説明

毛髪形状制御剤第1剤

【課題】髪を還元する時間、毛髪への塗布量、頭髪の損傷状態に拠らず均一な毛髪形状制御効果を得ることの可能な毛髪形状制御剤第1剤を提供すること。
【解決手段】次の成分(A)及び(B):
(A)チオール基を有する毛髪還元性物質
(B)一般式(1)で表されるα,ω−ジカルボン酸又はその塩


〔式中、R1は炭素数3〜8のアルキレン基を示す。〕
を含有し、かつチオール基が解離状態にある成分(A)の含有量(a質量%)に対する成分(B)の含有量(b質量%)の比b/aが5〜25の範囲である毛髪形状制御剤第1剤組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛髪形状制御剤第1剤に関する。
【背景技術】
【0002】
毛髪を長期間に亘り所望の形状にセットするには、ウェーブパーマ処理あるいはストレートパーマ処理が広く行われており、いずれの処理においても毛髪形状制御剤として還元性物質を含有する毛髪形状制御剤第1剤と、酸化剤を含む毛髪形状制御剤第2剤が用いられている。この毛髪形状制御剤を用いたパーマ処理においては、毛髪形状制御剤第1剤中の毛髪還元性物質によって毛髪に内在するシスチン結合を切断し、シスチン結合の切断によって軟化した毛髪を所望の形状に整えた後、毛髪形状制御剤第2剤中の酸化剤によって酸化的にシスチン結合を再形成させることにより所望の形状に毛髪が固定される。
【0003】
このような原理に基づく毛髪形状制御処理では、特に毛髪形状制御剤第1剤を用いて頭髪を還元する時間、頭髪への毛髪形状制御剤第1剤の塗布量、頭髪の損傷状態に起因して毛髪形状制御剤第1剤の頭髪への還元作用が変動するため、それが毛髪形状制御効果の不均一さを発生させる原因となっている。
【0004】
このような課題を解決するため、例えば、毛髪形状制御剤第1剤の頭髪への還元作用を頭髪の損傷状態に関わらず均一化する技術として、毛髪還元性物質としてメルカプトカルボン酸エステルを含まず、pHが7〜7.5であるパーマネント加工用薬剤(特許文献1)、ポリ塩化ジメチルメチレンピペリジウムを含有する毛髪形状制御剤第1剤と、ポリオキシエチレンアルキル(12〜15)エーテルリン酸を含有する毛髪形状制御剤第2剤からなるパーマネントウェーブ用組成物(特許文献2)、特定のモノアルキルリン酸エステル又はその塩と、特定のアルコールと、還元剤又は酸化剤とを含有するパーマネントウェーブ剤組成物(特許文献3)、植物油脂及び/又は植物性ロウ類と、トリメチルグリシンと、特定のタンパク質加水分解物及び/又はその誘導体を含有し、pHが2〜7であるパーマネントウェーブ用前処理剤組成物(特許文献4)などが提案されている。
【0005】
しかし、これら技術をもってしても、実際の毛髪処理においては毛髪形状制御剤の使用量や処理時間によっては毛髪損傷に至りかねず、損傷を抑制しつつ十分な毛髪制御効果を得るには、施術者の経験に頼るところが多いのが実情である。
【0006】
【特許文献1】特開平07-002635号公報
【特許文献2】特開2003-113050号公報
【特許文献3】特開平05-320030号公報
【特許文献4】特開2001-010936号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、本発明は、毛髪を還元する時間、毛髪への塗布量、頭髪の損傷状態に拠らず均一な毛髪形状制御効果を得ることの可能な毛髪形状制御剤第1剤、及びそれを用いた毛髪形状制御方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、次の成分(A)及び(B):
(A)チオール基を有する毛髪還元性物質
(B)一般式(1)で表されるα,ω−ジカルボン酸又はその塩
を含有し、かつチオール基が解離状態にある成分(A)の含有量(a質量%)に対する成分(B)の含有量(b質量%)の比b/aが5〜25の範囲である毛髪形状制御剤第1剤組成物を提供するものである。
【0009】
【化1】

