説明

比色センサー

反射層と、ポリマーの検出層と、半反射層とを含む比色センサーフィルムを開示する。比色センサーフィルムを含むデバイス、ならびにフィルムおよびデバイスの製造方法も開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、比色センサーフィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
特定の範囲の検体に使用される堅牢な化学センサーの開発においては、環境モニタリング、製品品質管理、および化学線量測定などの用途における努力がなお重要である。化学センシングに利用可能な多くの方法の中で、比色分析技術は、高価な測定装置ではなく人の肉眼を信号変換に使用することができるという利点が依然として存在する。
【0003】
特定の範囲の検体のための比色センサーが現在存在するが、大部分は、染料または有色の化学指示薬を検出に使用することに基づいている。このような化合物は典型的には選択的であるため、種々の化合物を検出可能とするためにはアレイが必要となる。さらに、これらのシステムの多くは、光退色または望ましくない副反応のために寿命が限定されるという問題を有する。表面プラズモン共鳴およびスペクトル干渉法などの他の光学センシング技術は、応答を得るために大規模な信号変換ハードウェアが必要であり、そのため単純な視覚的検出には有用ではない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、新規な多層比色センサーフィルムを特徴とする。このフィルムは、典型的には、検体の曝露によって色相が変化する高い発色性の多層干渉フィルターで構成される。この多層構造によって、特定の範囲の化学種を検出可能な種々の化学的作用を組み込むための汎用性プラットフォームが提供される。このフィルムは、可撓性および堅牢であり、迅速で可逆的な(または場合によっては永続的な)応答が得られるように設計することができる。したがって、これは上述の分野の用途に適している。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の比色センサーは、反射層と、反射層の上にある検出層と、検出層の上にある半反射層とで構成することができる。所定の検体を検出するセンサー能力に追加の層が悪影響を与えないのであれば、本発明の比色センサー中には追加の層も存在することができる。追加の層が存在する場合、それらの層は、上述の層(すなわち、反射層、検出層、および半反射層)のいずれかの間に存在することができるし、および/または反射層および/または半反射層のいずれかの側の上に存在することもできる。
【0006】
本発明の比色センサーを形成するために、種々の層の構成および材料を使用することができる。たとえば、比色センサーの反射層は、ほぼ連続の層でも不連続層でもよく、1つ以上の個別の層を含むことができる。検出層は、(i)少なくとも1種類のポリマー成分、(ii)少なくとも1種類の無機成分、あるいは(iii)(i)および(ii)の組み合わせを含有する1つまたは複数の層を含むことができる。さらに、反射層と同様に、半反射層も、ほぼ連続の層でも不連続層でもよく、1つ以上の個別の層を含むことができる。本発明の比色センサーの構成および組成は、限定するものではないが、対象となる1種類以上の検体、1種類以上の検体を含有する媒体、およびセンサーに望まれる感度などの多数の要因に依存して変化する。
【0007】
代表的な一実施態様においては、本発明は、検体の存在および濃度の一方または両方を測定するための比色センサーであって、ほぼ連続の反射層と、反射層の上にある検出層であって、少なくとも1種類のポリマー成分を含み、検体に曝露することで光学的厚さが変化することができる検出層と、検出層の上にあるほぼ連続の半反射層であって、検出層の屈折率とは異なる屈折率を有する半反射層とを含み、半反射層の少なくとも一部は、検体が浸透性である比色センサーに関する。
【0008】
さらに別の代表的な一実施態様においては、本発明は、検体の存在および濃度の一方または両方を測定するための比色センサーであって、ほぼ連続の反射層と、反射層の上の検出層であって、少なくとも1種類のポリマー成分を含む検出層と、検出層の上にあるほぼ連続の半反射層であって、検出層の屈折率とは異なる屈折率を有する半反射層とを含み、検体に曝露することで色を変化させることができる比色センサーに関する。
【0009】
さらに別の代表的な一実施態様においては、本発明は、検体の存在および濃度の一方または両方を測定するための比色センサーであって、ほぼ連続の反射層と、反射層の上にある検出層であって、(i)少なくとも1種類のポリマー成分、(ii)少なくとも1種類の無機成分、あるいは(iii)(i)および(ii)の両方を含む検出層と、検出層の上にあるほぼ連続の半反射層であって、検出層の屈折率とは異なる屈折率を有し、検体が浸透性である半反射層とを含み、検体に曝露することで色を変化させることができる比色センサーに関する。
【0010】
さらに別の代表的な一実施態様においては、本発明は、検体の存在および濃度の一方または両方を測定するための比色センサーであって、反射層と、反射層の上にある検出層と、検出層の上にある不連続の半反射層であって、検出層の屈折率とは異なる屈折率を有する半反射層とを含み、検体に曝露することで色を変化させることができる比色センサーに関する。この実施態様において、センサーは、望ましくは、次の特徴、すなわち、(a)不連続の半反射層が、少なくとも1つの寸法が10μmを超える半反射性の島の単層と、半反射性の島の間の露出領域とを含み、この露出領域が少なくとも1.0μmの幅を有する、(b)不連続の半反射層が半反射性の島の単層を含み、検出層が、検出層中にある深さで延在するウェルを含む、(c)不連続の半反射層が半反射性の島の単層を含み、検出層が、少なくとも1種類の無機成分を単独で含む、または少なくとも1種類のポリマー成分と組み合わせて含む、(d)検出層が少なくとも1種類の無機成分を含み、この少なくとも1種類の無機成分は、(i)少なくとも1種類のポリマー成分とブレンドされている、(ii)少なくとも1種類のポリマー成分を含有する特定の1つの層中に存在するが、少なくとも1種類のポリマー成分とはブレンドされていない、(iii)少なくとも1種類のポリマー成分を含有する層とは別の層中に存在する、または(iv)(i)から(iii)のいずれかの組み合わせである、並びに(e)検出層が少なくとも2種類の異なるポリマー成分を含み、これらのポリマー成分は、(1)互いにブレンドされている、(2)特定の1つの層中にあるが互いにブレンドされてはいない、(3)互いに別の層中に存在する、または(4)(1)から(3)のいずれかの組み合わせである、の少なくとも1つを有する。
【0011】
本発明はさらに、センサーのアレイに関する。1つ以上の類似または異なる本発明の比色センサーを組み合わせることで、1種類以上の検体に曝露することによって使用者が複合信号を得ることができるセンサーのアレイを形成することができる。このような複合信号は、1つの比色センサーによって発生する信号と比較して、純粋な検体または検体混合物の同定などのさらなる情報を得ることができる。
【0012】
本発明はさらに、比色センサーおよび光源、ハウジング部品、またはそれらの組み合わせを含むデバイスに関する。
【0013】
本発明は、前述の比色センサー(またはセンサーのアレイ)を提供し、光源を提供し、センサー(またはセンサーのアレイ)と、検体を含有する可能性がある媒体とを接触させ、およびセンサー(センサーのアレイ)の光学的性質の変化を監視する工程を含む、検体の存在または非存在を検出する方法にも関する。
【0014】
本発明において使用される場合、
「検体」は、化学的または生化学的な分析において検出される特定の成分を意味し、
「寸法変化」は、検出層表面の表面に対して垂直方向の距離の変化を意味し、
「多孔質材料」は、その体積全体に細孔の連続網目構造を有する材料を意味し、
「反射」は、半反射または全反射を意味し、
「半反射」は、全反射性でも完全に透過性でもないことを意味し、好ましくは約30〜約70%反射性であり、より好ましくは約40〜約60%反射性である。
「ほぼ連続」は、材料の層が非多孔質であるが、亀裂、粒界、または材料の層を通過する経路を形成する他の構造を有することができることを意味する。「ほぼ連続の」層は、非多孔質であるが、1種類以上の検体に対して浸透性であってよい。
「不連続」は、少なくとも2つの分離した別個の島と、それらの間のなにもない空間とを有する材料の層を意味し、この少なくとも2つの分離した別個の島と、それらの間のなにもない空間とは、特定の1つの面内にある。
【0015】
本発明の少なくとも1つの実施態様の利点の1つは、本発明の多層センサーフィルムは、水蒸気による光学的性質の変化が生じないように構成できることである。
【0016】
本発明の少なくとも1つの実施態様の別の利点は、本発明のフィルムが容易に加工可能なことである。反射層は、蒸発またはスパッタコーティングによって堆積させることができ、一方、検出層は、溶剤コーティング、プラズマ蒸着、および気相コーティング(米国特許第5,877,895号明細書に記載されるようなもの)によって堆積させることができる。
【0017】
本発明の少なくとも1つの実施態様の別の利点は、本発明のセンサーの外観の変化を、可逆的または永続的となるように設計可能なことである。
【0018】
本発明の他の特徴および利点は、以下の図面、詳細な説明、および特許請求の範囲より明らかとなるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明の多層比色センサーフィルムは、どちらも金属層であってもよい反射層と半反射層との間に少なくとも1つのポリマーの検出層を有する着色フィルムを含むことができる。これらの多層フィルムは、視覚的な信号変換の一般的手段を提供する。本発明のフィルムは干渉フィルターとして機能し、そのため可視範囲内の特定の波長の反射により高い発色性を得ることができる。センサーフィルムの発色は、積層体内の各層の厚さに大きく依存する。
【0020】
本発明の多層センサーフィルムの全体的な図を図1に示す。一般に、代表的な多層フィルムセンサー10は、(場合による)基材層12、反射層14、検出層16、および半反射層18を含む。
【0021】
