説明

毛髪着色及び脱色組成物のためのミセル増粘系

本発明は、少なくとも1つの酸化剤と特定の蠕虫状ミセル相増粘系とを含む毛髪着色及び/又は毛髪脱色組成物に関する。驚くべきことに、前記組成物は、傷みを最小化しつつ、改善された色落ち、明るさ及び色送達を送達し、製造し易く、及び長い貯蔵寿命における安定性を有する、改善された毛髪染色及び脱色組成物を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、増粘された毛髪着色及び/又は毛髪脱色組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ケラチン性繊維、特にヒトの毛髪の色を毛髪染料の塗布により永続的に変えることは周知である。消費者に所望の毛髪の色及び色の強度を提供するために、非常に複雑な化学プロセスが利用される。永続的な毛髪染色製剤は、典型的には酸化毛髪染料前駆体を含み、これは角皮を通して毛髪中及び毛皮質中に拡散することができ、そこで次に互いに、及び好適な酸化剤と反応して、最終的な染料分子を形成することができる。これらの得られる分子のサイズがより大きいため、それらは水及び/又は洗剤によるその後の洗浄の間に毛髪から容易に拡散できず、そのため消費者の所望する色の永続性を送達する。この反応は典型的には、アルカリ化剤の存在下及び酸化剤の存在下における、pHおよそ10の過激な環境において起こる。更に、消費者はこのプロセスを、所望の毛髪の色及び色相及び色の強度を維持するため、並びに新しい発毛の被覆を包含する毛髪の連続的で均一な被覆を確実にするために、定期的に繰り返す。
【0003】
また、このような製品の製造者は、多数の制約内で作業することを必要とされる。これらの製品は消費者の皮膚に直接接触するように設置されるため、染色プロセス中、偶発的に(例として)目に入ったり、又は口に入ったりする可能性が起こり得る。そのため、製剤は厳格な安全基準を満たさなければならず、いかなるアレルギー反応も生じてはならない。これらの必要条件を満たすことに加えて、また製品は、視覚的及び嗅覚的にも消費者を満足させなければならない。特に、製品はまた、消費者の衣類、皮膚、又は他の物体を不用意に汚すことなく、消費者がその製品を容易に毛髪に適用して所望の効果を提供できることを確実にするために、特定の物理的パラメータを満たす必要もある。
【0004】
また製造業者は、毛髪染色の消費者に、広範囲の種々の色を提供するように要求される。消費者には、単に毛髪の天然の色を強化することを望む者もいる可能性があるが、他に白髪のカバーを望む、又は毛髪色を完全に変えて、異なる自然に見える毛髪色又は「人工のもの」に見える毛髪色にすることを望む者もいる可能性がある。従って、製造業者は、色や色相が異なる20種類以上の異なる製剤を提供して、一連の消費者の特定の要望に対応する可能性がある。これらの製剤は、個々に処方されることが必要であり、典型的には異なる染料化合物の混合物を含有する複雑な処方である。結果として、このような製品範囲の製造は、費用がかかり、複雑になり得る。
【0005】
典型的には、永続的な染毛料製品は、アンモニア供給源のようなアルカリ供給源を含有するであろう。これが毛髪を膨潤させるという目的を果たし、これによって染料前駆体分子が毛髪内に入ることを可能にし、且つ酸化剤(典型的には過酸化水素)の明るくする効果も向上させる。しかし、アンモニアは揮発性でもあり、特に、このような毛髪染料製品が鼻部に近いところで使用される場合、それに伴うにおいはこのような製品の消費者にとって非常に不快である。それ故、消費者が要求する明るさの程度及び色を提供するが、感知可能なアンモニア臭を低減又は除去した毛髪の酸化染色及び/又は脱色組成物を提供することが極めて望ましい。
【0006】
実際、現在の毛髪染色製品の別の問題は、必要とされる毛髪を明るくする効果を送達する毛髪染色製品の提供である。必要な程度の明るさを送達することは、消費者が要求するあらゆる種類の色相(特に、ブロンドの色相及び白髪の被覆(grey coverage)を提供するために、特に重要である。このような製品は、通常、要望される明るくする効果を送達するために、高濃度の酸化剤及びアンモニアの使用を必要とするため、製造業者に特定の困難を課す。しかし、これらの製品内における高濃度のアンモニアの存在に伴う問題に加えて、本明細書中にて上で議論したように、これら高濃度のアンモニア及び/又は酸化剤の存在は、更に毛髪の状態に影響を与え、場合によっては頭皮に軽い皮膚刺激を引き起こす可能性がある。とりわけ、毛髪表面の親水性は、着色プロセス中に増加し、これが着色中及び着色直後、並びに次回の着色剤適用までの、その後の洗浄及び整髪周期間における毛髪の感覚認知及びその全体的な処理容易性を変える。それ故、要望される明るさ及び/又は色を、不必要に毛髪を損傷することなく提供する、毛髪の酸化染色及び/又は脱色組成物を提供することも極めて望ましい。
【0007】
少なくとも上で確認された改善領域のいくつかに対処するために、多数の試みが文献に記載されてきた。例えば、炭酸塩の使用が、次の毛髪着色技術に記載されてきた。
【0008】
EP435012には、必要とする染色時間が短く、毛髪への損傷がほどんどなく、染色後の刺激臭がない、炭酸塩、においを発生しないアルカリ過酸化水素、及び緩衝液を含む毛髪染色組成物について記載されている。同様に、EP1106166には、アンモニア、炭酸塩(アンモニア塩以外)、遷移金属塩及びキレート剤を含み、刺激臭を発せず、皮膚への刺激が少なく、毛髪色を短時間でより明るい色調に変えることができる毛染組成物について記載されている。PCT国際公開特許WO01/28508には、緩衝剤、pH調整剤又は毛髪膨潤剤を必要とせずに、においと毛髪損傷が低減され、脱色及び着色が改善された酸化剤及び炭酸アンモニウム又はカルバミン酸アンモニウムを含む毛髪染色製剤ついて記載されている。JP01206825には、アンモニア、アンモニウム塩及び炭酸塩を含む低刺激性毛髪染色組成物について記載されている。US2004/0083557には、良好な色落ち、及び低臭気性を提供するための、毛髪の酸化染料前駆体、金属シアネート、アルカリ化剤及び酸化剤、好ましくは金属重炭酸塩を含む毛髪着色組成物について記載されている。
【0009】
PCT国際公開特許WO04/014328には、過酸化物酸化剤、特定の酸化剤、及び塩を放出する少なくとも1つの水溶性炭酸塩を含み、より有効に色を供給し、前記組成物の塗布時間が2〜60分である、ワンステップ毛髪着色組成物が記載されている。US2004/0098814には、毛髪を多数の連続した短い処理に付する毛髪の永続的な着色方法が記載されており、前記処理はシャンプー又はコンディショナー基材中の染料中間体、塩を放出する水溶性炭酸塩、及び水溶性アンモニウム塩を含んでいる。またUS2004/0098816には、毛髪を規定の時間間隔がある多数の処理に付し、処理組成物がキレート剤と組み合わされた炭酸アンモニウムを含む、段階的永続的毛髪着色方法についても記載されている。
【0010】
EP1484047及びEP148447には、におい及び毛髪損傷を伴わずに改良された毛髪着色を提供するために、炭酸イオンの供給源、及び酸化剤、及びラジカルスカベンジャーの供給源を含む毛髪着色組成物が記載されている。
【0011】
しかしながら、過酸化水素及び炭酸塩の毛髪着色剤系への組み込みは、結果としてそのような製品の製造に難題をもたらすことが今や見出されている。この問題は、高いレベルの色落ちを提供するために望ましい、高濃度の過酸化物及び炭酸塩を有する毛髪着色組成物では特に明白である。皮膚、目、衣類又は浴室表面に落下せずに消費者が容易に毛髪に適用できる製品を提供するために、毛髪着色剤製品は、頭に適用される組成物が、特定の要求される粘度を有するように設計される。このことは、混合すると増粘する「希薄−希薄−濃厚(thin-thin-thick)」型の液体製剤と呼ばれるような染料組成物及び酸化組成物のいずれを提供することによっても達成される。あるいは、前記成分のうち少なくとも1つ、染料組成物又は酸化組成物のいずれか一方、好ましくは染料組成物は、混合すると組成物全体を増粘する、増粘製剤として提供され、これはいわゆる「濃厚−希薄−濃厚(thick-thin-thick)」製剤である。最後に、望ましい粘度は、いわゆる「濃厚−濃厚−濃厚(thick-thick-thick)」製剤の使用によって提供されてもよく、この場合、染料組成物と酸化組成物はどちらも、混合すると組成物全体を増粘する、増粘製剤として提供される。
【0012】
上記の粘度操作は、典型的には、高濃度の溶媒系の使用によって達成され得る。しかしながら、そのような溶媒系は、皮膚への優しさの点で望ましいとは言えない。あるいは、例えばEP1047375に記載されているようなポリマーをベースとする増粘系を使用してもよい。これらの系は、重要なことには、処理中に皮膚又は目に垂れない一方で、製品が毛髪に容易に適用できるように、消費者に製品に対する許容可能なレオロジーを提供することを目的とする。しかしながら、これらの材料はまた、高濃度の炭酸塩を含む組成物を十分に増粘せず、その結果、製品の不安定性又は不満足な粘度をもたらすことも分かっている。その上、これらの系の多くは、消費者が構成成分を容易に混合することができないために、不均質な混合物をもたらす。
【0013】
そのため、製品の安定性又は製造の容易性を損なわずに、高濃度の炭酸塩又は実にいかなる他のイオンをも組み込む毛髪着色剤組成物を提供することが望ましいであろう。
【0014】
消費者にとって特に重要な別の性能領域は、所望の色が得られること、及び効果的な白髪の被覆も得られることである。実際、着色される白髪の量は各消費者によってかなり異なるが、最初の被覆が染色後の洗浄及び乾燥周期の間に維持されるという追加要件と併せて、消費者に要求される着色された毛髪の、結果として得られる全体的な外見が、頭上の天然色素の毛髪と白髪とでほとんど同一であるべきである。染料を前記組成物中に有効に組み込むために、さらにまた、典型的に多量の溶媒が必要とされる。しかしながら、本明細書において上述したように、これは望ましくない。
【0015】
そのため、改善された色落ち及びライトニング並びに改良された色の供給、取り込み及び耐久性を付与し、また、製造が容易で、多量の溶媒を必要とせずに要求される粘度を供給し、貯蔵寿命安定性を有する毛髪着色剤を消費者に提供することが更に望ましい。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
驚くべきことに、酸化剤と、イオン性界面活性剤及び特定の量の対イオン濃度を含む蠕虫状ミセル相増粘系とを含む酸化毛髪着色組成物は、「希薄−希薄−希薄(thin-thin-thin)」系、「希薄−濃厚−濃厚(thin-thick-thick)」系、及び「濃厚−濃厚−濃厚(thick-thick-thick)」系において利用することができる安定な増粘系として処方され得ることが、今や見出された。その上、本発明の組成物は、現行の染料及び染料前駆体系と相溶性を有し、その結果、優れた染料の付着及び色及び改善された白髪の被覆をもたらす。加えて、前記組成物は低臭気性を示し、現在利用されているアンモニア/過酸化物系と同等の高いレベルの色落ち及びライトニングを達成すると同時に、過酸化物の濃度を低減し及び毛髪繊維の損傷をも軽減する。
【0017】
蠕虫状ミセル相増粘系は、硬質表面洗浄及び洗濯洗剤組成物のような毛髪着色でない文献において、記載されてきた。例えば、ミセル界面活性剤溶液を有する粘弾性的な洗浄ゲルが、US20040053797A1に記載されており、液体洗濯洗剤組成物が、EP0530708Aに記載されており、増粘硬質表面洗浄剤が、EP070160B1において議論されている。しかし、これらの文献は、毛髪着色、脱色、又はハイライト製剤において使用するための、本発明において記載される特定のミセル増粘系について記載していない。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は、(i)少なくとも1つの酸化剤、並びに(ii)少なくとも1つの蠕虫状ミセル増粘系を含む毛髪着色及び毛髪脱色組成物に関する:a)0.1〜40.0%の少なくとも1つのイオン性界面活性剤、及びb)前記イオン性界面活性剤のための対イオンの供給源としての少なくとも1つの電解質、ここで前記対イオンの濃度Cは、式C=ΣM*10(z-1)に従って定義されるとき少なくとも0.25モル/kgであり、Σは求和を象徴し、Mは各対イオンのモル濃度に相当し、zは各対イオンの電荷に相当する。
【0019】
さらなる実施形態では、本発明は、i)少なくとも1つの酸化剤を含む個別包装された第一酸化成分、並びにii)少なくとも1つの蠕虫状ミセル増粘系を含む個別包装された第二成分を含む毛髪着色及び/又は脱色キットに関する、a)0.1〜40.0%の少なくとも1つのイオン性界面活性剤、及びb)前記イオン性界面活性剤のための対イオンの供給源としての少なくとも1つの電解質、ここで前記第一成分i)及び第二成分ii)を混合する際の前記対イオンの濃度Cは、本明細書にて定義されるように少なくとも0.25モル/kgである。
【0020】
本発明のさらなる実施形態は、毛髪着色又は脱色キットに関する、i)個別包装された第一酸化成分:a)過酸化水素の少なくとも1つの供給源、及びb)0.1〜40.0%の少なくとも1つのイオン性界面活性剤、並びにii)前記イオン性界面活性剤のための対イオンの少なくとも1つの電解質供給源を含む個別包装された第二成分であり、ここで、前記第一成分i)及び第二成分ii)の混合に際し、得られる組成物混合物は、前記イオン性界面活性剤、及び本明細書で定義されるように少なくとも0.25モル/kgの濃度Cで前記対イオンを含む少なくとも1つの蠕虫状ミセル増粘系を有する。
【0021】
また本発明は、個別包装された第一成分組成物及び個別包装された第二成分組成物を含む毛髪着色及び/又は脱色キットにも関し、ここで、前記第一及び第二成分組成物は、独立して1Pa・s(1000cPs)未満の粘度を有し、前記第一及び第二成分組成物の混合に際し、得られる組成物混合物は、1Pa・s(1000cPs)〜60Pa・s(60000cPs)の粘度を有し、前記得られる組成物は、蠕虫状ミセル相増粘系を含み、10%未満の溶媒を含む。
【0022】
また本発明は、毛髪着色及び/又は毛髪脱色及び/又は毛髪ハイライト組成物を増粘するための蠕虫状ミセル相増粘系の使用にも関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本明細書は、本発明を詳しく指摘し明確に請求する特許請求の範囲でまとめられるが、本発明は、以下の記載からより良く理解されるであろうと考えられる。本明細書で使用するとき、処理されるべき「毛髪」という用語は、「生体の」、即ち生きている体上にあるか、あるいは「非生体の」、即ちかつら、ヘアピース又は非生体性ケラチン性繊維の他の集合体であってもよい。哺乳類、好ましくはヒトの毛髪が好ましい。しかしながら、羊毛、毛皮、及び他のケラチン含有繊維が、本発明の組成物に適した基質である。
【0024】
特に記述されない限り、すべての百分率は、組成物全体の重量によるものである。処理中に1つ超過の組成物が使用される場合、考慮されるべき総重量は、特に指示がない限り、毛髪に同時に塗布される全組成物の総重量(即ち、「頭上に」ある重量)である。特に記載のない限り、全ての比率は重量比である。モル濃度は全て、組成物全体の重量によるものであり、組成物1キログラム中の成分のモル数、又は「モル/kg」で表される。
【0025】
本発明は、毛髪着色及び/又は脱色及び/又はハイライト組成物に関する。
【0026】
蠕虫状ミセル相増粘系
本発明によると、毛髪着色及び/又は脱色組成物は、蠕虫状ミセル相増粘系を含む。本発明の蠕虫状ミセル増粘系とは、少なくとも0.1〜40.0%の少なくとも1つのイオン性界面活性剤と、前記イオン性界面活性剤のための対イオンの電解質供給源とを含む増粘系として定義される。対イオンの電解質供給源は、次の式に従って定義される毛髪着色及び/又は脱色組成物中の全濃度Cを有する:
C=ΣM*10(z-1)
式中、Mは各対イオンのモル濃度に相当し、zは各対イオンにおける電荷に相当する。本発明によると、電解質対イオン供給源の濃度は、少なくとも0.25モル/kgである。
【0027】
驚くべきことに、本発明の蠕虫状ミセル増粘系を、毛髪着色及び/又は脱色系の粘度を誘引するために利用できることが、見出された。系は、いわゆる希薄−希薄(thin-thin)型液体毛髪着色又は脱色製剤の適用に特に有利であり、2つの成分の混合に際し、粘度は、適用に必要とされる所望のレベルまで増加する。さらに、等方性蠕虫状ミセル系は、通常、清潔さを暗示できるので望ましい可能性がある透明又は半透明の外観を有するが、クリームのような外観が望まれる場合、容易に不透明にもなる。その上、本発明の系は更に、例外的に混合しやすく、消費者に均質性をも保証する。
【0028】
また驚くべきことに、蠕虫状ミセル増粘系の使用はまた、毛髪着色組成物へ染料前駆体を組み込むために典型的に必要とされる溶媒の濃度を排除又は著しく低減し、あるいは酸化毛髪着色及び/又は脱色組成物に所望の粘度を提供することも見出された。当業者は、高レベルの溶媒は、染着料に関して系に有害であり得、且つ、場合によっては、低刺激性に関して有害であり得ることを理解するであろう。したがって、本発明の蠕虫状ミセル増粘系は、系の生来の低刺激性を増加するために、有用な手段を提供する。
【0029】
用語「蠕虫状ミセル系」は、当該技術分野において周知であり、コロイドと界面科学の進歩(Advances in Colloid and interface Science)、(17(1982年)275−298頁、及び26(1986年)177−203頁)、物理化学ジャーナル(Journal of Physical Chemistry)、(80巻、No.9、1976年4月22日、905−922頁)、物理化学ジャーナル(Journal of Physical Chemistry)、(1988年、92、4712−4719頁)、及びラングミュア(Langmuir)(1992年、8、2140−2146頁)に詳細に記載されている等方性ミセル相(L1)を指すために使用される。これらの出版物は全て、本明細書に参考として組み込まれる。
【0030】
本明細書で使用するとき、用語「蠕虫状ミセル相増粘系」とは、少なくとも一部、好ましくは少なくとも50%、より好ましくは実質的に全てのイオン性界面活性剤分子が、その回転容積が重なり合う長い円筒形のミセル(蠕虫状又は棒様ミセルとしても既知)中に存在する等方性ミセル相(L1−相)を指す。通常、蠕虫状ミセル相増粘系が、からみ合った、細長い蠕虫形態/棒形態のミセルの複合構造を有することを、当業者は認識するであろう。これらの系のレオロジーは、電解質の存在に非常に影響される。系の粘度は、長さに直接関係し、界面活性剤濃度を変えること及び電解質の添加により制御され得るミセルのからみ合いの程度に関連する。所与の界面活性剤濃度において、最高粘度は、さらなる電解質が系を希薄にする濃度を超えた電解質濃度の上昇と共に起こる。本発明の蠕虫状ミセル相増粘系の粘度は、少なくとも1Pa・s(1000cPs)である。従って、系は、希釈に際し生じる濃厚化を伴う最高粘度を超えた、希薄な溶液として処方され得る。
【0031】
さらに、驚くべきことに、酸化剤の存在は、所望の粘度を得るために特定の高い電解質濃度が必要であるという点で、前述の系の濃厚化及び希薄化特性に影響することも見出されてきた。
【0032】
溶液中の蠕虫状ミセル相の存在は、低温遷移電子顕微鏡法(TEM)のような当該技術分野において既知の標準方法により、容易に確認できる。本方法は、物理化学ジャーナル(Journal of Physical Chemistry)、(1992年、96、474−484頁)において詳細に記載されており、これは、本明細書に参考として組み込まれ、本明細書において以下でさらに記載される。
【0033】
電解質から得られるイオンの濃度を計算する方法は、当業者に周知である。強酸と強塩基により形成される電解質の各対イオンのモル濃度Mは、標準解離方程式に従って計算され、すなわち、化学量論的電解質式が考慮される。例えば、941.5グラムの水に溶解した58.5グラムの塩化ナトリウム(NaCl、分子量58.5)は、1モル/kgのナトリウムカチオン(Na+)及び1モル/kgの塩素アニオン(Cl-)を作り出すであろう。別の例では、990.5グラムの水に溶解した9.5グラムの塩化マグネシウム(MgCl2、分子量95.2)は、0.1モル/kgのマグネシウムカチオン(Mg2+)及び0.2モル/kgの塩素アニオン(Cl-)を作り出すであろう。後者の例において、本発明の式に記載の電荷z=1を有する塩素対イオンの濃度Cは、0.2モル/kgであり、電荷z=2を有するマグネシウム対イオンの濃度Cは、C=ΣM*10(z-1)=0.1*10(2-1)=0.1*10=1.0モル/kgである。
【0034】
弱酸又は弱塩基あるいはその両方により形成される電解質にとっては、対イオンは、溶液pHに依存していくつかの平衡段階に関与し、様々な電荷を有するイオンを生じ得る(非荷電種も作り出す)ことに留意すべきである。そのような平衡は、一般に酸又は塩基平衡定数で記載され、酸及び塩基に対応して、pKa及びpKbとしての対数目盛で表現されることが多い。これらの定数の値は、チャップマンとホールの化学データベース(Chapman and Hall Chemical Database)のような出版文献から、容易に得ることができる。溶液pHは、本明細書にて記載される方法を使用して測定される。
【0035】
次に、対イオンの濃度は、下記の手順に従って計算できる。全濃度Mtotal(モル/kg)で弱酸のイオンを含有する電解質において、完全にプロトン化した形態のHnAの濃度M(HnA)、(ここで、nは水素原子の数である)、は方程式(1)に従って初めに計算される。
【0036】
【数1】