【0010】
〔式中、R1は炭素数3〜8のアルキレン基を示す。〕
【0011】
本発明はまた、上記した毛髪形状制御剤第1剤を頭髪の全部又は一部に適用する毛髪形状制御方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明の毛髪形状制御第1剤は、毛髪を還元する時間、毛髪への塗布量、頭髪の損傷状態に拠らず均一な毛髪形状制御効果を得ることが可能である。したがって、施術者の経験の有無にかかわらず所望の形状を毛髪に簡便に付与することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
成分(A)のチオール基を有する毛髪還元性物質としては、毛髪の構造タンパク質であるケラチンに対し還元作用を有し、かつチオール基を有する化合物であればいずれでもよく、例えばチオグリコール酸若しくはその塩、チオグリコール酸誘導体若しくはその塩、システイン若しくはその塩、システイン誘導体若しくはその塩、システアミン若しくはその塩、チオ乳酸若しくはその塩、下記一般式(2)
【0014】
【化2】

【0015】
〔式中、R2は水素原子、炭素数1〜4の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基又はRa−O−Rb(Raは炭素数1〜4の直鎖又は分岐鎖のアルキル基、Rbはメチレン基又は炭素数2〜4の直鎖若しくは分岐のアルキレン基)を示す。〕
で表されるチオグリセロール(R2が水素原子の場合)若しくはチオグリセリルアルキルエーテル若しくはそれらの塩又は下記一般式(3)
【0016】
【化3】

【0017】
〔式中、pは0〜5の整数を示し、qは0〜3の整数を示し、rは2〜5の整数を示し、pとqとが同時に0であることはない〕
で表されるメルカプトアルキルアミド若しくはその塩などが挙げられる。これらは、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0018】
チオグリコール酸誘導体としては、例えば、チオグリコール酸グリセリルエステルが挙げられ、またシステイン誘導体としては、例えば、N-アセチルシステイン、グルタチオン(γ-L−グルタミル-L−システニル-グリシン)が挙げられる。
【0019】
これら毛髪還元性物質のうち、好適なものとしては、チオグリコール酸又はそのアンモニウム塩、モノエタノールアミン塩若しくはナトリウム塩;L-システイン、D-システイン、DL-システイン等のシステイン類又はその塩酸塩;N-アセチルシステイン、グルタチオン等のシステイン誘導体;システアミン又はその塩酸塩;チオ乳酸又はそのアンモニウム塩若しくはモノエタノールアミン塩;チオグリセロール;エトキシヒドロキシプロパンチオール、エトキシエトキシヒドロキシプロパンチオール、メトキシエトキシヒドロキシプロパンチオール、イソプロポキシエトキシヒドロキシプロパンチオール等のチオグリセリルアルキルエーテルなどが挙げられる。
【0020】
成分(A)の毛髪還元性物質の合計含有量は、毛髪形状制御効果、頭皮への刺激低減の点から、毛髪形状制御剤第1剤中の0.1〜15質量%、更に0.25〜10質量%、特に0.5〜8.0質量%が好ましい。
【0021】
成分(B)のα,ω−ジカルボン酸としては、前記一般式(1)で表されるものである。一般式(1)中、R1で表されるアルキレン基は炭素数3〜8であり、特に炭素数3〜5のアルキレン基が好ましく、例えばトリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基などが挙げられる。α,ω−ジカルボン酸として、具体的にはグルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸を挙げることができ、毛髪への損傷(過収縮の発生)を抑制する効果が高いことからグルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸が好ましく、アジピン酸が特に好ましい。
【0022】
成分(B)のα,ω−ジカルボン酸は、塩を形成してもよい。塩としては、例えば、アンモニウム塩、アルカノールアミン塩(例えば、モノエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩)、アルカリ金属塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩)などが挙げられる。
【0023】
成分(B)のα,ω−ジカルボン酸は、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができ、その合計含有量は、毛髪形状制御効果の点から、毛髪形状制御剤第1剤中の0.1〜10質量%、更に0.2〜8質量%、特に0.5〜6質量%であることが好ましい。
【0024】
本発明においては、毛髪形状制御効果の均一性の観点から、チオール基が解離状態にある成分(A)の含有量(a質量%)に対する成分(B)の含有量(b質量%)の比b/aを5〜25とするが、処理後の髪の感触、毛髪形状制御効果の持続性の点から、5〜22、特に7〜16の範囲が好ましい。
【0025】
ここで、チオール基が解離状態にある成分(A)の含有量aは、下記式(I)により求めることができる。
【0026】
【数1】