本発明のセンサーフィルムは、検体または検体混合物の存在および/または濃度を検出するために使用することができる。検体は、気体(たとえば、蒸気)または液体であってよい。検体は分子、高分子、生体分子、または生体高分子であってよい。検体は、気体媒体(空気など)中または液体媒体(水または他の流体など)中に存在することができる。典型的には、検体は有機材料である。
【0022】
少なくとも1つの実施態様において、検体に曝露したときに検出層を構成するポリマーの光学的厚さの変化によって、検体が検出される。検体は、半反射層の外側を通過して、検出層の光学的厚さを変化させる。一実施態様において、検体は、検出層の少なくとも一部の中に吸収される。吸収されることによって、色が変化して(多くの場合鮮明に)、検体の存在を示すことができる。
【0023】
光学的厚さの変化は、典型的には可視光範囲で観察可能であり、人の肉眼によって検出することができる。しかし、UV、赤外、または近赤外などの他の光源を照射した場合に、光学的厚さの変化を示すようにセンサーを設計することができる。種々の検出機構を使用することができる。好適な検出機構の例としては、分光光度計、光ファイバー分光光度計、および光検出器、たとえば、電荷結合素子(ccd)、デジタルカメラなどが挙げられる。
【0024】
別の実施態様においては、検体が存在すると隣接層から検出層が剥離するときに、検体が検出される。典型的には、検出層および隣接層の界面を検体が濡らすことによって界面接着力が低下する場合に、層間剥離が生じる。層間剥離が起こると、光学干渉がなくなり、センサーは知覚できる色を消失する。検体の存在は、検出層の内部の1種類以上のポリマーが隣接層からディウェッティングを引き起こす場合もある。隣接層との界面領域が減少する検出層の形状変化を伴うこの方法は、センサーフィルムの光学的性質を永続的に変化させる材料の内部で欠陥が生じる。
【0025】
基材
基材は場合により使用されるが、存在する場合、基材は、比色センサーを支持することができるあらゆる好適な材料を含むことができる。基材は、可撓性の場合も非可撓性の場合もある。用途に合わせて基材材料を調整することができる。好ましくは、真空蒸着において使用できると好適である。
【0026】
反射層
反射層は、全反射層または半反射層を形成可能なあらゆる材料を含むことができる。約20〜約200nmの厚さにおいて材料が全反射性となることが好ましい。より薄い層は、典型的には半反射反射層の作製に使用することができる。反射層は典型的には半反射層よりも反射性が高くなるように作製されるが、反射層および半反射層の反射性が同じあることが望ましい場合があり、その場合には、検体の存在に対する応答をセンサーフィルムのいずれの側からも見ることができる。
【0027】
反射層に好適な材料としては、アルミニウム、クロム、金、ニッケル、ケイ素、および銀などの金属または半金属が挙げられる。反射層中に含めることができる他の好適な材料としては、酸化クロムおよび酸化チタンなどの金属酸化物が挙げられる。
【0028】
本発明のある代表的な実施態様においては、反射層は少なくとも約90%の反射性(すなわち、少なくとも約10%の透過性)であり、ある実施態様においては、約99%の反射性(すなわち、約1%の透過性)である。本発明の別の代表的な実施態様においては、反射層が半反射層であり、この反射層は少なくとも約20%の反射性であり、たとえば約20〜約90%の反射性、または約30〜約70%の反射性である。
【0029】
ある実施態様においては、反射層は、センサーを支持する基材としても機能する。反射層は、ほぼ連続の層または不連続層であってよい。さらに、反射層は1つ以上の反射層で構成されてよい。望ましくは、反射層は1つの反射層で構成される。
【0030】
検出層
検出層は、1種類以上のポリマーまたはコポリマーを含むことができる。ほとんどの実施態様においては、検出層は、検体に曝露すると光学的厚さが変化する少なくとも1種類のポリマーを含む。光学的厚さの変化は、膨潤または収縮によるポリマーの物理的厚さの変化などの寸法変化によって、あるいは検体の存在または化学反応による検出層の屈折率の変化によって生じうる。検出層は、ある色から別の色に変化する場合があるし、ある色から無色に変化する場合もあるし、無色からある色に変化する場合もある。
【0031】
反射層と同様に、検出層も1つ以上の層を含むことができる。検出層は、2つ以上の副層を含むこともできる。1つ以上の副層は不連続であったりパターンを有したりすることができる。副層は、典型的には異なるポリマー材料を含み、異なる検体を吸収することができる、および/または1種類以上の検体に対して異なる感度を有することができる。副層は、種々の構成を有することができる。たとえば、副層を積み重ねて2つ以上の層のスタックを形成することができるし、同じ層の中で隣接した構成で配置することもできる。
【0032】
検出層は、検体に曝露することによって有色の画像、単語、またはメッセージを形成するように、検出層があるパターンを含むことができる。特定の検体に対して反応性である1つ以上の部分と、同じ検体に対して非反応性である1つ以上の部分とを有することによって、副層にパターンを形成することができる。または、反応性材料のパターンを、より大きな非反応性副層の上に付着させることもできる。この場合、検体が吸収されるまでは、光学的厚さの差が分からないように、パターン形成された層を非常に薄くすることが好ましい。このパターン形成によって、検体に曝露した場合に使用者が容易に確認可能な警告を提供することができる。
【0033】
米国特許第6,010,751号明細書に記載されるようにして、検出層の厚さにパターンを形成することができる。このことは、検体の存在によって検出層の膨潤または収縮が起こり、それによってパターンが消失する(たとえば、薄い部分が膨潤して厚い部分と同じ厚さになる場合)またはパターンが現れる(たとえば、特定の部分が収縮して、隣接する部分よりも厚くなる)ようにセンサーが設計されるときには望ましい場合がある。最初に同じ色に見える薄い領域と厚い領域とから始まり、1種類以上の検体に曝露すると、薄い領域および厚い領域の一方または両方が膨潤して、2つの異なる色相が生じることによってパターンが見えるようにすることもできる。
【0034】
検出層は、ポリマー成分のブレンドを含むことができる。このブレンドは均一であっても不均一であってもよい。検出層中のポリマー成分のブレンドによって、比較的小さなセンサーを使用して、多数の検体を検出できるようになる。本発明の代表的な一実施態様においては、検出層は、少なくとも2種類の異なるポリマー成分を含み、これらのポリマー成分は、(1)互いにブレンドされている、(2)特定の1つの層中に存在するが互いにブレンドされていない(すなわち隣接する構成)、(3)互いに別の層中に存在する(すなわち1つのスタック中にある)、または(4)(1)から(3)のいずれかの組み合わせである。
【0035】
検出層は多孔質であってもよい。言い換えると、検出層は、その体積全体に細孔の連続網目構造を有することができる。これによって、検体に曝露する表面積が増加し、および/または蒸気状の検体を凝縮させる細孔の性質のために、検出感度を増大させることができる。多孔性は、国際公開第01/21693号パンフレットに記載されるものなどの高分散相エマルジョンから製造されるフォームなどの多孔質材料を使用して検出層を形成することによって得ることができる。多孔性は、二酸化炭素による発泡により共連続ナノポーラス材料を形成することによって(“Macromolecules”,2001,vol.34、pp.8792〜8801参照)、またはポリマーブレンドのナノ層分離によって(“Science”,1999,vol.283、p.520参照)得ることもできる。一般に、細孔径は、検出方法に使用される光源の波長よりも小さいことが必要である。典型的には、10nm以下の平均孔径を有する細孔が検出層中には望ましい。
【0036】
本発明の一実施態様において、固有の微孔性を有するポリマー(polymer having an intrinsic microporosity)、すなわちPIMを検出層の形成に使用することもできる。本明細書において使用される場合、「固有の微孔性を有するポリマー」または「PIM」は、非常に剛直でゆがんだ分子構造のために微孔性固体を形成する非網状ポリマーを意味する。このような分子構造のために、PIMは空間を効率的に充填することができず、そのために微孔性構造が得られる(たとえば、典型的には約2nm未満の平均孔径を有する細孔を含有する構造)。好適な固有の微孔性のポリマー(PIM)としては、限定するものではないが、「固有の微孔性のポリマー(PIM):堅牢で、溶液加工可能な有機ナノポーラス材料」(Polymers of intrinsic microporosity (PIMs):robust,solution−processable,organic nanoporous materials),バッド(Budd)ら,Chem.Commun.,2004,pp.230〜231に開示されるポリマーが挙げられ、この主題全体が本明細書に援用される。
【0037】
検出層中の1種類以上のポリマーは少なくとも部分的に架橋していてもよい。機械的安定性およびある種の検体に対する感度が増加する場合があるので、ある実施態様においては架橋が望ましい場合もある。架橋は、1種類以上の多官能性モノマーを検出層中に組み込むことによって、あるいはたとえば、電子ビームまたはガンマ線による処理などを検出層に対して実施することによって実現することができる。本発明の望ましい一実施態様においては、ポロゲンの存在下で架橋が実施され、後にこのポロゲンを架橋系から抽出して、多孔質検出層を形成することができる。好適なポロゲンとしては、直鎖アルカン(たとえば、デカン)または芳香族(たとえば、ベンゼン、トルエン)などの不活性有機分子が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0038】
多くの用途においては、ポリマーまたはコポリマーが疎水性であることが望ましい。これによって、水蒸気(または液体の水)が、ポリマーの光学的厚さを変化させ、検体の検出、たとえば有機溶媒蒸気の検出を妨害する可能性が軽減される。
【0039】
有機溶媒蒸気の検出の場合、検出層に好適なポリマー材料としては、疎水性のアクリレートおよびメタクリレート、二官能性モノマー、ビニルモノマー、炭化水素モノマー(オレフィン)、シランモノマー、ならびにフッ素化モノマーなどの種類のモノマーから調製されるポリマーおよびコポリマー(ブロックコポリマーを含む)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0040】
