説明

毛髪ケア組成物及び毛髪直径を増大させかつ追加利益を送達する方法

毛髪ケア組成物であって、A)キサンチン化合物、ビタミンB3化合物、及びパンテノール化合物を含有する毛髪直径増大剤と、B)追加有益剤であって、その追加利益が、毛髪体積増大、毛髪コンディショニング、毛髪強化、頭皮感覚、毛髪着色、及びそれらの混合からなる群から選択されるものと、C)キャリアと、を含有する、組成物が開示される。本発明の毛髪ケア組成物は、毛髪直径を増大させ、しかも、消費者が、毛髪直径増大効果を得ることができるようにより長い期間の間そのような組成物を使用するモチベーション及び/又は毛髪直径増大剤の浸透を弱めずに、少なくとも1つの追加利益を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛髪ケア組成物と、毛髪直径を増大させ、かつ、少なくとも1つの利益をも送達するための方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
魅力的であると考えられている毛髪の外観には、多くの特質が寄与している。例えば、豊満な外観及び/又は太い外観を有する毛髪は、それが頭皮上のものであろうと、顎髭又は口髭の領域であろうといずれにしても、非常に魅力的である。対照的に、薄い毛髪の外観は魅力がなく、髪の毛の薄い人は生活年齢よりも老けている印象をもたらす場合さえある。更に、毛髪が薄いと、スタイルを整えるのがより困難であることがあり、典型的には、それほど多くの髪型にスタイルできず、髪の毛の薄い人を不満にさせ、だらしのない外観にさせる。毛髪の薄さに関連する前述の問題のために、多くの髪の毛の薄い人は、手入れに大変な努力と時間を費やしているが、依然として彼らの所望する髪型及び外観は実現されていない。このことは、彼らの外観に対する不満及び/又は自信のなさを引き起こすことがある。これらの問題は、男性と女性両方の消費者が経験することがある。
【0003】
したがって、毛髪外観の豊満さ及び/又は太さを増大させる方法であって、結果として、より若々しく、より魅力的な毛髪外観を生じさせる方法を消費者に提供する必要性が存在する。
【0004】
例えば、毛髪直径を増大させることによって、上記の必要性を満たそうと試みる様々な製品が存在する。しかし、毛髪繊維の直径を増大させるためには、長い時間が必要である。即効を見るのを好む消費者が、より長い時間にわたってそのような製品を用いるのは、困難であることがある。したがって、毛髪直径を増大させる毛髪ケア組成物であって、しかも、消費者が毛髪直径の増大する利益を獲得することができるように、より長い期間の間そのような組成物を用いるように消費者に興味を起こさせる毛髪ケア組成物を得る必要性が存在する。
【0005】
また、毛髪直径を増大し、かつ、少なくとも1つの追加利益をも提供する毛髪ケア組成物を得る必要性が存在する。しかし、そのような追加利益を得て、同時に、毛髪直径増大剤の浸透性を低下させないことは依然として困難である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述の事項に基づけば、毛髪直径を増大させる毛髪ケア組成物であって、消費者が毛髪直径の増大する利益、及び/又は少なくとも1つの追加利益を獲得することができ、同時に、毛髪直径増大剤の浸透性を低下させないように、より長い期間の間そのような組成物を用いるように消費者に興味を起こさせる毛髪ケア組成物を得る必要性が存続している。
【0007】
既存の技術のいずれも、本発明の諸利点及び諸利益の全てを提供する訳ではない。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、
A)毛髪直径増大剤であって、
a.キサンチン化合物、
b.ビタミンB3化合物、及び
c.パンテノール化合物を含有する毛髪直径増大剤と、
B)追加有益剤であって、そのような追加利益が、毛髪体積増大、毛髪コンディショニング、毛髪強化、頭皮感覚、毛髪着色、及びそれらの混合からなる群から選択される薬剤と、
C)キャリアと、を含有する、毛髪ケア組成物を目的とする。
【0009】
本発明は更に、毛髪直径を増大させる方法であって、毛髪直径を増大させることが望まれている領域に、上記組成物を局所的に塗布する段階を含む、方法も目的とする。
【0010】
本発明の毛髪ケア組成物及び方法は、毛髪直径を増大させる利益を提供する。本発明の毛髪ケア組成物及び方法は、更に、消費者が毛髪直径の増大する利益、及び/又は少なくとも1つの追加利益を獲得することができ、同時に、毛髪直径増大剤の浸透性を弱めないように、より長い期間の間そのような組成物を用いるように消費者に興味を起こさせる。
【0011】
本発明のこれらの特徴、態様及び利点、並びに他の特徴、態様及び利点は、以下の説明及び特許請求の範囲を読み取ることによって、更によく理解されるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書は、本発明を詳細に示し、かつ、はっきりと請求することによって終結しているが、本発明は次の記述によって更によく理解されるものと思われる。
【0013】
特別の定めがない限り、百分率、部及び比率は全て、本発明の毛髪ケア組成物の全重量に基づいており、かつ、測定値は全て25℃で行われたものである。表に記載される成分に関連するような重量は全て、活性レベルに基づいており、したがって、特別の定めがない限り、市販の材料に含まれるかもしれないキャリア又は副生成物を含まない。
【0014】
本明細書において、「含む」は、最終結果に影響しない他の工程及び他の成分を加えることができることを意味する。この用語は、用語「からなる」及び「から本質的になる」を包含する。
【0015】
本明細書において、「混合物」は、複数種類の材料の単純な組み合わせと、結果としてそのような組み合わせから生じることがあるあらゆる化合物とを包含すように意図されている。
【0016】
本明細書において、「毛髪直径の増大」及び「毛髪直径を増大させる」は、新たな毛髪の直径を増大させることを意味する。本明細書において、新たな毛髪とは、毛嚢において新たに発生し、育毛の結果として、皮膚/頭皮の表面に出現する毛髪のいずれかの部分であって、例えば、新たに成長している毛髪の先端部、及び既存の毛髪の毛根を包含する部分を意味する。
【0017】
全ての測定は、25℃でかつ周囲条件で行われることが分かる。ここで「周囲条件」とは、約1気圧及び相対湿度約50%の条件を意味する。
【0018】
毛髪ケア組成物