【0027】
〔式(I)中、Tは毛髪形状制御剤第1剤組成物中の成分(A)の含有量(質量%)を示し、rは式(II)
【0028】
【数2】

【0029】
によって定義される値である。式(II)中、pH1は毛髪形状制御剤第1剤のpHを示し、pKSHは成分(A)のチオール基の解離定数を示す。〕
【0030】
すなわち、解離チオール基を有する成分(A)の含有量a(質量%)は、毛髪形状制御剤第1剤の毛髪ケラチンへの作用に基づいて、公知あるいは公知の方法を用いて求めた解離定数pKSH、毛髪形状制御剤第1剤のpH及び成分(A)の全含有量T(質量%)から求めることができる。
【0031】
成分(A)を用いる毛髪形状制御剤第1剤の毛髪ケラチンへの作用は、THE SCIENCE OF HAIR CARE, C. Bouillon and J. Wilkinson Eds., pp206-209, Taylor & Francis Group, LLC, Boca Raton (2005)によると、式(4)に示されるように、成分(A)のうち、チオール基が解離している状態にある毛髪還元性物質のみが毛髪ケラチンのジスルフィド結合を切断することにあると理解される。
【0032】
【化4】

【0033】
〔式中、Kは毛髪ケラチン中のタンパク質主鎖部分を表し、R-S-はチオール基が解離状態にある成分(A)を表す。〕
【0034】
一方、成分(A)の平衡定数KSHは、式(III)によって定義され、解離定数はpKSHで定義される。
【0035】
【数3】

