説明

気体圧力検出装置とそれを用いた粉粒体輸送装置

【課題】 輸送状態時に外気の流入を防止すると共に圧力変動を迅速に検出し、二次空気調整を容易にできる気体圧力検出装置、及びこの気体圧力検出装置を用いることで安定した輸送の行える粉粒体輸送装置を提供すること。
【解決手段】 気体流の生じる筒体61内に移動自在に嵌挿される閉塞体本体部62Aと、該閉塞体本体部62Aの上部に設けられ、輸送状態時には筒体61の外気口61Aを閉塞する環状鍔部62Bとからなる閉塞体62と、筒体61内に臨み、かつ閉塞体62を気体流による圧力変動に応じて移動可能とする固定軸64と、固定軸64又は閉塞体62に常態時に筒体61の外気口61Aを開放するように付勢した弾性体65とを備え、閉塞体62の環状鍔部62Bは、輸送状態時には弾性体65の付勢力に抗して筒体61の外気口61Aを閉塞し、非輸送状態時には弾性体65の付勢力により筒体61の外気口61Aを開放するようにしたこと。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気体の流れによる圧力変動を信号として検出し、この検出信号を必要とする装置に送る気体圧力検出装置と、この気体圧力検出装置を用いて、合成樹脂原料の粉粒体等を気体の流れにより輸送する粉粒体輸送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の粉粒体輸送装置とそれに用いる気体圧力検出装置としては、特許文献1(特開2000−153922号公報)に記載されているようなものが知られている。この特許文献1に記載されたものを図7ないし図9に基づいて以下に説明する。
【0003】
図7において、粉粒体輸送装置は、合成樹脂成形材料として粉粒体が貯留された2基の粉粒体貯留槽101,101と、粉粒体貯留槽101,101の下部に開閉装置105,105を介して接続された輸送管114と、輸送管114の終端に接続されて気体と粉粒体とを分離する捕集器131と、捕集器131を介して輸送管114の内圧を負圧とすることによって輸送管114内に空気の気体流を生じさせ、粉粒体貯留槽101,101に貯留された粉粒体を輸送管114を介して捕集器131へ気体流で輸送する吸引装置139とを主な構成としている。
【0004】
そして、前記粉粒体貯留槽101の下部に接続された開閉装置105は、輸送管114の始端側に設けられた輸送管路内の圧力変動を検出する圧力検出手段112の検出信号に応じて開閉装置105を開閉制御する第1制御装置110と信号線111Aで接続されている。また、開閉装置105はモーター等の作動装置109で作動されるもので、該作動装置109はマイクロコンピューターを有する第1制御装置110に信号線111Aで接続されている。
【0005】
また、捕集器131に接続された吸引装置139には、吸引装置139を作動させるための動力源であるモーター等の作動装置142が接続され、作動装置142は信号線111Bを介してマイクロコンピューター等を有する第2制御装置143に接続されている。
【0006】
前記捕集器131は、粒粉貯留槽101内の粉粒体を輸送管114を介し、気体と粉粒体とが混合された状態で気力輸送されたものから粉粒体だけを分離捕集する機能を有しており、その内部に貯留された粉粒体の量を検知する検知器151が設けられている。
【0007】
この検知器151は、捕集器131の下部に接続された透明筒149に対向して設けてあるとともに、前記第2制御装置143に信号線111Bを介して接続されている。
【0008】
しかして、捕集器131の下部の透明筒149に接続される図示しない成形機によって、捕集器131内の粉粒体が消費されて所定の量に至ると、検知器151が第2制御装置143に対して信号線111Bを介してエンプティ検出信号を出力し、この検出信号を受信した第2制御装置143は、作動装置142に対して信号線111Bを介し作動信号を出力して作動装置142を作動させる。この作動装置142が作動することによって吸引装置139が捕集器131内及び輸送管114内の内圧を減圧する。
【0009】
輸送管114内の内圧が減圧されると、前記圧力検出手段112がこの減圧を検知し、信号線111Aを介して第1制御装置110に対して減圧検出信号を出力する。この減圧検出信号を第1制御装置110が受信すると、第1制御装置110は作動装置109により粉粒体貯留槽101,101の開閉装置105,105を開動作させて、輸送管114内に粉粒体貯留槽101,101内の粉粒体を放出し、この放出された粉粒体は輸送管114を介して捕集器131へ吸引輸送され、かつ気体と分離されて貯留されることになる。
