説明

気圧差を利用した脱水方法及び真水の回収装置

【課題】
水の安全保障を確保するために、災害時や緊急時あるいは常時に、生活用水叉は工業用水を海水から熱エネルギーを使わず簡便に造水するための減圧脱水・淡水化方法である。雰囲気の気圧を下げ、含水物から不飽和湿り空気を発生させる第2処理と、昇圧状態で飽和湿り空気に変換する第3機能と、結露を誘起して真水を回収することが第4機能である。このように、従来の熱エネルギーの必要性を無くし、結露のために冷凍行程を無くすことが、本発明が解決しようとする課題である。
【解決手段】 含水物試料を空気雰囲気にする第1機能と、この空気雰囲気を航空機の翼体形状物又は圧縮機を用いて減圧し、不飽和湿り空気を発生させる第2機能と、昇圧して飽和湿り空気に変換する第3機能と、親水性結露面を核として結露・液化させる第4機能を順次繰り返すことにより真水と被脱水物とを分離回収する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
気圧差を利用して含水溶液から真水と脱水物を分離回収方法及び真水の回収装置に関する。
【背景技術】
【0002】
簡易型脱水装置があれば、海水から飲料水や工業用水を作ることができる。2011年3月11日東北・北関東を襲ったマグニチュード9.0の大地震と10メートルを越す大津波。東北地方の太平洋沿岸部を中心に、死者・行方不明者2万人以上、避難所生活を強いられている避難者35万人以上。700万世帯が停電、200万世帯以上が断水。最も復旧が遅れているライフラインは水だ。1週間後の3月16日になっても東北地方から関東にかけて160万世帯が断水に苦しんでいる。この水の供給不能に追い討ちをかけるようにして発生した福島第1原発の炉心溶融事故。原子炉冷却のために必要な真水も無く、代替として海水が使われた。
2001年9月11日ニューヨークが標的になった同時多発テロ、2003年8月14日のニューヨーク大停電。これらニューヨークを中心とした人為的大規模災害が契機と成って、大規模発電所やそれに付随した広域送電網をテロや事故から防衛する必要に迫られ、エネルギー供給源の分散化、すなわちエネルギー安全保障が論議され、その対策が採られ始めている。このエネルギー安全保障を脅かす人為的要因と対策には、テロによる原子力発電所の攻撃も視野に入れられていた。全てが人為的なエネルギーの安全保障を脅かす原因の排除であった。それら全てを網羅する以上の出来事が、東北地方太平洋沿岸に起こってしまった。人為的災害では無い自然災害である。自然災害は人為的なテロより恐ろしい。この自然災害によって、少なくとも日本の国土の半分に値するフォッサマグナ以北の地域で深刻な電力不足が続いている。国家的に見れば、エネルギー供給源の分散化を急がねば成らない。しかし、エネルギーの分散化だけでは済まされない。災害地域から見れば、復興は大切である。しかし、将来計画の前に今やらねば成らないことがある。それは生活用水の確保である。水の安全保障が重要である。若し、自治体や個人が、ポーターブル海水淡水化装置で海岸の海水から飲料水を製造できれば、飲料水は勿論のこと、トイレ、風呂水、病院用水など生活用水を供給する事ができる。
本願発明者は、非特許文献1「“風力よ”エタノール化からトウモロコシを救え<風力発電による海洋資源回収と洋上工場」の3章の冒頭に、2003年度の我が国の水使用量は約839億m3で、農業用水が66%、生活用水が19%、工業用水が14%を占め、1人当たりの生活用水使用量は1日当り313リトッルである。この生活用水が、今回の災害地では1リットル以下である。
我が国の大規模淡水化技術は進んでおり、中国や中東での工業用水不足解決に貢献している。更に世界では11億人が水不足に苦しんでいる。従来、海水の淡水化装置は船舶用造水装置として発達し、その後、離島や砂漠地帯を皮切りに、陸上における淡水供給にも利用されるようになってきた。海水淡水化の方法には、海水から塩分を残して水のみを取り出す蒸発法、冷凍法、逆浸透法と、逆に塩分を除去して淡水を残す、イオン交換透析膜法などがある。蒸発法は海水を加熱、蒸発させ、発生する水蒸気を凝縮させて淡水を得る方法で、単蒸留法は海水を加熱して、水だけを蒸発させ、その水蒸気を凝縮して純水を取り出す方法である。この単蒸留装置を10段に並べ、淡水化エネルギーは真水1トンあたり63 kWhである。この蒸発法で最も普及しているのは、多段フラッシュ蒸発法で、これを直列に多数連結して多段式とし、室内の圧力を順次低くすることにより、各段で蒸発せずに残った海水を次の室でフラッシュ蒸発させ、熱効率をあげるように工夫されている。この方法は大形装置に適しており、もっとも多く実用されている装置である。このプロセスに必要な電力エネルギーは真水1トンあたり42 kWhである。
