説明

殺菌処理装置

【課題】細菌を含む流体の磁気処理化を円滑に行い、殺菌処理を確実に行うことができる殺菌処理装置を提供する。
【解決手段】活水分子の分子凝集力によりコロニー状の集団となっている処理流体11(湯水31)としての水の水分子が、磁気処理装置Aによる磁界の印加により活性化し、分子運動が増大することにより、水分子の集団がくずれて水分子の微細化が起こり、水の表面張力を下げて強い浸透作用を有するようになり、処理流体11(湯水31)に含まれる大腸菌,レジオネラ菌等の細菌を死滅させる一方、外側管体40Aと内側管体40Bを構成する2種類の非鉄金属の間に生じる起電力(電位差)に基づく直流電流で細菌の細胞を破壊し、細菌の種類や耐性菌等を問わず、例外なく殺菌するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は磁気処理によって流動体、例えば飲料水、食品類、浴場の湯水等の中に生存する大腸菌等の細菌を殺菌する殺菌処理装置に関する。
〔従来の技術〕
【0002】
大腸菌は便中に含まれ、食品、飲料水などに存在すると食中毒の原因になり、浴場、特に公衆浴場の静水やプールの水に存在して口から人体に入ると、下痢などの症状をおこすことがあり、健康を害する原因になっている。そのために、他の人体に有害な菌と同様に、殺菌して口から人体内に人らないように種々の方策がとられている。
【0003】
この殺菌の代表的なものに塩素などの薬品を使用し、化学的に処理する方法があり、この塩素を使用した殺菌は、水道水の消毒やプールの消毒などに広く適用されている。しかし、薬品を使用すると、例えば日本酒の醸造などでは、発酵の元となる酵母菌も殺菌することになるので、これらの用途には使用することができない。
【0004】
また、従来の殺菌処理の方法として、例えば、特許文献1に示される技術が提案してある。この従来技術は主に大腸菌の殺菌方法に関する技術であり、処理液体を少なくとも磁束密度3000ガウス(0.3テスラ)以上の磁界内を0.4m/秒以上の流速で通過させて磁気処理することにより、処理液体に含まれる大腸菌を殺菌するようにしたものである。
【0005】
上述した従来技術の殺菌方法の実施に用いられる磁気殺菌装置の概略構成を図8に示す。この磁気殺菌装置は、大腸菌を含む処理液体1を入れる容器2と、この容器2から処理液体1を吸引し、容器2に排出する循環経路3と、この循環経路3の途中に設けた強制循環ポンプ4と、この強制循環ポンプ4を駆動するモータ5と、循環経路3中に配設され、且つ循環経路3中を流動する処理液体1を殺菌する磁気処理装置7とを備えている。
【0006】
この磁気処理装置7は、永久磁石8と、この永久磁石8のN極及びS極にそれぞれ接合させた磁極ピース9、10とから成っている。磁極ピース9、10の先端部間の磁気作用路6を通過するように上述した循環経路3の一部が配置してある。そして、磁気作用路6のギャップを調整することにより、磁束密度を変えることができるようにしてある。
【0007】
しかしながら、上記した従来の磁気処理装置7にあっては、磁極ピース9、10を向かい合わせることで磁気作用路6を形成して、この磁気作用路6に磁場を発生させるようにしてあるが、実際には誘導極となる磁極ピース9が磁気を誘導することが少なく、永久磁石8からの磁力線は磁極ピース9に向かってわずかしか走らず、しかも、磁気漏れを起こしやすく、処理液体1の磁気処理化が円滑に行われないし、しかも、磁気作用路6に配置される循環経路3の一部は単管であるために、細菌を死滅させる電流の発生は、ほとんど無いに等しい。
【0008】
本出願人は、先に、特許文献2において、被処理流体を直角に貫く磁気力が強く、また、磁力線の漏洩がほとんど無く、流体の磁気処理化を円滑に行うことができて、特に、安全性の向上を図った磁気処理装置を提供した。
【0009】