【0036】
この式(III)の辺々の対数をとると、式(IV)に表される。
【0037】
【数4】

【0038】
またpH1=−log[H+]及びpKSH=−logKSHであることから、式(IV)は式(V)として表すことができる。
【0039】
【数5】

【0040】
ここで、rとして式(II)のような量を定義すると、式(V)は式(VI)のように変形される。
【0041】
【数6】

【0042】
【数7】

【0043】
また、T=[R-SH]+[R-S-]であるから、式(VI)は式(VII)のように変形される。
【0044】
【数8】

【0045】
[R-S-]について整理すると、式(VIII)が得られる。
【0046】
【数9】

【0047】
[R-S-]はすなわちaであるから、よって式(I)が導かれる。
【0048】
また、本発明の毛髪形状制御剤第1剤は、成分(C)としてジスルフィド化合物を含有するのが好ましい。成分(C)としては、毛髪に対する成分(A)の還元反応に対して抑制作用を有するものであればいずれでもよく、例えばジチオジグリコ−ル酸ジアンモニウム、ジチオジグリコ−ル酸モノエタノールアミン、シスチン等が挙げられ、中でも毛髪形状制御剤第1剤による還元作用の均一化の点から、特にジチオジグリコ−ル酸ジアンモニウムが好ましい。
成分(C)のジスルフィド化合物は、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができ、その合計含有量は、毛髪形状制御剤第1剤中に0.01〜10質量%であるのが好ましく、頭皮への刺激低減の点から、特に0.2〜5質量%配合するのが好ましい。
【0049】
本発明の毛髪形状制御剤第1剤には、上記成分の他に、通常化粧品原料として用いられる他の成分を加えることができる。
このような任意成分の配合目的としては、乳化、可溶化、浸透促進、感触向上、毛髪補修、パール化、抗炎症、防腐、金属封鎖、安定化、酸化防止、紫外線吸収、保湿、製品着色、賦香等を挙げることができる。具体的な任意成分としては、カチオン活性剤、ノニオン活性剤、高級アルコール、カチオン性ポリマー、シリコーン類(例えばシリコーンオイル、カチオン性シリコーン、シリコーンガム、シリコーン樹脂)、有機コンディショニングオイル類(例えば、炭化水素類、ポリオレフィン類、動植物油脂、高級脂肪酸類、脂肪酸エステル類、脂肪族アミド類、ポリアルキレングリコール類)、ロウ類、エデト酸、エチドロン酸、タンパク質加水分解物、タンパク質誘導体、アミノ酸類、植物抽出物、ムコ多糖類、ビタミン類、色素、香料等が挙げられる。
【0050】
本発明の毛髪形状制御剤第1剤は、pH3〜11、更にpH5〜10、更にpH7〜9.5、特にpH8〜9.5の範囲で調整すると適切なパーマ効果が得られ好ましい。pHを調整する際、pH調整剤としてアルカリ剤、無機酸、成分(B)以外の有機酸を使用することができる。このようなpH調整剤としては、仕上がりのウェーブの美的観点から、酸としては、特にα−ヒドロキシ酸としてグリコール酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、マンデル酸を用いることが好ましく、その含有量は、pH調整能、頭皮への刺激臭低減の点から、毛髪形状制御剤第1剤中の0.01〜3質量%、更に0.05〜2.5質量%、特に0.1〜2質量%が好ましい。一方、アルカリ剤としては、アルカノールアミン(例えば、アミノメチルプロパノール、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、モノエタノールアミン)、アルカリ金属の水酸化物、(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム)、L−アルギニン、アンモニア、炭酸グアニジンを用いることが好ましく、中でも毛髪形状制御効果の点から、特にL−アルギニン、アンモニア、モノエタノールアミン、水酸化ナトリウムが好ましい。アルカリ剤の含有量は、pH調整能、皮膚への刺激低減の点から、毛髪形状制御剤第1剤中の0.05〜8質量%、更に0.1〜6質量%、特に0.2〜4質量%が好ましい。
【0051】
本発明の毛髪形状制御剤第1剤は、水を媒体とし、溶液状、ジェル状、クリーム状、泡状のいずれの剤型とすることができる。
本発明の毛髪形状制御剤第1剤は、毛髪形状制御剤の第1剤として、ウェーブパーマ、ストレートパーマなどの従来のパーマと同様に使用することが可能である。
【0052】
本発明の毛髪形状制御剤第1剤は、頭髪の全部又は一部に塗布して毛髪と還元反応させ、洗い流して用いる。
本発明の毛髪形状制御剤第1剤は、頭髪の全部又は一部に塗布する際に、毛髪全長に亘って塗布しても、根元側あるいは毛先側の一部に塗布してもよく、また手を用いて塗布しても、塗布具を用いて塗布してもよい。
【0053】
本発明の毛髪形状制御剤第1剤の塗布量は、毛髪損傷抑制の点から、処理する毛髪に対して0.1〜100質量倍、更に0.2〜20質量倍、特に0.5〜10質量倍であるのが好ましい。
本発明の毛髪形状制御剤第1剤は、所望の頭髪の全部又は一部に塗布完了後、毛髪損傷抑制の点から、1〜120分、更に2〜90分、特に5〜60分の範囲で適宜調節し用いることが好ましい。
【0054】
本発明の毛髪形状制御剤第1剤は、塗布中に加温することもできる。加温する場合には、毛髪形状制御効果、毛髪損傷抑制の点から、35〜60℃であることが好ましい。
【0055】
本発明の毛髪形状制御剤第1剤を洗い流すには、水洗のみでもよく、酸性処理液を併用してもよい。更に、通常毛髪保護を目的に行われるコンディショニング処理及び/又はトリートメント処理等を併用することも毛髪損傷をより低減できるので、好ましい。
【0056】
本発明の毛髪形状制御剤第1剤を用いた毛髪形状制御処理において、毛髪に形状を付与する方法としては、本発明の毛髪形状制御剤第1剤の塗布前、塗布中、塗布後、塗布後すすぎ流した状態のうちのいずれかにおいて、毛髪変形用のロッド(加温ロッドを含む)、高温整髪用アイロン及びコームから選択される手段により行うことができる。但し、高温整髪用アイロンを使用する場合には、毛髪を事前に乾燥させておくことが好ましい。
【0057】
本発明の毛髪形状制御剤第1剤に引き続いて使用する第2剤は、酸化剤を含有する。酸化剤としては、臭素酸塩、過ホウ素酸塩、過酸化水素等が挙げられ、臭素酸塩及び過ホウ素酸塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩が挙げられる。酸化剤の含有量は、過酸化水素の場合、縮毛矯正効果及び毛髪損傷防止の観点から、第2剤中に0.5〜3質量%、特に0.75〜2.5質量%が好ましい。また、通常の第2剤に用いられている成分や化粧品分野で用いられる成分を、目的に応じて加えることができる。その処理時の放置時間は、1〜30分の間で適宜調整される。更に、本発明の第1剤や酸化剤を含有する第2剤以外に、別途毛髪保護成分等を含有する処理剤を併用することもできる。
【実施例】
【0058】
実施例1〜4及び比較例1〜2
表1に示す毛髪形状制御剤第1剤と、表2に示す毛髪制御剤第2剤をそれぞれ調製し、以下に示す毛髪形状制御効果の評価を行った。
【0059】
【表1】

