説明

毛髪化粧料

【課題】 毛髪表面の疎水化能を有し、毛髪に良好な感触(滑らかさ、柔軟性、ベタツキ感の無さ)を与え、かつ毛髪(特にダメージ毛)の水分保持力を高めて潤い感を付与する効果に優れた毛髪化粧料を提供すること。
【解決手段】
(A)下記一般式(1)
【化1】


(式中、Rは炭素数7〜23の直鎖又は分岐したアルキル基、アルケニル基もしくはヒドロキシアルキル基を示し、Rは炭素数1〜6の直鎖又は分岐したアルキル基、アルケニル基もしくはヒドロキシアルキル基を示し、R〜Rは炭素数1〜5のアルキル基、ヒドロキシアルキル基、nは1〜5の整数、X-は一価のアニオンを示す。)で表されるカチオン界面活性剤を含有する毛髪化粧料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛髪化粧料に関し、さらに詳しくは毛髪表面の疎水化能を有し、毛髪に良好な感触(滑らかさ、柔軟性、ベタツキ感の無さ)を与え、かつ毛髪(特にダメージ毛)の水分保持力を高めて潤い感を付与する効果に優れた毛髪化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、カラーリングやパーマ等が日常化していることで、毛髪表面の疎水化膜が欠落し親水化を生じ、毛髪の滑らかさや柔軟性が不十分となり、パサツキ感を感じる消費者が増えており、毛髪のダメージを改善したいというニーズが大きくなっている。また、洗髪時においてもシャンプー使用時の摩擦等により、さらに毛髪に損傷を与えることがある。
【0003】
ダメージ毛髪の感触向上には毛髪の表面改質が有効であり、カチオン界面活性剤やシリコーン化合物等の使用が知られており、特許文献1にはヒドロキシラノリン脂肪酸の四級アンモニウム塩、非ヒドロキシラノリン脂肪酸の四級アンモニウム塩を配合してなる香粧品組成物、特許文献2には分岐脂肪酸の四級アンモニウム塩を必須成分とする香粧品組成物、特許文献3にはL−テアニン及び四級アンモニウムアルキル硫酸型カチオン性界面活性剤を含有してなる毛髪化粧料組成物が提案されている。しかしながらこれら提案では毛髪の補修効果には優れるものの毛髪の感触(滑らかさ、柔軟性、ベタツキ感の無さ)が不十分であり、また毛髪の水分保持力を高めて潤い感を付与する効果は満足できるものではなかった。
【0004】
また、第4級アンモニウム塩としてビスアミドカチオン(特許文献4)、ビスカチオン(特許文献5)を配合し、毛髪のコンディショニング効果(滑り性、サラサラ感)に優れた毛髪用組成物も提案されているが、これらの提案では、特に乾燥後の毛髪に対し、十分な感触(滑らかさ、柔軟性、ベタツキ感の無さ)を付与するとは言えず、また毛髪表面の修復効果について言及されていない。
【特許文献1】特開平9−143135号公報(1−14頁)
【特許文献2】特開平10−139620号公報(1−15頁)
【特許文献3】特開2006−104162号公報(1−13頁)
【特許文献4】特開2003−113045号公報(1−7頁)
【特許文献5】特開2006−199636号公報(1−9頁)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、毛髪化粧料に関し、さらに詳しくは毛髪表面の疎水化能を有し、毛髪に良好な感触(滑らかさ、柔軟性、ベタツキ感の無さ)を与え、かつ毛髪(特にダメージ毛)の水分保持力を高めて潤い感を付与する効果に優れた毛髪化粧料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、特定のカチオン界面活性剤を含有する毛髪化粧料が、毛髪表面の疎水化能を有し、毛髪に良好な感触(滑らかさ、柔軟性、ベタツキ感の無さ)を与え、かつ毛髪(特にダメージ毛)の水分保持力を高めて潤い感を付与することを見出し、本発明を完成させた。
【0007】
すなわち、本発明は(A)下記一般式(1)
【化1】

