説明

殺菌水生成方法及び装置

【課題】低コストにて、精度よく所望の次亜塩素酸ナトリウム濃度及びpHの殺菌水を得ることが可能な殺菌水生成方法及び装置を提供する。
【解決手段】原水にそれぞれ希釈混合して次亜塩素酸ナトリウム希釈液と酸希釈液とを生成し、この2種類の希釈液を混合して殺菌水を生成する殺菌水生成方法において、(a)原水供給源1に接続された第1の液流路L1を流動する原水の電気伝導率を、第1の液流路L1に配置された電気伝導率測定手段Dにて測定する工程と;(b)上記(a)工程より後に、第1の液流路L1を流動する原水に次亜塩素酸ナトリウムを添加しながら、原水に次亜塩素酸ナトリウムが混合された次亜塩素酸ナトリウム希釈液の電気伝導率を電気伝導率測定手段Dにて測定する工程と;を有し、上記(a)工程、(b)工程においてそれぞれ測定された電気伝導率の差に基づいて、次亜塩素酸ナトリウムの添加量を検知する構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般には、食品加工、農水産業、医療など様々な分野における各種機器或いは食料品の殺菌、消毒に利用することができる殺菌水の生成方法及び装置に関し、特に、殺菌剤として用いられる次亜塩素酸ナトリウムを活性化し、殺菌力を増強させる殺菌水生成方法及び装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば食品加工分野において機器や食料品の殺菌、消毒のために、或いは医療分野において血液透析用機器の殺菌、消毒のために、次亜塩素酸ナトリウム(NaOCl)水溶液が用いられている。特に、次亜塩素酸ナトリウム水溶液のpHを所定の範囲にすることで殺菌力を増強した次亜塩素酸ナトリウム含有殺菌水が用いられている。
【0003】
次亜塩素酸ナトリウムを含む殺菌水が示す殺菌力の主成分は次亜塩素酸(HOCl)であり、殺菌水中の次亜塩素酸(HOCl)の存在率は殺菌水のpHに依存する。図9は、pHによる次亜塩素酸ナトリウム含有殺菌水中の次亜塩素酸の存在率を示している。次亜塩素酸ナトリウム自体は強アルカリ性であり、pHの低下に伴って約pH4.5まで次亜塩素酸(HClO)の含有量が増大する。又、約pH3.0より低くなり過ぎても次亜塩素酸(HClO)の含有量は減少する。
【0004】
つまり、次亜塩素酸ナトリウムを単に水で希釈した従来の殺菌水は強アルカリ性(約pH8.5〜pH10)であり、殺菌水中に500ppm〜1000ppmといった高濃度にて次亜塩素酸ナトリウムを希釈しても、含有次亜塩素酸ナトリウムのわずか5%程度しか殺菌力の強い次亜塩素酸(HClO)として存在していない。これに対して、次亜塩素酸ナトリウム含有殺菌水のpHをpH3.0〜6.0の範囲に調整することにより、殺菌水に含まれる次亜塩素酸ナトリウムのほぼ100%が殺菌に有効な次亜塩素酸(HClO)として存在できる。
【0005】
従って、次亜塩素酸ナトリウム含有殺菌水のpHを所定の範囲に調整することによって、強力な殺菌力を得るために必要とされる次亜塩素酸ナトリウムの量を低減させ、例えば10〜20ppmまで次亜塩素酸ナトリウムの濃度を低下させることができる。これにより、環境に放出される殺菌水、或いは各種機器や食料品を殺菌、消毒した後の水洗により発生する洗浄廃液中の次亜塩素酸ナトリウム量を低減することができ、環境に与える影響、或いは活性汚泥法を用いた廃水処理施設に与えるダメージを低減することができる。又、臭いの成分である次亜塩素酸イオン(ClO)が次亜塩素酸(HClO)となるので、殺菌水の無臭化が図れる。以下、この原理を用いて調製される次亜塩素酸ナトリウム含有殺菌水を、「次亜塩素酸ナトリウム活性水」或いは単に「活性水」と呼ぶ。
【0006】
ところで、次亜塩素酸ナトリウムの原液(通常、6w/w%程度)に酸を直接添加してpHを調整しようとすると、塩素ガスを発生させる虞がある。そこで、次亜塩素酸ナトリウムを希釈した液(次亜塩素酸ナトリウム希釈液)と、酢酸などの酸を希釈した液(酸希釈液)を混合し、消毒・殺菌効果の高い活性水を生成するこが行われている。
【0007】
そして、従来、常に強い殺菌力を備えた活性水を調製するために、或いは所望の活性水が得られない恐れがある場合に活性水の調製を停止させたり、警報を発するために、比較的安価でリアルタイムに測定できる電気伝導率センサを用いて次亜塩素酸ナトリウム希釈液、酸希釈液の濃度を測定することが行われている。
【0008】
次亜塩素酸ナトリウムの希釈系に注目して更に説明すると、次亜塩素酸ナトリウムの希釈用原水への添加量と、次亜塩素酸ナトリウム希釈液の電気伝導率とには一定の相関があるので、原理的には、次亜塩素酸ナトリウム希釈液の電気伝導率を測定することで次亜塩素酸ナトリウムの濃度を測定することができる。
【0009】
例えば、血液透析機器の殺菌、消毒など、医療機関などで使用される活性水の調製には、希釈用原水として実質的に溶存イオンを含まない逆浸透水(R/O水)が使用される。R/O水の電気伝導率は通常2μS/cm以下であり、例えば次亜塩素酸ナトリウム100ppmの場合の電気伝導率の200μS/cm以上に対して無視できる値である。従って、この場合、次亜塩素酸ナトリウム希釈液の濃度を測定するためには、その電気伝導率を測定するために電気伝導率計は1つあればよい。
【0010】
一方、例えば、食品加工、農水産、畜産分野における、製造ライン、配管、タンクなどの機器或いは食料品の殺菌や消毒、半導体基板の殺菌など工業生産分野における殺菌や消毒、廃棄物処理や下水処理分野における殺菌や消毒、或いはプール水の殺菌の用途には、希釈用原水として、より低コストである水道水、井戸水などを使用することが望まれる。又、水産分野などにおいては、海水を希釈用原水として用いることが望まれる場合がある。例えば、野菜や果物など食品の殺菌に使用される活性水の調整には、希釈用原水に水道水や井戸水が用いられることが多い。水道水の電気伝導率は100〜300μS/cm程度、井戸水の電気伝導率は更に広範囲は電気伝導率を持っていると考えられる。
【0011】
実験によると、R/O水の電気伝導率は2μS/cm、それに次亜塩素酸ナトリウムを100ppmになるように添加した次亜塩素酸ナトリウム希釈液の電気伝導率は231μS/cmであった。一方、水道水の電気伝導率は235μS/cm、それに次亜塩素酸ナトリウムを100ppmになるように添加した次亜塩素酸ナトリウム希釈液の電気伝導率は445μS/cmであった。即ち、次亜塩素酸ナトリウムを水道水で希釈する場合、次亜塩素酸ナトリウム希釈液の電気伝導率を測定しただけでは、水道水の電気伝導率を無視できないため、濃度を測定することはできない。
【0012】
又、希釈用原水として水道水や井戸水を用いる場合、その水質が、時間経過(例えば季節変化や朝夕の差)、場所、地域によって一定せず、その電気伝導率も大きく変化することがある。
【0013】
このような場合に対応するために、水道水など希釈用原水の電気伝導率と、次亜塩素酸ナトリウム添加後の電気伝導率との差を計算し、次亜塩素酸ナトリウムの濃度に換算する方法がある。この場合、次亜塩素酸ナトリウムの希釈系に関して、電気伝導率センサを2個装備することになる。
【0014】
特許文献1に開示される装置においては、図8に示すように、次亜塩素酸ナトリウムを希釈用原水に希釈混合する流路32、酸を希釈用原水に希釈混合する流路33、及び希釈用原水を上記両流路32、33に供給するための原水供給流路31の3箇所に、それぞれ第1、第2、第3の電気伝導率センサD1、D2、D3が配置され、生成された活性水は希釈液混合流路34を通して取り出される。そして、次亜塩素酸ナトリウムの希釈系に関しては、第1、第3の電気伝導率センサD1、D3の測定結果の差に基づいて次亜塩素酸ナトリウムの濃度を検知する。又、酸希釈系に関しては、第2、第3の電気伝導率センサD2、D3の測定結果の差に基づいて酸濃度を検知する。
【0015】
しかしながら、このように一つの薬剤(次亜塩素酸ナトリウム又は酸)の希釈系に関して、電気伝導率センサを2個装備すると、調整の手間、保守の手間、材料コストなどが2個分必要となる。
【0016】
しかも、本発明者の検討によれば、このように一つの薬剤の希釈系に関して2個の電気伝導率センサを設けると、センサ、アンプを含めた測定器の調整差を無くし、希釈用原水の電気伝導率分を精度よく差し引いて、測定対象の濃度を精度よく求めることが難しいことが分かった。
【特許文献1】特開2001−321778号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明の目的は、殺菌水を調製するための希釈用原水として、逆浸透水(R/O水)、水道水、井戸水或いは海水などの広範囲の希釈用原水を使用することができ、しかも低コストにて、精度よく所望の次亜塩素酸ナトリウム濃度及びpHの殺菌水を得ることが可能な殺菌水生成方法及び装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記目的は本発明に係る殺菌水生成方法及び殺菌水生成装置にて達成される。要約すれば、本発明は、次亜塩素酸ナトリウムと酸とを各々単独で原水に希釈混合して次亜塩素酸ナトリウム希釈液と酸希釈液とを生成し、この次亜塩素酸ナトリウム希釈液と酸希釈液とを混合して殺菌水を生成する殺菌水生成方法において、次亜塩素酸ナトリウム及び酸のいずれか一方をA剤、他方をB剤とするとき、(a)原水供給源に接続された第1の液流路を流動する原水の電気伝導率を、前記第1の液流路に配置された電気伝導率測定手段にて測定する工程と;(b)前記(a)工程より後に、前記第1の液流路を流動する原水にA剤を添加しながら、原水にA剤が混合されたA剤希釈液の電気伝導率を前記電気伝導率測定手段にて測定する工程と;を有し、前記(a)工程、前記(b)工程においてそれぞれ測定された電気伝導率の差に基づいて、A剤の添加量を検知することを特徴とする殺菌水生成方法である。本発明の一実施態様によると、前記(a)工程より後に、原水供給源に接続された第2の液流路を流動する原水にB剤を添加して原水にB剤が混合されたB剤希釈液を生成し、前記第2の液流路を流動するB剤希釈液を、前記第1の液流路を流動するA剤希釈液に前記電気伝導率測定手段より下流側にて合流させて、A剤希釈液とB剤希釈液とが混合された殺菌水を生成する。
【0019】