本発明の毛髪ケア組成物は、
A)キサンチン化合物、ビタミンB3化合物及びパンテノール化合物を含有する毛髪直径増大剤と、
B)毛髪体積増大、毛髪コンディショニング、毛髪強化、頭皮感覚、毛髪着色、及びそれらの混合物からなる群から選択される追加有益剤と、
C)キャリアと、を含有する。
【0019】
任意的に、毛髪ケア組成物は、所望の適切な任意的成分であればいかなる成分をも含有することができる。
【0020】
本明細書で用いられる用語「毛髪ケア組成物」とは、毛髪及び/又は毛髪の下の皮膚に施される組成物であって、毛髪の処理又はケアを行うために用いられる組成物を包含する組成物である。語句「毛髪ケア組成物」によって意図される生成物は、液体、クリーム、ワイプ、ヘアコンディショナー(リンスオフ及びリーブオン)、毛髪用トニック及び/又は頭皮用トニック、シャンプー、染毛剤、泡状整髪剤、圧縮不活性ガスローション、乳剤、髭剃り用ジェル、髭剃り後用トニック及びローション、等を包含するが、それらに限定されない。ある実施形態において、本発明の諸利益(とりわけ、毛髪直径を増大させる利益)を効果的に送達することを考慮すれば、上記の毛髪ケア組成物のうちリーブオン毛髪ケア組成物が好ましい。そのようなリーブオン毛髪ケア組成物には、例えば、リーブオンヘアコンディショニング組成物、毛髪用トニック及び/又は頭皮用トニック、並びにヘアスタイリング組成物が包含される。そのようなリーブオン毛髪ケア組成物は、例えば、約3〜約7.5、好ましくは約3.5〜約7、より好ましくは約4〜約7のpHを有することができる。
【0021】
本発明において、この組成物は非乳剤の形態であることが好ましいことがある。本発明の毛髪直径増大剤は、それが乳剤組成物に含有される場合よりむしろ非乳剤組成物に含有される場合、頭皮、皮膚及び/又は毛嚢に対して改善された性能を提供するものと思われる。
【0022】
好ましくは、本発明の組成物は、実質的に不溶性の油性化合物を実質的に含有しない。より低い濃度のそのような実質的に不溶性の油性成分は、
頭皮、皮膚及び/又は毛嚢に対する、毛髪直径増大剤の改善された浸透性と、
とりわけ、付着薬剤がこの組成物中で可溶性であるものであり、毛髪上に固体粒子を形成する場合、この付着薬剤の改善された固体粒子形成と、
とりわけ、この組成物がリーブオン用途向けである場合、改善された使用感覚(例えば、改善された清浄感覚)と、の少なくとも1つを提供するものと思われる。
【0023】
本発明において、実質的に不溶性の油性化合物を「実質的に含有していない」組成物は、この組成物が、実質的に不溶性の油性化合物を1.0重量%以下、好ましくは0.5重量%以下、より好ましくは0.1重量%以下、更により好ましくは0.05重量%以下、なお更により好ましくは0重量%含有することを意味する。「実質的に不溶性の」成分が本発明で意味するものは、この成分が、用いられる濃度で、この組成物に実質的に不溶性であり、しかも、この組成物は、この成分を、用いられる濃度で含有するとき、25℃で約25%未満、好ましくは約35%未満、より好ましくは約50%未満、更により好ましくは約60%未満、なお更により好ましくは約70%未満、更に一層より好ましくは約80%未満の透過率を有する。透過率は、Shimadzuから入手可能なUV−可視分光光度計であるUV−1601を使用して、600nmで測定される。そのような「実質的に不溶性の」油状化合物は、典型的には、炭化水素、脂肪族化合物、及びそれらの混合物から選択されるものである。そのような炭化水素には、例えば、ポリα−オレフィン油、パラフィン、ワックス、及びそれらの混合物が包含される。そのような脂肪族化合物には、セチルアルコール及びステアリルアルコールのような脂肪族アルコール、ステアリン酸のような脂肪酸、それらのエステル及びエーテルのような脂肪族アルコール誘導体及び脂肪酸誘導体、並びにそれらの混合物が包含される。
【0024】
A.毛髪直径増大剤
本発明の組成物は、毛髪直径増大剤を含有する。この組成物には、安全かつ有効な量の毛髪直径増大剤が含有され得る。本明細書で用いられる用語「安全かつ有効な量」は、有効な結果が得られる期間の間用いられるとき、毛髪の対象領域における毛髪の直径を増大させるのに十分な化合物又は組成物の量であるが、重大な副作用を回避するのに十分低い量、即ち、当業者の正しい判断の範囲内で適正な利益対危険の比を提供するのに十分低い量を意味する。例えば、毛髪直径増大剤は、使用感覚及び毛髪直径増大効果を考慮して、この組成物の約0.1重量%から、好ましくは約0.3重量%から、より好ましくは約0.5重量%から、約20重量%まで、好ましくは約15重量%まで、より好ましくは約10重量%までの濃度で、この組成物に含有されてもよい。
【0025】
本発明で有用な毛髪直径増大剤は、頭皮、皮膚及び/又は毛嚢に浸透させることによって毛髪直径増大利益を提供するために、この組成物に実質的に可溶性であるものである。この組成物中の「実質的に可溶性である」成分が本発明で意味するものは、この成分が、用いられる濃度で、この組成物に実質的に可溶性であり、しかも、この組成物は、この成分を、用いられる濃度で含有しているとき、25℃で約25%以上、好ましくは約35%以上、より好ましくは約50%以上、更により好ましくは約60%以上、なお更により好ましくは約70%以上、更に一層より好ましくは約80%以上の透過率を有するということである。
【0026】
本発明の毛髪直径増大剤は、キサンチン化合物、ビタミンB3化合物、及びパンテノール化合物を含有する。好ましくは、毛髪直径増大剤は、カフェイン、ナイアシンアミド及びパンテノールを含有する。これら3種類の化合物を用いる場合、各々の化合物を用いる場合と比べて、改善された毛髪直径増大利益が提供される。
【0027】
A−1.キサンチン化合物
本明細書で用いられる「キサンチン化合物」は、1種類以上のキサンチン、それらの誘導体、及びそれらの混合物を意味する。本明細書で有用であり得るキサンチン化合物は、カフェイン、キサンチン、1−メチルキサンチン、テオフィリン、テオブロミン、それらの誘導体、及びそれらの混合物を包含するが、それらに限定されない。これらの化合物のうちカフェインは、この組成物中のカフェインの溶解度、及び毛髪直径増大効果を考慮すれば、好ましい。この組成物は、使用感覚及び毛髪直径増大効果を考慮すれば、キサンチン化合物を約0.1重量%から、好ましくは約0.2重量%から、より好ましくは約0.3重量%から、約10重量%まで、好ましくは約5重量%まで、より好ましくは約2重量%まで含有することができる。
【0028】