疎水性のアクリレートおよびメタクリレートの例としては、アルキル基−Cx2xCH3(式中、xは1〜約17である)を有するn−アルキル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−フェノキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、およびポリ(ジメチルシロキサン)モノ(メタ)アクリレートが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0041】
多官能性モノマーの例としては、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート 1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、N,N−メチレンビス(メタ)アクリルアミド、ポリ(ジメチルシロキサン)ジ(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール)ジ(メタ)アクリレート、UCBケミカルズ(UCB Chemicals)より商品名「IRR 214」で市販されるものなどのジアクリレート、ペンタエリスリトールトリ−およびテトラ−アクリレート、ならびにトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0042】
ビニルモノマーの例としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルアセテート、ビニルブチレート、ビニルステアレート、ビニルクロリド、およびビニルノルボルネンが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0043】
炭化水素モノマー(オレフィン)の例としては、イソブチレン、エチレン、プロピレン、ブタジエン、およびノルボルネンが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0044】
シランモノマーの例としては、オルガノヒドロシラン、アルコキシシラン、フェノキシシラン、およびフルオロアルコキシシランが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0045】
フッ素化モノマーの例としては、テトラフルオロエチレン、フッ化ビニリデン、ヘキサフルオロプロピレン、およびパーフルオロアルキル(メタ)アクリレートが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0046】
溶液中の検出、極性の高い検体の検出、および/またはセンサーアレイにおける使用の場合、検出層に好適なポリマー材料としては、ヒドロキシル化モノマー、アクリルアミド、無水物、アルデヒド官能化モノマー、アミンまたはアミン塩で官能化されたモノマー、酸官能化モノマー、エポキシド官能化モノマー、ビニルモノマー、前述の多官能性モノマーなどの種類のモノマーから調製されるポリマーおよびコポリマー(ブロックコポリマーを含む)、ならびにその他のポリマーが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0047】
ヒドロキシル化モノマーの例としては、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、およびヒドロキシメチル(メタ)アクリレート挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0048】
アクリルアミドおよびアクリロニトリルの例としては、(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、および(メタ)アクリロニトリルが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0049】
無水物の例としては、無水(メタ)アクリル酸および無水マレイン酸が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0050】
アルデヒド官能化モノマーの例としてはアクロレインが挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0051】
アミンまたはアミン塩で官能化されたモノマーとしては、t−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジイソプロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ビニルピリジン、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート−メチル塩化物塩、アミノスチレン、4−アミノスチレン、およびビニルイミダゾールが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0052】
酸官能化モノマーの例としては、(メタ)アクリル酸、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸金属塩、スチレンスルホン酸、UCBケミカルズ(UCB Chemicals)より商品名「エベクリル170」(EBECRYL 170)でUCBケミカルズ(UCB Chemicals)より市販されるモノマー、ビニルホスホン酸、およびビニルスルホン酸が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0053】
エポキシド官能化モノマーの例としては、グリシジル(メタ)アクリレートが挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0054】
ビニルモノマーの例としては、N−ビニルピロリドン、ビニルジメチルアザラクトン(VDM)、塩化ビニリデン、ビニルアルコール、およびビニルフェノールが挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0055】
他のポリマーの例としては、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(スルホン)、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(ウレタン)、ポリ(カーボネート)、ポリ(エチレンイミン)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ビニルフェノール)、エチルセルロース、フルオロポリオール、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、およびポリアセタールが挙げられるが、これらに限定されるものではない。検出層のポリマー成分は、特定の検体を検出するために組み込まれた適切な官能基または分子受容体を有することもできる。たとえば、ポリ(アクリル酸)などの酸官能化ポリマーは、アンモニアガスなどの有機塩基を検出することができる。金属ポルフィリンなどの金属錯体を検出層中に組み込むことによって、ホスフィンまたはメルカプタンなどの配位種を検出することができる。好適な分子受容体としては、カリックスアレーン、シクロデキストリン、樹枝状ポリマー、カーボンナノチューブ、アザクラウン、クラウンエーテル、ルイス酸官能性を有する陰イオンキレート剤、有機金属金属錯体、ポルフィリン、金属ポルフィリン、ペプチド、グリコペプチド、タンパク質、抗体、酵素、オリゴヌクレオチド、および核酸が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0056】
本発明のさらなる実施態様においては、検出層は、1種類以上の無機材料を単独で含む、または1種類以上の上述のポリマー材料とともに含む。本発明の代表的な一実施態様においては、検出層は、1種類以上の無機材料を含むが、ポリマー材料は含まない。さらなる代表的な実施態様においては、検出層は、1種類以上の無機材料と、前述の1種類以上のポリマー材料とを含む。無機材料およびポリマー材料の両方を含有する実施態様においては、無機材料は、検出層中の別の層として存在することができるし、ポリマー材料と混合して単層を形成することもできる。さらに、無機材料は、検出層中で1つ以上のポリマー層とは分離した別の層として存在することができるし(すなわち、ポリマー層と無機層とのスタック)、ポリマー材料とともに単層中に存在するが、ポリマー材料とは混合されていなくてもよい(すなわち、無機材料の明確な区画と、ポリマー材料の明確な区画とを有する並列構造)。
【0057】
検出層中に使用される好適な無機材料としては、光学干渉によって発色するのに適切な厚さの透明で多孔質の金属酸化物、窒化物、酸窒化物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。好適な無機材料の具体例としては、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタン、窒化チタン、酸窒化チタン、酸化スズ、酸化ジルコニウム、およびそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されるものではない。ゼオライトなどの他の無機材料も、検出層中への使用に好適である。望ましくは、無機材料が、前述の定義の多孔質材料である。
【0058】
本発明の一実施態様においては、検出層中の「検体収着性材料」または「検体反応性材料」として無機材料が使用される。この実施態様において、前述のような無機材料は、単独で使用することができるし、検体反応性または検体収着性基が結合したベース基材として使用することもできる。たとえば、オルガノシラン化合物が結合した粒子状の金属酸化物、窒化物、および/または酸窒化物を検出層全体に分散させることができる。
【0059】
適切な化合物および/または検体受容体部分を検出層中に組み込むことによって、溶液中の広範囲の検体のセンサーを形成可能となる。最初に付着させるか、または付着させた材料を後に官能化するかのいずれかによって、ペプチドまたは抗体などの受容体分子を場合により上記ポリマーと共有結合させることができる。細菌、タンパク質、イオンなどを選択的に検出するためのバイオセンサーを製造することができる。
【0060】
