説明

気体移送薄膜をもたらすためのプリ−ツ形構造

薄膜を通って第1流体から第2流体に気体の通過をもたらす接触器10であって、
第1流体の第1流路内部に配置された少なくとも1つのバッフル30と共に、第1流体用の第1入口18および第1出口20と、第2流体用の少なくとも1つの第2出口22とを備えるハウジング12の内部に配置された円筒プリ−ツ形薄膜カートリッジ24をもつ接触器10。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリ−ツ式多孔性薄膜を含む2つの流体の間で気体の流れをもたらす接触器(contactor)および方法に関する。より詳細には、本発明は、プリ−ツ式多孔性薄膜とプリ−ツ式薄膜と液体の流れの接触をもたらすバッフル手段とを含むそのような接触器に関する。
【背景技術】
【0002】
微孔性の薄膜が、広く様々な応用例で使用されている。分離フィルタとして使用され、それらは、医薬品業界の緩衝液および治療薬を含む溶液、マイクロエレクトロニクスのウェーハ製造プロセスにおけるまた浄水プロセスの前処理のための超高純度の水性および有機の溶剤溶液などの様々な溶液から粒子およびバクテリアを取り除く。さらに、それらは、それらの高い多孔性が有利な吸収および吸い上げの性質をもたらす医療診断装置に使用される。
【0003】
中空のファイバ薄膜が、通常、脱気または気体吸収の応用例のために薄膜接触器として使用される。接触器は、一方の相から他方の相へ成分を移送する目的で、2つの相、例えば2つの液相または液相と気相を一緒にする。一般的なプロセスは、気体または気体の成分の流れが液体に吸収される気体吸収などの、気体―液体間の質量移動である。液体脱気法は、液体を含む溶解気体が、溶解気体を取り除くために大気、真空または別の相と接触する別の例である。従来の気体吸収の1つの例では、気体の泡は、吸収液体の中に分散されて、気体/液体の表面積を増加させ、気相から吸収される種の移送速度を増加させる。逆に、液体の液滴は噴霧されることができ、または液体が、スプレー塔、充填塔の向流動作における薄いフィルムとして移送されることができる。同様に、不混和性の液体の液滴は、移送を増加させるために第2液体に分散されることができる。充填カラムおよびトレイカラムには充水、飛沫同伴等なしで2つの流れの個々の速度を独立に広範囲にわたって変化させることができないという、欠陥がある。しかし、相が薄膜で分離されている場合、各相の流量は独立に変化させることができる。さらに、比較的低い流量でもすべての領域を利用可能である。これらの利点により、中空ファイバ薄膜は接触器の応用例でますます使用されている。
【0004】
疎水性で微孔性の薄膜は、一般に薄膜を濡らさない水溶液を用いて接触器の応用例用に使用される。溶液が、薄膜の一方の面を流れ、溶液より低い圧力の混合気体が薄膜の他方の面を流れる。薄膜の両側の圧力は、液体の圧力が、薄膜の臨界圧力を越えないように維持され、したがって気体は液体の中に泡として入っていかない。臨界圧力、溶液が孔に侵入する圧力は、薄膜を作るのに使用された材料に直接依存し、薄膜の孔の大きさに逆依存し、気相と接触する溶液の表面張力に直接依存する。そのような装置において、非常に高い充填密度を得ることができるので、中空ファイバ薄膜が主に使用される。充填密度は、装置の体積当たりの有益なフィルタリング表面の量に関係する。また、特定の応用例でどちらがより有利であるかによって、それらは、内部または外部表面に接触する供給で作動されることができる。接触薄膜システムの通常の応用例は、溶解気体を液体から取り除く、「脱気」または液体に気体の物質を加えることである。例えば、半導体ウェーハを洗浄するための溶液を提供するために、オゾンを高度の純水に加える。
【0005】
接触の応用例の利点は、熱可塑性の過フッ化高分子などの親水性薄膜の非常に低い表面張力が、低い表面張力の液体での使用を可能にすることである。半導体製造産業で使用される例えば高度に腐食性の現像剤は、界面活性剤などの表面張力を減少させる添加剤を含むことができる。液体が使用される圧力で微細孔に侵入し浸透し溶液損失および過剰の蒸発を起こすので、これらの現像剤は、一般の微孔性の薄膜では脱気されることができない。さらに、微細孔を満たす液体は、気体移送の質量移動抵抗を大幅に増加する。
【0006】
