説明

毛髪化粧料組成物及びその使用方法

【課題】本発明の毛髪化粧料組成物及びその使用方法は、毛髪の染色、脱色又は脱染に用いられる毛髪化粧料組成物の混合性を向上させる。
【解決手段】毛髪の染色、脱色又は脱染に用いられる本発明の毛髪化粧料組成物は、複数の液状の剤同士を混合して振とうにより発泡させることによって得られる泡状の剤型で毛髪に適用される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、泡状の剤型で毛髪に適用されることにより毛髪を染色、脱色又は脱染する毛髪化粧料組成物及びその使用方法に関し、さらに詳しくは、混合性に優れる毛髪化粧料組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
毛髪の染色、脱色又は脱染に用いられる毛髪化粧料組成物として、例えば、アルカリ剤を含有する第1剤と、酸化剤を含有する第2剤とから構成され、使用時の剤型が泡状(フォーム状)のものが知られている。こうした泡状の剤型で使用される毛髪化粧料組成物は、液状の剤型で使用される毛髪化粧料組成物に比べて、液だれの心配が少なく、毛髪への塗布性及び使用感が良好であるという特徴を有する。従来の毛髪化粧料組成物が例えば特許文献1〜3に開示されている。
【0003】
特許文献1は、噴射剤、例えばLPGを使って使用時に泡状の剤型に調製されるエアゾール式泡沫状酸化染毛剤組成物について開示する。特許文献2は、可撓性の合成樹脂容器、吸引用ディップチューブ、及び発泡吐出手段からなるスクイズフォーマーを使って使用時に泡状の剤型に調製される二剤式の染毛用又は脱色用組成物について開示する。特許文献3には、第1剤と第2剤とを含む内溶液の入ったスクイズ式泡吐出容器を振ることにより、内溶液に空気を混合して内溶液を発泡させ、それをネット又は多孔質体からなる泡均質化手段を通過させてスクイズすることで泡状の剤型の毛髪化粧料組成物を形成することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平09−136818号公報
【特許文献2】特開2008−291020号公報
【特許文献3】特開2009−154884号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、特許文献1のエアゾール式泡沫状酸化染毛剤組成物は、主として缶体に充填されるため、廃棄処理の観点から好ましくないという問題があった。
特許文献2の二剤式の染毛用又は脱色用組成物は、2つの剤を混合して泡立ててから吐出されるわけではないため、混合不良が起こる場合があった。
【0006】
特許文献3の泡状の毛髪化粧料組成物は、第1剤と第2剤の一方が粉末状の剤で他方が液状の剤であるときに、混合不良が起こる場合があった。この混合不良は、特に低温雰囲気下で起こりやすい。これは、粉末状の剤の溶解性が低下することと、泡の発生により混合性が低下することが原因である。
【0007】
本発明は、発明者らによる鋭意研究の結果、使用時に複数の液状の剤同士を混合し、振とうにより発泡させる発泡操作によって混合性が向上することを見出したことに基づくものである。
【0008】
本発明の目的とするところは、毛髪の染色、脱色又は脱染に用いられる毛髪化粧料組成物の混合性を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明の第1の態様によれば、複数の剤からなる染毛剤又は毛髪脱色・脱染剤として構成される毛髪化粧料組成物であって、複数の液状の剤同士を混合して振とうにより発泡させることによって得られる泡状の剤型で毛髪に適用される毛髪化粧料組成物が提供される。
【0010】
前記態様において、好ましくは、前記振とうによる発泡は、150〜1500mLの内容量を有する液密に閉塞可能な容器を用いて行われる。好ましくは、前記液状の剤の少なくとも一つは、2000mPa・s以下の粘度を有する。好ましくは、前記毛髪化粧料組成物は、アンモニア及びアンモニウム塩から選ばれる少なくとも一種を含有し、前記液状の剤の少なくとも一つは、乳化状の剤である。
【0011】
本発明の第2の態様によれば、複数の液状の剤同士を容器内で混合して振とうにより発泡させることによって泡状の剤型に毛髪化粧料組成物を形成する工程と、得られた泡状の剤型の毛髪化粧料組成物を手で直接容器から取り出して毛髪に塗布する工程とからなる毛髪化粧料組成物の使用方法が提供される。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、毛髪の染色、脱色又は脱染に用いられる毛髪化粧料組成物の混合性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態に係る毛髪脱色・脱染剤を含む毛髪化粧用品の使用方法を示す説明図。(a)は使用前の毛髪脱色・脱染剤の第1剤と第2剤を収容した容器を示す図。(b)は第1剤と第2剤を容器の容器本体に投入している図。(c)は容器本体に蓋体を装着して容器を上下に振っている図。(d)は容器本体内の泡状の毛髪脱色・脱染剤を手で直接取り出して毛髪に塗布するために容器本体から蓋体を取り外した図。
【図2】図1の容器の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(第1実施形態)
以下、本発明の毛髪化粧料組成物を2剤式の毛髪脱色・脱染剤及び3剤式の毛髪脱色・脱染剤に具体化した第1実施形態について説明する。
【0015】
<2剤式の毛髪脱色・脱染剤>
2剤式の毛髪脱色・脱染剤は、例えば、少なくともアルカリ剤を含有する第1剤と、少なくとも酸化剤を含有する第2剤とから構成される。この毛髪脱色・脱染剤は、第1剤と第2剤を混合して振とうにより発泡させることによって泡状の剤型とした後、毛髪の脱色又は脱染のために毛髪に適用される。
【0016】
<2剤式の毛髪脱色・脱染剤の第1剤>
第1剤は、アルカリ剤の他に、例えば可溶化剤を含有する。