A−2.ビタミンB3化合物
本明細書で用いられる「ビタミンB3化合物」は、
【0029】
【化1】

(式中、Rは、−CONH2(即ち、ナイアシンアミド)、−COOH(即ち、ニコチン酸)又は−CH2OH(即ち、ニコチニルアルコール)を有する)の1種類以上の化合物、又はそれらの誘導体、それらの混合物、及び上述のもののいずれかの塩を意味する。
【0030】
前述のビタミンB3化合物の典型的な誘導体には、ニコチン酸の非血管拡張性エステル(例えば、ニコチン酸トコフェロール、及びニコチン酸ミリスチル)、ニコチニルアミノ酸、カルボン酸のニコチニルアルコールエステル、ニコチン酸N−酸化物、並びにナイアシンアミドN−酸化物を包含するニコチン酸エステルが包含される。
【0031】
本明細書では、1種以上のビタミンB3化合物を使用することができる。好ましいビタミンB3化合物は、ナイアシンアミド及びニコチン酸トコフェロールである。ナイアシンアミドは、使用感覚、組成物中での溶解性、及び毛髪直径増大効果を考慮すれば、より好ましい。ナイアシンアミドは、頭皮、毛穴、及び毛髪の上に留まることが可能であり、その場合、毛髪直径の増大に寄与する細胞は、より長い期間の間存在し、このようにして、長期にわたる利益を提供することができるものの、ニコチネートのような他のビタミンB3生成物は、頭皮の中に迅速に透過することが可能であり、このようにして、そのような細胞から離れ去ることができるものと思われる。また、ナイアシンアミドは、より長い期間の間施される場合、この組成物中では安定であるものの、ニコチン酸エステルのような他のビタミンB3生成物は、ニコチン酸に分解されることがあり、したがって、皮膚の紅潮及びかゆみを引き起こすことがあるものと思われる。そのようなニコチン酸エステルには、例えば、ニコチン酸エチル、ニコチン酸オクチル、ニコチン酸ミリスチル、及びニコチン酸セチルが包含される。ナイアシンアミドの塩、誘導体及び塩誘導体は、好ましくは、ナイアシンアミドと実質的に同様の有効性を有するものである。
【0032】
好ましい実施形態において、このビタミンB3化合物の環窒素は、実質的に化学的に遊離しており(例えば、非結合状態であり、かつ/若しくは妨害されておらず)、又は、皮膚まで送達された後、実質的に化学的に遊離状態になる(「化学的に遊離状態の」は、以下、代替的に「錯体化されていない」と称される)。より好ましくは、ビタミンB3化合物は、本質的に錯体化されていない。したがって、この組成物が、塩さもなければ錯体化型形態のビタミンB3化合物を含有する場合、そのような錯体は、この組成物が皮膚へ送達されたとき、好ましくは実質的に可逆的であり、より好ましくは本質的に可逆的である。例えば、そのような錯体は約5.0〜約6.0のpHで実質的に可逆的となることが望ましい。そのような可逆性は、当業者によって容易に決定され得る。
【0033】
より好ましくは、ビタミンB3化合物は、ケラチン性組織まで送達される前、この組成物中では実質的に錯体化されていない。望ましくない錯体の形成を最小限に抑える又は防ぐ典型的なアプローチには、ビタミンB3化合物と実質的に不可逆的となるか、又は他の錯体を形成する物質、pH調節、イオン強度調節、界面活性剤の使用を除くこと、並びに、ビタミンB3化合物及びそれと錯体を形成する物質を異なる相に配合することが挙げられる。かかる方法は、十分当業者のレベルの範囲内である。
【0034】
したがって、好ましい実施形態では、ビタミンB3化合物は、制限された量の塩形態を含有し、より好ましくはビタミンB3化合物の塩を実質的に含まない。好ましくは、ビタミンB3化合物は約50%未満のかかる塩を含有し、より好ましくは本質的に塩形態を含まない。pH約4〜約7の本明細書の組成物中のビタミンB3化合物は、典型的には、約50%未満の塩形態を含有する。
【0035】
この組成物は、使用感覚及び毛髪直径増大効果を考慮すれば、ビタミンB3化合物を約0.1重量%から、好ましくは約0.5重量%から、より好ましくは約1重量%から、約25重量%まで、好ましくは約15重量%まで、より好ましくは約7.5重量%まで含有することができる。
【0036】
A−3.パンテノール化合物
本明細書で用いられる用語「パンテノール化合物」は、パンテノール、1種類以上のパントテン酸誘導体、及びそれらの混合物を包含するのに十分なほど広義である。パンテノール及びそれの誘導体には、D−パンテノール([R]−2,4−ジヒドロキシ−N−[3−ヒドロキシプロピル)]−3,3−ジメチルブタミド)、DL−パンテノール、パントテン酸及びそれらの塩(好ましくは、カルシウム塩、トリ酢酸パンテニル)、ローヤルゼリー、パンテチン、パントテイン、パンテニルエチルエーテル、パンガミン酸、パントイルラクトース、ビタミンB錯体、又はそれらの混合物が包含されることがある。
【0037】
酸性組成物の中、又はアルミニウム含有活性物質のような酸生成性物質を含有する組成物の中で、パンテノール及び他の類似物質より安定であるパントテン酸誘導体を含有する組成物もまた、本明細書で用いるのに適していることもある。選択されたパントテン酸誘導体は、最も典型的には液体形態であり、この組成物の液体担体成分の全体にわたって分散されるか、さもなければ組成物の液体担体成分内で可溶化される。
【0038】
本明細書で用いられる用語「パントテン酸誘導体」とは、
【0039】
【化2】

(式中、R1、R2及びR3は、R1、R2及びR3の2つ以下は水素であるという条件で、水素、C2〜C20炭化水素、C2〜C20カルボン酸エステル、又はそれらの組み合わせである)に従うそれら物質をいう。一実施形態では、R1、R2及びR3は、水素、C2〜C8炭化水素、C2〜C8カルボン酸エステル、又はこれらの組み合わせから独立に選択され、別の実施形態では、R1及びR2は水素であり、R3はC2〜C8炭化水素、C2〜C8カルボン酸エステル、又はこれらの組み合わせであり、更に別の実施形態では、R1及びR2は水素であり、R3はエチルである。選択されたパントテン酸誘導体は、既知のあらゆる供給源であって、結果として得られる物質が上記に定義される化学式を有する限り、パントテン酸又はパントテン酸以外の物質を包含することができる供給源から誘導され得るか、さもなければそれら供給源から得られることができる。
【0040】
本明細書で用いるための選択されたパントテン酸誘導体の具体的非限定的例には、エチルパンテノール、パンテニルトリアセテート、及びそれらの組み合わせが包含される。特定の実施形態において、パントテン酸誘導体は、そのような1種類以上の派生形態の1種類以上のd−異性体、例えばd−エチルパンテノール、を含有する。
