡大縦断正面図。
【図5】段ボールシートの加工機の簡略側面図。
【図6】罫線を加工している上下クリーサリングの拡大正面図。
【図7】段ボールシートの加工機の別な実施の形態を示す簡略側面図。
【図8】浅底の罫線を加工している状態を示す拡大縦断正面図。
【図9】所定深さの罫線を加工している状態を示す拡大縦断正面図。
【図10】段ボールシートの加工機のさらに別な実施の形態を示す簡略側面図。
【図11】罫線を加工している上下クリーサリングの拡大正面図。
【図12】折り目を加工している状態の上下折り目形成用ローラの拡大正面図。
【図13】従来の段ボールシート加工機の簡略側面図。
【図14】罫線加工された従来の段ボールシートの縦断正面図。
【図15】折り曲げた状態の縦断正面図。
【図16】断面コ字状の罫線を加工した従来の段ボールシートの縦断正面図。
【図17】折り曲げた状態の縦断正面図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の実施の形態を図面に基づいて説明すると、図1〜図3において、段ボールシートAは波形の段をつけた中芯a1の両面に表裏ライナa2、a3を張り合わせてなる両面段ボールシートであって、平面横長長方形状に形成されてあり、その幅方向の中央部には、製凾機によって製凾された場合における段ボールケースの胴部の高さに等しい間隔を存して段ボールシートAの長辺縁に平行な二条の直線状折曲部1、2が短辺側の両側端間に亘って形成されていると共に、これらの直線状折曲部1、2間に、両端が該直線状折曲部1、2にそれぞれ達している罫線3、3、3を段ボールケースの胴部を形成する四方周壁部における各周壁部の幅間隔毎に形成されている。
【0027】
これらの罫線3、3、3は、段ボールシートAの裏ライナa3における所定箇所(罫線を形成すべき箇所)を一定幅で且つ一定深さでもって表ライナa2に向かって中芯a1と共に圧潰してなる断面U字状の直状溝からなり、さらに、各罫線3の幅方向の中央部、即ち、罫線3を形成している直状溝の溝底に、この溝底を形成している裏ライナ部分と中芯部分とを貫通している多数の小孔4aを直状溝の長さ方向に1cm〜1.5cm の小間隔毎に穿設してミシン目状の折り目4を形成している。この小孔4aの形状は、円形であっても四角形であってもよく特に限定されない。
【0028】
また、上記中芯a1は波形状に形成されているため、裏ライナa3の所定箇所を断面U字状の直状溝に圧潰して罫線3を形成した際に、中芯a1は断面U字状に変形することなく皺状に変形し、且つ、その皺形態は罫線3の幅方向の中央に対して両側部分が不均等な状態となるが、裏ライナa3に穿設された小孔4aとこの小孔4aに重なるようにして中芯a1に穿設されている小孔4aとは、表裏ライナa2、a3の面に対して直角方向の線上に設けられる。なお、中芯a1に設けられている小孔4aは、必ずしも中芯a1を貫通することなく、中芯a1の厚みの中程まで穿設されていてもよい。
【0029】
段ボールシートAの長辺側の一端縁とこの一端縁に対応する上記直線状折曲部1との間のシート部分と、段ボールシートAの長辺側の他端縁とこの他端縁に対応する上記直線状折曲部2との間のシート部分とにおいて、上記各罫線3、3、3の延長方向に切り目(スロット)5、5、5がそれぞれ設けられていて、段ボールシートAの一端部側と他側部側とのシート部分をこれらの切り目5、5、5によってそれぞれ4枚の蓋部形成用フラップ6と4枚の底部形成用フラップ7に分割している。8は上記段ボールシートAの一側端縁に突設状態で形成されている糊代片である。
【0030】
このように構成した段ボールシートAを製凾機等によって折り畳まれた段ボール箱を作製する際に、断面U字状の直状溝からなる罫線3からこの罫線3を挟んだ段ボールシート部分A1、A2をこれらの両側段ボールシート部分A1、A2の裏ライナa3、a3が、図4に示すように重なり合った状態となるように折り曲げていくと、両側段ボールシート部分A1、A2は罫線3の幅方向の中央部に罫線3の全長に亘って小間隔毎に設けている多数の小孔4aからなるミシン目状の折り目4からこの折り目4を支点として罫線3に対応する表ライナ部分を凸円弧状に湾曲させながら屈折し、両側段ボールシート部分A1、A2は段ボールシートAの長さ方向にずれることなくその裏ライナa3、a3を正確に重ね合わせた状態に接合する。
【0031】
次に、上記のような罫線3や切り目4を設けた段ボールシートAを製造する加工機10について説明すると、この加工機10は図5で示すように、段ボールシートAに上記罫線3を加工する上下一対のクリーサリング11、12と、上記切り目4を加工する切込み刃15、16を装着している上側スロッタ軸13及びこの上側スロッタ軸13の下方に配した下側スロッタ軸14とを備えている。
【0032】
上下一対のクリーサリング11、12において、上側のクリーサリング11の外周面は図6に示すように、段ボールシートAの表ライナa2に平面的に圧接する平坦な押接面11a に形成されているが、下側のクリーサリング12は、その外周面を罫線3を加工するための断面凸円弧状に湾曲した押圧外周面12a に形成されていると共に、この湾曲押圧外周面12a の中央部、即ち、頂部に周方向に1〜1.5cm 程度の一定間隔毎に先端が先鋭端に形成されているピンからなる穿孔用突起17を突設している。この穿孔用突起17の長さ、即ち、突出高さは、下側クリーサリング12の湾曲押圧外周面12a によって裏ライナa3の所定部分を圧潰して断面U字状の直状溝からなる罫線3を形成した場合、その罫線3の溝の内底面を貫通してその先端が表ライナa2の内面又は内面近傍部に達する長さ寸法に形成されている。
【0033】
なお、上記上下一対のクリーサリング11、12は、複数対、上下クリーサ軸21、22における罫線加工位置にそれぞれ所定の間隔を存して取り付けられてあり、同様に、上記上下スロッタ軸13、14に装着している一対の切込み刃15、16も、複数対、上記各上下一対のクリーサリング11、12における上側クリーサリング11に対応させて配設されている。なお、図示していないが、上側のスロック軸13の端部には段ボールシートAの他端部に糊代片8を形成する切込み刃が設けられている。
【0034】
このように構成した段ボールシートの加工機に加工前の段ボールシートAをその一方の長辺側の端縁を供給方向に向けた状態にして上下クリーサ軸21、22間に込むと、罫線加工位置に配設されている上下クリーサリング11、12における上側クリーサリング11の押接面11a と下側クリーサリング12の押圧外周面12a とによって挟圧されて、上側クリーサリング11の押接面11a で段ボールシートAの表ライナa2を受止させた状態にして図6に示すように、下側のクリーサリング12の凸円弧状の押圧外周面12a により段ボールシートAの裏ライナa3を表ライナa2側に向かって圧潰し、この裏ライナa3側にその圧潰によって断面U字状に凹んだ直状溝からなる罫線3を加工する。
【0035】
