気体検知器
【課題】体積が小さく、廉価で、製造容易、人的コスト大幅低減、一箱単位、一山単位の青果の効果的管理制御を可能とする気体検知器を得る。
【解決手段】平面型インダクタンス・キャパシタンス共振器と気体吸収材130とを備える気体検知器10に関する。平面型インダクタンス・キャパシタンス共振器は、インダクタンス電極110及びキャパシタンス電極120を備えており、キャパシタンス電極120がインダクタンス電極110に接続している。気体吸収材130がキャパシタンス電極120の少なくとも一部分と接続している。気体吸収材130は、被検知気体の濃度変化に応じて、平面型インダクタンス・キャパシタンス共振器の共振周波数を変化させる。
【解決手段】平面型インダクタンス・キャパシタンス共振器と気体吸収材130とを備える気体検知器10に関する。平面型インダクタンス・キャパシタンス共振器は、インダクタンス電極110及びキャパシタンス電極120を備えており、キャパシタンス電極120がインダクタンス電極110に接続している。気体吸収材130がキャパシタンス電極120の少なくとも一部分と接続している。気体吸収材130は、被検知気体の濃度変化に応じて、平面型インダクタンス・キャパシタンス共振器の共振周波数を変化させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気体検知器に関し、特に、気体吸収材を用いて平面型インダクタンス・キャパシタンス共振器の共振周波数を変化させる気体検知器に関する。
【背景技術】
【0002】
農産物の期別販売、鮮度保持及び生産販売流通管理をするために、青果農産物の付属工場又は加工包装工場を設けることが現在の大きな動向である。台湾の農業は小面積の耕作形態であり、個人農業経営者は等階級選別設備のコストを負担することができないため、農産物を等階級別にするには、付属工場によってコストを分散しなければならない。現在、果物を等階級別にする事例は比較的多く、主に果物の糖度、大きさ、熟度及び水分含有量等の果実の品質条件を対象として等階級選別をしており、主に利用する技術には外観(影像色沢)検査法、GC気相蒸着法、MRI核磁気共鳴及びIR赤外線スペクトル等である。これらの技術に使用される設備は、体積が大きいだけでなく、価格も非常に高い。また、比較的廉価な技術は、人が糖度計等の手で持つことができる機器を使用して検査することである。しかし、このような技術は、破壊測定検査に属し、また、比較的大きい人的コストを要する。
【0003】
農産物は、選別された後に、箱詰め保存又は運送・販売等の処理が行われる。農産物の期別販売の管理フレームワークを達成するために、農産物の保存は特に重要である。現在、比較的先進的な技術は、主に、冷蔵・鮮度保持庫の雰囲気に対して監視制御をすること、保存雰囲気の温度、湿度及び二酸化炭素濃度に対して監視測定すること、保存時間軸の一部を主に人力で記録することである。現在のところは、一箱単位、一山単位の青果の貯蔵に対して期別販売の管理制御をする技術又は電子化技術はない。
【0004】
特許文献1は、渦電流効果又はコイル誘導によって非接触型検知結果を得る構造を提供しており、主に化学検知又は探知等の用途に応用される。特許文献2は、圧力及び気圧検知素子として、可撓性技術によって製造される検知素子を提供しており、2層高分子材料の圧電特性を利用し、コイルに対する干渉とし、さらにはコイル誘導の周波数に変化が生じ、この変化によって圧力の変化が分かる。特許文献3は、高周波周波数検知素子としてLC共振による検知の原理を利用しており、主に共振周波数、共振スペクトル及び品質係数によって周波数検知係数とし、この係数の変更によって信号伝達又は記録等の作用とする。それは主に電磁誘導型RFIDタグの応用として、無線監視の作用をなす。特許文献4は、キャパシタンスとして特殊表面を有するキャビティ構造を利用しており、この特殊表面のキャビティ構造のキャパシタンス値が特性の変化に伴って変化を生じ、このキャパシタンス値の変化によって、探知すべき物理特性(圧力、温度、化学規格等を含む)に生ずる時間変化(time-varying)の作用について、リアルタイム検査及び検知をする。特許文献5は、電気化学反応の電極への影響を利用し、さらには共振回路に生じた変化に対する検知技術である。
【0005】
総合して述べると、従来の方法には以下の欠点がある。
1 検査設備の体積が大きい。
2 設備の価格が高い。
3 比較的大きい人的コストを要する。
4 一箱単位、一山単位の青果の貯蔵に対して期別販売の管理制御をすることができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第5514337号
【特許文献2】米国特許第5142270号
【特許文献3】米国特許第6025725号
【特許文献4】米国特許第6278379号
【特許文献5】米国特許第6623620号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、従来の方法の問題点を解消して、以下を達成可能な気体検知器を提供することにある。
1 体積が小さい。
2 価格が廉価である。
3 製造が容易である。
4 人的コストを大幅に低減させる。
5 一箱単位、一山単位の青果の貯蔵に対して期別販売の管理制御を効果的に行うことができる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に基づいて、気体検知器を提供する。気体検知器は、平面型インダクタンス・キャパシタンス共振器と気体吸収材とを備える。平面型インダクタンス・キャパシタンス共振器は、インダクタンス電極及びキャパシタンス電極を備えており、キャパシタンス電極がインダクタンス電極に接続している。気体吸収材がキャパシタンス電極の少なくとも一部分と接続している。また、気体検知器は、さらに誘電材を備えてもよく、なお、当該誘電材が当該気体吸収材及び当該キャパシタンス電極と接続している。気体吸収材は、被検知気体の濃度変化に応じて、平面型インダクタンス・キャパシタンス共振器の共振周波数を変化させる。
【0009】
本発明の上記内容をさらに明確に分かりやすくするために、以下に好ましい実施形態を特に示し、図面と合わせて、詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施例1に係る気体検知器の部分断面図である。
【図2】本発明の実施例2に係る気体検知器の部分断面図である。
【図3】本発明の実施例3に係る気体検知器の部分断面図である。
【図4】本発明の実施例4に係る気体検知器の部分断面図である。
【図5】本発明の実施例5に係る気体検知器の部分断面図である。
【図6】本発明の実施例6に係る気体検知器の部分断面図である。
【図7】本発明の実施例7に係る気体検知器の部分断面図である。
【図8】第1の平面型インダクタンス・キャパシタンス共振器を示す図である。
【図9】第2の平面型インダクタンス・キャパシタンス共振器を示す図である。
【図10】第3の平面型インダクタンス・キャパシタンス共振器を示す図である。
【図11】時間に伴う共振周波数の変化を示す図である。
【図12】本発明の実施例5に係る他の気体検知器の部分断面図である。