【0010】
図8,図9に示すのは、前述した圧力検出手段112の詳細な構成を示す縦断面図である。図8は、粉粒体貯留槽101から捕集器131への非輸送状態時の圧力検出手段を示し、図9は粉粒体貯留槽101から捕集器131への輸送状態時の圧力検出手段を示している。前記圧力検出手段112は、粉粒体貯留槽101が輸送管114に接続される部位よりも更に粉粒体の輸送方向に対して上流側の輸送管114の始端側の立ち上がり部114Aに設けられている。
【0011】
前記圧力検出手段112は、輸送管114の始端側の立ち上がり部114Aの開口114Bを閉塞するように設けられ、略中央部分に外気導入口120Aを形成した閉塞板受部120と、輸送管114の立ち上がり部114Aから内方位置に内嵌して設けられた閉塞板ガイド筒124と、閉塞板ガイド筒124の内筒124Aに摺動自在に遊嵌されたロッド123と、該ロッド123の上端に固定され、閉塞板ガイド筒124と閉塞板受部120との間に配置されるとともに、その外径が輸送管114の内径より小さく前記外気導入口120Aよりも大きい円盤状の閉塞板121と、常態時(非輸送状態時)において閉塞板121の表面で外気導入口120Aを閉塞する方向に付勢する、閉塞板ガイド筒124と閉塞板121との間に介在したコイルバネ等のバネ152とから構成されている。前記バネ152のバネ受けは、閉塞板ガイド筒124の内筒124Aと外筒124Bとの間に放射状に設けられたアーム124Cがその機能を担う。
【0012】
また、外気導入口120Aを形成する閉塞板受部120の鍔部120Bには、リミットスイッチ128が取付ブラケット129を介して固定されている。しかも、リミットスイッチ128のON/OFF動作を担う検出杆128Aが、常態時には、閉塞板121の平面に対して前記外気導入口120Aを介して当接し、前記バネ152の付勢力によって、検出杆128Aがリミットスイッチ128内に押圧されてOFF状態を保持する。
【0013】
そして、上記従来の圧力検出手段112においては、粉粒体貯留槽101から捕集器131への非輸送状態時では、輸送管114の内圧は外気圧と同等の状態にあり、図8に示すように、バネ152の付勢力によって、外気導入口120Aを閉塞板121で閉塞した状態を保持する。
【0014】
次に、捕集器131内の粉粒体が消費されて所定の量に至ると、検知器151が第2制御装置143に対して信号線111Bを介してエンプティ検出信号を出力し、その検出信号を受信した第2制御装置143は、作動装置142に対して信号線111Bを介し作動信号を出力して作動装置142を作動させるとともに、予め設定された回数だけ電磁弁147を開く。作動装置142が作動することによって吸引装置139が捕集器131内及び輸送管114内の内圧を減圧する。
【0015】
輸送管114内の圧力が減圧されると、閉塞板121は圧力検出手段112のバネ152の付勢力に抗して輸送管114内を降下されて外気導入口120Aが開放される(図9参照)。この時、前記検出杆128Aが閉塞板121の降下に追随することによってリミットスイッチ128がON状態となる。このようにリミットスイッチ128がON状態となると、リミットスイッチ128から信号線111Aを通じて減圧検出信号が第1制御装置110に出力され、該第1制御装置110が前記減圧検出信号の受信を受けると、粉粒体貯留槽101の開閉装置105に対して開動作指示信号を送信し、開閉装置105を所定時間の間を閉状態から開状態として、前記粉粒体貯留槽101内の粉粒体を輸送管114内に放出する。つまり、前記リミットスイッチ128は、圧力検出手段112の閉塞板121の上下移動を検出するスイッチとして機能するのである。
【0016】
しかしながら、上記従来の圧力検出手段112では、作動装置142が作動することによって、吸引装置139が捕集器131内及び輸送管114内の内圧を減圧して輸送状態となると、輸送管114の内圧と外気圧との差がバネ152の付勢力に打ち勝って、図9に示すように、閉塞板121が外気導入口120Aと離間し、当該外気導入口120Aを介して外気と輸送管114内とが連通する状態となる結果、外気導入口120Aから二次空気としての外気が輸送管121内の気体流に加わることになり、閉塞板121が圧力変動への反応が穏やかとなるため、粉粒体の輸送がスムーズに行えなくなる、つまり安定輸送が阻害されるといった問題があった。
【0017】