(式中、Rは炭素数7〜23の直鎖又は分岐したアルキル基、アルケニル基もしくはヒドロキシアルキル基を示し、Rは炭素数1〜6の直鎖又は分岐したアルキル基、アルケニル基もしくはヒドロキシアルキル基を示し、R〜Rは炭素数1〜5のアルキル基、ヒドロキシアルキル基、nは1〜5の整数、X-は一価のアニオンを示す。)で表されるカチオン界面活性剤を含有する毛髪化粧料に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下に、本発明の毛髪用組成物について詳述する。
本発明に使用される(A)成分のカチオン界面活性剤としては、上記一般式(1)においてRは炭素数7〜23の直鎖又は分岐したアルキル基、アルケニル基もしくはヒドロキシアルキル基を示し、好ましくは炭素数15〜21のアルキル基もしくはアルケニル基である。Rは炭素数1〜6の直鎖又は分岐したアルキル基、アルケニル基もしくはヒドロキシアルキル基を示し、好ましくは炭素数1〜4のアルキル基である。R〜Rは炭素数1〜5、好ましくは炭素数1〜3のアルキル基、ヒドロキシアルキル基、更に好ましくはメチル基を示し、X-としては、ハロゲン化物イオン、硫酸イオン等が挙げられ、特に塩化物イオンが好ましい。
【0009】
一般式(1)で表されるカチオン界面活性剤(目的物)は、例えば中間体のアミドアミン化合物を合成後、以下の反応式1〜4に従って製造することができる。
【0010】
<中間体:アミドアミンの合成>

