説明

段ボール箱

【課題】前面の蓋フラップと後面の蓋フラップとの2枚の蓋フラップによって上面の開口を閉塞する蓋付きの段ボール箱において、蓋フラップを閉じる際には、蓋フラップの開きを円滑且つ確実に防止することができ、蓋フラップを開ける際には、蓋フラップの開き防止を簡便に解除できるようにする。
【解決手段】外側面シート81に設けられた引掛け穴83と、基端側が幅狭で先端側が幅広な形状を呈し、蓋フラップ50の左右両側方に突設され、蓋フラップ50を閉じた状態で引掛け穴83に挿入されると外側面シート81と内側面シート82との間に収容されて、引掛け穴83に幅広部分が引っ掛かることで閉じた状態の蓋フラップ50の開きを防止する引掛け片51と、引掛け片51に設けられ、引掛け穴83に引掛け片51を挿入した状態で指を引掛け可能に引掛け穴83から露呈する指掛け52とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、段ボール箱に関するものであり、詳しくは、1枚の段ボールブランクを折り曲げて直方体形状に組立てられた段ボール箱に関するものである。
【背景技術】
【0002】
1枚の段ボールブランクを折り曲げて直方形状に組立てられた段ボール箱としては、箱の底面を形成する底面シートの前方、後方、及び、左右両側方の夫々に、箱の前面を形成する前面シート、箱の後面を形成する後面シート、及び、箱の側面を形成する側面シートが延設されており、底面シートから前面シート、後面シート及び側面シートを立ち上げることで、上面が開口する直方体の箱状に組立てられたものがある。また、この種の段ボール箱では、側面シートが、底面シートから立ち上げられて箱の外側面を形成する外側面シートと、立ち上げられた外側面シートの上方に延設されると共に外側面シートの上端にて箱の内側に折り返されて箱の内側面を形成する内側面シートとを具備するものとして構成されており、しかも、前面シート及び後面シートの夫々の左右両側方に側方フラップが延設されており、外側面シートと内側面シートとの間に側方フラップを挟み込ませることで、前面と側面との組付け及び後面と側面との組付けを堅固な組付けとすることが一般的になされている。
【0003】
そして、このような段ボールの中には、立ち上げられた前面シート及び後面シートの夫々の上方に箱の蓋となる蓋フラップが延設されており、前面シートの蓋フラップと後面シートの蓋フラップとの2枚の蓋フラップにて、上面の開口を閉塞することができるようにした蓋付きのダンボールがある。
【0004】
なお、上記背景技術は、特に文献をあげて例示するまでもない一般的な技術である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような蓋付きの段ボール箱においては、閉じた状態の蓋フラップが不用意に開かないように蓋フラップの開きを防止する手段が、種々、案出されているのであるが、蓋フラップの堅固な開き防止を実現しようとすると、蓋フラップを開ける場合に、開き防止の解除を簡便に行うことができなくなるのが通常である。一方、開き防止を簡便に解除できるようにしようとすると、開き防止の堅固さを損ねてしまうのが通常である。
【0006】
これに対して、蓋フラップを閉じる際には、蓋フラップの開きを円滑且つ確実に防止することができ、蓋フラップを開ける際には、蓋フラップの開き防止を簡便に解除できるようにすることが要望されているのが実情である。
【0007】
本発明は、上記実情を鑑みてなされたものであり、前面の蓋フラップと後面の蓋フラップとの2枚の蓋フラップによって上面の開口を閉塞する蓋付きの段ボール箱において、蓋フラップを閉じる際には、蓋フラップの開きを円滑且つ確実に防止することができ、蓋フラップを開ける際には、蓋フラップの開き防止を簡便に解除できるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために本発明の採った主要な手段は、
「1枚の段ボールブランクを折り曲げて直方体形状に組立てられた段ボール箱であって、
箱の底面を形成する底面シートと、
該底面シートの前方に延設されると共に底面シートから立ち上げられて箱の前面を形成する前面シートと、
前記底面シートの後方に延設されると共に底面シートから立ち上げられて箱の後面を形成する後面シートと、
立ち上げられた前記前面シート及び前記後面シートの夫々の上方に延設されて開閉自在な箱の蓋を形成する蓋フラップと、