式中、pKa1、pKa2...pKanは、それぞれ個々の解離段階のpKaである。次に、(n−x)水素原子を含有する各対イオンの濃度が、方程式(2)に従って計算される。
【0037】
【数2】

【0038】
弱塩基のイオンを含有する電解質について、対応する塩基のpKb値(pKb=14−pKa)を、pKaの代わりに使用し、pOH値(pOH=14−pH)を、pHの代わりに使用して、方程式(1)及び(2)と同類の計算を行なうことができる。
【0039】
正電荷又は負電荷を持たない種、あるいは両方を持ち、正電荷と負電荷が等しい種(双極性イオン)は、最終的な対イオン濃度Cの計算に包含されないことに留意すべきである。
【0040】
例えば、pH=10.0において、900グラムの水に添加された、100グラムの30%活性水酸化アンモニウム溶液(NH4OH、分子量35.0)(3重量%溶液)は、次の濃度の正の対イオンを作り出すであろう:
【0041】
【数3】

【0042】
【数4】

【0043】
【数5】

【0044】
(チャップマンとホールの化学データベース(Chapman and Hall Chemical Database)を参照すると、水酸化アンモニウムのpKb1は4.75であり、溶液の密度は1に等しいと仮定する。)
【0045】
NH4OHは、荷電しておらず、全イオン濃度に貢献しない。したがって、電荷z=1を有する正の対イオンの濃度C(NH4+)は、C=0.13モル/kgである。
【0046】
次は、本明細書において後で記載される実施例2の製剤に基づく。この実施例の界面活性剤系は、アニオン性であるので、正のイオンのみが対イオンとしてみなされる必要がある。以下の表は、pH=9.0における計算を実例説明する。:
【0047】
【表1】

