説明

毛髪化粧料

【課題】毛髪のまとまり性に優れ、浮き毛や跳ね毛を抑え、髪が振動した場合にもヘアスタイルを保持することができ、べたつかず、滑らかで自然な感触の仕上がりが得られる毛髪化粧料の提供。
【解決手段】次の成分(A)、(B)及び(C)が相互溶解し、水分の含有量が5質量%以下である毛髪化粧料。
(A) ジメチコン及びジメチコノールから選ばれる数平均重合度1000〜20000の高重合シリコーン類 1〜20質量%
(B) 揮発性油性成分 73〜95質量%
(C) ポリ(N-アシルアルキレンイミン)変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、アミノ変性シリコーン及びアミノポリエーテル変性シリコーンから選ばれる変性シリコーン 0.005〜10質量%

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘアオイル等の毛髪化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、毛髪にまとまりを与える毛髪化粧料として、ヘアオイル、ヘアージェル、ヘアークリーム、ヘアーフォーム、ヘアーローションなどの様々な形態のものが知られている。このような毛髪化粧料の中でも、水の含有量が少なく、シリコーン油などを相互溶解させたものは、べたつきがなく、毛髪にまとまり性を付与し、自然な光沢や滑らかな感触を付与することが求められている。
【0003】
シリコーンを含む非水系の毛髪化粧料としては、高分子量シリコーン、有機シリコーン樹脂及び低沸点油を含有するもの(特許文献1)や、重合度が中程度の高分子量シリコーンと低分子量(揮発性)シリコーンを併用したもの(特許文献2,3)が提案されている。また、ポリ(N-アシルアルキレンイミン)変性シリコーンと高重合ジメチルポリシロキサンを含有する、主に高含水系の毛髪化粧料(特許文献4)も提案されている。しかし、これらの毛髪化粧料は、毛髪のまとまり性が十分ではなく、また手ぐしや風で髪が振動した場合にヘアスタイルが崩れてしまうという問題があった。
【0004】
【特許文献1】特開昭63-313713号公報;実施例1,4〜12
【特許文献2】特開2005-206467号公報
【特許文献3】特開2006-69981号公報
【特許文献4】特開平7-258040号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って本発明は、毛髪のまとまり性に優れ、浮き毛や跳ね毛を抑え、髪が振動した場合にもヘアスタイルを保持することができ、べたつかず、滑らかで自然な感触の仕上がりが得られる毛髪化粧料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、高重合シリコーン類、揮発性油性成分及び特定の変性シリコーンが相互溶解し、低含水率の毛髪化粧料が、上記課題を解決するものであることを見出した。
【0007】
本発明は、次の成分(A)、(B)及び(C)が相互溶解し、水分の含有量が5質量%以下である毛髪化粧料を提供するものである。
【0008】
(A) ジメチコン及びジメチコノールから選ばれる数平均重合度1000〜20000の高重合シリコーン類 1〜20質量%
(B) 揮発性油性成分 73〜95質量%
(C) ポリ(N-アシルアルキレンイミン)変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、アミノ変性シリコーン及びアミノポリエーテル変性シリコーンから選ばれる変性シリコーン 0.005〜10質量%
【発明の効果】
【0009】
本発明の毛髪化粧料は、毛髪のまとまり性に優れ、浮き毛や跳ね毛を抑え、髪が振動した場合にもヘアスタイルを保持することができ、べたつかず、滑らかで自然な感触の仕上がりが得られるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本明細書における「揮発性」とは、JIS K 0067に規定される乾燥減量試験第一法に従い、試料を規定の条件で測定したときの乾燥減量が95%以上であることをいう。また、「不揮発性」とは同様に測定したときの乾燥減量が50%以下であることをいう。
【0011】
ここで、「規定の条件での測定」とは、以下の測定を示す。
デシケーター中で十分乾燥させたシャーレ等に試料を量り取り、105±2℃に保たれた乾燥機(例えば、ウィンディオーブン WFO-SD 型,東京理化器械社)中で2時間放置する。その後、デシケーター中で室温になるまで30分以上放冷し、乾燥後の残分を測定する。
【0012】
乾燥減量(%)は、かくして得られる測定結果をもとに、以下の式で計算して求める。
【0013】
【数1】