アルカリ剤は、第2剤に含有される酸化剤の作用を促進することにより、毛髪の脱色効果又は脱染効果を向上する働きをする。使用されるアルカリ剤の例としては、アンモニア、アルカノールアミン、ケイ酸塩、炭酸塩、炭酸水素塩、メタケイ酸塩、硫酸塩、塩化物、及びリン酸塩が挙げられる。アルカノールアミンの具体例としては、例えばモノエタノールアミン、及びトリエタノールアミンが挙げられる。ケイ酸塩の具体例としては、例えばケイ酸ナトリウム、及びケイ酸カリウムが挙げられる。炭酸塩の具体例としては、例えば炭酸ナトリウム、及び炭酸アンモニウムが挙げられる。炭酸水素塩の具体例としては、例えば炭酸水素ナトリウム、及び炭酸水素アンモニウムが挙げられる。メタケイ酸塩の具体例としては、例えばメタケイ酸ナトリウム、及びメタケイ酸カリウムが挙げられる。硫酸塩の具体例としては、例えば硫酸アンモニウムが挙げられる。塩化物の具体例としては、例えば塩化アンモニウムが挙げられる。リン酸塩の具体例としては、例えばリン酸第1アンモニウム、及びリン酸第2アンモニウムが挙げられる。これらの中で、脱色効果の向上の観点から、アンモニア及びアンモニウム塩が好ましく使用される。
【0017】
アルカリ剤は、第1剤と第2剤の混合物、すなわち使用時の毛髪脱色・脱染剤のpHが7〜12の範囲となる量で配合されることが好ましい。第1剤と第2剤の混合物のpHが7未満では、第2剤に含まれる酸化剤の作用が十分に促進されないおそれがある。第1剤と第2剤の混合物のpHが12を超えると、毛髪脱色・脱染剤の塗布により毛髪が損傷を受けることがある。
【0018】
可溶化剤は、第1剤を液状にするために配合される。使用される可溶化剤の例としては、例えば水及び有機溶媒が挙げられる。有機溶媒の具体例としては、例えばエタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、メチルカルビトール、エチルカルビトール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール、γ−フェニルプロピルアルコール、ケイ皮アルコール、アニスアルコール、p−メチルベンジルアルコール、α−ジメチルフェネチルアルコール、α−フェニルエタノール、フェノキシエタノール、フェノキシイソプロパノール、2−ベンジルオキシエタノール、N−アルキルピロリドン、炭酸アルキレン、及びアルキルエーテルが挙げられる。これらの中で、第1剤中のその他の成分を溶解する能力に優れることから水が好ましく使用される。溶媒として水が用いられる場合、第1剤と第2剤の混合物中における水の含有量(使用時の含有量)は、好ましくは50質量%以上であり、より好ましくは60質量%以上である。
【0019】
第1剤は、必要に応じて、前述した成分以外の成分、例えば水溶性高分子化合物、油性成分、多価アルコール、界面活性剤、糖、防腐剤、安定剤、pH調整剤、植物抽出物、生薬抽出物、ビタミン、香料、酸化防止剤、紫外線吸収剤、キレート化剤、及び酸化助剤をさらに含有してもよい。
【0020】
水溶性高分子化合物としては、アニオン性、カチオン性、非イオン性及び両性のいずれの高分子化合物を使用することもでき、また天然化合物及び合成化合物のいずれを使用することもできる。アニオン性高分子化合物の具体例として、例えばカルボキシメチルセルロースが挙げられる。
【0021】
油性成分は、毛髪にうるおい感を付与する役割をする。そのため、第1剤は、好ましくは油性成分を含有する。油性成分の具体例としては、例えば油脂、ロウ、高級アルコール、炭化水素、高級脂肪酸、アルキルグリセリルエーテル、エステル、及びシリコーンが挙げられる。
【0022】
油脂の具体例としては、例えばラノリン、オリーブ油、ツバキ油、シア脂、アーモンド油、サフラワー油、ヒマワリ油、大豆油、綿実油、ゴマ油、トウモロコシ油、ナタネ油、コメヌカ油、コメ胚芽油、ブドウ種子油、アボカド油、マカダミアナッツ油、ヒマシ油、ヤシ油、及び月見草油が挙げられる。
【0023】
ロウの具体例としては、例えばミツロウ、キャンデリラロウ、カルナウバロウ、ホホバ油、及びラノリンが挙げられる。
高級アルコールの具体例としては、例えばセチルアルコール(セタノール)、2−ヘキシルデカノール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、セトステアリルアルコール、オレイルアルコール、アラキルアルコール、ベヘニルアルコール、2−オクチルドデカノール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、デシルテトラデカノール、及びラノリンアルコールが挙げられる。
【0024】
炭化水素の具体例としては、例えばパラフィン、オレフィンオリゴマー、ポリイソブテン、水添ポリイソブテン、ミネラルオイル、スクワラン、ポリブテン、ポリエチレン、マイクロクリスタリンワックス、及びワセリンが挙げられる。
【0025】
高級脂肪酸の具体例としては、例えばラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、イソステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、オレイン酸、及びラノリン脂肪酸が挙げられる。
【0026】
アルキルグリセリルエーテルの具体例としては、例えばバチルアルコール、キミルアルコール、セラキルアルコール、及びイソステアリルグリセリルエーテルが挙げられる。
エステルの具体例としては、例えばアジピン酸ジイソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、イソノナン酸イソノニル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ステアリル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸イソトリデシル、パルミチン酸2−エチルへキシル、リシノール酸オクチルドデシル、10〜30の炭素数を有する脂肪酸コレステリル/ラノステリル、乳酸セチル、酢酸ラノリン、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、ペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、カプリン酸セチル、トリカプリル酸グリセリル、リンゴ酸ジイソステアリル、コハク酸ジオクチル、及び2−エチルヘキサン酸セチルが挙げられる。