なお、この直状溝、即ち、罫線3の深さは、上下クリーサリング11、12の対向する外周面間の間隔によって設定され、罫線3からの段ボールシートAの折り曲げを阻害しない程度の深さ以上であればよい。
【0036】
上下クリーサリング11、12によるこの罫線3の加工は、上述したように段ボールシートAの裏ライナa3に対する下側クリーサリング12の凸円弧状の押圧外周面12a の圧入によって行われるが、その際、表裏ライナa2、a3の対向面間に介在している中芯a1は、裏ライナa3と一体に圧潰されて表裏裏ライナa2、a3の対向面に接着している部分を支点として皺状に変形する。
【0037】
さらに、この罫線3の加工と同時に、下側クリーサリング12の押圧外周面12a の中央部に突設している穿孔用突起17が断面U字状に加工される罫線3の幅方向の中央部の裏ライナ部分から中芯部分を貫通してこれらの裏ライナ部分と中芯部分とに段ボールシートAの厚み方向の軸線上で上下に重なり合った小孔4a、4aを穿設すると共に穿孔用突起17は下側クリーサリング12の押圧外周面12a の周方向に一定間隔毎に多数本、突設されているので、上下クリーサリング11、12の回転に伴って小孔4aが下側クリーサリング12の押圧外周面12a によって加工される断面U字状の直状溝からなる罫線3の幅方向の中央部に長さ方向に小間隔毎に穿設されてミシン目状の折り目4が形成される。
【0038】
この多数の小孔4aからなる折り目4は、全ての罫線3の幅方向の中央部に全長に亘って設けられる。こうして、段ボールシートAに上下クリーサリング11、12によって幅方向の中央部に折り目4を有する罫線3を加工したのち、この段ボールシートAを上下スロッタ軸13、14間に連続的に供給して上側スロッタ軸13に装着している切込み刃15、16によって上記各罫線3の両端延長方向に切り目5を加工すると共に糊代片8を加工する。
【0039】
この段ボールシートの加工機10においては、罫線3を加工する下側クリーサリング12の押圧外周面12a に穿孔用突起17を突設して罫線3の加工と同時に該罫線3の幅方向の中央部にミシン目状の折り目4を設けるように構成しているが、上下クリーサリング11、12とは別体の上下一対の折り目形成用ローラ31、32によって折り目4を形成するように構成してもよい。
【0040】
図7はその段ボールシート加工機を示すもので、この加工機10A は段ボールシートAに上記罫線3を加工する上下一対のクリーサリング11、12と、上記切り目4を加工する切込み刃15、16を装着している上側スロッタ軸13及びこの上側スロッタ軸13の下方に配した下側スロッタ軸14とを備えている公知の段ボールシート加工機において、罫線加工部である上下一対のクリーサリング11、12に対して段ボールシート供給側、即ち、上流側に上下一対の上記折り目形成用ローラ31、32を配設している。
【0041】
これらの上下折り目形成用ローラ31、32は、段ボールシートAに対する罫線加工位置に対応してそれぞれ上下回転中心軸33、34上に、この回転中心軸33、34の長さ方向に所定間隔毎に装着されている。さらに、図8に示すように、上側の折り目形成用ローラ31の外周面は、上記罫線加工部における上側クリーサリング11と同様に段ボールシートAの表ライナa2を受止する平坦な押接面31a に形成されてあり、下側の折り目形成用ローラ32の外周面は、上記罫線加工部における下側クリーサリング12の断面凸円弧状に湾曲した押圧外周面12a と同様に、断面凸円弧状に湾曲した押圧外周面32a に形成されている。
【0042】
この下側折り目形成用ローラ32の押圧外周面32a は、罫線加工部の上記下側クリーサリング12によって段ボールシートAの裏ライナa3に罫線3を加工する前に、予め、この罫線3の溝深さよりも浅い直状溝の罫線3aを圧潰、加工するために設けられていると共に、この押圧外周面32a の中央部、即ち、頂部に周方向に1〜1.5cm 程度の一定間隔毎に先端が先鋭端に形成されているピンからなる穿孔用突起17を突設している。この穿孔用突起17の長さ、即ち、突出高さは、上述したように、その湾曲押圧外周面32a によって裏ライナa3の所定部分を圧潰して断面U字状の直状溝からなる罫線3aを形成した場合、その罫線3aの溝の内底面を貫通してその先端が表ライナa2の内面又は内面近傍部に達する長さ寸法に形成されている。
【0043】
このように構成した段ボールシートの加工機10A に加工前の段ボールシートAをその一方の長辺側の端縁を供給方向に向けた状態にして上下一対の折り目形成用ローラ31、32間に送り込むと、図8に示すように、段ボールシートAの罫線加工部分がこれらの折り目形成用ローラ31、32によって挟圧されて、上側折り目形成用ローラ31の押接面31a で段ボールシートAの表ライナa2を受止させた状態にして下側の折り目形成用ローラ32の凸円弧状の押圧外周面32a により段ボールシートAの裏ライナa3を表ライナa2側に向かって圧潰して断面U字状に凹んだ浅い直状溝からなる罫線3aが加工される。
【0044】
さらに、この罫線3aの加工と同時に、下側折り目形成用ローラ32の押圧外周面32a の中央部に突設している穿孔用突起17が罫線3aの幅方向の中央部の裏ライナ部分から中芯部分を貫通してこれらの裏ライナ部分と中芯部分とに段ボールシートAの厚み方向の軸線上で上下に重なり合った小孔4a、4aを穿設すると共に穿孔用突起17は下側折り目形成用ローラ32の押圧外周面32a の周方向に一定間隔毎に多数本、突設されているので、上下折り目形成用ローラ31、32の回転に伴って小孔4aが罫線3aの幅方向の中央部に長さ方向に小間隔毎に穿設されてミシン目状の折り目4が形成される。
【0045】
この多数の小孔4aからなる折り目4は、全ての罫線3aの幅方向の中央部に全長に亘って設けられる。こうして、段ボールシートAに上下折り目形成用ローラ31、32によって幅方向の中央部に折り目4を有する罫線3aを加工したのち、この段ボールシートAを上下クリーサリング11、12に連続的に送り込んで図9に示すように、上側クリーサリング11の押接面11a で段ボールシートAの表ライナa2を受止させた状態にして下側のクリーサリング12の凸円弧状の押圧外周面12a により、上記下側折り目形成用ローラ32の押圧外周面32a によって加工された浅底の罫線3aをさらに押圧して所定深さの罫線3を加工する。
【0046】
このように、予め、上下一対の折り目形成用ローラ31、32における下側の折り目形成用ローラ32によって浅底の罫線3aと共にミシン目状の折り目4を形成したのち、上下一対のクリーサリング11、12における下側のクリーサリング12によってこの浅底の罫線3aをさらに押圧して所定深さの罫線3に加工するので、上記折り目4を変位させることなく所定の罫線折り曲げ位置に保持した状態で且つ罫線部分の裏ライナa3に罫線加工時における急激な引張りによる破れを生じさせることなく罫線3の加工を施すことができる。この罫線加工に引き続いて、上記同様に、罫線加工された段ボールシートAを上下スロッタ軸13、14間に連続的に送り込んで上側スロッタ軸13に装着している切込み刃15、16により上記各罫線3の両端延長方向に切り目4を加工すると共に糊代片8を加工する。