また、接点を開閉するリミットスイッチ128の構造上、接点の開閉時の力が開閉する時の力と前後の力で大きな差があることと、バラツキがあることが分かっている。この状態で使用しつづけると5万回も越える使用では初期設定させた状態では開閉動作ができなくなることもあった。
【0018】
このように粉粒体を吸引輸送する場合には、輸送管の閉塞を防止し安定輸送するために、粉粒体貯留槽101の材料投入する部位などから粉粒体に対する輸送用の空気の混入比調整用の二次空気を供給する。このような二次空気が加わった気体流と粉粒体とが混合した状態で、輸送管114内を粉粒体が輸送されるのであるが、輸送をスムーズに行うためには、粉粒体と搬送用空気との混入比を所定の値に保つことが重要な要素となる。この混入比とは、粉粒体を単位時間に輸送した重量を、単位時間に輸送に供した空気の重量で割った値で示される。この値が大きいと輸送管114内を輸送する抵抗が大きくなり、輸送流速が遅くなることで、輸送管114が詰まってしまうといった可能性がある。
【0019】
上記従来の圧力検出手段112を粉粒体輸送装置に採用した場合、輸送管114内が減圧されると、前述したように、閉塞板121が前記外気導入口120Aと離間し、外気導入口120Aを介して外気と輸送管114内とが連通する状態となる結果、外気導入口120Aから二次空気としての外気が輸送管121内に流入されるとともに、その二次空気の流入量が閉塞板121が外気導入口120Aと離間の距離に応じて変化する虞があるなどの問題から、前述したスムーズな輸送にとって重要な要素となる二次空気量の調整が困難となり、その結果としてスムーズな粉粒体の吸引輸送が行えないといった問題を有するのである。
【0020】
【特許文献1】特開2000−153922号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
本発明は、上記課題を解決しようとするものであって、輸送状態時において外気(二次空気)の流入を防止するとともに、圧力変動を迅速に検出し、さらに上述した吸引輸送時における二次空気の調整を阻害することのない気体圧力検出装置、及び、この気体圧力検出装置を用いることにより安定した輸送の行える粉粒体輸送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
上記目的を達成するため、本発明の請求項1の気体圧力検出装置は、気体流の生じる通路に連通した筒体内に移動自在に嵌挿される閉塞体本体部と、この閉塞体本体部の上部に設けられ、気体流による圧力が輸送のために変化させられた輸送状態時には上記筒体の外気口を閉塞する環状鍔部とからなる閉塞体と、前記筒体内に臨み、かつ前記閉塞体を気体流による圧力変動に応じて移動可能とするための固定軸と、この固定軸又は閉塞体に常態時において筒体の外気口を開放するように付勢したコイルバネなどのバネ等の弾性体とを備え、前記閉塞体の環状鍔部は、輸送状態時には前記弾性体の付勢力に抗して筒体の外気口を閉塞し、気体流による圧力変動がない非輸送状態時には前記弾性体の付勢力により筒体の外気口を開放するようにしたことを特徴とする。
【0023】
これにより、圧力変動のない非輸送状態時には、閉塞体の環状鍔部は弾性体の付勢力により上動されるため、筒体伝いの外気口が開放される。気体流の発生により圧力変動が起こる輸送状態時には、閉塞体の環状鍔部が弾性体の付勢力に抗して筒体の外気口を閉塞するため、前記外気口へ外気(二次空気)が流入するのを防止できる結果、輸送用気体流のみの圧力変動が正確かつ迅速に検出できるとともに、安定した気体流を確保できる。また吸引輸送における二次空気量の調整も正確で容易となり、粉粒体の気力輸送が安定してスムーズに行える。
【0024】
ここで、「非輸送状態時」とは、気力輸送路内例えば輸送管内を減圧するなどして輸送可能な状態にない状態を意味し、「輸送状態時」とは例えば輸送管内を減圧するなどして合成樹脂などの成形用原材料としての粉粒体を輸送する状態のことをいう。なお、気力輸送には、輸送管内を減圧して吸引輸送する場合と、加圧して加圧輸送する場合の2つの態様がある。
