説明

毛髪化粧料

【課題】 染色処理された毛髪にしなやかさを付与しつつ、十分な退色抑制効果を得ることのできる毛髪化粧料を提供する。
【解決手段】 毛髪化粧料は、(A)下記一般式(1)に示されるイミダゾリン型第四級アンモニウム塩及び(B)ポリアルキレングリコールを含有している。
【化1】


(式中、Rは炭素数11〜23のアルキル基又はアルケニル基を示し、Xはハロゲン原子、メチルサルフェート残基又はエチルサルフェート残基を示す。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、染色処理が施された毛髪に適用される毛髪化粧料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
酸化染毛剤、酸性染毛料等で染色処理された毛髪では、ヘアコンディショニング剤によるトリートメントの施術により毛髪から染料が流出することが知られている。このような染料の流出は、染色処理された毛髪における退色の主原因と考えられている。こうした退色を抑制する成分としては、例えばポリペプチド等の高分子が提案されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−114644号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、高分子を配合した毛髪化粧料では、毛髪の表面に被膜を形成することにより、ある程度の退色抑制効果が発揮されるものの、そうした被膜が硬くなる傾向にある。すなわち、この被膜により毛髪が硬くなることで、毛髪のしなやかさが十分に得られないという問題があった。また、高分子の種類等を検討することによって、被膜の柔軟化を図ったとしても、退色抑制効果が発揮されなくなることに加えて、毛髪がべたつく等の新たな問題が生じることになる。
【0004】
本発明は、こうした従来の実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、染色処理された毛髪にしなやかさを付与しつつ、十分な退色抑制効果を得ることのできる毛髪化粧料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するために請求項1に記載の発明の毛髪化粧料では、染色処理の施された毛髪に対して適用される毛髪化粧料であって、(A)下記一般式(1)に示されるイミダゾリン型第四級アンモニウム塩、及び(B)ポリアルキレングリコールを含有することを要旨とする。
【0006】
【化1】

(式中、Rは炭素数11〜23のアルキル基又はアルケニル基を示し、Xはハロゲン原子、メチルサルフェート残基又はエチルサルフェート残基を示す。)
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の発明において、前記(B)ポリアルキレングリコールが平均重合度50〜550のポリエチレングリコールであることを要旨とする。
【0007】
請求項3に記載の発明では、請求項1又は請求項2に記載の発明において、(C)高級アルコール及び(D)水をさらに含んで形成される乳化物であることを要旨とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、染色処理された毛髪にしなやかさを付与しつつ、十分な退色抑制効果を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
本実施形態の毛髪化粧料は、染色処理の施された毛髪に対して適用される毛髪化粧料である。この毛髪化粧料は、(A)下記一般式(1)に示されるイミダゾリン型第四級アンモニウム塩、及び(B)ポリアルキレングリコールを含有する。
【0010】
【化2】

(式中、Rは炭素数11〜23のアルキル基又はアルケニル基を示し、Xはハロゲン原子、メチルサルフェート残基又はエチルサルフェート残基を示す。)
このイミダゾリン型第四級アンモニウム塩は、染色処理が施された毛髪に対してコンディショニング効果を発揮させるとともに、退色抑制効果を得るために配合される。このイミダゾリン型第四級アンモニウム塩としては、例えばジベヘニルイミダゾリニウムメトサルフェート(di-behenyl imidazolinium methosulfate)が好適に用いられる。なお、このジベヘニルイミダゾリニウムメトサルフェートのInternational Nomenclature Cosmetic Ingredient名(INCI名))はクオタニウム−91であり、上記一般式(1)のRが炭素数21のアルキル基であるとともにXがメチルサルフェート残基である下記式(2)に示される化合物である。
【0011】
【化3】

このジベヘニルイミダゾリニウムメトサルフェートの市販品としては、例えばクローダ社のクロダゾソフト(商品名)DBQが挙げられる。この他のイミダゾリン型第四級アンモニウム塩としては、例えば一般式(1)のRが炭素数11、15、17又は19であるとともにXが塩素原子である化合物、及びRが炭素数15であるとともにXがメチルサルフェート残基である化合物等が挙げられる。これらのイミダゾリン型第四級アンモニウム塩は、単独で配合してもよいし、複数種を組み合わせて配合してもよい。