【図13】異なる誘電材の周波数の変化を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
従来の方法のいくつかの欠点を解決するために、本発明は、気体検知器を提供する。気体検知器は、平面型インダクタンス・キャパシタンス共振器と気体吸収材とを備える。平面型インダクタンス・キャパシタンス共振器は、インダクタンス電極及びキャパシタンス電極を備えており、キャパシタンス電極がインダクタンス電極に接続している。気体吸収材がキャパシタンス電極の少なくとも一部分と接続している。気体吸収材は、被検知気体の濃度変化に応じて、平面型インダクタンス・キャパシタンス共振器の共振周波数を変化させる。
【0012】
気体吸収材は、被検知気体の種類に応じて、異なる気体吸収材、例えばエチレン気体吸収材、一酸化炭素気体吸収材又は二酸化炭素気体吸収材等を選択してよい。例示して説明すると、1−メチルシクロプロペン(1-methyl cyclopropene,1−MCP)はエチレン気体吸収材に利用し得る。カーボンナノチューブ(Carbon Nano Tube,CNT)はエチレン、一酸化炭素又は二酸化炭素等の気体吸収材に利用し得る。活性炭は気体吸収材にするのによくある気体吸収剤である。過マンガン酸カリウムはエチレンを吸収してこれを過マンガン酸カリウムに転化するため、エチレンを探知する気体吸収材に利用し得る。当業者は当然、実際の必要性に応じて、異なる気体吸収材を適切に調整して使用してもよく、上記は例示して説明したにすぎない。気体吸収材の組合せが容易な平面型インダクタンス・キャパシタンス共振器によって、本発明は、少なくとも以下の利点を有する。
1 体積が小さい。
2 価格が廉価である。
3 製造が容易である。
4 人的コストを大幅に低減させる。
5 一箱単位、一山単位の青果の貯蔵に対して期別販売の管理制御を効果的に行うことができる。
【0013】
本発明をさらに明確にわかりやすくするために、以下にいくつかの実施例を示してさらに説明する。
【実施例1】
【0014】
図1を参照されたい。これは、本発明の実施例1に係る気体検知器の部分断面図である。気体検知器10は、インダクタンス電極110、キャパシタンス電極120及び気体吸収材130を備える。本実施例では、気体吸収材130がインダクタンス電極110及びキャパシタンス電極120の下に設置されると共に、キャパシタンス電極120の一部と接続している。気体吸収材130に設置されたインダクタンス電極110がインダクタンスを形成し、気体吸収材130に設置されたキャパシタンス電極120がキャパシタンスを形成して、平面型インダクタンス・キャパシタンス共振器における共振素子にするようにする。被検知気体の濃度が変化すると、気体吸収材130に吸着される被検知気体の分子量が変化して、気体吸収材130自体の誘電定数に変化を生じさせ、さらにはキャパシタンス値の大きさが変化する。このようにして、平面型インダクタンス・キャパシタンス共振器の共振周波数が直ちにこの変化に従う。本発明者らは、共振周波数の変化を探知することによって被検知気体の濃度変化を知ることができる。また、共振周波数を探知するデバイスは、例えばベクトルネットワークアナライザ(Vector Network Analyzer,VNA)である。
【0015】
一般的に、農産物は成熟すると、エチレン又は二酸化炭素等の気体を放出する。農産物が成熟したか否かの探知に気体検知器10を応用する場合、本発明者らは、適切な気体吸収材130を選択して使用することができる。気体吸収材は、気体吸着材と気体反応材とに分かれてもよい。なお、気体吸着材は、その材料自体としてその表面官能基の特性が異なるため、特定の気体を化学吸着又は物理吸着の方式によって気体吸着材に吸着させ得る。ただし、材料の基本構造は、気体と物理反応又は化学反応を生じない。一方、気体反応材は、その材料の構造及び特性によって、気体と化学反応を生じてその構造又は化学的性質に変化を生じてもよい。例えば、材料が気体の影響を受けて酸化反応又は還元反応等を起こしてもよい。一般的によくある気体吸着材は、例えば、1−メチルシクロプロペン、活性炭、塩化ジルコニウム(ZrCl2)、キトサン、過マンガン酸カリウム、パラジウム金属を含有する銀金属のポリアクリル酸アミド(Polyacrylic amide)高分子重合体、及び竹抽出液から成る群から選ばれる。気体反応材は、例えば、金属酸化物触媒、白金−酸化チタン複合体(Pt−TiO2)、白金化合物(Pt TMOSFET)、白金−酸化スズ複合体(Pt−SnO2)、カーボンナノチューブ(Carbon Nano Tube,CNT)、及び銀イオン(Ag+)含有材料から成る群から選ばれる。当業者は当然、実際の必要性に応じて、異なる気体吸収材を適切に調整して使用してもよく、上記は例示して説明したにすぎない。
【実施例2】
【0016】
図2を参照されたい。これは、本発明の実施例2に係る気体検知器の部分断面図である。実施例2に図示する気体検知器20と図1に図示する気体検知器10との相違点は、気体検知器20はさらに基板240を備えており、基板240が気体吸収材130の下に位置して気体吸収材130を設置するのに用いられることにある。実施例1は、直接に気体吸収材130を基板として使用する。気体検知器20は、作用原理及び選択的に使用可能な気体吸収材130が上記気体検知器10と同じであり、ここでは説明しない。
【実施例3】
【0017】
図3を参照されたい。これは、本発明の実施例3に係る気体検知器の部分断面図である。実施例3に図示する気体検知器30と図1に図示する気体検知器10との相違点は、気体吸収材130がインダクタンス電極110及びキャパシタンス電極120の下に設置されるほか、気体検知器30が、さらに別の気体吸収材350を備えており、気体吸収材350がキャパシタンス電極120を覆い、キャパシタンス電極120と接続する面積を増加させていることにある。本実施例の構造は、キャパシタンス電極120の周囲及び下に気体吸収材350及び気体吸収材130を有しているため、平面型インダクタンス・キャパシタンス共振器の上部及び下部の雰囲気の気体濃度を同時に探知し得るように設計されている。気体吸収材350及び気体吸収材130の両方又はその一方に吸着される被検知気体の分子量に変化が生ずると、キャパシタンス値の大きさを変化させることができ、さらには、平面型インダクタンス・キャパシタンス共振器の共振周波数が変化して被検知気体の濃度変化が分かり得る。このため、気体検知器30の検知性を向上させることができる。
【0018】
当然、本実施例では、キャパシタンス電極120の上部が気体吸収材350と接続し、キャパシタンス電極120の下部が気体吸収材130と接続しており、本発明者らは気体吸収材130を基板240で代替してもよい。この場合、気体吸収材350のみがキャパシタンス電極120を覆って、キャパシタンス電極120と接続している。このため、平面型インダクタンス・キャパシタンス共振器の上部の雰囲気の気体濃度を探知し得る。気体吸収材350は、印刷、物理めっき膜、化学めっき膜、電気めっき又は転写等の方式によって作り得る。
【0019】