冷凍法、水の融点は0℃であるが、海水は−1.9℃と僅かに海水の方が低いため、この性質を利用して、海水を徐々に冷やしていくと、真水の部分だけ凍り氷ができる。氷自身には塩分は含まれていないが、氷の表面に付着している塩分を洗浄後、その氷を融解して淡水を得る方法でいたって簡単な製造方法である。このプロセスに必要な電力エネルギーは真水1トンあたり10.6 kWhと低いのが特徴である。
現在、蒸発法に次いで普及しているのが逆浸透法である。この方法は、水は通すが塩分は通さない半透膜を使って真水を作る方法で、半透膜で仕切られた容器の一方に真水を、他方に海水を入れ、海水の側からおよそ25kg/cm2以上の圧力が加えられると、海水側から半透膜を通って真水が押し出される。この方法は、蒸着法や冷凍法と異なり淡水採取に相の変化を伴わないので、所要エネルギーが少なくてすむ。このプロセスに必要な電力エネルギーは真水1トンあたり0.69〜3.5kWhと低い。
イオン交換透析膜法は、陽イオン交換膜と陰イオン交換膜を交互に並べて多くの室にくぎった電気透析槽に海水を入れ、直流を通すと、陽イオンは陰極側に、陰イオンは陽極側へ移動する。我が国ではこの濃縮の働きを利用して製塩が行われており、実用膜の開発、透析技術などの点で世界のトップレベルにある。この方法では真水1トンあたり8kWhと電力エネルギー消費量が比較的少なくて済むが、樹脂が交換容量分のイオンを吸着し能力が劣化すると再生を行う必要があり、この際、塩酸や苛性ソーダなどを必要とする。
【0003】
海水は約96%が水であり、その他に3.5%の塩と微量な金属から構成されている。本願発明者による非特許文献1「“風力よ”エタノール化からトウモロコシを救え<風力発電による海洋資源回収と洋上工場」の2章で述べているように、海水を淡水化した残渣である濃縮塩水からは石膏(CaSO4)、方解石(CaCO3)、食塩(NaCl)、硫酸マグネシウム(MgSO4)、塩化カリウム(KCl)、塩化マグネシウム(MgCl2)が析出する。我が、この海水から食塩を生産したのが天日製塩法であった。海岸の平坦な砂地に導入された海水は、太陽熱と風力とにより蒸発し、塩分だけが砂粒に付着する。これに再度海水を注ぎ、砂粒から分離した濾液を煮詰めて塩を析出させる入浜式塩田法や、海水が斜面を徐々に流下する間に水分が蒸発する方式でかん水を作り、このかん水を直接煮詰めて塩を抽出させる流下式塩田法などが古くから行われていた。これらの製塩法は全て塩田に引き込んだ海水の水分を太陽熱と風力とにより蒸発させて濃縮塩水(かん水)を作り、それを煮詰め、108℃内外で析出するカルシウム化合物結晶を除去し、約180℃で析出する食塩結晶を製品として回収し、残りの濾液(苦汁))からマグネシウム化合物を回収するものであった。しかし、近年になると、塩田を用いず、イオン交換樹脂を用いた電気分解法で濃縮かん水を製造するイオン交換樹脂法へと代わり、現在に至っている。
この濃縮塩水を洋上で得られた電力で電気分解して、これら洋上工場内で得られる送電ロスが無い電力と、その場で採取した深層水や表層水などの海水を洋上電解工場で電気分解して、ナトリウム、マグネシウム、苛性ソーダあるいは塩酸、硫酸、塩素、水素、酸素などを生産する。この金属ナトリウムは、電力消費地の火力発電所で水を注ぎ水素を発生させ、その燃焼エネルギーで蒸気タービン発電を行う。ここで副産物として得られる苛性ソーダは、従来のソーダ工業の最終製品である。この苛性ソーダを再度風力発電で電気分解すれば、金属ナトリウムを再生産する。これは文字通り、エンドレスな“水素燃料サイクル”である。さらに、金属ナトリウム製造工程で副産物として得られる硫酸、塩酸、金属マグネシウムは、これまで大電力を使って製造していた代物である。この主製造物の金属ナトリウムは、水よりも軽い電力貯蔵固体として、枯渇の心配が全く無く、CO2も出さず、放射能も出さない持続可能で再生可能な化石燃料の代替エネルギーとなることが、本願発明者により、特許文献1「オンサイト統合工場」(WO/2008/142995)及び非特許文献2「Climate Change and sustainable Development (Chapter 19)」Edited by Ruth A. Reck, Ph.D. , Linton Atlantic Books, Ltd. に開示されている。