【0012】
イミダゾリン型第四級アンモニウム塩の配合量は、毛髪化粧料中において好ましくは0.05〜3質量%、より好ましくは0.1〜2質量%である。この配合量が0.05質量%未満の場合、優れたコンディショニング効果が得られにくくなる。一方、3質量%を超えると、頭皮に対する刺激が感じられる場合があり、不快感を与えるおそれがある。
【0013】
(B)ポリアルキレングリコールは、上記(A)成分とともに染色処理が施された毛髪に対してコンディショニング効果を発揮させるとともに、退色抑制効果を得るために配合される。(B)ポリアルキレングリコールの具体例としては、例えばポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール(PPG)、ポリブチレングリコール(PBG)等のホモポリマー、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールとのコポリマー(PEG/PPG)等が挙げられる。これらの(B)ポリアルキレングリコールは、単独で配合してもよいし、複数種を組み合わせて配合してもよい。(B)ポリアルキレングリコールの中でも、より優れた退色抑制効果を得るという観点から、平均重合度50〜550のポリエチレングリコールが好ましい。この平均重合度は、下記一般式(3)に示されるnの数をいう。
【0014】
HO(RO)H ・・・(3)
なお、一般式(3)中のRは、アルキレン基であって、例えばエチレン基、プロピレン基又はブチレン基を示す。平均重合度が50〜550のポリエチレングリコールを用いた場合には、より優れた退色抑制効果が得られるとともに、毛髪にしなやかさを一層十分に付与することができるようになる。
【0015】
(B)ポリアルキレングリコールの配合量は、毛髪化粧料中において好ましくは0.1〜5質量%、より好ましくは0.5〜4質量%である。この配合量が0.1質量%未満の場合、優れたコンディショニング効果が得られにくくなる。一方、5質量%を超えると、毛髪がべたつくおそれがある。
【0016】
(A)一般式(1)に示されるイミダゾリン型第四級アンモニウム塩に対する(B)ポリアルキレングリコールの配合量は、質量比(質量比=(B)/(A))で表すと、好ましくは0.01〜100、より好ましくは0.05〜50、さらに好ましくは0.2〜30、最も好ましくは0.2〜8である。この質量比が0.01未満及び100を超える場合、(A)成分と(B)成分との優れた相乗効果が得られにくくなる。すなわち、質量比を0.01〜100に設定することにより、(A)成分と(B)成分とによって毛髪の表面に安定した被膜が形成されると推測され、その結果、退色抑制効果についての相乗効果が一層得られることになる。
【0017】
さらに、毛髪化粧料は(C)高級アルコール及び(D)水をさらに含んで形成される乳化物であることが好ましい。(C)高級アルコールとしては、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール(セタノール)、ステアリルアルコール、セトステアリルアルコール、アラキルアルコール、ベヘニルアルコール、2−ヘキシルデカノール、イソステアリルアルコール、2−オクチルドデカノール、デシルテトラデカノール、オレイルアルコール、リノレイルアルコール、リノレニルアルコール、ラノリンアルコール等が挙げられる。これらの(C)高級アルコールは、単独で配合してもよいし、複数種を組み合わせて配合してもよい。これらの(C)高級アルコールの中でも、安定した乳化物を形成し易いという観点から、直鎖高級飽和アルコールが好ましい。直鎖高級飽和アルコールとしては、例えばミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、セトステアリルアルコール及びベヘニルアルコールから選ばれる少なくとも一種が挙げられる。
【0018】
(C)高級アルコールの配合量は、毛髪化粧料中において好ましくは0.1〜12質量%、より好ましくは0.5〜10質量%である。この配合量が0.1質量%未満の場合、乳化物としての安定性が十分に得られないおそれがある。一方、12質量%を超えると、毛髪がべたつくおそれがある。(D)水の配合量は、毛髪化粧料中において好ましくは50〜99質量%、より好ましくは60〜95質量%である。この配合量が50質量%未満又は99質量%を超える場合、安定した乳化物が得られにくくなる。
【0019】
なお、(C)成分及び(D)成分を配合してなる毛髪化粧料では、ホモミキサー等の攪拌装置を用いる常法に従って乳化物にすることができる。すなわち、こうした毛髪化粧料は、水相を連続相として、各成分の親油基等によって油滴を形成する水中油滴型乳化物となる。
【0020】
毛髪化粧料には、毛髪のなめらかさ、しっとり感及びつやを付与することにより、コンディショニング効果を高めるという観点から、シリコーン類を配合することが好ましい。上記の(A)成分及び(B)成分は、こうしたシリコーン類のコンディショニング効果を阻害せずに、優れた退色抑制効果を得ることができる。
【0021】
シリコーン類としては、例えばメチルポリシロキサン、高重合メチルポリシロキサン、及びアミノ変性シリコーンが挙げられる。