検出層は、あらゆる所望の全体厚さを有することができる。望ましくは、検出層は、約50nmを超える、たとえば約100〜約1000nmの範囲の全体厚さを有する。本発明の一実施態様においては、検出層は、検出層全体でほぼ同じ層厚さを有する。たとえば、図1の検出層16を参照されたい。本発明の別の実施態様においては、検出層は、検出層中の第1の位置と、検出層中の1つ以上の他の位置とで異なる層厚さを有する。いずれの場合も、検出層の上に適用される半反射層は、検出層の厚さのばらつきに適合するように適用することができる。
【0061】
ある位置と別の位置で厚さが異なる検出層を有する本発明の代表的なセンサーを図2に示す。図2に示されるように、センサー20は、(場合による)基材層22、反射層24、検出層26、および半反射層28を含む。検出層26は、第1の位置26aにおいて第1の厚さt26a、第2の位置26bにおいて第2の厚さt26b、第3の位置26cにおいてにおいて第3の厚さt26cを有する。代表的なセンサー20において、検出層26の層厚さは検出層26全体で変動しているが、半反射層28の厚さはほぼ一定に維持されている。
【0062】
本発明の代表的な一実施態様においては、検出層は、検出層中に配置された1つ以上の「ウェル」を含む。本明細書において使用される場合、用語「ウェル」は、検出層中の孔、溝、チャネル、またはその他のあらゆる空隙(細孔以外)を表すために使用される。細孔とは異なり、検出層の体積全体でウェルは連続網目構造を形成していない。典型的には、ウェルは、検出層の上面(すなわち半反射層の下)から、検出層中の所定の深さまで延在している。ウェルは、典型的には約10nm未満の少なくとも1つの寸法(すなわち、長さ、幅、または直径)を有するが、しかし、本発明においてあらゆるウェルの大きさを使用することができる。本発明の望ましい一実施態様においては、ウェルの少なくとも1つの寸法(すなわち、長さ、幅、または直径)が約1.0〜約10nmの範囲であり、より望ましくは約5nmである。本発明のある実施態様においては、ウェルの少なくとも1つの寸法(たとえば、幅)が約1.0〜約10nmの範囲であり、少なくとも1つの別の寸法(たとえば、長さ)が5nmをはるかに超え、たとえばその寸法は10nmを超えて検出層の幅までの範囲である。検出層内にウェルを有する本発明の代表的なセンサーを図3に示す。
【0063】
図3に示されるように、代表的な多層フィルムセンサー30は、(場合による)基材層32と、反射層34と、ウェル37を有する検出層36と、検出層36およびウェル37の上にある半反射層38とを含む。この実施態様において、検出層36は、ウェル37の内面に沿った表面領域37aのために表面積が増加している。検出層36中の表面積の増加の程度は、一定面積当たりのウェル37の数、各ウェル37の深さ、および各ウェル37の容積の1つ以上の要因を変動させることによって制御することができる。
【0064】
ウェルが存在する場合、検出層中の不規則な空隙として存在する場合もあるし、検出層中に分散したパターンの形態である場合もあり、これらのウェルは、検出層中の所望の深さまで延在する。検出層が1つ以上のウェルを有する場合、そのウェルは種々の技術を使用して形成することができる。検出層中にウェルを形成するための好適な方法の1つは、後出の実施例10に記載されるようなエッチング方法である。この代表的な方法では、一時的または永続的な担体の上に最初に反射層がコーティングされる。次に、ポリマー検出層などの検出層を反射層の上にコーティングする。次に、Crなどの金属を、「島」の形態(すなわち、金属の島とコーティングされていない領域とのパターン)で検出層の上にコーティングする。検出層上の島の大きさおよび密度は、金属(すなわちCr)源と検出層との間にスクリーンを配置することによって制御することができる。次に、反応性イオンエッチング(RIE)方式において酸素プラズマを使用して、検出層のコーティングされていない領域をエッチングする。金属(たとえばCr)の島はエッチングマスクとして機能し、エッチングステップ中にCrOxなどの透明酸化物に転化する(たとえば、図3の層39参照)。
【0065】
上述の代表的なエッチング方法によって、透明酸化物の島の間にナノメートルサイズのウェルが形成される。典型的には、透明酸化物の島は、検出層上面の上に均一に分散し、少なくとも1つの寸法(すなわち、長さ、幅、または直径)が約100nm未満となるが、あらゆる透明酸化物の島の大きさ、形状、および密度を本発明において使用することができる。
【0066】
ウェル37は、所定の用途に望ましいあらゆる深さで検出層36中に延在することができる。図3に示されるように、ウェル37は、検出層36中に延在して、検出層36中のある点で終わることができる。別の実施態様においては、ウェル37は、検出層36を通過して反射層34まで延在することができる(図3参照)。
【0067】
エッチングステップが終了してから、透明酸化物の島およびウェルの上に、図3に示す半透明層38などの半透明層(または他の層)をコーティングすることができる。この実施態様において、色ずれの干渉によって、特定の視野角とともに変化する1種類の均一な色の外観が得られる。または、検出層の「島」と、「島」の間のウェルとの上に半透明層を適用する前に、透明酸化物の島(すなわち、図3に示される層39)を除去することもできる。
【0068】
半反射層
半反射層は、浸透性半反射層を形成することができるあらゆる材料を含むことができ、検出層とは異なる屈折率を有する。ほとんどの実施態様においては、この材料が約5nmの厚さで半反射性となることが好ましいが、その理由は、この厚さにおいてほとんどの検体が、この層を透過して検出層に到達することができるからである。望ましい厚さは、層の形成に使用される材料、検出するべき検体、および担体を有する媒体に依存する。
【0069】
好適な材料としては、アルミニウム、クロム、金、ニッケル、ケイ素、および銀などの金属および半金属が挙げられる。半反射層中に含めることができる他の好適な材料としては、酸化アルミニウム、酸化チタン、および酸化クロムなどの酸化物が挙げられる。
【0070】
反射層と同様に、半反射層もほぼ連続の層でも不連続層でもよい。さらに、反射層と同様に、半反射層も1つ以上の半反射層で構成されてよい。望ましくは、半反射層は、ほぼ連続または不連続のいずれかの1つの半反射層で構成される。
【0071】
本発明の代表的な一実施態様においては、半反射層は、ほぼ連続の層である。この実施態様において、半反射層の構造および組成は、半反射層の上面および全体にわたってほぼ均一であって良い。または、半反射層の構造および/または組成は、半反射層の上面および全体で変化してもよい。たとえば、半反射層の上面の第1の位置において特定の検体の検体浸透性が高くなり、上面の第2の位置において同じ検体の検体浸透性が低くなるように、半反射層の浸透性に差を持たせることができる。半反射層の上面の第1および第2の位置は、互いに不規則に配置することもできるし、上面上で特定のパターンを形成することもできる。
【0072】
ほぼ連続の半反射層は、半反射層の第1の領域が半反射層の第2の領域よりも光の反射率が高くなるパターンを有することもできる。半反射層上の第1および第2の領域は、半反射層の上面上または内部でパターンを形成することができる。前述のパターンが形成された検出層と同様に、パターンが形成された半反射層は、下にある検出層が検体に曝露したときに有色の画像、単語、またはメッセージを形成するようなパターンを含むことができる。この半反射層によって、検体に曝露した場合に使用者が容易に確認可能な警告を提供することができる。
【0073】
あらゆる多数の方法を使用して、半反射層の浸透性を変化させ、および/または半反射層の上および内部にパターンを形成することができる。好適な方法としては、半反射層の堆積条件を空間的に制御して半反射層の厚さまたは密度を変動させることが挙げられるが、これらに限定されるものではない。たとえば、堆積する半反射層の厚さが上面上で第1の位置から第2の位置までで変化するように、堆積源と基材との間のマスクを配置することができる。浸透性の差および/または半反射層の上および内部へのパターンの形成は、レーザー処理などの局所化されたエネルギー入力によって半反射層を後処理して半反射層の微細構造を変化させることによって実現することもできる。
【0074】
前述のあらゆる方法を使用して、半反射層の上に1つ以上のパターンを形成することができる。特定の1つ以上のパターンの選択は、限定するものではないが、対象の1種類以上の検体、使用される半反射材料または材料、存在するのであれば使用者に表示されるメッセージ、またはそれらの組み合わせなどの多数の要因に依存しうる。
【0075】
ほぼ連続の半反射層を有する本発明の代表的な多層フィルムを図1〜図3に示している。本発明の代表的な多層フィルムセンサーの1つでは、多層フィルムセンサーは、検出層の上にほぼ連続の半反射層を含み、この検出層は、検体の検出能力を増大させるために、検出層中の1つ以上のウェルによって表面積を増加させている(図3参照)。望ましくは、ウェルを有する検出層の上に配置されるほぼ連続の半反射層は、半反射材料の単層である。
【0076】
本発明のさらに別の代表的な実施態様においては、半反射層が不連続層である。この実施態様において、半反射層の組成は、半反射層全体でほぼ均一であってよいが、しかし、複数の領域によって、半反射層が2つ以上の不連続領域に分離されている。この不連続の半反射層は、露出領域の「海」(すなわち、検出層が露出している)の内部に半反射性の島のあらゆるパターンを含むことができる。検出層上の半反射性の島の大きさおよび密度は希望通りに変化させることができ、検出層の上面上で均一に分散させることも不均一に分散させることもできる。典型的には、半反射性の島は、検出層の上面上で均一に分散し、少なくとも1つの寸法(すなわち、長さ、幅、または直径)が少なくとも約1.0ミクロン(μm)、望ましくは約10.0〜約100μmであるが、しかし、あらゆる半反射性の島の大きさ、形状、および密度を本発明において使用することができる。さらに、露出領域は、典型的には少なくとも1つの寸法(すなわち、長さ、幅、または直径)が約1.0〜約100μmの範囲であるが、本発明において露出領域はあらゆる寸法を有することができる。
【0077】