【0014】
また、本明細書における「相互溶解」とは、分離することなく、均一に溶解した透明な状態をいう。
【0015】
〔成分(A) 高重合シリコーン類〕
本発明の毛髪化粧料は、成分(A)の高重合シリコーン類を含有する。高重合シリコーン類は、ジメチコン(ジメチルポリシロキサン)及びジメチコノール(ヒドロキシ末端基を有するジメチルポリシロキサン)から選ばれる。
【0016】
成分(A)の高重合シリコーン類の数平均重合度は、1000〜20000であるが、2000〜15000が好ましい。
【0017】
成分(A)に該当する高重合シリコーン類の市販品の具体例としては、SH200-1,000,000cs(東レ・ダウコーニング社;高重合ジメチコン)、TSF451-100MA(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社;高重合ジメチコン)、BY11-026(東レ・ダウコーニング社;高重合ジメチコンの低粘度シリコーンによる希釈溶液)、KF9008(信越化学工業社;高重合ジメチコンの環状シリコーンによる希釈溶液)、BY22-050A(東レ・ダウコーニング社;高重合ジメチコンのアニオンエマルション)、BY22-060(東レ・ダウコーニング社;高重合ジメチコンを低粘度シリコーンで希釈した溶液のカチオンエマルション)、BY22-020(東レ・ダウコーニング社;高重合ジメチコンを軽質流動イソパラフィンで希釈した溶液のカチオンエマルション)、KM904(信越化学工業社;高重合ジメチコンを低粘度シリコーンで希釈した溶液のカチオンエマルション)、DC1501 Fluid(東レ・ダウコーニング社;高重合ジメチコノールの環状シリコーンによる希釈溶液)、DC1503 Fluid(東レ・ダウコーニング社;高重合ジメチコノールの低粘度ジメチコンによる希釈溶液)、X-21-5849(信越化学工業社;高重合ジメチコノール)X-21-5666(信越化学工業社;高重合ジメチコノールの環状シリコーンによる希釈溶液)、X-21-5613(信越化学工業社;高重合ジメチコノールの低粘度ジメチコンによる希釈溶液)等が挙げられる。
【0018】
成分(A)の高重合シリコーン類は、2種以上を併用することもでき、またその含有量は、まとまり性を高め、しっとり感を得、カールを維持させると共に、べたつきを抑える観点から、本発明の毛髪化粧料中の1〜20質量%が好ましく、更には4〜14質量%、更には7〜12質量%が好ましい。
【0019】
〔成分(B) 揮発性油性成分〕
成分(B)の揮発性油性成分としては、低沸点鎖状シリコーン、環状シリコーン、炭素数6〜20のパラフィン系炭化水素等が挙げられる。ここで低沸点とは、沸点が1気圧において300℃以下、好ましくは280℃以下、更には260℃以下であることをいう。
【0020】
低沸点鎖状シリコーンとしては、以下の式(1)で表されるものが挙げられる。
【0021】
【化1】

【0022】
〔式中、aは0〜6の数を示す。〕
【0023】
低沸点鎖状シリコーンとしては、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、ドデカメチルペンタシロキサン、テトラデカメチルヘキサシロキサン、ヘキサデカメチルヘプタシロキサン等が挙げられ、ドデカメチルペンタシロキサンが好ましい。市販品としては、KF-96A-1.5cs、KF-96L-2cs(信越化学工業社)等が挙げられる。
【0024】
環状シリコーンとしては、以下の式(2)で表されるものが挙げられる。
【0025】
【化2】