気体吸収材350及び気体吸収材130は、同一の又は異なる材料であってもよく、例えば上記気体吸着材又は気体反応材であり、ここでは説明しない。
【実施例4】
【0020】
図4を参照されたい。これは、本発明の実施例4に係る気体検知器の部分断面図である。実施例4に図示する気体検知器40と図3に図示する気体検知器30との相違点は、気体検知器40はさらに基板240を備えており、基板240が気体吸収材130の下に位置して気体吸収材130を設置するのに用いられることにある。実施例3は、直接に気体吸収材130を基板として使用している。
【実施例5】
【0021】
図5を参照されたい。これは、本発明の実施例5に係る気体検知器の部分断面図である。実施例5に図示する気体検知器50と図3に図示する気体検知器30との相違点は、気体吸収材350が直接にキャパシタンス電極120を覆っているのではなく、誘電材560がキャパシタンス電極120を覆い、気体吸収材350が誘電材560の上に設置されていることにある。本実施例の構造は、誘電材560の上下にはいずれも気体吸収材350及び気体吸収材130があるため、気体吸収材350及び気体吸収材130の両方又は一方に吸着される被検知気体の分子量に変化が生ずると、それ自体の誘電定数に変化が生じ、さらにはそれと接続する誘電材560の誘電定数に顕著な変化を生じさせ、誘電材560はキャパシタンス電極120を覆ってキャパシタンス電極120と接続しているため、誘電材560の誘電定数に変化が生ずると、続いてキャパシタンス値が変化し、さらには平面型インダクタンス・キャパシタンス共振器の共振周波数が変化して、被検知気体の濃度変化が分かるように設計されている。本実施例では、気体吸収材350又は気体吸収材130の誘電定数の微量の変化によって、それと接続する誘電材560の誘電定数に顕著な変化を生じさる。このため、誘電材560の設置によって気体検知器50の検知能力を向上させ得る。誘電材560は、エタノール類、ポリビニルアミン、二酸化ケイ素(SiO2)、二酸化チタン(TiO2)、酸化亜鉛(ZnO)及び二酸化スズ(SnO2)から成る群から選ばれ、当業者が実際の必要性に応じて、異なる誘電材を適切に調整して使用してもよく、上記は例示して説明したにすぎない。
【0022】
当然、本実施例では、誘電材560の上部が気体吸収材350と接続し、誘電材560の下部が気体吸収材130と接続しており、本発明者らは気体吸収材130を基板240で代替してもよい。この場合、気体吸収材350のみが誘電材560の上に設置されて誘電材と接続している。このため、平面型インダクタンス・キャパシタンス共振器の上部の雰囲気の気体濃度を探知し得る。
【0023】
図12を参照されたい。これは、本発明の実施例5に係る他の気体検知器の部分断面図である。図12に図示する気体検知器200と図5に図示する気体検知器50との相違点は、図5の気体吸収材130が図12においては基板240で代替されていることにある。この場合、気体吸収材350のみが誘電材560の上に設置されて誘電材560と接続している。このため、平面型インダクタンス・キャパシタンス共振器の上部の雰囲気の気体濃度を探知し得る。
【0024】
図13を参照されたい。これは、異なる誘電材の周波数の変化を示す図である。例えば図12の気体検知器200を用いた例を示すと、曲線1310は被覆なしの誘電材560の周波数変化曲線であり、曲線1320はエタノール類被覆誘電材560の周波数変化曲線であり、曲線1330はポリビニルアミン被覆誘電材560の周波数変化曲線である。本発明者らは、図13から、エタノール類被覆誘電材の後の周波数の変化が相当に安定しており、周波数偏移の現象を生じることがないことを見いだすことができる。このため、気体変化濃度を測定する精度がさらに向上する。
【実施例6】
【0025】
図6を参照されたい。これは、本発明の実施例6に係る気体検知器の部分断面図である。実施例6に図示する気体検知器60と図5に図示する気体検知器50との相違点は、気体吸収材130は基板240に設置されており、誘電材560の上には気体吸収材350が設置されていないことにある。基板240の上に位置する気体吸収材130の誘電定数の変化によって、気体吸収材130と接続する誘電材560の誘電定数に共に変化を生じさせる。誘電材560がキャパシタンス電極120を覆ってそれと接続しているため、誘電材560の誘電定数に変化が生ずると、キャパシタンス値がこれに伴って変化し、さらには平面型インダクタンス・キャパシタンス共振器の共振周波数が変化し、被検知気体の濃度変化が分かる。
【実施例7】
【0026】
図7を参照されたい。これは、本発明の実施例7に係る気体検知器の部分断面図である。実施例7に図示する気体検知器70と図5に図示する気体検知器50との相違点は、気体検知器70は、さらに基板240を備えており、基板240が気体吸収材130の下に位置して気体吸収材130を設置するのに用いられることにある。実施例5は、気体吸収材130を直接に基板として使用している。
【0027】
上記インダクタンス電極110及びキャパシタンス電極120は、例えば印刷、物理めっき膜、化学めっき膜、電気めっき又は転写等の方式によって作られる。インダクタンス電極110及びキャパシタンス電極120の形状は、設計の必要性に応じて異なってよい。例示して説明すると、インダクタンス電極110は例えば平面螺旋状であるが、キャパシタンス電極120は例えば平面対称交差指状、平面対称矩形又は単一平面電極である。以下、それぞれ図8〜図10で図示してさらに説明する。
【0028】
図8を参照されたい。これは、第1の平面型インダクタンス・キャパシタンス共振器を示す図である。図8に図示する平面型インダクタンス・キャパシタンス共振器80では、上記インダクタンス電極110が図8ではインダクタンス電極110(1)で示され、キャパシタンス電極120がキャパシタンス電極120(1)で示される。インダクタンス電極110(1)は平面螺旋状であるが、キャパシタンス電極120(1)は平面対称交差指状である。キャパシタンス電極120(1)が平面対称交差指状であるため、本発明者らは、それを複数の単一キャパシタンスの並列接続であると見なすことができる。このようにして、キャパシタンス電極120(1)の等価のキャパシタンス値を大幅に増加させることができる。
【0029】
図9を参照されたい。これは、第2の平面型インダクタンス・キャパシタンス共振器を示す図である。図9に図示する平面型インダクタンス・キャパシタンス共振器90では、上記インダクタンス電極110が図9ではインダクタンス電極110(1)で示され、キャパシタンス電極120がキャパシタンス電極120(2)で示される。平面型インダクタンス・キャパシタンス共振器90と上記図8に図示する平面型インダクタンス・キャパシタンス共振器80との相違点は、キャパシタンス電極120(2)が平面対称矩形であることにある。
【0030】
図10を参照されたい。これは、第3の平面型インダクタンス・キャパシタンス共振器を示す図である。図10に図示する平面型インダクタンス・キャパシタンス共振器100では、上記インダクタンス電極110が図10ではインダクタンス電極110(1)で示され、キャパシタンス電極120がキャパシタンス電極120(3)で示される。平面型インダクタンス・キャパシタンス共振器100と上記図8に図示する平面型インダクタンス・キャパシタンス共振器80との相違点は、キャパシタンス電極120(3)が単一平面電極であることにある。