【0047】
この実施の形態においては、上下一対のクリーサリング11、12によって所定深さの罫線3を加工する前に、上下一対の折り目形成用ローラ31、32によって浅底の罫線3aの加工と同時に折り目4を形成しているが、上下一対のクリーサリング11、12によって所定深さの罫線3を加工した後に、上下一対の折り目形成用ローラ31' 、32' によって 折り目4を形成してもよい。
【0048】
図10はその実施の形態を示すもので、この段ボールシート加工機10B は、段ボールシートAに上記罫線3を加工する上下一対のクリーサリング11、12と、上記切り目4を加工する切込み刃15、16を装着している上側スロッタ軸13及びこの上側スロッタ軸13の下方に配した下側スロッタ軸14とを備えている公知の段ボールシート加工機において、罫線加工部である上下一対のクリーサリング11、12の下流側、即ち、この上下一対のクリーサリング11、12と上下スロッタ軸13、14との間に上下一対の上記折り目形成用ローラ31' 、32' を配設している。
【0049】
これらの上下一対の折り目形成用ローラ31' 、32' における上側の折り目形成用ローラ31' は、上記実施の形態における上側の折り目形成用ローラ31と同一形状に形成されてあり、下側の折り目形成用ローラ32' は、上記実施の形態における下側の折り目形成用ローラ32とはその押圧外周面32a'による罫線押圧深さが異なっている以外は同じ形状、構造に形成されている。即ち、この下側の折り目形成用ローラ32' の押圧外周面32a'は、罫線3を加工する下側クリーサリング12の押圧外周面12a と同一形状又はこの押圧外周面12a により罫線加工深さよりも僅かに深くまで罫線3を押圧する形状、構造に形成されてあり、この下側折り目形成用ローラ32' の押圧外周面32a'の中央部、即ち、頂部に周方向に1〜1.5cm 程度の一定間隔毎に先端が先鋭端に形成されているピンからなる穿孔用突起17を突設している。この穿孔用突起17の長さ、即ち、突出高さは、上述したように、加工される罫線3の内底面を貫通してその先端が表ライナa2の内面又は内面近傍部に達する長さ寸法に形成されている。
【0050】
このように構成した段ボールシートの加工機10B に加工前の段ボールシートAをその一方の長辺側の端縁を供給方向に向けた状態にして上下クリーサ軸21、22間に込むと、図11に示すように罫線加工位置に配設されている上下クリーサリング11、12における上側クリーサリング11の押接面11a で段ボールシートAの表ライナa2を受止させた状態にして下側のクリーサリング12の凸円弧状の押圧外周面12a により段ボールシートAの裏ライナa3を表ライナa2側に向かって圧潰し、この裏ライナa3側にその圧潰によって断面U字状に凹んだ直状溝からなる罫線3を加工する。
【0051】
引き続いて、段ボールシートAはこの上下クリーサリング11、12から折り目形成用ローラ31' 、32' 間に供給されると、図12に示すように、段ボールシートAの罫線加工部分がこれらの折り目形成用ローラ31' 、32' によって挟圧されて、上側折り目形成用ローラ31' の平坦な押接面31a'で段ボールシートAの表ライナa2を受止させた状態にして下側の折り目形成用ローラ32' の凸円弧状の押圧外周面32a'が上記下側のクリーサリング12によって加工された罫線3内に嵌入し、該罫線3を押圧外周面32a'によって罫線3を押圧した状態でこの押圧外周面32a'の中央部に突設している穿孔用突起17が罫線3の幅方向の中央部の裏ライナ部分から中芯部分を貫通してこれらの裏ライナ部分と中芯部分とに段ボールシートAの厚み方向の軸線上で上下に重なり合った小孔4a、4aを穿設し、上下折り目形成用ローラ31' 、32' の回転に伴って小孔4a、4aが罫線3の幅方向の中央部に長さ方向に小間隔毎に穿設されてミシン目状の折り目4が形成される。
【0052】
この折り目4の加工に引き続いて、上記同様に、段ボールシートAを上下スロッタ軸13、14間に連続的に送り込んで上側スロッタ軸13に装着している切込み刃15、16により上記各罫線3の両端延長方向に切り目5を加工すると共に糊代片8を加工する。なお、以上の実施例においては、両面段ボールについて説明したが、複両面段ボールやトリウォール段ボールについても本発明を適用することができるのは勿論である。
【符号の説明】
【0053】
A 段ボールシート
a1 中芯
a2 表ライナ
a3 裏ライナ
3 罫線
4 折り目
4a 小孔
10 加工機
11、12 上下クリーサリング
11a 押接面
12a 押圧外周面
17 穿孔用突起
31、32 折り目形成用ローラ
【技術分野】
【0001】
本発明は、罫線部分から簡単且つ正確に折り曲げることができる段ボールシートとその罫線加工方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
段ボールシートには、段ボール箱の胴部を形成するための罫線と、これらの罫線の両端延長線上に形成された切り目(スロット)とが設けられていて、罫線を順次直角に折り曲げることによって段ボール箱の胴部を形成すると共に、隣接する切り目間に形成されているフラップを順次折り曲げることによって段ボール箱の蓋部と底部とを形成するように構成しているが、罫線の構造としては、例えば、特許文献1に記載されているように、断面凹円弧状の溝に形成されている罫線や、特許文献2に記載されているように断面コ字状の溝に形成されている罫線が広く知られている。
【0003】
段ボールシートの加工機は、図13に示すように、段ボールシートAに罫線3A(図14、図16に示す)を加工する上下一対のクリーサリング11A 、12A と、切り目(図示せず)を加工する切込み刃15A 、16A を装着している上下一対のスロッタ軸13A 、14A とからなると共に、上記上側のクリーサリング11A の外周面は段ボールシートAに平面的に圧接する平坦な押接面に形成されているが、下側のクリーサリング12A は外周部の断面形状を断面凸円弧状又は矩形状に形成されている。
【0004】
そして、この段ボールシートの加工機に段ボールシートAを供給し、下側のクリーサリング12A によって該段ボールシートAの裏ライナa3の所定部分を表ライナa2に向かって圧潰して所定深さの直状溝からなる上記罫線3Aを加工したのち、上下一対のスロッタ軸13A
、14A の切込み刃15A 、16A によって切り目を加工している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−328181号公報