【0026】
〔式中、bは3〜7の数を示す。〕
【0027】
環状シリコーンとしては、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、テトラデカメチルシクロヘプタシロキサン等が挙げられ、なかでもデカメチルシクロペンタシロキサンが好ましい。市販品としては、SH245(東レ・ダウコーニング社)等が挙げられる。
【0028】
炭素数6〜20のパラフィン系炭化水素としては、常温常圧環境下で液体であるものが好ましく、炭素数8〜18、更には炭素数10〜15のものが好ましい。炭素数6〜20のパラフィン系炭化水素としては、炭素数6〜20のイソパラフィン系炭化水素が好ましく、イソドデカン(マルカゾールR、丸善石油社)、軽質流動イソパラフィン(IPソルベント1620、出光興産社;パールリーム4、日本油脂社など)がより好ましい。
【0029】
これらのうち、環状シリコーン、炭素数6〜20のパラフィン系炭化水素が好ましく、なかでもデカメチルシクロペンタシロキサン、イソドデカンがより好ましい。
【0030】
成分(B)は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができ、その含有量は、成分(A)の高重合シリコーン類が毛髪表面に皮膜を形成しやすくなり、しっとりサラサラとした仕上がりで、まとまり性が向上し、べたつかない観点から、本発明の毛髪化粧料中の73〜95質量%が好ましく、更には76〜90質量%、更には79〜85質量%が好ましい。
【0031】
〔成分(C) 変性シリコーン〕
成分(C)の変性シリコーンは、ポリ(N-アシルアルキレンイミン)変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、アミノ変性シリコーン及びアミノポリエーテル変性シリコーンから選ばれる。
【0032】
ポリ(N-アシルアルキレンイミン)変性シリコーンとしては、下記一般式(3)
【0033】
【化3】

【0034】
〔式中、R1は水素原子、炭素数1〜22のアルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基又はアリール基を示し、cは2又は3の数を示す。〕
で表される繰り返し単位からなるポリ(N-アシルアルキレンイミン)のセグメントとオルガノポリシロキサンセグメントが、オルガノポリシロキサンセグメントのケイ素原子の少なくとも1個に、ヘテロ原子を含むアルキレン基を介して結合してなるものである。R1で示されるアルキル基としては炭素数1〜20のものが好ましく、更には炭素数1〜5、更には炭素数1又は2のものが好ましい。シクロアルキル基としては炭素数3〜6のものが挙げられ、アラルキル基としてはフェニルアルキル、ナフチルアルキル等が挙げられ、アリール基としてはフェニル、ナフチル、アルキル置換フェニル等が挙げられる。R1は、好ましくはメチル基又はエチル基である。
【0035】
ポリ(N-アシルアルキレンイミン)変性シリコーンは、オルガノポリシロキサンセグメントとポリ(N-アシルアルキレンイミン)セグメントとの質量比は98/2〜40/60であるが、98/2〜82/18であるのが好ましく、更には97/3〜90/10であるのが好ましい。また質量平均分子量は40,000〜500,000であるが、60,000〜300,000であるのが好ましく、更には80,000〜200,000であるのが好ましい。
【0036】
オルガノポリシロキサンセグメントとポリ(N-アシルアルキレンイミン)との結合において介在するヘテロ原子を含むアルキレン基としては、窒素原子、酸素原子及び/又はイオウ原子を1〜3個含む炭素数2〜20のアルキレン基が挙げられる。その具体例としては、
【0037】
【化4】

【0038】
〔式中、An-はアニオンを示す。〕
等が挙げられる。なかでも、窒素原子を含む炭素数2〜5のアルキレン基が好ましい。
【0039】
ポリ(N-アシルアルキレンイミン)変性シリコーンは、公知の方法により製造することができ、例えば特開平7-133352号公報に記載の方法に従って、下記一般式(4)
【0040】
【化5】

【0041】
〔式中、各R2はそれぞれ炭素数1〜22のアルキル基又はフェニル基を示し、e個のR3はそれぞれ下記式
【0042】
【化6】

【0043】
のいずれかで表される基を示し、R4及びR5はそれぞれ素数1〜22のアルキル基、フェニル基、又は上記式のいずれかで表される基を示し、dは100〜4000の整数を示し、eは1〜300の整数を示す。〕
で表されるオルガノポリシロキサンと下記一般式(3')
【0044】
【化7】