この磁気処理装置は、被処理流体の流れに対して直角方向の磁界を形成する一対の永久磁石を備えた磁気処理装置において、一方の永久磁石を磁性体製の一方の磁石保持ケースに収容した一方の磁気処理体と、他方の永久磁石を磁性体製の他方の磁石保持ケースに収容し且つこの他方の磁石保持ケースに一方の磁石保持ケースをその合せ目において磁気吸着させて一方の磁気処理体に接続される他方の磁気処理体とを備え、一方及び他方の磁石保持ケースの合せ目に被処理流体が流動する管体を挟み込む管体挟込み部を設けると共に、合せ目において互いに磁気吸着した一方及び他方の磁石保持ケースを磁気回路の一部にしたものである。
【特許文献1】特開平3−267194号公報
【特許文献2】特開平11−309462号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記した磁気処理装置は、液体燃料の流れを磁界に晒すために、この液体燃料を流す接続管を使用している。本出願人は、鋭意研究の結果、この接続管として、非磁性体であってイオン化傾向の大きい物質もしくはイオン化傾向の小さい物質を素材した非鉄金属で製造された内外二つの管体を使用することによって、液体燃料の改質を見出すと共に、より液体分子の細分化を実現した。
【0011】
そして、この磁気処理装置における液体分子の細分化と起電力の発生を、殺菌処理装置に応用することで、流体(処理液体、湯水)に含まれる細菌を死滅させることができることを見出した。
【0012】
本発明は、このような観点からなされたものであって、その目的とするところは、細菌を含む流体(処理液体、湯水)の磁気処理化を円滑に行い、殺菌処理を確実に行うことができる殺菌処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の目的を達成するために、本発明に係る殺菌処理装置は、細菌を殺菌処理する殺菌処理手段を有する殺菌処理装置であって、殺菌処理手段は、細菌を含む流体の流動管路に、所定の流速で流動する流体に対して直角な磁界を形成して流体に磁界を印加し、且つ起電力を発生させて細菌を殺菌する磁気処理装置を設けて構成してあることを特徴とする。
【0014】
かかる構成により、磁気処理装置により、流体(処理液体、湯水)に含まれる細菌に磁気力を与えることによって、この所定の流速で流動する流体に対して直角な磁界を形成し流体に磁界を印加し、且つ起電力に基づく直流電流で細菌を確実に死滅させることができる。
【0015】
すなわち、活水分子の分子凝集力によりコロニー状の集団となっている流体としての水の水分子が、磁界の印加により活性化し、分子運動が増大して活発になることにより、水のクラスターの微細化(水分子の集団がくずれてバラバラとなり、いわゆる水分子の微細化)が起こる。この水分子の微細化したものは、水の表面張力を下げ、強い浸透作用を有しており、殺菌処理には、非常に利用価値の高い機能を有するものとなる。
【0016】
また、磁気処理装置によれば、特に、流体には起電力に基づく直流電流を流すことができて水中の細菌の細胞の浸透圧調整機能に障害を与え、ついには、死滅させることができる。一般に、細胞分裂や細胞膜の浸透圧の調整等の重要な働きは、細胞内の非常に微弱な電気信号(パルス)によって制御されているために、細菌の細胞膜が直流電流の直撃を受けると、パルスによる命令系統に異常が生ずることによる。これによって、全ての細菌の細胞を最終的に死滅させることができる。これは、薬品は使用せず、物理的な殺菌方法であるために、細菌の種類や耐性菌等を問わず例外なく殺菌することができる。
【0017】
なお、細菌とは、一般細菌としての大腸菌の他に、レジオネラ菌、サルモネラ菌、黄色ブドウ球菌等を含むものである。
【0018】
また、本発明に係る殺菌処理装置は、上記した本発明に係る殺菌処理装置において、磁気処理装置は、一方の異方性磁気体を収容した磁性体製の一方の磁石保持ケースと、他方の異方性磁気体を収容した磁性体製の他方の磁石保持ケースとを有し、一方の磁石保持ケースと他方の磁石保持ケースとを、それぞれの合せ目において互いに磁気吸着させて枠体を構成して、この枠体で磁気誘導回路を構成させると共に、一方の磁石保持ケースと他方の磁石保持ケースとで、流動管路に接続されて流体が流動する非磁性体製の接続管を挟み込み、一方の異方性磁気体と他方の異方性磁気体とにより形成される磁界が、接続管に対して直交しており、一方の異方性磁気体と他方の異方性磁気体との磁極間において流体の流れに対して直角な磁界を形成し、且つ起電力を発生させて細菌を殺菌するようにしたことを特徴とする。