メチルポリシロキサンは、毛髪の表面の摩擦抵抗を低減することにより、毛髪になめらかさを付与する成分である。このメチルポリシロキサンは、ポリシロキサンの水素がメチル基で置換されたものであって、かつ動粘度(25℃)が6〜5000mm/s(cSt)の範囲のものをいう。すなわち、このメチルポリシロキサンは低重合度のメチルポリシロキサンであって、その平均重合度は650未満である。このメチルポリシロキサンとしては、例えばジメチルポリシロキサン及びメチル水素ポリシロキサンが挙げられる。このメチルポリシロキサンの配合量は、毛髪化粧料中において好ましくは0.1〜20質量%、より好ましくは0.5〜10質量%である。この配合量が0.1質量%未満であると、毛髪のなめらかさが十分に得られないおそれがある。一方、20質量%を超えると、毛髪に過剰な油性感が生じてしまうおそれがある。
【0022】
高重合メチルポリシロキサンは、毛髪に被膜となって付着することにより、毛髪につやを付与する成分である。この高重合メチルポリシロキサンは、平均重合度が650〜10000のメチルポリシロキサンをいう。高重合メチルポリシロキサンとしては、例えば高重合ジメチルポリシロキサン及び高重合メチル水素ポリシロキサンが挙げられる。この高重合メチルポリシロキサンの配合量は、毛髪化粧料中において好ましくは0.05〜10質量%、より好ましくは0.1〜5質量%である。この配合量が0.05質量%であると、毛髪のつやが十分に得られないおそれがある。一方、10質量%を超えると、毛髪に過剰な油性感が生じてしまうおそれがある。
【0023】
アミノ変性シリコーンは、親水性のアミノ基によって毛髪を保湿しつつ毛髪同士の滑りを改善することにより、毛髪にしっとり感を付与する成分である。このアミノ変性シリコーンは、下記一般式(4)に示される。
【0024】
【化4】

(一般式(4)中、Rはメチル基又はヒドロキシル基を表し、Rはメチル基、ヒドロキシル基又はRを表す。RはRZで表されるアミノ基又はアンモニウム基を有する置換基を表し、a及びbはそれぞれ分子量に依存する整数を表し、a+bは50〜20,000である。また、Rは炭素数3〜6の2価の炭化水素基を表す。Zは、−NR、−N、−NR(CHNR、−NR(CH、及び−NR(CHNRC=O(R)からなる群より選ばれる1価の基を表す。ここで、Rは水素原子又は炭素数1〜4の炭化水素基、Rは炭素数1〜4の炭化水素基、Aはハロゲン原子、及びcは2〜6の整数を表す。)
アミノ変性シリコーンの具体例としては、アミノプロピルメチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体(アミノプロピルジメチコン)、アミノエチルアミノプロピルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体(アモジメチコン)、アミノエチルアミノプロピルメチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体(トリメチルシリルアモジメチコン)等が挙げられる。これらのアミノ変性シリコーンは単独で配合してもよいし、二種以上を組み合わせて配合してもよい。これらのアミノ変性シリコーンの中でも、毛髪にしっとり感を付与する効果に優れることから、アミノプロピルメチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体が好ましい。
【0025】
また、アミノ変性シリコーンの動粘度(25℃)は、1,000,000〜30,000,000mm/s(cSt)であることが好ましい。この動粘度が1,000,000mm/s(cSt)未満の場合、毛髪に対する付着性が低下する。一方、動粘度が30,000,000mm/s(cSt)を超えると、毛髪化粧料中における混合性が低下する。
【0026】
アミノ変性シリコーンの含有量は、毛髪化粧料中に好ましくは0.01〜5質量%、より好ましくは0.1〜3質量%である。この含有量が0.01質量%未満の場合、毛髪のしっとり感が十分に得られないおそれがある。一方、5質量%を超えると、毛髪に過剰に付着することにより、毛髪が重い感触となるおそれがある。
【0027】
毛髪化粧料には、上記の成分以外の成分をその他の成分として配合することができる。その他の成分としては、例えば油性成分、炭化水素、界面活性剤、pH調整剤、アルコール類等が挙げられる。
【0028】
油性成分としては、多価アルコール、油脂類、ロウ類、高級脂肪酸、エステル類、シリコーン類等が挙げられる。
多価アルコールとしては、グリコール類、グリセリン類等が挙げられる。グリコール類としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、イソプレングリコール、1,3−ブチレングリコール等が挙げられる。グリセリン類としては、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン等が挙げられる。
【0029】