【特許文献2】特開2002−67191公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、断面が凹円弧状の直状溝形状に形成されている上記前者の罫線3Aにあっては、図14に示すように、その溝底中央部が折曲部Xとなり、この罫線3Aの折曲部Xが、連続波形状に形成されている中芯a1の山部の内面に全長に亘って重なるようにして凹入している場合にはこの折曲部Xを中央にして該折曲部Xを有する罫線3Aが内側となるように両側の段ボールシート部分A1、A2を正確に折り曲げることができるが、クリーサリングによって加工される罫線3Aの位置は、必ずしも上記のような状態に加工されるとは限らず、むしろ、殆どの罫線は、上記図14に示すように折曲部Xが中芯a1の山部と谷部間の傾斜部に該傾斜部をその折曲部Xの先端部と一体に凹溝状に変形させながら加工されたり、傾斜部と山部間に亘って交差するように加工されている。
【0007】
そのため、この折曲部Xに対して表ライナa2に一体に接着している上記中芯a1の谷部が一方の段ボールシート部分A1側にずれた位置に設けられた状態となって、折曲部Xを中心として両側の段ボールシート部分A1、A2を該折曲部Xが内側となるように折り曲げると、両側の段ボールシート部分A1、A2が折曲部Xを中心として均等に折り曲げることができず、凸円弧状に折り曲げられる表ライナa2の頂部が折曲部Xに対して図15に示すように一方の段ボールシート部分A1側に偏った状態となって外観を損するばかりでなく、精度のよい段ボール箱を製作することができないといった問題点があった。
【0008】
一方、罫線3A' が断面コ字状の直状溝からなる後者の段ボールシートAにあっては図16に示すように、その溝底部の直角に屈折している両側内隅角部が折曲部X1、X1となるため、罫線3A' の両側段ボールシート部分A1、A2を該折曲部X1、X1から簡単に折り曲げることができるが、このように折曲部X1、X1を2箇所に設けていると、これらの折曲部X1、X1から折り曲げようとする力を均等に作用させることができない場合が生じて、図17に示すように、両側段ボールシート部分A1、A2の裏ライナどうしを合わせた場合、互いにその面方向にずれた状態となって正確な折り曲げができなくなるといった問題点がある。
【0009】
また、下側のクリーサリング12A によって段ボールシートAの裏ライナa3を中芯a1と共に表ライナa2に向かって断面コ字状に圧潰して罫線3A' を加工すると、裏ライナa3から両側折曲部X1、X1に至る部分に大きな引張力が作用して該裏ライナa3部分に破れが発生し、段ボール箱の強度を低下させる虞れがあった。
【0010】
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、罫線から円滑に且つ正確に折り曲げることができると共に裏ライナに破れなどを生じさせることなく、次工程の製凾時には確実且つ能率よく製凾をすることができる段ボールシートとその罫線加工方法を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために本発明の段ボールシートは、請求項1に記載したように、所定箇所に複数条の罫線と切り目を加工している段ボールシートにおいて、上記罫線は段ボールシートの裏ライナの所定箇所を一定幅で且つ一定の深さでもって中芯と共に圧潰してなる直状溝からなると共に、この罫線の幅方向の中央部から中芯に亘って小孔を表ライナに貫通させることなく罫線の全長に亘って小間隔毎にミシン目状に穿設することにより罫線の幅方向の中央部に折り目を形成していることを特徴とする。
【0012】
このように構成した段ボールシートにおいて、請求項2に係る発明は、上記罫線を形成している直状溝は断面凹円弧状溝に形成されていることを特徴とする。
【0013】
請求項3に係る発明は、上記段ボールシート罫線加工方法であって、製函ライン上における罫線加工部に段ボールシートを供給して該段ボールシートの裏ライナ側の所定箇所に一定幅と深さを有する直状溝からなる罫線を施す際に、この罫線と共に該罫線の幅方向の中央部における裏ライナから中芯に至る部分に、表ライナに貫通させることなく多数の小孔を罫線の長さ方向に小間隔毎にミシン目状に穿設して折り目を形成することを特徴とする。
【0014】
請求項4に係る発明は、上記請求項3に記載の発明において、罫線加工部は上下一対のクリーサリングからなると共に段ボールシートの裏ライナ側の所定箇所を溝状に圧潰して罫線を施す下側クリーサリングの外周面中央部に周方向に小間隔毎に穿孔用突起を突設してあり、この穿孔用突起により罫線の形成と同時に罫線の幅方向の中央部に折り目形成用の小孔を罫線の全長に亘って長さ方向に小間隔毎に穿設することを特徴とする。
【0015】
一方、請求項5に係る発明は、外周面中央部に周方向に小間隔毎に穿孔用突起を突設している折り目形成用ローラを罫線加工部に対する段ボールシート供給側に配設して、罫線加工部によって罫線を加工する前に、該罫線の幅方向の中央部に相当する段ボールシート部分に上記折り目形成用ローラによって小孔を全長に亘って小間隔毎に穿設して折り目を形成することを特徴とする。
【0016】
さらに請求項6に係る発明は、外周面中央部に周方向に小間隔毎に穿孔用突起を突設している折り目形成用ローラを罫線加工部とスロッタ加工部との間に配設して、罫線加工部によって段ボールシートに罫線を加工したのち、該罫線の幅方向の中央部に上記折り目形成用ローラによって小孔を全長に亘って小間隔毎に穿設して折り目を形成することを特徴とする。
【0017】
また、請求項7に係る発明は、上記請求項3乃至請求項6に記載の発明において、断面凹円弧状の直状溝からなる罫線を加工することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
請求項1に係る発明によれば、段ボールシートに加工している罫線は、段ボールシートの裏ライナの所定箇所を一定幅で且つ一定の深さでもって中芯と共に圧潰してなる直状溝からなると共に、この罫線の幅方向の中央部から中芯に亘って小孔を表ライナに貫通させることなく罫線の全長に亘って小間隔毎にミシン目状に穿設することにより罫線の幅方向の中央部に折り目を形成しているので、罫線が裏ライナから中芯の山部と谷部との間の傾斜面部分に亘って圧潰、形成されていても、ミシン目状の折り目を形成している上記多数の小孔が弱体部となって罫線を挟んで設けられている両側の段ボールシート部分をこの罫線の中央部のミシン目状の折り目から均等な曲げ力でもって円滑に且つ正確に折り曲げることができる。
【0019】
この際、段ボールシートの表ライナにはミシン目が設けられていないので外観を損する虞れはないのは勿論、この表ライナも折り目に重なるようにして容易に且つ正確に折り曲げることができる。その上、罫線を介して隣接する両側の段ボールシート部分を該罫線から折り曲げると、罫線の幅方向の中央部に設けている上記ミシン目状の折り目に曲げ応力が集中してこの折り目の両側の段ボールシート部分に引張力が殆ど作用せず、そのため、このような罫線を加工している段ボールシートを自動製凾機に供給して製凾を行うと、罫線部分に破損を生じさせることなく、罫線を挟んだ両側シート部分が正確に折り曲げることができ、精度のよい段ボール箱を能率よく製造することができる。
【0020】