【0027】
シリコーンの具体例としては、例えばジメチルポリシロキサン(ジメチコン)、メチルフェニルポリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、末端水酸基変性ジメチルポリシロキサン、650〜10000の平均重合度を有する高重合シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン(例えば、(PEG/PPG/ブチレン/ジメチコン)コポリマー)、アミノ変性シリコーン、ベタイン変性シリコーン、アルキル変性シリコーン、アルコキシ変性シリコーン、メルカプト変性シリコーン、カルボキシ変性シリコーン、及びフッ素変性シリコーンが挙げられる。使用されるシリコーンは一種類のみであってもよいし、あるいは二種類以上のシリコーンを組み合わせて使用してもよい。
【0028】
多価アルコールの具体例としては、例えばグリコール類及びグリセリン類が挙げられる。グリコール類の具体例としては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、イソプレングリコール、及び1,3−ブチレングリコールが挙げられる。グリセリン類の具体例としては、例えばグリセリン、ジグリセリン、及びポリグリセリンが挙げられる。
【0029】
界面活性剤は、乳化剤としての役割をし、使用時の毛髪脱色・脱染剤の粘度の調整又は粘度安定性の向上のために使用される。界面活性剤としては、アニオン性、カチオン性、両性及びノニオン性のいずれの界面活性剤を使用することもできる。
【0030】
アニオン性界面活性剤の具体例としては、例えばアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレン(以下、POEという。)アルキルエーテル硫酸塩、アルキル硫酸塩、アルケニルエーテル硫酸塩、アルケニル硫酸塩、オレフィンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、飽和又は不飽和脂肪酸塩、アルキル又はアルケニルエーテルカルボン酸塩、α−スルホン脂肪酸塩、N−アシルアミノ酸型界面活性剤、リン酸モノ又はジエステル型界面活性剤、及びスルホコハク酸エステルが挙げられる。これらの界面活性剤のアニオン基の対イオンは、例えばナトリウムイオン、カリウムイオン、及びトリエタノールアミンのいずれであってもよい。より具体的には、アルキル硫酸塩の具体例として、例えばラウリル硫酸ナトリウム、セチル硫酸ナトリウムが挙げられる。POEアルキルエーテル硫酸塩の具体例として、例えばPOEラウリルエーテル硫酸ナトリウムが挙げられる。スルホコハク酸エステルの具体例として、例えばスルホコハク酸ラウリル二ナトリウムが挙げられる。使用されるアニオン性界面活性剤は一種類のみであってもよいし、あるいは二種類以上のアニオン性界面活性剤を組み合わせて使用してもよい。
【0031】
カチオン性界面活性剤の具体例としては、例えば塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、臭化ステアリルトリメチルアンモニウム、エチル硫酸ラノリン脂肪酸アミノプロピルエチルジメチルアンモニウム、ステアリルトリメチルアンモニウムサッカリン、セチルトリメチルアンモニウムサッカリン、塩化メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム、及びメチル硫酸ベヘニルトリメチルアンモニウムが挙げられる。
【0032】
両性界面活性剤の具体例としては、例えばココベタイン、ラウラミドプロピルベタイン、コカミドプロピルベタイン、ラウロアンホ酢酸ナトリウム、ココアンホ酢酸ナトリウム、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン、及びラウリルベタイン(ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン)が挙げられる。
【0033】
非イオン性界面活性剤の具体例としては、例えばエーテル型非イオン性界面活性剤、及びエステル型非イオン性界面活性剤が挙げられる。エーテル型非イオン性界面活性剤の具体例としては、例えばPOEセチルエーテル(セテス)、POEステアリルエーテル(ステアレス)、POEベヘニルエーテル、POEオレイルエーテル(オレス)、POEラウリルエーテル(ラウレス)、POEオクチルドデシルエーテル、POEヘキシルデシルエーテル、POEイソステアリルエーテル、POEノニルフェニルエーテル、及びPOEオクチルフェニルエーテルが挙げられる。エステル型非イオン性界面活性剤の具体例としては、例えばモノオレイン酸POEソルビタン、モノステアリン酸POEソルビタン、モノパルミチン酸POEソルビタン、モノラウリン酸POEソルビタン、トリオレイン酸POEソルビタン、モノステアリン酸POEグリセリン、モノミリスチン酸POEグリセリン、テトラオレイン酸POEソルビット、ヘキサステアリン酸POEソルビット、モノラウリン酸POEソルビット、POEソルビットミツロウ、モノオレイン酸ポリエチレングリコール、モノステアリン酸ポリエチレングリコール、モノラウリン酸ポリエチレングリコール、親油型モノオレイン酸グリセリン、親油型モノステアリン酸グリセリン、自己乳化型モノステアリン酸グリセリン、モノオレイン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、モノステアリン酸ソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタン、モノラウリン酸ソルビタン、ショ糖脂肪酸エステル、モノラウリン酸デカグリセリル、モノステアリン酸デカグリセリル、モノオレイン酸デカグリセリル、及びモノミリスチン酸デカグリセリルが挙げられる。
【0034】