【0031】
当然、図8〜図10で示される平面型インダクタンス・キャパシタンス共振器は、いずれも上記の実施例すべてに使用してよく、当業者が実際の必要性に応じて、異なる平面型インダクタンス・キャパシタンス共振器を適切に調整して使用し、異なる実施例と組み合わせてよく、上記は例示して説明したにすぎない。
【0032】
図11を参照されたい。これは、時間に伴う共振周波数の変化を示す図である。説明の便宜の見地から、図11は青パパイヤを例としてテストをしており、例えば図8の平面型インダクタンス・キャパシタンス共振器を使用し、実施例3における気体検知器30を採用している。なお、用いられた気体吸収材は、パラジウム金属を含有する銀金属のポリアクリル酸アミド高分子重合体であり、エチレン気体を測定するのに用いる。図11で共振周波数の変化状況を説明し得る。青パパイヤは時間の増加に伴って次第に成熟するため、エチレン気体を放出する。気体吸収材がエチレン気体分子を吸収して、平面型インダクタンス・キャパシタンス共振器のキャパシタンス値を変化させ、さらには平面型インダクタンス・キャパシタンス共振器の共振周波数が時間に伴って次第に減少するようになる。
【0033】
本発明の上記実施例で開示される気体検知器の気体吸収材は、被検知気体の種類に応じて異なる気体吸着材又は気体反応材を選択してもよい。また、キャパシタンス電極の設計方式は、設計の必要性に応じて平面対称交差指状、平面対称矩形又は単一平面電極等を選択してよい。上記実施例で開示される気体検知器は、体積が小さいだけでなく、価格も廉価である。その上、上記実施例で開示される気体検知器の製造は、相当に容易であり、例えばそれを農産物の検査・分類に応用する上で、人的コストを大幅に低減させるであろう。さらに、本発明者らは、上記気体探知器を利用して一箱単位又は一山単位の青果に対して探知をし、即ち個別の農産物の成熟状況を効果的に判断して、さらには一箱単位又は一山単位の青果の貯蔵に対して期別販売の管理制御をする目的を達成することができる。
【0034】
以上述べたところを総合すると、本発明は、好ましい実施形態を上記のように既に開示した。しかし、これをもって本発明を限定するものではない。本発明の当業者が、本発明の精神及び範囲から逸脱せずに、種々の修正及び変更をしてもよいものとする。このため、本発明の保護範囲は、後述する特許請求の範囲で画定されたものを基準と見なすものとする。
【符号の説明】
【0035】
10、20、30、40、50、60、70、200 気体検知器
110、110(1) インダクタンス電極
120、120(1)、120(2)、120(3) キャパシタンス電極
130、350 気体吸収材
240 基板
560 誘電材
80、90、100 平面型インダクタンス・キャパシタンス共振器
【技術分野】
【0001】
本発明は、気体検知器に関し、特に、気体吸収材を用いて平面型インダクタンス・キャパシタンス共振器の共振周波数を変化させる気体検知器に関する。
【背景技術】
【0002】
農産物の期別販売、鮮度保持及び生産販売流通管理をするために、青果農産物の付属工場又は加工包装工場を設けることが現在の大きな動向である。台湾の農業は小面積の耕作形態であり、個人農業経営者は等階級選別設備のコストを負担することができないため、農産物を等階級別にするには、付属工場によってコストを分散しなければならない。現在、果物を等階級別にする事例は比較的多く、主に果物の糖度、大きさ、熟度及び水分含有量等の果実の品質条件を対象として等階級選別をしており、主に利用する技術には外観(影像色沢)検査法、GC気相蒸着法、MRI核磁気共鳴及びIR赤外線スペクトル等である。これらの技術に使用される設備は、体積が大きいだけでなく、価格も非常に高い。また、比較的廉価な技術は、人が糖度計等の手で持つことができる機器を使用して検査することである。しかし、このような技術は、破壊測定検査に属し、また、比較的大きい人的コストを要する。
【0003】
農産物は、選別された後に、箱詰め保存又は運送・販売等の処理が行われる。農産物の期別販売の管理フレームワークを達成するために、農産物の保存は特に重要である。現在、比較的先進的な技術は、主に、冷蔵・鮮度保持庫の雰囲気に対して監視制御をすること、保存雰囲気の温度、湿度及び二酸化炭素濃度に対して監視測定すること、保存時間軸の一部を主に人力で記録することである。現在のところは、一箱単位、一山単位の青果の貯蔵に対して期別販売の管理制御をする技術又は電子化技術はない。
【0004】
特許文献1は、渦電流効果又はコイル誘導によって非接触型検知結果を得る構造を提供しており、主に化学検知又は探知等の用途に応用される。特許文献2は、圧力及び気圧検知素子として、可撓性技術によって製造される検知素子を提供しており、2層高分子材料の圧電特性を利用し、コイルに対する干渉とし、さらにはコイル誘導の周波数に変化が生じ、この変化によって圧力の変化が分かる。特許文献3は、高周波周波数検知素子としてLC共振による検知の原理を利用しており、主に共振周波数、共振スペクトル及び品質係数によって周波数検知係数とし、この係数の変更によって信号伝達又は記録等の作用とする。それは主に電磁誘導型RFIDタグの応用として、無線監視の作用をなす。特許文献4は、キャパシタンスとして特殊表面を有するキャビティ構造を利用しており、この特殊表面のキャビティ構造のキャパシタンス値が特性の変化に伴って変化を生じ、このキャパシタンス値の変化によって、探知すべき物理特性(圧力、温度、化学規格等を含む)に生ずる時間変化(time-varying)の作用について、リアルタイム検査及び検知をする。特許文献5は、電気化学反応の電極への影響を利用し、さらには共振回路に生じた変化に対する検知技術である。
【0005】
総合して述べると、従来の方法には以下の欠点がある。
1 検査設備の体積が大きい。
2 設備の価格が高い。
3 比較的大きい人的コストを要する。
4 一箱単位、一山単位の青果の貯蔵に対して期別販売の管理制御をすることができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第5514337号
【特許文献2】米国特許第5142270号
【特許文献3】米国特許第6025725号
【特許文献4】米国特許第6278379号
【特許文献5】米国特許第6623620号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、従来の方法の問題点を解消して、以下を達成可能な気体検知器を提供することにある。
1 体積が小さい。
2 価格が廉価である。
3 製造が容易である。
4 人的コストを大幅に低減させる。