【0048】
【数6】

【0049】
イオン濃度の計算方法のさらなる記載は、例えば、H リブル(H Rible)「pH緩衝論−新しい方法(pH Buffer Theory - A New Approach)」、ジョン・ウィリー&サンズ(John Wiley & Sons)(1996年)に見ることができる。
【0050】
イオン性界面活性剤
本発明によると、蠕虫状ミセル増粘系は、イオン性界面活性剤を含む。本明細書において使用するのに適したイオン性界面活性剤は、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、及び/又はこれらの混合物から選択されてもよい。本明細書に用いるために、単独又は混合物として使用することができるアニオン性界面活性剤の例としては、例えば、次の化合物の塩(例えば、ナトリウム塩、アンモニウム塩、アミン塩、アミノアルコール塩及びマグネシウム塩)が挙げられる:アルキルサルフェート、アルキルエーテルサルフェート、アルキルアミドエーテルサルフェート、アルキルアリールポリエーテルサルフェート、モノグリセリドサルフェート;アルキルスルホネート、アルキルグリセリルスルホネート、アルキルホスフェート、アルキルアミドスルホネート、アルキルアリールスルホネート、a−オレフィンスルホネート、パラフィンスルホネート;アルキルスルホサクシネート、アルキルエーテルスルホサクシネート、アルキルアミドスルホサクシネート、アルキルスルホサクシネート;アルキルスルホアセテート、アルキルエーテルホスフェート;アシルサルコシネート;アシルイセチオネート、N−アシルタウレート及びこれらの混合物。これらの様々な化合物全てのアルキル又はアシルラジカルは、例えば、8〜24の炭素原子を含み、アリールラジカルは、例えば、フェニル基及びベンジル基から選択される。使用することができるアニオン性界面活性剤の中で、ラウリル酸、ミリスチル酸、オレイン酸、リシノール酸、パルミチン酸、及びステアリン酸、ココナッツ油酸又は水素添加ココナッツ油酸の塩のような脂肪酸塩;並びにアシルラジカルが、8〜20の炭素原子を含むアシルラクチレートから調製されてもよい。アルキル−D−ガラクトシドウロン酸及びそれらの塩、並びにポリオキシアルキレン化(C6〜C24)アルキルエーテルカルボン酸、ポリオキシアルキレン化(C6〜C24)アルキルアリールエーテルカルボン酸、ポリオキシアルキレン化(C6〜C24)アルキルアミドエーテルカルボン酸及びそれらの塩のような弱アニオン性界面活性剤、例えば、2〜50のエチレンオキシド基を含むようなもの、及びこれらの組み合わせも同様に使用できる。ポリサッカライドのアニオン性誘導体、例えば、アルキルポリグルコシドのカルボキシアルキルエーテルも同様に使用できる。
【0051】
好ましくはアニオン性界面活性剤は8〜16個の炭素原子を含む、アルキル又はアリ−ルラジカルを有し、25℃未満のクラット点(Kraft point)のものから選択される。
【0052】
特に本明細書にて使用するのに適したアニオン性界面活性剤としては、式RnXmYMに記載の界面活性剤が挙げられ、式中、Rは8〜30の炭素原子、好ましくは8〜18の炭素原子を有するアルキル基、アルケニル基、又はアルキルアリール基であり、Xは少なくとも1つの炭素原子と少なくとも1つの酸素原子又は窒素原子とを含む極性基であり、Yはスルフェート、スルフォネート、ホスフェート、ホスホネート、及び/又はカルボキシレートから選択されるアニオン性基であり、nは1に相当し、mは1又は2に相当し、Mは水素又は塩生成カチオン及びこれらの混合物である。
【0053】
好ましくは、アニオン性界面活性剤は、アルキルスルフェート、アルキルホスフェート、アルキルエーテルホスフェート、アルキルエーテルスルフェート、アルキルグリセリルスルフォネート、N−アシルサルコシネート、N−アシルタウレート、アシルラクチレート、アルキルポリグルコシドと脂肪酸塩のカルボキシアルキルエーテル、アルキルエーテルカルボキシレート、及びこれらの混合物から選択される。さらにより好ましくは、アニオン性(anioinc)界面活性剤は、平均1〜20、好ましくは1〜10、最も好ましくは1〜3のエチレンオキシド単位を有するN−アシルサルコシネート、アルキルスルフェート、アルキルホスフェート、アルキルエーテルスルフェート、アルキルエーテルホスフェートから選択される。
【0054】
またアニオン性界面活性剤は、好ましくは、分子当たり平均1.6のメチル分枝又は少なくとも1つの不飽和炭素結合を有する、16の炭素原子を含むアルキル又はアシルラジカルを有するものから選択されてもよい。
【0055】
本発明の蠕虫状ミセル増粘系において使用するのに適したカチオン性界面活性剤は、8〜30の炭素原子を含む少なくとも1つの脂肪鎖を有する第四級アンモニウム塩又はアミドアミン、及びこれらの混合物から選択されてもよい。好ましくは、カチオン性界面活性剤は、8〜18の炭素原子を含むアルキル又はアシルラジカルを有し、クラフト点が25℃未満であるものから選択される。
【0056】
カチオン性界面活性剤として本明細書にて使用するのに適した第四級アンモニウム塩は、一般式N+(R1234)X-を有し:式中、R1は、約12〜30の炭素原子を含む直鎖状及び分枝状ラジカルから選択され、R2は、約12〜30の炭素原子を含む直鎖状及び分枝状ラジカル、又はラジカルR3〜R4と同じ群から選択され、ラジカルR3〜R4は、同一でも異なってもよく、約1〜4の炭素原子を含む直鎖状及び分枝状脂肪族ラジカル、アリール及びアルキルアリールのような芳香族ラジカルから選択され、脂肪族ラジカルは、酸素、窒素、硫黄、及びハロゲンのような少なくとも1つのヘテロ原子を含んでもよく、脂肪族ラジカルは、例えば、アルキル、アルコキシ、及びアルキルアミドラジカルから選択され、式中、X−は、塩素、臭素、及びヨウ素のようなハロゲン化物、硫酸メチルのような(C2〜C6)アルキルスルホネート、ホスフェート、アルキル及びアルキルアリールスルホネート、並びに酢酸塩及び乳酸塩のような有機酸由来のアニオンから選択されるアニオンである。
【0057】
本明細書にて使用するのに適したアミドアミンは、一般式R’1−CONH(CH2)nNR’2R’3を有する化合物から選択されてもよい:式中、R’1は、約12〜30の炭素原子を含む直鎖状及び分枝状ラジカルから選択され、ラジカルR2及びR3は、同一でも異なってもよく、水素、約1〜4の炭素原子を含む直鎖状及び分枝状脂肪族ラジカル、アリール及びアルキルアリールのような芳香族ラジカルから選択され、脂肪族ラジカルは、酸素、窒素、硫黄、ハロゲンのような少なくとも1つのヘテロ原子を含んでもよく、脂肪族ラジカルは、例えば、アルキル、アルコキシ、及びアルキルアミドラジカルから選択され、式中、nは1〜4の整数である。
【0058】
本明細書にて用いるのに好ましいカチオン性界面活性剤は、セチルトリメチル塩化アンモニウム、セチルトリメチルアミドプロピルジメチルアミン、ベヘンアミドプロピルジメチルアミン、及びこれらの混合物である。
【0059】
本発明によると、また蠕虫状ミセル増粘系は、例えば、脂肪族二級及び三級アミン誘導体から選択することができる、任意の両性界面活性剤又は双極性界面活性剤を含んでもよく、ここで、脂肪族ラジカルは、8〜22の炭素原子を含み、少なくとも1つの水溶性アニオン基(例えば、カルボキシレート、スルフォネート、スルフェート、ホスフェート、又はホスホネート)を含む直鎖状及び分枝鎖から選択され;また(C8−C20)のアルキルベタイン、スルホベタイン、(C8〜C20)アルキルアミド(C1〜C6)アルキルベタイン、(C8〜C20)アルキルアミド(C1〜C6)アルキルスルホベタイン、及びこれらの混合物で作製されてもよい。
【0060】
アミン誘導体の中で、例えば、米国特許第2,528,378号、及び第2,781,354号に記載されているような、ミラノールの名称で販売される製品で作製されてもよく、以下の構造を有する:
2−CONHCH2CH2−N+(R3)(R4)(CH2COO-)、 (VI)
式中:R2は加水分解されたココヤシ油に存在する酸R2−COOHに由来するアルキルラジカル、ヘプチルラジカル、ノニルラジカル、及びウンデシルラジカルであり、R3はβ−ヒドロキシエチル基であり、R4はカルボキシメチル基である;並びに
5−CONHCH2CH2−N(B)(C)、 (VII)
式中、Bは−CH2CH2OX’を表し、Cは−(CH2z−Y’を表し、z=1又は2であり、X’は−CH2CH2−COOH基及び水素原子から選択され、Y’は−COOH及び−CH2−CHOH−SO3Hラジカルから選択され、R5はココヤシ油又は加水分解された亜麻仁油に存在する酸R5−COOHのアルキルラジカル、C7、C9、C11、及びC13アルキルラジカル、C17アルキルラジカル及びそのイソ型、及び不飽和C17ラジカルのようなアルキルラジカルから選択される。これらの化合物は、CTFA辞書、5版(1993年)において、ココアンホ二酢酸二ナトリウム、ラウロアンホ酢酸二ナトリウム、カプリルアンホ二酢酸二ナトリウム、カプリロアンホ二酢酸二ナトリウム、ココアンホジプロピオン酸二ナトリウム、ラウロアンホジプロピオン酸二ナトリウム、カプリルアンホジプロピオン酸二ナトリウム、カプリロアンホジプロピオン酸二ナトリウム、ラウロアンホジプロピオン酸、及びココアンホジプロピオン酸の名称で、分類される。ジエチルアミノプロピルココアスパルタミド(diethyl aminopropyl cocoaspartamid)の塩もまた用いることができる。
【0061】
好ましくは、両性界面活性剤は、8〜18の炭素原子を含むアルキル又はアシルラジカルを有し、クラフト点が25℃未満であるものから選択される。本明細書において使用するために特に好ましい両性界面活性剤は、コカミドプロピルベタイン、ラウリルアンホ酢酸ナトリウム、及びこれらの混合物である。
【0062】
本発明によると、特に好ましい蠕虫状ミセル相増粘系は、N−アシルサルコシネート、アルキルスルフェート、アルキルホスフェート、アルキルエーテルスルフェート、アルキルエーテルホスフェート、及びこれらの混合物の組み合わせを包含し、前記エーテルホスフェートは、平均1〜20、好ましくは1〜10、最も好ましくは1〜3のエチレンオキシド単位を有し、前記両性界面活性剤又は双極性界面活性剤は、ココアミドプロピルベタイン、ラウリルアンホ酢酸ナトリウム、及びこれらの混合物から選択される。あるいは好ましい蠕虫状ミセル相増粘系は、約12〜16の炭素原子を含むアルキルサルフェート界面活性剤と、10〜14の炭素原子を有するアルキルベタインとの組み合わせを包含する。本発明によると、別の特に好ましい蠕虫状ミセル相増粘系は、約12〜18の炭素原子を含むアルキルサルコシネートと、約10〜14の炭素原子を含むアルキルベタインとの組み合わせを包含する。蠕虫状ミセル増粘系の別の特に好ましい例は、平均18の炭素原子を含む少なくとも1つの分枝状アルキルサルフェート、平均18の炭素と平均1〜2のエチレンオキシド単位を含む分枝状アルキルエーテルサルフェート、及び10〜14の炭素原子を含むアルキルベタインを含む。
【0063】
上記の指定された種類の1超過の界面活性剤、又は該界面活性剤のあらゆる組み合せを、本発明で使用することができる。本発明の組成物は、約0.1%〜約40.0%、好ましくは約1%〜約15%、より好ましくは約2%〜約10%の界面活性剤を形成する蠕虫状ミセル相増粘系の全量を含んでもよい(全組成物の重量で)。
【0064】
本発明に従って使用される界面活性剤のクラフト点は、生物化学、生物物理学(Biochim. Biophysics)(1989年、988、221−256頁)に記載された方法により測定されることができる。
【0065】
電解質
本発明によると、蠕虫状ミセル相増粘系は、イオン性界面活性剤のための対イオンの少なくとも1つの電解質供給源を含む。本明細書で使用するとき、用語「電解質」とは、溶液中でイオン化し、正イオン及び負イオンを存在させるイオン性塩又は化合物を指す。本発明によると、本明細書で使用するとき、用語「対イオン」とは、前記系を形成するのに使用されるイオン性界面活性剤の電荷と反対の電荷のイオンを指す。例えば、アニオン性界面活性剤系蠕虫状ミセル増粘系では、対イオンはカチオンである。
【0066】