さらに、請求項2に係る発明によれば、上記罫線を形成している直状溝は断面U字状に形成されているので、罫線を形成している裏ライナに破れなどを生じさせることなく簡単に加工することができ、このように罫線を形成している溝の深さが浅くても、ミシン目状の折り目から容易に且つ正確に折り曲げることができる。
【0021】
また、請求項3に係る発明は、上記段ボールシートの罫線加工方法であって、製函ライン上における罫線加工部に段ボールシートを供給して該段ボールシートの裏ライナ側の所定箇所に一定幅と深さを有する直状溝からなる罫線を施す際に、この罫線と共に該罫線の幅方向の中央部における裏ライナから中芯に至る部分に、表ライナに貫通させることなく多数の小孔を罫線の長さ方向に小間隔毎にミシン目状に穿設して折り目を形成するので、製凾時には裏ライナなどに破れが生じさせることなく、折り目から容易に且つ正確に折り曲げることができると共に優れた外観を呈する段ボール凾を作製し得る罫線を加工することができる。
【0022】
このような段ボールシートの罫線加工方法において、請求項4に係る発明は、罫線加工を行う上下一対のクリーサリングにおける下側クリーサリングの外周面中央部に周方向に小間隔毎に穿孔用突起を突設しているので、この下側クリーサリングによって段ボールシートの裏ライナの所定箇所に溝状の罫線を加工すると同時にこの罫線の幅方向の中央部に上記穿孔孔突起によって折り目形成用の小孔を全長に亘ってミシン目状に正確に形成することができる。
【0023】
一方、請求項5に係る発明によれば、外周面中央部に周方向に小間隔毎に穿孔用突起を突設している折り目形成用ローラを罫線加工部に対する段ボールシート供給側に配設しているので、罫線加工部によって罫線を加工する前に、該罫線の幅方向の中央部に相当する段ボールシート部分に上記折り目形成用ローラによって小孔を全長に亘って小間隔毎に穿設して折り目を形成することができ、請求項6に係る発明によれば、外周面中央部に周方向に小間隔毎に穿孔用突起を突設している折り目形成用ローラを罫線加工部とスロッタ加工部との間に配設しているので、罫線加工部によって段ボールシートに罫線を加工したのち、該罫線の幅方向の中央部に上記折り目形成用ローラによって小孔を全長に亘って小間隔毎に穿設して折り目を形成することができ、いずれの罫線加工方法においても、既存の段ボールシート加工機を使用してこの加工機に折り目形成用ローラを組み込むことにより、罫線の幅方向の中央部に表ライナーを傷つけることなくミシン目状の折り目を形成した段ボールシートを加工することができる。
【0024】
また、請求項7に係る発明によれば、断面U字状の直状溝からなる罫線の幅方向の中央部にミシン目状の折り目を加工するので、罫線を形成する裏ライナ部分に破れなどを生じさせることなく簡単且つ正確にミシン目状の折り目を加工することができ、罫線を形成している溝の深さが浅くても、ミシン目状の折り目から容易に且つ正確に折り曲げることができる段ボールシートを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】段ボールシートの簡略斜視図。
【図2】罫線部分の拡大縦断正面図。
【図3】その平面図。
【図4】罫線から折り曲げた状態を示す拡大縦断正面図。
【図5】段ボールシートの加工機の簡略側面図。
【図6】罫線を加工している上下クリーサリングの拡大正面図。
【図7】段ボールシートの加工機の別な実施の形態を示す簡略側面図。
【図8】浅底の罫線を加工している状態を示す拡大縦断正面図。
【図9】所定深さの罫線を加工している状態を示す拡大縦断正面図。
【図10】段ボールシートの加工機のさらに別な実施の形態を示す簡略側面図。
【図11】罫線を加工している上下クリーサリングの拡大正面図。
【図12】折り目を加工している状態の上下折り目形成用ローラの拡大正面図。
【図13】従来の段ボールシート加工機の簡略側面図。
【図14】罫線加工された従来の段ボールシートの縦断正面図。
【図15】折り曲げた状態の縦断正面図。
【図16】断面コ字状の罫線を加工した従来の段ボールシートの縦断正面図。
【図17】折り曲げた状態の縦断正面図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の実施の形態を図面に基づいて説明すると、図1〜図3において、段ボールシートAは波形の段をつけた中芯a1の両面に表裏ライナa2、a3を張り合わせてなる両面段ボールシートであって、平面横長長方形状に形成されてあり、その幅方向の中央部には、製凾機によって製凾された場合における段ボールケースの胴部の高さに等しい間隔を存して段ボールシートAの長辺縁に平行な二条の直線状折曲部1、2が短辺側の両側端間に亘って形成されていると共に、これらの直線状折曲部1、2間に、両端が該直線状折曲部1、2にそれぞれ達している罫線3、3、3を段ボールケースの胴部を形成する四方周壁部における各周壁部の幅間隔毎に形成されている。
【0027】
これらの罫線3、3、3は、段ボールシートAの裏ライナa3における所定箇所(罫線を形成すべき箇所)を一定幅で且つ一定深さでもって表ライナa2に向かって中芯a1と共に圧潰してなる断面U字状の直状溝からなり、さらに、各罫線3の幅方向の中央部、即ち、罫線3を形成している直状溝の溝底に、この溝底を形成している裏ライナ部分と中芯部分とを貫通している多数の小孔4aを直状溝の長さ方向に1cm〜1.5cm の小間隔毎に穿設してミシン目状の折り目4を形成している。この小孔4aの形状は、円形であっても四角形であってもよく特に限定されない。
【0028】
また、上記中芯a1は波形状に形成されているため、裏ライナa3の所定箇所を断面U字状の直状溝に圧潰して罫線3を形成した際に、中芯a1は断面U字状に変形することなく皺状に変形し、且つ、その皺形態は罫線3の幅方向の中央に対して両側部分が不均等な状態となるが、裏ライナa3に穿設された小孔4aとこの小孔4aに重なるようにして中芯a1に穿設されている小孔4aとは、表裏ライナa2、a3の面に対して直角方向の線上に設けられる。なお、中芯a1に設けられている小孔4aは、必ずしも中芯a1を貫通することなく、中芯a1の厚みの中程まで穿設されていてもよい。
【0029】
段ボールシートAの長辺側の一端縁とこの一端縁に対応する上記直線状折曲部1との間のシート部分と、段ボールシートAの長辺側の他端縁とこの他端縁に対応する上記直線状折曲部2との間のシート部分とにおいて、上記各罫線3、3、3の延長方向に切り目(スロット)5、5、5がそれぞれ設けられていて、段ボールシートAの一端部側と他側部側とのシート部分をこれらの切り目5、5、5によってそれぞれ4枚の蓋部形成用フラップ6と4枚の底部形成用フラップ7に分割している。8は上記段ボールシートAの一側端縁に突設状態で形成されている糊代片である。
【0030】