5 一箱単位、一山単位の青果の貯蔵に対して期別販売の管理制御を効果的に行うことができる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に基づいて、気体検知器を提供する。気体検知器は、平面型インダクタンス・キャパシタンス共振器と気体吸収材とを備える。平面型インダクタンス・キャパシタンス共振器は、インダクタンス電極及びキャパシタンス電極を備えており、キャパシタンス電極がインダクタンス電極に接続している。気体吸収材がキャパシタンス電極の少なくとも一部分と接続している。また、気体検知器は、さらに誘電材を備えてもよく、なお、当該誘電材が当該気体吸収材及び当該キャパシタンス電極と接続している。気体吸収材は、被検知気体の濃度変化に応じて、平面型インダクタンス・キャパシタンス共振器の共振周波数を変化させる。
【0009】
本発明の上記内容をさらに明確に分かりやすくするために、以下に好ましい実施形態を特に示し、図面と合わせて、詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施例1に係る気体検知器の部分断面図である。
【図2】本発明の実施例2に係る気体検知器の部分断面図である。
【図3】本発明の実施例3に係る気体検知器の部分断面図である。
【図4】本発明の実施例4に係る気体検知器の部分断面図である。
【図5】本発明の実施例5に係る気体検知器の部分断面図である。
【図6】本発明の実施例6に係る気体検知器の部分断面図である。
【図7】本発明の実施例7に係る気体検知器の部分断面図である。
【図8】第1の平面型インダクタンス・キャパシタンス共振器を示す図である。
【図9】第2の平面型インダクタンス・キャパシタンス共振器を示す図である。
【図10】第3の平面型インダクタンス・キャパシタンス共振器を示す図である。
【図11】時間に伴う共振周波数の変化を示す図である。
【図12】本発明の実施例5に係る他の気体検知器の部分断面図である。
【図13】異なる誘電材の周波数の変化を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
従来の方法のいくつかの欠点を解決するために、本発明は、気体検知器を提供する。気体検知器は、平面型インダクタンス・キャパシタンス共振器と気体吸収材とを備える。平面型インダクタンス・キャパシタンス共振器は、インダクタンス電極及びキャパシタンス電極を備えており、キャパシタンス電極がインダクタンス電極に接続している。気体吸収材がキャパシタンス電極の少なくとも一部分と接続している。気体吸収材は、被検知気体の濃度変化に応じて、平面型インダクタンス・キャパシタンス共振器の共振周波数を変化させる。
【0012】
気体吸収材は、被検知気体の種類に応じて、異なる気体吸収材、例えばエチレン気体吸収材、一酸化炭素気体吸収材又は二酸化炭素気体吸収材等を選択してよい。例示して説明すると、1−メチルシクロプロペン(1-methyl cyclopropene,1−MCP)はエチレン気体吸収材に利用し得る。カーボンナノチューブ(Carbon Nano Tube,CNT)はエチレン、一酸化炭素又は二酸化炭素等の気体吸収材に利用し得る。活性炭は気体吸収材にするのによくある気体吸収剤である。過マンガン酸カリウムはエチレンを吸収してこれを過マンガン酸カリウムに転化するため、エチレンを探知する気体吸収材に利用し得る。当業者は当然、実際の必要性に応じて、異なる気体吸収材を適切に調整して使用してもよく、上記は例示して説明したにすぎない。気体吸収材の組合せが容易な平面型インダクタンス・キャパシタンス共振器によって、本発明は、少なくとも以下の利点を有する。
1 体積が小さい。
2 価格が廉価である。
3 製造が容易である。
4 人的コストを大幅に低減させる。
5 一箱単位、一山単位の青果の貯蔵に対して期別販売の管理制御を効果的に行うことができる。
【0013】
本発明をさらに明確にわかりやすくするために、以下にいくつかの実施例を示してさらに説明する。
【実施例1】
【0014】
図1を参照されたい。これは、本発明の実施例1に係る気体検知器の部分断面図である。気体検知器10は、インダクタンス電極110、キャパシタンス電極120及び気体吸収材130を備える。本実施例では、気体吸収材130がインダクタンス電極110及びキャパシタンス電極120の下に設置されると共に、キャパシタンス電極120の一部と接続している。気体吸収材130に設置されたインダクタンス電極110がインダクタンスを形成し、気体吸収材130に設置されたキャパシタンス電極120がキャパシタンスを形成して、平面型インダクタンス・キャパシタンス共振器における共振素子にするようにする。被検知気体の濃度が変化すると、気体吸収材130に吸着される被検知気体の分子量が変化して、気体吸収材130自体の誘電定数に変化を生じさせ、さらにはキャパシタンス値の大きさが変化する。このようにして、平面型インダクタンス・キャパシタンス共振器の共振周波数が直ちにこの変化に従う。本発明者らは、共振周波数の変化を探知することによって被検知気体の濃度変化を知ることができる。また、共振周波数を探知するデバイスは、例えばベクトルネットワークアナライザ(Vector Network Analyzer,VNA)である。
【0015】
一般的に、農産物は成熟すると、エチレン又は二酸化炭素等の気体を放出する。農産物が成熟したか否かの探知に気体検知器10を応用する場合、本発明者らは、適切な気体吸収材130を選択して使用することができる。気体吸収材は、気体吸着材と気体反応材とに分かれてもよい。なお、気体吸着材は、その材料自体としてその表面官能基の特性が異なるため、特定の気体を化学吸着又は物理吸着の方式によって気体吸着材に吸着させ得る。ただし、材料の基本構造は、気体と物理反応又は化学反応を生じない。一方、気体反応材は、その材料の構造及び特性によって、気体と化学反応を生じてその構造又は化学的性質に変化を生じてもよい。例えば、材料が気体の影響を受けて酸化反応又は還元反応等を起こしてもよい。一般的によくある気体吸着材は、例えば、1−メチルシクロプロペン、活性炭、塩化ジルコニウム(ZrCl2)、キトサン、過マンガン酸カリウム、パラジウム金属を含有する銀金属のポリアクリル酸アミド(Polyacrylic amide)高分子重合体、及び竹抽出液から成る群から選ばれる。気体反応材は、例えば、金属酸化物触媒、白金−酸化チタン複合体(Pt−TiO2)、白金化合物(Pt TMOSFET)、白金−酸化スズ複合体(Pt−SnO2)、カーボンナノチューブ(Carbon Nano Tube,CNT)、及び銀イオン(Ag+)含有材料から成る群から選ばれる。当業者は当然、実際の必要性に応じて、異なる気体吸収材を適切に調整して使用してもよく、上記は例示して説明したにすぎない。
【実施例2】
【0016】
図2を参照されたい。これは、本発明の実施例2に係る気体検知器の部分断面図である。実施例2に図示する気体検知器20と図1に図示する気体検知器10との相違点は、気体検知器20はさらに基板240を備えており、基板240が気体吸収材130の下に位置して気体吸収材130を設置するのに用いられることにある。実施例1は、直接に気体吸収材130を基板として使用する。気体検知器20は、作用原理及び選択的に使用可能な気体吸収材130が上記気体検知器10と同じであり、ここでは説明しない。
【実施例3】
【0017】