また、本明細書で、「筒体」とは、筒体が輸送管の一部である場合、又は、輸送管に対して別体の筒体を輸送管内と連通するように構成する場合の2つの態様を含むという意味である。具体的には、後述する実施例の第1例のように、輸送管の始端を屈曲状に折り曲げ、この折り曲げた立ち上がり部が前記筒体に相当する場合、又は、実施例の第2例に示すように、輸送管路の途中に当該輸送管内と連通する筒体を別体で溶接などによって固定する場合の2つの態様を含むことを意味している。さらに、「環状鍔部」は、図2、図3、図5及び図6に示すように閉塞体本体部62Aの上端部に一体に形成したものに限らず、閉塞体本体部62Aの上端部より下方位置の上部などでもよく、その形成位置は適宜設計変更できる。しかも環状鍔部と閉塞体本体部とは上記図示の如く一体形成のものに限らず、嵌合方式や螺合方式などによる別体の構成のものでもよい。また「弾性体」は例えばコイルバネなどのバネ等でもよく、このバネを採用する場合には、固定軸にバネ受けを設けると共に、このバネ受けと閉塞体との間にバネを配置することもできる。
【0025】
請求項2の気体圧力検出装置は、閉塞体を非磁性体で構成するとともに、その閉塞体の一部には磁石を設けるとともに、固定軸内に前記磁石を検出する磁気検出スイッチを設け、この磁気検出スイッチによって閉塞体の固定軸に沿っての移動を検出するように構成してあることを特徴とする。
【0026】
これにより、従来の圧力検出手段112のリミットスイッチでは、接点を接触する前後で大きな力の変化(つまり接点による抵抗)があって、前述したような問題があったが、本発明では前記の如く磁気検出スイッチが物理的な接点の接触抵抗がなく検出することができるので、圧力変動をより敏感に検出することができるし、また閉塞体を動作させる力が均一となり、輸送路の圧力変動を安定して検出することができるようになった。
【0027】
なお、前記磁気検出スイッチとしては、周知のリードスイッチを採用することが好ましい。また、非磁性体とはプラスチック材で構成することができ、このプラスチック材は、その使用環境が外気温に比べて高温となるような環境で使用されることを考慮して耐熱性のものを採用することが好ましい。このような耐熱性のプラスチック材で閉塞体を形成した場合、膨張自体も少なくなるので、閉塞体が膨張して移動の際に筒体の内径に引っ掛かるなどの虞を低減することができる。
【0028】
請求項3の気体圧力検出装置は、閉塞体の閉塞体本体部は、その外径が前記筒体の内径より小さく該筒体内への嵌挿状態時に、筒体の内径と閉塞体本体部の外径との間に第1のクリアランスを形成する一方、前記環状鍔部の外径は前記筒体の内径よりも大きく設定してなり、さらに前記閉塞体本体部及び環状鍔部の中心位置に摺動孔を貫通し、この摺動孔の内径は前記固定軸の外径との間に第2のクリアランスを有する大きさに設定され、前記固定軸に対して閉塞体が摺動自在に挿入されており、前記第1のクリアランスは第2のクリアランスに比べて大きいことを特徴とする。
【0029】
これにより、閉塞体本体部の外径と筒体の内径とで形成される第1のクリアランスが、閉塞体の摺動孔の内径と前記固定軸の外径との間に形成される第2のクリアランスに比べて大きくしてあるから、閉塞体が筒体の外気口を閉塞したり閉塞を解除する際に、閉塞体の閉塞体本体部が固定軸に沿って筒体内で移動を繰り返すが、閉塞体本体部が固定軸に沿って筒体内周壁に接触したり引っ掛ることなく上下動することができる。
【0030】
請求項4の発明は、請求項1〜請求項3のいずれかの気体圧力検出装置が、気力輸送路を構成する輸送管の適宜位置に設けてなることを特徴とする粉粒体輸送装置である。
【0031】
請求項5の発明は、請求項4の粉粒体輸送装置をより具体的に構成したものであり、この粉粒体輸送装置は、粉粒体貯留槽と、粉粒体と気体とを分離する捕集器とを輸送管で接続し、気体流発生源により前記輸送管内に生じる気体流により粉粒体貯留槽の粉粒体を前記捕集器に気力輸送する粉粒体輸送装置において、前記粉粒体貯留槽の近傍における輸送管に請求項1〜請求項3のいずれかに記載の気体圧力検出装置を設けてなることを特徴とする。
【0032】
請求項4又は請求項5の発明によれば、請求項1〜請求項3のいずれかの気体圧力検出装置で粉粒体槽の近くの圧力変化を精度良く検知することができるので、例えば、気体圧力検出装置で検出した検出信号を用いて、粉粒体貯留槽から輸送管への粉粒体放出のための開閉装置の制御を行う際には好適である。さらに、請求項1〜3の気体圧力検出装置自体の効果を享受できる。なお、気体流発生源は、狭義には後述する実施例におけるブロアー等の吸引装置39を言い、広義には該吸引装置39を作動するためのモーター等の作動装置42を含む場合がある。
【発明の効果】
【0033】