微孔性の薄膜は、薄膜全体にわたって続く連続した多孔性構造をもつ。この分野の研究者は、微細孔の厚さの範囲は約0.05ミクロンから約10.0ミクロンであると考える。そのような薄膜は、シート、管または中空ファイバの形状をとる。中空ファイバは、高い充填密度で分離装置に組み込むことができるという利点がある。しかし、中空ファイバは、形成するのが難しくそれゆえ高価であるという不利な点がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、中空のファイバを使用することなしに、第1流体相から第2流体相に気体の移送をもたらす接触器装置を提供することが望ましいであろう。さらに、現在入手可能な接触器と比べて改良された気体の移送効率をもつ2つの流体相の間で気体の移送をもたらすそのような接触器を提供することが望ましいであろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
外部ハウジングとプリーツ形薄膜カートリッジと、(a)ハウジングの内面とプリーツ形薄膜カートリッジの外面との間、または(b)プリーツ形薄膜カートリッジの内直径の間に、1つまたは複数のバッフルとを含む接触器が提供される。バッフルがプリーツ形カートリッジの複数のリーフの間の間隙に、接触器から流体用の出口の方向に流体の流れをもたらす。
【0009】
本発明によれば、気体の移送が流体の間で行われる2つの流体用の接触器が提供される。液体の流れを含む第1流体は、プリーツ形薄膜カートリッジの内部表面または外部表面と接触し、一方、第2流体は、残りのプリーツ形フィルタカートリッジの内部または外部表面と接触する。第1流体と接触する1つのカートリッジの表面は、流体をプリーツ形フィルタの隣接するリーフの間の間隙の中に導く1つまたは複数のバッフルを備えている。流体の流れは、(a)カートリッジ用ハウジングの内面とカートリッジの外面の間の空間、または、(b)カートリッジの内面の内部の空間で妨害を提供するように配置されたバッフルによって、これらの間隙の内部で維持される。
【0010】
1つまたは複数のバッフルを、カートリッジの高さに沿って使用することができる。バッフルは単一の部品または2つの嵌め合いセグメントなどの嵌め合いセグメントから形成されることができる。バッフルの表面は滑らかでよく、またはバッフルの表面の1つは、カートリッジのプレートまたはリーフの間の間隙に延びる歯を備えていてもよい。歯を含むことは、カートリッジの薄膜と、そこから気体が取り除かれ、またはその中に気体が提供される第1流体との間により密接な接触を提供する。
【0011】
プリーツ形薄膜は、当分野でよく知られているように、薄膜層と多孔性支持スクリーン層とから形成される。適切な疎水性薄膜は、ポリテトラフルオロエチレン−ペルフルオロメチルビニルエーテル共重合体(MFA)、ポリテトラフルオロエチレン−ペルフルオロプロピルビニルエーテル共重合体(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、ポリビニリデンフロライド(PVDF)から形成されるものを含む。PFAテフロン(登録商標)とFEPテフロン(登録商標)の熱可塑性プラスチックの両方は、デラウェア州、WilmingtonのDUPont社製である。Neoflon(登録商標)PFAは、Daikin Industriesから入手可能な重合体である。MFA Haflon(登録商標)は、ニュージャージー州、ThorofareのAusimont USA Inc.から入手可能な重合体である。予め形成されたMFA Haflon(登録商標)およびFEPテフロン(登録商標)の管は、サウスカロライナ州、OrangeburyのZeus Indastrial Products,Inc.から入手可能である。本発明を実施するのに有益な他の熱可塑性プラスチックおよびその混合物は、これらに限定するものではないが、ポリ(クロロトリフルオロエチレン ビニリデン フロライド)と、ポロビニルクロライドと、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリメチルペンテン、超高分子量ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン(UPE)、ポリアミド、ポリスルホン、ポリエーテルエーテルケトンおよびポリカーボネートなどのポリオレフィンとを含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1を参照すると、本発明の接触器10の1つの実施形態が示されている。接触器10は、結合されたエンドキャップ14および16をもつハウジング12を含む。エンドキャップ14は、液体入口18を含む。エンドキャップ16は、液体出口20と真空源(図示せず)に変換される出口22を含む。多孔性支持ケージ26に囲まれたプリーツ形薄膜カートリッジ24は、カートリッジ24を支持するように提供される。第2の多孔性支持ケージも、カートリッジ24の中央コア28の内部に配置することができる。バッフル30が、カートリッジ24の外円周の周りに延びる。バッフル30が、ケージ33の外面34からハウジング12の内面に延びる。バッフル30が、液体がプレート40の間隙38中に導き、それによって、プリーツ40のプリーツ形薄膜の間でより密接な接触をもたらす。この実施形態では、気体の泡を入口18から導入された液体から取り除く。