図3を参照されたい。これは、本発明の実施例3に係る気体検知器の部分断面図である。実施例3に図示する気体検知器30と図1に図示する気体検知器10との相違点は、気体吸収材130がインダクタンス電極110及びキャパシタンス電極120の下に設置されるほか、気体検知器30が、さらに別の気体吸収材350を備えており、気体吸収材350がキャパシタンス電極120を覆い、キャパシタンス電極120と接続する面積を増加させていることにある。本実施例の構造は、キャパシタンス電極120の周囲及び下に気体吸収材350及び気体吸収材130を有しているため、平面型インダクタンス・キャパシタンス共振器の上部及び下部の雰囲気の気体濃度を同時に探知し得るように設計されている。気体吸収材350及び気体吸収材130の両方又はその一方に吸着される被検知気体の分子量に変化が生ずると、キャパシタンス値の大きさを変化させることができ、さらには、平面型インダクタンス・キャパシタンス共振器の共振周波数が変化して被検知気体の濃度変化が分かり得る。このため、気体検知器30の検知性を向上させることができる。
【0018】
当然、本実施例では、キャパシタンス電極120の上部が気体吸収材350と接続し、キャパシタンス電極120の下部が気体吸収材130と接続しており、本発明者らは気体吸収材130を基板240で代替してもよい。この場合、気体吸収材350のみがキャパシタンス電極120を覆って、キャパシタンス電極120と接続している。このため、平面型インダクタンス・キャパシタンス共振器の上部の雰囲気の気体濃度を探知し得る。気体吸収材350は、印刷、物理めっき膜、化学めっき膜、電気めっき又は転写等の方式によって作り得る。
【0019】
気体吸収材350及び気体吸収材130は、同一の又は異なる材料であってもよく、例えば上記気体吸着材又は気体反応材であり、ここでは説明しない。
【実施例4】
【0020】
図4を参照されたい。これは、本発明の実施例4に係る気体検知器の部分断面図である。実施例4に図示する気体検知器40と図3に図示する気体検知器30との相違点は、気体検知器40はさらに基板240を備えており、基板240が気体吸収材130の下に位置して気体吸収材130を設置するのに用いられることにある。実施例3は、直接に気体吸収材130を基板として使用している。
【実施例5】
【0021】
図5を参照されたい。これは、本発明の実施例5に係る気体検知器の部分断面図である。実施例5に図示する気体検知器50と図3に図示する気体検知器30との相違点は、気体吸収材350が直接にキャパシタンス電極120を覆っているのではなく、誘電材560がキャパシタンス電極120を覆い、気体吸収材350が誘電材560の上に設置されていることにある。本実施例の構造は、誘電材560の上下にはいずれも気体吸収材350及び気体吸収材130があるため、気体吸収材350及び気体吸収材130の両方又は一方に吸着される被検知気体の分子量に変化が生ずると、それ自体の誘電定数に変化が生じ、さらにはそれと接続する誘電材560の誘電定数に顕著な変化を生じさせ、誘電材560はキャパシタンス電極120を覆ってキャパシタンス電極120と接続しているため、誘電材560の誘電定数に変化が生ずると、続いてキャパシタンス値が変化し、さらには平面型インダクタンス・キャパシタンス共振器の共振周波数が変化して、被検知気体の濃度変化が分かるように設計されている。本実施例では、気体吸収材350又は気体吸収材130の誘電定数の微量の変化によって、それと接続する誘電材560の誘電定数に顕著な変化を生じさる。このため、誘電材560の設置によって気体検知器50の検知能力を向上させ得る。誘電材560は、エタノール類、ポリビニルアミン、二酸化ケイ素(SiO2)、二酸化チタン(TiO2)、酸化亜鉛(ZnO)及び二酸化スズ(SnO2)から成る群から選ばれ、当業者が実際の必要性に応じて、異なる誘電材を適切に調整して使用してもよく、上記は例示して説明したにすぎない。
【0022】
当然、本実施例では、誘電材560の上部が気体吸収材350と接続し、誘電材560の下部が気体吸収材130と接続しており、本発明者らは気体吸収材130を基板240で代替してもよい。この場合、気体吸収材350のみが誘電材560の上に設置されて誘電材と接続している。このため、平面型インダクタンス・キャパシタンス共振器の上部の雰囲気の気体濃度を探知し得る。
【0023】
図12を参照されたい。これは、本発明の実施例5に係る他の気体検知器の部分断面図である。図12に図示する気体検知器200と図5に図示する気体検知器50との相違点は、図5の気体吸収材130が図12においては基板240で代替されていることにある。この場合、気体吸収材350のみが誘電材560の上に設置されて誘電材560と接続している。このため、平面型インダクタンス・キャパシタンス共振器の上部の雰囲気の気体濃度を探知し得る。
【0024】
図13を参照されたい。これは、異なる誘電材の周波数の変化を示す図である。例えば図12の気体検知器200を用いた例を示すと、曲線1310は被覆なしの誘電材560の周波数変化曲線であり、曲線1320はエタノール類被覆誘電材560の周波数変化曲線であり、曲線1330はポリビニルアミン被覆誘電材560の周波数変化曲線である。本発明者らは、図13から、エタノール類被覆誘電材の後の周波数の変化が相当に安定しており、周波数偏移の現象を生じることがないことを見いだすことができる。このため、気体変化濃度を測定する精度がさらに向上する。
【実施例6】
【0025】
図6を参照されたい。これは、本発明の実施例6に係る気体検知器の部分断面図である。実施例6に図示する気体検知器60と図5に図示する気体検知器50との相違点は、気体吸収材130は基板240に設置されており、誘電材560の上には気体吸収材350が設置されていないことにある。基板240の上に位置する気体吸収材130の誘電定数の変化によって、気体吸収材130と接続する誘電材560の誘電定数に共に変化を生じさせる。誘電材560がキャパシタンス電極120を覆ってそれと接続しているため、誘電材560の誘電定数に変化が生ずると、キャパシタンス値がこれに伴って変化し、さらには平面型インダクタンス・キャパシタンス共振器の共振周波数が変化し、被検知気体の濃度変化が分かる。
【実施例7】
【0026】
図7を参照されたい。これは、本発明の実施例7に係る気体検知器の部分断面図である。実施例7に図示する気体検知器70と図5に図示する気体検知器50との相違点は、気体検知器70は、さらに基板240を備えており、基板240が気体吸収材130の下に位置して気体吸収材130を設置するのに用いられることにある。実施例5は、気体吸収材130を直接に基板として使用している。
【0027】
上記インダクタンス電極110及びキャパシタンス電極120は、例えば印刷、物理めっき膜、化学めっき膜、電気めっき又は転写等の方式によって作られる。インダクタンス電極110及びキャパシタンス電極120の形状は、設計の必要性に応じて異なってよい。例示して説明すると、インダクタンス電極110は例えば平面螺旋状であるが、キャパシタンス電極120は例えば平面対称交差指状、平面対称矩形又は単一平面電極である。以下、それぞれ図8〜図10で図示してさらに説明する。