本発明の他の態様によると、次亜塩素酸ナトリウムと酸とを各々単独で原水に希釈混合して次亜塩素酸ナトリウム希釈液と酸希釈液とを生成し、この次亜塩素酸ナトリウム希釈液と酸希釈液とを混合して殺菌水を生成する殺菌水生成装置において、原水を供給する原水供給流路と;原水に次亜塩素酸ナトリウムを添加、混合して次亜塩素酸ナトリウム希釈液を得るための、前記原水供給流路から分岐した流路であって、その中を流動する原水に次亜塩素酸ナトリウムを添加する第1の添加手段と、次亜塩素酸ナトリウムが添加された次亜塩素酸ナトリウム希釈液を混合する第1の混合手段と、を備えた次亜塩素酸ナトリウム希釈混合流路と;原水に酸を添加、混合して酸希釈液を得るための、前記原水供給流路から分岐した流路であって、その中を流動する原水に酸を添加する第2の添加手段と、酸が添加された酸希釈液を混合する第2の混合手段と、を備えた酸希釈混合流路と;前記次亜塩素酸ナトリウム希釈液と前記酸希釈液とを混合するための、前記次亜塩素酸ナトリウム希釈混合流路及び前記酸希釈混合流路からの次亜塩素酸ナトリウム希釈液及び酸希釈液が合流して導かれる流路であって、次亜塩素酸ナトリウム希釈液と酸希釈液とを混合する第3の混合手段を備えた希釈液混合流路と;を有し、前記第1の混合手段より下流側の前記次亜塩素酸ナトリウム希釈混合流路内にのみ、又は、前記第1の混合手段より下流側の前記次亜塩素酸ナトリウム希釈混合流路内及び前記第2の混合手段より下流側の前記酸希釈混合流路内にのみ、又は、前記第3の混合手段より下流側の前記希釈液混合流路内にのみ電気伝導率測定手段が配置されていることを特徴とする殺菌水生成装置が提供される。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、殺菌水を調製するための希釈用原水として、逆浸透水(R/O水)、水道水、井戸水或いは海水などの広範囲の希釈用原水を使用することができ、しかも低コストにて、精度よく所望の次亜塩素酸ナトリウム濃度及びpHの殺菌水を得ることが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明に係る殺菌水生成方法及び装置を図面に則して更に詳しく説明する。
【0022】
実施例1
本実施例では、本発明の殺菌水生成方法及び装置は、希釈用原水(原水)として水道水を用いるものとして説明する。
【0023】
図1は、本発明の殺菌水生成方法を具現化する装置の一実施例の概略構成を示す。先ず、図1に示す本実施例の殺菌水生成装置100の基本構成について説明する。装置100は、原水の供給源として供給口1から装置内に水道水を取り込み、次亜塩素酸ナトリウムが活性化されて殺菌力が増強した殺菌水(次亜塩素酸ナトリウム活性水)を調製する。そして、調製された活性水は、取出口13から装置外に取り出される。次亜塩素酸ナトリウム及び酸は、各々単独で原水に希釈混合され、その後この次亜塩素酸ナトリウム希釈液と酸希釈液とが混合されることによって活性水が生成される。
【0024】
装置100は、連続的に原水を供給して連続的に活性水を生成することができる。又、取出口13に活性水の貯留槽(図示せず)を接続し、これに活性水を貯留して用いるような場合に、貯留槽内の活性水が所定レベル以下となる毎に活性水の生成を開始するなど、活性水を間欠的に生成するように制御することもできる。
【0025】
装置100が備えた原水供給手段としての原水供給流路31は、供給口1を介して一般の水道水供給管の蛇口(図示せず)などに接続される。原水供給流路31には電磁弁14が設けられ、この電磁弁14の開閉によって原水の供給が制御される。電磁弁14の開閉は、通常、装置操作部24における使用者の操作など従った制御手段(制御回路)20の指示により行われる。又、詳しくは後述するように、制御回路20が装置100の異常を検知した場合には電磁弁14が閉じられ、原水の供給が停止される。
【0026】
原水供給流路31の下流端は、第1、第2の方向へと分岐され、それぞれ原水流量規制手段としての第1、第2の定流量弁2、3を介して、第1、第2の希釈混合手段としての次亜塩素酸ナトリウム希釈混合流路32、酸希釈混合流路33へと原水が供給される。本実施例では、第1、第2の定流量弁2、3は、次亜塩素酸ナトリウム希釈混合流路32及び酸希釈混合流路33に等流量の原水を供給する。
【0027】
装置100の全体の流量、即ち、活性水の生成速度は、第1、第2の定流量弁2、3で決まる。又、本実施例では、原水供給流路31の供給口1と電磁弁14との間に、圧力スイッチ15が設けられている。圧力スイッチ15は、第1、第2の定流量弁2、3の入口に必要な圧力を検出するためのものであり、圧力が不足しているときは、電磁弁14を閉じ、又、次亜塩素酸ナトリウムや酸が供給されないようにすることで、断水や水量不足時に不定の流量、即ち、不定の濃度の活性水が取出口13から出ないようになっている。
【0028】
このように、原水は、供給口1から、圧力スイッチ15、電磁弁14を通過した後、2系統に分かれて、それぞれ第1の定流量弁2、第2の定流量弁3を通過する。
【0029】
次亜塩素酸ナトリウム希釈混合流路32への原水の供給は、第1の定流量弁2により一定流量に維持される。次亜塩素酸ナトリウム希釈混合流路32には、第1の定流量弁2の下流に位置して第1の注入部6が設けられている。この第1の注入部6において、次亜塩素酸ナトリウム添加手段として、第1の原液タンク4から第1のポンプ5を介して、次亜塩素酸ナトリウムの原液が原水流中に注入される。第1のポンプ5は、詳しくは後述するように制御回路20の制御により駆動を開始/停止する。又、詳しくは後述するように、第1のポンプ5は、手動、又は制御回路20の制御により自動で次亜塩素酸ナトリウムの注入量を調整することができる。本実施例では、次亜塩素酸ナトリウムの原液の濃度は6w/w%であり、そのpHは12.4である。
【0030】
原水中に注入された次亜塩素酸ナトリウムは、第1の注入部6より下流に設けられた第1の混合器7にて十分に原水と攪拌混合される。
【0031】
又、原水供給路31から酸希釈流路33への原水の供給は、第2の定流量弁3によって一定流量に維持される。酸希釈混合流路33には、第2の定流量弁3の下流に位置して、第2の注入部10が設けられている。この第2の注入部10において、酸添加手段として、第2の原液タンク8から第2のポンプ9を介して、酸の原液が原水流中に注入される。第2のポンプ9は、第1のポンプ5と同様、後述のように制御回路20の制御によって駆動を開始/停止する。又、詳しくは後述するように、第2のポンプ9は、手動、又は制御回路20の制御により自動で酸の注入量を調整することができる。本実施例では、酸の原液として、濃度30w/w%の酢酸を用いた。尚、pH調整用の酸としては、無毒性であるという点、又、弱酸であるため塩素ガスを発生させないようにその添加量を制御し易いという点で酢酸が好ましい。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、活性水のpH調整の目的に適合する任意の酸から適宜選択することすることができる。例えば、酢酸の代わりにクエン酸、塩酸、或いは酢酸と塩酸の混合酸を用いることができる。
【0032】
原水中に注入された酢酸は、第2の注入部10より下流に設けられた第2の混合器11にて十分に原水と攪拌混合される。
【0033】
第1、第2の混合器7、11をそれぞれ通過した次亜塩素酸ナトリウム希釈液流及び酸希釈液流は、更に下流側の合流点36にて合流し、両希釈液の混合手段としての希釈液混合流路34に導入され、第3の混合器12において十分に攪拌混合される。
【0034】
第1、第2のポンプ5、9としては、市販の薬液ポンプで、例えば、ストローク長、ストローク数などの調整により、薬液の注入量を調整することができるものを好適に使用することができる。
【0035】
第1、第2及び第3の混合器7、11、12は、それぞれ十分な攪拌能力を備えた任意の混合器とすることができる。本実施例では、攪拌手段水流を妨げる邪魔板部材を備えた流路(ミキシングチューブ)を用いた。この他、適当な攪拌手段により内容物を混合する撹拌容器などを用いてもよい。
【0036】
前述のように、原水中に添加した次亜塩素酸ナトリウムがほぼ100%殺菌力の強い次亜塩素酸(HClO)として存在するためには、pH3.0〜7.5の範囲であることが好ましく、より好ましくは、pH3.0〜6.5、最も好ましくはpH4.0〜5.0である。
【0037】
又、活性水のpHを上述の範囲内とすることによって、次亜塩素酸ナトリウムは比較的低濃度にて有効な殺菌、消毒力を発揮することができる。環境に対する次亜塩素酸ナトリウムの影響を考えれば、次亜塩素酸ナトリウムはより低濃度であることが好ましいが、活性水の殺菌力は次亜塩素酸ナトリウムの濃度が高い方が強い。従って、次亜塩素酸ナトリウムの濃度は、所望の殺菌力、又環境への影響に鑑みて適宜選択することができる。好ましくは、次亜塩素酸ナトリウム濃度は0.5ppm〜1000ppmである。
【0038】
本実施例では、上述のように各々単独で原水中に希釈混合された次亜塩素酸ナトリウム希釈液と酸希釈液とを混合することによって、最終的に生成される活性水の次亜塩素酸ナトリウム濃度が10ppm、pHが5.0となるように設定されている。
【0039】
以下、本実施例における活性水の次亜塩素酸ナトリウムの濃度及びpHの調整方法について説明する。
【0040】
通常、所定の流量で流れる原水に対して、所定の割合で次亜塩素酸ナトリウムを添加することで、所定の濃度の次亜塩素酸ナトリウム希釈液を得ることができる。即ち、本実施例では、次亜塩素酸ナトリウム希釈混合流路32への原水の供給量は第1の定流量弁2により一定とされているので、第1のポンプ5の駆動量(ストローク長、ストローク数など)を設定することにより、所定の濃度の次亜塩素酸ナトリウム希釈液を得ることができる。
【0041】
しかし、例えば、薬液ポンプの異常などによる薬液ポンプの送液量の変化が発生することが考えられるため、装置の信頼性向上のためには、所定のタイミングで或いは任意のタイミングで次亜塩素酸ナトリウムの添加量、即ち、濃度を検知し、調整する必要がある。又、常に、次亜塩素酸ナトリウムの添加量を監視して、所定の活性水が生成できない状況となったときに警報などを発するようにしたり、自動的に添加量を調整できるようにしたりすることが好ましい。
【0042】
そこで、先ず、本実施例では、次亜塩素酸ナトリウムの添加量を電気伝導率測定によって検知する。ここで、添加量を検知するとは、添加量を常に検知して所定値と比較すること、即ち、常に監視することのみならず、所定のタイミングで或いは任意のタイミングで添加量を検知して検査(点検)することを含む。