【0004】
海水の淡水化法として広く用いられているのは、蒸発法、電気透析法、逆浸透膜法である。これらの利点と欠点を揚げて見ると、蒸発法は大量に真水を作ることができ海水の質を問わないが、多量の熱エネルギーを必要とし、石油の豊富な産油国や火力発電所や原子力発電所の廃熱を利用して採算ベースを考慮するところが多い。石油原産国のサウジアラビアでは石油よりも高い水を多数のプラントで製造している。カザフスタン共和国には、カスピ海の塩湖水の淡水化(日産12万トン)を目的として、高速増殖型原子炉(BN-350)が1973年運転を開始し、原発の廃熱で淡水化を行う予定であった。しかし、原子炉本体の老朽化のため1999年廃止されている。
電気透析法は、電力の消費量は少なく、廃液として出る濃縮塩が金属ナトリウムや金属ナトリウムの原料になる利点は大きい。しかし、イオン交換樹脂が交換容量分のイオンを吸着し、能力劣化が起こり、その再生に大量の塩酸や苛性ソーダが必要なため、淡水コストが高くなる欠点を有している。
逆浸透膜法は海水側に高圧をかけて真水を透過させる方式であり、投入エネルギーが少ないことが特徴である。ただ、海水中のけん濁物は半透膜に付着して水の透過性を悪くするため、海水の前処理が必要である。
【0005】
果実や野菜は水の貯蔵庫である。 海水中の水分は96%、胡瓜も同じく96%である。 メロン96%、スイカ93%、キャベツ92%、みかん90%、トマト90%、冬瓜90%、キューイ85%と殆どが水の貯蔵庫である。草についても同様で、90%内外の水分を含んでいる。したがって、これらを飲料水に転換することができる。とくに家畜の餌になるサイレージは原料草の乾燥が不十分のままサイロに収納されると、多量の排汁が発生し、窒素や有機物などの汚染物質のため環境汚染を引き起こす。このため水分量を70%以下にすることが好ましい。一般に乳酸発酵の適水分域は60〜70%であるため、良好なサイレージ発酵につながり、家畜の飼料として効果的である。このように脱水は多くの分野で必要である。とくに風力が強い酪農地帯、例えば南米のアルゼンチンやチリなどのパンパ地方、あるいは北海道において風力エネルギーで圧縮空気を作り、その空気で88%が水分である牛乳や果実などの酪農製品の脱水や家畜の餌になるサイレージの製造に利用することができると考える。このように、淡水化は海水だけの物ではなく、果実も野菜も淡水化の価値があると考える。ブラウン・ランドーン博士は「蒸留水を飲むことにより、細胞の老化物を定期的に洗い流し、蒸留水の最たるものは果物や野菜の水である」と非特許文献3「蒸留水と肉体の浄化」で述べている。
水溶液を濃縮する方法として、濃縮還元がある。これは果汁の水分をいったん蒸発させ、1/4〜1/6程度に濃縮する。この濃縮された果汁の状態でドラム缶に密封保存する。この方法は、果汁の重量、容積を大幅に減らして運ぶことが可能になり、輸送費の削減につながる。そして、出荷時に、蒸発させた分の水分を補い、元の搾汁の状態(果汁100%)に戻したものが、濃縮還元である。一般的にはこの濃縮果汁に水道水を加えて還元したものを天然果汁と称しているが、本願発明で得られる野菜や果実から回収した再蒸留水で還元することが望ましいと考える。
これら野菜、草、果実などの脱水濃縮にも、海水の淡水化同様、蒸発法、冷凍法、逆浸透法などがある。しかし、これら植物は温度を上げられないため、真空蒸発法や冷凍して氷を結晶化して水分を取り除く方法、あるいは半透膜を利用する方法などがあり、これらを組み合わせることもある。これらの脱水法は、その他にも生体物質の血液、アミノ酸、脂肪、タンパク質、糖類、炭水化物、牛乳などの濃縮、賞味期限が切れた清涼飲料水、ビタミン類、あるいは健康飲料水などから真水と栄養分との分離回収、酸、塩基あるいは重金属などの濃縮などに利用できる。