使用される界面活性剤は一種類のみであってもよいし、あるいは二種類以上の界面活性剤を組み合わせて使用してもよい。
糖の具体例としては、例えばソルビトール、及びマルトースが挙げられる。
【0035】
防腐剤の具体例としては、例えばパラベンが挙げられる。
安定剤の具体例としては、例えばフェナセチン、8−ヒドロキシキノリン、アセトアニリド、ピロリン酸ナトリウム、バルビツール酸、尿酸、及びタンニン酸が挙げられる。
【0036】
pH調整剤の具体例としては、例えばクエン酸、酒石酸、乳酸、リンゴ酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、ピロリン酸、グルコン酸、グルクロン酸、安息香酸、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、及び塩基性アミノ酸が挙げられる。
【0037】
酸化防止剤の具体例としては、例えばアスコルビン酸及び亜硫酸塩が挙げられる。
キレート化剤の具体例としては、例えばエデト酸(エチレンジアミン四酢酸(EDTA))、エデト酸二ナトリウム、エデト酸四ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸及びその塩類、並びにヒドロキシエタンジホスホン酸(HEDP)及びその塩類が挙げられる。
【0038】
酸化助剤の具体例としては、例えば、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム及び過硫酸ナトリウムなどの過硫酸塩が挙げられる。酸化助剤は、脱色効果及び脱染効果をより向上させるために使用される。
【0039】
第1剤の剤型は25℃で液状である。本明細書でいう液状とは、流動性のあることをいい、例えば、乳化状、ジェル状、及びクリーム状を含む概念である。第1剤中にアルカリ剤としてアンモニア又はアンモニウム塩が含有されている場合、第1剤の剤型は乳化状であることが好ましい。それにより、アンモニア臭を低減させることができる。
【0040】
第1剤は、25℃における粘度が2000ミリパスカル秒(mPa・s)以下であることが好ましく、1000mPa・s以下がより好ましい。第1剤の粘度が2000mPa・s以下の場合、第2剤との混合性がより向上するとともに、保存容器内への充填が容易となる。第1剤の粘度は、例えばB型粘度計を用い、25℃及び1分間の測定条件で求めることができる。B型粘度計の具体例としては、例えばBL型粘度計VISCOMETER(東機産業株式会社製)を挙げることができる。使用するロータ及び回転速度は、測定機器の測定可能な粘度範囲に従い適宜選択される。例えば、粘度範囲が10mPa・s以下の場合、BLアダプタを用い、60rpm/minの条件で求めることができる。粘度範囲が10〜100mPa・sの場合、1号ロータを用い、60rpm/minの条件で求めることができる。粘度範囲が100〜500mPa・sの場合、2号ロータを用い、60rpm/minの条件で求めることができる。粘度範囲が500〜2000mPa・sの場合、3号ロータを用い、60rpm/minの条件で求めることができる。粘度範囲が2000〜10000mPa・sの場合、4号ロータを用い、60rpm/minの条件で求めることができる。粘度範囲が10000〜20000mPa・sの場合、4号ロータを用い、30rpm/minの条件で求めることができる。第1剤の粘度は、上述した可溶化剤、水溶性高分子、油性成分、界面活性剤等の配合割合を変化させることによって適宜調節することができる。
【0041】
<2剤式の毛髪脱色・脱染剤の第2剤>
第2剤に含まれる酸化剤は、毛髪に含まれるメラニンを脱色する働きをする。使用される酸化剤の例としては、例えば過酸化水素、過酸化尿素、過酸化メラミン、過炭酸ナトリウム、過炭酸カリウム、過ホウ酸ナトリウム、過ホウ酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化ナトリウム、過酸化カリウム、過酸化マグネシウム、過酸化バリウム、過酸化カルシウム、過酸化ストロンチウム、硫酸塩の過酸化水素付加物、リン酸塩の過酸化水素付加物、及びピロリン酸塩の過酸化水素付加物が挙げられる。
【0042】
第2剤中における酸化剤の含有量は、好ましくは0.1〜15.0質量%であり、より好ましくは2.0〜9.0質量%であり、最も好ましくは3.0〜6.0質量%である。酸化剤の含有量が0.1質量%未満では、毛髪中のメラニンを十分に脱色することができない場合がある。酸化剤の含有量が15.0質量%を超えると、毛髪脱色・脱染剤の塗布により毛髪が損傷を受けることがある。
【0043】
第2剤が酸化剤として過酸化水素を含有する場合には、過酸化水素の安定性を向上させる安定化剤、例えばエチレングリコールフェニルエーテル(フェノキシエタノール)、ヒドロキシエタンジホスホン酸及びその塩を第2剤に配合することが好ましい。ヒドロキシエタンジホスホン酸塩の具体例としては、例えばヒドロキシエタンジホスホン酸四ナトリウム、及びヒドロキシエタンジホスホン酸二ナトリウムが挙げられる。
【0044】
第2剤は、第2剤中の各成分の作用を阻害しない限り、従来の毛髪脱色・脱染剤に一般的に含まれる成分をさらに含有してもよい。例えば、前述した第1剤に含まれているアルカリ剤以外の成分を本発明の効果を阻害しない範囲内において適宜配合してもよい。
【0045】
第2剤の剤型は25℃で液状である。第1剤中にアンモニア又はアンモニウム塩が含有されている場合、第2剤の剤型は乳化状であることが好ましい。それにより、第2剤を液状の剤型を有する第1剤と混合させたときに、混合物の乳化構造の崩壊が抑制され、混合物におけるアンモニア臭を抑制することができる。
【0046】
第2剤は、25℃における粘度が2000ミリパスカル秒(mPa・s)以下であることが好ましく、1000mPa・s以下がより好ましい。第2剤の粘度が2000mPa・s以下の場合、第1剤との混合性がより向上するとともに、保存容器内への充填が容易となる。
【0047】