<反応式1>

<反応式2>

<反応式3>

<反応式4>

(各反応式中のR〜R、Xは前記一般式(1)のものと同じ。)
【0011】
中間体のアミドアミンの合成としては、脂肪酸或いは脂肪酸低級アルキルエステルなどの誘導体とジアルキルアミノアルキルアミン(ジアミン)とを縮合反応させ、その後、未反応のジアミンを、減圧又は窒素ブローなどの方法で留去することにより、脂肪酸アミドアルキルジアルキルアミン(アミドアミン)が得られる。
【0012】
アミドアミンの具体的合成方法としては、脂肪酸或いはその誘導体1モルに対して、0.9〜2.0モルのジアミンを80〜220℃で滴下するなどの方法で添加し、反応が終了するまで同温で熟成する。反応が終了したら過剰のジアミンを同温で減圧留去しアミドアミンを得る。反応中は窒素等の不活性ガスを導入し、反応留出液を系外に速やかに留出させるのが好ましい。また脂肪酸誘導体を使用した場合は、ナトリウムメチラート等のアルカリ触媒を用いることにより、より速やかに反応を進行することが出来る。
【0013】
ここで用いられるジアミンとしては、ジメチルアミノエチルアミン、ジメチルアミノプロピルアミン、ジエチルアミノエチルアミン、ジエチルアミノプロピルアミンなどが挙げられ、これらの中でもジメチルアミノプロピルアミン、ジエチルアミノエチルアミンが特に好適に用いられる。ジアミンの反応モル比は1.0〜1.5モル、反応温度は150〜200℃がより好ましい。
【0014】
次に、目的のカチオン界面活性剤を得るため、反応式1、反応式2では水及び/又は低級アルコール又は多価アルコールなどの単独溶媒系或いは混合溶媒系(以下反応溶媒)中で3級アミン又はアミドアミンにエピハロヒドリンを反応させ、別に反応溶媒中で3級アミンを有機酸或いは無機酸などで中和した3級アミン塩又はアミドアミン塩(以下3級アミン中和塩又はアミドアミン中和塩)を滴下等の方法で添加し、目的のカチオン界面活性剤を得、また反応式3、反応式4では反応溶媒中3級アミン中和塩又はアミドアミン中和塩にエピハロヒドリンを反応させ、別に反応溶媒中で3級アミン又はアミドアミンを溶解させ滴下等の方法で添加し、目的のカチオン界面活性剤を得る。
【0015】
カチオン界面活性剤(A)の具体的合成方法としては、カチオン界面活性剤の有効成分が10〜90%となるように水/低級アルコール又は多価アルコール=10〜90/90〜10の混合溶媒中に、(反応式1)3級アミン又は(反応式2)アミドアミン、或いは(反応式3)3級アミン中和塩又は(反応式4)アミドアミン中和塩1モルを30〜95℃で溶解し、1〜2モルのエピハロヒドリンを滴下するなどの方法で添加し、反応が終了するまで同温で熟成する。次に、別に反応溶媒中で調整した(反応式1)アミドアミン中和塩又は(反応式2)3級アミン中和塩、或いは(反応式3)アミドアミン又は(反応式4)3級アミン1〜2モルを滴下するなどの方法で添加し、反応が終了するまで同温で熟成し、目的のカチオン界面活性剤を得ることができる。ここでエピハロヒドリン及び後に添加する(反応式1)アミドアミン中和塩又は(反応式2)3級アミン中和塩、或いは(反応式3)アミドアミン又は(反応式4)3級アミンは、(反応式1)3級アミン又は(反応式2)アミドアミン、或いは(反応式3)3級アミン中和塩又は(反応式4)アミドアミン中和塩1モルに対して1〜1.2モル、滴下・熟成温度50〜85℃、熟成時間5〜20時間がより好ましい。
【0016】
また、反応式1或いは反応式3において、R、R、Rがすべてメチル基の場合、市販の(反応式1)グリシジルトリメチルアンモニウムクロライド(GTA/四日市合成社製「カチオンマスターG」、阪本薬品社製「SY−GTA80」等)、或いは(反応式3)3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド(CTA/四日市合成社製「カチオンマスターC」等)を用いることもでき、(反応式1)アミドアミン中和塩、或いは(反応式3)アミドアミン1モルに(反応式1)GTA、或いは(反応式3)CTA1〜2モルを30〜95℃で滴下するなどの方法でも目的のカチオン界面活性剤を得ることもでき、GTA(反応式1)、或いはCTA(反応式3)は、アミドアミン中和塩(反応式1)、或いはアミドアミン(反応式3)に対して1〜1.2モル、滴下・熟成温度50〜85℃、熟成時間5〜20時間がより好ましい。
【0017】
また、反応溶媒として用いる低級アルコール又は多価アルコールとしては、エタノール、2−プロパノール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコールなどが挙げられ、これらの中でもエタノール、2−プロパノール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールが特に好適に用いられる。反応系中のカチオン界面活性剤の有効成分は40〜60%、水/反応溶媒の混合比は、水/反応溶媒=20〜80/80〜20がより好ましい。
【0018】
それぞれの方法で得られたカチオン界面活性剤はそのまま本発明品の配合成分として用いることもできるが、シリカゲル等を用いたカラム精製など通常の精製方法により精製し用いることもできる。本発明のカチオン界面活性剤は他の方法でも製造でき、製造方法としては特に限定はない。
【0019】
(A)成分の毛髪化粧料中の配合量は、0.01〜20質量%が好ましく、0.1〜10質量%がより好ましく、0.5〜5質量%が特に好ましい。(A)成分の配合量が少な過ぎると十分な毛髪表面の疎水化及び毛髪の感触(滑らかさ、柔軟性、水分保持力を高めての潤い感)が得られず、多すぎても毛髪にべとつきや重さがでる場合があり好ましくない。
【0020】
本発明の毛髪化粧料には、更に油性成分(B)を含有することができる。油性成分としては、高級アルコール、エステル油、シリコーン、炭化水素類等が挙げられ、これらから好適なものを適宜選択すればよい。
【0021】
高級アルコールとしては、直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を有する高級アルコール類で、好ましくは炭素数12〜26の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を有する高級アルコールで、具体的にはミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、セトステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、バチルアルコール、イソステアリルアルコール等が挙げられ、これらの中でもセチルアルコール、ステアリルアルコール、ベへニルアルコールが特に好適に用いられる。本発明では、これらの高級アルコールの中から1種又は2種以上を任意に用いることができる。