【0041】
これらの化合物のうち、この組成物におけるD−パンテノールの溶解性、及び毛髪直径増大効果を考慮すれば、D−パンテノールが好ましい。
【0042】
この組成物は、使用感覚及び毛髪直径増大効果を考慮すれば、パンテノール化合物を約0.01重量%から、好ましくは約0.02重量%から、より好ましくは約0.05重量%から、約3重量%まで、好ましくは約1重量%まで、より好ましくは約0.5重量%まで含有することができる。
【0043】
B.追加有益剤
本発明の毛髪ケア組成物は、追加有益剤を更に含有する。そのような追加有益剤は、毛髪体積増大剤、毛髪コンディショニング剤、毛髪強化剤、頭皮感覚剤、毛髪着色剤、芳香薬剤、及びそれらの混合物からなる群から選択される。そのような追加有益剤を用いることによって、消費者は、毛髪直径増大剤を含有する組成物を、より長い期間の間用いる気にさせられ、このようにして、毛髪直径増大剤から利益を得ることができるものと思われる。
【0044】
そのような追加有益剤は、この組成物の約0.01重量%から、好ましくは約0.05重量%から、より好ましくは約0.1重量%から、約20重量%まで、好ましくは約15重量%まで、より好ましくは約10重量%まで、この組成物の中に組み入れることができる。
【0045】
本発明で有用な毛髪体積増大剤は例えば、毛髪保持、毛根リフト、頭皮の保護範囲、毛髪の保護範囲、及びそれらの混合を提供する薬剤を含有する。本発明で有用なそのような薬剤には、例えば、毛髪の保持及び/又は毛根のリフトを行うことのできる膜形成性ポリマーであって、例えば、PVP(ポリビニルピロリドン)、VP/VA(ビニルピロリドン/酢酸ビニル)共重合体、アクリレート/VA共重合体、アクリレート/アクリルアミド共重合体、キトサン、ポリアクリレート−6、ポリアクリレート−15、ポリクアテルニウム−68、VP/クロトン酸エステル/プロピオン酸ビニル共重合体、VP/メタクリルアミド/ビニルイミダゾール共重合体を包含する膜形成性ポリマーと、毛根上に付着することによって毛根をリフトすることのできる固体粒子であって、例えば、シリカ、雲母、ベントナイト、粘土、ポリエチレン球形粒子、PMMA球形粒子、ポリメチルシルセスキオキサン球形粒子、ガラス、シリコーンワックス、ミネラルワックスを包含する固体粒子と、頭皮若しくは毛髪を覆うことのできる着色された固体粒子又は繊維であって、例えば、雲母、色素、酸化鉄、セルロース、レーヨン、ナイロン、羊毛、絹、毛髪の色に類似する色を有する全ての固体粒子又は繊維と、を包含する薬剤が包含される。上記の固体粒子及び繊維は、接着剤と一緒に用いることができる。
【0046】
本発明で有用な毛髪コンディショニング剤には例えば、毛髪の光沢、毛髪の光彩、毛髪の柔軟性、毛髪の滑らかさ、毛髪の加湿、毛髪の摩擦低減、毛髪への櫛入れの容易さ、及びそれらの混合の少なくとも1つを提供する薬剤が包含される。本発明で有用な上記薬剤には、例えば、モノ−又はジ−アルキル四級化アンモニウム塩(例えば、ベヘニルトリメチルアンモニウムメトサルフェート及びジステアリルジメチル塩化アンモニウム)並びにアミドアミン(例えば、ベヘンアミドプロピルジメチルアミン及びそれの塩)を包含するカチオン性界面活性剤と、カチオン性セルロース、カチオン性グアー及び他の合成カチオン性ポリマーのようなカチオン性ポリマーと、例えば脂肪族アルコール(例えば、セチルアルコール、ステアリルアルコール及びベヘニルアルコール)を包含する脂肪族化合物と、例えばジメチコン、ジメチコノール、ジメチコンコポリオール、アミノシリコーン及びアミノシリコーンコポリオールのようなシリコーンと、が包含される。
【0047】
本発明で有用な毛髪強化剤には例えば、毛髪破損低減、毛髪引っ張り強さの増大、毛髪曲げ弾性率の増大、及びそれらの混合の少なくとも1つを提供する薬剤が包含される。本発明で有用な上記薬剤には例えば、(a)アミノシリコーンであって、約0.001m2/秒〜約1m2/秒(1,000センチストークス〜約1,000,000センチストークス)の粘度、及びこのアミノシリコーンの約0.5重量%未満の窒素を有するアミノシリコーンと、(b)25℃で測定して約120m2/秒(120x106センチストークス)より大きい内相粘度を有するシリコーン共重合体エマルションと、(c)任意的に、不揮発性であり、実質的にアミノ基を含有せず、かつ、約100,000mm2-1〜約30,000,000mm2-1の粘度を有する第1のポリアルキルシロキサン、及び不揮発性であり、アミノ基を実質的に含有せず、かつ、約5mm2-1〜約10,000mm2-1の粘度を有する第2のポリアルキルシロキサンを含有するポリアルキルシロキサン混合物と、の組み合わせ、並びに、(a)四級基を含有するシリコーンポリマーであって、約200より大きいシロキサン単位を有するシリコーンブロックを含有するシリコーンポリマーと、(b)25℃で測定して約120m2/秒(120x106センチストークス)より大きい内相粘度を有するシリコーン共重合体エマルションと、(c)任意に、シリコーンコポリオールと、の組み合わせ、が包含される。上記の諸シリコーンの組み合わせは、好ましく用いられるが、ヒドロキシエチル尿素及びグリセリンのような他の薬剤は、引張強さを増大するために用いることができる。
【0048】
本発明で有用な頭皮感覚剤には例えば、頭皮冷却、頭皮加温、及びそれらの混合の少なくとも1つを提供する薬剤が包含される。本発明で有用なこの薬剤には、例えば、メントール、メントキシプロパンジオール、カサプサイチン、及びバニリルブチルエーテルが包含される。
【0049】
上記の追加有益剤のうち、好ましいのは下記の通りである。
毛髪直径増大剤/生成物を用いる消費者によって期待され得る迅速な毛髪体積増大利益を提供することを考慮すれば、毛髪体積増大剤、
毛髪ケア組成物を用いる消費者によって期待され得る毛髪コンディショニング利益を提供することを考慮すれば、毛髪コンディショニング剤、及び
毛髪直径増大剤/生成物を用いる消費者によって期待され得る毛髪強化利益を提供することを考慮すれば、毛髪強化剤。
【0050】
それらのうち、追加利益を提供し、かつ、毛髪直径増大利益に妥協しないことを考慮すれば、より好ましいのは毛髪コンディショニング剤であり、更により好ましいのはこの組成物に実質的に可溶性であるものであり、なお更により好ましいのは、実質的に可溶性のシリコーンコンディショニング剤であり、更に一層より好ましいのは、実質的に可溶性のシリコーンコポリオールコンディショニング剤である。