【0060】
【表2】

【0061】
<毛髪形状制御効果:くせ毛に対するストレート化効果>
(1)非化学処理で日本人女性のくせ毛を使い、長さ10cm質量0.1gのトレスを作製した。
(2)表3に示す試験例1〜3及び表4に示す試験例4〜9の処理条件で毛髪形状制御剤第1剤を塗布し還元反応を行った。
(3)毛髪形状制御剤第1剤を40℃の流水中で60秒すすぎ流し、次いで表2に示す毛髪形状制御剤第2剤を0.2g塗布し、20分間酸化反応を行った。
(4)毛髪形状制御剤第2剤を40℃の流水中で60秒すすぎ流し、タオルで水分を除いた後、ウォーターセットがつかないように乾燥した。
【0062】
(1)〜(4)の処理を通じて得たトレスを、下記のくせ毛に対するストレート化効果の目視判定基準に従い毛髪形状制御効果の評価を行った。評価結果を表3、表4に併せて記載した。
【0063】
評点;
1:うねり・縮れがない
2:僅かにうねり・縮れが残っている
3:処理前と変化なし
4:処理前には観察されなかったうねり・縮れが発生している
【0064】
判定:
次の2条件を同時に満たす場合に『適合』、それ以外を『不適合』と判定した。
条件1:各実験の目視判定評点が1又は2
条件2:試験内の各実験間での評点差が0又は1
【0065】
【表3】