【0045】
〔式中、R1及びcは前記と同義である。〕
で表される環状イミノエーテルを開環重合して得られる末端反応性ポリ(N-アシルアルキレンイミン)とを反応させることにより製造される。
【0046】
ここで、環状イミノエーテル(3')の開環重合は、例えばLiebigs Ann. Chem., p996〜p1009(1974)に記載の方法に従って行うことができる。重合開始剤は、求電子反応性の強い化合物、例えばベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、硫酸等の強酸のメチル、エチル、3-プロペニル、ベンジルエステルなどを用いることができる。なかでも、トルエンスルホン酸アルキルエステル、硫酸ジアルキルエステル、トリフルオロメタンスルホン酸アルキルエステル等を好ましく用いることができる。環状イミノエーテル(3')として例えば2-置換-2-オキサゾリンを用いれば、ポリ(N-アシルエチレンイミン)(式(3)中、c=2に相当)が得られ、2-置換-ジヒドロ-2-オキサジンを用いれば、ポリ(N-アシルプロピレンイミン)(式(3)中、c=3に相当)が得られる。上記ポリ(N-アシルアルキレンイミン)の分子鎖の分子量は、好ましくは150〜50,000、より好ましくは500〜10,000である。
【0047】
上記ポリ(N-アシルアルキレンイミン)鎖とシリコーン鎖との連結方法には、カルボキシル基と水酸基との縮合によるエステルの形成反応;カルボキシル基とアミノ基との縮合によるアミドの形成反応;ハロゲン化アルキル基と1級、2級又は3級アミノ基とによる2級、3級又は4級アンモニウムの形成反応;Si−H基のビニル基への付加反応;エポキシ基とアミノ基とによるβ-ヒドロキシアミン形成反応など多くの手法を利用することができる。このうち、特開平2-276824号公報、特開平4-85334号公報、特開平4-85335号公報、特開平4-96933号公報等に開示されているように、環状イミノエーテルをカチオン開環重合して得られる末端反応性ポリ(N-アシルアルキレンイミン)に式(4)で表されるオルガノポリシロキサン、すなわち側鎖に前記置換基を有する変性オルガノポリシロキサンを反応させる方法が簡便かつ有効である。
【0048】
アミノ基を含有するオルガノポリシロキサンと、環状イミノエーテルのカチオン重合で得たポリ(N-アシルアルキレンイミン)の反応性末端との反応は、例えば以下のようにして行うことができる。開始剤を極性溶媒、好適にはアセトニトリル、バレロニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、クロロホルム、塩化メチレン、塩化エチレン、酢酸エチル、酢酸メチル等の単独溶媒、あるいは必要に応じて他の溶媒との混合溶媒に溶かし、40〜150℃、好適には60〜100℃に昇温する。そこに上記一般式(3')で表される環状イミノエーテルを一括投入、あるいは反応が激しい場合には滴下し、重合を行う。重合の進行はガスクロマトグラフィーなどの分析機器でモノマーである環状イミノエーテルの残存量を定量することにより追跡することができる。環状イミノエーテルが消費され重合が終了しても、生長末端の活性種は反応性を維持している。ポリマーを単離することなく、引き続き、このポリマー溶液と分子内にアミノ基を含有するオルガノポリシロキサンとを混合し、5〜100℃、好ましくは20〜60℃の条件で反応させる。混合割合は所望により適宜選ぶことができるが、オルガノポリシロキサン中のアミノ基1モルに対してポリ(N-アシルアルキレンイミン)0.1〜1.3モル当量の割合で反応させるのが好ましい以上の如き反応によって、ポリジメチルシロキサンにポリ(N-アシルアルキレンイミン)セグメントの付いたブロックコポリマー又はグラフトポリマーを得ることができる。
【0049】
ポリ(N-アシルアルキレンイミン)変性シリコーンとしては、ポリ(N-ホルミルエチレンイミン)オルガノシロキサン、ポリ(N-アセチルエチレンイミン)オルガノシロキサン、ポリ(N-プロピオニルエチレンイミン)オルガノシロキサン等が挙げられる。
【0050】
ポリエーテル変性シリコーンとしては、以下の式(5)で表される化合物が挙げられる。
【0051】
【化8】