不連続の半反射層を有する本発明の代表的な多層フィルムの1つを図4に示す。代表的な多層フィルムセンサー40は、(場合による)基材層42、反射層44、検出層46、および検出層46の上の不連続の半反射層48を含む。この実施態様において、不連続の半反射層48は、半反射性の島48aと、検出層46の上の特定の面内の露出領域49とを含む。露出領域49は、半反射材料を浸透する必要なく検体が検出層46に到達するための直接的な経路となる。検出層46の露出の程度は、一定面積当たりの半反射性の島48aの数、および各半反射性の島48aの大きさの1つ以上の要因を変化させることによって制御することができる。
【0078】
検出層の上に不連続の半反射層を提供するための好適な方法の1つは、後出の実施例11に記載されるようなレーザーアブレーション方法である。3Mイノベイティブ・プロパティズ・カンパニー(3M Innovative Properties Company)(ミネソタ州セントポール(St.Paul,MN))に譲渡された米国特許第6,180,318号明細書および第6,396,616号明細書(この主題全体が本明細書に援用される)に記載されるようなレーザーを一部に曝露することによって、半反射層のその部分を除去することができる。不連続の半反射層を形成するために使用することができる別の代表的な方法は光画像形成方法である。
【0079】
本発明の望ましい一実施態様においては、不連続の半反射層は、検出層の上面上に均一に分散した多数の半反射性の島を含み、その各半反射性の島は、長さ、幅、または直径が少なくとも約1.0μm、より望ましくは約10.0〜約100μmである正方形または円の形状の上面領域を有する。各半反射性の島は、限定するものではないが三角形、長方形、星形、菱形などの種々の形状で、1つ以上の寸法が少なくとも約1.0μm、より望ましくは約10.0〜約100μmである上面領域を有することができることを理解されたい。さらに、各半反射性の島は、1種類以上の検体に対して浸透性または不浸透性のいずれであってもよいことを理解されたい。半反射性の島が1種類以上の検体に対して浸透性である場合、その比色センサーにおいて、1種類以上の検体は、露出領域を介して直接的に、さらに半反射性の島を介して間接的に検出層と接触することができる。
【0080】
図4には示されていないが、レーザーアブレーション方法(米国特許第6,180,318号明細書および第6,396,616号明細書に記載されるような方法)、化学エッチング方法、または別の方法を使用して、半反射層の一部を除去することができ、さらに、検出層の一部を除去して、半反射層の上面から検出層中まで延在し、場合により反射層の上面(または場合による基材の上面)まで延在するウェルを形成することもできる。この実施態様において、結果として得られる構造は、同じ検出層組成および半反射層組成を有する多層フィルムの島(たとえば、約10μmの幅を有する露出領域の格子内に一辺100μmの正方形の島)のアレイを含む。半反射層の各島は、1種類以上の検体に対して浸透性または不浸透性のいずれであってもよい。半反射性の島が1種類以上の検体に対して浸透性である場合、この多層構造によって、検出層の側面から、および検出層の上面から検体が浸透することができる。結果として得られる構造中の多層フィルムの島の大きさ、形状、および密度も、前述の半反射性の島と同様に変化させることができる。典型的には、多層フィルムの各島の1つ以上の寸法は少なくとも約1μm、たとえば約10.0〜約100μmである。
【0081】
上述の方法以外に、多層フィルムの島は、検出層材料の島を反射層の上に堆積した後、検出層の各島の上部に半反射層を堆積することによって形成することもできる。限定するものではないがインクジェット印刷および接触印刷などの種々の印刷技術を使用して、島またはパターン形成された形態で検出層を反射層の上に堆積することができる。
【0082】
本発明の望ましい一実施態様においては、不連続の半反射層が、検出層の上面上に半反射性の島の単層を含み、この検出層は少なくとも1種類の無機成分を含む。さらに望ましい一実施態様においては、不連続の半反射層が、検出層の上面上に半反射性の島の単層を含み、この検出層が、少なくとも1種類の無機成分とともに少なくとも1種類のポリマー成分を含む。さらに望ましい一実施態様においては、不連続の半反射層が、検出層の上面上に半反射性の島の単層を含み、この検出層が少なくとも2種類の異なるポリマー成分を含み、これらのポリマー成分は、(1)互いにブレンドされている、(2)特定の1つの層中に存在するが互いにブレンドされていない、(3)互いに別の層中に存在する、または(4)(1)から(3)のいずれかの組み合わせである。
【0083】
追加の層
追加の層(または複数の層)がセンサーフィルムの光学的性質を妨害しないのであれば、本発明のセンサーフィルムは、前述の層のいずれかの間に追加の層を含むことができる。追加の層としては、結合層、構造層などが挙げられる。
【0084】
本発明のセンサーフィルムは、半反射層の上に追加の層を含むこともできる。半反射層を少なくとも部分的に覆うことができる好適な追加の層としては、透明な層または積層体、ならびに1種類以上の検体への曝露から半反射層の一部を一時的または永続的に保護するマスキング層が挙げられるが、これらに限定されるものではない。追加の層は、半反射層の上に直接適用することもできるし、結合層または他の接着剤層を介して半反射層に一時的または永続的に接合することもできる。必要であれば、半反射層の外面を処理して(たとえば、化学エッチングまたはプライマー処理、放電処理など)追加の層の接合を強化することができる。
【0085】
代表的な一実施態様において、半反射層の上に、特定のパターンの形態のマスキング層が提供される。この実施態様においては、検体に曝露すると、比色センサーは、特定のパターン(すなわち、半反射層上のマスキング層の反転パターン)の形態の信号を表示する。この信号パターンは、限定するものではないが、形状、文字、単語、使用者への具体的なメッセージ、使用者への安全説明、会社のロゴなどのあらゆる所望の構成であってよい。
【0086】
多層フィルムの構成
本発明の多層フィルムは、1種類以上の検体の存在および/または濃度を検出するために、単独で使用することもできるし、特定のデバイスの一部であってもよい。本発明の一実施態様においては、多層フィルムセンサーは、ハウジングによって少なくとも部分的に囲まれている。このハウジングは、望ましくは、半反射層の上に配置される少なくとも1つの開口部を含み、それによって、この少なくとも1つの開口部を通して半反射層を見ることができる。ある実施態様においては、ハウジングが、少なくとも1つの開口部を含み、この少なくとも1つの開口部が、半反射層の上面に制限された表示部分を提供し、それによって、見ることができるセンサーの色が視角によって変化する可能性(およびセンサーの読み取りに関する使用者の混乱)が最小限となる。典型的には、制限された表示部分によって、垂直方向からみて(すなわち、半反射層の外面に対して垂直の位置からみて)±30°、より望ましくは±15°の範囲内の角度で、半反射層の上面を見ることができる。
【0087】
ハウジング(または前述の場合による基材)は、本発明の多層フィルムセンサーを束縛して、フィルムを弓状または円筒形にするために使用することもできる。このような構成によって、使用者は広範囲の視野角から最小の色ずれでセンサーを見ることができる。
【0088】
前述したように、本発明の多層フィルムセンサーは、ほぼ連続の半反射層または不連続の半反射層を有することができる。本発明の代表的な一実施態様においては、比色センサーは、ほぼ連続の反射層と、反射層の上にある検出層であって、(i)少なくとも1種類のポリマー成分、(ii)少なくとも1種類の無機成分、または(iii)(i)および(ii)の両方を含む検出層と、検出層の上にあるほぼ連続の半反射層であって、検出層の屈折率とは異なる屈折率を有し、検体に対して浸透性である半反射層とを含む。望ましくは、ほぼ連続の反射層、ほぼ連続の半反射層、またはその両方は、一方または両方の層の厚さを最小限にすることによって1種類以上の検体が一方または両方の層に浸透することができるように、反射性材料または半反射材料の単層を含む。
【0089】
本発明のさらに別の代表的な実施態様においては、比色センサーは、反射層と、反射層の上にある検出層と、検出層の上にある不連続の半反射層とを含み、この半反射層は検出層の屈折率とは異なる屈折率を有する。この代表的な実施態様においては、センサーは望ましくは以下の特徴、すなわち、
(a)不連続の半反射層が半反射性の島の単層を含む、
(b)不連続の半反射層が、少なくとも1つの寸法が10μmを超える半反射性の島の単層と、半反射性の島の間の露出領域とを含み、露出領域が少なくとも1.0μmの幅を有する、
(c)検出層が、検出層中のある深さまで延在するウェルを有する、
(d)検出層が、少なくとも1種類の無機成分を単独で含むか、少なくとも1種類のポリマー成分と組み合わせて含むかのいずれかである、
(e)検出層が、少なくとも1種類の無機成分を含み、少なくとも1種類の無機成分が、(i)少なくとも1種類のポリマー成分とブレンドされている、(ii)少なくとも1種類のポリマー成分を含有する特定の1つの層中に存在するが前記少なくとも1種類のポリマー成分とはブレンドされていない、(iii)少なくとも1種類のポリマー成分を含有する層とは別の層中に存在する、または(iv)(i)から(iii)のいずれかの組み合わせである、ならびに
(f)検出層が、少なくとも2種類の異なるポリマー成分を含み、これらのポリマー成分が、(1)互いにブレンドされている、(2)特定の1つの層中に存在するが互いにブレンドされていない、(3)互いに別の層中に存在する、または(4)(1)から(3)のいずれかの組み合わせである、の少なくとも1つを有する。
【0090】
作製方法
本発明の多層フィルムは、たとえば米国特許第5,877,895号明細書に記載の方法などの方法によって作製することができる。検出層は、スピンコーティング、溶液コーティング、押出コーティング、または当技術分野において周知の他の好適な技術によって作製することもできる。検出層は、プラズマ重合などのプラズマ蒸着法によって作製することもできる。反射層および半反射層は、蒸発、スパッタリング、化学蒸着(CVD)、プラズマ蒸着、または火炎堆積などの標準的な気相コーティング技術によって作製することもできる。反射層および半反射層の別の作製方法は、溶液からのめっきである。
【0091】
使用
本発明のフィルムセンサーは、センサーと、光源と、場合によりセンサーの色の変化を監視する手段とを含むシステム中で使用することができる。光源は自然光源でも人工光源でもよい。監視は、種々の方法で実施することができる。視覚的、光検出器の使用、または他の好適な手段によって実施することができる。