請求項1の気体圧力検出装置によれば、気体流による圧力変動のない非輸送状態時には、閉塞体の環状鍔部は弾性体の付勢力により上動されるので、筒体の外気口が開放される。気体流の発生により圧力変動が起こる輸送状態時には、閉塞体の環状鍔部が弾性体の付勢力に抗して筒体の外気口を閉塞するので、筒体の外気口へ外気(二次空気)が流入するのを防止できる。その結果、輸送用気体流のみの圧力変動が正確かつ迅速に検出できるとともに、安定した気体流を確保できる。また吸引輸送における二次空気量の調整も正確で容易となり、粉粒体の気力輸送が安定してスムーズに行える。
【0034】
請求項2の気体圧力検出装置によれば、前述の如く磁気検出スイッチが物理的な接点の接触抵抗がなく検出することができるので、圧力変化をより敏感に検出することができるし、また閉塞体を動作させる力が均一となり、輸送路の圧力変動を安定して検出することができる。
【0035】
請求項3の気体圧力検出装置によれば、閉塞体本体部の外径と筒体の内径とで形成される第1のクリアランスが、閉塞体の摺動孔の内径と前記固定軸の外径との間に形成される第2のクリアランスに比べて大きくしてあるから、閉塞体が筒体の外気口を閉塞したり閉塞を解除する際に、閉塞体本体部が固定軸に沿って筒体内で移動を繰り返すが、閉塞体本体部が固定軸に沿って筒体内周壁に接触したり引っ掛ることなく上下動することができる。
【0036】
請求項4又は請求項5の粉粒体輸送装置によれば、請求項1〜請求項3のいずれかの気体圧力検出装置の作用効果を奏するだけでなく、粉粒体の気力輸送が安定してスムーズに行うことができる粉粒体輸送装置を提供することができる。
【実施例】
【0037】
本発明の実施例の第1例を図1〜図3に基づいて以下に説明する。
図1は本発明の実施例1における気体圧力検出装置を用いた粉粒体輸送装置の概略構成図、図2は同実施例1における気体圧力検出装置の非輸送状態時の要部縦断面図、図3は同実施例1における気体圧力検出装置の輸送状態時の要部縦断面図である。
【0038】
図1において、粉粒体輸送装置は、気体圧力検出装置60(図7の圧力検出手段112に相当する)の部分を除いて、図7のものと同様に構成してある。すなわち、合成樹脂成形材料として粉粒体が貯留された2基の粉粒体貯留槽1、1と、粉粒体貯留槽1、1の下部にロータリーフィーダー等の開閉装置5、5を介して接続された輸送管14と、輸送管14の終端に接続されて気体と粉粒体とを分離する捕集器31と、捕集器31を介して輸送管の内圧を負圧とすることによって輸送管14内に空気の気体流を生じさせ、粉粒体貯留槽1、1に貯留された粉粒体を輸送管14を介して捕集器31側へ気体流で輸送する吸引装置39とを主な構成としている。
【0039】
そして、前記粉粒体貯留槽1の下部に接続された開閉装置5は、輸送管14の始端側に設けられた輸送管路内の圧力変動を検出する気体圧力検出装置60の検出信号に応じて開閉装置5を開閉制御する第1制御装置10と信号線11Aで接続されている。この開閉装置5は、粉粒体貯留槽1の下方の輸送管14との間に設けられるロータリーベーンフィーダー等の開閉バルブ5Aと、当該開閉バルブ5Aを開閉作動するためのモーター等の開閉動力源5Bとから構成されている。また、開閉動力源5Bはマイクロコンピューター・シーケンサー等を有する第1制御装置10に信号線11Aによって接続されている。
【0040】
また、捕集器31に接続された気体流発生源としての吸引装置39には、吸引装置39を作動させるための動力源であるモーター等の作動装置42が接続され、該作動装置42は信号線11Bを介してマイクロコンピューター等を有する第2制御装置43に接続されている。
【0041】
吸引装置39は、ブロアーやコンプレッサーなどが用いられ、吸引管32を介して捕集器31の上部に接続され、捕集器31を通じて輸送管14内に空気を吸引し輸送管14内を負圧状態にして気体流を発生させる。その排気気体は吸引装置39の排気口40から大気に開放している。
吸引管32の途中には大気導入口36を形成するとともに、該大気導入口36に電磁弁37が接続されている。この電磁弁37は信号線11Bを介して第2制御装置43に接続されており、電磁弁37を開くことによって吸引管32内を大気に開放させることができる。
【0042】
捕集器31は、粒粉貯留槽1内の輸送管14を介し、気体と粉粒体とが混合された状態で気力輸送されたものから粉粒体だけを分離捕集する機能を有している。この捕集器31の内部の上部には、粉粒体の通過は許容せず気体の通過は許容する多孔板33を内装しており、これによって気体は吸引管32側へ排出され、粉粒体は入口34から出口35へ供給されて行く。また、捕集器31の出口には透明筒49が接続され、この透明筒49の下端には図1で点線で示すように、合成樹脂成形材料たる粉粒体を成形するための射出成形機などの成形機55が接続されている。