【0043】
つまり、原水(本実施例では水道水)への次亜塩素酸ナトリウムの添加量、即ち、濃度と次亜塩素酸ナトリウム希釈液の電気伝導率とには一定の相関があることが分かっている。従って、次亜塩素酸ナトリウム希釈液の濃度と電気伝導率との相関を求めておくことによって、次亜塩素酸ナトリウム希釈混合流路32にて生成される次亜塩素酸ナトリウム希釈液の電気伝導率値から、その次亜塩素酸ナトリウム濃度を検知することができる。そして、最終的に、次亜塩素酸ナトリウム希釈混合流路32、酸希釈混合流路33からの次亜塩素酸ナトリウム希釈液と酸希釈液が所定の割合(流量)にて希釈液混合流路34に導かれて混合されることで活性水は調製されるので、次亜塩素酸ナトリウム希釈混合流路32における次亜塩素酸ナトリウム希釈液の濃度を検知することによって、最終的に調製される活性水の次亜塩素酸ナトリウム濃度を検知することができる。
【0044】
このとき、前述のように、特に原水としてもともとの電気伝導率が高く、その変動も考えられる水道水や井戸水などを用いる場合には、原水の電気伝導率をも測定し、原水の電気伝導率と次亜塩素酸ナトリウム添加後の電気伝導率との差を計算して、原水の電気伝導率分を差し引くことが不可欠である。
【0045】
本実施例では、次亜塩素酸ナトリウム希釈混合流路32に設けられた第1の混合器7の下流側、且つ、次亜塩素酸ナトリウム希釈混合流路32と酸希釈混合流路33との合流点36より上流側に、電気伝導率測定手段としての電気伝導率センサDを配置する。
【0046】
つまり、本実施例では、次亜塩素酸ナトリウムの希釈系に関して、電気伝導率センサは、原水に次亜塩素酸ナトリウムを添加した後の次亜塩素酸ナトリウム希釈液を測定し得る位置に1台のみ装備する。そして、先ず、次亜塩素酸ナトリウムを送液する第1のポンプ5を停止したまま、原水を流して電気伝導率(V1)を測定し、記憶する。次に、第1のポンプ5を動作させ、次亜塩素酸ナトリウムを原水に添加した次亜塩素酸ナトリウム希釈液の電気伝導率(V2)を測定する。電気伝導率差(V2−V1)の値が、次亜塩素酸ナトリウムの添加によるもので、原水の流量は一定に保たれているので、結局、次亜塩素酸ナトリウム希釈液の次亜塩素酸ナトリウム濃度(即ち、活性水の次亜塩素酸ナトリウム濃度)を測定できることとなる。
【0047】
更に説明すると、本実施例では、装置100は、(a)原水供給源に接続された第1の液流路L1(第1の液流路L1は、原水供給流路31の下流端における次亜塩素酸ナトリウム希釈混合流路32と酸希釈混合流路33への分岐点35から、次亜塩素酸ナトリウム希釈混合流路32を経て取出口13に至る流路に相当する。)を流動する原水の電気伝導率(V1)を、第1の液流路L1に配置された電気伝導率測定センサDにて測定する第1の測定工程と、(b)第1の測定工程より後に、第1の液流路L1を流動する原水に次亜塩素酸ナトリウムを添加しながら、原水に次亜塩素酸ナトリウムが混合された次亜塩素酸ナトリウム希釈液の電気伝導率(V2)を電気伝導率センサDにて測定する第2の測定工程と、を有する。そして、第1、第2の測定工程においてそれぞれ測定された電気伝導率の差(V2−V1)に基づいて、次亜塩素酸ナトリウムの添加量を検知する。
【0048】
又、少なくとも第1の測定工程よりも後に、好ましくは第2の測定工程と同時に、原水供給源に接続された第2の液流路L2(第2の液流路L2は、原水供給流路31の下流端における次亜塩素酸ナトリウム希釈混合流路32と酸希釈混合流路33への分岐点35から、酸希釈混合流路33を経て合流点36に至る流路に相当する。)を流動する原水に酸を添加して原水に酸が混合された酸希釈液を生成し、第2の液流路L2を流動する酸希釈液を、第1の液流路L1を流動する次亜塩素酸ナトリウム希釈液に電気伝導率測定センサDより下流側(即ち、次亜塩素酸ナトリウム希釈混合流路32と酸希釈混合流路33との合流点36)にて合流させて、次亜塩素酸ナトリウム希釈液と酸希釈液とが混合された活性水を生成する。本実施例では、第1の液流路L1と第2の液流路L2は、一つの原水供給源から分岐して導かれている。
【0049】
電気伝導率センサDは、次亜塩素酸ナトリウム希釈混合流路32を流動する原水の電気伝導率(V1)、及び第1の混合器7内で希釈混合された次亜塩素酸ナトリウム希釈液の電気伝導率(V2)を検出し、対応する信号を制御回路20に送信する。制御回路20は、電気伝導率センサDの出力を所定期間読み取り、出力が安定した時点で検出値とする。制御回路20は、第1の測定工程で検出される電気伝導率(V1)に対応する電気伝導率センサDの出力を記憶手段(記憶部)21に記憶し、次亜塩素酸ナトリウムの添加量の計算に用いる。
【0050】
電気伝導率センサDとしては、装置100にて使用するのに適した入手可能な任意のものを用いることができる。尚、電気伝導率センサDの出力は、所定の要領で増幅し、或いはA/D変換して制御回路20に入力され得る。電気伝導率(値)とは、これら測定対象の電気伝導率の値に対応した任意の形態の信号を包含する。
【0051】
一方、次亜塩素酸ナトリウム希釈液と酸希釈液とを混合して生成される活性水のpHは、(1)原水のpH、及びバッファーアクション(2)次亜塩素酸ナトリウムの添加量、(3)酸添加量の3つを含むパラメータによって決定される。即ち、所定の原水に所定の濃度で次亜塩素酸ナトリウムが希釈された次亜塩素酸ナトリウム希釈液への酸の添加量、即ち、濃度と、最終的に生成される活性水のpHとには一定の相関がある。
【0052】
従って、通常、所定の流量で流れる原水に対して、所定の割合で酸を添加することで、所定の濃度の酸希釈液を得て、これを所定の濃度、所定の割合(流量)で流動する次亜塩素酸ナトリウム希釈液に所定の割合(流量)で合流させて混合することで、所定のpHの活性水を得ることができる。即ち、本実施例では、原水の供給量は第2の定流量弁3により一定とされているので、第2のポンプ9の駆動量(ストローク長、ストローク数など)を設定することにより、所定の濃度の酸希釈液を得て、結局、所定のpHの活性水を得ることができる。
【0053】
しかし、上記次亜塩素酸ナトリウムの場合と同様、酸の添加量を所定のタイミングで或いは任意のタイミングで検知し、調整することにより、活性水のpHを所定の範囲に維持する必要がある。又、常に、酸の添加量を監視して、所定の活性水が生成できない状況となったときに警報などを発するようにしたり、自動的に添加量を調整して、活性水のpHを所定の範囲に維持できるようにしたりすることが好ましい。
【0054】
そこで、本実施例では、酸の添加量を、pH測定によって検知する。
【0055】
本実施例では、希釈液混合流路34に設けられた第3の混合器12と取出口13との間に分岐点37が設けられており、この分岐点37にpH測定用流路38接続が接続されている。そして、このpH測定用流路38に、pH測定手段としてのpH電極Eを配置する。pH測定用流路38には、希釈液混合流路34を流動する液の一部が少量流される(本実施例では、希釈液混合流路34を流動する液の流量が20L/minであるのに対し、pH測定用流路を流動する液の流量は0.05L/minである。)。又、pH測定用流路38を流動する液は廃液口39から装置外に排出される。このようにpH測定用流路38を設けることによって、pH電極Eの比較電極の液絡部から極少量であるが流出する内部液(通常KCl水溶液)が、取出口13より取り出される活性水に混入することは無い。又、万一pHが破損するようなことがあっても、pH電極の内部液や破損片の混入が懸念される液は廃液口39から排出されるので、装置100の安全性は高い。尚、活性水のpHをpH測定手段にて測定し、酸の添加量を検知することは、活性水のpHを直接的に管理し得る点で利点がある。
【0056】
pH電極Eは、希釈液混合流路34を流動する、第3の混合器12で次亜塩素酸ナトリウム希釈液と酸希釈液とが混合された活性水のpHを検出し、対応する信号を制御回路20に送信する。制御回路20は、pH電極Eの出力値から、最終的に生成された活性水のpHを検知する。
【0057】
pH電極Eとしては、装置100にて使用するのに適した入手可能な任意のものを用いることができる。尚、pH電極Eの出力は、所定の要領で増幅し、或いはA/D変換して制御回路20に入力され得る。pH(値)とは、これら測定対象の電気伝導率の値に対応した任意の形態の信号を包含する。
【0058】
図2をも参照して更に説明する。図2(a)は、本実施例における次亜塩素酸ナトリウム及び酸の添加量検知動作シーケンスを示し、図2(b)は、同シーケンスにおける各タイミングで電気伝導率センサD、取出口13及び廃液口13(pH電極E)の位置を流動する液の種類及び電気伝導率・pHの検出タイミングを示す。
【0059】
図2(a)に示すように、装置100は、先ず、第1の測定工程として、第1のポンプ5を停止させ、第1の原液タンク4内の次亜塩素酸ナトリウムが注入されないようにすると共に、第2のポンプ9を停止させ、第2の原液タンク8内の酢酸が注入されないようにした状態で、供給口1からの原水を流し、電気伝導率センサDによって原水の電気伝導率(V1)を測定する。
【0060】
次に、第2の測定工程として、第1のポンプ5を動作させ、第1の原液タンク4内の次亜塩素酸ナトリウムを注入すると共に、第2のポンプ9を動作させ、第2の原液タンク8内の酢酸を注入した状態で、電気伝導率センサDにより、次亜塩素酸ナトリウム希釈液の電気伝導率(V2)を測定する。
【0061】
第2の測定工程で測定した次亜塩素酸ナトリウム希釈液の電気伝導率(V2)から、第1の測定工程で測定した原水の電気伝導率(V1)を差し引けば、次亜塩素酸ナトリウム注入量、即ち、次亜塩素酸ナトリウムの濃度を計算することができる。
【0062】
第1の測定工程は、初期設定動作として、活性水の生成動作を開始する時或いは装置の電源投入時のみ行うようにして良いし、所定の時間間隔で第1の測定工程を繰り返し行うようにしても良い。又、第1の測定工程は、必要なときのみ操作者の指示により任意のタイミングで行うようにしても良い。
【0063】
又、本実施例では、第2の測定工程において、次亜塩素酸ナトリウムの注入と酸の注入が開始された後に、pH電極Eによる活性水のpHの検出が開始される。
【0064】
制御回路20には、予め求められた次亜塩素酸ナトリウム希釈液の電気伝導率(V2)と原水の電気伝導率(V1)の差(V2−V1)と、次亜塩素酸ナトリウムの添加量との関係に基づいて、所定の次亜塩素酸ナトリウム添加量に相当する電気伝導率差(V2−V1)が設定されている。又、制御回路20には、活性水の所定の目標pHが設定されている。