【0019】
かかる構成により、一方の異方性磁気体と他方の異方性磁気体との磁極間に、例えば4000ガウスから8000ガウスの磁界の磁気を接続管に印加することで、接続管において外側管体と内部管体との間に起電力を発生させ、流体(例えば、毎秒1.0m以下の流速)に起電力に基づく直流電流を流すことができて、細菌の細胞の浸透圧調整機能に障害を与え、ついには、死滅させることができる。一般に、細胞分裂や細胞膜の浸透圧の調整等の重要な働きは、細胞内の非常に微弱な電気信号(パルス)によって制御されているために、細菌の細胞膜が、強力な誘導電流の直撃を受けると、パルスによる命令系統に異常が生ずることによる。これによって、全ての細菌の細胞を最終的に死滅させることができる。これは、薬品は使用せず、物理的な殺菌方法であるために、細菌の種類や耐性菌等を問わず、例外なく殺菌することができる。
【0020】
また、本発明に係る殺菌処理装置は、上記した本発明に係る殺菌処理装置において、接続管が、非鉄金属からなる外側管体と、この外側管体の内部に収容され且つ外側管体の内壁部との間に、接続管の入口側から出口側に抜ける流路を形成し且つ外側管体と異なる非鉄金属からなる内側管体とで構成してあり、外部管体と内部管体との間には、二種類の非鉄金属のそれぞれが有する電位(水素が0V基準の標準電位)の差(電位差)が存在することを特徴とする。
【0021】
また、本発明に係る殺菌処理装置は、上記した本発明に係る殺菌処理装置において、外側管体が、単極電位がプラス電位の一価と三価の物理化学的性質を有する非鉄金属管で構成されており、内側管体が、単極電位がマイナス電位の物理化学的性質を有する非鉄金属管で構成されていることを特徴とする。
【0022】
また、本発明に係る殺菌処理装置は、上記した本発明に係る殺菌処理装置において、二種類の非鉄金属が、金(Au)とチタン(Tl)の場合、プラチナ(Pt)とチタン(Ti)の場合のいずれか一つであることを特徴とする。
【0023】
かかる構成により、二種類の非鉄金属のそれぞれが有する電位(水素が0V基準の標準電位)の差(電位差)を確実に発生させることができる。このために、全ての細菌の細胞を最終的に死滅させることができ、特に、細菌の種類や耐性菌等を問わず、例外なく殺菌することができる。
【0024】
また、本発明に係る殺菌処理装置は、上記した本発明に係る殺菌処理装置において、外側管体の押潰し量により流路の断面積を変えるようにしたことを特徴とする。
【0025】
かかる構成により、外側管体の押潰し量により流路の断面積を変えることで、流路を流れる流体の流速を変えて、上記した磁界による起電力を変化させ、より確実に細菌を死滅することができる。
【0026】
また、本発明に係る殺菌処理装置は、上記した本発明に係る殺菌処理装置において、磁石保持ケースの角部に、曲げ角度が56度以上のアールを形成したものである。
【0027】
かかる構成により、磁石保持ケースの角部に、曲げ角度が56度以上のアールを形成した磁気処理装置は、磁気漏れの無い強力な磁気誘導閉回路を実現することができて、細菌の死滅に寄与することができる。ここで、磁気誘導閉回路とは、磁界が保持ケースの外部に存在しない回路のことを言う。
【0028】
また、本発明に係る殺菌処理装置は、上記した本発明に係る殺菌処理装置において、殺菌処理手段が、浴槽における湯水の殺菌処理手段、食品産業等の殺菌処理手段を含むことを特徴とする。
【0029】