【0022】
高級アルコールの毛髪化粧料中の配合量は、1〜10重量%、特に3〜8重量%が好ましい。1重量%未満では、期待される効果が不十分となり、また10重量%を越えて配合しても使用後の感触が悪くなり好ましくない。
【0023】
エステル油としては、総炭素数8〜48のエステル油、具体的にはミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、オレイン酸オレイル等が挙げられ、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピルが特に好適に用いられるが、特にこれらに限定されるものではない。
【0024】
シリコーンとしては、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、アミノ変性シリコーン、脂肪酸変性ポリシロキサン、アルコール変性シリコーン、脂肪族アルコール変性ポリシロキサン、ポリエーテル変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、フッ素変性シリコーン、環状シリコーン、アルキル変性シリコーン等が挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。
【0025】
炭化水素類としては流動パラフィン、スクワラン、スクワレン、パラフィン、イソパラフィン、ワセリン等が挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。
【0026】
本発明の毛髪化粧料には、本発明の効果を損なわない範囲で、本発明のカチオン界面活性剤以外のカチオン界面活性剤を配合することができる。そのようなカチオン界面活性剤としては、例えば第4級アンモニウム塩、3級アミン塩等が挙げられ、具体的には、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化アラキルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム等の第4級アンモニウム塩;パルミタミドプロピルジメチルアミン、ステアラミドプロピルジメチルアミン、アラキナミドプロピルジメチルアミン、ベヘナミドプロピルジメチルアミン、ステアラミドエチルジエチルアミン、アラキナミドエチルジエチルアミン、ベヘナミドエチルジエチルアミン等のアミドアミンの有機酸塩等が挙げられる。
【0027】
本発明の毛髪化粧料には、毛髪補修成分を配合することもできる。そのような成分としては、例えばアミノ酸又はアミノ酸誘導体、ビタミン類、スフィンゴシン類、セラミド類等が挙げられ、具体的には、アルギニン、リジン、ヒスチジン、プロリン、システイン、メチオニン、セリン、スレオニン、チロシン、グルタミン、イソロイシン等のアミノ酸;トリメチルグリシン、アシル化アミノ酸、アシルアルキルアミノ酸、ジペプチド及びトリペプチド等のペプチド類等のアミノ酸誘導体;酢酸トコフェロール、アスコルビン酸、ビタミンB1、ビタミンB5、ビタミンD、ビタミンA、ニコチン酸アミド、パンテノール、パントテニルエチルエーテル等のビタミン類;スフィンゴミエリン、セレブロシド、ガングリオシド等のスフィンゴシン類;セラミド1、セラミド2、セラミド3、セラミド4、セラミド5、セラミド6等の天然セラミド及び化学合成により製造される擬似セラミド等のセラミド等が挙げられる。
【0028】
本発明の毛髪化粧料には更に上記油性成分以外にエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、グリセリン等の多価アルコール、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、トリオクタン酸グリセリル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等の非イオン界面活性剤、ツバキ油、オリーブ油、アボガド油、ホホバ油等の動植物油脂類等、さらに化粧料、医薬品などに通常使用される界面活性剤、薬効剤、抗炎症剤、殺菌剤、防腐剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、有機および無機粉体、粘度調整剤、色素などを必要に応じて配合することができる。また、発明の効果を損なわない範囲で固形油分、半固形油分を加えることができる。具体的には、化粧料などで通常使用されるものでよく、使用目的や要求機能などにより適宜選択され、例えば、保湿剤、多糖類カチオン化セルロース、カチオン化グアガム、ジアリルジメチルアンモニウム系高分子等のカチオン性ポリマー、香料、pH調整剤等などが挙げられる。
【0029】
本発明の毛髪化粧料は、毛髪に使用する任意の組成物に適用可能であり、シャンプー等の毛髪洗浄剤、ヘアリンス、ヘアコンディショナー、ヘアトリートメント、ヘアパック、ヘアスプレー、スタイリング剤等の毛髪処理剤等が挙げられ、使用形態も毛髪に塗布し全体になじませた後すすぎ流すものや、洗い流さないもの等いずれも含まれるが、本発明の毛髪用組成物は塗布後すすぎ流して使用するヘアリンス、ヘアコンディショナー、ヘアトリートメントに特に好適である。
【実施例】
【0030】
次に、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。なお、表1に本明細書記載の方法で合成したカチオン界面活性剤1〜6を示し、比較に用いたカチオン界面活性剤1〜3を表2に示した。また、常法により実施例1〜9及び比較例1〜6の毛髪化粧料を調整した。毛髪化粧料を塗布した場合の効果の測定は、毛髪の水分測定(試験方法1)より毛髪の水分保持力向上の有無を確認し、毛髪表面の接触角測定(試験方法2)より毛髪の疎水化能向上の有無を確認し損傷修復効果の指標とした。また官能評価(試験方法3)より滑らかさ、柔軟性、ベタツキ感の無さ、潤い感を評価し、結果を表3〜4に示した。含有量は質量%である。
【0031】
【表1】