【0043】
透明筒49には、捕集器31内の粉粒体量を検知する反射型光電スイッチ等の検知器51が対向して設けてある。そして、この検知器51は第2制御装置43に信号線11Bを介して接続されている。これにより、透明筒49内に粉粒体がなくなると、検知器51が検知してその検知信号を第2制御装置43に送る。
【0044】
そして、捕集器31内の粉粒体が成形機55によって消費されて所定の量に至ると、検知器51が第2制御装置43に対して信号線11Bを介してエンプティ検出信号を出力し、この検出信号を受信した第2制御装置43は、作動装置42に対して信号線11Bを介し作動信号を出力して作動装置42を作動させる。この作動装置42が作動することによって、吸引装置39が捕集器31内及び輸送管14の内圧を減圧する。
【0045】
前記の如く輸送管14内の内圧が減圧されると、前記気体圧力検出装置60がこの減圧を検知し、信号線11Aを介して前記第1制御装置10に対して減圧検出信号を出力する。この減圧検出信号を第1制御装置10が受信すると、第1制御装置10は開閉動力源5Bにより粉粒体貯留槽1,1の開閉装置5,5を開動作させて、輸送管14内に粉粒体貯留槽1,1内の粉粒体を放出し、この放出された粉粒体は輸送管14を介して捕集器31へ吸引輸送され、かつ輸送気体と分離されて貯留されることになる。
【0046】
以上のように、本発明の粉粒体輸送装置は、従来例のものと同様に、第1制御装置10と第2制御装置43とを、それぞれ粉粒体の輸送元と輸送先に分離して設けて、それぞれ独立制御することが可能となるように構成しているため、第1,第2制御装置10、43を信号線で繋ぐなどの設置上の作業を低減できるだけでなく、制御装置を制御する制御プログラムとしても、一つの制御装置で粉粒体貯留槽1の開閉装置5と作動装置42の両者を一括制御する場合に比べて簡易なものとすることができる利点がある。それだけでなく、本発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の気体圧力検出装置を用いているので、前述したような利点を有する。
【0047】
図2,図3に示すのは、前述した気体圧力検出装置60の詳細な構成を示す縦断面図である。この気体圧力検出装置60は、気力輸送路を構成する輸送管14の始端側を屈曲状に上方に折り曲げた立ち上がり部14Aである筒体61内に一部が移動自在に嵌挿される。すなわち、この気体圧力検出装置60は、気体流の生じる通路に連通した筒体61内に移動自在に嵌挿される閉塞体本体部62Aと、この閉塞体本体部62Aの上部に設けられ、気体流による圧力が輸送のために変化させられた輸送状態時には上記筒体61の外気口61Aを閉塞する環状鍔部62Bとからなる閉塞体62と、前記筒体61内に臨み、かつ前記閉塞体62を気体流による圧力変動に応じて移動可能とするための固定軸64と、この固定軸64又は閉塞体62に常態時において筒体61の外気口61Aを開放するように付勢した弾性体65と、閉塞体62の一部に設けた磁石63Bと、この磁石63Bを検出するために固定軸64内に設けた磁気検出スイッチ63Aとを備えている。
【0048】
閉塞体62は、非磁性体で構成されており、円柱状の閉塞体本体部62Aと、この閉塞体本体部62Aの上部に設けられるとともに、筒体61の内径より大径とした環状鍔部62Bとからなり、気体流の発生及び停止による輸送管14内の圧力変動に応じて上下に移動する。閉塞体62が下動した時に、その環状鍔部62Bは、筒体61の開口端部である外気口61Aを図3に示すように閉塞する。
【0049】
固定軸64は、一端を輸送管14に固定されたブラケット66の他端にナットなどの締結具67で固定されている。この固定軸64に沿って閉塞体62が外気口61Aに対して相対位置移動可能に構成するとともに、固定軸64にはコイルバネ等の弾性体65を設けて常態時には閉塞体62が外気口61Aを閉塞しないように付勢してある。図2と図3で68は弾性止めである。
【0050】
前記閉塞体62の閉塞体本体部62Aは、その外径r1が筒体61の内径Rより小さく筒体61内への嵌挿状態時に、筒体61の内径Rと閉塞体本体部62Aの外径r1との間に第1のクリアランスMを設けている。
【0051】