【0065】
尚、装置操作部24からの操作によって、次亜塩素酸ナトリウムの添加量、活性水のpHの設定値を変更したり、記憶部21に複数記憶されているものから適宜選択したりできるようになっていてもよい。これにより、例えば0.5ppm〜1000ppmの次亜塩素酸ナトリウム濃度、pH3.0〜pH7.5のpHから、複数種類或いは任意のものを選択して、対応する次亜塩素酸ナトリウムの添加量、酸の添加量を監視等するようにすることができる。
【0066】
活性水の生成に際して、制御回路20は、入力された次亜塩素酸ナトリウム希釈液の電気伝導率(V2)から原水の電気伝導率(V1)を差し引いた電気伝導率(V2−V1)を設定値と比較することによって、次亜塩素酸ナトリウムの添加量を常に監視することができる。又、制御手段20は、入力された活性水のpHを設定値と比較することによって、酸の添加量に対応する活性水のpHを常に監視することができる。尚、活性水の生成動作時には常に、検知された次亜塩素酸ナトリウムの添加量、活性水のpHを、所定の表示形態にて表示手段22に表示することができる。次亜塩素酸ナトリウムの添加量は、次亜塩素酸ナトリウム希釈液の次亜塩素酸ナトリウム濃度、活性水の次亜塩素酸ナトリウム濃度或いは電気伝導率差(V2−V1)自体など、任意の形態にて表示することができる。
【0067】
そして、所定の次亜塩素酸ナトリウム濃度及びpHの活性水を生成できない虞のある場合に、警報や所定の情報表示など、所定の装置異常時動作を行うことよって、使用者に正常に活性水が生成されないことを報知することができる。又、このような場合に活性水の生成動作自体を停止させることもできる。つまり、本実施例では、制御回路20は、上述のようにして監視している次亜塩素酸ナトリウムの添加量或いは活性水のpHが設定値から所定の許容範囲以上外れた場合に、警報装置23によって所定の警報を発する。又、同時に、制御回路20は電磁弁14を閉じることによって、原水の供給を停止させると共に、第1、第2のポンプ5、9を停止して、次亜塩素酸ナトリウム及び酸が供給されないようにする。更に、表示手段22に装置が正常の作動していないことを使用者に知らせる情報を表示する(警告ランプの点灯などを含む。)。
【0068】
又、本実施例では、例えば、装置100の電源投入時或いは活性水の生成動作の開始時の初期設定動作などとして、上述のようにして検知され、表示されている次亜塩素酸ナトリウムの添加量及び活性水のpHが、設定値と所定の許容範囲内で一致するように、それぞれ第1のポンプ5、第2のポンプ9の駆動量(ストローク長、ストローク数など)を手動で調整することができるようになっている。
【0069】
より具体的には、本実施例では、装置100は、次亜塩素酸ナトリウム濃度10ppm、pH5.0の活性水を、約20L/分の供給量にて調製することができる。第1及び第2の定流量弁2、3は、それぞれ等流量(約10L/分)にて、次亜塩素酸ナトリウム希釈混合流路32、酸希釈混合流路33に原水を供給する。従って、第1のポンプ5は、電気伝導率センサDの位置で検出される次亜塩素酸ナトリウム濃度が20ppmとなるように、次亜塩素酸ナトリウム原液を注入するように調整される。又、第2のポンプ9は、活性水のpHがpH5.0となるように、酢酸を終濃度が0.05〜0.1w/w%、即ち、酸希釈混合流路33内での濃度が0.1〜0.2w/w%となるよう酢酸を注入するように調整される。
【0070】
更に、上述のようにして監視している次亜塩素酸ナトリウムの添加量、活性水のpHを制御手段20による第1、第2のポンプ5、9の駆動量の自動制御にフィードバックすることも可能である。即ち、この場合、制御回路20は、検知された次亜塩素酸ナトリウムの添加量、活性水のpHが設定値と所定の許容範囲内で一致するように、連続的に第1、第2のポンプ5、9の動作をそれぞれ制御し、第1の原液タンク4からの次亜塩素酸ナトリウムの添加量、第2の原液タンク8からの酸の添加量を調整する。
【0071】
ここで、図2(b)に示すように、第1の測定工程において原水の電気伝導率を測定している間は、次亜塩素酸ナトリウム(本実施例では更に酸)が添加されない液、即ち、所定の殺菌力を有しない液(本実施例では原水)が取出口13から供給されることになる。しかし、例えば食品の殺菌・消毒に使用する場合、流し台やプールのような洗浄槽に流し込むため、その中で混合されるので問題とはならない。又、ホース先端からの流水で使用する場合は、通常、貯留タンクを設けるため、その貯留タンクの中で混合されるので問題とはならない。尚、このような第1の測定工程における所定の殺菌力を有しない液が通常の取出口13から供給されることがないように、例えば本実施例では分岐点37と取出口13との間に流路切り替え手段を設け、別途設けられた廃液取出口から排出するようにしてもよい。
【0072】
上述のように、本発明によれば、原水の電気伝導率変動、及びその変動に拘わらず、常に所定の次亜塩素酸ナトリウム濃度及びpHの活性水を得ることが可能である。又、所定の活性水が生成できない恐れのある場合に警報を発したり、活性水の生成動作を停止したりすることにより、常に強力な殺菌力を有する活性水を生成することができる。
【0073】
そして、本実施例では、一つの薬剤の希釈系において同一の電気伝導率センサを用いて原水の電気伝導率と薬剤希釈液の電気伝導率を測定するので、一つの薬剤の希釈系で複数の電気伝導率センサを用いる場合のように、複数の電気伝導率センサ間でのセンサ、アンプを含めた測定器の調整差などが発生することがなく、原水と、その原水による薬剤希釈液との電気伝導率差を、測定誤差を低減して精度よく測定することができる。又、一つの薬剤の希釈系について、電気伝導率センサの調整の手間、保守の手間、材料コストは1個分で済む。
【0074】
又、本発明によれば、次亜塩素酸ナトリウム、酸をそれぞれ希釈混合した液の電気伝導率から、原水自体の電気伝導率は差し引かれるので、電気伝導率が約1.0[μS/cm]の逆浸透水(R/O水)、電気伝導率が約250[μS/cm]の水道水、電気伝導率が約20[mS/cm]の海水などの広範囲の原水を、その電気伝導率の変動に拘わらず使用することができる。これにより、本発明に従う方法及び装置は、原水として逆浸透水(R/O水)を必要とする血液透析機器の殺菌から、例えばカット野菜の洗浄などの食品加工分野における洗浄、殺菌、更には水産分野における魚の洗浄、殺菌まで、広範囲の分野にて使用される活性水の調製に適用することができる。
【0075】
尚、上記実施例では、装置100は水道水供給管に直接接続されるものとして説明したが、原水として例えば逆浸透水(R/O水)を用いる場合は、原水供給手段として逆浸透水生成装置を介して供給口1を水道水供給管に接続したり、或は逆浸透水貯留槽から逆浸透水を供給口1に供給する構成とすることができる。又、原水として海水を用いる場合には、原水供給手段として、海水供給装置に供給口1を接続したり、或は海水貯留槽に供給口1を接続する構成とすることもできる。
【0076】
実施例2
次に、本発明の他の実施例について説明する。図3は、本発明の殺菌水生成方法を具現化する装置の他の実施例の概略構成を示す。本実施例の殺菌水生成装置の基本構成は実施例1のものと同じであるので、図1に示す装置100と実質的に同一若しくは相当する機能を有する要素には同一符号を付し、詳しい説明は省略する。
【0077】
実施例1では、電気伝導率センサDは、次亜塩素酸ナトリウム希釈混合流路32にのみ設け、酸の添加量は、最終的に生成された活性水のpHを測定することによって検知した。これに対し、本実施例では、酸希釈液の電気伝導率をも測定することで酸の添加量を電気伝導率の測定によって検知する。
【0078】
つまり、原水(本実施例では水道水)への酸の添加量、即ち、濃度と酸希釈液の電気伝導率とには一定の相関があることが分かっている。又、実施例1にて説明したように、所定の原水に所定の濃度で次亜塩素酸ナトリウムが希釈された次亜塩素酸ナトリウム希釈液への酸の添加量、即ち、濃度と、最終的に生成される活性水のpHとには一定の相関がある。
【0079】
最終的に、次亜塩素酸ナトリウム希釈混合流路32、酸希釈混合流露33からの次亜塩素酸ナトリウム希釈液と酸希釈液が、所定の割合(流量)にて希釈液混合流路34に導かれて混合されることで活性水は調製されるので、酸希釈混合流路33における酸希釈液の濃度を検知することによって、最終的に調製される活性水の酸濃度を検知することができる。そして、上述のように、次亜塩素酸ナトリウムを含む溶液中の酸濃度と、この溶液のpHとには一定の相関があるので、調製される活性水の酸濃度を所定値とすることによって、そのpHを所定値とすることができる。
【0080】
このとき、実施例1における次亜塩素酸ナトリウムの添加量の検知方法と同様に、特に原水としてもともとの電気伝導率が高く、その変動も考えられる水道水や井戸水などを用いる場合には、原水の電気伝導率をも測定し、原水の電気伝導率と酸添加後の電気伝導率との差を計算して、原水の電気伝導率分を差し引くことが不可欠である。
【0081】
本実施例では、次亜塩素酸ナトリウム希釈混合流路32に設けられた第1の混合器7の下流側、且つ、次亜塩素酸ナトリウム希釈混合流路32と酸希釈混合流路33との合流点36より上流側に、電気伝導率測定手段としての第1の電気伝導率センサD1を配置する。又、酸希釈混合流路33に設けられた第2の混合器11の下流側、且つ、次亜塩素酸ナトリウム希釈混合流路32と酸希釈混合流路33との合流点36より上流側に、電気伝導率測定手段としての第2の電気伝導率センサD2を配置する。本実施例では、pH測定用流路38は設けられていない。
【0082】
つまり、本実施例では、実施例1と同様に、次亜塩素酸ナトリウムの希釈系に関して、電気伝導率センサは、原水に次亜塩素酸ナトリウムを添加した後の次亜塩素酸ナトリウム希釈液を測定し得る位置に1台のみ装備する。又、酸の希釈系に関して、電気伝導率センサは、原水に酸を添加した後の酸希釈液を測定し得る位置に1台のみ装備する。
【0083】
第1の電気伝導率センサD1を用いた次亜塩素酸ナトリウムの添加量の検知方法は実施例1と同様である。又、酸の添加量の検知方法も、次亜塩素酸ナトリウムの添加量の検知方法と実質的に同じである。即ち、先ず、酸を送液する第2のポンプ9を停止したまま、原水を流して電気伝導率(V3)を測定し、記憶する。次に、第2のポンプ9を動作させ、酸を原水に添加した酸希釈液の電気伝導率(V4)を測定する。電気伝導率差(V4−V3)の値が、酸の添加によるもので、原水の流量は一定に保たれているので、結局、酸希釈液の酸濃度(即ち、活性水の酸濃度に対応する活性水のpH)を測定できることとなる。