前記前面シート及び前記後面シートの左右両側方に延設された側方フラップと、
前記底面シートの左右両側方に延設されると共に底面シートから立ち上げられて箱の外側面を形成する外側面シートと、
立ち上げられた前記外側面シートの上方に延設されると共に外側面シートの上端にて箱の内側に折り返されて、外側面シートとで前記側方フラップを挟み込んで箱の内側面を形成する内側面シートと、
前記外側面シートに設けられた引掛け穴と、
基端側が幅狭で先端側が幅広な形状を呈し、前記蓋フラップの左右両側方に突設され、蓋フラップを閉じた状態で前記引掛け穴に挿入されると前記外側面シートと前記内側面シートとの間に収容されて、前記引掛け穴に幅広部分が引っ掛かることで閉じた状態の蓋フラップの開きを防止する引掛け片と、
該引掛け片に設けられ、前記引掛け穴に引掛け片を挿入した状態で指を引掛け可能に引掛け穴から露呈する指掛けと
を備えることを特徴とする段ボール箱」
である。
【0009】
まず、本発明に係る段ボール箱は、側面が外側面シートと内側面シートとで形成され、上面の開口が前面の蓋フラップと後面の蓋フラップとの2枚の蓋フラップによって閉塞できるようにした直方体形状の蓋付きのダンボール箱を対象とするものである。
【0010】
そして、本発明に係る段ボール箱では、蓋フラップを閉じた状態において、蓋フラップに設けられた引掛け片を外側面シートに設けられた引掛け穴に挿入するといった簡便な作業によって、蓋フラップの開きを防止するのであるが、外側面シートと内側面シートとは、夫々の間に前面シート及び後面シートの側方フラップを挟み込むものであり、外側面シートと内側面シートとの間には、引掛け穴から挿入された引掛け片を収容する十分な空間が確保されている。よって、本発明に係る段ボール箱では、引掛け穴に引掛け片を円滑に挿入することができ、蓋フラップの開きを円滑に防止することができる。
【0011】
なお、引掛け穴は、外側面シートに穿設されたものであり、内側面シートには貫通しないものである。よって、引掛け穴に引掛け片を挿入しても、段ボール箱の内側に引掛け片が突出することはなく、段ボール箱に収容された収容物に引掛け片が当たったり、引掛け片を挿入する際に収容物が引掛け片によって押し潰されたりするといったような不具合は生じない。
【0012】
また、引掛け片は、基端側が幅狭で先端側が幅広の形状を呈しており、引掛け穴に挿入されて外側面シートと内側面シートとの間に収容された状態では、幅広部分が引掛け穴に引っ掛かり、引掛け穴から引掛け片が抜けることが防止される。よって、本発明に係る段ボール箱では、引掛け穴から引掛け片が抜けることを確実に防止することができ、蓋フラップの開きを確実に防止することができる。
【0013】
一方、蓋フラップを開ける場合には、引掛け穴から引掛け片を抜くのであるが、引掛け片には、指を引掛け可能な指掛けが設けられており、この指掛けは、引掛け穴に引掛け片を挿入した状態において、引掛け穴から露呈している。よって、本発明に係る段ボール箱では、指掛けに指を引掛けて引掛け穴から引掛け片を抜くといった簡便な作業によって、蓋フラップの開き防止を解除することができる。
【0014】
上述した手段において、
「前記前面シートの側方フラップと前記後面シートの側方フラップとは、前記外側面シートと前記内側面シートとの間において互いに重なり合うものであり、
各側方フラップには、前記外側面シートの前記引掛け穴に連通する逃がしが設けられている
ことを特徴とする段ボール箱」
とするのが好適である。
【0015】
上記構成の段ボール箱では、外側面シートと内側面シートとで挟み込まれる前面の側方フラップと後面の側方フラップとが互いに重なり合うものであるため、外側面シートと内側面シートとの間に形成される引掛け片の収容空間として、十分に大きな収容空間を確保することができる。よって、引掛け穴に引掛け片をより円滑に挿入することができる。
【0016】
上述した手段において、さらに、
「内側の側方フラップまたは外側の側方フラップの少なくとも一方の逃がしは、前記引掛け穴の下部に連通するものの上部には連通しない形状を呈する
ことを特徴とする段ボール箱」
とするのが好適である。
【0017】