油脂としては、オリーブ油、ツバキ油、シア脂、アーモンド油、茶実油、サザンカ油、サフラワー油、ヒマワリ油、大豆油、綿実油、ゴマ油、牛脂、カカオ脂、トウモロコシ油、落花生油、ナタネ油、コメヌカ油、コメ胚芽油、小麦胚芽油、ハトムギ油、ブドウ種子油、アボカド油、カロット油、マカダミアナッツ油、ヒマシ油、アマニ油、ヤシ油、ミンク油、卵黄油等が挙げられる。
【0030】
ロウ類としては、ミツロウ、キャンデリラロウ、カルナウバロウ、ホホバ油、ラノリン等が挙げられる。高級脂肪酸としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、イソステアリン酸、ヒドロキシステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、オレイン酸、ウンデシレン酸、リノール酸、リシノール酸、ラノリン脂肪酸等が挙げられる。
【0031】
エステル類としては、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ジ−2−ヘキシルデシル、アジピン酸ジイソステアリル、ミリスチン酸イソステアリル、ミリスチン酸イソトリデシル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、オクタン酸セチル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソデシル、イソノナン酸イソトリデシル、セバシン酸ジイソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、オレイン酸デシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、パルミチン酸オクチル、乳酸ラウリル、乳酸オクチルドデシル、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソセチル、ジオクタン酸エチレングリコール、カプリル酸セチル、トリカプリル酸グリセリル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、リンゴ酸ジイソステアリル、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、オレイン酸オレイル、コハク酸ジエトキシエチル、コハク酸ジオクチル、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル等が挙げられる。
【0032】
炭化水素としては、α−オレフィンオリゴマー、軽質イソパラフィン、軽質流動イソパラフィン、流動イソパラフィン、流動パラフィン、スクワラン、ポリブテン、パラフィン、ポリエチレン末、マイクロクリスタリンワックス、ワセリン等が挙げられる。
【0033】
界面活性剤としては、非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤(但し、一般式(1)に示されるイミダゾリン型第四級アンモニウム塩を除く)、アニオン性界面活性剤及び両性界面活性剤が挙げられる。
【0034】
非イオン性界面活性剤の具体例としては、ポリオキシエチレン(以下、POEという)アルキルエーテル類、POEアルキルフェニルエーテル類、POE・ポリオキシプロピレン(以下、POPという)アルキルエーテル類、POEソルビタン脂肪酸エステル類、POEプロピレングリコール脂肪酸エステル等が挙げられる。POEアルキルエーテル類の具体例としては、POEラウリルエーテル、POEセチルエーテル、POEステアリルエーテル、POEベヘニルエーテル等が挙げられる。
【0035】
カチオン性界面活性剤の具体例としては、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、メチル硫酸ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、臭化ステアリルトリメチルアンモニウム、エチル硫酸ラノリン脂肪酸アミノプロピルエチルジメチルアンモニウム、ステアリルトリメチルアンモニウムサッカリン、セチルトリメチルアンモニウムサッカリン等が挙げられる。
【0036】
アニオン性界面活性剤の具体例としては、ラウリル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸塩、POEラウリルエーテル硫酸ナトリウム等のPOEアルキル硫酸塩、ラウリル硫酸トリエタノールアミン等のアルキル硫酸エステル塩、ステアロイルメチルタウリンナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミン、テトラデセンスルホン酸ナトリウム、POEラウリルエーテルリン酸及びその塩等が挙げられる。
【0037】
両性界面活性剤の具体例としては、2−ウンデシル−N,N,N−(ヒドロキシエチルカルボキシメチル)−2−イミダゾリンナトリウム、ココアミドプロピルベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン等が挙げられる。
【0038】
pH調整剤としては、クエン酸、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール等が挙げられる。アルコール類としては、コレステロール等が挙げられる。