【0052】
〔式中、R6はメチル基又は一部がフェニル基を示し、R7はメチル基又は水酸基を示し、R8は炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基又は水酸基を示し、fは1〜100の数を、gは1〜20の数を示し、その和は数平均重合度を示し、h及びiはそれぞれ0〜50の数を示す。〕
【0053】
一般式(5)において、fは20〜30の数が好ましく、gは2〜10の数が好ましく、h及びiはそれぞれ20〜30の数が好ましい。市販品としては、KF-6011、KF-6012、KF-6013、KF-6015、KF-6016、KF-6017、KF-6004、KF-6029等(信越化学工業社)、SH3771M、SH3772M、SH3773M、SH3775M、SH3749等(東レ・ダウコーニング社)、SILSOFTシリーズ、TSF4440、SF1188A等(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社)などが挙げられる。
【0054】
アミノ変性シリコーンとしては、以下の式(6)で表される化合物が挙げられる。
【0055】
【化9】

【0056】
(式中、各R9はそれぞれ水素原子、水酸基又はR12を示し、R10はR12、基−R11−(NHCH2CH2)nNH2、基OR12又は水酸基を示し、R11は炭素数1〜8の二価の炭化水素基を示し、R12は置換又は非置換の炭素数1〜20の一価炭化水素基を示し、j及びkの和は10〜1000の数平均重合度を示し、nは0〜3の数を示す)
【0057】
一般式(6)において、j及びkの和は、30〜1000の数、更には40〜800の数であるのが好ましい。市販品としては、KF-8004、KF-8015、KF-8678等(以上、信越化学工業社)、SF8452C、SS-3551、SS-3552等(以上、東レ・ダウコーニング社)、SILSOFT Aシリーズ(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社)などが挙げられる。
【0058】
アミノポリエーテル変性シリコーンとしては、としては、下記一般式(7)で表されるものが挙げられる。
【0059】
【化10】