【0013】
第2の実施形態では、プリーツ形薄膜を通して入口18から導入した水などの液体にオゾンの移送をもたらす状況下で、オゾンなどの加圧気体を開口22から導入することができる。望むならば、加圧気体用のハウジング(図示せず)からの第2の出口を、ハウジング12からの加圧気体を取り除くために提供することができる。
【0014】
図2を参照すると、バッフル44がプリーツ形フィルタカートリッジ48のコア46の内部に配置されている接触器42が備えられる。カートリッジ48は、多孔性支持ケージ50によって囲まれる。脱気される液体が入口52および54を介してカートリッジ48の中央コア46に導入される。バッフル44は、プリーツ60の薄膜と、より密接な接触をもたらすために、導入された液体をプリーツ60の間の間隙に移動させる。真空源(図示せず)が、プリーツ48を通過する気体を集めるために出口62に連結される。脱気された液体は出口64を介して回収される。
【0015】
他の実施形態では、入口52および54を介して液体内にオゾンなどの気体の流れをもたらす条件下で、加圧気体を出口62を介してハウジング66内に導入することができる。
【0016】
図3を参照すると、図1のカートリッジ10のプリーツ24は、多孔性ケージ36と多孔性ケージ41との間に配置される。ケージ36はハウジング12内部に配置されたバッフル30に接触する。
【0017】
図4を参照すると、バッフル30は、矢印65および67で示すように、液体をプリーツ40内に流入させて、液体と薄膜の間に、より密接な接触を引き起こす。
【0018】
図5を参照すると、バッフル70は、使用中に互いに接触するバッフル・セグメント71および72から形成される。
【0019】
図6を参照すると、バッフル73は、カートリッジ24の隣接するプリーツの間の間隙に適合する歯75を含み、それによって、液体と薄膜の間で、より密接な接触をもたらす。バッフルが図3に示されるようにカートリッジのコアの内部に配置されるとき、歯はバッフル44の外側表面上にある。
【0020】
図7に示されるように、図2のバッフル44は固体の部品を含む。
【0021】
図8を参照すると、本発明の接触器10の1つの実施形態が示されている。接触器10は、結合されたエンドキャップ14および16をもつハウジング12を含む。エンドキャップ14は、液体入口18を含む。エンドキャップ16は、液体出口20と真空源(図示せず)に変換される出口22を含む。多孔性支持ケージ26に囲まれたプリーツ形薄膜カートリッジ24は、カートリッジ24を支持するように提供される。第2の多孔性支持ケージも、カートリッジ24の中央コア28の内部に配置することができる。バッフル30aが、カートリッジ24の外円周の周りに延びる。バッフル30aが、ケージ33の外面34からハウジング12の内面に延びる。バッフル30aが、液体をプレート40の間隙38中に導き、それによって、プリーツ40のプリーツ形薄膜の間でより密接な接触をもたらす。この実施形態では、気体の泡が入口18から導入された液体から取り除かれる。
【0022】
第2の実施形態では、オゾンなどの加圧気体が、入口18から導入される水などの液体の中に、プリーツ形薄膜を介してオゾンの移送をもたらす状況下で、開口22を介して導入されることができる。望むならば、ハウジング12からの加圧気体を取り除くために、加圧気体用のハウジング(図示せず)からの第2の出口を備えることができる。
【0023】
以下の実施例は本発明を説明しているが、同じものに限定することを意図するものではない。
【実施例1】
【0024】
0.05ミクロンの疎水性超高分子量のポリエチエレン薄膜(3500cmの面積)をもつ図1の装置を、水から気体を取り除くために、脱イオン水でテストした。装置の出口に存在する、認識できるいかなる泡の兆候もなかった。YSI 5100 溶解酸素メーターで測定された脱気の効率は、0.5リットル/分および2.0リットル/分の流量において、それぞれ21%および10%の除去であった。これらの結果は、PFA中空ファイバ薄膜接触器での2.0リットル/分の流量における8.0%に匹敵する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】プリーツ形薄膜カートリッジの外側表面に配置されたバッフルをもつ本発明の接触器の破断側面図である。