【0051】
B−1.実質的に可溶性のシリコーンコポリオールコンディショニング剤
好ましくは、この組成物は、実質的に可溶性のシリコーンコンディショニング剤を更に含有する。そのようなシリコーンコンディショニング剤は、コンディショニング利益及び清浄な乾燥感覚を考慮すれば、この組成物中に、この組成物の約0.05重量%から、好ましくは約0.1重量%から、より好ましくは約0.2重量%から、約10重量%まで、好ましくは約5重量%まで、より好ましくは約2重量%までの濃度で含有されてもよい。
【0052】
本発明で有用なこのようなシリコーンコンディショニング剤は、例えば、シリコーンコポリオールコンディショニング剤、及びアニオン性シリコーンコンディショニング剤(例えば、アクリレート/ベヘニルアクリレート/ジメチコンメタクリレート共重合体、アクリル酸/ステアリルメタクリレート/ジメチコンメタクリレート共重合体)である。好ましくは、本発明で有用なシリコーンコンディショニング剤は、シリコーンコポリオールコンディショニング剤である。他の可溶性コンディショニング用化合物(例えば、脂肪酸エステル及び脂肪酸エーテル)と比べて、実質的に可溶性のシリコーンコンディショニング剤(とりわけ、実質的に可溶性のシリコーンコポリオールコンディショニング剤)は、コンディショニング利益を提供することができ、同時に、より良好な乾燥感覚を提供し、かつ、毛髪直径増大剤の浸透を弱めないものと思われる。
【0053】
このようなシリコーンコポリオールコンディショニング剤のうち、非イオン系シリコーンコンディショニング剤が好ましく、特に増粘剤が、アクリレート/C10〜30アルキルアクリレートクロスポリマーのようなアニオン性ポリマーである場合、この増粘剤との相溶性を考慮すれば、好ましい。このような非イオン系シリコーンコポリオールコンディショニング剤は、カチオン性置換基、アミド置換基及びアミノ置換基を実質的に含有しないものである。「カチオン性置換基、アミド置換基及びアミノ置換基を実質的に含有しない」の意味するものは、このシリコーン化合物が、そのような置換基を、1重量%以下、好ましくは0.5重量%以下、より好ましくは0重量%含有することである。
【0054】
本発明で有用なこのようなシリコーンコポリオールは、例えば、ジメチコンコポリオールジメチコン骨格及びポリオキシアルキレン置換基(例えば、ポリエチレンオキシド及び/又はポリプロピレンオキシドの置換基であって、ジメチコン骨格の中央及び/又は端部にグラフト化された置換基)を含む。この組成物中での溶解性を考慮すれば、ジメチコン骨格の端部においてのみ置換基を有するシリコーンコポリオールと比べて、グラフトシリコーンコポリオールは好ましい。本発明で有用なグラフト化されたシリコーンコポリオールは、好ましくは約5〜約17、より好ましくは約8〜約17、更により好ましくは約8〜約12のHLB値を有する。同一のINCI名称を有するグラフト化されたシリコーンコポリオールは、シリコーン部分の分子量及びポリエチレンオキシド又は/及びポリプロピレンオキシドの置換基の数に応じて、様々な重量比を有する。
【0055】
市販されているグラフト化されたジメチコンコポリオールには、例えば、Momentive Performance Materialsから入手可能な、約9〜約12のHLB値を有する商品名Silsoft430(INCI名称「PEG/PPG−20/23ジメチコン」)を有するもの、約13〜約17のHLB値を有する商品名Silsoft475(INCI名称「PEG−23/PPG−6ジメチコン」)を有するもの、約13〜約17のHLB値を有する商品名Silsoft880(INCI名称「PEG−12ジメチコン」)を有するもの、約9〜約12のHLB値を有する商品名Silsoft440(INCI名称「PEG−20/PPG−23ジメチコン」)を有するもの、及びDow Corningから入手可能な、商品名DC5330(INCI名称「PEG−15/PPG−15ジメチコン」を有するものが包含される。中でも好ましいのは、Momentive Performance Materialsから入手可能な、約9〜約12のHLB値を有する商品名Silsoft430(INCI名称「PEG/PPG−20/23ジメチコン」)を有するものである。
【0056】
C.キャリア
本発明の組成物は、キャリアを含有する。本発明で有用なキャリアは、皮膚科学的に許容可能なキャリアである。本明細書で用いられる用語「皮膚科学的に許容可能な」は、そのように記述されている組成物又はそれらの成分が、過度の毒性、不適応性、不安定性、アレルギー反応、等を引き起こすことなく、哺乳類の角質組織と接触して用いるのに適していることを意味する。本発明で有用な上記の皮膚科学的に許容可能なキャリアには、例えば、水性キャリア(例えば、水、並びに、低級アルキルアルコール及び多価アルコールの水溶液)が包含される。本発明で有用な低級アルキルアルコールは、1〜6個の炭素を有する一価アルコールであり、好ましくはエタノール及びイソプロパノールであり、より好ましくはエタノールである。本発明で有用な多価アルコールには、プロピレングリコール、ヘキシレングリコール、グリセリン及びプロパンジオールが包含される。一般に、本発明の組成物は、上記の水性キャリアを、約10重量%から、好ましくは約30重量%から、より好ましくは約80重量%から、約99重量%まで、好ましくは約95重量%まで、より好ましくは約95重量%まで含有する。好ましくは、水性キャリアは、エタノールなどの水、及び/又はアルコールを含有する。上記アルコール(例えば、エタノール)は、毛髪直径増大剤(とりわけ、カフェイン、ナイアシンアミド及びパンテノール)の清浄な使用感覚、改善された可溶化及び浸透性を考慮すれば、この組成物の10重量%から、好ましくは20重量%から、より好ましくは30重量%から、更に好ましくは40重量%から、約90重量%まで、好ましくは約70重量%まで、より好ましくは約60重量%までの濃度で含有されてもよい。
【0057】
D.増粘剤
好ましくは、この組成物が、望まれないで体の他の領域の上に、衣服の上に、又は家具の上に滴らないような具合に、この組成物は増粘剤を更に含有する。そのような組成物は、約0.1Pa・sから、好ましくは約10Pa・sから、より好ましくは約100Pa・sから、約100,000Pa・sまで、好ましくは約50,000Pa・sまで、より好ましくは約10,000Pa・sまでのゼロずり粘度を有することができる。一般に、パーソナルケア組成物の粘度は、ずり応力が増大するに従って減少する。より低いずり応力では、この組成物の粘度は変化しない。このことは、「第1のニュートンプラトー」と称される。降伏点より高いずり応力範囲において、この組成物の粘度は低下する。ゼロずり粘度は、第1のニュートンプラトーにおいて測定される粘度の平均である。ゼロずり粘度は、TA Instrumentsから入手できるAR2000を用いて、ずり応力ランプモードによって、25℃で測定される。