【0060】
〔式中、pは2以上の数、qは1以上の数、tは2以上の数を示す。rは4以上の数を示す。sは0〜30の数を示す。〕
【0061】
一般式(7)において、pは2〜1,000の数、qは1〜50の数、rは4〜200の数、tは2〜100の数が、それぞれ好ましい。また、−O(C24O)r(C36O)s−の部分はブロック共重合及びランダム共重合のいずれであってもよい。このようなアミノポリエーテル変性シリコーンは、例えば特開平9−183854号公報に記載の方法で製造することができる。
【0062】
市販品としては、FZ-3789、シリコーンSS-3588(以上、東レ・ダウコーニング社)を挙げることができる。
【0063】
成分(C)の変性シリコーンのうち、ポリ(N-アシルアルキレンイミン)変性シリコーンが最も好ましい。成分(C)は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。成分(C)の含有量は、カールを維持し、ヘアスタイルを保持し、なめらかさを与える観点から、本発明の毛髪化粧料中の0.005〜10質量%が好ましく、更には0.01〜8質量%、更には0.05〜5質量%、更には0.1〜4質量%が好ましい。
【0064】
〔水〕
本発明の毛髪化粧料の水の含有量は、製品の安定性の点から、本発明の毛髪化粧料全量中の5質量%以下とするが、1質量%以下が好ましく、更には実質的に水を含有しない非水系であるのがより好ましい。
【0065】
毛髪化粧料の水分量は、JIS K 0068に規定されるカールフィッシャー測定法を用いて測定することができる。本明細書においては、装置としては、平沼産業社の微量水分測定装置(AQV-7)等を使用し、溶媒としてはメタノール−クロロホルムを使用した。この際、メタノール−クロロホルムの質量比を1:3にした上で、測定対象の毛髪化粧料を溶解させる。もし溶解しなかった場合は、メタノール−クロロホルムの質量比を2:1にする。それでも溶解しなかった場合は、メタノール100%にするものとする。
【0066】
〔低級アルコール〕
更に、本発明の毛髪化粧料には、毛髪への塗布性、べたつきのなさをより向上するため、低級アルコールを含有させることができる。低級アルコールとしては、炭素数1〜5の脂肪族アルコール、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、ブタノール等が好ましく、更にはエタノール、イソプロピルアルコールが好ましい。
【0067】
低級アルコールの含有量は、本発明の毛髪化粧料中の0.1〜30質量%、更には0.5〜20質量%、更には1〜10質量%が好ましい。
【0068】
〔高級アルコール、アルキルグリセリルエーテル〕
更に、本発明の毛髪化粧料には、製品の安定性、毛髪のまとまり性の向上のため、高級アルコール又はアルキルグリセリルエーテルを含有させることができる。
【0069】
高級アルコールとしては、炭素数14〜24、更には炭素数16〜22のものが好ましく、例えば、セチルアルコール、オレイルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、2-オクチルドデカノール、ミリスチルアルコール、ベヘニルアルコール、セトステアリルアルコール等が挙げられる。これらのうち、分岐鎖状のものが好ましい。
【0070】
アルキルグリセリルエーテルとしては、アルキル基が炭素数8〜20、更には14〜18のものが好ましく、また分岐鎖アルキル基であるものが好ましい。具体例としては、イソステアリルグリセリルエーテル、イソステアリルペンタエリスリルグリセリルエーテル等が挙げられる。
【0071】
高級アルコールの含有量は、本発明の毛髪化粧料中の1〜15質量%、更には2〜10質量、更には3〜8質量%が好ましい。
【0072】
アルキルグリセリルエーテルの含有量は、本発明の毛髪化粧料中の0.1〜5質量%、更には0.5〜4質量%、更には0.8〜3質量%が好ましい。
【0073】
更に、本発明の毛髪化粧料には、本発明の効果を損なわない範囲で、通常の毛髪化粧料に配合される各種添加剤、例えば、界面活性剤、紫外線吸収剤、保湿剤、毛髪保護剤、光沢付与剤、色素、香料等を適宜配合することができる。
【0074】
本発明の毛髪化粧料の粘度は、ポンプ吐出性、手の上での伸び、毛髪への塗布性、ベタツキのなさ等の点で、25℃においてB型粘度計によって、ローターNo.1(メーターが振り切れた場合はNo.2)を用いて30r/minで1分間回転させた後測定した値として、300mm2/s以下であるのが好ましい。
【0075】