【0066】
【表4】

【0067】
<毛髪形状制御効果 直毛に対するウェーブ付与効果>
(1)非化学処理で日本人女性の直毛を使い、長さ20cm質量0.1gのトレスを作製した。
(2)作製したトレスを直径1.5cmのガラスロッドに隙間なくらせん状に巻き、解けないようにピンで固定した。
(3)表1記載の毛髪形状制御剤第1剤を調整し、表5に示す試験例10〜11の処理条件で毛髪形状制御剤第1剤を塗布し、還元反応を行った。
(4)毛髪形状制御剤第1剤を40℃の流水中で60秒すすぎ流し、次いで表2に示す毛髪形状制御剤第2剤を0.2g塗布し、20分間酸化反応を行った。
(5)処理したトレスをガラスロッドから外し、毛髪形状制御剤第2剤を40℃の流水中で60秒すすぎ流し、タオルで水分を除いたあと吊り下げて自然乾燥した。
【0068】
(1)〜(5)の処理を通じて得たトレスを、下記の直毛に対するウェーブ付与効果の目視判定基準に従い毛髪形状制御効果の評価を行った。
評価結果は表5に併せて記載した。
【0069】
直毛に対するウェーブ付与効果は、標準条件として毛髪形状制御剤第1剤を0.1g塗布し、20分還元反応を行った場合のウェーブ付与効果基準とし、以下1〜3の基準に基づき評価した。
【0070】
評点;
1:標準条件と比較して、同等のウェーブ形状
2:標準条件と比較して、僅かに強いウェーブ形状
3:標準条件と比較して、強いウェーブ形状
【0071】
判定:
次の2条件を満たす場合に『適合』、それ以外を『不適合』と判定した。
条件1:各実験の判定評点が1又は2
条件2:試験内の各実験間での評点差が0又は1
【0072】
【表5】

【0073】
実施例5〜11及び比較例3〜8
表6に示す毛髪形状制御剤第1剤と、表2に示す毛髪形状制御剤第2剤をそれぞれ調製し、毛髪形状制御効果の評価を行った。
【0074】
【表6】

【0075】
<毛髪制御効果 直毛に対するウェーブ付与効果>
(1)非化学処理で日本人女性の直毛を使い、長さ20cm質量0.1gのトレスを作製した。
(2)作製したトレスを直径1.5cmのガラスロッドに隙間なくらせん状に巻き、解けないようにピンで固定した。
(3)表7に示す試験例14〜20又は表8に示す試験例21〜26の処理条件で毛髪形状制御剤第1剤を塗布し、還元反応を行った。
(4)毛髪形状制御剤第1剤を40℃の流水中で60秒すすぎ流し、次いで表2に示す毛髪形状制御剤第2剤を0.2g塗布し、20分間酸化反応を行った。
(5)処理したトレスをガラスロッドから外し、毛髪形状制御剤第2剤を40℃の流水中で60秒すすぎ流し、タオルで水分を除いたあと吊り下げて自然乾燥した。
【0076】
(1)〜(5)の処理を通じて得たトレスを、下記の直毛に対するウェーブ付与効果の目視判定基準に従い毛髪形状制御効果の評価を行った。
評価結果は表7、表8に併せて記載した。
【0077】
直毛に対するウェーブ付与効果は、標準条件として毛髪形状制御剤第1剤を0.1g塗布し、20分還元反応を行った場合のウェーブ付与効果基準とし、以下0〜3の基準に基づき評価した。
【0078】
評点;
0:毛髪形状制御剤として、十分なウェーブを付与しない
1:標準条件と比較して、同等のウェーブ形状
2:標準条件と比較して、僅かに強いウェーブ形状
3:標準条件と比較して、強いウェーブ形状
【0079】
判定:
次の2条件を満たす場合に『適合』、それ以外を『不適合』と判定した。
条件1:各実験の判定評点が1又は2
条件2:試験内の各実験間での評点差が0又は1
【0080】
【表7】