【0006】
野菜、海産物、肉や果実は長期保存の為には乾燥や漬物などにするのが一般的である。長期保存するためには、塩漬が最も簡単であるが、塩漬けによる保存は塩分過剰摂取になり、高血圧、脳卒中や心筋梗塞につながる。乾燥させて食料を保存する利点は塩分過剰摂取にならず、さらに野菜に含まれるカリウムは食塩を体外に排出する効果がある。一般に、生鮮野菜や鮮魚は、賞味期間が短いため、輸送、冷蔵など経費がかかる。これを乾燥状態で消費地に送れば、含有水分が無い分だけ軽量化ができ輸送費が軽減され、かつ鮮度が落ちた食品の廃棄処分率も軽減できる。
【0007】
従来、蒸留法や逆浸透膜法は、海水から飲料水を採取した残りの濃縮水は廃棄していた。他方、電気透析法は海水を濃縮して塩を採取するが主で、水は廃棄していた。ところが最近これらの手法を組み合わせて、真水と濃縮水を共に利用する報告が多くなってきた。蒸留法を基に、他の手法を組み合わせた方法として、旭化成ケミカルズ株式会社の山村は特許文献2「塩水の処理方法」(特許公開2008-223115)において、逆浸透膜法による淡水化により、廃棄物として発生する濃縮塩水を更に電気透析法により濃縮し、更にこれを蒸発法で濃縮して得られた塩結晶を電気分解処理する方法を開示している。本願発明者の村原らは特許文献3「海洋資源エネルギー抽出・生産海洋工場」(特許公開2007-331681)において逆浸透膜法や蒸発法で淡水化した真水と濃縮塩水(かん水)とに分離した後、かん水をイオン交換透析により更に濃縮した結晶を太陽炉と風力発電や海流発電による電力とで溶融塩電気分解してナトリウムやマグネシウムを製造することを開示している。東レ株式会社の小岩らは特許文献4「複合ナノろ過膜」(特許公開2010-137192)において、海水を蒸発法で処理した時の欠点であるスケールの発生を防止するために、複合ろ過膜を用い、淡水を高率で回収する方法を開示している。
電気透析法による海水の淡水化する過程で陰極側に発生する水素ガスによる起電力を取り出し、電気透析に必要な電力の一部とする方法が、三菱電機株会社の森口らにより特許文献5「淡水化方法及び装置」(特許公開平9-57258)に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】「オンサイト統合工場」(WO/2008/142995)
【特許文献2】「塩水の処理方法」(特許公開2008-223115)
【特許文献3】「海洋資源エネルギー抽出・生産海洋工場」(特許公開2007-331681)
【特許文献4】「複合ナノろ過膜」(特許公開2010-137192)
【特許文献5】「淡水化方法及び装置」(特許公開平9-57258)
【特許文献6】「海水淡水化装置」(特開平11−216459)
【特許文献7】「レーザーによるフッ素樹脂の表面改質方法」(特許1858351)
【特許文献8】「固体材料表面改質方法および固体材料表面改質装置」(特許第3316069)
【特許文献9】「C-H結合を有するプラスチック材料の表面改質方法」(特許第3467508号)
【特許文献10】「固体表面の改質方法および装置」(特許第3527969号)
【特許文献11】「Solid Surface Modification Method and Apparatus」(米国特許:USP- 6117497)
【特許文献12】「Solid Surface Modification Method and Apparatus」(欧州特許:EUP-0644227)
【特許文献13】「Solid Surface Modification Method and Apparatus」(米国特許:USP-6689426)
【特許文献14】「固体材料表面の光化学的改質方法」(特願2002-350311)
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】村原正隆・関和市 「“風力よ”エタノール化からトウモロコシを救え」パワー社出版(2007年12月発行)
【非特許文献2】「Climate Change and sustainable Development (Chapter 19)」Edited by Ruth A. Reck, Ph.D. , Linton Atlantic Books, Ltd.