このように構成した段ボールシートAを製凾機等によって折り畳まれた段ボール箱を作製する際に、断面U字状の直状溝からなる罫線3からこの罫線3を挟んだ段ボールシート部分A1、A2をこれらの両側段ボールシート部分A1、A2の裏ライナa3、a3が、図4に示すように重なり合った状態となるように折り曲げていくと、両側段ボールシート部分A1、A2は罫線3の幅方向の中央部に罫線3の全長に亘って小間隔毎に設けている多数の小孔4aからなるミシン目状の折り目4からこの折り目4を支点として罫線3に対応する表ライナ部分を凸円弧状に湾曲させながら屈折し、両側段ボールシート部分A1、A2は段ボールシートAの長さ方向にずれることなくその裏ライナa3、a3を正確に重ね合わせた状態に接合する。
【0031】
次に、上記のような罫線3や切り目4を設けた段ボールシートAを製造する加工機10について説明すると、この加工機10は図5で示すように、段ボールシートAに上記罫線3を加工する上下一対のクリーサリング11、12と、上記切り目4を加工する切込み刃15、16を装着している上側スロッタ軸13及びこの上側スロッタ軸13の下方に配した下側スロッタ軸14とを備えている。
【0032】
上下一対のクリーサリング11、12において、上側のクリーサリング11の外周面は図6に示すように、段ボールシートAの表ライナa2に平面的に圧接する平坦な押接面11a に形成されているが、下側のクリーサリング12は、その外周面を罫線3を加工するための断面凸円弧状に湾曲した押圧外周面12a に形成されていると共に、この湾曲押圧外周面12a の中央部、即ち、頂部に周方向に1〜1.5cm 程度の一定間隔毎に先端が先鋭端に形成されているピンからなる穿孔用突起17を突設している。この穿孔用突起17の長さ、即ち、突出高さは、下側クリーサリング12の湾曲押圧外周面12a によって裏ライナa3の所定部分を圧潰して断面U字状の直状溝からなる罫線3を形成した場合、その罫線3の溝の内底面を貫通してその先端が表ライナa2の内面又は内面近傍部に達する長さ寸法に形成されている。
【0033】
なお、上記上下一対のクリーサリング11、12は、複数対、上下クリーサ軸21、22における罫線加工位置にそれぞれ所定の間隔を存して取り付けられてあり、同様に、上記上下スロッタ軸13、14に装着している一対の切込み刃15、16も、複数対、上記各上下一対のクリーサリング11、12における上側クリーサリング11に対応させて配設されている。なお、図示していないが、上側のスロック軸13の端部には段ボールシートAの他端部に糊代片8を形成する切込み刃が設けられている。
【0034】
このように構成した段ボールシートの加工機に加工前の段ボールシートAをその一方の長辺側の端縁を供給方向に向けた状態にして上下クリーサ軸21、22間に込むと、罫線加工位置に配設されている上下クリーサリング11、12における上側クリーサリング11の押接面11a と下側クリーサリング12の押圧外周面12a とによって挟圧されて、上側クリーサリング11の押接面11a で段ボールシートAの表ライナa2を受止させた状態にして図6に示すように、下側のクリーサリング12の凸円弧状の押圧外周面12a により段ボールシートAの裏ライナa3を表ライナa2側に向かって圧潰し、この裏ライナa3側にその圧潰によって断面U字状に凹んだ直状溝からなる罫線3を加工する。
【0035】
なお、この直状溝、即ち、罫線3の深さは、上下クリーサリング11、12の対向する外周面間の間隔によって設定され、罫線3からの段ボールシートAの折り曲げを阻害しない程度の深さ以上であればよい。
【0036】
上下クリーサリング11、12によるこの罫線3の加工は、上述したように段ボールシートAの裏ライナa3に対する下側クリーサリング12の凸円弧状の押圧外周面12a の圧入によって行われるが、その際、表裏ライナa2、a3の対向面間に介在している中芯a1は、裏ライナa3と一体に圧潰されて表裏裏ライナa2、a3の対向面に接着している部分を支点として皺状に変形する。
【0037】
さらに、この罫線3の加工と同時に、下側クリーサリング12の押圧外周面12a の中央部に突設している穿孔用突起17が断面U字状に加工される罫線3の幅方向の中央部の裏ライナ部分から中芯部分を貫通してこれらの裏ライナ部分と中芯部分とに段ボールシートAの厚み方向の軸線上で上下に重なり合った小孔4a、4aを穿設すると共に穿孔用突起17は下側クリーサリング12の押圧外周面12a の周方向に一定間隔毎に多数本、突設されているので、上下クリーサリング11、12の回転に伴って小孔4aが下側クリーサリング12の押圧外周面12a によって加工される断面U字状の直状溝からなる罫線3の幅方向の中央部に長さ方向に小間隔毎に穿設されてミシン目状の折り目4が形成される。
【0038】
この多数の小孔4aからなる折り目4は、全ての罫線3の幅方向の中央部に全長に亘って設けられる。こうして、段ボールシートAに上下クリーサリング11、12によって幅方向の中央部に折り目4を有する罫線3を加工したのち、この段ボールシートAを上下スロッタ軸13、14間に連続的に供給して上側スロッタ軸13に装着している切込み刃15、16によって上記各罫線3の両端延長方向に切り目5を加工すると共に糊代片8を加工する。
【0039】
この段ボールシートの加工機10においては、罫線3を加工する下側クリーサリング12の押圧外周面12a に穿孔用突起17を突設して罫線3の加工と同時に該罫線3の幅方向の中央部にミシン目状の折り目4を設けるように構成しているが、上下クリーサリング11、12とは別体の上下一対の折り目形成用ローラ31、32によって折り目4を形成するように構成してもよい。
【0040】
図7はその段ボールシート加工機を示すもので、この加工機10A は段ボールシートAに上記罫線3を加工する上下一対のクリーサリング11、12と、上記切り目4を加工する切込み刃15、16を装着している上側スロッタ軸13及びこの上側スロッタ軸13の下方に配した下側スロッタ軸14とを備えている公知の段ボールシート加工機において、罫線加工部である上下一対のクリーサリング11、12に対して段ボールシート供給側、即ち、上流側に上下一対の上記折り目形成用ローラ31、32を配設している。
【0041】
これらの上下折り目形成用ローラ31、32は、段ボールシートAに対する罫線加工位置に対応してそれぞれ上下回転中心軸33、34上に、この回転中心軸33、34の長さ方向に所定間隔毎に装着されている。さらに、図8に示すように、上側の折り目形成用ローラ31の外周面は、上記罫線加工部における上側クリーサリング11と同様に段ボールシートAの表ライナa2を受止する平坦な押接面31a に形成されてあり、下側の折り目形成用ローラ32の外周面は、上記罫線加工部における下側クリーサリング12の断面凸円弧状に湾曲した押圧外周面12a と同様に、断面凸円弧状に湾曲した押圧外周面32a に形成されている。
【0042】