本発明で使用するのに適した電解質は、第一濃度において、イオン性界面活性剤の増粘を引き起こし、より高い第二濃度において、界面活性剤の希薄化を引き起こす。本明細書に用いるのに適した電解質としては、アンモニウムイオン供給源、炭酸イオン供給源、ラジカルスカベンジャー供給源、及びこれらの混合物のようなアルカリ化薬供給源が挙げられる。
【0067】
アルカリ化薬の好適な供給源としては、アンモニウムイオンの供給源、例えば、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0068】
本明細書において使用するのに適した電解質としては、ナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム、マグネシウム、バリウム、炭酸、カルバミン酸、過炭酸のアンモニウム塩、炭酸水素イオン、スルフェート、ホスフェート、サリチラート、塩化物、臭化物、ヨウ化物、フッ化物、及びこれらの混合物、例えば、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸リチウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸マグネシウム、硫酸アンモニウム、ナトリウムサリチラート、カリウムサリチラート、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0069】
別の好ましい電解質の種類は、本明細書において後に定義されるようなラジカルスカベンジャー供給源である。そのようなラジカルスカベンジャーの例としては、例えば、グリシン、サルコシン、リジン、セリン、グルタミン酸のカリウム、ナトリウム、及びアンモニウム塩、並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0070】
本発明の特に好ましい実施形態では、電解質供給源は、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、カルバミン酸アンモニウム、グリシン酸ナトリウム、又はこれらの混合物から選択される。
【0071】
好ましくは、電解質は、酸化剤と反応し、さらなる酸化種を形成するであろう。より好ましくは、電解質は、酸化剤と反応し、ペルオキシモノ炭酸イオン(peroxymonocarbonate ions)を形成するであろう。そのような電解質の例としては、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、カルバミン酸アンモニウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0072】
あるいは電解質の供給源は、組成物中のあらゆる成分から存在する界面活性剤、染料、防腐剤、酸化防止剤、及び残留塩のような、毛髪着色及び/又は脱色組成物中の他の成分から提供されてもよい。
【0073】
発明の組成物における電解質の全量は、組成物が、前記イオン性界面活性剤のための対イオンの供給源としての少なくとも1つの電解質を有するような量であり、式C=ΣM*10(z-1)に従って定義される前記対イオンの濃度Cは、少なくとも0.25モル/kg、好ましくは0.5モル/kg〜4.0モル/kg、より好ましくは1.0モル/kg〜3.0モル/kgである;ここで、Mは各対イオンのモル濃度に相当し、zは対応する対イオンの電荷に相当する。
【0074】
酸化剤
本発明に記載の組成物は、少なくとも1つの酸化剤の供給源を含む。本明細書に用いるのに好ましい酸化剤は、水溶性過酸素酸化剤である。本明細書で定義される時、「水溶性」とは、標準状態で、少なくとも0.1g、好ましくは1g、より好ましくは10gの前記酸化剤が1リットルの脱イオン水に溶解され得ることを意味する。酸化剤は、初期可溶化及びメラニンの脱色(脱色)に有用であり、毛幹中での酸化染料前駆体の酸化(酸化染色)を促進する。
【0075】
本発明では、当該技術分野において既知のいずれの酸化剤も使用してよい。好ましい水溶性酸化剤は、水溶液中に過酸化水素を生じさせることができる無機過酸素物質である。水溶性過酸素酸化剤は当該技術分野において周知であり、過酸化水素、無機アルカリ金属過酸化物、例えば過ヨウ素酸ナトリウム及び過酸化ナトリウム、並びに有機過酸化物、例えば過酸化尿素、過酸化メラミン、及び無機過水和物塩の脱色化合物、例えば過ホウ酸塩、過炭酸塩、過リン酸塩、過ケイ酸塩、過硫酸塩等のアルカリ金属塩が挙げられる。これらの無機過水和物塩は、一水和物、四水和物等として組み込まれてもよい。また、アルキル及びアリール過酸化物、及び/又はペルオキシダーゼを用いてもよい。また必要に応じて、2つ以上のそのような酸化剤の混合物も用いることができる。酸化剤は、水溶液で、又は使用前に溶解される粉末として提供されてもよい。本発明に記載の組成物に用いるのに好ましいのは、過酸化水素、過炭酸塩、過硫酸塩、及びこれらの組み合わせである。
【0076】
本発明によれば、組成物は、約0.1重量%〜約15重量%、好ましくは約1重量%〜約10重量%、最も好ましくは約2重量%〜約7重量%の酸化剤を含む。
【0077】
本明細書で使用するための別の好ましい酸化剤は、ペルオキシモノ炭酸イオン(peroxymonocarbonate ions)の供給源である。好ましくは、このような供給源は、過酸化水素供給源及び炭酸水素イオン供給源からその場で形成される。そのような酸化剤は、pH9.5まで、好ましくは7.5〜9.5、より好ましくは8.4〜9.5、最も好ましくはpH約9において、特に有効であることが見出されてきた。さらに、この系は、アンモニア又はアンモニウムイオンの供給源と組み合わせると、特に有効でもある。この酸化剤は、高い色落ちの実現に特に関連して、所望の髪色結果に改善をもたらし、一方で、におい、皮膚及び頭皮の刺激、並びに毛髪繊維へのダメージを大幅に低減することが明らかになってきている。
【0078】
従って、これらのイオンのいかなる供給源を利用してもよい。本明細書に用いるのに好適な供給源としては、炭酸イオン、カルバミン酸イオン、及び炭酸水素イオンのナトリウム塩、カリウム塩、グアニジン塩、アルギニン塩、リチウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、バリウム塩、及びアンモニウム塩、並びにこれらの混合物、例えば炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸グアニジン、炭酸水素グアニジン、炭酸リチウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、及びこれらの混合物が挙げられる。また、炭酸イオン及び酸化剤の双方の供給源を得るために、過炭酸塩も使用してもよい。炭酸イオン、カルバミン酸イオン、及び炭酸水素イオンの好ましい供給源は、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、カルバミン酸アンモニウム、及びこれらの混合物である。
【0079】
本発明によれば、組成物は、約0.1重量%〜約15重量%、好ましくは約1重量%〜約10重量%、最も好ましくは約1重量%〜約8重量%の炭酸水素イオン、及び約0.1重量%〜約10重量%、好ましくは約1重量%〜約7重量%、最も好ましくは約2重量%〜約5重量%の過酸化水素供給源を含む。
【0080】
追加構成成分
本発明の組成物は、アルカリ化剤、追加の界面活性剤、酸化染料前駆体のような染毛料、非酸化性の前もって形成された染料、追加の増粘剤及び/又はレオロジー変性剤、雲母のような不透明化剤、溶媒、酵素、コンディショニング剤、担体、酸化防止剤、安定化剤、キレート剤、パーマ活性化剤、香料、還元剤、毛髪膨張剤、及び/又はポリマーを包含する、追加成分を更に含んでもよいが、これらに限定されない。これら追加構成成分のいくつかについては、後で詳細に述べる。
【0081】
アルカリ化剤供給源
本発明によれば、組成物は任意に少なくとも1つのアルカリ化剤供給源、好ましくはアンモニウムイオン及び/又はアンモニア供給源を含んでもよい。特に好ましいアルカリ化剤は、アンモニウムイオンの供給源をもたらすものである。いずれのアンモニウムイオン供給源も本明細書で用いるのに好適である。好ましい供給源としては、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、カルバミン酸アンモニウム、水酸化アンモニウム、過炭酸塩、アンモニア、及びこれらの混合物が挙げられる。特に好ましいのは、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、カルバミン酸アンモニウム、アンモニア、及びこれらの混合物である。本発明の組成物は、約0.1重量%〜約10重量%、好ましくは約0.5重量%〜約5重量%、最も好ましくは約1重量%〜約3重量%のアルカリ化剤、好ましくはアンモニウムイオンを含んでもよい。好ましくは、存在する場合は、アンモニウムイオン及び炭酸イオンは、該組成物中に3:1〜1:10、好ましくは2:1〜1:5の重量比で存在する。
【0082】
好ましくは、本発明の組成物は、pH約11〜約7.5、より好ましくはpH約9.5〜約8.4、最も好ましくはpH約9.4〜約8.5、更により好ましくはpH約9.0を有する。
【0083】
組成物のpHは、実験室用標準pH電極を装着するメトラー・トレド(Mettler Toledo)MP220又はMP225pH装置を使用して測定できる。装置は、毎回使用前に、標準較正緩衝溶液及び標準較正手順を使用して較正される。
【0084】
界面活性剤
本発明に記載の組成物は、本発明の蠕虫状ミセル相増粘系で利用される、1以上のさらなる界面活性剤の少なくとも約0.01%を更に含んでもよい。これらのさらなる界面活性剤は、完全に又は部分的に、ミセル内に存在してもよく、存在しなくてもよいが、これらは、典型的に増粘系の粘度に影響を及ぼさないと考えられている。本明細書に用いるのに適した界面活性剤は、一般に、約8〜約30の炭素原子の親油性の鎖長を有し、アニオン性、非イオン性、両性及びカチオン性界面活性剤、並びにこれらの混合物から選択されることができる。特に好ましいのは、両性界面活性剤及びこれらの混合物である。
【0085】
非イオン性界面活性剤は、周知の化合物である(例えば、この点においては、「界面活性剤ハンドブック(Handbook of Surfactants)」(M.R.ポーター(M. R. Porter)著、ブラッキー&サン社(Blackie & Son)(グラスゴー及びロンドン)刊、1991年、116〜178頁を参照のこと)。それらは、例えば、ポリエトキシレート化、ポリプロポキシレート化、及びポリグリセロレート化脂肪酸、アルキルフェノール、α−ジオール、及び例えば、8〜18の炭素原子を含む脂肪鎖を含むアルコールから選択することができ、エチレンオキシド基又はプロピレンオキシド基の数は、例えば2〜200の範囲、グリセロール基の数は、例えば2〜30の範囲であることが可能である。また、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドのコポリマー、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドと脂肪族アルコールとの縮合体;好ましくは2〜30molのエチレンオキシドを有するポリエトキシレート化脂肪酸アミド並びにそれらのモノエタノールアミン及びジエタノールアミン誘導体、例えば平均1〜5、例えば1.5〜4のグリセロール基を含むポリグリセロール化脂肪酸アミド;2〜30molのエチレンオキシドを含有するもののようなポリエトキシレート化脂肪族アミン;2〜30molのエチレンオキシドを有するソルビタンのオキシエチレン化脂肪酸エステル;スクロースの脂肪酸エステル、ポリエチレングリコールの脂肪酸エステル、アルキルポリグリコシド、N−アルキルグルカミン誘導体、(C10−C14)アルキルアミンオキシド又はN−アシルアミノプロピルモルフォリンオキシドのようなアミンオキシドを挙げてもよい。
【0086】
毛髪染料
本発明の毛髪組成物は、好ましくは酸化染色組成物を含むが、これらに限定されない、毛髪着色組成物である。こうした組成物は、一次中間体としても知られる酸化毛髪染料前駆体とカップラーとを含み、多様な毛髪の色を毛髪に供給するであろう。これらの小さい分子は酸化剤により活性化され、更なる分子と反応してより大きい着色錯体を毛幹中に形成する。