【0058】
適切な増粘剤であればいかなるもの、例えば、セルロース系増粘剤(例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロース)、CTFA名称カルボマーの架橋されたアクリル酸ホモポリマー、並びに、少なくとも1種類の脂肪鎖及び非セルロース系親水性部分を有する非セルロース系両親媒性ポリマーであって、好ましくは架橋されているもの、を用いることができる。
【0059】
非セルロース系両親媒性ポリマーが、好ましく用いられる。そのような非セルロース系両親媒性ポリマーには、例えば、カルボン酸/カルボキシレート共重合体であって、1)アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、クロトン酸、又はα−クロロアクリル酸のようなカルボン酸モノマー(好ましくは、アクリル酸)と、2)1〜約30個の炭素のアルキル鎖を有するカルボン酸エステル(好ましくは、10〜約30個の炭素のアルキル鎖を有するアクリル酸エステル)と、好ましくは、3)スクロースとペンタエリスリトールのアリルエーテルとのアリルエーテルのような架橋剤と、を共重合させることによって得られる共重合体が包含される。そのような非セルロース系両親媒性ポリマーの非常に好ましい例には、アクリレート/C10〜30アルキルアクリレートのクロスポリマーが包含される。
【0060】
毛髪直径増大剤の浸透を弱めないことを考慮すれば、好ましいのは、この組成物に実質的に可溶性であるものである。本発明において、とりわけ、他のアニオン性/非イオン性増粘剤(例えば、カルボマー及びセルロースポリマー)と比べて、この組成物中でより良い溶解性となることを考慮して、この組成物が、より高い濃度のアルコール(例えば、エタノール)を含有する場合、アクリレート/C10〜30アルキルアクリレートのクロスポリマーが好ましい。アクリレート/C10〜30アルキルアクリレートのクロスポリマーはまた、乾燥したときの毛髪感覚を考慮すれば、カチオン性/非イオン性の増粘性ポリマーと比べて、好ましい。アクリレート/C10〜30アルキルアクリレートのクロスポリマーは、トリエタノールアミンのような中和物と一緒に用いられることがある。
【0061】
そのような増粘剤は、増粘効果、使用中及び/若しくは使用後の感覚、並びに/又はこの組成物中における溶解性を考慮すれば、この組成物の約0.01重量%から、好ましくは約0.05重量%から、約5重量%まで、好ましくは約3重量%まで、より好ましくは約1重量%までの濃度でこの組成物中に含有されてもよい。
【0062】
F.任意成分
本発明の組成物は、最終生成物の持つ所望の特性に従い、当業者によって選択され得る他の任意的成分であって、この組成物を、化粧的若しくは審美的により容認できるようにするのに、又は追加の使用利益を提供するのに適している任意的成分を含有することができる。そのような任意的成分は、この組成物の中に、この組成物の約0.01重量%〜約10重量%、好ましくは約0.05重量%〜約5重量%の濃度で組み入れられることがある。
【0063】
本組成物の中に、様々な他の追加成分を配合することができる。これらには、育毛剤(例えば、ミノキシジル)、抗ふけ剤(例えば、ジンクピリチオン)、加水分解されたコンディショニング剤(例えば、コラーゲン、ビタミン、加水分解されたケラチン、タンパク質、植物抽出物及び栄養素)、防腐剤(例えば、ベンジルアルコール、メチルパラベン、プロピルパラベン及びイミダゾリジニル尿素)、pH調整剤(例えば、クエン酸、クエン酸ナトリウム、コハク酸、リン酸、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム)、塩(例えば、一般に、酢酸カリウム及び塩化ナトリウム)、着色剤(例えば、FD&C又はD&Cのいずれか)、芳香剤、並びに、金属イオン封鎖剤(例えば、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム)、並びに、紫外線遮断薬、赤外線遮断薬、紫外線吸収剤及び赤外線吸収剤(例えば、サリチル酸オクチル)が包含される。
【0064】
毛髪直径を増大させるために使用する方法/毛髪直径を増大させるための方法
本発明は、毛髪直径を増大させるための方法を更に提供する。1つの態様において、本方法は、毛髪直径を増大させることが望まれている領域に、好ましくは、毛髪直径を増大させること及び毛髪の体積が迅速に増大することが望まれている領域に、本発明の組成物を局所的に塗布することを含む。例えば、本毛髪ケア組成物は、頭皮及び/又は顔(例えば、顎鬚又は口髭領域)に塗布することができる。毛髪の領域は、体のいかなる部分の上に位置してもよい。例えば、毛髪は、頭皮又は顔の少なくとも一部分の上に位置する皮膚表面から成長することがある。
【0065】
本発明の組成物の有効量を、有効な結果が得られる期間にわたって、有効な回数で所望の領域に局所的に塗布することが好ましい。
【0066】
本明細書で用いられる用語「有効量」は、被検者の毛髪領域の毛髪の直径を増大するのに十分な、化合物又は組成物の量を意味する。有効量は、毛髪直径増大剤の製品の形態及び濃度によって決まる。例えば、この組成物は、被検者の領域に約0.1mL〜約10mLの量で施されることがある。
【0067】
本明細書で用いられる用語「有効な回数」は、被検者の毛髪領域の毛髪の直径を増大するのに十分な、この組成物を塗布する回数を意味する。有効な回数は、毛髪直径増大剤の製品の形態及び濃度によって決まる。例えば、この組成物は、少なくとも数週間に1回、より好ましくは少なくとも1週間に1回、更に好ましくは少なくとも1日に1回、及び1日に約3回以下、塗布することができる。
【0068】
本明細書で用いられる用語「有効な結果が得られる期間」は、被検者の毛髪領域の毛髪の直径を増大するのに十分な期間を意味する。有効な結果が得られる期間は、毛髪直径増大剤の製品の形態及び濃度によって決まる。例えば、この組成物は、少なくとも1週間の間、より好ましくは少なくとも2週間の間、更により好ましくは少なくとも4週間の間、塗布することができる。