上記構成の段ボール箱では、引掛け穴の上部に、少なくとも内側の側方フラップまたは外側の側方フラップが存在することになり、引掛け穴の上部に存在する側方フラップが、引掛け片の先端部分を斜めして引掛け穴の下部に挿入する際の案内となる。よって、引掛け穴に引掛け片を、より一層、円滑に挿入することができる。
【発明の効果】
【0018】
上述した通り、本発明に係る段ボール箱では、前面の蓋フラップと後面の蓋フラップとの2枚の蓋フラップによって上面の開口を閉塞する蓋付きの段ボール箱において、蓋フラップを閉じる際には、蓋フラップの開きを円滑且つ確実に防止することができ、蓋フラップを開ける際には、蓋フラップの開き防止を簡便に解除できるようにすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明に係る段ボール箱の実施形態としての一例を、以下、図面に従って詳細に説明する。
【0020】
図1に示すように、本例の段ボール箱1は、箱の底面を形成する底面シート20、箱の前面を形成する前面シート30、箱の後面を形成する後面シート40及び箱の側面を形成する側面シート80を有する1枚の段ボールブランクを折り曲げて、上面が開口する直方体形状に組立てられたものである。また、本例の段ボール箱1では、側面シート80が外側面シート81と内側面シート82とを具備するものとして構成されており、側面の外側面は外側面シート81によって形成され、側面の内側面は内側面シート82によって形成されている。なお、本例の段ボール箱1は、ネギ、ニラ、ゴボウ、ナガイモ等の野菜や、生花といった長尺状の収容物を収容するものであり、幅寸法が奥行き寸法の3〜7倍となった横長のものである。
【0021】
また、本例の段ボール箱1は、前面シート30及び後面シート40の夫々の上部に蓋フラップ50が延設されており、前面の蓋フラップ50と後面の蓋フラップ50との2枚の蓋フラップ50によって、上面の開口を閉塞することができるものである。なお、本例の段ボール箱1は、野菜や生花等の生鮮品を収容するものであり、蓋フラップ50を閉じた状態において、前面の蓋フラップ50と後面の蓋フラップ50とが当接したり重なったりすることがなく、前面の蓋フラップ50と後面の蓋フラップ50とに間隙が確保されるようにして、箱の内部に新鮮な空気が取り入れられる構想となっている。また、前面及び後面の各蓋フラップ50は、左右両端部分よりも中央部分の長さが短くなるように、先端部分が半長円状に切り欠かれており、各蓋フラップ50間の中央部分の大きな間隙を通じて、箱の内部に空気がより良好に取り入れられる構造となっている。
【0022】
また、本例の段ボール1は、前面及び後面の各蓋フラップ50の左右両側に突設された引掛け片51と、側面シート80、より具体的には外側面シート81に穿設された引掛け穴83と具備するものであり、蓋フラップ50を閉じた状態で引掛け穴83に引掛け片51を挿入することで、蓋フラップ50を閉じ状態で固定して、蓋フラップ50の不用意な開きを防止することができるものとなっている。
【0023】
さらに、本例の段ボール1では、手を差し入れて段ボール箱1を持つことができるように、適宜箇所に手掛け穴11が、段ボール箱1の外面から内面に渡って貫通状に穿設されている。具体的には、左右両側面の中央部分、前面及び後面の左右両端部分の合計6箇所に手掛け穴11が穿設されている。
【0024】
次に、図1に示した段ボール箱1の元となる段ボールブランクの詳細、並びに、段ボールブランクを折り曲げて段ボール箱1を組立てる手順の詳細を説明する。
【0025】
図2に、段ボール原紙から所望形状に裁断されると共に、適宜箇所に折り曲げの案内となる罫線(図2における点線)が設けられた段ボールブランク10の展開図を示す。
【0026】
この段ボールブランク10では、箱の底面を形成する底面シート20が中央部分に配置されている。そして、底面シート20の前方には、箱の前面を形成する前面シート30が延設されており、前面シート30のさらに前方には、前面の蓋フラップ50が延設されている。また、底面シート20の後方には、箱の後面を形成する後面シート40が延設されており、後面シート40のさらに後方には、後面の蓋フラップ50が延設されている。さらに、底面シート20の左右両側方には、箱の側面を形成する側面シート80が延設されている。ここで、側面シート80は、底面シート20側から、順次、外側面シート81及び内側面シート82が延設されてなるものである。
【0027】