かかる構成により、浴槽における湯水の殺菌処理手段、食品産業等の殺菌処理手段において、磁気処理装置により湯水、処理水に磁気力を与えることによって、この所定の流速で流動する湯水、処理水のクラスターを磁気力により微細化して、また、起電力に基づく直流電流の発生により湯水、処理水に含まれる細菌を確実に死滅させることができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明に係る殺菌処理装置によれば、活水分子の分子凝集力によりコロニー状の集団となっている流体としての水の分子が、磁界の印加により活性化して分子運動が増大し、活発になることにより、クラスターの微細化(水分子の集団がくずれてバラバラとなり、いわゆる水分子の微細化)が起こる。この水分子の微細化したものは、水の表面張力を下げ、強い浸透作用を有しており、殺菌処理には、非常に利用価値の高い機能を有するものとなる。
【0031】
特に、流体には、磁気処理装置により起電力に基づく直流電流を流すことができて、水中の細菌の細胞の浸透圧調整機能に障害を与え、ついには、死滅させることができる。一般に、細胞分裂や細胞膜の浸透圧の調整等の重要な働きは、細胞内の非常に微弱な電気信号(パルス)によって制御されているために、細菌の細胞膜が強力な誘導電流の直撃を受けると、パルスによる命令系統に異常が生ずることによる。これによって、全ての細菌の細胞を最終的に死滅させることができる。これは、薬品は使用せず、物理的な殺菌方法であるため、特に、細菌の種類や耐性菌等を問わず、例外なく殺菌することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
次に、本発明に係る殺菌処理装置の実施の形態を、図面に基づいて説明する。
【0033】
図1は、本発明に係る殺菌処理装置の概略構成図である。この殺菌処理装置は、処理対象となる大腸菌などの細菌を含んだ流体(以下、処理液体と称する)11を入れる容器12と、この容器12から処理液体11を吸引し、容器12に排出する循環経路13と、この循環経路13に設けられて処理液体11を循環させるポンプ14と、循環経路13に設けられた磁気処理装置Aとから基本的に構成されており、ポンプ14は駆動モータ15により駆動されるものである。
【0034】
すなわち、循環経路13は、ポンプ14の吸込み側に接続された吸液管17と、ポンプ14の吐出側に接続された流動管路としての送液管16とを有しており、この送液管16に磁気処理装置Aを設けることで殺菌処理手段が構成してある。この磁気処理装置Aが有する外側管体40Aの両側部にはジョイント部49が設けてあり、これらのジョイント部49を用いて、磁気処理装置Aが送液管16の接続端末16Aに接続してある(図6参照)。
【0035】
磁気処理装置Aは、図2に示すように、一方の磁気処理体41と、他方の磁気処理体42と、接続管40とで構成してある。一方の磁気処理体41と他方の磁気処理体42とは同構成である。この一方の磁気処理体41は、図4に示すように、軟鉄材料から成るボックス形状の一方の磁石保持ケース43を有しており、この磁石保持ケース43は、底面部43Aと左、右面部43B、43Cと前、後面部43D、43Eとを有している。また、前、後面部43D、43Eの辺縁部には半円状の溝部46が形成してある。
【0036】
そして、磁石保持ケース43の底面部43Aの内面には、一方の異方性磁気体である永久磁石47が固着してあり、また、磁石保持ケース43内には、非磁性材料である合成樹脂、例えばエポキシ樹脂より成る充填材48が充填してあり、この充填材48の中央に永久磁石47が表出している。この場合、磁石保持ケース43の角部は、曲げ角度が56度以上のアールにしてあり、磁気漏れを防ぐようにしてある。永久磁石47は角形直方体である。
【0037】
他方の磁気処理体42は、軟鉄材料から成るボックス形状の他方の磁石保持ケースである磁石保持ケース43−1を有しており、この磁石保持ケース43−1は、底面部43A−1と左、右面部43B−1、43C−1と前、後面部43D−1、43E−1とを有している。また、前、後面部43D−1、43E−1の辺縁部には半円状の溝部46−1が形成してある。
【0038】