さらに、その他の成分としてソルビトール、マルトース等の糖類、バチルアルコール、キミルアルコール等のアルキルグリセリルエーテル、アラビアガム、カラヤガム、トラガントガム、アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、セルロース誘導体、架橋ポリアクリル酸、ポリ塩化ジメチルメチレンピペリジウム等の水溶性高分子化合物、パラベン等の防腐剤、EDTA−2Na等のキレート剤、フェナセチン、8−ヒドロキシキノリン、アセトアニリド、ピロリン酸ナトリウム、バルビツール酸、尿酸、タンニン酸等の安定剤、植物抽出物、生薬抽出物、ビタミン類、香料、紫外線吸収剤、抗菌剤等が挙げられる。
【0039】
毛髪化粧料は、乳化物、溶液、分散液等として調製される。なお、毛髪化粧料のpHは、上記pH調整剤や酒石酸、コハク酸等の酸等の配合により、弱酸性(pH3以上7未満)に調整することが好ましい。毛髪化粧料を弱酸性にすることにより、毛髪の収れん効果が得られるようになる。このため、毛髪からの染料の流出はさらに抑制されることになり、染色処理された毛髪の退色を一層抑制することができるようになる。また、毛髪化粧料の剤型は、流動性を有した形態であれば特に限定されず、例えば液状、霧状、フォーム状、クリーム状、ゲル状等が挙げられる。
【0040】
以上詳述した毛髪化粧料は、染色処理が施された毛髪に適用される。毛髪の染色処理は、染毛用組成物を毛髪に適用することにより施される。染毛用組成物としては、酸化染毛剤、酸性染毛料(ヘアマニキュア)等が挙げられる。
【0041】
酸化染毛剤は、一般に酸化染料、アルカリ剤等を含有する第1剤と、酸化剤等を含有する第2剤とにより構成されている。これらの第1剤及び第2剤は使用時に混合され、その染毛混合物が毛髪に塗布されることにより、毛髪を所望とする色に染色することができる。
【0042】
酸化染料は、主要中間体とカプラーとに分類される。主要中間体としては、例えばパラフェニレンジアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−パラフェニレンジアミン、トルエン−2,5−ジアミン、p−アミノフェノール等の化合物及びこの化合物の塩が挙げられる。
【0043】
カプラーとしては、レゾルシン、ピロガロール、カテコール、m−アミノフェノール、m−フェニレンジアミン、o−アミノフェノール、2,4−ジアミノフェノール、1,2,4−ベンゼントリオール、トルエン−3,4−ジアミン、トルエン−2,4−ジアミン、ハイドロキノン、α−ナフトール、2,6−ジアミノピリジン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、5−アミノ−o−クレゾール、ジフェニルアミン、p−メチルアミノフェノール、フロログルシン、2,4−ジアミノフェノキシエタノール、没食子酸、タンニン酸、没食子酸エチル、没食子酸メチル、没食子酸プロピル、五倍子、1−メトキシ−2−アミノ−4−(2−ヒドロキシエチル)アミノベンゼン、5−(2−ヒドロキシエチルアミノ)−2−メチルフェノール等の化合物、及びこの化合物の塩が挙げられる。これらの酸化染料は、単独又は二種以上を組み合わせて用いられる。
【0044】
第1剤中の酸化染料の含有量は、好適な染毛力を得るという観点から、0.01〜15質量%が好ましく、0.1〜10質量%がより好ましい。
アルカリ剤は、第2剤中に含有される酸化剤の作用を促進することにより、毛髪に明度を付与するために配合される。アルカリ剤としては、例えば28%アンモニア水及びモノエタノールアミンの少なくとも一方が用いられる。
【0045】
第1剤中のアルカリ剤の含有量は、好適な染毛力を得るという観点から、0.1〜10質量%が好ましく、0.5〜8質量%がより好ましい。
第1剤のpHは、好ましくは8〜12、より好ましくは9〜11である。第1剤のpHが8未満では、酸化剤の作用を十分に促進することができないおそれがある。一方、pHが12を超えると、毛髪に損傷等の不具合が発生し易くなるおそれがある。
【0046】
第1剤には、その他の成分として上述した毛髪化粧料に記載の成分を適宜配合することもできる。その他の成分としては、水、pH調整剤、界面活性剤、油性成分等が挙げられる。例えば、水は各成分の溶媒又は分散媒として、第1剤を溶液、分散液又は乳化物とするために適量配合される。水の含有量は、第1剤及び第2剤の混合物中において、好ましくは50〜95質量%、より好ましくは70〜90質量%である。この含有量が50質量%未満では、水溶液、分散液又は乳化液を安定して形成することが困難となるおそれがある。一方、95質量%を超えて配合すると、混合物の均一性及び安定性を確保しにくくなる。また「医薬部外品原料規格」(1991年6月発行、薬事日報社)に収載されるものから選ばれる少なくとも一種を配合してもよい。この第1剤の剤型としては、水溶液状、分散液状、乳化物状、ゲル状、フォーム状、クリーム状等が挙げられる。
【0047】