【0069】
更にもう1つの実施態様において、本方法は、投薬計画に従って本組成物を塗布する段階であって、
(a)頭皮及び/又は顔を清潔にして、浄化された頭皮及び/又は顔を作ることと、
(b)本組成物を、この浄化された頭皮及び/又は浄化された顔に局所的に塗布することとを含む、段階を含む。
【実施例】
【0070】
以下の実施例は、本発明の範囲内にある実施形態を更に説明し、かつ、実証する。これら実施例は、例示目的のためにのみ提供され、しかも、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、それらの多くの変更が可能であることから、本発明を限定するものと解釈されるべきではない。成分は、当てはまる場合、化学名又はCTFA名称で識別され、そうでない場合、以下で定義される。
【0071】
(実施例1:臨床研究)
カフェインとナイアシンアミドとパンテノールとの混合物を含む組成物は、毛髪の幅対プラシーボに対して、臨床的に有意に増大することを示した。この研究では、水/アルコールのマトリックス(25%エタノール、適量の水)に入れたナイアシンアミド5%、カフェイン1.5%及びD−パンテノール0.3%を含有する頭皮用トニックを評価した。この配合物には、増粘剤として、ヒドロキシプロピルメチルセルロース0.3%も含有された。この分割された頭部の研究において、1.5mLのトニックを、1日2回、頭部の片側に施し、1.5mLのプラシーボを1日2回頭部の反対側に施した。
【0072】
この研究は、年齢18〜65才(18才、65才を含む)の女性であって、毛髪が薄くなっていると自認する女性に対する、14週間の、二重盲式、任意抽出の、分割された頭部の比較臨床試験であった。この研究は、2週間の前処理段階(実際の処理段階の前に、適切な製品の塗布方法を知るために頭部の両側にプラシーボを使用する)と、後続の12週間の処理段階とからなった。
【0073】
試験会場に到着すると、被検者らは、皮膚の健康を評価するための、資格を持つ皮膚の格付け検査官により頭皮を評価される前に、30分間、環境的に制御された部屋(21℃±1(70F°±2)及び相対湿度30〜45%)に慣らされた。被検者らは、彼女らの頭皮を、資格を持つ皮膚の格付け検査官によって評価された後、免許を持つ美容師が、刈り込みを行うための2つの頭皮部位(約1.8cmx1.8cmの面積)であって、一方は、頂部左側の側部の頭皮であり、頭髪の生え際の中に約10.2〜12.7cm(4〜5インチ)戻り、他方は、頂部右側側部の頭皮の上に対称的に位置した。テンプレートを用いて4つの角部に印をつけ、各処理部位の中心のわずか下に刻み目をつけた。刈り込まれた部位は、頭部/頭皮の中心線から各々の側部の両方に約5.1cm(2インチ)側方に位置した。免許を有する美容師が、次いで、小型電池で作動するバリカンを用いて、それぞれの頭皮の各刈り込み部位内の毛髪を、約1mmの長さに切断した。部位の準備ができた後、訓練を受けた臨床助手が、小さく、永続的な点状の刺青を、各処理部位上の印をつけた刻み目(処理部位の中心のわずかに下に位置する)の上およそ1mmに定置させて、指定した研究時点で実施されたデジタル画像化のためにこれらの部位を特定するための基準を提供した。
【0074】
ベースラインを得るため、4週、8週及び12週に、この刈り込まれた頭皮部位は、テンプレートを用いて確認され、次いで、Sharpie(登録商標)マーカー又は同等品を用いて、このテンプレートの4つの角部に印をつけた。免許を有する美容師は、次いで、前に行われたように、刈り込まれた2つの部位内の短い毛髪を1mmの長さに均等に刈り込んだ。毛髪の刈り込みの直後、技術者は、Hi−Scope(登録商標)デジタル化画像装置を用いて、刈り込まれた各々の頭皮部位のベースライン画像を捕らえた。各々の下方処理部位内に定置された刺青は、取り込み及び保存のために画像の位置を合わせる参照点として用いられた。このベースライン画像は、研究中、処理後の画像をブレンドするときに用いた。翌日、毛髪刈り込みの診察の約24時間後、技術者は、Hi−Scope(登録商標)デジタル化画像装置を用いて、各々の下方の刈り込み頭皮部位の画像を捕らえた。各々の下方処理部位内に定置された刺青は、1日目にベースラインとして取り込まれた画像と、毛嚢開口部を揃えた後、取り込み及び保存のために画像の位置を合わせる参照点として用いられた。この手順は、4週、8週及び12週のために用いられた。
【0075】
ヒト臨床試験において、プラシーボ処理された毛髪に対するヘアトニック処理された毛髪については、毛髪直径の有意な増大が観察された。トニック処理された毛髪のためのベースライン調整平均からの変化(0.663μm)は、プラシーボ処理の変化(0.165μm)よりも大きい。これは頭部分割デザインであるため、被検者による変動は非常に最小限に抑えられた。加えて、本研究を通して全く同一の毛髪が画像化されたため、本研究を通して様々な毛髪を測定することによる幅の変動も非常に最小限に抑えられた。
【0076】
【表1】

【0077】
画像解析演算手順を用いて、デジタル顕微鏡写真から毛髪直径を測定した。演算手順は、自動的に幾つかの段階を実施して、各々のデジタル画像内の毛髪を分離し特徴付けする。先ず、演算手順は、局所的背景水準機能を実行し、カラー画像内の赤成分を増強した。カラー画像の自動閾値化を実行して、背景の毛髪の2値画像(黒及び白)を得た。次いで、演算手順は、連続黒線として毛髪を認識し、次いで、分岐点及び高曲率点でそれら黒線を個々の毛髪に分割した。次に、演算手順は、非常に短い被写体を排除し、残りの被写体を「毛髪」として保持した。最終工程において、演算手順は、検出された各々の毛髪の位置及び直径(幅)を測定し記録した。
【0078】
ここで用いられた、毛髪系画像収集及び解析の方法は、Berger,R.S.et al.,in 2003 in “The effects of minoxidil,1% pyrithione zinc and a combination of both on hair density:a randomized controlled trial.British Journal of Dermatology,149,354−362”に公表された方法であった。但し、この実施例の研究のためには、様々な処置、頭皮画像部位及び時点(timepoints)が用いられた。
【0079】
(実施例2:相乗効果の研究)