この下側折り目形成用ローラ32の押圧外周面32a は、罫線加工部の上記下側クリーサリング12によって段ボールシートAの裏ライナa3に罫線3を加工する前に、予め、この罫線3の溝深さよりも浅い直状溝の罫線3aを圧潰、加工するために設けられていると共に、この押圧外周面32a の中央部、即ち、頂部に周方向に1〜1.5cm 程度の一定間隔毎に先端が先鋭端に形成されているピンからなる穿孔用突起17を突設している。この穿孔用突起17の長さ、即ち、突出高さは、上述したように、その湾曲押圧外周面32a によって裏ライナa3の所定部分を圧潰して断面U字状の直状溝からなる罫線3aを形成した場合、その罫線3aの溝の内底面を貫通してその先端が表ライナa2の内面又は内面近傍部に達する長さ寸法に形成されている。
【0043】
このように構成した段ボールシートの加工機10A に加工前の段ボールシートAをその一方の長辺側の端縁を供給方向に向けた状態にして上下一対の折り目形成用ローラ31、32間に送り込むと、図8に示すように、段ボールシートAの罫線加工部分がこれらの折り目形成用ローラ31、32によって挟圧されて、上側折り目形成用ローラ31の押接面31a で段ボールシートAの表ライナa2を受止させた状態にして下側の折り目形成用ローラ32の凸円弧状の押圧外周面32a により段ボールシートAの裏ライナa3を表ライナa2側に向かって圧潰して断面U字状に凹んだ浅い直状溝からなる罫線3aが加工される。
【0044】
さらに、この罫線3aの加工と同時に、下側折り目形成用ローラ32の押圧外周面32a の中央部に突設している穿孔用突起17が罫線3aの幅方向の中央部の裏ライナ部分から中芯部分を貫通してこれらの裏ライナ部分と中芯部分とに段ボールシートAの厚み方向の軸線上で上下に重なり合った小孔4a、4aを穿設すると共に穿孔用突起17は下側折り目形成用ローラ32の押圧外周面32a の周方向に一定間隔毎に多数本、突設されているので、上下折り目形成用ローラ31、32の回転に伴って小孔4aが罫線3aの幅方向の中央部に長さ方向に小間隔毎に穿設されてミシン目状の折り目4が形成される。
【0045】
この多数の小孔4aからなる折り目4は、全ての罫線3aの幅方向の中央部に全長に亘って設けられる。こうして、段ボールシートAに上下折り目形成用ローラ31、32によって幅方向の中央部に折り目4を有する罫線3aを加工したのち、この段ボールシートAを上下クリーサリング11、12に連続的に送り込んで図9に示すように、上側クリーサリング11の押接面11a で段ボールシートAの表ライナa2を受止させた状態にして下側のクリーサリング12の凸円弧状の押圧外周面12a により、上記下側折り目形成用ローラ32の押圧外周面32a によって加工された浅底の罫線3aをさらに押圧して所定深さの罫線3を加工する。
【0046】
このように、予め、上下一対の折り目形成用ローラ31、32における下側の折り目形成用ローラ32によって浅底の罫線3aと共にミシン目状の折り目4を形成したのち、上下一対のクリーサリング11、12における下側のクリーサリング12によってこの浅底の罫線3aをさらに押圧して所定深さの罫線3に加工するので、上記折り目4を変位させることなく所定の罫線折り曲げ位置に保持した状態で且つ罫線部分の裏ライナa3に罫線加工時における急激な引張りによる破れを生じさせることなく罫線3の加工を施すことができる。この罫線加工に引き続いて、上記同様に、罫線加工された段ボールシートAを上下スロッタ軸13、14間に連続的に送り込んで上側スロッタ軸13に装着している切込み刃15、16により上記各罫線3の両端延長方向に切り目4を加工すると共に糊代片8を加工する。
【0047】
この実施の形態においては、上下一対のクリーサリング11、12によって所定深さの罫線3を加工する前に、上下一対の折り目形成用ローラ31、32によって浅底の罫線3aの加工と同時に折り目4を形成しているが、上下一対のクリーサリング11、12によって所定深さの罫線3を加工した後に、上下一対の折り目形成用ローラ31' 、32' によって 折り目4を形成してもよい。
【0048】
図10はその実施の形態を示すもので、この段ボールシート加工機10B は、段ボールシートAに上記罫線3を加工する上下一対のクリーサリング11、12と、上記切り目4を加工する切込み刃15、16を装着している上側スロッタ軸13及びこの上側スロッタ軸13の下方に配した下側スロッタ軸14とを備えている公知の段ボールシート加工機において、罫線加工部である上下一対のクリーサリング11、12の下流側、即ち、この上下一対のクリーサリング11、12と上下スロッタ軸13、14との間に上下一対の上記折り目形成用ローラ31' 、32' を配設している。
【0049】
これらの上下一対の折り目形成用ローラ31' 、32' における上側の折り目形成用ローラ31' は、上記実施の形態における上側の折り目形成用ローラ31と同一形状に形成されてあり、下側の折り目形成用ローラ32' は、上記実施の形態における下側の折り目形成用ローラ32とはその押圧外周面32a'による罫線押圧深さが異なっている以外は同じ形状、構造に形成されている。即ち、この下側の折り目形成用ローラ32' の押圧外周面32a'は、罫線3を加工する下側クリーサリング12の押圧外周面12a と同一形状又はこの押圧外周面12a により罫線加工深さよりも僅かに深くまで罫線3を押圧する形状、構造に形成されてあり、この下側折り目形成用ローラ32' の押圧外周面32a'の中央部、即ち、頂部に周方向に1〜1.5cm 程度の一定間隔毎に先端が先鋭端に形成されているピンからなる穿孔用突起17を突設している。この穿孔用突起17の長さ、即ち、突出高さは、上述したように、加工される罫線3の内底面を貫通してその先端が表ライナa2の内面又は内面近傍部に達する長さ寸法に形成されている。
【0050】
このように構成した段ボールシートの加工機10B に加工前の段ボールシートAをその一方の長辺側の端縁を供給方向に向けた状態にして上下クリーサ軸21、22間に込むと、図11に示すように罫線加工位置に配設されている上下クリーサリング11、12における上側クリーサリング11の押接面11a で段ボールシートAの表ライナa2を受止させた状態にして下側のクリーサリング12の凸円弧状の押圧外周面12a により段ボールシートAの裏ライナa3を表ライナa2側に向かって圧潰し、この裏ライナa3側にその圧潰によって断面U字状に凹んだ直状溝からなる罫線3を加工する。
【0051】
引き続いて、段ボールシートAはこの上下クリーサリング11、12から折り目形成用ローラ31' 、32' 間に供給されると、図12に示すように、段ボールシートAの罫線加工部分がこれらの折り目形成用ローラ31' 、32' によって挟圧されて、上側折り目形成用ローラ31' の平坦な押接面31a'で段ボールシートAの表ライナa2を受止させた状態にして下側の折り目形成用ローラ32' の凸円弧状の押圧外周面32a'が上記下側のクリーサリング12によって加工された罫線3内に嵌入し、該罫線3を押圧外周面32a'によって罫線3を押圧した状態でこの押圧外周面32a'の中央部に突設している穿孔用突起17が罫線3の幅方向の中央部の裏ライナ部分から中芯部分を貫通してこれらの裏ライナ部分と中芯部分とに段ボールシートAの厚み方向の軸線上で上下に重なり合った小孔4a、4aを穿設し、上下折り目形成用ローラ31' 、32' の回転に伴って小孔4a、4aが罫線3の幅方向の中央部に長さ方向に小間隔毎に穿設されてミシン目状の折り目4が形成される。