そして、磁石保持ケース43−1の底面部43A−1の内面には、他方の異方性磁気体である永久磁石47−1が固着してあり、また、磁石保持ケース43−1内には、非磁性材料である合成樹脂、例えばエポキシ樹脂より成る充填材48−1が充填してあり、この充填材48−1の中央に永久磁石47−1が表出している。この場合、磁石保持ケース43−1の角部は、曲げ角度が56度以上のアールにしてあり、磁気漏れを防ぐようにしてある。永久磁石47−1は角形直方体である。
【0039】
そして、磁気処理装置Aは、一方の磁気処理体41と他方の磁気処理体42とを、処理液体11を流す非磁性体で製作された接続管40を挟んだ状態で互いに連結して構成される。
【0040】
すなわち、図3に示されるように、一方の磁気保持ケース43と他方の磁気保持ケース43−1とは、相互の磁力により合体し、溝部46、46−1により、接続管40が挿入される開口を形成する。接続管40は、図2に示すように、非磁性体により形成されていて、外側管体40Aと内側管体40Bとから構成されている。
【0041】
外側管体40Aは、酸化および腐食しにくいイオン化傾向の小さい非鉄金属により形成されている。イオン化傾向の小さい非鉄金属には、銅(Cu)、金(Au)、プラチナ(Pt)等が挙げられる。この外側管体40Aの両側部には、雄ねじを形成したジョイント部49が設けてある。
【0042】
内側管体40Bの材料には、単極電位がマイナス電位で金属の物理化学的性質を有するチタン(Ti)、タングステン(W)等が使用される。
【0043】
図5に示されるように、押潰部50が、外側管体40A内に内側管体40Bを同心的に収容した状態で、外側管体40Aの中央部において、互いに対向する部位を押し潰すことにより形成されている。内側管体40Bは、押潰部50により外側管体40Aと同心的に外側管体40Aに収容固定されている。内側管体40Bと外側管体40Aの間には、押潰部50を除いて、外側流路51が形成されている。また、内側管体40B内部は内側流路52になっている。
【0044】
磁気保持ケース43と磁気保持ケース43−1とは、図5に示されるように、それぞれの合せ目(縁部)43a、43a−1で合わされ、半円状の溝部46、46−1(図3参照)により形成される円形孔を、接続管40が貫通している。永久磁石47と永久磁石47−1は、接続管40を挟んで対向している。永久磁石47の対向端部47aはS極で、永久磁石47−1の対向端部47a−1はN極である。
【0045】
図5に示されるように、磁石保持ケース43、43−1は、合体して連続する枠体Kを構成する。この枠体Kは磁気誘導閉回路を構成し、いわゆる磁気回路の一部を形成する。磁気保持ケース43の永久磁石47の対向端部(S極)47aから永久磁石47−1の対向端部(N極)47a−1に向かって磁束密度の高い(4000〜8000ガウス)磁場が形成されている。
【0046】
磁力線Fは、接続管40を貫き、枠体Kの中心部を通過して永久磁石47に収束する。この磁力線Fにより、磁気回路(誘導磁気回路)が構成されている。磁石保持ケース43、43−1の角部に、曲げ角度が56度以上のアールを形成することにより、磁気漏れの無い磁気誘導閉回路が実現している。
【0047】
次に、殺菌処理装置の動作について説明する。
【0048】
ポンプ14を駆動することで、容器12内の大腸菌等の細菌を含んだ処理液体11を吸液管17で吸液し、送液管16に吐出して、この処理液体11を磁気処理装置Aの流路(内側管体40Bの内部である内側流路52及び内側管体40Bと外側管体40Aの間の外側流路51)に通し容器12内に戻すようにして、循環経路13を循環させることで、処理液体11を磁気処理する。
【0049】
すなわち、処理液体11が磁気処理装置Aの流路(内側管体40Bの内部である内側流路52及び内側管体40Bと外側管体40Aの間の外側流路51)を流動(流速が1.0m/秒以下)する際に、処理液体11は、磁気処理装置Aにより4000〜8000ガウスの磁界が垂直に印加される。
【0050】