第2剤に含有される酸化剤が25℃で固体状の場合、第1剤と第2剤を混合する直前に第2剤に可溶化剤を添加することにより、第2剤は液状の剤型に調製される。ここで使用される可溶化剤の例は、第1剤において使用される可溶化剤の具体例として先に説明したのと同じである。
【0048】
毛髪脱色・脱染剤は、第1剤と第2剤を混合して振とうにより発泡させることによって泡状の剤型とした後、必要量だけ薄手の手袋をした手、コーム(櫛)又は刷毛で毛髪に塗布される。
【0049】
<3剤式の毛髪脱色・脱染剤>
3剤式の毛髪脱色・脱染剤は、例えば、アルカリ剤を含有する第1剤と、2剤式の毛髪脱色・脱染剤の第2剤と同じ組成を有する第2剤と、2剤式の毛髪脱色・脱染剤の第1剤からアルカリ剤を除いた組成を有する第3剤とから構成される。このようにして構成される3剤式の毛髪脱色・脱染剤は良好な保存安定性を有する。3剤式の毛髪脱色・脱染剤を使用するときには、例えば、まず第1剤と第3剤を混合して液状の混合物を調製した後、次にその混合物を液状の第2剤と混合することが行われる。その後、振とうによる発泡により得られる泡状の剤型で毛髪脱色・脱染剤は毛髪に適用される。
【0050】
次に、泡状の剤型を有する毛髪脱色・脱染剤を調製するのに使用される毛髪化粧用品について図1及び図2を参照して説明する。以下の説明は、2剤式の毛髪脱色・脱染剤を使用した場合の例を示しているが、3剤式の毛髪脱色・脱染剤を使用した場合もこれとほぼ同様である。
【0051】
図1に示されるように、毛髪化粧用品は、毛髪脱色・脱染剤10と、毛髪脱色・脱染剤10を振とうするための発泡用具としての液密に閉塞可能な容器20とを含む。毛髪脱色・脱染剤10の第1剤11及び第2剤12は、使用時まで個別に包装された状態で容器20内に収容して保管される。第1剤11及び第2剤12の包装形態は、液状の剤を保存可能な形態であれば特に限定されず、例えばボトル包装、ピロー包装、及びチューブ包装のいずれであってもよい。
【0052】
図1(a)に示されるように、容器20は、有底円筒状の容器本体21と、容器本体21の開口部を閉塞する半球状の蓋体22とを備えている。容器本体21は、底部よりも開口部が拡径した形状を有している。また、容器本体21の内面は曲面状をなしている。
【0053】
蓋体22の周縁にはフランジ状の嵌合部が形成されており、この嵌合部は容器本体21の開口部に嵌合するようになっている。図1に示す容器20では、蓋体22の嵌合部を容器本体21の開口部に嵌合させて蓋体22を回転させることで容器本体21に対して蓋体22が液密に装着される。
【0054】
容器20は、個別に包装された状態の第1剤11及び第2剤12を収容可能に形成されている。すなわち、図1(a)に示されるように、容器20は、毛髪脱色・脱染剤10の使用時まで第1剤11及び第2剤12をまとめて保管する外装容器として使用される。容器20の中には、第1剤11及び第2剤12だけでなく、毛髪の脱色・脱染処理時に用いられる手袋、説明書等の付属品を収容してもよい。容器20は、軽量化の観点から、樹脂、又は耐水性を付与した紙から形成されることが好ましい。また、容器本体21の外面には、例えばシュリンクフィルムを用いた印刷を付与することもできる。
【0055】
使用時にはまず、容器本体21から蓋体22を取り外し、個別包装された第1剤11及び第2剤12を容器本体21内から取り出す。次に、第1剤11及び第2剤12の包装を開封し、図1(b)に示されるように第1剤11及び第2剤12を容器本体21に投入する。これにより、容器本体21内で第1剤11と第2剤12が接触し、混合物13が得られる。続いて、図1(c)に示されるように容器本体21に蓋体22を装着し、容器20を上下に振る。このとき、容器20内では、第1剤11と第2剤12の混合が進むとともに、振とうにより混合物13に空気が混入される。こうして混合物13に空気を振り混ぜることにより、混合物13は発泡する。そして、容器20を所定の回数振った後、振るのを止めることで、発泡は完了する。こうして得られた泡状の毛髪脱色・脱染剤14は、図1(d)に示されるように、容器本体21から蓋体22を取り外した後、容器本体21内から例えば手で直接取り出して毛髪に塗布される。毛髪脱色・脱染剤は泡状であるために、液だれを起こすことなく毛髪に容易に馴染むことができる。毛髪に毛髪脱色・脱染剤を塗布した後、放置している間に毛髪の脱色又は脱染は進行する。所定時間の経過後、水又は温水で毛髪を洗って毛髪上の毛髪脱色・脱染剤を落とし、毛髪の脱色又は脱染処理は完了する。
【0056】
図2に示されるように、容器本体21は底部よりも開口部が拡径した有底筒状の形状を有していることで、容器本体21内の泡状の毛髪脱色・脱染剤14を例えば手で容易に取り出せる。また、容器本体21の内面が曲面状をなしていることで、容器本体21内の泡状の毛髪脱色・脱染剤14を多く残さずに取り出すことが手でも容易にできる。
【0057】
毛髪脱色・脱染剤の第1剤11と第2剤12の混合物13の体積(mL)に対する容器20の内容量(mL)の比率(mL/mL)は、好ましくは1.2〜15、さらに好ましくは2〜15、特に好ましくは3〜15の範囲である。この比率が1.2以上の場合、混合物13の入った容器20内に空きスペースが確保されやすくなるため、振とうによる混合物13への空気の混入が促進される。その結果、混合物13を十分に発泡させるまでに必要な振とう回数を削減することができる。ただし、前記比率が15を超えると、発泡完了後の容器20内に余剰の空間が増すことで、容器20内の泡状の毛髪脱色・脱染剤14を取り出しにくくなるおそれがある。
【0058】
容器20の内容量は、使用する第1剤11及び第2剤12の量により適宜設定されるが、好ましくは150〜1500mL、より好ましくは400〜1000mL、さらに好ましくは600〜800mLである。容器20の内容量が150mL以上である場合には、毛髪を脱色又は脱染するときに一般的に必要とされる量の第1剤11及び第2剤12を容器20内で良好に混合することができる。ただし、容器20の内容量が1500mLを超えると、容器20が大きくなりすぎることで取り扱いにくくなるなどの不都合がある。
【0059】