【0084】
更に説明すると、本実施例では、装置100は、実施例1と同様の第1の測定工程、第2の測定工程を有し、第1、第2の測定工程においてそれぞれ測定された電気伝導率の差(V2−V1)に基づいて、次亜塩素酸ナトリウムの添加量を検知する。
【0085】
本実施例では更に、好ましくは第1の測定工程と同時に、(c)原水供給源に接続された第2の液流路L2を流動する原水の電気伝導率(V3)を、第2の液流路L2に配置された第2の電気伝導率センサD2にて測定する第3の測定工程を有する。又、好ましくは第2の測定工程と同時に、(d)第3の測定工程より後に、第2の液流路L2を流動する原水に酸を添加しながら、原水に酸が混合された酸希釈液の電気伝導率(V4)を第2の電気伝導率センサD2にて測定する第4の測定工程を有する。そして、第2の液流路L2を流動する酸希釈液を、第1の液流路L1を流動する次亜塩素酸ナトリウム希釈液に第1、第2の電気伝導率センサD1、D2より下流側(即ち、次亜塩素酸ナトリウム希釈混合流路32と酸希釈混合流路33との合流点36)にて合流させて、次亜塩素酸ナトリウム希釈液と酸希釈液とが混合された活性水を生成すると共に、第3、第4の測定工程においてそれぞれ測定された電気伝導率の差(V4−V3)に基づいて、酸の添加量を検知する。本実施例では、第1の液流路L1と第2の液流路L2は、一つの原水供給源から分岐して導かれている。
【0086】
第1の電気伝導率センサD1は、実施例1における電気伝導率センサDと同じ構成とすることができる。又、第2の電気伝導率センサD2も、第1の電気伝導率センサD1と同様の構成とすることができ、酸希釈混合流路33を流動する原水の電気伝導率(V3)、及び第2の混合器11内で希釈混合された酸希釈液の電気伝導率(V4)を検出し、対応する信号を制御回路20に送信する。制御回路20は、実施例1における電気伝導率センサDに関する処理と同様にして、第1、第2の電気伝導率センサD1、D2の出力を所定期間読み取り、出力が安定した時点で検出値とする。又、制御回路20は、第1、第3の測定工程で検出される電気伝導率(V1、V3)に対応する第1、第2の電気伝導率センサD1、D2の出力を記憶手段(記憶部)21に記憶し、次亜塩素酸ナトリウム、酸のそれぞれの添加量の計算に用いる。
【0087】
図4をも参照して更に説明する。図4(a)は、本実施例における次亜塩素酸ナトリウム及び酸の添加量検知動作シーケンスを示し、図4(b)は、同シーケンスにおける各タイミングで第1、第2の電気伝導率センサD1、D2、取出口13の位置を流動する液の種類及び電気伝導率の検出タイミングを示す。
【0088】
図4(a)に示すように、装置100は、先ず、第1、第3の測定工程として、第1のポンプ5を停止させ、第1の原液タンク4内の次亜塩素酸ナトリウムが注入されないようにすると共に、第2のポンプ9を停止させ、第2の原液タンク8内の酢酸が注入されないようにした状態で、供給口1からの原水を流し、第1、第2の電気伝導率センサD1、D2によって、それぞれ原水の電気伝導率(V1、V3)を測定する。
【0089】
次に、第2、第4の測定工程として、第1のポンプ5を動作させ、第1の原液タンク4内の次亜塩素酸ナトリウムを注入すると共に、第2のポンプ9を動作させ、第2の原液タンク8内の酢酸を注入した状態で、第1、第2の電気伝導率センサD1、D2により、次亜塩素酸ナトリウム希釈液、酸希釈液のそれぞれの電気伝導率(V2、V4)を測定する。
【0090】
第2の測定工程で測定した次亜塩素酸ナトリウム希釈液の電気伝導率(V2)から、第1の測定工程で測定した原水の電気伝導率(V1)を差し引けば、次亜塩素酸ナトリウム注入量、即ち、次亜塩素酸ナトリウムの濃度を計算することができる。又、第4の測定工程で測定した酸希釈液の電気伝導率(V4)から、第3の測定工程で測定した原水の電気伝導率(V3)を差し引けば、酸注入量、即ち、酸の濃度を計算することができる。
【0091】
第3、第4の測定工程は、実施例1にて説明した第1、第2の測定工程を行うタイミングと同期して行うようにすればよい。
【0092】
制御回路20における第1の電気伝導率センサD1の検出結果(V1、V2)に基づく処理は、実施例1における電気伝導率センサDの検出結果(V1、V2)に基づく処理と同じである。
【0093】
又、制御回路20における第2の電気伝導率センサD2の検出結果(V3、V4)の処理方法も、実施例1における電気伝導率センサDの検出結果(V1、V2)の処理方法と実質的に同じである。
【0094】
つまり、制御回路20には、予め求められた酸希釈液の電気伝導率(V4)と原水の電気伝導率(V3)の差(V4−V3)と、酸の添加量との関係に基づいて、所定の酸添加量に相当する電気伝導率差(V4−V3)が設定されている。
【0095】
活性水の生成に際して、制御回路20は、入力された酸希釈液の電気伝導率(V4)から原水の電気伝導率(V3)を差し引いた電気伝導率(V4−V3)を設定値と比較することによって、酸の添加量を常に監視することができる。尚、活性水の生成動作時には常に、検知された酸の添加量を、所定の表示形態にて表示手段22に表示することができる。酸の添加量は、酸希釈液の酸濃度、活性水の酸濃度或いは電気伝導率差(V4−V3)自体など、任意の形態にて表示することができる。
【0096】
そして、実施例1と同様に、所定の次亜塩素酸ナトリウム濃度及びpHの活性水を生成できない虞のある場合に、警報や所定の情報表示など、所定の装置異常時動作を行うことよって、使用者に正常に活性水が生成されないことを報知することができる。又、このような場合に活性水の生成動作自体を停止させることもできる。つまり、本実施例では、制御回路20は、活性水のpHに関しては、実施例1においてpH電極の検出結果の代わりに、上述のようにして監視している酸の添加量が設定値から所定の許容範囲以上外れた場合に、警報装置23によって所定の警報を発し、又、原水、次亜塩素酸ナトリウム、酸の供給停止などの実施例1と同様の所定の動作を行う。
【0097】
又、本実施例では、例えば、装置100の電源投入時或いは活性水の生成動作の開始時の初期設定動作などとして、上述のようにして検知され、表示されている酸の添加量が、設定値と所定の許容範囲内で一致するように、第2のポンプ9の駆動量(ストローク長、ストローク数など)を手動で調整することができるようになっている。又、実施例1と同様に、酸の添加量の検出結果を制御手段20による第2のポンプ9の駆動量の自動制御にフィードバックすることも可能である。
【0098】
尚、本実施例においても、実施例1と同様に、図4(b)に示すように、第1、第3の測定工程を実施している間の所定の殺菌力を有しない液(本実施例では原水)を、取出口13とは別に設けられた廃液取出口から排出するようにしてもよい。
【0099】
以上、本実施例の構成においても、一つの薬剤の希釈系において同一の電気伝導率センサを用いて原水の電気伝導率と薬剤希釈液の電気伝導率を測定するので、一つの薬剤の希釈系で複数の電気伝導率センサを用いる場合のように、複数の電気伝導率センサ間でのセンサ、アンプを含めた測定器の調整差などが発生することがなく、原水と、その原水による薬剤希釈液との電気伝導率差を、測定誤差を低減して精度よく測定することができる。又、本実施例では、活性水のpH管理をも、比較的安価で、扱いやすい電気伝導率センサを用いて行うことができるという利点がある。又、本実施例の構成は、実施例1に対して、pH測定用流路38を設ける必要が無く、装置構成をより簡易化し得る点で有利である。
【0100】
尚、本実施例においても、実施例1と同様にpH電極Eを設けて、最終的に生成された活性水のpHを測定し、必要時に警報などの所定の動作を行うようにしてもよい。
【0101】
実施例3
次に、本発明の更に他の実施例について説明する。図5は、本発明の殺菌水生成方法を具現化する装置の他の実施例の概略構成を示す。本実施例の殺菌水生成装置の基本構成は実施例1のものと同じであるので、図1に示す装置100と実質的に同一若しくは相当する機能を有する要素には同一符号を付し、詳しい説明は省略する。
【0102】
本実施例では、実施例2と同様に、電気伝導率の測定により、次亜塩素酸ナトリウム、酸の双方の添加量を検知する。但し、本実施例では、希釈液混合流路34に設けられた第3の混合器12の下流側、且つ、取出口13より上流側に、電気伝導率測定手段としての電気伝導率センサDを1個だけ配置する。これにより、本実施例においても、電気伝導率センサは、次亜塩素酸ナトリウムの希釈系及び酸の希釈系のそれぞれに関して1台のみ装備した構成となっている。本実施例では、pH測定用流路38は設けられていない。
【0103】
つまり、本実施例では、先ず、次亜塩素酸ナトリウムを送液する第1のポンプ5及び酸を送液する第2のポンプ9を停止したまま、原水を流して電気伝導率(V5)を測定し、記憶する。次に、第1のポンプ5を動作させ、第2のポンプ9を停止した状態で、次亜塩素酸ナトリウム希釈混合流路32を介して次亜塩素酸ナトリウムを原水に添加した次亜塩素酸ナトリウム希釈液(更に、酸希釈混合流路33を介して供給される原水が合流したもの。)の電気伝導率(V6)を測定する。電気伝導率差(V6−V5)の値が、次亜塩素酸ナトリウムの添加によるもので、原水の流量は一定に保たれているので、結局、活性水の次亜塩素酸ナトリウム濃度を測定できることとなる。そして、所望により次亜塩素酸ナトリウムの添加量を調整した後に、上記電気伝導率(V6)の測定値を記憶する。次に、第1のポンプ5を動作させたまま、酸を送液する第2のポンプ9の動作を開始し、次亜塩素酸ナトリウム希釈混合流路32を介して次亜塩素酸ナトリウムを原水に添加した次亜塩素酸ナトリウム希釈液と、酸希釈混合流路33を介して酸を原水に添加した酸希釈液酸とが混合された活性水の電気伝導率(V7)を測定する。電気伝導率差(V7−V6)の値が、酸の添加によるもので、原水の流量は一定に保たれているので、結局、活性水の酸濃度(即ち、活性水のpH)を測定できることとなる。
【0104】