このために、活水分子の分子凝集力によりコロニー状の集団となっている処理液体11としての水の分子が磁界の印加により活性化して分子運動が増大し、活発になることにより、水のクラスターの微細化(水分子の集団がくずれてバラバラとなり、いわゆる水分子の微細化)が起こる。この水分子の微細化したものは、水の表面張力を下げ、強い浸透作用を有しており、処理液体11の大腸菌等の細菌を死滅させる。
【0051】
また、外側管体40Aと内側管体40Bを構成する2種類の非鉄金属の間には、それぞれが有する電位(水素を0Vとした場合の基準の標準電位)の電位差が存在する。つまり、外側管体40Aと内側管体40Bとの間に電池が形成される。例えば、外側管体40Aを、単極電位がプラス電位の一価および三価の物理化学的性質を有する金(金の単極電位は1.7)により形成し、内側管体40Bを、単極電位がマイナス電位で一価の物理化学的性質を有するチタン(チタンの単極電位は−1.75)により形成した場合、外側管体40Aと内側管体40Bとの間には、3.45の電位差が発生する。
【0052】
この電位差(起電力)は、内、外側流路52、51を流れる処理液体11に含まれる大腸菌等の細菌を死滅させる働きをする。すなわち、処理液体11には、電位差(起電力)に基づく直流電流が流れて細菌の細胞の浸透圧調整機能に障害を与え、ついには、死滅させることができる。一般に、細胞分裂や細胞膜の浸透圧の調整等の重要な働きは、細胞内の非常に微弱な電気信号(パルス)によって制御されているために、細菌の細胞膜が強力な誘導電流の直撃を受けると、パルスによる命令系統に異常が生ずることによる。このことにより、全ての細菌の細胞を最終的に死滅させることができる。これは、薬品は使用せず、物理的な殺菌方法であるため、特に、細菌の種類や耐性菌等を問わず、例外なく殺菌することができる。
【0053】
なお、外側管体40Aと内側管体40Bの組合せは、上述した金(Au)とチタン(Ti)に限らない。金(Au)とタングステン(W)、プラチナ(Pt)とチタン(Ti)、プラチナ(Pt)とタングステン(W)、銅(Cu)とチタン(Ti)を、それぞれ、外側管体40Aと内側管体40Bに採用した場合にも、両者の間に電位差が発生する。
【0054】
なお、上記した本発明の実施例1では、一般細菌としての大腸菌の殺菌について説明したが、本発明に係る殺菌処理装置は、レジオネラ菌、サルモネラ菌、黄色ブドウ球菌等の殺菌にも適用できるものである。また、上記した本発明の実施例1では、磁気処理装置Aを送液管16に配置したが、吸液管17に配置するようにしてもよい。
実施例2
【0055】
本発明の実施例2は、本発明に係る殺菌処理装置を風呂装置の殺菌に適用したものであり、特に、浴槽内の湯水を強制的に循環させつつ濾過、殺菌等の清浄化処理すると同時に入浴温度に保温し、浴槽湯を絶えず清浄かつ適温に保ち24時間何時でも好みの時に入浴できるようにしたいわゆる24時間風呂装置の殺菌に適用することが可能である。
【0056】
最近、浴槽内の湯を絶えず清浄且つ適温に保ち、24時間いつでも快適に入浴でき、しかも水の節約にもなる24時間風呂装置の利用が盛んになってきた。
【0057】
このような浴槽湯の殺菌処理装置の一例は図7に示す通りである。図中38は装置本体であり、30は浴槽である。この浴槽30には湯水31が入れてある。装置本体38には、湯水31を強制循環するための循環ポンプ32が配置してあり、この循環ポンプ32の吸込み側には、浴槽30内の湯水31を汲み上げるための吸湯管33が接続してあり、この吸湯管33には湯温センサSが設けてあり、また、吸湯管33の端部に設けたフイルタ34が湯水31中に挿入してある。
【0058】
循環ポンプ32の吐出側には送湯管35が接続してあり、この送湯管35に、湯水31を適温に保つための加熱装置としてのヒータ36と、湯中の汚れを取り除くため、活性石、活性炭、セラミックボール等の各種の粒状濾材を直接或いはバケットや網袋に入れたりして充填した濾過タンク37が配備してある。そして、湯温センサSが検知した湯温に基づいて制御装置(図示せず)がヒータ36の作動を制御するようになっている。