【0087】
前駆体は、単独で又は他の前駆体と組み合わせて、用いることができ、1つ以上の前駆体を1つ以上のカップラーと組み合わせて用いることもできる。カップラー(色変性剤又は二次中間体としても知られる)は、一般に、活性化された前駆体の存在下で色を形成できる無色の分子であり、特定の色の効果を生成するため又は色を安定化させるために、他の前駆体又はカップラーと共に使用される。前駆体及びカップラーの選択は、所望の染色の色、色相、及び強度により決定されるであろう。前駆体及びカップラーを、本明細書において、単一で又は組み合わせにより用いて、灰色がかったブロンド色から黒までの範囲の多様な色相を有する染料を提供することができる。
【0088】
これらの化合物は、当該技術分野において周知であり、芳香族ジアミン、アミノフェノール、芳香族ジオール及びこれらの誘導体が挙げられる(酸化染料前駆体の代表的ではあるが非包括的なリストは、「化粧品の科学及び技術(Cosmetic Science and Technology)」(サガリン(Sagarin)著、インターサイエンス(Interscience)、特別版、第2巻、308〜310頁)に見出すことができる)。以下に述べる前駆体は、例示のためだけのものであり、本明細書の組成物及びプロセスを限定する意図でないことを理解すべきである。これらは、以下のものである。
【0089】
1,7−ジヒドロキシナフタレン(1,7−ナフタレンジオール)、1,3−ジアミノベンゼン(m−フェニレンジアミン)、1−メチル−2,5−ジアミノベンゼン(トルエン−2,5−ジアミン)、1,4−ジアミノベンゼン(p−フェニレンジアミン)、1,3−ジヒドロキシベンゼン(レゾルシノール)、1,3−ジヒドロキシ−4−クロロベンゼン、(4−クロロレゾルシノール)、1−ヒドロキシ−2−アミノベンゼン、(o−アミノフェノール)、1−ヒドロキシ−3−アミノベンゼン(m−アミノフェノール)、1−ヒドロキシ−4−アミノ−ベンゼン(p−アミノフェノール)、1−ヒドロキシナフタレン(1−ナフトール)、1,5−ジヒドロキシナフタレン(1,5−ナフタレンジオール)、2,7−ジヒドロキシナフタレン(2,7−ナフタレンジオール)1−ヒドロキシ−2,4−ジアミノベンゼン(4−ジアミノフェノール)、1,4−ジヒドロキシベンゼン(ヒドロキノン)、1−ヒドロキシ−4−メチルアミノベンゼン(p−メチルアミノフェノール)、6−ヒドロキシベンゾ−モルホリン(ヒドロキシベンゾモルホリン)、1−メチル−2−ヒドロキシ−4−アミノベンゼン(4−アミノ−2−ヒドロキシ−トルエン)、3,4−ジアミノ安息香酸(3,4−ジアミノ安息香酸)、1−メチル−2−ヒドロキシ−4−(2’−ヒドロキシエチル)アミノベンゼン(2−メチル−5−ヒドロキシ−エチルアミノ−フェノール)、1,2,4−トリヒドロキシベンゼン(1,2,4−トリヒドロキシベンゼン)、1−フェノール−3−メチルピラゾール−5−オン(フェニルメチルピラゾロン)、1−(2’−ヒドロキシエチロキシ)−2,4−ジアミノベンゼン(2,4−ジアミノフェノキシ−エタノールHCl)、1−ヒドロキシ−3−アミノ−2,4−ジクロロベンゼン(3−アミノ−2,4−ジクロロ−フェノール)、1,3−ジヒドロキシ−2−メチルベンゼン(2−メチルレゾルシノール)、1−アミノ−4−ビス−(2’−ヒドロキシエチル)アミノベンゼン(N,N−ビス(2−ヒドロキシ−エチル)−p−フェニレン−ジアミン)、2,4,5,6−テトラアミノピリミジン(HCレッド16)、1−ヒドロキシ−3−メチル−4−アミノベンゼン(4−アミノ−m−クレゾール)、1−ヒドロキシ−2−アミノ−5−メチルベンゼン(6−アミノ−m−クレゾール)、1,3−ビス−(2,4−ジアミノフェノキシ)プロパン(1,3−ビス−(2,4−ジアミノ−フェノキシ)−プロパン),1−(2’−ヒドロキシエチル)−2,5−ジアミノベンゼン(ヒドロキシエチル−p−フェニレンジアミンスルフェート)、1−メトキシ−2−アミノ−4−(2’−ヒドロキシエチルアミノ)ベンゼン、(2−アミノ−4−ヒドロキシエチルアミノアニソール)1−ヒドロキシ−2−メチル−5−アミノ−6−クロロベンゼン(5−アミノ−6−クロロ−o−クレゾール)、1−ヒドロキシ−2−アミノ−6−メチルベンゼン(6−アミノ−o−クレゾール)、1−(2’−ヒドロキシエチル)−アミノ−3,4−メチレンジオキシベンゼン(ヒドロキシエチル−3,4−メチレンジオキシ−アニリンHCl)、2,6−ジヒドロキシ−3,4−ジメチルピリジン(2,6−ジヒドロキシ−3,4−ジメチルピリジン)、3,5−ジアミノ−2,6−ジメトキシピリジン(2,6−ジメトキシ−3,5−ピリジンジアミン)、5,6−ジヒドロキシインドール(ジヒドロキシ−インドール)、4−アミノ−2−アミノメチルフェノール(2−アミノエチル−p−アミノ−フェノールHCl)、2,4−ジアミノ5−メチルフェネトール(2,4−ジアミノ−5−メチル−フェネトールHCl)、2,4−ジアミノ−5−(2’−ヒドロキシエチロキシ)トルエン(2,4−ジアミノ−5−メチルフェノキシエタノールHCl)、5−アミノ−4−クロロ−2−メチルフェノール(5−アミノ−4−クロロ−o−クレゾール)、4−アミノ1−ヒドロキシ−2−(2’−ヒドロキシエチルアミノメチル)ベンゼンヒドロキシエチルアミノメチル−p−アミノフェノールHCl)、4−アミノ−1−ヒドロキシ−2−メトキシメチルベンゼン(2−メトキシメチル−p−アミノフェノールHCl)、1,3−ビス(N(2−ヒドロキシエチル)N(4−アミノ−フェニル)アミノ)−2−プロパノール(ヒドロキシプロピル−ビス−(N−ヒドロキシ−エチル−p−フェニレンジアミン)HCl)、6−ヒドロキシインドール(6−ヒドロキシ−インドール)、2,3−インドリンジオン(ISATIN)、3−アミノ−2−メチルアミノ−6−メトキシピリジン(HCブルーNo.7)、1−フェニル−3−メチル−5−ピラゾロン−2,4−ジヒドロ−5,2−フェニル−3H−ピラゾール−3−オン、2−アミノ−3−ヒドロキシピリジン(2−アミノ−3−ヒドロキシピリジン)、5−アミノ−サリチル酸、1−メチル−2,6−ビス(2−ヒドロキシ−エチルアミノ)ベンゼン(2,6−ヒドロキシエチルアミノ−トルエン)、4−ヒドロキシ−2,5,6−トリアミノピリミジン(2,5,6−トリアミノ−4−ピリミジノールスルフェート)、2,2’−[1,2−エタンジイル−ビス−(オキシ−2,1−エタンジイロキシ)]−ビス−ベンゼン−1,4−ジアミン(PEG−3,2’,2’−ジ−p−フェニレンジアミン)、5,6−ジヒドロキシインドリン(ジヒドロキシインドリン)、N,N−ジメチル−3−ウレイドアニリン(m−ジメチル−アミノ−フェニルウレア)、2,4−ジアミノ−5−フルオロトルエンスルフェート水和物(4−フルオロ−6−メチル−m−フェニレンジアミンスルフェート)、及び1−アセトキシ−2−メチルナフタレン(1−ヒドロキシエチル−4,5−ジアミノピラゾールスルフェート)。これらは、分子形態又は過酸化物相溶性塩の形態で用いることができる。
【0090】
また本発明の毛髪着色組成物は、非酸化的毛髪染料、即ち、単独で又は上記の酸化染料と組み合わせて使用してもよい直接染料を包含してもよい。好適な直接染料としては、アゾ又はアントラキノン染料、ベンゼン系のニトロ誘導体及び/又はメラニン前駆体、及びこれらの混合物が挙げられる。このような直接染料は、色相修正又はハイライトを送達するのに特に有用である。特に好ましいものは、ベーシックレッド51、ベーシックオレンジ31、ベーシックイエロー87及びこれらの混合物である。
【0091】
本発明の毛髪染料組成物は、一般的に、約0.001%〜約10%の染料を含む。例えば、低強度の染色、例えば自然な金髪から薄茶色の毛髪の色合いを提供する組成物は、一般に染色組成物の約0.001重量%〜約5重量%、好ましくは約0.1重量%〜約2重量%、より好ましくは約0.2重量%〜約1重量%の前駆体及びカップラーを含むであろう。より暗い色相、例えば茶色及び黒は、典型的には、0.001重量%〜約10重量%、好ましくは約0.05重量%〜約7重量%、より好ましくは約1重量%〜約5重量%の前駆体及びカップラーを含む。
【0092】
ポリマー
本発明の組成物は、任意に、少なくとも約0.01%のポリマーを、以下に記載するような追加の増粘剤、レオロジー変性剤、安定化剤及び/又はコンディショニング剤として更に含んでもよい。
【0093】
ポリマーは、例えば、会合性ポリマーから選択されることが可能である。本明細書で使用するとき、「会合性ポリマー」という表現は、親水性単位及び疎水性単位の両方、例えば少なくとも1つのC8〜C30の脂肪鎖と少なくとも1つの親水性単位とを含む両親媒性ポリマーを意味する。使用してよい代表的な会合性ポリマーは、以下のものから選択される会合性ポリマーである:
(i)少なくとも1つの脂肪鎖と少なくとも1つの親水性単位とを含む非イオン性両親媒性ポリマー;例えば、少なくとも1つの脂肪鎖を含む基で修飾されたセルロース又はヒドロキシエチルセルロース、少なくとも1つの脂肪鎖を含む基で修飾されたヒドロキシプロピルグアー、少なくとも1つの脂肪鎖を含むポリエーテルウレタン、ビニルピロリドンと脂肪鎖疎水性モノマーとのコポリマー、親水性アクリレート又はメタクリレートと少なくとも1つの脂肪鎖を含む疎水性モノマーとのコポリマー。
(ii)少なくとも1つの親水性単位と少なくとも1つの脂肪鎖単位とを含むアニオン性両親媒性ポリマー;これらは、例えば、少なくとも1つの脂肪鎖アリルエーテル単位と、エチレン性不飽和アニオン性モノマー単位を含む少なくとも1つの親水性単位とを含むものから、又は不飽和オレフィン性カルボン酸種の少なくとも1つの親水性単位と、不飽和カルボン酸の(C8〜C30)アルキルエステル又はオキシアルキレン化(C8〜C30)アルキルエステルのような少なくとも1つの疎水性単位とを含むものから選択されてよく;アニオン性両親媒性ポリマーは更に架橋されていてもよい。
(iii)少なくとも1つの親水性単位と少なくとも1つの脂肪鎖単位とを含むカチオン性両親媒性ポリマー;これらは、例えば、四級化セルロース誘導体、及びアミノ側鎖基を含むポリアクリレートから選択されてよい。
(iv)少なくとも1つの親水性単位と少なくとも1つの脂肪鎖単位とを含む両性両親媒性ポリマー;例えば、メタクリルアミドプロピル−トリメチルアンモニウムクロライド/アクリル酸/C10〜C30アルキルメタクリレートコポリマーを挙げてもよく、アルキルラジカルは、例えば、ステアリルラジカルである。
【0094】
更に、ポリマーは、架橋アクリル酸ホモポリマー、(メタ)アクリル酸及び(C1〜C6)アルキルアクリレートの架橋コポリマー、又は多糖から選択することもできる。またポリマーは、下記のように、コンディショニング剤として役立つ可能性もある。
【0095】
アクリレート/ステアレス−20メタクリレートコポリマー(ローム・アンド・ハース(Rohm and Haas)から供給されるアキュリン(Aculyn)22)、及びアクリレートコポリマー(ローム・アンド・ハース社から供給されるアキュリン33)、及びキサンタンガム、カーボポール、レオザン、並びにこれらの混合物が特に好ましい。ポリマーは、一般に組成物の、約0.01重量%〜約20.0重量%、好ましくは約0.1重量%〜約5重量%の濃度で用いられるであろう。
【0096】
コンディショニング剤
本発明の組成物は、コンディショニング剤を含む組成物を含んでもよく、又はそれとの組み合わせにおいて用いられてもよい。本明細書において用いるのに好適なコンディショニング剤は、シリコーン物質、アミノシリコーン、脂肪族アルコール、ポリマー樹脂、ポリオールカルボン酸エステル、カチオン性ポリマー、カチオン性界面活性剤、不溶性油及び油由来物質、並びにこれらの混合物から選択される。追加の物質としては、鉱油及びグリセリン及びソルビトールのような他の油が挙げられる。
【0097】
コンディショニング剤は、一般に組成物の約0.05重量%〜約20重量%、好ましくは約0.1重量%〜約15重量%、より好ましくは約0.2重量%〜約10重量%、更により好ましくは約0.2重量%〜約2重量の濃度で用いられるであろう。
【0098】