カフェイン、ナイアシンアミド及びパンテノールの混合物は、以下に示されるように、個々の成分に対して、また、それら成分の2つの混合物に対して、代謝的にストレスの加わった真皮乳頭細胞の生存を意外なほど増大させることを実証した。真皮乳頭は、正常なヒト毛髪において、毛髪直径のコントロールセンターである。現場での(in situ)、真皮乳頭細胞の延長される生存期間によって、毛髪直径を増大させる。したがって、真皮乳頭細胞の生存期間の延長は、毛髪直径の増大と相互に関連がある。
【0080】
初代ヒト真皮乳頭細胞は、低減した標準組織培養培地で、48時間、代謝的ストレスを受けた。このストレス期間の間、それら細胞は、以下の混合物又は個々の成分で処置された。48時間後、Cell Titer Glo(登録商標)キット(Promega)を用いて、それら細胞の代謝活性をATPの量で測定した。
【0081】
【表2】

【0082】
(実施例3:毛髪ケア組成物の実施例)
【0083】
【表3】

【0084】
【表4】

【0085】
調製方法
上述される実施例A〜Fの組成物は、当該技術分野で周知の従来方法のいずれかによって調製することができる。これらは、次のようにして好適に調製される:
ポリマー材料は、もし存在すれば、室温で水に分散させ、激しく撹拌して混合される。エタノールは、含有される場合、この混合物に添加される。この混合物に、毛髪直径増大剤、沈着剤、接着剤を撹拌しながら添加して、そのような成分を溶解させるか、又は分散させる。次いで、シリコーン及び香料のような残りの成分は、含有される場合、この混合物に撹拌しながら添加する。それら組成物がムースである場合、この混合物は、実施例D〜Fのための最終組成物が得られるように、噴射剤と一緒にエアゾール缶の中に詰められる。
【0086】
実施例A〜Fは、本発明の毛髪ケア組成物であって、とりわけ、リーブオン用途に有用である組成物である。それら組成物は、毛髪直径の増大が望まれている領域に局所的に施される。これらの実施例は多くの利点を有する。例えば、それら組成物は、毛髪直径増大効果を提供し、しかも、消費者が、毛髪直径増大効果、並びに/又は少なくとも1つの追加利益(例えば、実施例A〜Cの組成物の香気)、実施例B及びCの組成物の毛髪コンディショニング利益、並びに実施例D〜Fの組成物の体積増大利益を得ることができるように、消費者に、より長い期間の間そのような組成物を用いる気にさせる。
【0087】
本明細書に開示されている寸法及び値は、列挙した正確な数値に厳しく制限されるものとして理解すべきではない。それよりむしろ、特に指定されない限り、各こうした寸法は、列挙された値とその値周辺の機能的に同等の範囲の両方を意味することを意図する。例えば、「40mm」として開示される寸法は、「約40mm」を意味するものとする。
【0088】
任意の相互参照又は関連特許若しくは関連出願を包含する本明細書に引用される全ての文献は、明確に除外ないしは別の方法で限定されない限り、本明細書中に参照により全てが組み込まれる。いずれの文献の引用もこうした文献が本明細書中で開示又は権利請求される任意の発明に対する先行技術であることを容認するものではなく、また、こうした文献が、単独で、あるいは他のあらゆる参照文献との組み合わせにおいて、こうした発明のいずれかを参照、教示、示唆又は開示していることを容認するものでもない。更には、本文書における用語のいずれかの意味又は定義が、援用文献における同一の用語のいずれかの意味又は定義と相反する限りにおいて、本文書においてその用語に与えられた意味又は定義を優先するものとする。
【0089】
本発明の特定の諸実施形態を図示し、記載したが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び修正を実施できることが当業者には自明である。したがって、本発明の範囲内にあるそのような全ての変更及び修正を添付の特許請求の範囲で扱うものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
A)毛髪直径増大剤であって、
a.キサンチン化合物、
b.ビタミンB3化合物、及び
c.パンテノール化合物を含有する毛髪直径増大剤と、
B)追加有益剤であって、その追加利益が、毛髪体積増大、毛髪コンディショニング、毛髪強化、頭皮感覚、毛髪着色、及びそれらの混合からなる群から選択される追加有益剤と、
C)キャリアと、を含有する、毛髪ケア組成物。
【請求項2】
前記追加利益が、毛髪体積増大、毛髪コンディショニング、毛髪強化、及びそれらの混合からなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記追加利益が毛髪コンディショニングである、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記毛髪コンディショニング剤が、実質的に前記組成物に溶解できる、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
前記毛髪コンディショニング剤が、シリコーンコポリオールコンディショニング剤である、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
前記キサンチン化合物が前記組成物中に約0.1%〜約10%の濃度で存在し、前記ビタミンB3化合物が前記組成物中に約0.1%〜約25%の濃度で存在し、かつ、前記パンテノール化合物が前記組成物中に約0.01%〜約3%の濃度で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記キサンチン化合物がカフェインであり、前記ビタミンB3化合物がナイアシンアミドであり、前記パンテノール化合物がパンテノールである、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
毛髪直径を増大させる方法であって、毛髪直径を増大させることが望まれている領域に、請求項1に記載の組成物を局所的に塗布することを含む、方法。

【公表番号】特表2011−511787(P2011−511787A)
【公表日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−545603(P2010−545603)
【出願日】平成21年2月25日(2009.2.25)
【国際出願番号】PCT/IB2009/050761
【国際公開番号】WO2009/107074
【国際公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】