容器20は、径方向の寸法よりも高さ方向の寸法が大きくなっている。そのため、容器20の把持が容易である。図2においてh1で示される容器20内の収容空間の高さh1は、10〜25cmが好ましい。この高さh1が10cm以上の場合、容器20の内容量を十分に確保しやすい。ただし、高さh1が25cmを超えると、容器20が大きくなりすぎることで取り扱いにくくなるなどの不都合がある。
【0060】
図2においてh2で示される発泡前の毛髪脱色・脱染剤の混合物13の容器20内での高さ(cm)に対する容器20内の収容空間の高さh1(cm)の比率(h1/h2)は、2〜15の範囲であることが好ましい。h1/h2が2以上の場合、混合物13の入った容器20内に空きスペースが確保されやすくなるため、振とうによる混合物13への空気の混入が促進される。その結果、混合物13を十分に発泡させるまでに必要な振とう回数を削減することができる。ただし、h1/h2が15を超えると、発泡完了後の容器本体21内に余剰の空間が増すことで、容器本体21内の泡状の毛髪脱色・脱染剤14を取り出しにくくなるおそれがある。
【0061】
本実施形態は以下の利点を有する。
(1)本実施形態に係る毛髪脱色・脱染剤の第1剤と第2剤はいずれも液状である。したがって、第1剤と第2剤を混合して振とうにより発泡させることによって泡状の剤型の毛髪脱色・脱染剤を形成するに際し、両剤の混合性を向上させることができる。
【0062】
(2)好ましくは、泡状の剤型の毛髪脱色・脱染剤を得るための振とうによる発泡は、150〜1500mLの内容量を有する液密に閉塞可能な容器を用いて行われる。この場合、第1剤と第2剤の混合性をより向上させることができるとともに、塗布操作性を向上させることができる。
【0063】
(3)好ましくは、第1剤又は第2剤の粘度は2000mPa・s以下である。この場合、両剤の混合性をより向上させることができる。
(4)脱色効果を向上させるために第1剤にアルカリ剤としてアンモニア又はアンモニウム塩を配合した場合、第1剤の剤型は乳化状であることが好ましい。この場合、第1剤のアンモニア臭を低減することができる。
【0064】
(5)脱色効果を向上させるために第1剤にアルカリ剤としてアンモニア又はアンモニウム塩を配合した場合、第2剤の剤型は乳化状であることが好ましい。この場合、第1剤と第2剤の混合物におけるアンモニア臭を抑制することができる。
【0065】
(6)スクイズ式泡吐出容器を用いて泡状の剤型に毛髪脱色・脱染剤を形成する場合、容器をスクイズするのに比較的大きな力が必要であって手が疲れやすい。これに対し、本実施形態では、泡状の毛髪脱色・脱染剤を容器から手で直接取り出して毛髪に塗布するため、そのような手の疲れはない。
【0066】
(7)また、スクイズ式泡吐出容器の場合、容器内の毛髪脱色・脱染剤を残さず吐出させることが難しい。これに対し、本実施形態で採用している手で直接容器から泡状の毛髪脱色・脱染剤を取り出す方法は、容器内の泡状の毛髪脱色・脱染剤を多く残さずに取り出すことが容易である。
【0067】
(8)また、ディップチューブのないスクイズ式泡吐出容器の場合、スクイズを止めると吐出口から空気が流入し、その空気の流れにより消泡するおそれがある。これに対し、本実施形態で採用している手で直接容器から泡状の毛髪脱色・脱染剤を取り出す方法は、そのような空気の流れによる消泡のおそれがない。
【0068】
(9)本実施形態に係る毛髪脱色・脱染剤の第1剤は液状であるため、粉末状の場合には配合が困難な毛髪の感触や明度の向上並びに粘度安定性の向上に関連する油性成分及び界面活性剤を配合することが容易である。
【0069】
(第2実施形態)
以下、本発明の毛髪化粧料組成物を染毛剤に具体化した第2実施形態について説明する。第2実施形態に係る染毛剤は、第1剤と第2剤とから構成される2剤式である。以下、第1実施形態の毛髪脱色・脱染剤との相違点を中心に説明する。
【0070】
染毛剤の第1剤は、例えばアルカリ剤、可溶化剤及び酸化染料を含有する。第1剤に含有されるアルカリ剤及び可溶化剤の例としては、第1実施形態の毛髪脱色・脱染剤において使用されるアルカリ剤及び可溶化剤の具体例として先に説明したのと同じである。
【0071】
酸化染料は、染毛剤の第2剤に含有される酸化剤による酸化重合に起因して発色可能であり、少なくとも染料中間体を含んでいる。酸化染料は、染料中間体に加えてカプラーを含んでもよい。
【0072】
染料中間体の具体例としては、例えばp−フェニレンジアミン、トルエン−2,5−ジアミン(パラトルイレンジアミン)、N−フェニル−p−フェニレンジアミン、4,4'−ジアミノジフェニルアミン、p−アミノフェノール、o−アミノフェノール、p−メチルアミノフェノール、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−p−フェニレンジアミン、2−ヒドロキシエチル−p−フェニレンジアミン、o−クロル−p−フェニレンジアミン、4−アミノ−m−クレゾール、2−アミノ−4−ヒドロキシエチルアミノアニソール、2,4−ジアミノフェノール、及びそれらの塩が挙げられる。使用される染料中間体は一種類のみであってもよいし、あるいは二種類以上の染料中間体を組み合わせて使用してもよい。
【0073】
カプラーは、染料中間体と結合することにより発色する。カプラーの具体例は、例えばレゾルシン、5−アミノ−o−クレゾール、m−アミノフェノール、α−ナフトール、5−(2−ヒドロキシエチルアミノ)−2−メチルフェノール、m−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノフェノキシエタノール、トルエン−3,4−ジアミン、2,6−ジアミノピリジン、ジフェニルアミン、N,N−ジエチル−m−アミノフェノール、フェニルメチルピラゾロン、及びそれらの塩が挙げられる。使用されるカプラーは一種類のみであってもよいし、あるいは二種類以上のカプラーを組み合わせて使用してもよい。染料中間体とカプラーの両方を含んだ酸化染料は、毛髪の色調を所望に変化させることが容易なために好ましく使用される。
【0074】