特に有用なコンディショニング材料は、カチオン性ポリマー及びシリコーンである。カチオン性ポリマー型のコンディショナーは、化粧品組成物で処理したケラチン繊維の化粧品特性の少なくとも1つを改善するものとして当業者に既に知られているものから選択されてもよい。カチオン性ポリマーは、第一級、第二級、第三級及び第四級アミン基であって、ポリマー主鎖の一部を形成するか又はポリマー主鎖に直接結合する側鎖置換基に有されてもよいアミン基から選択される少なくとも1つのアミン基の単位を含むものから選択することができる。
【0099】
シリコーンは、ポリアルキルシロキサン(polyalkylsilioxane)オイル、トリメチルシリル又はヒドロキシジメチルシロキサン末端基を含有する直鎖ポリジメチルシロキサンオイル、ポリメチルフェニルシロキサン、ポリジメチルフェニルシロキサン、又はポリジメチルジフェニルシロキサンオイル、シリコーン樹脂、それらの一般構造中にシロキサン鎖と直接結合した1つあるいは同一又は異なる多数の有機官能基を有する有機官能性シロキサンから選択することができる。前記有機官能基は、ポリエチレンオキシ及び/又はポリプロピレンオキシ基、(過)フッ素化基、チオール基、置換又は非置換アミノ基、カルボキシレート基、ヒドロキシレート基、アルコキシル化基、クオタニウムアンモニウム基、両性及びベタイン基から選択される。シリコーンは、純流体として、又は事前に形成されたエマルションの形態として、使用され得る。アミノシリコーンが特に好ましい。
【0100】
キレート剤
本発明によると、組成物はキレート剤を含んでよい。キレート剤は、当該技術分野において周知であり、各々が金属イオンとキレートを形成できる分子又は異なる分子の混合物を指す。キレート剤は、当該技術分野において周知であり、その非包括的なリストは、AE・マーテル(AE Martell)及びRM・スミス(RM Smith)著、「臨界安定度定数(Critical Stability Constants)」(第1巻、プレナム出版社(Plenum Press)(ニューヨーク&ロンドン(1974年))、並びにAE・マーテル(AE Martell)及びRD・ハンコック(RD Hancock)著、「水溶液中の金属錯体(Metal Complexes in Aqueous Solution)」(プレナム出版社(Plenum Press)(ニューヨーク&ロンドン、(1996年))に見出すことができ、両者共、本明細書に参考として組み込まれる。
【0101】
本明細書において用いるのに適したキレート剤の例としては、EDDS(エチレンジアミン二コハク酸)、カルボン酸(特に、アミノカルボン酸)、ホスホン酸(特に、アミノホスホン酸)及びポリリン酸(特に、直鎖ポリリン酸)、それらの塩及び誘導体が挙げられる。
【0102】
キレート剤は、本発明の組成物中に安定剤及び/又は防腐剤として組み込まれてもよい。加えて、キレート剤は、毛髪繊維の損傷について効果を提供するので、それらは本発明の毛髪損傷の様相を更に改善するために使用されてもよいことが見出されてきている。本発明のキレート剤の濃度は、ジアミン−N,N’−ジポリ酸及びモノアミンモノアミド−N,N’−ジポリ酸キレート剤(例えば、EDDS)のような最も有効なキレート剤として、約0.1%、好ましくは少なくとも約0.25%、より好ましくは約0.5%の低さであってもよい。有効性が低いキレート剤は、キレート剤の有効性によって、より好ましくは、組成物の少なくとも約1重量%、更により好ましくは約2重量%を超える濃度で用いられるであろう。約10重量%の高さの濃度を用いることもできるが、この濃度を超えると、著しい処方の問題が生じる可能性がある。大多数のキレート剤は、本明細書において上で議論されたように、電解質対イオンの供給源をイオン性界面活性剤に提供するであろう。
【0103】
溶媒
本発明の組成物は、任意で水に加えて溶媒系を含む。本明細書で使用するとき、「溶媒系」という用語は、水以外の、組成物中のあらゆる溶媒を含む溶媒系を指す。
【0104】
本明細書の溶媒系に用いるのに好適な溶媒としては、アミド、エステル、エーテル、ケトン、環状アミド、環状エステル、環状ケトン、環状エーテル、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。このような溶媒の非限定例としては、ギ酸エチル、ジメチルイソソルビド、アセチルアセトン、2−ブタノン、アセトン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、エトキシエタノール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、乳酸ブチル、t−ブチルアルコール、酢酸フェニル、2−プロポキシエタノール、イソプロポキシエタノール、メトキシプロパノール、乳酸イソプロピル、ヘキシルアルコール、ブトキシエタノール、トリプロピレングリコール(PPG−3)、トリアセチン、メトキシエタノール、イソプロピルアルコール、PEG−8、乳酸メチル、PEG−6、PEG−5、PEG−4、N−メチルピロリドン、プロピルアルコール、ジプロピレングリコール(PPG−2)、アセトニトリル、フェノキシエタノール、トリエチレングリコール、ヘキシレングリコール、エチルアルコール、γ−ブチロラクトン、ブチレングリコール、炭酸プロピレン、ジメチルスルホキシド、ジエチレングリコール、エトキシジグリコール、プロピレングリコール、ピロリドン、ピロリドン−2、メチルアルコール、炭酸エチレン、エチレングリコール、アセトアミド、グリセリン、ブチルカルビトール、1,3−ジオキソラン、ジメトキシメタン、1,2−ヘキサンジオール、ジプロピレングリコールブチルエーテル、ジプロピレングリコールt−ブチルエーテル、プロピオンアルデヒド、ジエトキシメタン及びグリセロールホルマールが挙げられる。
【0105】
本明細書の溶媒系に用いるのに好ましい溶媒としては、低級アルカノール、C2〜C6のポリオール、グリコールモノ−低級アルキルエーテル、ジグリコールモノ−低級−アルキルエーテル、及びN−低級アルキルピロリドンが挙げられる。用語「低級」とは、炭素原子数が3以下であることを意味する。具体例としては、エタノール、イソプロピルアルコール等の低級アルカノール;エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、グリセリン等の低級ポリオール;2−メトキシエタノール及び2−エトキシエタノール等のグリコールモノエーテル;メトキシジグリコール、エトキシジグリコール等のジグリコールモノ−低級アルキルエーテル;並びにN−メチルピロリドン及びN−エチルピロリドン等のN−低級−アルキルピロリドンが挙げられる。
【0106】
本発明によると、蠕虫状ミセル相増粘系の存在に起因して、毛髪着色及び/又は脱色組成物は、典型的な製剤よりも必要とされる溶媒がより少ないので、10%未満、好ましくは8%未満、より好ましくは5%未満の溶媒を含む。
【0107】
ラジカルスカベンジャー
本発明の毛髪着色及び脱色組成物は、本発明の蠕虫状のミセル相増粘系のための電解質として使用してよいラジカルスカベンジャーの供給源を含んでいてよい。本明細書で使用するとき、用語「ラジカルスカベンジャー」とは、ラジカル、好ましくは炭酸ラジカルと反応して、該ラジカルを一連の速い反応によって反応性のより低い種に変換させることのできる種を指す。
【0108】
本明細書において用いるのに好適なラジカルスカベンジャーとしては、次の一般式に記載の化合物が挙げられる:
(I):R1−Y−C(H)(R3)−R4−(C(H)(R5)−Y−R6n
式中、YはNR2、O、又はS、好ましくはNR2であり、nは0〜2であり、R4は一価又は二価であり、且つ(a)置換又は非置換、直鎖状又は分枝状、アルキル、モノ−又はポリ−不飽和アルキル、ヘテロアルキル、脂肪族、ヘテロ脂肪族、又はヘテロオレフィン系、(b)置換又は非置換、単環式又は多環式脂肪族、アリール、又は複素環系、又は(c)置換又は非置換、モノ−、ポリ−、又はペルフルオロアルキル系から選択され;(a)、(b)、及び(c)の系は、炭素原子1〜12、及びO、S、N、P、及びSiから選択されるへテロ原子0〜5を含み;R4は、R3又はR5と連結して5、6、又は7員環を作ることができ;R1、R2、R3、R5、及びR6は一価であり、且つ上記の(a)、(b)及び(c)、又はHから、独立して選択される。
【0109】
好ましくはR4は、(a)置換又は非置換、直鎖状又は分枝状のアルキル、ヘテロアルキル、脂肪族、ヘテロ脂肪族、又はヘテロオレフィン系、(b)置換又は非置換、単環式又は多環式の脂肪族、アリール、又は複素環系、あるいは(c)置換又は非置換、モノ−、ポリ−又はペル−フルオロアルキル系から選択され;より好ましくは、R4は、(a)置換又は非置換、直鎖状又は分枝状のアルキル、ヘテロアルキル、脂肪族、又はヘテロ脂肪族系、(b)置換又は非置換のアリール、又は複素環系、あるいは(c)置換又は非置換のモノ−、ポリ−又はペル−フルオロアルキル系から選択され;より好ましくは、置換又は非置換、直鎖状又は分枝状のアルキル又はヘテロアルキル系から選択される。
【0110】
好ましくは、本明細書で上述した(a)、(b)、及び(c)のR4系は、1〜8の炭素原子、好ましくは1〜6、より好ましくは1〜4の炭素原子、及び0〜3のへテロ原子、好ましくは0〜2のへテロ原子、最も好ましくは0〜1のへテロ原子を含む。前記系がへテロ原子を含有する場合、前記系が1個のへテロ原子を含有するのが好ましい。好ましいへテロ原子としては、O、S、及びNが挙げられ、より好ましいのはO及びNであり、最も好ましいのはOである。
【0111】
好ましくは、R1、R2、R3、R5、及びR6は、上記R4について定義した系のいずれか、及びHから独立して選択される。別の実施形態では、R1、R2、R3、R4、R5、及びR6基のいずれかが置換されている。好ましくは、その置換基は、(a)(i)置換又は非置換、直鎖状又は分枝状の、アルキル、モノ−又はポリ不飽和アルキル、ヘテロアルキル、脂肪族、ヘテロ脂肪族、又はヘテロオレフィン系、(ii)置換又は非置換、単環式又は多環式の脂肪族、アリール、又は複素環式系、あるいは(iii)置換又は非置換、モノ−、ポリ−又はペル−フルオロアルキル系から成るC−結合一価置換基の群であって、前記(i)、(ii)及び(iii)の系は1〜10の炭素原子とO、S、N、P及びSiから選択される0〜5のヘテロ原子とを含む;(b)SA1、SCN、SO21、SO31、SSA1、SOA1、SO2NA12、SNA1A2及びSONA12から成るS−結合一価置換基の群;(c)OA1、OCN及びONA12から成るO−結合一価置換基の群;(d)NA12、(NA123)+、NC、NA1OA2、NA1SA2、NCO、NCS、NO2、N=NA1、N=NOA1、NA1CN、NA1NA23から成るN−結合一価置換基の群;(e)COOA1、CON3、CONA12、CONA1COA2、C(=NA1)NA12、CHO、CHS、CN、NC及びXから成る一価置換基の群;並びに(f)1〜12の炭素原子と0〜4のヘテロ原子とを含むモノ−、ポリ−又はペル−フルオロアルキル系から成るフルオロアルキル一価置換基から成る群から選択される。
【0112】
上述の(b)〜(e)群において、A1、A2及びA3は一価であり、また以下のもの:(1)H、(2)置換又は非置換、直鎖状又は分枝状のアルキル、モノ−又はポリ−不飽和アルキル、ヘテロアルキル、脂肪族、ヘテロ脂肪族、又はヘテロオレフィン系、(3)置換又は非置換、単環式又は多環式の脂肪族、アリール、又は複素環式系、あるいは(4)置換又は非置換、モノ−、ポリ−又はペル−フルオロアルキル系から独立して選択され;前記の(2)(3)及び(4)の系は、1〜10の炭素原子と、O、S、N、P、及びSiから選択される0〜5のヘテロ原子とを含み;並びにここで、Xは、F、Cl、Br及びIから成る群より選択されるハロゲンである。
【0113】
本明細書において用いるのに好ましい置換基としては、−0.65〜+0.75、好ましくは−0.4〜+0.5のハメット(Hammett)・シグマ・パラ(σp)値を有するものが挙げられる。ハメットシグマ値は、有機化学の進歩−反応、機構、及び構造(Advanced Organic Chemistry-Reactions, Mechanisms and Structure)(ジェリー・マーチ(Jerry March)、第5版(2001年)、368−375頁)に記載されている。
【0114】
本明細書において用いるのに好適な別のラジカルスカベンジャーは、一般式(II)に記載の化合物である:
【0115】
【化1】