【0081】
【表8】

【0082】
実施例12
(頭髪の全部に対するウェーブパーマ処理1)
頭髪長がミディアムの日本人女性に施術する。
1)霧吹きを使用して水で頭髪全体を湿らせ、ウェーブパーマ用ロッド25個及びエンドペーパー25枚を使用して所望の髪型となるようにワインディングする。
2)ワインディング作業終了後、毛髪形状制御剤第1剤(実施例2)80gをアプリケーターに入れ、ワインディングした部分に塗布し、10分静置する。
3)毛髪形状制御剤第1剤による毛髪軟化の進行度を確認するためにテストカール(任意のロッド一つを一旦外し、毛髪の軟化度を確認する。確認後は外したロッドを元に戻す)を行う。
4)ロッドを装着したまま毛髪形状制御第1剤を充分量の水ですすぎ流し、毛髪形状制御剤第2剤A(表2)80gをアプリケーターに入れ、ワインディングした部分に塗布し、15分間静置する。
5)全てのロッドを外した後、毛髪形状制御剤第2剤を充分量の水ですすぎ流す。シャンプー及びリンスを用いて頭髪を洗浄し、タオルドライする。最後にドライヤーを用いてブロードライしながら髪型を整える。
【0083】
実施例13
(頭髪の全部に対するストレートパーマ処理)
頭髪長がセミロングの日本人女性に施術する。
1)霧吹きを使用して水で頭髪全体を湿らせる。
2)毛髪形状制御剤第1剤(表9)100gを、頭髪全体にムラなく塗布し、遠赤外線加熱機を用い、40℃で5分間加熱後、室温下で15分間静置する。
3)毛髪形状制御剤第1剤による毛髪軟化度の確認を行うために、数本の毛髪を取り出し、毛髪の軟化度を確認する。
4)毛髪形状制御第1剤を充分量の水ですすぎ流し、毛髪形状制御剤第2剤B(表10)100gを頭髪全体にムラなく塗布し、20分間静置する。
5)毛髪形状制御剤第2剤Bを充分量の水ですすぎ流す。シャンプー及びリンスを用いて頭髪を洗浄し、タオルドライする。最後にドライヤーを用いてブロードライしながら髪型を整える。
【0084】
【表9】

【0085】
【表10】

【0086】
実施例14
(頭髪の全部に対するウェーブパーマ処理2)
頭髪長がミディアムの日本人女性に施術する。
1)霧吹きを使用して水で頭髪全体を湿らせ、ウェーブパーマ用ロッド25個及びエンドペーパー25枚を使用して所望の髪型となるようにワインディングする。
2)ワインディング作業終了後、表11に示す毛髪形状制御剤第1剤80gをアプリケーターに入れ、ワインディングした部分に塗布し、20間分静置する。
3)毛髪形状制御剤第1剤による毛髪軟化の進行度を確認するためにテストカール(任意のロッド一つを一旦外し、毛髪の軟化度を確認する。確認後は外したロッドを元に戻す)を行う。
4)ロッドを装着したまま毛髪形状制御第1剤を充分量の水ですすぎ流し、毛髪形状制御剤第2剤A(表2)80gをアプリケーターに入れ、ワインディングした部分に塗布し、15分間静置する。
5)全てのロッドを外した後、毛髪形状制御剤第2剤を充分量の水ですすぎ流す。シャンプー及びリンスを用いて頭髪を洗浄し、タオルドライする。最後にドライヤーを用いてブロードライしながら髪型を整える。
【0087】
【表11】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)及び(B):
(A)チオール基を有する毛髪還元性物質
(B)一般式(1)で表されるα,ω−ジカルボン酸又はその塩
【化1】

〔式中、R1は炭素数3〜8のアルキレン基を示す。〕
を含有し、かつチオール基が解離状態にある成分(A)の含有量(a質量%)に対する成分(B)の含有量(b質量%)の比b/aが5〜25の範囲である毛髪形状制御剤第1剤組成物。
【請求項2】
pHが3〜10である請求項1記載の毛髪形状制御剤第1剤組成物。
【請求項3】
更に成分(C)として、ジスルフィド化合物を0.01〜10質量%を含有する請求項1又は2記載の毛髪形状制御第1剤組成物。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の毛髪形状制御剤第1剤を頭髪の全部又は一部に適用する毛髪形状制御方法。
【請求項5】
ウェーブパーマ方法又はストレートパーマ方法である請求項4記載の毛髪形状制御方法。

【公開番号】特開2009−137887(P2009−137887A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−315903(P2007−315903)
【出願日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】