更に説明すると、本実施例では、装置100は、(a)原水供給源に接続された第1の液流路L1を流動する原水の電気伝導率(V5)を、第1の液流路L1に配置された電気伝導率測定センサDにて測定する第1の測定工程と、(b)第1の測定工程より後に、第1の液流路L1を流動する原水に次亜塩素酸ナトリウムを添加しながら、原水に次亜塩素酸ナトリウムが混合された次亜塩素酸ナトリウム希釈液の電気伝導率(V6)を電気伝導率センサDにて測定する第2の測定工程と、を有する。そして、第1、第2の測定工程においてそれぞれ測定された電気伝導率の差(V6−V5)に基づいて、次亜塩素酸ナトリウムの添加量を検知する。
【0105】
尚、本実施例では、次亜塩素酸ナトリウムによる電気伝導率(電気伝導率差)は、次亜塩素酸ナトリウム希釈混合流路32を流動する次亜塩素酸ナトリウム希釈液に、酸希釈混合流路33を流動する原水を合流させた量の液中の濃度に相当する値(即ち、本実施例では、実施例1、2における次亜塩素酸ナトリウム希釈液の半分の濃度の次亜塩素酸ナトリウム希釈液の電気伝導率に相当する。)として測定される。
【0106】
本実施例では更に、(e)第2の測定工程より後に、原水供給源に接続された第2の液流路L2を流動する原水に酸を添加して原水に酸が混合された酸希釈液を生成し、第2の液流路L2を流動する酸希釈液を、第1の液流路L1を流動する次亜塩素酸ナトリウム希釈液に電気伝導率センサDより上流側(即ち、次亜塩素酸ナトリウム希釈混合流路32と酸希釈混合流路33との合流点36)にて合流させながら、次亜塩素酸ナトリウム希釈液と酸希釈液とが混合された活性水の電気伝導率を電気伝導率センサDにて測定する第3の測定工程を有する。そして、第2、第3の測定工程においてそれぞれ測定された電気伝導率の差(V7−V6)に基づいて、酸の添加量を検知する。本実施例では、第1の液流路L1と第2の液流路L2は、一つの原水供給源から分岐して導かれている。
【0107】
尚、本実施例では、酸による電気伝導率(電気伝導率差)は、酸希釈混合流路33を流動する酸希釈液に、次亜塩素酸ナトリウム希釈混合流路32を流動する次亜塩素酸ナトリウム希釈液を合流させた量の液中の濃度に相当する値(即ち、本実施例では、実施例2における酸希釈液の半分の濃度の酸希釈液の電気伝導率に相当する。)として測定される。
【0108】
電気伝導率センサDは、実施例1における電気伝導率センサDと同じ構成とすることができ、希釈液混合流路34を流動する原水、次亜塩素酸ナトリウム希釈液、活性水のそれぞれの電気伝導率(V5、V6、V7)を検出し、対応する信号を制御回路20に送信する。制御回路20は、実施例1における電気伝導率センサDに関する処理と同様にして、電気伝導率センサDの出力を所定期間読み取り、出力が安定した時点で検出値とする。制御回路20は、第1、第2の測定工程で検出される電気伝導率(V5、V6)に対応する電気伝導率センサDの出力を記憶手段(記憶部)21に記憶し、次亜塩素酸ナトリウム、酸のそれぞれの添加量の計算に用いる。
【0109】
図6をも参照して更に説明する。図6(a)は、本実施例における次亜塩素酸ナトリウム及び酸の添加量検知動作シーケンスを示し、図6(b)は、同シーケンスにおける各タイミングで取出口13(電気伝導率センサD)の位置を流動する液の種類及び電気伝導率の検出タイミングを示す。
【0110】
図6(a)に示すように、装置100は、先ず、第1の測定工程として、第1のポンプ5を停止させ、第1の原液タンク4内の次亜塩素酸ナトリウムが注入されないようにすると共に、第2のポンプ9を停止させ、第2の原液タンク8内の酢酸が注入されないようにした状態で、供給口1からの原水を流し、電気伝導率センサDによって原水の電気伝導率(V5)を測定する。
【0111】
次に、第2の測定工程として、第1のポンプ5を動作させ、第1の原液タンク4内の次亜塩素酸ナトリウムを注入すると共に、第2のポンプ9を停止させ、第2の原液タンク8内の酢酸を注入しないようにした状態で、電気伝導率センサDにより、次亜塩素酸ナトリウム希釈液の電気伝導率(V6)を測定する。
【0112】
次に、第3の測定工程として、第1のポンプ5を動作させ、第1の原液タンク4内の次亜塩素酸ナトリウムを注入すると共に、第2のポンプ9を動作させ、第2の原液タンク8内の酢酸を注入した状態で、電気伝導率センサDにより、活性水の電気伝導率(V7)を測定する。
【0113】
第2の測定工程で測定した次亜塩素酸ナトリウム希釈液の電気伝導率(V6)から、第1の測定工程で測定した原水の電気伝導率(V5)を差し引けば、次亜塩素酸ナトリウム注入量、即ち、次亜塩素酸ナトリウムの濃度を計算することができる。又、第3の測定工程で測定した活性水の電気伝導率(V7)から、第2の測定工程で測定した次亜塩素酸ナトリウム希釈液の電気伝導率(V6)を差し引けば、酸注入量、即ち、酸の濃度を計算することができる。
【0114】
第1及び第2の測定工程は、初期設定動作として、活性水の生成動作を開始する時或いは装置の電源投入時のみ行うようにして良いし、所定の時間間隔で第1及び第2の測定工程を繰り返し行うようにしても良い。又、第1及び第2の測定工程は、必要なときのみ操作者の指示により任意のタイミングで行うようにしても良い。
【0115】
制御回路20には、予め求められた次亜塩素酸ナトリウム希釈液の電気伝導率(V6)と原水の電気伝導率(V5)の差(V6−V5)と、次亜塩素酸ナトリウムの添加量との関係に基づいて、所定の次亜塩素酸ナトリウム添加量に相当する電気伝導率差(V6−V5)が設定されている。又、制御回路20には、活性水の電気伝導率(V7)と次亜塩素酸ナトリウム希釈液の電気伝導率(V6)の差(V7−V6)と、酸の添加量との関係に基づいて、所定の酸添加量に相当する電気伝導率差(V7−V6)が設定されている。
【0116】
本実施例では、装置100の電源投入時或いは活性水の生成動作の開始時の初期設定動作などとして、制御回路20は、入力された次亜塩素酸ナトリウム希釈液の電気伝導率(V6)から原水の電気伝導率(V5)を差し引いた電気伝導率(V6−V5)を設定値と比較することによって、次亜塩素酸ナトリウム希釈液の添加量を監視することができる。又、制御回路20は、入力された活性水の電気伝導率(V7)から次亜塩素酸ナトリウム希釈液の電気伝導率(V6)を差し引いた電気伝導率(V7−V6)を設定値と比較することによって、酸希釈液の添加量を監視することができる。
【0117】
そして、所定の次亜塩素酸ナトリウム濃度及びpHの活性水を生成できない虞のある場合に、警報や所定の情報表示など、所定の装置異常時動作を行うことよって、使用者に正常に活性水が生成されないことを報知して、次亜塩素酸ナトリウム、酸のそれぞれの添加量が設定値と所定の許容範囲内で一致するように、第1、第2のポンプ5、9の駆動量(ストローク長、ストローク数など)を手動で調整することを促すことができる。又、初期設定動作時に、制御手段20によって第1、第2のポンプ5、9の駆動量を制御することで次亜塩素酸ナトリウム、酸の添加量を自動調節するようにしてもよい。
【0118】
尚、本実施例においても、実施例1と同様に、図6(b)に示すように、第1、第2の測定工程を実施している間の所定の殺菌力を有しない液(本実施例では原水及び次亜塩素酸ナトリウム希釈液)を、取出口13とは別に設けられた廃液取出口から排出するようにしてもよい。
【0119】
以上、本実施例によれば、更に簡易な構成によって、次亜塩素酸ナトリウム、酸の添加量を検知して、調整することが可能となる。
【0120】
尚、本実施例においても、実施例1と同様にpH電極Eを設けて、最終的に生成された活性水のpHを測定し、必要時に警報などの所定の動作を行うようにしてもよい。又、本実施例における、第2、第3の測定工程での次亜塩素酸ナトリウム、酸の添加開始順序を逆にして、酸希釈液と原水の電気伝導率の差に基づいて酸の添加量を検知し、活性水と酸希釈液の電気伝導率の差から次亜塩素酸ナトリウムの添加量を検知する構成としてもよい。
【0121】
実施例4
次に、本発明の更に他の実施例について説明する。本実施例では、図5に示す実施例3にて説明した装置における、次亜塩素酸ナトリウム、酸の添加量の検知方法の他の実施例について説明する。
【0122】
本実施例では、先ず、次亜塩素酸ナトリウムを送液する第1のポンプ5及び酸を送液する第2のポンプ9を停止したまま、原水を流して電気伝導率(V8)を測定し、記憶する。次に、第1のポンプ5を動作させ、第2のポンプ9を停止した状態で、次亜塩素酸ナトリウム希釈混合流路32を介して次亜塩素酸ナトリウムを原水に添加した次亜塩素酸ナトリウム希釈液(更に、酸希釈混合流路33を介して供給される原水が合流したもの。)の電気伝導率(V9)を測定する。電気伝導率差(V9−V8)の値が、次亜塩素酸ナトリウムの添加によるもので、原水の流量は一定に保たれているので、結局、活性水の次亜塩素酸ナトリウム濃度を測定できることとなる。そして、所望により次亜塩素酸ナトリウムの添加量を調整した後に、次に、第1のポンプ5を停止させて、次亜塩素酸ナトリウム希釈混合流路32、酸希釈混合流路33を介して原水を所定時間流す(水洗)。又、所望によりこの水洗時の原水の電気伝導率(V10)を測定し、記憶する。次に、第2のポンプ9を動作させて、第1のポンプ5を停止した状態で、酸希釈混合流路33を介して酸を原水に添加した酸希釈液の電気伝導率(V11)を測定する。電気伝導率差(V11−V8、又は、V11−V10)の値が、酸の添加によるもので、原水の流量は一定に保たれているので、結局、活性水の酸濃度を測定できることとなる。
【0123】
更に説明すると、本実施例では、装置100は、(a)原水供給源に接続された第1の液流路L1を流動する原水の電気伝導率(V8)を、第1の液流路L1に配置された電気伝導率測定センサDにて測定する第1の測定工程と、(b)第1の測定工程より後に、第1の液流路L1を流動する原水に次亜塩素酸ナトリウムを添加しながら、原水に次亜塩素酸ナトリウムが混合された次亜塩素酸ナトリウム希釈液の電気伝導率(V9)を電気伝導率センサDにて測定する第2の測定工程と、を有する。そして、第1、第2の測定工程においてそれぞれ測定された電気伝導率の差(V9−V8)に基づいて、次亜塩素酸ナトリウムの添加量を検知する。
【0124】
尚、本実施例では、次亜塩素酸ナトリウムによる電気伝導率(電気伝導率差)は、次亜塩素酸ナトリウム希釈混合流路32を流動する次亜塩素酸ナトリウム希釈液に、酸希釈混合流路33を流動する原水を合流させた量の液中の濃度に相当する値(即ち、本実施例では、実施例1、2における次亜塩素酸ナトリウム希釈液の半分の濃度の次亜塩素酸ナトリウム希釈液の電気伝導率に相当する。)として測定される。
【0125】