しかも、環状鍔部62Bの外径r2は筒体61の内径Rよりも大きく設定してなり、閉塞体本体部62A及び環状鍔部62Bの中心位置に摺動孔62Cを貫通し、該摺動孔62Cの内径r3は固定軸64の外径Lとの間に第2のクリアランスmを形成しており、固定軸64に対して閉塞体62が摺動自在に挿入されている。そして、第1のクリアランスMは、第2のクリアランスmに比べて大きく設定することによって、閉塞体62が筒体61の外気口61Aを閉塞したり閉塞を解除したり繰り返す際に、閉塞体62の閉塞体本体部62Aの一部が固定軸64に沿って筒体61内で移動を繰り返し、閉塞体本体部62Aの外径r1が筒体61の内径Rに接触して移動を妨げる虞を防止できる。すなわち、閉塞体本体部62Aが固定軸64に沿って移動する場合、その遊び(ガタツキ)は、第2のクリアランスmに影響されるので、この遊びを第2のクリアランスmより大きい第1のクリアランスMで吸収するのである。このために、筒体61の内径Rと閉塞体本体部62Aの外径r1との間に、第1のクリアランスMを形成しているのである。
【0052】
固定軸64内に埋設された磁気検出スイッチ63Aと、閉塞体62の摺動孔62Cの所定箇所に設けた磁石63Bとは、センサ63を構成するが、磁気検出スイッチ63Aが閉塞体62の固定軸64に沿って移動するのに追随して、磁石63Bが移動するのを検出するように構成している。この磁気検出スイッチ63Aとしては、周知のリードスイッチを採用することができる。
【0053】
この発明に係る気体圧力検出装置は、閉塞体62の環状鍔部62Bが、輸送状態時には弾性体65の付勢力に抗して筒体61の外気口61Aを閉塞し、気体流による圧力変動がない非輸送状態時には弾性体65の付勢力により筒体61の外気口61Aを開放するようにしている。
次に、上記実施例の作用について簡単に説明する。
【0054】
図2に示す如く、圧力変動のない非輸送状態時には、弾性体65の付勢力により、輸送管14と一体に形成される筒体61の外気口61Aと、環状鍔部62Bとの間に一定のストロークSが形成され、このストロークSの隙間から外気が流入可能な状態となっている。
この場合、閉塞体62下部に設けた磁石63Bは、固定軸64に内装した磁気検出スイッチ63Aに近接してセンサー63のON作動が行われる。
【0055】
そして、モーター等の作動装置42を作動させることによって、吸引装置39が捕集器31及び輸送管14内を減圧すると、図3に示すように、この内圧変化によって、閉塞体62の閉塞体本体部62Aが筒体61内に弾性体65の付勢力に抗して降下し、環状鍔部62Bが外気口61Aを閉塞することによって、ストロークSがゼロになり、外気口61Aからの外気の流入が遮断された輸送状態となる。この場合、磁石63Bは磁気検出スイッチ63Aとは離間し、磁気を検出しなくなり、センサ63のOFF作動が行われる。前記ストロークSの大きさは適宜設定できるが、その輸送状態に至るまでの内圧変化で閉塞体62が下降移動して外気口61Aを塞ぐことができる程度の大きさに設定されている。例えば、輸送のための圧力変化が大きければ大きいほど、ストロークSは大きく設定することができるのである。
【0056】
なお、上記実施例の第1例では、2基の粉粒体貯留槽1、1から粉粒体を気力輸送する粉粒体輸送装置に適用した場合について説明したが、一基又は三基以上の粉粒体貯留槽1を設けた粉粒体輸送装置に適用することもできるのは勿論である。
【0057】
図4〜図6に基づいて本発明の実施例の第2例について説明する。
【0058】
前述した第1例では、粉粒体貯留槽1、1の更に輸送路上流側まで輸送管14を延設し、この延長した輸送管14の始端側を上方に折り曲げてその立ち上がり部14Aを、気体圧力検出装置60を嵌挿する筒体61としたが、この第2例の気体圧力検出装置60では両粉粒体貯留槽1、1との間の輸送管14に輸送管内と連通するように、気体圧力検出装置60の筒体61を設けたものである。この取り付け位置以外の構成は、前述した実施例の第1例と同様であるので繰り返しの説明を省略する。
なお、前記気体圧力検出装置60の取付位置は、第1例、第2例の位置に限らず、粉粒体貯留槽1、1の更に上流側又は下流側の輸送管60の部位等に設けても良い。
また、前記各実施例では、気体圧力検出装置を粉粒体貯留槽1からの粉粒体輸送に適用した場合を例示しているが、これに限らず、前記粉粒体貯留槽1を加熱ヒータを備えた乾燥器からの粉粒体輸送に適用することもできる。この場合には、前記閉塞体62を耐熱性素材から構成することが好ましい。これにより、高温な状態での粉粒体の気力輸送装置に対しても、その圧力変化を正確に検知することができるとともに、耐久性が向上することになる。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明にかかる気体圧力検出装置とそれを用いた粉粒体輸送装置は、輸送管内の圧力変化を検出後に外気の流入を防止することができるので、合成樹脂材料の粉粒体の気力輸送に限らず他の粉粒体を輸送対象物とする気力輸送装置にも利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の実施例1における気体圧力検出装置を用いた粉粒体輸送装置の概略構成図である。