【0059】
そして、送湯管35には、上記した本発明の実施例1で説明した磁気処理装置Aが設けてある。すなわち、この磁気処理装置Aが有する外側管体40Aの両側部にはジョイント部49が設けてあり、これらのジョイント部49を用いて、磁気処理装置Aが送湯管35の接続端末35Aに接続してある(図6参照)。
【0060】
したがって、循環ポンプ32の作動によって浴槽30内の湯水31は、フイルタ34で大きな汚れを予め取り除きながら吸湯管33から吸い込まれて装置本体38に入り、ヒータ36で適温に加熱され、磁気処理装置Aで殺菌され、濾過タンク37で濾過され、送湯管35を経て浴槽30に再び流入される。
【0061】
この場合、湯水31を磁気処理装置Aの流路(内側管体40Bの内部である内側流路52及び内側管体40Bと外側管体40Aの間の外側流路51)に通すことで、この湯水31を磁気処理する。
【0062】
すなわち、湯水31が磁気処理装置Aの流路(内側管体40Bの内部である内側流路52及び内側管体40Bと外側管体40Aの間の外側流路51)を流動(流速1.0m/秒以下)する際に、湯水31は、磁気処理装置Aにより4000〜8000ガウスの磁界が垂直に印加される。
【0063】
このために、活水分子の分子凝集力によりコロニー状の集団となっている湯水31としての水の分子が磁界の印加により活性化して分子運動が増大し、活発になることにより、水のクラスターの微細化(水分子の集団がくずれてバラバラとなり、いわゆる水分子の微細化)が起こる。この水分子の微細化したものは、水の表面張力を下げ、強い浸透作用を有しており、湯水31に含まれるレジオネラ菌等の細菌を死滅させる。
【0064】
また、外側管体40Aと内側管体40Bを構成する2種類の非鉄金属の間には、それぞれが有する電位(水素を0Vとした場合の基準の標準電位)の電位差が存在する。つまり、外側管体40Aと内側管体40Bとの間に電池が形成される。例えば、外側管体40Aを、単極電位がプラス電位の一価および三価の物理化学的性質を有する金(金の単極電位は1.7)により形成し、内側管体40Bを、単極電位がマイナス電位で一価の物理化学的性質を有するチタン(チタンの単極電位は−1.75)により形成した場合、外側管体40Aと内側管体40Bとの間には、3.45の電位差が発生する。
【0065】
この電位差(起電力)は、内、外側流路52、51を流れる湯水31に含まれるレジオネラ菌等の細菌を死滅させる働きをする。すなわち、湯水31には、電位差(起電力)に基づく直流電流が流れて、上記した本発明に実施例1の場合と同様に、レジオネラ菌等の細菌の細胞の浸透圧調整機能に障害を与え、ついには、死滅させることができる。これは、薬品は使用せず、物理的な殺菌方法であるため、特に、細菌の種類や耐性菌等を問わず、例外なく殺菌することができる。
【0066】
また、上記した本発明の実施例2では、磁気処理装置Aを、送湯管35を配置したが、吸湯管33に配置するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明に係る殺菌処理装置によれば、細菌を含む流体の磁気処理化を円滑に行い、殺菌処理を確実に行うことができるという効果を有し、磁気処理によって流動体、例えば飲料水、食品類、浴場の湯水等の中に生存する大腸菌、レジオネラ菌等の細菌を殺菌する殺菌処理等を含むすべての殺菌処理に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明に係る殺菌処理装置の構成の斜視図である。
【図2】磁気処理装置の一部分解した状態の斜視図である。
【図3】同磁気処理装置における一方及び他方の磁気処理体を組み合わせた状態の正面図である。
【図4】一方及び他方の磁気処理体の斜視図である。
【図5】磁気処理装置の中央部の断面図である。
【図6】磁気処理装置における接続管と送液管(送湯管)との接続の説明図である。
【図7】本発明に係る殺菌処理装置を適用した風呂装置の説明図である。
【図8】従来の殺菌処理装置の斜視図である。
【符号の説明】