前面シート30及び後面シート40の夫々の左右両側方には、側方フラップ60,70が延設されている。ここで、側方フラップ60,70は、外側面シート81と内側面シート82との間に挟み込まれるものであり、特に、本例では、前面シート30に延設された側方フラップ60,70及び後面シート40に延設された側方フラップ60,70は、相互に重ね合わされるものとなっており、外側に配置される側方フラップ60及び内側に配置される側方フラップ70は、異なる形態となっている。よって、以下では、外側に配置される側方フラップ60を側方外フラップ60と称し、内側に配置される側方フラップ70を側方内フラップ70と称することで、夫々を区別することとする。
【0028】
前面シート30及び後面シート40に延設された各蓋フラップ50の左右両側には、基端側が幅狭で先端側が幅広の形状を呈する、具体的には、L字形状を呈する引掛け片51が突設されており、各引掛け片51の先端には、円弧状に切り欠かれてなる指掛け52が設けられている。一方、外側面シート81には、前面の蓋フラップ50及び後面の蓋フラップ50の各引掛け片51に対応する部位である上部(立ち上げられた状態においての上部)の左右2箇所に、上部が幅狭で下部が幅広の形状を呈し、具体的にはL字形状を呈し、蓋フラップ50の引掛け片51を挿入可能な引掛け穴83が穿設されている。
【0029】
側方内フラップ70の側部(立ち上げられた状態においての側部)には、立ち上げ可能な鳩尾状の固定片72が設けられている。一方、側方外フラップ60には、側方内フラップ70の固定片72に対応する部位に、固定片72を挿入可能な台形状の固定穴62が穿設されている。
【0030】
内側面シート82の先端中央(立ち上げられた状態においての下端中央)には、係止突起84が設けられており、内側面シート82の先端側方(立ち上げられた状態においての下端側方)には、円弧状に切り欠かれてなり、指を引掛け可能な指掛け86が設けられている。一方、底面シート20の左右両端には、内側面シート82の係止突起84を挿入可能な係止穴85が穿設されている。
【0031】
また、前面シート30、後面シート40、外側面シート81、内側面シート82及び側方外フラップ60には、夫々、手掛け穴11が設けられている。
【0032】
さらに、側方内フラップ70の上部(立ち上げられた状態においての上部)には、外側面シート81の引掛け穴83及び手掛け穴11に対応する部位に、引掛け穴83及び手掛け穴11を逃がす逆凸形状の逃がし71が設けられており、側方内フラップ60の上部(立ち上げられた状態においての上部)の左右2箇所には、外側面シート81の引掛け穴83に対応する部位に、引掛け穴83を逃がす横長方形状の逃がし61が設けられている。
【0033】
このような段ボールブランク10を折り曲げて段ボール箱1を組立てるためには、まず、図3に示すように、前面シート30及び後面シート40を底面シート20から立ち上げて、前面シート30の側方内フラップ70を内側に折り曲げる(図3の矢印A)。次に、図4に示すように、後面シート40の側方外フラップ60を内側に折り曲げて(図4の矢印B)、前面シート30の側方内フラップ70と後面シート40の側方外フラップ60とを重ね合わせる。この時、側方内フラップ70に設けられた固定片72を内側から指で押して立ち上げて、側方外フラップ60に設けられた固定穴62に固定片72の先端部分を押し込むと、台形状の固定穴62に鳩尾状の固定片72が係止されて(図5参照)、重ね合わされた側方内フラップ70及び側方外フラップ60が相互に固定される。
【0034】
次に、図5に示すように、外側面シート81を底面シート20から立ち上げ(図5の矢印C)、立ち上げた外側面シート81の上端にて内側面シート82を内側に折り返し(図5の矢印D)、外側面シート81と内側面シート82との間に、互いに重ね合わされた後面シート40の側方外フラップ60及び前面シート30の側方内フラップ70を挟み込んで、4枚のシートにより構成された頑丈な側面を形成する。この時、内側面シート82の係止突起84を底面シート20の係止穴85に挿入すると、係止穴85に係止突起84が係止されて、折り返された内面シート82が底面シート20に固定される。このようにして、図6に示すように、上面が開口する直方体形状の段ボール箱1が組立てられる。
【0035】