【0092】
検体は蒸気または液体の媒体中に存在することができる。たとえば、大気中または液体溶媒中に検体が存在することができる。いずれの場合も、本発明の多くの実施態様において、検体の少なくとも一部は、フィルムセンサーの半反射層を透過して、検出層と相互作用する。
【0093】
2つ以上のフィルムセンサーを合わせて使用してアレイを形成することができる。このアレイは、あらゆる好適な構成であってよい。たとえば、アレイが隣接する2つ以上のセンサーを含むことができるし、基材の互いに反対側にセンサーを取り付けたり、それらの上に構成したりすることもできる。特定のアレイ中のセンサーは、同じ種類であってもよいし、異なっていてもよい。多層フィルムセンサーのアレイは、化学物質の存在を検出するだけではなく、全体としてアレイからの独特の応答特性に基づいて検体を同定するのに有用である。
【0094】
多層フィルムセンサーの代表的なアレイを図5A〜図5Fに示す。それぞれの代表的なアレイ50〜55は、ベース層57と、層57の上面の多層フィルムスタック58とを含む。ベース層57は、前述の基材層または反射層であってよい。特定のアレイ内の多層フィルムスタック58は、化学組成が同じ場合も異なる場合もある。たとえば、特定のアレイ内の2つ以上の多層フィルムスタック58は、特定の試料媒体中の1種類以上の検体の存在および/または濃度を検出するために、(i)異なる検出層の化学的性質(および/または受容体の種類、たとえばカリックスアレーン、ペプチド)、(ii)異なる検出層孔径分布、(iii)特定のスタック中で異なる検出層厚さ、または(iv)(i)から(iii)のいずれかの組み合わせを有することができる。
【0095】
本発明の代表的な一実施態様においては、アレイが2つ以上の比色センサーを含み、そのアレイ中の各比色センサーが、(i)少なくとも1種類のポリマー成分、(ii)少なくとも1種類の無機成分、あるいは(iii)(i)および(ii)の両方を含む検出層を含む。ある実施態様においては、アレイ中の各比色センサーが、共通の反射層を共有している。望ましい一実施態様においては、アレイは、2つ以上の比色センサーを含み、そのアレイ中の各比色センサーが、(a)共通の反射層を共有し、さらに、(b)(i)検出層組成物を有する検出層と(ii)半反射層組成物を有する半反射層とを含む層のスタックを含む多層フィルムの島を含む。望ましくは、検出層組成物は、アレイ中の各比色センサーで類似しており、半反射組成物はアレイ中の各比色センサーで類似している。
【0096】
図5A〜図5Fに示されるように、センサーアレイは、1つ以上の別個のセンサー要素を、均一に分散させたり(たとえばアレイ51)、不均一に分散させたり(たとえばアレイ55)、隣接させたり(棒ゲージ型など)(たとえば、アレイ 52)、または他のあらゆる構成に配置することができる。
【0097】
本発明のフィルムセンサーは、多くの有用な用途を有する。たとえば、広範囲の有機蒸気の検出に使用することができる。本発明のセンサーは、溶液中または気体中の特定の検体の存在および/または濃度を検出するために使用することができる。センサーアレイは、溶液中または気体中の1種類以上の検体の存在および/または濃度を検出するために使用することができる。可能性のある用途の1つにおいては、本発明の多層フィルムセンサーは、液体または気体の媒体の1つのセンサー要素との相互作用ではなく、液体または気体の媒体とアレイとの相互作用に基づいて、使用者に全体的な色のパターンを提供する。
【0098】
使用前には、本発明の多層フィルムセンサーは、検出されるべき検体を実質的に有さない。使用前の「未曝露」多層フィルムセンサーは、半反射層を通して見た場合に、典型的には(i)第1の色を示す、または(ii)無色である、のいずれかである。検出されるべき1種類以上の検体に曝露すると、「未曝露」多層フィルムセンサーは、検体を含有する比色センサーに変化する。この検体を含有する比色センサーは、(i)第1の色とは異なる第2の色を示す、(ii)第1の色から無色状態に色が変化する、または(iii)無色状態から有色状態に色が変化する、のいずれかである。
【0099】
検出される検体の種類に依存して、本発明の多層フィルムセンサーは、反射層と半反射層との間に生物学的物質を含有してもよいし、実質的に含有しなくてもよい。本明細書において使用される場合、用語「生物学的物質」は、ペプチド、グリコペプチド、タンパク質、抗体、酵素、オリゴヌクレオチド、および核酸などの分子受容体を包含するために使用される。
【0100】
上述のいずれのセンサーおよびセンサーのアレイも、特定の媒体中の1種類以上の検体を検出するために使用することができる。検体の代表的な検出方法の1つにおいては、その方法は、検体の存在または非存在を検出し、比色センサー(またはセンサーのアレイ)を提供するステップと、光源を提供するステップと、検体を含有する可能性のある媒体とセンサー(またはセンサーのアレイ)とを接触させるステップと、センサー(またはセンサーのアレイ)の光学的性質の変化を監視するステップとを含む。前述したように、媒体は液体でも気体でもよい。さらに、1種類以上の検体は、半反射層、反射層、または両方の層に浸透することができる。
【実施例】
【0101】
以下の実施例によって本発明を説明することができる。特に明記しない限り、センサーフィルム試料は、フィルム表面に対して垂直の角度で観察した。他の視野角を使用することもできる。観察される色は、観察角に依存して変化する場合がある。
【0102】
実施例1
米国特許第5,877,895号明細書に記載の堆積方法によって、多層比色センサーフィルムを作製した。
【0103】
真空ウェブシステムへの1パス(15.24m/分)で、アルミニウム反射層(100nm)およびポリマーの検出層(500nm)を、ポリエステル基材層(50μm)の上に連続して堆積した。アルミニウム反射層は、直径0.1587cmのアルミニウム線(アルコア(Alcoa)ストック番号1199、ペンシルバニア州ピッツバーグ(Pittsburgh,PA))を電気的に加熱した(7V、1250amp)蒸発棒上に225mm/分の供給速度で供給することによって、熱的に蒸着した。次に、ポリマーの検出層(500nm)を、6.9W・Secの電子ビーム硬化によって堆積した。モノマーの組成は、重量比48.5/48.5/3のアクリル酸ラウリル(ペンシルバニア州エクストンのサートマー(Sartomer,Exton,PA)より入手可能)/IRR214(独自開発の炭化水素ジアクリレート、ベルギーのドロゲンボスのUCBケミカルズ(UCB Chemicals、Drogenbos、Belgium)より入手可能)/エベクリル170(EBECRYL 170)(これもUCBケミカルズ(UCB Chemicals)より入手可能なリン酸モノアクリレート化合物)の混合物であった。次に、真空ウェブシステムの引き続くパス(15.24m/分)で、硬化した検出層の上に、クロム(ニューメキシコ州アルバカーキのアカデミー・プレシジョン・マテリアルズ(Academy Precision Materials,Albuquerque,NM))をスパッタリングして(2mTorrのアルゴン圧力において2.95W/cm2のDC出力)、厚さ5nmの外層を得た。この多層センサーフィルムは緑の色相を有した。
【0104】
多層フィルムの断片(2.54cm平方)をガラススライド上に取り付け、密封した瓶の中で種々の有機溶媒の飽和蒸気に1分間曝露した。各瓶の中で、未希釈の液体検体の上のヘッドスペース内に多層フィルムをつり下げた。表1に示すように、曝露によって、鮮やかな目視で検出可能な色の変化が得られた。それぞれの場合で、色の変化は、溶媒蒸気から取り出してから数十秒以内に戻ることができ、元の緑の色相に戻った。繰り返しの曝露により同じ色の変化が生じたので、これらの応答は定性的に再現性が見られた。
【0105】
【表1】

【0106】
実施例2
一連の溶媒蒸気への曝露前および曝露後で多層フィルムの可視反射スペクトルを測定した。フィルムの断片(実施例1の2.54cm平方)をガラススライド上に取り付け、密封した瓶の中で種々の有機蒸気に曝露した。平衡に達してから、曝露したフィルムを取り出し、蒸気の脱着を防止するために、直ちにガラス製カバースライドで覆った。拡散反射UV−VIS分光計を使用して、曝露した材料の反射スペクトルを測定した。試験したすべての有機蒸気で、検体の曝露により、最大反射率の実質的なレッドシフトが観察された。たとえば524nm(曝露前)が中心の最大反射率(曝露前)は、より長波長へのシフトを示した(レッドシフト)。このシフトの大きさは、表2に示されるように、22nm(アセトニトリル)から116nm(塩化メチレン)の範囲であった。この試料は、多層比色センサーフィルムが有機蒸気に応答して、ハロカーボン、アレーン、アルコール、ケトン、ニトリル、およびエーテルの場合に色のシフトを示すことが分かった。飽和水蒸気への曝露では反射スペクトルのシフトは観察されなかった。フィルムを液体の水に浸漬した場合でさえも、色の変化は観察されなかった。
【0107】
【表2】

【0108】
実施例3
異なる検体蒸気に対する応答感度を評価するために、単純な貫流設定を使用して、実施例1に記載のように作製したセンサーフィルムを、特定の濃度範囲の検体に曝露した。濃度(分圧として測定)は、浴温度によって制御した。蒸気圧を制御するために低温浴を使用して冷却した未希釈の液体検体に空気をバブリングした。固体二酸化炭素(ドライアイス)と3−ヘプタノンまたはエチレングリコールとの混合物によって、それぞれ−38℃および−15℃の浴温度を得た。氷水浴を使用して0℃の温度を得た。蒸気圧ハンドブック(Handbook of Vapor Pressure)(ヨーズ(Yaws),C.L.ガルフ・パブリッシング(Gulf Publishing):ヒューストン(Houston),1994)のデータを使用してこれらの温度における各検体の蒸気圧を計算した。次に、ステンレス鋼カニューレを介して、それぞれの空気/蒸気の流れを、多層フィルムを収容し隔壁で封止したバイアル中に流した。曝露による各フィルムの色の変化を目視で監視して、平衡を確認するために数回の観察を行った。
【0109】
表3は、濃度の関数としての応答を示しており、「緑」は未曝露のフィルムの色を示しており、「ピンク」は飽和蒸気に対する応答を示しており、「黄」は中間の応答を示している。これらの結果から、本発明の比色センサーフィルムを使用して検体濃度を測定でき、蒸気の存在を定性的に測定できることが分かる。