式中、R1、R2、R3、R4、及びR5はそれぞれ独立して、H、COO-+、Cl、Br、SO3-+、NO2、OCH3、OH、又はC1〜C10の一級又は二級アルキルから独立して選択され、MはH又はアルカリ金属のいずれかである。好ましくは、ヒドロキシ基のプロトン化を確実にするために、上記のラジカルスカベンジャーは、8.5超のpKaを有する。
【0116】
本明細書で用いるのに好適な他のラジカルスカベンジャーとしては、群(III)ベンジルアミン、イミダゾール、ジ−tert−ブチルヒドロキシトルエン、ヒドロキノン、グアニン、ピラジン、ピペリジン、モルホリン、メチルモルホリン、2メチルオキシエチルアミン(2methyoxyethylamine)、及びこれらの混合物の群から選択されるものが挙げられる。
【0117】
本発明による好ましいラジカルスカベンジャーは、アルカノールアミン、アミノ糖、アミノ酸、アミノ酸エステル、及びこれらの混合物の部類から選択される。特に好ましい化合物は、モノエタノールアミン、3−アミノ−1−プロパノール、4−アミノ−1−ブタノール、5−アミノ−1−ペンタノール、1−アミノ−2−プロパノール、1−アミノ−2−ブタノール、1−アミノ−2−ペンタノール、1−アミノ−3−ペンタノール、1−アミノ−4−ペンタノール、3−アミノ−2−メチルプロパン−1−オール、1−アミノ−2−メチルプロパン−2−オール、3−アミノプロパン−1,2−ジオール、グルコサミン、N−アセチルグルコサミン、グリシン、アルギニン、リジン、プロリン、グルタミン、ヒスチジン、サルコシン、セリン、グルタミン酸、トリプトファン、及びこれらの混合物、及びカリウム塩、ナトリウム塩、アンモニウム塩のようなそれらの塩、及びこれらの混合物である。特に好ましい化合物は、グリシン、サルコシン、リジン、セリン、2−メトキシエチルアミン、グルコサミン、グルタミン酸、モルホリン、ピペリジン、エチルアミン、3−アミノ−1−プロパノール、及びこれらの混合物である。
【0118】
本発明に記載のラジカルスカベンジャーは、好ましくは、ラジカルスカベンジャーの毛髪繊維中への浸透を促進するために、約500未満、好ましくは約300未満、より好ましくは約250未満の分子量を有する。本発明の組成物は、好ましくは、約0.1重量%〜約10重量%、好ましくは約1重量%〜約7重量%のラジカルスカベンジャーを含む。またラジカルスカベンジャーは、アルカリ化剤と同一の種にならないように好ましくは選択される。本発明の一実施形態によると、ラジカルスカベンジャーは、毛髪繊維への適用前に毛髪染料組成物中においてその場で形成されてもよい。
【0119】
使用方法
本明細書に記載される使用方法の実施例及び実施形態は、単に例示することが目的であり、本発明の範囲から逸脱することなくその種々の修正又は変更が当業者に提示されることが理解される。
【0120】
酸化毛髪着色組成物は、別個の容器のような個別包装された成分において、酸化染料、前駆体、及び典型的には適したキャリア中のアンモニアであるアルカリ化剤を含む染料成分(エマルションは「染料クリーム」又は溶液は「染料液」とも呼ばれる)、並びに酸化剤(通常は、過酸化水素)を含む過酸化水素成分(エマルションは「過酸化水素クリーム」、又は溶液は「過酸化水素液」とも呼ばれる)を含むキットにおいて通常販売される。消費者は、染料成分及び過酸化水素成分を、使用直前に混合し、それを毛髪上へ塗布する。
【0121】
同様に、脱色組成物もまた、典型的に2又は3の別個の容器の中に個別包装された2つ又は3つの成分を含むキットとして通常販売される。第一成分はアンモニウムイオン供給源(例えば、アンモニア)を含み、第二成分は酸化剤を含み、及び第三成分(任意)は第二の酸化剤を含む。脱色組成物は、毛髪への使用及び適用の直前に、上記の組成物を混合することにより、得られる。
【0122】
(毛髪すべてへの均一な塗布を確かにするため)数分間混合物を処理した後、染色又は脱色が起こるのに十分な量で酸化染料又は脱色組成物を(通常、約2〜60分、典型的には約30〜45分)毛髪上に残留させる。次に、消費者は、彼/彼女の毛髪を水で完全にすすいで、乾燥させる。毛髪が元の色から所望する色に変化したことが確認できる。
【0123】
酸化染料組成物及び酸化脱色組成物中に存在する時、任意のコンディショニング剤は、第三の容器内に提供され得る。後者の場合、すべての3つの組成物が、使用直前に混合され共に塗布されることができるか、又は第三の容器中の内容物が、他の容器の混合の結果得られる酸化染料組成物又は酸化脱色組成物の直後に後処置として、(任意のすすぎ工程の後に)塗布され得る。
【0124】
酸化毛髪染料組成物の場合、蠕虫状ミセル相増粘系は、染料成分内又は過酸化水素成分内あるいは両方の成分内に含まれてもよい。あるいは、蠕虫状ミセル相増粘系が、個々の成分の混合に際し形成されるように、蠕虫状ミセル相増粘系は、毛髪着色又は脱色キットの様々な成分の間に分布するその個々の成分を有してもよい。
【0125】
そのため、結果として得られる、混合された本発明による毛髪着色又は脱色組成物は、好ましくは、1Pa・s(1000cPs)〜60Pa・s(60000cP)、好ましくは2Pa・s(2000cPs)〜30Pa・s(30000cP)、最も好ましくは3Pa・s(3000cPs)〜25Pa・s(25000cP)の粘度を有する。さらに、混合前に、毛髪染料成分(第二成分)及び/又は酸化成分(第一成分)は、1Pa・s(1000cPs)未満の粘度を有してもよい;そのような組成物は、「希薄−希薄(thin−thin))」又は「液体」着色剤と称されることが多い。結果として得られる第一酸化成分i)及び第二成分ii)の混合物、すなわち頭上に適用される毛髪着色又は脱色組成物の粘度は、1Pa・s(1000cPs)〜60Pa・s(60000cPs)、好ましくは2Pa・s(2000cPs)〜30Pa・s(30000cPs)、より好ましくは3Pa・s(3000cPs)〜25Pa・s(25000cPs)である。
【0126】
本発明の別の実施形態では、酸化染毛料又は脱色組成物は、任意の第四成分として、カラーリフレッシャー(colour referesher)組成物を含んでもよい。そのようなカラーリフレッシャー組成物は、前もって形成された染料を少なくとも1つ含み、酸化着色直後、すなわち、酸化毛髪染料又は脱色剤の適用後約1分〜適用後60日に毛髪に適用されてよい。これらのカラーリフレッシャー組成物は、次に酸化着色又は脱色するときまで、得られた初期の色を高めるため及び/又は洗浄及び整髪周期の間に色を増強するために使用することができる。
【0127】
本発明のさらに別の実施形態では、毛髪着色及び/又は脱色及び/又はハイライト組成物は、消費者の毛髪上に組成物を適用するための装置をさらに含む。そのような装置は、当該技術分野において既知であり、ブラシとコーム(これらは組成物容器に直接付着されてもよく、あるいは独立して使用されてもよい)、並びにハイライトキャップ(highlighting caps)及びホイル、及び同種のものが挙げられる。
【0128】
本発明によれば、毛髪を染色又は脱色する方法は、組成物を毛髪に塗布し、好ましくは混合物を数分間作用させる(毛髪全体に均等に塗布するため)実施形態も含む。次に、色を発現させるために、約20分未満、好ましくは約15分未満、より好ましくは約5分〜約10分、最も好ましくは約10分の時間、前記組成物を毛髪上に残留させる。次に、消費者は、彼/彼女の毛髪を水で完全にすすぎ、通常通り毛髪を乾燥及び/又は整髪する。このような方法は、より速い染色又は脱色プロセスを可能にすることで、消費者に更なる利便性を提供する。
【0129】
本発明の別の実施形態によれば、また毛髪の染色及び/又は脱色方法は、少なくとも2つの連続的な酸化毛髪着色又は毛髪脱色処理の工程を含む連続的な酸化毛髪着色又は酸化的毛髪脱色を行う方法でもあり、ここで各処理間の期間は、1〜60日、好ましくは1〜40日、より好ましくは1〜28日、更により好ましくは1〜14日、最も好ましくは1〜7日である。このような実施形態においては、頭上に組成物を保持する時間は約20分未満でもよく、好ましくは約10分未満、最も好ましくは約2分〜約5分である。この方法により、消費者は、従来の毛髪洗浄又はコンディショニングプロセスに類似した方法で、着色又は脱色プロセスを実施することができる。
【0130】
本明細書において上記されたキットは、当該技術分野において周知であり、各容器内の組成物を、あらゆる標準的な取り組みの1つを利用して製造することができ、これらは、例えばホット又はコールドミキシング工程を包含する。例えば、「コールドミキシング」工程を使用するとき、室温において、本発明の界面活性剤及び電解質を、組成物の水全量のおよそ50%に添加し30〜60分間混合して、蠕虫状ミセル増粘プレミックスを形成する;次に、このプレミックスを、残りの量の水及び他の任意成分とコールドミキシングし、上記の脱色又は着色キットの第一部を形成する。脱色及び着色キットの第二部分は、水を80℃に事前加熱し、全ての高融点の任意構成成分を添加した後、40℃未満に冷却し、酸化剤と残りの任意構成成分を添加して30〜60分間均一化することにより、製造することができる。
【0131】
試験方法
蠕虫状ミセル相試験方法
溶液中の蠕虫状ミセル相の存在は、低温遷移電子顕微鏡法(TEM)のような当該技術分野において既知の標準方法により、容易に確認することができる。本方法は、本明細書に参考として組み込まれる物理化学ジャーナル(Journal of Physical Chemistry)(1992年、96、474−484頁)に詳細に記載されている。
【0132】
低温TEM試料は、制御された環境ガラス化系(environment vitrification system)、又は電子顕微鏡ジャーナル(Journal of Electron Microscopy)(1988年、10、87−111頁)に詳述するCEVSで調製された。CEVSでは、温度は25℃に設定され、±0.1℃以内に制御された。試料をCEVSに導入する前に、チャンバーを液体容器から上へ広がる多孔質スポンジに合わせた。チャンバー内の空気を、温度と蒸気内の組成物勾配を低減するために、スポンジ全体で再循環した。チャンバー内の高い相対湿度は、試料からの水の蒸発を低減し、乾燥から物品を保護する。
【0133】
炭素でコーティングされており、且つ標準TEM格子の表面に載せられた、穴のあいたポリマー支持体フィルム上に、試料液の3μL液滴を置くことにより、各試料の薄いフィルムが形成された。試料の薄い(10〜500nm)フィルムが残り、支持体フィルムに2〜8μmの穴が広がるように、液滴を濾紙で吸い取った。次いで、アセンブリを、チャンバー底部において同期シャッターを通じてその凝固点で液体エタンに急速に沈めることによってガラス化させた。
【0134】
ガラス化した試料は、分析電子顕微鏡(JEOLモデルJEM100CX及び120CX及びフィリップス(Phillips)CM12)の従来のTEMモードで、100−120kVで試験された。イメージングの間、低温移動保持温度(cryo transfer holder temperature)は、−165℃未満に保持された。像は、十分な相の対照を提供するため、顕微鏡対物レンズの焦点の下、およそ4μmで記録され、これは、像における光学密度の勾配に対して主に信頼できる。蠕虫状ミセルは、 顕微鏡写真で、直径およそ5nm、長さ2μmの無秩序に配向した棒様又は曲線の蠕虫状形状として、確認される。蠕虫状ミセルの低温TEM像の例は、物理化学ジャーナル(Journal of Physical Chemistry)(1992年、96、474−484頁)に見ることができ、これは、本明細書に参考として組み込まれる。
【0135】
蠕虫状ミセル相増粘系試験方法
本発明に記載の酸化毛髪染料及び/又は脱色組成物中における蠕虫状ミセル増粘相系の存在は、下記の方法に従って確認することができる。組成物の次の成分は、適した容器内で25℃において、最終組成物において使用される試料の量と同じ量で組み合わされる:
組成物を100%にするまでの、全てのイオン性界面活性剤、もし存在するならば、全ての任意の両性界面活性剤、もし存在するならば全ての任意の非イオン性界面活性剤、イオン性界面活性剤へ対イオンを提供する全ての電解質、全ての酸化剤、全ての溶媒、及び水。
【0136】
成分を、少なくとも1時間完全に混合した後、組成物をろ過してあらゆる不溶物質を除去する。次に、本明細書において上記された低温TEM手順を使用して、ろ液は、蠕虫状ミセルの存在が調査される。
【0137】
ろ液の粘度は、本明細書に記載された方法に従って、コーン及びプレート付属物を有するブルックフィールド粘度計を使用して測定される。低温TEM顕微鏡写真が、蠕虫状ミセルの少なくとも一部/区分を示す場合、且つ、粘度が少なくとも1Pa・s(1000cPs)である場合、蠕虫状ミセル増粘相の存在が確立される。
【0138】
粘度(Viscosty)試験方法
粘度は、コーン及びプレート付属品を有するブルックフィールド粘度計を用いて測定される。0Pa・s(0cPs)〜12Pa・s(12,000cPs)の範囲内の粘度においては、S42プレート付きのブルックフィールドDV−11粘度計を使用する。組成物の2mL試料を、26.7℃にて3分間平衡に保ってから、0.1rad/s(1rpm)単位で値を読み取る。12Pa・s(12,000cPs)〜50Pa・s(50,000cPs)の範囲内の粘度においては、S52プレート付きのブルックフィールド)DV−1粘度計を使用する。組成物の0.5mL試料を、26.7℃にて1分間平衡に保ってから、0.1rad/s(1rpm)単位で値を読み取る。
【実施例】
【0139】
次の例は、本発明の酸化染料組成物を示す。本明細書に記載される実施例及び実施形態は、単に例示することが目的であり、本発明の範囲から逸脱することなくその種々の修正又は変更が当業者に提示されることが理解される。
【0140】
(実施例1〜10)(混合組成物)
【0141】
【表2】