なお、上述の説明は、段ボール箱1の右側の側面を形成する状態を示すが、左側の側面を形成する場合においては、後面シート40に側方内フラップ70が延設され、前面シート30に側方外フラップ60が延設されていることから、上述の説明において、「前面シート30の側方内フラップ70」を「後面シート40の側方内フラップ70」に、「後面面シート40の側方外フラップ60」を「前面シート30の側方外フラップ60」に、夫々、読み替えればよい。
【0036】
ところで、外側面シート81には、上部の左右の2箇所に引掛け穴83が設けられているのであるが、図5及び図6に示すように、側方内フラップ70には、引掛け穴83に連通する逃がし71が設けられており、側方外フラップ60にも、引掛け穴83に連通する逃がし61が設けられている。これにより、外側面シート81と内側面シート82との間には、引掛け穴83に通じる空間が確保される。ここで、側方内フラップ70の逃がし71が大きく形成されているのに対して、側方外フラップ60の逃がし61は、小さく形成されており、引掛け穴83の下部には連通するものの上部には連通せず、引掛け穴83の上部に側方外フラップ60の一部が存在して露呈するようにしてある。
【0037】
また、側方外フラップ60の手掛け穴11、外側面シート81の手掛け穴11及び内側面シート82の手掛け穴11は、側方外フラップ60、外側面シート81及び内側面シート82が重ね合わされた状態で相互に合致する位置に設けられており、これにより、3枚のシートにより構成された頑丈な手掛け穴が形成される。なお、側方内フラップ70は、手掛け穴11に対応する部分が逃がし71によって逃がされている。
【0038】
上述のように組立てられた段ボール箱1に収容物を収容した後には、図6に示すように、前面及び後面の各蓋フラップ50を閉じるのであるが(図6の矢印E)、本例の段ボール箱1では、蓋フラップ50を閉じた後に、図7に示すように、側面シート80の引掛け穴83に各蓋フラップ50の引掛け片51を挿入することで(図7の矢印F)、蓋フラップ50が不用意に開かないように固定することができる。具体的に、引掛け片51の先端部分を、引掛け穴83を通じて外側面シート81の裏側に潜り込ませて、引掛け片51を外側面シート81と内側面シート82との間に収容させると、引掛け片51の幅広となった部分が引掛け穴83の上部に引っ掛かって蓋フラップ50が上方に回動することを規制し、これにより、蓋フラップ50の開きが防止される。また、引掛け穴83に挿入された引掛け片51は、先端部分と、幅広となった部分の基端側の角部とが、外側面シート81の裏側に隠蔽される。よって、引掛け穴83から引掛け片51が不用意に抜けることはなく、引掛け穴83に引掛け片51が挿入された状態が維持される。
【0039】
ここで、本例においては、外側面シート81と内側面シート82との間に、互いに重なり合った側方外フラップ60及び側方内フラップ70を挟み込んだ分だけ、引掛け片51の十分な収容空間が形成されており、引掛け穴83に引掛け片51を挿入する作業を円滑に行うことができる。また、引掛け穴83の上部には、側方外フラップ60の一部が存在するため、例えば、引掛け穴83の表面に引掛け片51を位置させて引掛け片51を押すと、引掛け穴83の上部に存在する側方外フラップ60が引掛け片51の基端部分を支える土台となって、引掛け片51の先端部分だけが内側に向かって斜め変形して、引掛け片51の先端部分が外側面シート81の裏側に潜り込む。よって、この点においても、引掛け穴83への引掛け片51の挿入作業を円滑に行うことができる。
【0040】
一方、閉じた蓋フラップ50を開ける場合には、挿入した引掛け片51を引掛け穴83から抜けばいいのであるが、引掛け片51には、引掛け穴83から露呈する指掛け52が設けられている。よって、この指掛け52に指を掛けて引掛け片51を引っ張れば、引掛け穴83から引掛け片51を良好に抜くことができ、蓋フラップ50の開き防止を簡便に解除することができる。
【0041】