第2剤に含有される酸化剤は、酸化染料を酸化重合させて発色させるとともに、毛髪に含まれるメラニンを脱色させるために配合される。酸化剤としては、例えば過酸化水素、過酸化尿素、過酸化メラミン、過炭酸ナトリウム、過炭酸カリウム、過ホウ酸ナトリウム、過ホウ酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化ナトリウム、過酸化カリウム、過酸化マグネシウム、過酸化バリウム、過酸化カルシウム、過酸化ストロンチウム、硫酸塩の過酸化水素付加物、リン酸塩の過酸化水素付加物、ピロリン酸塩の過酸化水素付加物等が挙げられる。これらの酸化剤は単独で配合してもよく、二種以上を組み合わせて配合してもよい。これらの酸化剤の中でも、メラニンの脱色力に優れることから、過酸化水素が好ましい。
【0048】
混合物中における酸化剤の含有量は、好ましくは0.1〜9質量%、より好ましくは1〜6質量%である。この含有量が0.1質量%未満の場合、酸化染料を十分に酸化重合させることができないおそれがある。一方、9質量%を超えると、毛髪が損傷し易くなるおそれがある。
【0049】
第2剤には、第1剤に記載のその他の成分を配合することができる。この第2剤の剤型は、水溶液状、分散液状、乳化物状、ゲル状、フォーム状、クリーム状等が挙げられる。
こうした第1剤及び第2剤を所定の割合で混合調製することによって混合物が得られる。第1剤と第2剤との混合割合は、好ましくは質量比で第1剤:第2剤=1:0.5〜1:5である。この混合割合よりも第1剤が多くなるか又は第2剤が多くなると、第1剤中及び第2剤中における各成分の含有量を設定しにくくなる。
【0050】
この混合物が塗布された毛髪では、酸化染料の酸化重合が進行することで、所望の色に染色される。所定時間が経過した毛髪には、プレーンリンス(水、温水等による毛髪のすすぎ)、シャンプー等による洗髪が施され、毛髪の染色処理が仕上げられる。こうした毛髪の内部において、酸化重合した酸化染料が留まることで、染色した状態が維持される。
【0051】
一方、酸性染毛料は、直接染料、有機溶剤、酸等が含有される。毛髪を染色する直接染料は、上記酸化染料とは異なり反応性がなく、それ自体で発色可能なものである。直接染料の具体例としては、ニトロ染料、酸性染料、塩基性染料(カチオン染料)、分散染料等が用いられる。
【0052】
こうして染色処理が施された毛髪に対して毛髪化粧料を適用するに際し、その毛髪は、乾いた状態でもよいし、水等によって濡れている状態でもよい。こうした毛髪に対して、毛髪化粧料はトリートメント、リンス等のヘアコンディショニング剤やヘアクリーム、ヘアワックス、ヘアムース等の整髪剤として塗布される。ヘアコンディショニング剤の場合には、毛髪に塗布された後に、水や温水で洗い流したり、洗い流さずに放置されたりして使用される。また、整髪剤の場合には、塗布された毛髪は洗い流さずに放置されることになる。なお、毛髪に対する毛髪化粧料の適用方法は、剤型等に応じて適宜選択される。すなわち、毛髪に対して直接噴霧してもよいし、手や塗布具に一度付着させて塗布してもよい。そして、毛髪に付着した毛髪化粧料を、手やブラシ等で毛髪全体に延ばすことにより、毛髪化粧料の成分を毛髪全体に馴染ませることができる。
【0053】
そして、毛髪化粧料が適用された毛髪の表面では、(A)成分及び(B)成分から構成される被膜が形成されるようになる。こうした被膜は、(A)成分のカチオン性により、染色処理により損傷を受けた毛髪に対して好適に吸着し、さらに(A)成分における親油性の炭素鎖と(B)成分におけるエーテル結合を有する鎖とによって適度に親水性を有する被膜が形成され、被膜が毛髪からの染料の流出を好適に抑制すると考えられる。加えて、(A)成分のイミダゾリン部分、親油性の炭素鎖、及び(B)成分のエーテル結合を有する鎖から構成される被膜は弾力性にも優れるため、被膜が形成された毛髪では、優れた弾力性を維持しつつ、補強されることになる。
【0054】
以上詳述した本実施形態によれば、次のような効果が発揮される。
(1) 毛髪化粧料に含有される(A)成分の炭素鎖と、(B)成分のエーテル結合を有する鎖とによって、毛髪からの染料の流出を効果的に抑制する被膜が形成されると推測される。こうした毛髪に対する作用により、毛髪の退色が抑制されることになる。こうした(A)成分と(B)成分とによる退色抑制効果は、従来技術からは予測できない相乗効果として発揮される。すなわち退色抑制効果は、(A)成分とポリアルキレングリコールのエステルとの組み合わせでは発揮されないことが確認されているため、(A)成分と(B)成分との組み合わせによって発揮される特有の効果である。さらに、(A)成分のイミダゾリン部分、親油性の炭素鎖、及び(B)成分のエーテル結合を有する鎖から構成される被膜は弾力性にも優れるため、こうした被膜が形成された毛髪では、優れた弾力性を維持しつつ、補強されることになる。すなわち、被膜によって毛髪が硬くなることで、毛髪の弾力性が失われるといった現象を抑制することができる。従って、染色処理された毛髪にしなやかさを付与しつつ、十分な退色抑制効果を得ることができる。
【0055】
(2) 平均重合度が50〜550のポリエチレングリコールを用いた場合には、より優れた退色抑制効果が得られるとともに、毛髪にしなやかさを一層十分に付与することができるようになる。
【0056】