【0052】
この折り目4の加工に引き続いて、上記同様に、段ボールシートAを上下スロッタ軸13、14間に連続的に送り込んで上側スロッタ軸13に装着している切込み刃15、16により上記各罫線3の両端延長方向に切り目5を加工すると共に糊代片8を加工する。なお、以上の実施例においては、両面段ボールについて説明したが、複両面段ボールやトリウォール段ボールについても本発明を適用することができるのは勿論である。
【符号の説明】
【0053】
A 段ボールシート
a1 中芯
a2 表ライナ
a3 裏ライナ
3 罫線
4 折り目
4a 小孔
10 加工機
11、12 上下クリーサリング
11a 押接面
12a 押圧外周面
17 穿孔用突起
31、32 折り目形成用ローラ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定箇所に複数条の罫線と切り目を加工している段ボールシートにおいて、上記罫線は段ボールシートの裏ライナの所定箇所を一定幅で且つ一定の深さでもって中芯と共に圧潰してなる直状溝からなると共に、この罫線の幅方向の中央部から中芯に亘って小孔を表ライナに貫通させることなく罫線の全長に亘って小間隔毎にミシン目状に穿設することにより、罫線の幅方向の中央部に折り目を形成していることを特徴とする段ボールシート。
【請求項2】
罫線を形成している直状溝は断面凹円弧状溝に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の段ボールシート。
【請求項3】
製函ライン上における罫線加工部に段ボールシートを供給して該段ボールシートの裏ライナ側の所定箇所に一定幅と深さを有する直状溝からなる罫線を施す際に、この罫線と共に該罫線の幅方向の中央部における裏ライナから中芯に至る部分に、表ライナに貫通させることなく多数の小孔を罫線の長さ方向に小間隔毎にミシン目状に穿設して折り目を形成することを特徴とする段ボールシートの罫線加工方法。
【請求項4】
罫線加工部は上下一対のクリーサリングからなると共に段ボールシートの裏ライナ側の所定箇所を溝状に圧潰して罫線を施す下側クリーサリングの外周面中央部に周方向に小間隔毎に穿孔用突起を突設してあり、この穿孔用突起により罫線の形成と同時に罫線の幅方向の中央部に折り目形成用の小孔を罫線の全長に亘って長さ方向に小間隔毎に穿設することを特徴とする請求項3に記載の段ボールシートの罫線加工方法。
【請求項5】
外周面中央部に周方向に小間隔毎に穿孔用突起を突設している折り目形成用ローラを罫線加工部に対する段ボールシート供給側に配設して、罫線加工部によって罫線を加工する前に、該罫線の幅方向の中央部に相当する段ボールシート部分に上記折り目形成用ローラによって小孔を全長に亘って小間隔毎に穿設して折り目を形成することを特徴とする請求項3に記載の段ボールシートの罫線加工方法。
【請求項6】
外周面中央部に周方向に小間隔毎に穿孔用突起を突設している折り目形成用ローラを罫線加工部とスロッタ加工部との間に配設して、罫線加工部によって段ボールシートに罫線を加工したのち、該罫線の幅方向の中央部に上記折り目形成用ローラによって小孔を全長に亘って小間隔毎に穿設して折り目を形成することを特徴とする請求項2に記載の段ボールシートの罫線加工方法。
【請求項7】
断面凹円弧状の直状溝からなる罫線を加工することを特徴とする請求項3乃至請求項6のうち、いずれか1項に記載の段ボールシートの罫線加工方法。
【請求項1】
所定箇所に複数条の罫線と切り目を加工している段ボールシートにおいて、上記罫線は段ボールシートの裏ライナの所定箇所を一定幅で且つ一定の深さでもって中芯と共に圧潰してなる直状溝からなると共に、この罫線の幅方向の中央部から中芯に亘って小孔を表ライナに貫通させることなく罫線の全長に亘って小間隔毎にミシン目状に穿設することにより、罫線の幅方向の中央部に折り目を形成していることを特徴とする段ボールシート。
【請求項2】
罫線を形成している直状溝は断面凹円弧状溝に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の段ボールシート。
【請求項3】
製函ライン上における罫線加工部に段ボールシートを供給して該段ボールシートの裏ライナ側の所定箇所に一定幅と深さを有する直状溝からなる罫線を施す際に、この罫線と共に該罫線の幅方向の中央部における裏ライナから中芯に至る部分に、表ライナに貫通させることなく多数の小孔を罫線の長さ方向に小間隔毎にミシン目状に穿設して折り目を形成することを特徴とする段ボールシートの罫線加工方法。
【請求項4】
罫線加工部は上下一対のクリーサリングからなると共に段ボールシートの裏ライナ側の所定箇所を溝状に圧潰して罫線を施す下側クリーサリングの外周面中央部に周方向に小間隔毎に穿孔用突起を突設してあり、この穿孔用突起により罫線の形成と同時に罫線の幅方向の中央部に折り目形成用の小孔を罫線の全長に亘って長さ方向に小間隔毎に穿設することを特徴とする請求項3に記載の段ボールシートの罫線加工方法。
【請求項5】
外周面中央部に周方向に小間隔毎に穿孔用突起を突設している折り目形成用ローラを罫線加工部に対する段ボールシート供給側に配設して、罫線加工部によって罫線を加工する前に、該罫線の幅方向の中央部に相当する段ボールシート部分に上記折り目形成用ローラによって小孔を全長に亘って小間隔毎に穿設して折り目を形成することを特徴とする請求項3に記載の段ボールシートの罫線加工方法。
【請求項6】
外周面中央部に周方向に小間隔毎に穿孔用突起を突設している折り目形成用ローラを罫線加工部とスロッタ加工部との間に配設して、罫線加工部によって段ボールシートに罫線を加工したのち、該罫線の幅方向の中央部に上記折り目形成用ローラによって小孔を全長に亘って小間隔毎に穿設して折り目を形成することを特徴とする請求項2に記載の段ボールシートの罫線加工方法。
【請求項7】
断面凹円弧状の直状溝からなる罫線を加工することを特徴とする請求項3乃至請求項6のうち、いずれか1項に記載の段ボールシートの罫線加工方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2012−51229(P2012−51229A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−195325(P2010−195325)
【出願日】平成22年9月1日(2010.9.1)
【出願人】(593123638)株式会社新幸機械製作所 (5)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月1日(2010.9.1)
【出願人】(593123638)株式会社新幸機械製作所 (5)
【Fターム(参考)】
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