本実施例では更に、(f)第2の測定工程より後に、第1の液流路L1を流動する原水への次亜塩素酸ナトリウムの添加を停止すると共に、原水供給源に接続された第2の液流路L2を流動する原水に酸を添加して原水に酸が混合された酸希釈液を生成し、第2の液流路L2を流動する酸希釈液を、第1の液流路L1を流動する原水に電気伝導率センサDより上流側(即ち、次亜塩素酸ナトリウム希釈混合流路32と酸希釈混合流路33との合流点36)にて合流させながら、第1の液流路L1を流動する原水に酸希釈液が混合された液の電気伝導率(V11)を電気伝導率センサDにて測定する第3の測定工程を有する。そして、第1、第3の測定工程においてそれぞれ測定された電気伝導率の差(V11−V8)に基づいて、酸の添加量を検知する。本実施例では、第1の液流路L1と第2の液流路L2は、一つの原水供給源から分岐して導かれている。
【0126】
尚、本実施例では、酸による電気伝導率(電気伝導率差)は、酸希釈混合流路33を流動する酸希釈液に、次亜塩素酸ナトリウム希釈混合流路32を流動する原水を合流させた量の液中の濃度に相当する値(即ち、本実施例では、実施例2における酸希釈液の半分の濃度の酸希釈液の電気伝導率に相当する。)として測定される。
【0127】
又、好ましくは、(g)第2の測定工程と第3の測定工程の間に、第1の液流路L1を流動する原水への次亜塩素酸ナトリウムの添加を停止すると共に、原水供給源に接続された第2の液流路L2を流動する原水を、第1の液流路L1を流動する原水に電気伝導率センサDより上流側(即ち、次亜塩素酸ナトリウム希釈混合流路32と酸希釈混合流路33との合流点36)にて合流させながら、第1の液流路L1を流動する原水の電気伝導率(V10)を電気伝導率センサDにて測定する水洗工程を有する。そして、上記電気伝導率差(V11−V8)に代えて、第3の測定工程、水洗工程においてそれぞれ測定された電気伝導率の差(V11−V10)に基づいて、酸の添加量を検知することができる。
【0128】
そして、第3の測定工程より後に、第1の液流路L1を流動する原水への次亜塩素酸ナトリウムの添加を再開すると共に、第2の液流路L2を流動する酸希釈液を、第1の液流路L1を流動する次亜塩素酸ナトリウム希釈液に電気伝導率測センサより上流側(即ち、次亜塩素酸ナトリウム希釈混合流路32と酸希釈混合流路33との合流点36)にて合流させて、次亜塩素酸ナトリウム希釈液と酸希釈液とが混合された殺菌水を生成する。
【0129】
電気伝導率センサDは、実施例1における電気伝導率センサDと同じ構成とすることができ、希釈液混合流路34を流動する原水、次亜塩素酸ナトリウム希釈液、活性水のそれぞれの電気伝導率(V8〜V11)を検出し、対応する信号を制御回路20に送信する。制御回路20は、実施例1における電気伝導率センサDに関する処理と同様にして、電気伝導率センサDの出力を所定期間読み取り、出力が安定した時点で検出値とする。制御回路20は、第1、第2の測定工程で検出される電気伝導率(V8、更に所望によりV10)に対応する電気伝導率センサDの出力を記憶手段(記憶部)21に記憶し、次亜塩素酸ナトリウム、酸のそれぞれの添加量の計算に用いる。
【0130】
図7をも参照して更に説明する。図7(a)は、本実施例における次亜塩素酸ナトリウム及び酸の添加量検知動作シーケンスを示し、図7(b)は、同シーケンスにおける各タイミングで取出口13(電気伝導率センサD)の位置を流動する液の種類及び電気伝導率の検出タイミングを示す。
【0131】
図7(a)に示すように、装置100は、先ず、第1の測定工程として、第1のポンプ5を停止させ、第1の原液タンク4内の次亜塩素酸ナトリウムが注入されないようにすると共に、第2のポンプ9を停止させ、第2の原液タンク8内の酢酸が注入されないようにした状態で、供給口1からの原水を流し、電気伝導率センサDによって原水の電気伝導率(V8)を測定する。
【0132】
次に、第2の測定工程として、第1のポンプ5を動作させ、第1の原液タンク4内の次亜塩素酸ナトリウムを注入すると共に、第2のポンプ9を停止させ、第2の原液タンク8内の酢酸が注入されないようにした状態で、電気伝導率センサDにより、次亜塩素酸ナトリウム希釈液の電気伝導率(V9)を測定する。
【0133】
次に、第3の測定工程として、第1のポンプ5を停止させ、第1の原液タンク4内の次亜塩素酸ナトリウムが注入されないようにすると共に、第2のポンプ9を動作させ、第2の原液タンク8内の酢酸を注入した状態で、電気伝導率センサDにより、酸希釈液の電気伝導率(V11)を測定する。
【0134】
所望により、上記第2、第3の測定工程の間に、水洗工程として、第1のポンプ5を停止させ、第1の原液タンク4内の次亜塩素酸ナトリウムが注入されないようにすると共に、第2のポンプ9を停止させ、第2の原液タンク8内の酢酸が注入されないようにした状態で、供給口1からの原水を流し、電気伝導率センサDによって原水の電気伝導率(V10)を測定する。
【0135】
第2の測定工程で測定した次亜塩素酸ナトリウム希釈液の電気伝導率(V9)から、第1の測定工程で測定した原水の電気伝導率(V8)を差し引けば、次亜塩素酸ナトリウム注入量、即ち、次亜塩素酸ナトリウムの濃度を計算することができる。又、第3の測定工程で測定した酸希釈液の電気伝導率(V11)から、第1の測定工程で測定した原水の電気伝導率(V8)若しくは水洗工程で測定した原水の電気伝導率(V10)を差し引けば、酸注入量、即ち、酸の濃度を計算することができる。
【0136】
第1の測定工程〜第3の測定工程は、初期設定動作として、活性水の生成動作を開始する時或いは装置の電源投入時のみ行うようにして良いし、所定の時間間隔で第1〜第3の測定工程を繰り返し行うようにしても良い。又、第1の測定工程〜第3の測定工程は、必要なときのみ操作者の指示により任意のタイミングで行うようにしても良い。
【0137】
制御回路20には、予め求められた次亜塩素酸ナトリウム希釈液の電気伝導率(V9)と原水の電気伝導率(V8)の差(V9−V8)と、次亜塩素酸ナトリウムの添加量との関係に基づいて、所定の次亜塩素酸ナトリウム添加量に相当する電気伝導率差(V9−V8)が設定されている。又、制御回路20には、酸希釈液の電気伝導率(V11)と原水の電気伝導率(V8又はV10)の差(V11−V8、又は、V11−V10)と、酸の添加量との関係に基づいて、所定の酸添加量に相当する電気伝導率差(V11−V8、又は、V11−V10)が設定されている。
【0138】
本実施例では、装置100の電源投入時或いは活性水の生成動作の開始時の初期設定動作などとして、制御回路20は、入力された次亜塩素酸ナトリウム希釈液の電気伝導率(V9)から原水の電気伝導率(V8)を差し引いた電気伝導率(V9−V8)を設定値と比較することによって、次亜塩素酸ナトリウム希釈液の添加量を監視することができる。又、制御回路20は、入力された酸希釈液の電気伝導率(V11)から原水の電気伝導率(V8又はV10)を差し引いた電気伝導率(V11−V8、又は、V11−V10)を設定値と比較することによって、酸希釈液の添加量を監視することができる。
【0139】
そして、所定の次亜塩素酸ナトリウム濃度及びpHの活性水を生成できない虞のある場合に、警報や所定の情報表示など、所定の装置異常時動作を行うことよって、使用者に正常に活性水が生成されないことを報知して、次亜塩素酸ナトリウム、酸のそれぞれの添加量が設定値と所定の許容範囲内で一致するように、第1、第2のポンプ5、9の駆動量(ストローク長、ストローク数など)を手動で調整することを促すことができる。又、初期設定動作時に、制御手段20によって第1、第2のポンプ5、9の駆動量を制御することで、次亜塩素酸ナトリウム、酸の添加量を自動調節するようにしてもよい。
【0140】
尚、本実施例においても、実施例1と同様に、図7(b)に示すように、第1の測定工程〜第3の測定工程を実施している間の所定の殺菌力を有しない液(本実施例では原水、次亜塩素酸ナトリウム希釈液及び酸希釈液)を、取出口13とは別に設けられた廃液取出口から排出するようにしてもよい。
【0141】
以上、本実施例によれば、更に簡易な構成によって、次亜塩素酸ナトリウム、酸の添加量を検知して、調整することが可能となる。又、実施例3と比較して、酸の添加量をより精度よく検知することができる。
【0142】
尚、本実施例においても、実施例1と同様にpH電極Eを設けて、最終的に生成された活性水のpHを測定し、必要時に警報などの所定の動作を行うようにしてもよい。又、本実施例における、第2、第3の測定工程での次亜塩素酸ナトリウム、酸の添加開始順序を逆にして、先に酸希釈液と原水の電気伝導率の差に基づいて酸の添加量を検知し、次に次亜塩素酸ナトリウム希釈液と原水の電気伝導率の差から次亜塩素酸ナトリウムの添加量を検知する構成としてもよい。
【0143】
又、以上の説明においては、便宜的に、原水供給流路31の下流端における次亜塩素酸ナトリウム希釈混合流路32と酸希釈混合流路33への分岐点35から、次亜塩素酸ナトリウム希釈混合流路32を経て取出口13に至る流路を第1の液流路L1とし、原水供給流路31の下流端における次亜塩素酸ナトリウム希釈混合流路32と酸希釈混合流路33への分岐点35から、酸希釈混合流路33を経て合流点36に至る流路を第2の液流路L2として説明したが、例えば、第1の液流路L1を酸の希釈系、第2の液流路を次亜塩素酸ナトリウムの希釈系として見て、第1の液流路L1に配置された電気伝導率測定手段を用いて酸の添加量のみを電気伝導率の測定結果から検知する態様も企図し得ることは、実施例1、2などの説明から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0144】
【図1】本発明に係る殺菌水生成方法を具現化する殺菌水生成装置の一実施例の概略構成図である。
【図2】本発明に従う次亜塩素酸ナトリウム及び酸の添加量検知動作シーケンスの一例を説明するためのチャート図である。
【図3】本発明に係る殺菌水生成方法を具現化する殺菌水生成装置の他の実施例の概略構成図である。
【図4】本発明に従う次亜塩素酸ナトリウム及び酸の添加量検知動作シーケンスの他の例を説明するためのチャート図である。
【図5】本発明に係る殺菌水生成方法を具現化する殺菌水生成装置の更に他の実施例の概略構成図である。
【図6】本発明に従う次亜塩素酸ナトリウム及び酸の添加量検知動作シーケンスの他の例を説明するためのチャート図である。
【図7】本発明に従う次亜塩素酸ナトリウム及び酸の添加量検知動作シーケンスの他の例を説明するためのチャート図である。