【0069】
A 磁気処理装置(殺菌処理手段)
11 処理液体(流体)
16 送液管(流動管路)(殺菌処理手段)
31 湯水(流体)
35 送湯管(流動管路)(殺菌処理手段)
41 一方の磁気処理体
42 他方の磁気処理体
43 磁石保持ケース(一方の磁石保持ケース)
43−1 磁石保持ケース(他方の磁石保持ケース)
47 永久磁石(一方の異方性磁気体)
47−1 永久磁石(他方の異方性磁気体)
40 接続管
40A 外側管体
40B 内側管体
50 押潰部
51 外側流路
52 内側流路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
細菌を殺菌処理する殺菌処理手段を有する殺菌処理装置であって、
前記殺菌処理手段は、細菌を含む流体の流動管路に、所定の流速で流動する前記流体に対して直角な磁界を形成し前記流体に磁界を印加し、且つ起電力を発生させて前記細菌を殺菌する磁気処理装置を設けて構成してあることを特徴とする殺菌処理装置。
【請求項2】
前記磁気処理装置は、一方の異方性磁気体を収容した磁性体製の一方の磁石保持ケースと、他方の異方性磁気体を収容した磁性体製の他方の磁石保持ケースとを有し、
前記一方の磁石保持ケースと前記他方の磁石保持ケースとを、それぞれの合せ目において互いに磁気吸着させて枠体を構成して、この枠体で磁気誘導回路を構成させると共に、前記一方の磁石保持ケースと前記他方の磁石保持ケースとで、前記流動管路に接続されて前記流体が流動する非磁性体製の接続管を挟み込み、
前記一方の異方性磁気体と前記他方の異方性磁気体とにより形成される磁界が、前記接続管に対して直交しており、前記一方の異方性磁気体と前記他方の異方性磁気体との磁極間において前記流体の流れに対して直角な磁界を形成し、且つ起電力を発生させて前記細菌を殺菌するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の殺菌処理装置。
【請求項3】
前記接続管が、非鉄金属からなる外側管体と、この外側管体の内部に収容され且つ前記外側管体の内壁部との間に、前記接続管の入口側から出口側に抜ける流路を形成し且つ前記外側管体と異なる非鉄金属からなる内側管体とで構成してあり、前記外部管体と前記内部管体との間には、二種類の非鉄金属のそれぞれが有する電位(水素が0V基準の標準電位)の差(電位差)が存在することを特徴とする請求項2に記載の殺菌処理装置。
【請求項4】
前記外側管体が、単極電位がプラス電位の一価と三価の物理化学的性質を有する非鉄金属管で構成されており、前記内側管体が、単極電位がマイナス電位の物理化学的性質を有する非鉄金属管で構成されていることを特徴とする請求項3に記載の殺菌処理装置。
【請求項5】
前記二種類の非鉄金属が、金(Au)とチタン(Tl)の場合、プラチナ(Pt)とチタン(Ti)の場合のいずれか一つであることを特徴とする請求項4に記載の殺菌処理装置。
【請求項6】
前記外側管体の押潰し量により前記流路の断面積を変えるようにしたことを特徴とする請求項3乃至請求項5のいずれかの一に記載の殺菌処理装置。
【請求項7】
前記磁石保持ケースの角部に、曲げ角度が56度以上のアールを形成したことを特徴とする請求項2乃至請求項6のいずれかの一に記載の殺菌処理装置。
【請求項8】
前記殺菌処理手段が、浴槽における湯水の殺菌処理手段、食品産業等の殺菌処理手段を含むことを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれかの一に記載の殺菌処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−158597(P2006−158597A)
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−353407(P2004−353407)
【出願日】平成16年12月6日(2004.12.6)
【出願人】(395024296)株式会社細田電機 (8)
【Fターム(参考)】