【0028】
図8を参照されたい。これは、第1の平面型インダクタンス・キャパシタンス共振器を示す図である。図8に図示する平面型インダクタンス・キャパシタンス共振器80では、上記インダクタンス電極110が図8ではインダクタンス電極110(1)で示され、キャパシタンス電極120がキャパシタンス電極120(1)で示される。インダクタンス電極110(1)は平面螺旋状であるが、キャパシタンス電極120(1)は平面対称交差指状である。キャパシタンス電極120(1)が平面対称交差指状であるため、本発明者らは、それを複数の単一キャパシタンスの並列接続であると見なすことができる。このようにして、キャパシタンス電極120(1)の等価のキャパシタンス値を大幅に増加させることができる。
【0029】
図9を参照されたい。これは、第2の平面型インダクタンス・キャパシタンス共振器を示す図である。図9に図示する平面型インダクタンス・キャパシタンス共振器90では、上記インダクタンス電極110が図9ではインダクタンス電極110(1)で示され、キャパシタンス電極120がキャパシタンス電極120(2)で示される。平面型インダクタンス・キャパシタンス共振器90と上記図8に図示する平面型インダクタンス・キャパシタンス共振器80との相違点は、キャパシタンス電極120(2)が平面対称矩形であることにある。
【0030】
図10を参照されたい。これは、第3の平面型インダクタンス・キャパシタンス共振器を示す図である。図10に図示する平面型インダクタンス・キャパシタンス共振器100では、上記インダクタンス電極110が図10ではインダクタンス電極110(1)で示され、キャパシタンス電極120がキャパシタンス電極120(3)で示される。平面型インダクタンス・キャパシタンス共振器100と上記図8に図示する平面型インダクタンス・キャパシタンス共振器80との相違点は、キャパシタンス電極120(3)が単一平面電極であることにある。
【0031】
当然、図8〜図10で示される平面型インダクタンス・キャパシタンス共振器は、いずれも上記の実施例すべてに使用してよく、当業者が実際の必要性に応じて、異なる平面型インダクタンス・キャパシタンス共振器を適切に調整して使用し、異なる実施例と組み合わせてよく、上記は例示して説明したにすぎない。
【0032】
図11を参照されたい。これは、時間に伴う共振周波数の変化を示す図である。説明の便宜の見地から、図11は青パパイヤを例としてテストをしており、例えば図8の平面型インダクタンス・キャパシタンス共振器を使用し、実施例3における気体検知器30を採用している。なお、用いられた気体吸収材は、パラジウム金属を含有する銀金属のポリアクリル酸アミド高分子重合体であり、エチレン気体を測定するのに用いる。図11で共振周波数の変化状況を説明し得る。青パパイヤは時間の増加に伴って次第に成熟するため、エチレン気体を放出する。気体吸収材がエチレン気体分子を吸収して、平面型インダクタンス・キャパシタンス共振器のキャパシタンス値を変化させ、さらには平面型インダクタンス・キャパシタンス共振器の共振周波数が時間に伴って次第に減少するようになる。
【0033】
本発明の上記実施例で開示される気体検知器の気体吸収材は、被検知気体の種類に応じて異なる気体吸着材又は気体反応材を選択してもよい。また、キャパシタンス電極の設計方式は、設計の必要性に応じて平面対称交差指状、平面対称矩形又は単一平面電極等を選択してよい。上記実施例で開示される気体検知器は、体積が小さいだけでなく、価格も廉価である。その上、上記実施例で開示される気体検知器の製造は、相当に容易であり、例えばそれを農産物の検査・分類に応用する上で、人的コストを大幅に低減させるであろう。さらに、本発明者らは、上記気体探知器を利用して一箱単位又は一山単位の青果に対して探知をし、即ち個別の農産物の成熟状況を効果的に判断して、さらには一箱単位又は一山単位の青果の貯蔵に対して期別販売の管理制御をする目的を達成することができる。
【0034】
以上述べたところを総合すると、本発明は、好ましい実施形態を上記のように既に開示した。しかし、これをもって本発明を限定するものではない。本発明の当業者が、本発明の精神及び範囲から逸脱せずに、種々の修正及び変更をしてもよいものとする。このため、本発明の保護範囲は、後述する特許請求の範囲で画定されたものを基準と見なすものとする。
【符号の説明】
【0035】
10、20、30、40、50、60、70、200 気体検知器
110、110(1) インダクタンス電極
120、120(1)、120(2)、120(3) キャパシタンス電極
130、350 気体吸収材
240 基板
560 誘電材
80、90、100 平面型インダクタンス・キャパシタンス共振器
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インダクタンス電極、及び該インダクタンス電極に接続するキャパシタンス電極を備える平面型インダクタンス・キャパシタンス共振器と、
前記キャパシタンス電極の少なくとも一部分と接続する気体吸収材と、
を備える気体検知器であって、
前記気体吸収材は、被検知気体の濃度変化に応じて、前記平面型インダクタンス・キャパシタンス共振器の共振周波数を変化させることを特徴とする気体検知器。
【請求項2】
前記キャパシタンス電極は、前記気体吸収材に設置されて、該気体吸収材と接続することを特徴とする請求項1に記載の気体検知器。
【請求項3】
前記気体吸収材は、前記キャパシタンス電極を覆って、該キャパシタンス電極を接続することを特徴とする請求項1に記載の気体検知器。
【請求項4】
前記気体吸収材が設置される基板をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の気体検知器。
【請求項5】
前記キャパシタンス電極を覆って該キャパシタンス電極と接続する別の気体吸収材をさらに備えることを特徴とする請求項2に記載の気体検知器。
【請求項6】
誘電材であって、前記気体吸収材及び前記キャパシタンス電極と接続する、誘電材をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の気体検知器。
【請求項7】
前記誘電材がエタノール類、ポリビニルアミン、二酸化ケイ素(SiO2)、二酸化チタン(TiO2)、酸化亜鉛(ZnO)及び二酸化スズ(SnO2)から成る群から選ばれることを特徴とする請求項6に記載の気体検知器。
【請求項8】
前記キャパシタンス電極が設置される基板をさらに備えており、前記誘電材が該キャパシタンス電極を覆い、前記気体吸収材が前記誘電材を設置することを特徴とする請求項6に記載の気体検知器。
【請求項9】
前記気体吸収材が設置される基板をさらに備えており、前記キャパシタンス電極が前記気体吸収材に設置され、前記誘電材が該キャパシタンス電極を覆うことを特徴とする請求項6に記載の気体検知器。
【請求項10】
前記誘電材に設置される別の気体吸収材をさらに備えることを特徴とする請求項9に記載の気体検知器。
【請求項11】
前記気体吸収材が気体反応材であることを特徴とする請求項1に記載の気体検知器。
【請求項12】