【0032】
【表2】

【0033】
本実施例中で用いた試験方法は下記の通りである。
【0034】
試験方法1(毛髪の水分測定)
<前処理>
10%LES水溶液で洗浄した市販のブリーチ毛髪(1g)に調整した毛髪化粧料(0.1g)を塗布し、流水ですすいだ後、一晩乾燥(20℃、40%RH)させた毛髪を用い試験を行った。
<水分測定>
水分測定は京都電子工業製水分蒸発装置付カールフィッシャー水分測定器(KF装置:MKL−510N、水分気化装置:ADP−511S)で毛髪の水分量を測定した。なお、測定結果は未処理時の毛髪の水分量を1とした場合の相対値を示し、数値が大きいほど水分量が多いことを示す。
【0035】
試験方法2(接触角測定)
<前処理>
試験方法1(毛髪の水分測定)と同様の処理を行った毛髪を使用した。
<接触角測定>
接触角測定はマツボー製携帯式接触角計(PG−3)を用い、処理した毛髪に2μlの水滴を滴下し接触角を測定した。未処理時のブリーチ毛は94°、健常毛は156°であった。判定基準は下記の通りである。
◎:接触角が150°以上
○:接触角が135以上〜150°未満
△:接触角が120以上〜135°未満
×:接触角が120°未満
【0036】
試験方法3(官能評価)
<前処理>
10%LES水溶液で洗浄した市販のブリーチ毛髪(10g)に調整した毛髪化粧料(1g)を塗布し、流水ですすいだ後、ドライヤーで十分に乾燥させた毛髪を用い試験を行った。
<官能試験>
20名の専門パネラーにより「滑らかさ」、「柔軟性」、「ベタツキ感の無さ」、「潤い感」の評価を官能的に評価した。判定基準は下記の通りである。
◎:良いと答えた試験対象者が16人以上の場合
○:良いと答えた試験対象者が11〜15人の場合
△:良いと答えた試験対象者が6〜10人の場合
×:良いと答えた試験対象者が5人以下の場合

【0037】
【表3】

【0038】
【表4】

【0039】
実施例1〜9及び比較例1〜6より明らかなように、本発明の毛髪化粧料は毛髪表面の疎水化能及び水分保持力の向上効果を有し、毛髪に良好な感触(滑らかさ、柔軟性、ベタツキ感の無さ、潤い感)を付与する効果に優れた性能を示した。
【0040】
上記記載のごとく、本発明の毛髪化粧料は毛髪表面の疎水化能を有し、毛髪に良好な感触(滑らかさ、柔軟性、ベタツキ感の無さ)を与え、かつ毛髪(特にダメージ毛)の水分保持力を高めて潤い感を与えることは明らかである。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)下記一般式(1)
【化1】

(式中、Rは炭素数7〜23の直鎖又は分岐したアルキル基、アルケニル基もしくはヒドロキシアルキル基を示し、Rは炭素数1〜6の直鎖又は分岐したアルキル基、アルケニル基もしくはヒドロキシアルキル基を示し、R〜Rは炭素数1〜5のアルキル基、ヒドロキシアルキル基、nは1〜5の整数、X-は一価のアニオンを示す。)で表されるカチオン界面活性剤を含有する毛髪化粧料。
【請求項2】
更に、(B)油性成分を含有する請求項1記載の毛髪化粧料。
【請求項3】
油性成分(B)が高級アルコール、シリコーン及び/又はシリコーン誘導体、エステル油から選ばれる1種又は2種以上である請求項2記載の毛髪化粧料。

【公開番号】特開2012−77023(P2012−77023A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−222684(P2010−222684)
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(000221797)東邦化学工業株式会社 (188)
【Fターム(参考)】