本発明の毛髪化粧料は、各成分を均一に相互溶解したものである。本発明の毛髪化粧料は、種々の剤型、例えば、ヘアパック、ヘアミスト、コンディショニングムース、ヘアムース、ヘアスプレー、洗い流さないヘアトリートメント等とすることができる。なかでも、洗い流さないヘアトリートメント、ヘアオイル、ヘアスプレー等のヘアケア剤に使用する剤型として好適である。
【0076】
本発明の毛髪化粧料をヘアオイルや洗い流さないヘアトリートメントとする場合には、本発明の毛髪化粧料はポンプディスペンサーのようなディスペンサーに充填するのが好ましい。
【0077】
本発明の毛髪化粧料をヘアスプレー剤とする場合には、本発明の毛髪化粧料を公知のポンプスプレー容器やエアゾール容器に充填することとなるが、エアゾール容器に充填する場合に毛髪化粧料とともに使用される噴射剤としては、炭素数1〜5のアルカン類、ジメチルエーテル等の液化ガス;空気、窒素、二酸化炭素等の圧縮ガスが挙げられる。
【実施例】
【0078】
以下の合成例において、オルガノポリシロキサンセグメントの含有率とは核磁気共鳴法(1H-NMR)から求めた値であり、また最終生成物の質量平均分子量は計算値である。ポリ(N-プロピオニルエチレンイミン)の分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)より求めた、数平均分子量である。
【0079】
Column :K-804L及びK-804L(昭和電工社)
溶離液 :1mmol/LファーミンDM20(花王社)/クロロホルム
流量 :1.0mL/min
カラム温度:40℃
検出器 :RI
サンプル量:5mg/mL,100μL
ポリスチレン換算
【0080】
合成例1
硫酸ジエチル0.6g(0.004モル)と2-エチル-2-オキサゾリン3.6g(0.04モル)を脱水した酢酸エチル9gに溶解し、窒素雰囲気下8時間加熱還流し、末端反応性のポリ(N-プロピオニルエチレンイミン)を合成した。数平均分子量を、GPCにより測定すると、1200であった。ここに、側鎖一級アミノプロピル変性ポリジメチルシロキサン(質量平均分子量100000、アミン当量20000)100gの33%酢酸エチル溶液を一括して加え、10時間加熱還流した。反応混合物を減圧濃縮し、N-プロピオニルエチレンイミン−ジメチルシロキサン共重合体を淡黄色ゴム状固体(95g、収率95%)として得た。最終生成物のオルガノポリシロキサンセグメントの含有率は96質量%であり、質量平均分子量は104000であった。溶媒としてメタノールを使用した塩酸による中和滴定の結果、約30モル%のアミノ基が残存していることがわかった。
【0081】
合成例2
合成例1と同様の方法により、硫酸ジエチル0.8g(0.005モル)と2-エチル-2-オキサゾリン12.8g(0.14モル)、脱水した酢酸エチル29gから、数平均分子量2700のポリ(N-プロピオニルエチレンイミン)を得た。更に、側鎖一級アミノプロピル変性ポリジメチルシロキサン(質量平均分子量100000、アミン当量20000)100gを用いて、N-プロピオニルエチレンイミン−ジメチルシロキサン共重合体を淡黄色ゴム状固体(111g、収率98%)として得た。最終生成物のオルガノポリシロキサンセグメントの含有率は88質量%であり、質量平均分子量は114000であった。溶媒としてメタノールを使用した塩酸による中和滴定の結果、アミノ基は残存していないことがわかった。
【0082】
合成例3
合成例1と同様の方法により、硫酸ジエチル6.5g(0.042モル)と2-エチル-2-オキサゾリン34.4g(0.36モル)、脱水した酢酸エチル87gから、数平均分子量1300のポリ(N-プロピオニルエチレンイミン)を得た。更に、側鎖一級アミノプロピル変性ポリジメチルシロキサン(質量平均分子量32000、アミン当量2000)100gを用いて、N-プロピオニルエチレンイミン−ジメチルシロキサン共重合体を淡黄色ゴム状半固体(138g、収率98%)として得た。最終生成物のオルガノポリシロキサンセグメントの含有率は71質量%、質量平均分子量は46000であった。溶媒としてメタノールを使用した塩酸による中和滴定の結果、約22モル%のアミノ基が残存していることがわかった。
【0083】
実施例1〜9及び比較例1〜3
表1に示す組成の各成分を均一に溶解し、ヘアオイルを調製し、以下の方法に従って、「外観」、「塗布感」、「まとまり性」、「滑らかさ」、「しっとり感」、「カールの耐振動性」及び「べたつきのなさ」を評価した。
【0084】
〔評価方法〕
「外観」
調製直後の各ヘアオイルを直径3cmのガラス管に入れ、その外観を目視にて評価した。評価は、黒インクで内径1cm、太さ2mmの円を書いた紙を、観察する側から見てガラス管の向こう側にぴったりつけて置き、上記円の状態を観察し、下記の5段階で行った。