前記気体反応材が金属酸化物触媒、白金−酸化チタン複合体(Pt−TiO2)、白金化合物(Pt TMOSFET)、白金−酸化スズ複合体(Pt−SnO2)、カーボンナノチューブ(Carbon Nano Tube,CNT)及び銀イオン(Ag+)含有材料から成る群から選ばれることを特徴とする請求項11に記載の気体検知器。
【請求項13】
前記気体吸収材が気体吸着材であることを特徴とする請求項1に記載の気体検知器。
【請求項14】
前記気体吸着材が1−メチルシクロプロペン(1-methyl cyclopropene,1−MCP)、活性炭、塩化ジルコニウム(ZrCl2)、キトサン、過マンガン酸カリウム、パラジウム金属を含有する銀金属のポリアクリル酸アミド(Polyacrylic amide)高分子重合体及び竹抽出液から成る群から選ばれることを特徴とする請求項13に記載の気体検知器。
【請求項15】
前記キャパシタンス電極が単一平面電極であることを特徴とする請求項1に記載の気体検知器。
【請求項16】
前記キャパシタンス電極が平面対称交差指状であることを特徴とする請求項1に記載の気体検知器。
【請求項17】
前記キャパシタンス電極が平面対称矩形であることを特徴とする請求項1に記載の気体検知器。
【請求項18】
前記インダクタンス電極が平面螺旋状であることを特徴とする請求項1に記載の気体検知器。
【請求項19】
前記気体吸収材がエチレン気体吸収材であることを特徴とする請求項1に記載の気体検知器。
【請求項20】
前記気体吸収材が一酸化炭素気体吸収材であることを特徴とする請求項1に記載の気体検知器。
【請求項21】
前記気体吸収材が二酸化炭素気体吸収材であることを特徴とする請求項1に記載の気体検知器。
【請求項1】
インダクタンス電極、及び該インダクタンス電極に接続するキャパシタンス電極を備える平面型インダクタンス・キャパシタンス共振器と、
前記キャパシタンス電極の少なくとも一部分と接続する気体吸収材と、
を備える気体検知器であって、
前記気体吸収材は、被検知気体の濃度変化に応じて、前記平面型インダクタンス・キャパシタンス共振器の共振周波数を変化させることを特徴とする気体検知器。
【請求項2】
前記キャパシタンス電極は、前記気体吸収材に設置されて、該気体吸収材と接続することを特徴とする請求項1に記載の気体検知器。
【請求項3】
前記気体吸収材は、前記キャパシタンス電極を覆って、該キャパシタンス電極を接続することを特徴とする請求項1に記載の気体検知器。
【請求項4】
前記気体吸収材が設置される基板をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の気体検知器。
【請求項5】
前記キャパシタンス電極を覆って該キャパシタンス電極と接続する別の気体吸収材をさらに備えることを特徴とする請求項2に記載の気体検知器。
【請求項6】
誘電材であって、前記気体吸収材及び前記キャパシタンス電極と接続する、誘電材をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の気体検知器。
【請求項7】
前記誘電材がエタノール類、ポリビニルアミン、二酸化ケイ素(SiO2)、二酸化チタン(TiO2)、酸化亜鉛(ZnO)及び二酸化スズ(SnO2)から成る群から選ばれることを特徴とする請求項6に記載の気体検知器。
【請求項8】
前記キャパシタンス電極が設置される基板をさらに備えており、前記誘電材が該キャパシタンス電極を覆い、前記気体吸収材が前記誘電材を設置することを特徴とする請求項6に記載の気体検知器。
【請求項9】
前記気体吸収材が設置される基板をさらに備えており、前記キャパシタンス電極が前記気体吸収材に設置され、前記誘電材が該キャパシタンス電極を覆うことを特徴とする請求項6に記載の気体検知器。
【請求項10】
前記誘電材に設置される別の気体吸収材をさらに備えることを特徴とする請求項9に記載の気体検知器。
【請求項11】
前記気体吸収材が気体反応材であることを特徴とする請求項1に記載の気体検知器。
【請求項12】
前記気体反応材が金属酸化物触媒、白金−酸化チタン複合体(Pt−TiO2)、白金化合物(Pt TMOSFET)、白金−酸化スズ複合体(Pt−SnO2)、カーボンナノチューブ(Carbon Nano Tube,CNT)及び銀イオン(Ag+)含有材料から成る群から選ばれることを特徴とする請求項11に記載の気体検知器。
【請求項13】
前記気体吸収材が気体吸着材であることを特徴とする請求項1に記載の気体検知器。
【請求項14】
前記気体吸着材が1−メチルシクロプロペン(1-methyl cyclopropene,1−MCP)、活性炭、塩化ジルコニウム(ZrCl2)、キトサン、過マンガン酸カリウム、パラジウム金属を含有する銀金属のポリアクリル酸アミド(Polyacrylic amide)高分子重合体及び竹抽出液から成る群から選ばれることを特徴とする請求項13に記載の気体検知器。
【請求項15】
前記キャパシタンス電極が単一平面電極であることを特徴とする請求項1に記載の気体検知器。
【請求項16】
前記キャパシタンス電極が平面対称交差指状であることを特徴とする請求項1に記載の気体検知器。
【請求項17】
前記キャパシタンス電極が平面対称矩形であることを特徴とする請求項1に記載の気体検知器。
【請求項18】
前記インダクタンス電極が平面螺旋状であることを特徴とする請求項1に記載の気体検知器。
【請求項19】
前記気体吸収材がエチレン気体吸収材であることを特徴とする請求項1に記載の気体検知器。
【請求項20】
前記気体吸収材が一酸化炭素気体吸収材であることを特徴とする請求項1に記載の気体検知器。
【請求項21】
前記気体吸収材が二酸化炭素気体吸収材であることを特徴とする請求項1に記載の気体検知器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2010−127927(P2010−127927A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−54100(P2009−54100)
【出願日】平成21年3月6日(2009.3.6)
【出願人】(390023582)財団法人工業技術研究院 (524)
【氏名又は名称原語表記】INDUSTRIAL TECHNOLOGY RESEARCH INSTITUTE
【住所又は居所原語表記】195 Chung Hsing Rd.,Sec.4,Chutung,Hsin−Chu,Taiwan R.O.C
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月6日(2009.3.6)
【出願人】(390023582)財団法人工業技術研究院 (524)
【氏名又は名称原語表記】INDUSTRIAL TECHNOLOGY RESEARCH INSTITUTE
【住所又は居所原語表記】195 Chung Hsing Rd.,Sec.4,Chutung,Hsin−Chu,Taiwan R.O.C
【Fターム(参考)】
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