染毛剤の第1剤は、例えば「医薬部外品原料規格」(2006年6月発行、薬事日報社)に収載されている酸化染料、及び直接染料から選ばれる少なくとも一種をさらに適宜含有してもよい。直接染料の具体例としては、例えば酸性染料、ニトロ染料、塩基性染料(カチオン染料)、及び分散染料が挙げられる。ニトロ染料の具体例として、例えば4−ニトロ−o−フェニレンジアミンが挙げられる。
【0075】
また、第1剤は必要に応じて前述した成分以外の成分、例えば第1実施形態に係る毛髪脱色・脱染剤の第1剤に含まれるアルカリ剤及び可溶化剤以外の成分をさらに含有してもよい。
【0076】
染毛剤の第2剤は、例えば、第1実施形態に係る毛髪脱色・脱染剤の第2剤と同じ組成を有する。
第1剤及び第2剤の剤型は25℃で液状である。
【0077】
第2実施形態に係る染毛剤は、第1剤と第2剤を混合して振とうにより発泡させることによって泡状の剤型とした後、必要量だけ薄手の手袋をした手、コーム(櫛)又は刷毛で毛髪に塗布される。泡状の剤型を有する染毛剤の調製は、第1実施形態に係る毛髪脱色・脱染剤の場合と同様、図1,2に示される毛髪化粧用品(発泡用具)を使用して行ってもよい。
【0078】
第2実施形態は第1実施形態の利点に加えて以下の利点を有する。
(10)第2実施形態に係る染毛剤の第1剤と第2剤はいずれも液状である。したがって、第1剤と第2剤を混合して振とうにより発泡させることによって泡状の剤型の染毛剤を形成するに際し、両剤の混合性を向上させることができる。
【0079】
(11)第2実施形態に係る染毛剤の第1剤は液状であるため、粉末状の場合には配合が困難な毛髪の感触や染毛性の向上並びに粘度安定性の向上に関連する油性成分及び界面活性剤を配合することが容易である。
【0080】
前記第1及び第2実施形態は以下のように変更されてもよい。
・第1及び第2実施形態の毛髪化粧料組成物において、第1剤及び第2剤のうちの一方が2000mPa・s以下の粘度を有する場合、もう一方の剤の粘度は特に限定されない。ただし、好ましくは20000mPa・s以下である。この場合、両剤の混合性をより向上させることができる。
【0081】
・第2実施形態の2剤式の染毛剤を3剤式に変更して構成してもよい。また、第1実施形態の毛髪脱色・脱染剤及び第2実施形態の染毛剤を4つ以上の剤からなる多剤式に変更して構成してもよい。ただしそのいずれの場合も、使用時には複数の液状の剤同士を混合することが行われる必要がある。
【0082】
・第1及び第2実施形態の毛髪化粧料組成物において、第1剤又は第2剤に含有される可溶化剤をその他の成分とは別に使用時まで保存してもよい。この場合、第1剤又は第2剤の可溶化剤以外の成分は固体状で保存され、使用直前に可溶化剤と混合することにより、液状の第1剤又は第2剤が調製される。
【0083】
・第1及び第2実施形態において泡状の毛髪化粧料組成物を得るために行われる発泡操作を次のように変更してもよい。すなわち、発泡前の毛髪化粧料組成物に振動を加えて空気を混入させることにより、毛髪化粧料組成物を泡状にしてもよい。あるいは、発泡前の毛髪化粧料組成物に回転を加えて空気を混入させることにより、毛髪化粧料組成物を泡状にしてもよい。つまり、毛髪化粧料組成物の振とうによる発泡とは、毛髪化粧料組成物に空気を振り混ぜること、毛髪化粧料組成物に振動を加えること、及び毛髪化粧料組成物に回転を加えることのいずれかにより毛髪化粧料組成物を泡状にすることを意味する。
【0084】
こうした発泡操作の種類に応じて、毛髪化粧料組成物を発泡させるのに使用される発泡用具を変更することができる。例えば、主として毛髪化粧料組成物に振動を加えて発泡させる場合には、発泡用具としては例えば加振機、及び手動式泡立て器が好適である。また、主として毛髪化粧料組成物に回転を加えて発泡させる場合には、発泡用具としては例えば撹拌棒、撹拌子、及び電動式泡立て器が好適である。このような発泡用具を用いた発泡は、例えば上端に開口を有する容器に毛髪化粧料組成物を投入して、その容器内で行われる。このいずれの場合も、毛髪化粧料組成物を容易かつ良好に発泡させることができる。
【0085】
・図1及び図2に示す容器20の容器本体21は、有底円筒状に限られず、例えば有底角筒状であってもよい。また、蓋体22の形状を、例えば容器本体21の形状に応じて適宜変更してもよい。
【0086】
・使用前の個別に包装された状態の第1剤及び第2剤は、図1(a)に示すように容器20に収容して保存されるに限られない。すなわち、第1剤と第2剤の少なくとも一方を容器外で保存してもよい。
【0087】
・毛髪化粧料組成物に空気を振り混ぜて発泡させるに際して、図1(c)に示すように容器20を上下に振るのではなく、例えば容器20を把持している手の手首を捻るようにして容器20を振ってもよい。
【実施例】
【0088】
次に、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。
実施例1〜15及び比較例1の染毛剤を調製した。実施例1〜15の染毛剤は、液状の第1剤及び液状の第2剤からなる2剤式である。ただし、実施例15の染毛剤の第2剤は乳化状(乳液)の剤型を有する。比較例1の染毛剤は、粉末状の第1剤及び液状の第2剤からなる2剤式である。実施例1〜15及び比較例1の染毛剤の第1剤及び第2剤はそれぞれ表1に示す組成を有する。表1において染毛剤の各成分の含有量を表している数値の単位は質量%である。実施例1〜15の染毛剤の第1剤と第2剤は1:1の質量比で混合した。比較例1の染毛剤の第1剤と第2剤は1:5の質量比で混合した。第1剤と第2剤の混合に際しては、図1に示される容器20と同じ形状の容器を使用した。実施例1〜15及び比較例1の各染毛剤に対して使用した容器の内容量を表1の“容器の内容量”欄に示している。また、各容器内に投入した第1剤と第2剤の量の合計を表1の“第1剤及び第2剤の混合液の体積”欄に示している。各染毛剤の第1剤と第2剤を容器内に投入した後、容器を上下に20回振って第1剤と第2剤の混合物に空気を振り混ぜた。その結果、泡状の剤型を有する染毛剤を得た。
【0089】
<混合性>