【0142】
【表3】

【0143】
(実施例11〜13)(混合組成物)及び比較実施例(混合組成物)
【0144】
【表4】

【0145】
実施例1−13において、本明細書において上で定義された方法を使用して、混合系の粘度は、6Pa・s(6000cPs)〜10Pa・s(10000cPs)である。これらの実施例は、蠕虫状ミセル増粘相を有することが確認される。実施例14は、非増粘の蠕虫状ミセル相の比較実施例である。すなわち、本明細書に記載された蠕虫状ミセル増粘系の存在の確認方法の適用により、蠕虫状ミセルが存在するが、粘度は、水同様であることが確認されたため、本明細書に記載された方法を使用して測定することができない。従って、実施例14は、本発明に記載の蠕虫状ミセル増粘系ではない。
【0146】
(実施例15−16)
次の毛髪染色組成物が調製される(パートA):
【0147】
【表5】

【0148】
実施例15及び16の組成物(パートA)の粘度は、1Pa・s(1000cPs)未満であり、すなわちそれは希薄−希薄(thin−thin)組成物である。
【0149】
次の顕色剤組成物が調製される(パートB):
【0150】
【表6】

【0151】
パートA及びパートBは、毛髪上への塗布前に混合され、混合製剤の粘度は、1Pa・s(1000cPs)〜60Pa・s(60000cPs)の範囲内である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
毛髪着色及び/又は脱色組成物であって、
i)少なくとも1つの酸化剤、並びに
ii)少なくとも1つの蠕虫状ミセル増粘系であって、次を含むもの
a)0.1〜40.0%の少なくとも1つのイオン性界面活性剤及び任意に少なくとも1つの両性界面活性剤、及び
b)少なくとも0.25モル/kgの濃度を有する前記イオン性界面活性剤のための対イオンの少なくとも1つの電解質供給源であり、ここで、前記対イオンの全濃度Cは、式:C=ΣM*10(z-1) (式中、Mは各対イオンのモル濃度に相当し、zは各対イオンに対応する電荷に相当する)に従って定義されるもの
を含む組成物。
【請求項2】
前記組成物が、10%未満の溶媒、好ましくは8%未満の溶媒を含む請求項1に記載の毛髪着色及び/又は脱色組成物。
【請求項3】
前記イオン性界面活性剤が、アルキルスルフェート、アルキルエーテルスルフェート、アルキルホスフェート、アルキルエーテルホスフェート、アルキルグリセリルスルフォネート、N−アシルサルコシネート、N−アシルタウレート、アシルラクチレート、アルキルポリグルコシドのカルボキシアルキルエーテル、脂肪酸塩、アルキルエーテルカルボキシレート及びこれらの混合物から選択されるアニオン性界面活性剤である請求項1に記載の毛髪着色及び/又は脱色組成物。
【請求項4】
前記イオン性界面活性剤が、第四級アンモニウム塩、アミドアミン及びこれらの混合物から選択されるカチオン性界面活性剤である請求項1に記載の毛髪着色及び/又は脱色組成物。
【請求項5】
前記組成物が、少なくとも1つの両性界面活性剤又は双極性界面活性剤、好ましくはアルキル−アンホモノ−及びジ−アセテート、アルキルイミノジアセテート、アルキルアミドプロピルベタイン、アルキルアミドベタイン、アルキルベタイン、アルキルジメチルアミンオキシド、ジヒドロキシエチルアルキルアミンオキシド、アルキルアミンオキシド、ジヒドロキシエチルアミンオキシド及びこれらの混合物から選択される少なくとも1つの両性界面活性剤又は双極性界面活性剤をさらに含む請求項1〜4のいずれか一項に記載の毛髪着色及び/又は脱色組成物。
【請求項6】
前記両性界面活性剤が、コカミドプロピルベタイン、ラウリルアンホ酢酸ナトリウム又はこれらの混合物から選択される請求項5に記載の毛髪着色及び/又は脱色組成物。
【請求項7】
前記イオン性界面活性剤が、N−アシルサルコシネート、アルキルスルフェート、アルキルホスフェート、アルキルエーテルスルフェート、アルキルエーテルホスフェート及びこれらの混合物から選択され、且つ前記両性界面活性剤又は双極性界面活性剤が、ココアミドプロピルベタイン、ラウリルアンホ酢酸ナトリウム及びこれらの混合物から選択される請求項1又は5に記載の毛髪着色及び/又は脱色組成物。
【請求項8】
前記イオン性界面活性剤のための対イオンの供給源としての前記電解質が、0.50モル/kg〜4モル/kg、好ましくは1モル/kg〜3モル/kgの濃度Cを有する請求項1〜7のいずれか一項に記載の毛髪着色及び/又は脱色組成物。
【請求項9】
前記イオン性界面活性剤のための対イオンの供給源としての前記電解質が、炭酸イオンの供給源、アンモニウムイオンの供給源、ラジカルスカベンジャーの供給源及びこれらの混合物から選択される請求項1〜8のいずれか一項に記載の毛髪着色及び/又は脱色組成物。
【請求項10】
前記炭酸イオンの供給源が、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、カルバミン酸アンモニウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム及びこれらの混合物から選択される請求項9に記載の毛髪着色及び/又は脱色組成物。
【請求項11】
前記アンモニウムイオンの供給源が、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、酢酸アンモニウム及びこれらの混合物から選択される請求項9に記載の毛髪着色及び/又は脱色組成物。
【請求項12】
前記ラジカルスカベンジャーの供給源が、グリシン、サルコシン、リジン、セリン、グルタミン酸の、カリウム塩、ナトリウム塩及びアンモニウム塩、並びにこれらの混合物から選択される請求項9に記載の毛髪着色及び/又は脱色組成物。
【請求項13】
前記組成物が8.4〜9.5のpHを有する請求項1に記載の毛髪着色及び/又は脱色組成物。
【請求項14】
前記組成物が、1Pa・s(1000cPs)〜60Pa・s(60000cPs)、好ましくは2Pa・s(2000cPs)〜30Pa・s(30000cPs)、最も好ましくは3Pa・s(3000cPs)〜25Pa・s(25000cPs)の粘度を有する請求項1〜13のいずれか一項に記載の毛髪着色及び/又は脱色組成物。
【請求項15】
前記組成物が、少なくとも1つの酸化染料前駆体及び/又は少なくとも1つの予め形成された染料をさらに含む請求項1〜14のいずれか一項に記載の毛髪着色及び/又は脱色組成物。
【請求項16】
前記組成物が、少なくとも1つのポリマー、好ましくは会合性ポリマー、架橋アクリル酸ホモポリマー、(メタ)アクリル酸と(C1〜C6)アルキルアクリレートとの架橋コポリマー、エステル型及びアミド型のエチレン性不飽和モノマーを含む非イオン性ホモポリマー及びコポリマー、アンモニウムアクリレートホモポリマー及びアンモニウムアクリレートとアクリルアミドとのコポリマー、又は多糖類、並びにこれらの混合物から選択される少なくとも1つのポリマーを含む請求項1〜15のいずれか一項に記載の毛髪着色及び/又は脱色組成物。
【請求項17】
毛髪着色及び/又は脱色キットであって、
i)過酸化水素の少なくとも1つの供給源を含む、個別包装された第一酸化成分、並びに
ii)個別包装された第二成分であって、次を含むもの
a)0.1〜40.0%の少なくとも1つのイオン性界面活性剤、及び
b)前記イオン性界面活性剤のための対イオンの少なくとも1つの電解質供給源
を含み、
ここで、前記第一成分i)及び第二成分ii)を混合するに際し、得られる組成物混合物は、前記イオン性界面活性剤と少なくとも0.25モル/kgの濃度Cの対イオンの供給源としての前記電解質とを含む少なくとも1つの蠕虫状ミセル増粘系を含み、ここで、Cは次の式:C=ΣM*10(z-1) (式中、Mは各対イオンのモル濃度に相当し、zは各対イオンに対応する電荷に相当する)により定義される、キット。
【請求項18】
毛髪着色及び/又は脱色キットであって、
i)個別包装された第一酸化成分であって、次を含むもの
a)過酸化水素の少なくとも1つの供給源、及び
b)0.1〜40.0%の少なくとも1つのイオン性界面活性剤、並びに
ii)前記イオン性界面活性剤のための対イオンの少なくとも1つの電解質を含む、個別包装された第二成分
を含み、
ここで、前記第一成分i)及び第二成分ii)を混合するに際し、得られる組成物混合物は、前記イオン性界面活性剤と少なくとも0.25モル/kgの濃度Cの対イオンの供給源としての前記電解質とを含む少なくとも1つの蠕虫状ミセル増粘系を含み、ここで、Cは次の式:C=ΣM*10(z-1) (式中、Mは各対イオンにモル濃度に相当し、zは各対イオンに対応する電荷に相当する)により定義される、キット。
【請求項19】
前記第二成分ii)の粘度が1Pa・s(1000cPs)未満であり、得られる前記第一成分i)及び第二成分ii)の組成物混合物の粘度が1Pa・s(1000cPs)〜60Pa・s(60000cPs)、より好ましくは2Pa・s(2000cPs)〜30Pa・s(30000cPs)である請求項17又は18に記載の毛髪着色又は脱色キット。
【請求項20】
個別包装された第一成分組成物及び個別包装された第二成分組成物を含む毛髪着色及び/又は脱色キットであって、前記第一成分組成物及び前記第二成分組成物が、独立して、1Pa・s(1000cPs)未満の粘度を有し、前記第一成分組成物及び前記第二成分組成物の混合に際し、得られる組成物混合物が、1Pa・s(1000cPs)〜60Pa・s(60000cPs)の粘度を有し、前記得られる組成物が、蠕虫状ミセル相増粘系を含み、10%未満の溶媒を含む、キット。
【請求項21】
毛髪着色及び/又は毛髪脱色及び/又は毛髪ハイライト組成物を増粘するための蠕虫状ミセル系の使用。

【公表番号】特表2008−536948(P2008−536948A)
【公表日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−507999(P2008−507999)
【出願日】平成18年4月25日(2006.4.25)
【国際出願番号】PCT/US2006/015689
【国際公開番号】WO2006/118879
【国際公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】