【0110】
【表3】

【0111】
実施例4
センサーフィルム(実施例1)を使用して、水中の有機化合物の検出を行った。テトラヒドロフラン(THF)水溶液(5体積%)中にフィルムを浸漬すると、目視により色が緑から黄に変化した。アセトン水溶液(25体積%)に浸漬すると、緑から黄−緑への目視により色の変化が得られた。この実施例は、本発明の多層比色センサーフィルムが、水中の有機化合物の存在を検出できることを示している。フィルムをただの水に曝露しても色の変化は観察されなかった。
【0112】
実施例5
検出層をスピンコーティングすることによって、2つの多層センサーフィルムを作製した。これらの構造は、ポリマー検出層を除けば同じものであった。各センサーフィルムを作製するために、バッチシステム真空コーター中で、電子ビーム蒸着(2.5nm/秒の蒸着速度)によって、アルミニウム反射層(100nm)を50μmのポリエステル基材層の上に堆積した。スピンコーティングによって、ポリ(スチレン)およびポリ(メチルメタクリレート)の検出層を、アルミニウムがコーティングされた基材の1つの上にそれぞれ堆積した。これらのポリマーは、濃度がそれぞれ5%(w/w)および9.4%(w/w)のトルエン溶液からコーティングした。スピンコーティングは、3500rpmで25秒間実施した。結果として得られたポリマー厚さの厚さは、260nm(ポリ(スチレン))および500nm(ポリ(メチルメタクリレート))であった。実施例1と同じスパッタリング条件で各ポリマー表面上にクロム層(5nm)を堆積することで、多層センサーフィルム構造体が完成した。センサーフィルムを飽和クロロホルム蒸気に曝露すると、紫から青(ポリ(スチレン))およびピンクから淡緑(ポリ(メチルメタクリレート))への可逆的な色のシフトが得られた。フィルムをトルエン蒸気に曝露すると、干渉に基づく色が永続的に失われ、検体から取り出してもフィルムが元の色を回復できないことを示している。透過型電子顕微鏡検査(TEM)によると、この不可逆変化は、アルミニウム層がスタックの残りから剥離したために生じたことが分かった。この実施例は、スピンコーティングによって多層比色センサーを形成できることを示している。材料、およびセンサーの作製に使用した方法を適切に選択することによって、本発明のセンサーの外観の永続的な変化を実現できることも示している。
【0113】
実施例6
試料6Aの検出層厚さが500nmであり、試料6Bの場合はその厚さが650nmであることを除けば、実施例1に記載のものと同じ一般手順および組成を使用して、2つの異なる多層フィルムを作製した。どちらのフィルムも、実施例1のようなアクリル酸ラウリル/IRR214/EB170混合物の重合によって作製した検出層を有した。一連の蒸気に対する2つのフィルムの応答を表4に示す。個々のセンサーがすべての検体を同定できるわけではないが(すなわち、6Aはトルエンとアセトンとを区別できず、6Bはアセトニトリルとアセトンとを区別できなかった)、両方のセンサーからの応答を組み合わせると、試験した各化学種に対して一意的である。2種類以上の独特の多層フィルムを有するセンサーアレイの検体同定に関する有用性が、この実施例によって示されている。
【0114】
【表4】

【0115】
実施例7
6種類の異なる多層フィルムを含むアレイを使用して、エタノール(EtOH)、トルエン(Tol.)、アセトン、アセトニトリル、シクロヘキサン(CyHex)、メチルエチルケトン(MEK)、塩化メチレン(CH2Cl2)、およびテトラヒドロフラン(THF)の一連の有機蒸気に対する応答を調べた。各センサーフィルムを作製するために、最初にバッチシステム真空コーター中で、電子ビーム蒸着(2.5nm/秒の蒸発速度)によって、アルミニウム反射層を、50μmのポリエステル基材層の上に堆積した。次に、検出層を形成するために以下のようなポリマー材料を各試料にスピンコーティングした:試料7A ポリ(α−メチルスチレン)(アルドリッチ(Aldrich)、1,300MW);試料7B ポリ(ビニルフェノール)(ポリサイエンシズ(Polysciences)、MW=1,500〜7,000);試料7C ポリ(ビニルピロリドン)(アルドリッチ(Aldrich)、55,000MW);および試料7D ポリ(ビニルアルコール)(アルドリッチ(Aldrich)、89%加水分解、MW=85,000〜141,000)。アルミニウム蒸着ポリエステルの別々の1.5インチ×1.5インチ(3.8cm×3.8cm)の断片のアルミニウム側に各ポリマー試料をスピンコーティングした。スピンコーティングは3000rpmで1分間実施すると、それぞれのポリマーフィルム厚さが500nm、270nm、250nm、および290nmとなった。次に、実施例1に記載の条件と同一のスパッタリング条件で各ポリマー表面上にクロム層(5nm)を堆積することで、各多層フィルム構造が完成した。
【0116】
実施例6に記載の試料6Aおよび6Bも、6要素のセンサーアレイ中に使用した。各フィルムの断片を、ガラススライド上に取り付け、次に密封した瓶の中で飽和蒸気に曝露した。初期の色および蒸気曝露後の色を表5に示している。
【0117】
個々のセンサーがすべての検体を検出できたわけではないが(すなわち、7BはEtOHとアセトンとを区別できない)、6つのセンサーのアレイからの複合的な応答では、試験した各化学種に対して一意的である。
【0118】
【表5】

【0119】
実施例8
実施例5に記載の方法と同様にして、多層フィルムを作製した。100nmのAl層をポリエステル基材上に蒸着することによって、アルミニウム蒸着ポリエステルを作製した。ガラススライド上に固定したアルミニウム蒸着ポリエステルの断片上に、ポリ(ビニルアルコール)(アルドリッチ(Aldrich)、89%加水分解、85,000〜141,000MW)の10%(質量/体積)水溶液をスピンコーティングした(3000rpm、1分)。得られた3層フィルムに次に、5nmの厚さのCrをスパッタリングして、スタックを完成した。10%(質量/体積)エタノール溶液のスピンコーティングによって、ポリ(ビニルピロリドン)(アルドリッチ(Aldrich)、55,000MW)検出層を有する多層フィルムを類似の方法で作製した。
【0120】
実施例9
3Mカンパニー(3M Company)の810スコッチ・ブランド・マジック・テープ(810 SCOTCH BRAND MAGIC Tape)を、印刷された3Mロゴテンプレートに合わせて切断してパターンを形成した断片を、実施例8に記載のポリ(ビニルアルコール)を有する多層フィルムを覆った。この積層多層フィルムは、湿気に曝露すると色の変化を示した。積層していない領域のみで色の変化が起こり、3Mのロゴが現れた。
【0121】
実施例10
連続のCr層の代わりに「Crの島」をポリマーの検出層に適用したことを除けば、実施例1に記載の方法と同様にして多層フィルムを作製した。Crの島を適用するために、Cr源とポリマーの検出層との間にスクリーンを配置し、次にスクリーン上にCrをスパッタリングし、検出層を硬化させて、厚さ5nm、および長さ100nmの正方形を有するCrの島を得た。RIE方式において酸素プラズマを使用して、Crの島の間のポリマーをエッチングした。このエッチングプロセスの間に、Crの島は透明なCrOxコーティングに変化した。検出層中に形成された「ウェル」は、幅約5nmおよび深さ約100nmであった。次に、実施例1と同様にCrの半反射層をスパッタコーティングして、厚さ5nmのほぼ連続の半反射層を得た。
【0122】
実施例11
実施例1に記載の方法と同様にして多層フィルムを作製した。ほぼ連続の半反射Cr層を適用した後、米国特許第6,180,318号明細書に記載されるレーザーアブレーション法を使用して半反射Cr層の一部を除去して、長さ100μmの正方形の島を得た。除去した半透明領域の大きさは目で見ることができるが(すなわち、ウェルの幅は約10μmであった)、検体に曝露した場合に色が変化するのに十分な小ささであった。
【0123】
実施例12
検出層の一部もレーザーアブレーション法を使用して除去したことを除けば、実施例11に記載の方法と同様にして多層フィルムを作製した。得られた多層フィルムの島は、長さ100μmの正方形であった。これらの島は、幅10μmおよび深さ約505nmのウェルで分離された。
【0124】
本発明の範囲および意図から逸脱しない本発明の種々の修正および変更は当業者には明らかとなるであろうし、本明細書に記載される説明的な実施態様に本発明が不当に限定されるべきではないことを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0125】
【図1】本発明の代表的な多層フィルムを示している。
【図2】特定の位置から別の位置で厚さが変化する検出層を有する本発明の代表的な多層フィルムを示している。
【図3】ほぼ連続の半反射層と検出層中のウェルとを有する本発明の代表的な多層フィルムを示している。
【図4】不連続の半反射層を有する本発明の代表的な多層フィルムを示している。
【図5A】本発明の多層フィルムセンサーの代表的なアレイの正面図を示している。
【図5B】本発明の多層フィルムセンサーの代表的なアレイの正面図を示している。
【図5C】本発明の多層フィルムセンサーの代表的なアレイの正面図を示している。
【図5D】本発明の多層フィルムセンサーの代表的なアレイの正面図を示している。
【図5E】本発明の多層フィルムセンサーの代表的なアレイの正面図を示している。
【図5F】本発明の多層フィルムセンサーの代表的なアレイの正面図を示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検体の存在および濃度の一方または両方を測定するための比色センサーであって、
反射層と、
前記反射層の上にある検出層と、
前記検出層の上にある半反射層であって、前記検出層の屈折率とは異なる屈折率を有する半反射層とを含み、前記センサーは、前記検体に曝露することによって色を変化させることができ、
以下の特徴部、すなわち、
(a)少なくとも1つの寸法が10μmを超える半反射性の島の単層と、半反射性の島の間の露出領域とを含む不連続の半反射層であって、前記露出領域が少なくとも1.0μmの幅を有する不連続の半反射層、
(b)少なくとも1種類の無機成分を、単独で含有するかまたは少なくとも1種類のポリマー成分を組み合わせて含有する検出層を組み合わせた、半反射性の島の単層を含む不連続の半反射層、