(3) 毛髪化粧料が(C)成分及び(D)成分をさらに含んで形成される乳化物である場合には、毛髪の表面に対して配合成分がより馴染み易くなることで、より安定した被膜が形成されると推測され、その結果、毛髪のしなやかさの改善効果と退色抑制効果とをさらに高めることができる。また、(A)及び(B)成分以外の成分、例えばシリコーン類の配合効果も十分に発揮させることができる。
【0057】
(4) さらに、この毛髪化粧料にはシリコーン類が配合されることにより、シリコーン類のコンディショニング効果を十分に発揮させることができる。すなわち、(A)及び(B)成分から形成される被膜は、毛髪に対するシリコーン類の作用を阻害しにくいと推測され、その結果、シリコーン類に特有の効果が十分に発揮される。例えば、メチルポリシロキサンを配合した場合には、被膜の表面が滑り易くなることで、毛髪になめらかさが付与される。高重合メチルポリシロキサンを配合した場合には、高重合メチルポリシロキサンからさらに被膜が形成されることによって、毛髪につやが付与される。アミノ変性シリコーンを配合した場合には、毛髪にしっとり感が付与される。このように、シリコーン類を配合した場合であっても、(A)及び(B)成分による毛髪のしなやかさの改善効果と退色抑制効果は、シリコーン類に阻害されることなく発揮されることになる。すなわち、シリコーン類を配合することにより、染色処理された毛髪にしなやかさを付与しつつ、十分な退色抑制効果を得るとともに、毛髪につやと、なめらかでしっとりした指通りとを与えることが可能となる。
【0058】
(5) 酸化染毛剤にて染色処理された毛髪は、酸性染毛料にて染色された毛髪よりも損傷を受け易い。この毛髪化粧料は、酸化染毛剤にて染色処理された毛髪が損傷することで弾力性が低下した部分に対して、弾力性に優れる被膜を形成することで、その損傷部分からの染料の流出を抑制するとともに弾力性を回復させる作用に優れる。このため、この毛髪化粧料は酸化染毛剤にて染色された毛髪に適用した場合に、その効果が顕著に現れるようになる。
【0059】
次に、上記実施形態から把握できる技術的思想について以下に記載する。
(イ) シリコーン類をさらに含んで構成される請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の毛髪化粧料。この構成によれば、シリコーン類のコンディショニング効果を十分に発揮させることができる。
【0060】
(ロ) 前記(A)成分に対する(B)成分の配合量は、質量比(質量比=(B)/(A))で0.01〜100である請求項1から請求項3、及び上記(イ)のいずれか一項に記載の毛髪化粧料。この構成によれば、退色抑制効果についての相乗効果が一層得られる。
【0061】
(ハ) 酸化染毛剤にて染色処理された毛髪に適用される請求項1から請求項3、上記(イ)及び(ロ)のいずれか一項に記載の毛髪化粧料。この構成によれば、毛髪のしなやかさの改善効果と退色抑制効果とを顕著に得ることができる。
【実施例】
【0062】
次に、実施例及び比較例を挙げて前記実施形態をさらに具体的に説明する。
(染色処理)
下記の酸化染毛剤における第1剤と第2剤とを1:1の質量比で混合した混合物をヒト黒毛束(以下、毛束という)に塗布した後、20分間放置した。その後、混合物を温水で洗い流し、毛束を乾燥させることにより、染色処理が施された毛束を準備した。
<酸化染毛剤>
(第1剤) 質量%
パラフェニレンジアミン 0.2
レゾルシン 1.0
パラアミノフェノール 0.5
2,6−ジアミノピリジン 0.2
セチルアルコール 5.0
ポリエチレングリコール 5.0
ポリオキシエチレン(20)セチルエーテル 8.0
ラウリル硫酸ナトリウム 1.2
強アンモニア水 5.0
アスコルビン酸 0.5
精製水 残 量
(第2剤) 質量%
過酸化水素(35%水溶液) 17.0
精製水 残 量
(実施例1〜19、比較例1〜3)
表1及び表2に示される配合によって各例の毛髪化粧料を調製した。表中、各成分の配合量を示す数値の単位は、質量%である。また、表中のクオタニウム−91は、前記式(2)に示されるジベヘニルイミダゾリニウムメトサルフェートを示し、PEG、PEG/PPG及びPPGに付随する数値は、平均重合度を示す。但し、PEG−115Mの平均重合度は、115,000である。
【0063】
各例の毛髪化粧料を染毛処理が施された毛束に均一に塗布し3分間放置した。その毛束を温水ですすいだ後、ドライヤーで乾燥させることにより、毛髪化粧料によって処理した毛束を準備した。各例の毛髪化粧料で処理された毛束について、以下の評価を行った。これらの評価結果を表1及び表2に併記する。
<退色抑制効果>
24時間放置した毛束を50℃まで加温したラウリル硫酸ナトリウムの1質量%水溶液に15分間浸漬した後、十分に水洗、及び風乾させる洗浄処理を行った。この洗浄処理後の毛束の色と洗浄処理前の毛束の色とを25名のパネラーが目視にて比較し、以下の採点基準によって評価した。そしてパネラーの採点結果を合計し、その合計値を10で除した後、小数点以下を四捨五入した数値を評価点とした。
【0064】
採点基準:退色がほとんど確認されない(優:4点)、退色が確認されるが目立たない程度(良:3点)、退色が少ない(可:2点)、退色がやや目立つ(やや不良:1点)及び退色が目立つ(不良:0点)の5段階。