A:無色透明溶解
B:やや白いが透明溶解(円がはっきり見える)
C:かなり白いが透明溶解(不鮮明だが円が見える)
D:白濁溶解(円が全く見えない)
E:分離
【0085】
以下の評価は、専門パネラーにより、A:良い、B:やや良い、C:普通、D:やや悪い、E:悪いの5段階で行った。
【0086】
「塗布感」
長さ15cm、6gの毛束(カール周期約5cm、コーカシアン毛、KERLING社)を一般的なプレーンシャンプー、プレーンリンスで1回ずつ処理した後、タオルで水分を軽くふき取り、表1に示す組成の各成分0.4gを塗布した。毛束に塗布した際の感触を、表1の毛髪化粧料を塗布しない以外は同様な処理をした毛束と比較し、専門パネラーにより上記基準で評価した。
【0087】
「まとまり性」
前項と同様にして表1に示す組成の各成分0.4gを塗布した毛束を、左右に揺れる振動機(TE-HER TIME SHAKER SH-S6、ヒラサワ社、1秒間に2.4回、2cm幅で往復)に固定して振動させた状態で、15cm離した65℃のドライヤーで20分乾燥させた。その後手ぐし10回、リングコーム(デルリン社、ニューデルリングコームNo.1)を15回通し、髪をまとめた(以下「処理毛」とする)。一方で、表1の毛髪化粧料を塗布しない以外は同様な処理をして髪をまとめたものを作った(以下「未処理毛」とする)。髪のまとまり性について処理毛と未処理毛とを比較し、専門パネラーにより上記基準で目視評価した。
【0088】
「滑らかさ」
「まとまり性」の評価で用いたのと同様の処理毛と未処理毛について髪の滑らかさを比較し、専門パネラーにより上記基準で感触評価した。
【0089】
「しっとり感」
「まとまり性」の評価で用いたのと同様の処理毛と未処理毛について髪のしっとり感を比較し、専門パネラーにより上記基準で感触評価した。
【0090】
「べたつきのなさ」
「まとまり性」の評価で用いたのと同様の処理毛と未処理毛について髪のべたつきのなさを比較し、専門パネラーにより上記基準で目視評価した。
【0091】
「カールの耐振動性」
「まとまり性」の評価で用いたのと同様の処理毛と未処理毛についてカールの耐振動性を比較し、専門パネラーにより目視評価した。
評価は、A:未処理毛に比べ伸びない、B:未処理毛に比べやや伸びない、C:未処理毛と同等、D:未処理毛に比べやや伸びる、E:未処理毛に比べ伸びる、の5段階で行った。
【0092】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)、(B)及び(C)が相互溶解し、水分の含有量が5質量%以下である毛髪化粧料。
(A) ジメチコン及びジメチコノールから選ばれる数平均重合度1000〜20000の高重合シリコーン類 1〜20質量%
(B) 揮発性油性成分 73〜95質量%
(C) ポリ(N-アシルアルキレンイミン)変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、アミノ変性シリコーン及びアミノポリエーテル変性シリコーンから選ばれる変性シリコーン 0.005〜10質量%
【請求項2】
成分(C)が、オルガノポリシロキサンセグメントのケイ素原子の少なくとも1個に、ヘテロ原子を含むアルキレン基を介して、下記一般式(3)
【化1】

〔式中、R1は水素原子、炭素数1〜22のアルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基又はアリール基を示し、cは2又は3の数を示す。〕
で表される繰り返し単位からなるポリ(N-アシルアルキレンイミン)が結合してなり、該オルガノポリシロキサンセグメントと該ポリ(N-アシルアルキレンイミン)セグメントとの質量比が98/2〜40/60であり、質量平均分子量が40,000〜500,000であるポリ(N-アシルアルキレンイミン)変性シリコーンである請求項1記載の毛髪化粧料。
【請求項3】
更に、炭素数1〜5の脂肪族アルコールを含有する請求項1又は2記載の毛髪化粧料。
【請求項4】
更に、高級アルコールを含有する請求項1〜3のいずれかに記載の毛髪化粧料。
【請求項5】
更に、アルキルグリセリルエーテルを含有する請求項1〜4のいずれかに記載の毛髪化粧料。

【公開番号】特開2010−100543(P2010−100543A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−271548(P2008−271548)
【出願日】平成20年10月22日(2008.10.22)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】