なお、本例の段ボール箱1は、使用後に組付け部分をばらすことで1枚の段ボールブランク1に戻すことができるものであるが、底面シート20の係止穴85に係止突起84を係止させることで内側に折り返された状態で固定された内側面シート82の折り返しを戻す場合には、内側面シート82の下端に設けられた指掛け86に指を掛けて内側面シート82を引っ張ることで、係止穴85による係止突起84の係止を円滑に解除することができ、内側面シート82の折り返しを簡便に戻すことができる。また、固定穴62に固定片72を係止させることで互いに重なり合った状態で固定された側方内フラップ70及び側方外フラップ60の固定を解除する場合には、固定穴62に挿入された固定片72を外側から指で押せば、固定穴62から固定片72を円滑に抜くことができ、固定穴62による固定片72の係止を簡便に解除することができる。よって、本例の段ボール箱1では、各部位の堅固な組付け状態を実現できる一方で、ばらしを簡便に行うことができるものとなっている。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明に係る段ボール箱の一例を示す斜視図である。
【図2】図1に示した段ボール箱の段ボールブランクの展開図である。
【図3】段ボール箱を組立てる状態を示す要部斜視図である。
【図4】段ボール箱を組立てる状態を示す要部斜視図である。
【図5】段ボール箱を組立てる状態を示す要部斜視図である。
【図6】蓋フラップを閉じる状態を示す要部斜視図である。
【図7】蓋フラップの開きを防止する状態を示す要部斜視図である。
【符号の説明】
【0043】
1 段ボール箱
10 段ボールブランク
20 底面シート
30 前面シート
40 後面シート
50 蓋フラップ
51 引掛け片
52 指掛け
60 側方フラップ(側方内フラップ)
61 逃がし
62 固定穴
70 側方フラップ(側方外フラップ)
71 逃がし
72 固定片
80 側面シート
81 外側面シート
82 内側面シート
83 引掛け穴
84 係止突起
85 係止穴
86 指掛け

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1枚の段ボールブランクを折り曲げて直方体形状に組立てられた段ボール箱であって、
箱の底面を形成する底面シートと、
該底面シートの前方に延設されると共に底面シートから立ち上げられて箱の前面を形成する前面シートと、
前記底面シートの後方に延設されると共に底面シートから立ち上げられて箱の後面を形成する後面シートと、
立ち上げられた前記前面シート及び前記後面シートの夫々の上方に延設されて開閉自在な箱の蓋を形成する蓋フラップと、
前記前面シート及び前記後面シートの左右両側方に延設された側方フラップと、
前記底面シートの左右両側方に延設されると共に底面シートから立ち上げられて箱の外側面を形成する外側面シートと、
立ち上げられた前記外側面シートの上方に延設されると共に外側面シートの上端にて箱の内側に折り返されて、外側面シートとで前記側方フラップを挟み込んで箱の内側面を形成する内側面シートと、
前記外側面シートに設けられた引掛け穴と、
基端側が幅狭で先端側が幅広な形状を呈し、前記蓋フラップの左右両側方に突設され、蓋フラップを閉じた状態で前記引掛け穴に挿入されると前記外側面シートと前記内側面シートとの間に収容されて、前記引掛け穴に幅広部分が引っ掛かることで閉じた状態の蓋フラップの開きを防止する引掛け片と、
該引掛け片に設けられ、前記引掛け穴に引掛け片を挿入した状態で指を引掛け可能に引掛け穴から露呈する指掛けと
を備えることを特徴とする段ボール箱。
【請求項2】
前記前面シートの側方フラップと前記後面シートの側方フラップとは、前記外側面シートと前記内側面シートとの間において互いに重なり合うものであり、
各側方フラップには、前記外側面シートの前記引掛け穴に連通する逃がしが設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載の段ボール箱。
【請求項3】
内側の側方フラップまたは外側の側方フラップの少なくとも一方の逃がしは、前記引掛け穴の下部に連通するものの上部には連通しない形状を呈する
ことを特徴とする請求項2に記載の段ボール箱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−107717(P2009−107717A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−284707(P2007−284707)
【出願日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【出願人】(598056331)村瀬段ボール株式会社 (2)
【Fターム(参考)】