【図2】本発明の実施例1における気体圧力検出装置の非輸送状態時の要部縦断面図である。
【図3】本発明の実施例1における気体圧力検出装置の輸送状態時の要部縦断面図である。
【図4】本発明の実施例2における気体圧力検出装置を用いた粉粒体輸送装置の概略構成図である。
【図5】本発明の実施例2における気体圧力検出装置の非輸送状態時の縦断面図である。
【図6】本発明の実施例2における気体圧力検出装置の輸送状態時の要部縦断面図である。
【図7】従来の気体圧力検出手段を適用した粉粒体輸送装置の概略構成図である。
【図8】従来の気体圧力検出手段の非輸送状態時の要部縦断面図である。
【図9】従来の気体圧力検出手段の輸送状態時の要部縦断面図である。
【符号の説明】
【0061】
1 粉粒体貯留槽
5 開閉装置
10 第1制御装置
14 輸送管
31 捕集器
39 吸引装置
42 作動装置
43 第2制御装置
60 気体圧力検出装置
61 筒体
61A 外気口
62 閉塞体
62A 閉塞体本体部
62B 環状鍔部
63 センサ
63A 磁気検出スイッチ
63B 磁石
64 固定軸
65 弾性体
M 第1のクリアランス
m 第2のクリアランス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
気体流の生じる通路に連通した筒体内に移動自在に嵌挿される閉塞体本体部と、この閉塞体本体部の上部に設けられ、気体流による圧力が輸送のために変化させられた輸送状態時には上記筒体の外気口を閉塞する環状鍔部とからなる閉塞体と、
前記筒体内に臨み、かつ前記閉塞体を気体流による圧力変動に応じて移動可能とするための固定軸と、
この固定軸又は閉塞体に常態時において筒体の外気口を開放するように付勢した弾性体とを備え、
前記閉塞体の環状鍔部は、輸送状態時には前記弾性体の付勢力に抗して筒体の外気口を閉塞し、気体流による圧力変動がない非輸送状態時には前記弾性体の付勢力により筒体の外気口を開放するようにしたことを特徴とする気体圧力検出装置。
【請求項2】
閉塞体を非磁性体で構成するとともに、その閉塞体の一部には磁石を設けるとともに、固定軸内に前記磁石を検出する磁気検出スイッチを設け、この磁気検出スイッチによって閉塞体の固定軸に沿っての移動を検出するように構成してあることを特徴とする請求項1に記載の気体圧力検出装置。
【請求項3】
閉塞体の閉塞体本体部は、その外径が前記筒体の内径より小さく該筒体内への嵌挿状態時に、筒体の内径と閉塞体本体部の外径との間に第1のクリアランスを形成する一方、前記環状鍔部の外径は前記筒体の内径よりも大きく設定してなり、さらに前記閉塞体本体部及び環状鍔部の中心位置に摺動孔を貫通し、この摺動孔の内径は前記固定軸の外径との間に第2のクリアランスを有する大きさに設定され、前記固定軸に対して閉塞体が摺動自在に挿入されており、前記第1のクリアランスは第2のクリアランスに比べて大きいことを特徴とする請求項2に記載の気体圧力検出装置。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれかに記載の気体圧力検出装置を、気力輸送路を構成する輸送管の適宜位置に設けてなることを特徴とする粉粒体輸送装置。
【請求項5】
粉粒体貯留槽と、粉粒体と気体とを分離する捕集器とを輸送管で接続し、気体流発生源により前記輸送管内に生じる気体流により粉粒体貯留槽の粉粒体を前記捕集器に気力輸送する粉粒体輸送装置において、前記粉粒体貯留槽の近傍における輸送管に請求項1〜請求項3のいずれかに記載の気体圧力検出装置を設けてなることを特徴とする粉粒体輸送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−112563(P2007−112563A)
【公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−305086(P2005−305086)
【出願日】平成17年10月19日(2005.10.19)
【出願人】(000146054)株式会社松井製作所 (70)
【Fターム(参考)】