【図8】従来の殺菌水生成装置の概略構成図である。
【図9】次亜塩素酸ナトリウム含有殺菌水の活性化方法を説明するためのグラフ図である。
【符号の説明】
【0145】
1 供給口
2 第1の定流量弁
3 第2の定流量弁
4 第1の原液タンク(次亜塩素酸ナトリウム原液タンク)
5 第1のポンプ
6 第1の注入部
7 第1の混合器
8 第2の原液タンク(酸原液タンク)
9 第2のポンプ
10 第2の注入部
11 第2の混合器
12 第3の混合器
13 取出口
14 電磁弁
15 圧力スイッチ
20 制御回路(制御手段)
21 記憶手段
22 表示手段
23 警報装置
24 装置操作部(電気伝導率入力手段)
31 原水供給流路
32 次亜塩素酸ナトリウム希釈混合流路
33 酸希釈混合流路
34 希釈液混合流路
35 分岐点
36 合流点
100 殺菌水生成装置
D 電気伝導率センサ(電気伝導率測定手段)
E pH電極(pH測定手段)
L1 第1の液流路
L2 第2の液流路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次亜塩素酸ナトリウムと酸とを各々単独で原水に希釈混合して次亜塩素酸ナトリウム希釈液と酸希釈液とを生成し、この次亜塩素酸ナトリウム希釈液と酸希釈液とを混合して殺菌水を生成する殺菌水生成方法において、次亜塩素酸ナトリウム及び酸のいずれか一方をA剤、他方をB剤とするとき、
(a)原水供給源に接続された第1の液流路を流動する原水の電気伝導率を、前記第1の液流路に配置された電気伝導率測定手段にて測定する工程と、
(b)前記(a)工程より後に、前記第1の液流路を流動する原水にA剤を添加しながら、原水にA剤が混合されたA剤希釈液の電気伝導率を前記電気伝導率測定手段にて測定する工程と、
を有し、
前記(a)工程、前記(b)工程においてそれぞれ測定された電気伝導率の差に基づいて、A剤の添加量を検知することを特徴とする殺菌水生成方法。
【請求項2】
前記(a)工程より後に、原水供給源に接続された第2の液流路を流動する原水にB剤を添加して原水にB剤が混合されたB剤希釈液を生成し、前記第2の液流路を流動するB剤希釈液を、前記第1の液流路を流動するA剤希釈液に前記電気伝導率測定手段より下流側にて合流させて、A剤希釈液とB剤希釈液とが混合された殺菌水を生成することを特徴とする請求項1の殺菌水生成方法。
【請求項3】
更に、
(c)原水供給源に接続された第2の液流路を流動する原水の電気伝導率を、前記第2の液流路に配置された第2の電気伝導率測定手段にて測定する工程と、
(d)前記(c)工程より後に、前記第2の液流路を流動する原水にB剤を添加しながら、原水にB剤が混合されたB剤希釈液の電気伝導率を前記第2の電気伝導率測定手段にて測定する工程と、
を有し、
前記(c)工程、前記(d)工程においてそれぞれ測定された電気伝導率の差に基づいて、B剤の添加量を検知することを特徴とする請求項1の殺菌水生成方法。
【請求項4】
前記(c)工程は前記(a)工程と同時に行われ、前記(d)工程は前記(b)工程と同時に行われ、前記第2の液流路を流動するB剤希釈液を、前記第1の液流路を流動するA剤希釈液に前記電気伝導率測定手段より下流側にて合流させて、A剤希釈液とB剤希釈液とが混合された殺菌水を生成することを特徴とする請求項3の殺菌水生成方法。
【請求項5】
更に、
(e)前記(b)工程より後に、原水供給源に接続された第2の液流路を流動する原水にB剤を添加して原水にB剤が混合されたB剤希釈液を生成し、前記第2の液流路を流動するB剤希釈液を、前記第1の液流路を流動するA剤希釈液に前記電気伝導率測定手段より上流側にて合流させながら、A剤希釈液とB剤希釈液とが混合された殺菌水の電気伝導率を前記電気伝導率測定手段にて測定する工程を有し、
前記(b)工程、前記(e)工程においてそれぞれ測定された電気伝導率の差に基づいて、B剤の添加量を検知することを特徴とする請求項1の殺菌水生成方法。
【請求項6】
更に、
(f)前記(b)工程より後に、前記第1の液流路を流動する原水へのA剤の添加を停止すると共に、原水供給源に接続された第2の液流路を流動する原水にB剤を添加して原水にB剤が混合されたB剤希釈液を生成し、前記第2の液流路を流動するB剤希釈液を、前記第1の液流路を流動する原水に前記電気伝導率測定手段より上流側にて合流させながら、前記第1の液流路を流動する原水にB剤希釈液が混合された液の電気伝導率を前記電気伝導率測定手段にて測定する工程を有し、
前記(a)工程、前記(f)工程においてそれぞれ測定された電気伝導率の差に基づいて、B剤の添加量を検知することを特徴とする請求項1の殺菌水生成方法。
【請求項7】
前記(f)工程より後に、前記第1の液流路を流動する原水へのA剤の添加を再開すると共に、前記第2の液流路を流動するB剤希釈液を、前記第1の液流路を流動するA剤希釈液に前記電気伝導率測定手段より上流側にて合流させて、A剤希釈液とB剤希釈液とが混合された殺菌水を生成することを特徴とする請求項6の殺菌水生成方法。
【請求項8】
更に、
(g)前記(b)工程と前記(f)工程との間に、前記第1の液流路を流動する原水へのA剤の添加を停止すると共に、原水供給源に接続された第2の液流路を流動する原水を、前記第1の液流路を流動する原水に前記電気伝導率測定手段より上流側にて合流させながら、前記第1の液流路を流動する原水の電気伝導率を前記電気伝導率測定手段にて測定する工程を有し、
B剤の添加量は、前記(f)工程、前記(g)工程においてそれぞれ測定された電気伝導率の差に基づいて検知することを特徴とする請求項6又は7の殺菌水生成方法。
【請求項9】
前記第1の液流路と前記第2の液流路は、一つの原水供給源から分岐して導かれていることを特徴とする請求項1〜8のいずれかの項に記載の殺菌水生成方法。
【請求項10】
次亜塩素酸ナトリウムと酸とを各々単独で原水に希釈混合して次亜塩素酸ナトリウム希釈液と酸希釈液とを生成し、この次亜塩素酸ナトリウム希釈液と酸希釈液とを混合して殺菌水を生成する殺菌水生成装置において、
原水を供給する原水供給流路と、
原水に次亜塩素酸ナトリウムを添加、混合して次亜塩素酸ナトリウム希釈液を得るための、前記原水供給流路から分岐した流路であって、その中を流動する原水に次亜塩素酸ナトリウムを添加する第1の添加手段と、次亜塩素酸ナトリウムが添加された次亜塩素酸ナトリウム希釈液を混合する第1の混合手段と、を備えた次亜塩素酸ナトリウム希釈混合流路と、
原水に酸を添加、混合して酸希釈液を得るための、前記原水供給流路から分岐した流路であって、その中を流動する原水に酸を添加する第2の添加手段と、酸が添加された酸希釈液を混合する第2の混合手段と、を備えた酸希釈混合流路と、
前記次亜塩素酸ナトリウム希釈液と前記酸希釈液とを混合するための、前記次亜塩素酸ナトリウム希釈混合流路及び前記酸希釈混合流路からの次亜塩素酸ナトリウム希釈液及び酸希釈液が合流して導かれる流路であって、次亜塩素酸ナトリウム希釈液と酸希釈液とを混合する第3の混合手段を備えた希釈液混合流路と、
を有し、
前記第1の混合手段より下流側の前記次亜塩素酸ナトリウム希釈混合流路内にのみ電気伝導率測定手段が配置されていることを特徴とする殺菌水生成装置。
【請求項11】
次亜塩素酸ナトリウムと酸とを各々単独で原水に希釈混合して次亜塩素酸ナトリウム希釈液と酸希釈液とを生成し、この次亜塩素酸ナトリウム希釈液と酸希釈液とを混合して殺菌水を生成する殺菌水生成装置において、
原水を供給する原水供給流路と、
原水に次亜塩素酸ナトリウムを添加、混合して次亜塩素酸ナトリウム希釈液を得るための、前記原水供給流路から分岐した流路であって、その中を流動する原水に次亜塩素酸ナトリウムを添加する第1の添加手段と、次亜塩素酸ナトリウムが添加された次亜塩素酸ナトリウム希釈液を混合する第1の混合手段と、を備えた次亜塩素酸ナトリウム希釈混合流路と、
原水に酸を添加、混合して酸希釈液を得るための、前記原水供給流路から分岐した流路であって、その中を流動する原水に酸を添加する第2の添加手段と、酸が添加された酸希釈液を混合する第2の混合手段と、を備えた酸希釈混合流路と、
前記次亜塩素酸ナトリウム希釈液と前記酸希釈液とを混合するための、前記次亜塩素酸ナトリウム希釈混合流路及び前記酸希釈混合流路からの次亜塩素酸ナトリウム希釈液及び酸希釈液が合流して導かれる流路であって、次亜塩素酸ナトリウム希釈液と酸希釈液とを混合する第3の混合手段を備えた希釈液混合流路と、
を有し、
前記第1の混合手段より下流側の前記次亜塩素酸ナトリウム希釈混合流路内及び前記第2の混合手段より下流側の前記酸希釈混合流路内にのみ電気伝導率測定手段が配置されていることを特徴とする殺菌水生成装置。
【請求項12】
次亜塩素酸ナトリウムと酸とを各々単独で原水に希釈混合して次亜塩素酸ナトリウム希釈液と酸希釈液とを生成し、この次亜塩素酸ナトリウム希釈液と酸希釈液とを混合して殺菌水を生成する殺菌水生成装置において、
原水を供給する原水供給流路と、
原水に次亜塩素酸ナトリウムを添加、混合して次亜塩素酸ナトリウム希釈液を得るための、前記原水供給流路から分岐した流路であって、その中を流動する原水に次亜塩素酸ナトリウムを添加する第1の添加手段と、次亜塩素酸ナトリウムが添加された次亜塩素酸ナトリウム希釈液を混合する第1の混合手段と、を備えた次亜塩素酸ナトリウム希釈混合流路と、
原水に酸を添加、混合して酸希釈液を得るための、前記原水供給流路から分岐した流路であって、その中を流動する原水に酸を添加する第2の添加手段と、酸が添加された酸希釈液を混合する第2の混合手段と、を備えた酸希釈混合流路と、
前記次亜塩素酸ナトリウム希釈液と前記酸希釈液とを混合するための、前記次亜塩素酸ナトリウム希釈混合流路及び前記酸希釈混合流路からの次亜塩素酸ナトリウム希釈液及び酸希釈液が合流して導かれる流路であって、次亜塩素酸ナトリウム希釈液と酸希釈液とを混合する第3の混合手段を備えた希釈液混合流路と、
を有し、
前記第3の混合手段より下流側の前記希釈液混合流路内にのみ電気伝導率測定手段が配置されていることを特徴とする殺菌水生成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2006−223690(P2006−223690A)
【公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−43234(P2005−43234)
【出願日】平成17年2月18日(2005.2.18)
【出願人】(000219451)東亜ディーケーケー株式会社 (204)
【Fターム(参考)】