(c)検出層と組み合わせた不連続の半反射層であって、前記検出層が、(i)(1)互いにブレンドされている、(2)特定の1つの層中に存在するが互いにブレンドされていない、(3)互いに別の層中に存在する、または(4)(1)から(3)のいずれかの組み合わせである、少なくとも2種類の異なるポリマー成分を含み、(ii)その体積全体に細孔の連続網目構造を有する、(iii)前記検出層の第1の位置において第1の厚さを有し、前記検出層の第2の位置において第2の厚さを有し、前記第2の厚さは前記第1の厚さとは異なる、あるいは(iv)前記検出層中に分子受容体を含む、半反射層、
(d)前記検出層の上面にある深さで延在するウェルを含む検出層を組み合わせた、半反射性の島の単層またはほぼ連続の半反射層を含む不連続の半反射層、
(e)前記半反射層の上面の第1の位置においてより高い検体浸透性を有し、前記上面の第2の位置においてより低い検体浸透性を有するように、浸透性に差を持たせたほぼ連続の半反射層、
(f)1種類以上の無機材料の少なくとも1つの無機層を含む検出層を組み合わせた、ほぼ連続の半反射層であって、前記少なくとも1つの無機層がポリマー材料を含有しない半反射層、
(g)固有の微孔性を有する少なくとも1種類のポリマーを含む検出層を組み合わせた、ほぼ連続の半反射層、
(h)前記半反射層の少なくとも一部の上にあるマスキング層を組み合わせた、ほぼ連続の半反射層、および
(i)少なくとも1種類の無機成分を含む検出層であって、前記少なくとも1種類の無機成分が、(1)少なくとも1種類のポリマー成分とブレンドされている、(2)少なくとも1種類のポリマー成分を含有する特定の1つの層中に存在するが前記少なくとも1種類のポリマー成分とはブレンドされていない、(3)少なくとも1種類のポリマー成分を含有する層とは別の層中に存在する、または(4)(1)から(3)のいずれかの組み合わせである、検出層、
の少なくとも1つを有する、比色センサー。
【請求項2】
前記反射層および前記半反射層の一方または両方が金属を含む、請求項1に記載の比色センサー。
【請求項3】
前記半反射層が、少なくとも1つの寸法が10μmを超える半反射性の島の単層と、半反射性の島の間の露出領域とを含む不連続の半反射層であり、前記露出領域が少なくとも1.0μmの幅を有する、請求項1に記載の比色センサー。
【請求項4】
前記半反射層が半反射性の島の単層を含む不連続の半反射層であり、前記検出層が、少なくとも1種類の無機成分を、単独で含有するかまたは少なくとも1種類のポリマー成分を組み合わせて含有する、請求項1に記載の比色センサー。
【請求項5】
前記半反射層が不連続の半反射層であり、前記検出層が少なくとも2種類の異なるポリマー成分を含み、前記ポリマー成分が、(1)互いにブレンドされている、(2)特定の1つの層中に存在するが互いにブレンドされていない、(3)互いに別の層中に存在する、または(4)(1)から(3)のいずれかの組み合わせである、請求項1に記載の比色センサー。
【請求項6】
各ポリマー成分の光学的厚さが、異なる検体の存在下で変化する、請求項5に記載の比色センサー。
【請求項7】
1種類のポリマーのみの光学的厚さが検体の存在下で変化する、請求項5に記載の比色センサー。
【請求項8】
前記センサーが前記検体に曝露したときに目に見えるパターンを形成するように、前記少なくとも2種類のポリマーが配列されている、請求項5に記載の比色センサー。
【請求項9】
前記半反射層が不連続の半反射層であり、前記検出層が、その体積全体に細孔の連続網目構造を有する、請求項1に記載の比色センサー。
【請求項10】
前記検出層が、固有の微孔性を有する少なくとも1種類のポリマーを含む、請求項1に記載の比色センサー。
【請求項11】
前記半反射層が不連続の半反射層であり、前記検出層が、前記検出層の第1の位置において第1の厚さを有し、前記検出層の第2の位置において第2の厚さを有し、前記第2の厚さは前記第1の厚さとは異なる、請求項1に記載の比色センサー。
【請求項12】
前記半反射層が不連続の半反射層であり、前記検出層が前記検出層中に分子受容体を含む、請求項1に記載の比色センサー。
【請求項13】
前記分子受容体が、カリックスアレーン、シクロデキストリン、樹枝状ポリマー、カーボンナノチューブ、アザクラウン、クラウンエーテル、ルイス酸官能性を有する陰イオンキレート剤、有機金属金属錯体、ポルフィリン、金属ポルフィリン、ペプチド、グリコペプチド、タンパク質、抗体、酵素、オリゴヌクレオチド、核酸、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項12に記載の比色センサー。
【請求項14】
前記半反射層が不連続の半反射層であり、前記検出層が、前記検出層の上面にある深さで延在するウェルを含む、請求項1に記載の比色センサー。
【請求項15】
前記半反射層がほぼ連続の半反射層であり、前記検出層が、前記検出層の上面にある深さで延在するウェルを含む、請求項1に記載の比色センサー。
【請求項16】
前記半反射層が、前記半反射層の上面の第1の位置においてより高い検体浸透性を有し、前記上面の第2の位置においてより低い検体浸透性を有するように、浸透性に差を持たせたほぼ連続の半反射層である、請求項1に記載の比色センサー。
【請求項17】
前記第1および第2の位置が、前記半反射層の前記上面であるパターンを形成する、請求項16に記載の比色センサー。
【請求項18】
前記半反射層がほぼ連続の半反射層であり、前記センサーが前記半反射層の少なくとも一部の上にあるマスキング層をさらに含む、請求項1に記載の比色センサー。
【請求項19】
前記半反射層の少なくとも一部の上にあるパターンとして前記マスキング層が提供される、請求項18に記載の比色センサー。
【請求項20】
前記半反射層が、前記検出層の外面に半反射材料の単層を含み、前記反射層が前記半反射層の反対側に反射性材料の単層を含む、請求項1に記載の比色センサー。
【請求項21】
前記検出層が少なくとも1種類の無機成分を含み、前記少なくとも1種類の無機成分が、(i)少なくとも1種類のポリマー成分とブレンドされている、(ii)少なくとも1種類のポリマー成分を含有する特定の1つの層中に存在するが前記少なくとも1種類のポリマー成分とはブレンドされていない、(iii)少なくとも1種類のポリマー成分を含有する層とは別の層中に存在する、または(iv)(i)から(iii)のいずれかの組み合わせである、請求項1に記載の比色センサー。
【請求項22】
前記反射層の少なくとも一部が、前記検体に対して浸透性である、請求項1に記載の比色センサー。
【請求項23】
前記検体を実質的に含まず、前記半反射層を通して見た場合に(i)第1の色を呈するまたは(ii)無色である、のいずれかである、請求項1に記載の比色センサー。
【請求項24】
ほぼ連続の半反射層が、1種類以上の無機材料の少なくとも1つの無機層を含む検出層と組み合わされ、前記少なくとも1つの無機層がポリマー材料を含有しない、請求項1に記載の比色センサー。
【請求項25】
検体を含有する比色センサーであって、
請求項1に記載の比色センサーと、
前記センサーの前記検出層と接触する少なくとも1種類の検体とを含み、(i)前記検体に曝露する前に比色センサーによって呈される第1の色とは異なる第2の色を呈する、(ii)前記検体に曝露すると前記第1の色から無色状態に色が変化する、または(iii)前記検体に曝露すると無色から有色状態に色が変化する、のいずれかである比色センサー。
【請求項26】
請求項1に記載の比色センサーを2つ以上含むアレイ。
【請求項27】
前記アレイ中の少なくとも2つの比色センサーが、(i)異なる検出層の化学的性質、(ii)別々の検出層の中で異なる分子受容体、(iii)異なる検出層孔径分布、(iv)異なる検出層厚さ、または(v)(i)から(iv)のいずれかの組み合わせを有する、請求項26に記載のアレイ。
【請求項28】
前記アレイ中の各比色センサーが、(i)共通の反射層を共有し、さらに、(ii)(1)検出層組成物を有する検出層および(2)半反射層組成物を有する半反射層を含む層のスタックを含んでなる多層フィルムの島を含む、請求項26に記載のアレイ。
【請求項29】
請求項1に記載の比色センサーと、
前記比色センサーを少なくとも部分的に囲むハウジングとを含むデバイスであって、前記ハウジングが、前記半反射層の上にある少なくとも1つの開口部を含み、前記少なくとも1つの開口部が、前記半反射層の上面に制限された表示部分を提供する、デバイス。
【請求項30】
前記制限された表示部分によって、垂直方向からみて±30°以内で前記半反射層の前記上面を見ることが可能となる、請求項29に記載のデバイス。
【請求項31】
請求項1に記載の比色センサーと光源とを含むデバイス。
【請求項32】
光検出器をさらに含む、請求項31に記載のデバイス。
【請求項33】
検体の存在または非存在を検出する方法であって、
請求項1に記載の比色センサーを提供し、
光源を提供し、
検体を含有する可能性のある媒体と前記センサーを接触させ、および
前記センサーの光学的性質の変化を監視する工程を含む方法。
【請求項34】
前記光学的性質の変化によって、目に見える変化が生じる、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記媒体が気体である、請求項33に記載の方法。
【請求項36】
前記媒体が液体である、請求項33に記載の方法。
【請求項37】
前記検体が、前記半反射層、前記反射層、またはその両方に浸透する、請求項33に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【図5E】
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【図5F】
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【公表番号】特表2007−530940(P2007−530940A)
【公表日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−504966(P2007−504966)
【出願日】平成17年2月22日(2005.2.22)
【国際出願番号】PCT/US2005/005468
【国際公開番号】WO2005/111588
【国際公開日】平成17年11月24日(2005.11.24)
【出願人】(599056437)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (1,802)
【Fターム(参考)】