<毛髪のしなやかさ>
毛髪化粧料で処理する前の毛束と、毛髪化粧料で処理した毛束とを25名のパネラーが毛束に指を通した感触と毛髪の状態を目視にて比較し、以下の採点基準によって評価した。そしてパネラーの採点結果を合計し、その合計値を10で除した後、小数点以下を四捨五入した数値を評価点とした。
【0065】
採点基準:しなやかさの向上が顕著である(優:4点)、しなやかさの向上がはっきりと認められる(良:3点)、しなやかさの向上が認められる(可:2点)、しなやかさの向上がほとんど認められない(やや不良:1点)及びしなやかさの向上が認められない(不良:0点)の5段階。
<毛髪のつや>
毛髪化粧料で処理する前の毛束のつやと、毛髪化粧料で処理した毛束のつやとを25名のパネラーが目視にて比較し、以下の採点基準によって評価した。そしてパネラーの採点結果を合計し、その合計値を10で除した後、小数点以下を四捨五入した数値を評価点とした。
【0066】
採点基準:つやの向上が顕著である(優:4点)、つやの向上がはっきりと認められる(良:3点)、つやの向上が認められる(可:2点)、つやの向上がほとんど認められない(やや不良:1点)及びつやの向上が認められない(不良:0点)の5段階。
<毛髪のしっとり感>
毛髪化粧料で処理する前の毛束と、毛髪化粧料で処理した毛束とを25名のパネラーが毛束に指を通すことにより比較し、以下の採点基準によって評価した。そしてパネラーの採点結果を合計し、その合計値を10で除した後、小数点以下を四捨五入した数値を評価点とした。
【0067】
採点基準:しっとり感の向上が顕著である(優:4点)、しっとり感の向上がはっきりと認められる(良:3点)、しっとり感の向上が認められる(可:2点)、しっとり感の向上がほとんど認められない(やや不良:1点)及びしっとり感の向上が認められない(不良:0点)の5段階。
<毛髪のなめらかさ>
毛髪化粧料で処理する前の毛束のなめらかさと、毛髪化粧料で処理した毛束のなめらかさとを25名のパネラーが毛束に指を通すことにより比較し、以下の採点基準によって評価した。そしてパネラーの採点結果を合計し、その合計値を10で除した後、小数点以下を四捨五入した数値を評価点とした。
【0068】
採点基準:なめらかさの向上が顕著である(優:4点)、なめらかさの向上がはっきりと認められる(良:3点)、なめらかさの向上が認められる(可:2点)、なめらかさの向上がほとんど認められない(やや不良:1点)及びなめらかさの向上が認められない(不良:0点)の5段階。
【0069】
【表1】

【0070】
【表2】

表1及び表2に示すように、退色抑制効果及び毛髪のしなやかさについて、実施例1〜19の評価点は、7点以上を示していることから、各実施例の毛髪化粧料は染色処理された毛髪にしなやかさを付与しつつ、十分な退色抑制効果を得ることができることがわかる。これに対して、比較例1〜比較例3では、(A)成分及び(B)成分のいずれか一方が配合されていないため、退色抑制効果の評価点が1点となり、退色抑制効果が十分に発揮されないことがわかる。なお、比較例1では(B)成分の代わりに、ステアリン酸PEG−150を配合している。この結果から、ステアリン酸PEG−150のようなポリアルキレングリコールのエステルでは退色抑制効果が発揮されず、(A)成分とによって、十分な退色抑制効果が発揮されるのは(B)成分特有の結果であることがわかる。また、比較例1〜比較例3の評価点はいずれも1点であるのに対して、各実施例では評価点が7点であることから、(A)成分と(B)成分との相乗効果として、退色抑制効果が発揮されることがわかる。
【0071】
さらに、実施例1〜4では(B)成分として平均重合度が50〜550のポリエチレングリコールが配合されているため、退色抑制効果について特に優れる結果となっている。また、実施例10以外の実施例では、乳化物として調製されているため、配合成分の効果が十分に発揮されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
染色処理の施された毛髪に対して適用される毛髪化粧料であって、(A)下記一般式(1)に示されるイミダゾリン型第四級アンモニウム塩及び(B)ポリアルキレングリコールを含有することを特徴とする毛髪化粧料。
【化1】

(式中、Rは炭素数11〜23のアルキル基又はアルケニル基を示し、Xはハロゲン原子、メチルサルフェート残基又はエチルサルフェート残基を示す。)
【請求項2】
前記(B)ポリアルキレングリコールが平均重合度50〜550のポリエチレングリコールである請求項1に記載の毛髪化粧料。
【請求項3】
(C)高級アルコール及び(D)水をさらに含んで形成される乳化物である請求項1又は請求項2に記載の毛髪化粧料。

【公開番号】特開2007−63198(P2007−63198A)
【公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−252396(P2005−252396)
【出願日】平成17年8月31日(2005.8.31)
【出願人】(000113274)ホーユー株式会社 (278)
【Fターム(参考)】