実施例1〜15及び比較例1の各染毛剤の第1剤に予め着色剤を添加しておき、その着色された第1剤と無色の第2剤を容器内に投入した。その後、容器を10℃の雰囲気下において、均一の振とう力で上下に20回振ることにより、泡状の染毛剤を得た。得られた泡状の染毛剤の色ムラの有無を20名のパネラーが目視にて観察し、色ムラが全くない(5点)、色ムラがほとんどない(4点)、色ムラが少ない(3点)、色ムラがやや多い(2点)及び色ムラが多い(1点)の5段階で採点した。各染毛剤の第1剤と第2剤の混合性について、この採点の結果の平均値が4.6点以上を「優れる:5」、3.6点以上4.6点未満を「良好:4」、2.6点以上3.6点未満を「可:3」、1.6点以上2.6点未満を「やや不良:2」及び1点以上1.6点未満を「不良:1」と評価した。評価結果を表1の“混合性の評価”欄に示す。
【0090】
<操作性>
実施例1〜15及び比較例1の各染毛剤の第1剤と第2剤を投入した容器を上下に振ることにより泡状の剤型を得るのに必要な振とう力について、20名のパネラーが、
僅かな振とう力で容易に泡状の剤型に形成することができた(5点)、
弱い振とう力で容易に泡状の剤型に形成することができた(4点)、
やや弱い振とう力で泡状の剤型に形成することができた(3点)、
やや強い振とう力で泡状の剤型に形成することができた(2点)、
強い振とう力で泡状の剤型に形成することができた(1点)の5段階で採点した。各染毛剤の操作性について、この採点の結果の平均値が4.6点以上を「優れる:5」、3.6点以上4.6点未満を「良好:4」、2.6点以上3.6点未満を「可:3」、1.6点以上2.6点未満を「やや不良:2」及び1点以上1.6点未満を「不良:1」と評価した。評価結果を表1の“操作性の評価”欄に示す。
【0091】
<染毛力>
実施例1〜15及び比較例1で得られた泡状の剤型の各染毛剤を黒毛のウィッグに刷毛を用いて塗布し、室温(25℃)にて30分間放置した。次に、ウィッグに付着した染毛剤を水で洗い流した後、ウィッグにシャンプーを2回、及びリンスを1回施した。続いて、ウィッグを温風で乾燥した後、一日間放置することにより染色処理ウィッグを得た。こうして得られた各染色処理ウィッグを20名のパネラーが標準光源下で目視にて観察し、発色が良いか否かを判断した。発色が良いと答えたパネラーの人数が20人中17人以上であった場合には5、13〜16人であった場合には4、9〜12人であった場合には3、5〜8人であった場合には2、4人以下であった場合には1と評価した。評価結果を表1の“染毛力の評価”欄に示す。
【0092】
<臭気>
実施例15及び比較例1で得られた泡状の剤型の各染毛剤を黒毛のウィッグに刷毛を用いて塗布する際のアンモニア臭について、臭気がない(5点)、臭気がほとんどない(4点)、臭気が少ない(3点)、やや臭気がある(2点)及び臭気がある(1点)の5段階で20名のパネラーが採点した。この採点結果の平均値が4.6点以上を「優れる:5」、3.6点以上4.6点未満を「良好:4」、2.6点以上3.6点未満を「可:3」、1.6点以上2.6点未満を「やや不良:2」及び1点以上1.6点未満を「不良:1」と評価した。評価結果を表1の“臭気の評価”とした。
【0093】
<粘度>
実施例1〜15及び比較例1の各染毛剤の第1剤及び第2剤のそれぞれを150mLの容器中に約100mL入れ、BL型粘度計VISCOMETER(東機産業株式会社製)を使用して25℃及び1分間の条件で粘度の値を測定した。ロータ及びモータの回転数は、本機器の測定可能な粘度範囲に従い選択した。尚、比較例1の染毛剤の第1剤は粉末状の剤型であるため粘度を測定していない。測定結果を表1の“第1剤の粘度”欄及び“第2剤の粘度”欄に示す。
【0094】
【表1】

表1に示されるように、実施例1〜15の染毛剤では、混合性について高い評価が得られた。一方、粉末状の第1剤と液状の第2剤からなる比較例1の染毛剤にでは、混合性の評価が実施例1〜15の染毛剤の場合に比べて低かった。また、第2剤が液状である比較例1の染毛剤では、第2剤が乳液状である実施例15の染毛剤の場合に比べて臭気の評価が低かった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の剤からなる染毛剤又は毛髪脱色・脱染剤として構成される毛髪化粧料組成物であって、複数の液状の剤同士を混合して振とうにより発泡させることによって得られる泡状の剤型で毛髪に適用されることを特徴とする毛髪化粧料組成物。
【請求項2】
前記振とうによる発泡は、150〜1500mLの内容量を有する液密に閉塞可能な容器を用いて行われること特徴とする請求項1に記載の毛髪化粧料組成物。
【請求項3】
前記液状の剤の少なくとも一つは、2000mPa・s以下の粘度を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の毛髪化粧料組成物。
【請求項4】
前記毛髪化粧料組成物は、アンモニア及びアンモニウム塩から選ばれる少なくとも一種を含有し、前記液状の剤の少なくとも一つは、乳化状の剤であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の毛髪化粧料組成物。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の毛髪化粧料組成物の使用方法であって、
複数の液状の剤同士を容器内で混合して振とうにより発泡させることによって泡状の剤型に毛髪化粧料組成物を形成する工程と
得られた泡状の剤型の毛髪化粧料組成物を手で直接容器から取り出して毛髪に塗布する工程と
からなることを特徴とする方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2012−6981(P2012−6981A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−224348(P2011−224348)
【出願日】平成23年10月11日(2011.10.11)
【分割の表示】特願2011−525333(P2011−525333)の分割
【原出願日】平成22年5月31日(2010.5.31)
【出願人】(000113274)ホーユー株式会社 (278)
【Fターム(参考)】