【図2】プリーツ形薄膜カートリッジの内側表面に配置されたバッフルをもつ本発明の接触器の破断側面図である。
【図3】本発明で使用されるプリーツ形カートリッジの部分上面図である。
【図4】1つの流体の流れを示す本発明の接触器の部分側面図である。
【図5】本発明で使用されるセグメント化されたバッフルの上面図である。
【図6】本発明で使用される歯をもつバッフルの部分上面図である。
【図7】薄膜カートリッジの内面に配置されたバッフルの上面図である。
【図8】本発明の別の接触器の断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
薄膜を通って第1流体から第2流体に気体の通過をもたらす接触器装置であって、
ハウジング内部に配置された円筒プリーツ形薄膜カートリッジであって、
前記ハウジングが第1流体用の第1入口および第1出口と第2流体用の少なくとも1つの第2出口とをもつ薄膜カートリッジと、
前記第1流体用の第1流路内部に配置された少なくとも1つのバッフルとを含む接触器装置。
【請求項2】
複数のバッフルをもつ請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記少なくとも1つのバッフルが、前記カートリッジの外側表面に配置される請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記複数のバッフルが、前記カートリッジの外側表面に配置される請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記少なくとも1つのバッフルが、前記カートリッジの外側表面に配置される請求項2に記載の装置。
【請求項6】
前記複数のバッフルが、前記カートリッジの外側表面に配置される請求項2に記載の装置。
【請求項7】
前記第1流体を請求項1の装置の前記第1入口に導入するステップと、前記第1流体を前記第1出口から取り除くステップと、前記第2入口に真空を適用するステップとを含む気体を第1流体から取り除く方法。
【請求項8】
前記第2入口が前記カートリッジのコアと流体連通し、前記バッフルが前記カートリッジの外側表面に配置される請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記第2入口が前記カートリッジの外側表面と流体連通し、前記バッフルが前記カートリッジの内側表面に配置される請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記第1流体を請求項1の装置の前記第1入口に導入するステップと、前記第1流体を前記第1出口から導入するステップと、前記第2入口に加圧気体を導入するステップとを含む気体を第1流体から取り除く方法。
【請求項11】
前記第2入口が前記カートリッジのコアと流体連通し、前記バッフルが前記カートリッジの外側表面に配置される請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記第2入口が前記カートリッジの外側表面と流体連通し、前記バッフルが前記カートリッジの内側表面に配置される請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記加圧気体がオゾンである請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記加圧気体がオゾンである請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記加圧気体がオゾンである請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記バッフルの少なくとも1つが、前記カートリッジのプリーツの間の間隙に延びるように配置された歯を含む請求項1、2、3、4、5または6のいずれか一項に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2006−524133(P2006−524133A)
【公表日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−513179(P2006−513179)
【出願日】平成16年4月22日(2004.4.22)
【国際出願番号】PCT/US2004/012247
【国際公開番号】WO2004/094022
【国際公開日】平成16年11月4日(2004.11.4)
【出願人】(506022865)インテグリス・インコーポレーテッド (21)
【Fターム(参考)】