【非特許文献3】「蒸留水と肉体の浄化」、ブラウン・ランドーン著、ブラウン・ランドーン協会編
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
海水の淡水化で最も需要で早急に実施しなければ成らないことは、水の安全保障である。大規模災害に対処できる、電力や石油などのエネルギー消費を最小限に抑えた、小型簡易型淡水化装置を開発することである。
本願発明の蒸発脱水方法は、海水の淡水化にも、野菜や果実に含有している水分の淡水化にも使え、かつ濃縮物の回収のも使える。しかし、従来、蒸発法を大気中で行なうには、水の蒸発温度(摂氏100度)近くにしなければならず、そのための石油の燃焼などの熱エネルギーが必要であった。一方真空雰囲気での蒸発は脱水には効果があるが、電力消費量が多い大型真空装置が必要であり、しかも脱水した水分の回収は難しい。ところが自然は見事に海水を淡水化している。海水は太陽熱によって蒸発し、水蒸気となって上昇するが、次第に温度が下がると水蒸気は凝縮して空気中の塵が核となって水滴に成り雲を作り雨になって地上に戻る。このように、水は常温で放置して置けば、絶えず気化して水蒸気となる。そして密閉容器の中では、水蒸気は一定圧力に成るまでは蒸発するが、それ以上は蒸発しない。この蒸発が停止する圧力を飽和蒸気圧という。この飽和蒸気圧は温度と気圧に関係し、海水の温度が上昇すると飽和蒸気圧値は大きくなるから水の蒸発量は大きくなる。同様に、温度が低ければ飽和水蒸気圧値は低いため、蒸発量は少ない。一方、雰囲気の気圧を下げると、飽和蒸気圧値が下がるため、水の沸点温度も下がり、海水の温度が低い場合でも水の蒸発量は大きくなる。このように、例え海水温度が低くても、気圧を下げれば、水蒸気蒸発が起こる。この現象を利用して脱水系に空気を投入させる手段が第1機能であり、海水を低気圧雰囲気で蒸発させて不飽和湿り空気を生成させる手段が第2機能であり、この不飽和湿り空気を昇圧して飽和湿り空気に変換する手段が第3機能である。更に飽和湿り空気を親水性処理された結露面で結露を誘起させて、あるいは、飽和湿り空気を更に圧縮して親水性処理された結露面で結露させる手段が第4処理である。この第1機能から第4機能を連続して行うことにより、従来の熱エネルギーの必要性を軽減又は無くすことが、本発明が解決しようとする課題である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
海水は温度が低くても、気圧を下げれば、水蒸気蒸発が起こる。この現象を利用して低圧雰囲気を形成させて海水を蒸発させることが第2機能であり、蒸発した水蒸気を真水に還元することが第3及び第4機能である。西芝電機株式会社及び株式会社東芝の田辺らは「海水淡水化装置」特許文献6(特開平11−216459)において海水を入れた減圧容器を真空ポンプで吸引し、飽和水蒸気以下にした水蒸気を凝縮器に入れて冷却凝縮させ淡水を得る方法を開示している。しかし、この発明では真空ポンプを用いて減圧容器室を飽和水蒸気以下にするため、凝縮過程では空気の介在はなく、水蒸気のみを冷却凝縮させていると考える。
一般に、減圧容器室の気圧を下げると、飽和蒸気圧値は下がる。このため、水の沸点温度も下がり、海水の温度が低くても真水の蒸発量は多くなり空気中の湿度が上がる。すなわち、空気中の水蒸気が飽和すると湿度は100%である。水の雰囲気温度が摂氏100度では全ての水が蒸発して湿度100%の気体に成る。この時の水蒸気の圧力は760mmHg(1気圧)であり、この760mmHgを飽和蒸気圧という。飽和蒸気圧は温度が低くなると下がり、摂氏70度では約220mmHg(0.3気圧)である。したがって、若し雰囲気気圧を220mmHgまで下げれば、水は摂氏70度で沸騰して湿度100%になる。このように、含水物の雰囲気気圧を下げれば、低い温度で水蒸気を発生させることができる。
したがって、本発明での、脱水条件は、第2機能では飽和水蒸気圧値に近づけることに努力し、かつ空気中の水蒸気を不飽和に保ち、不飽和湿り空気を生成することである。この不飽和湿り空気を生成させるためには、雰囲気気圧を低くし、更に、淡水の回収量を多くするために、空気中の水蒸気を飽和に達しさせないことである。このため、高速空気を大量に供給することが必要であり、かつ高速空気流で気圧を下げ、含水物から水分と空気とが混合した不飽和湿り空気を発生させる必要がある。この空気流の流れから低圧域を発生させる方法として、ベルヌイの定理を応用する。
一般の航空機の翼で揚力を発生させる原理は、翼の上面を流れる空気の流速が下面より速くなると、上面の圧力が大気圧より低くなる現象を利用したものである。このため、翼体の形状は、上面(凸面アッパーキャンバー)は高速気流が流れ、下面(ロワーキャンバー)では低速気流が流れるような形状を採用している。
この飛行中の航空機の翼体上面に生ずる気圧降下現象を利用して、航空機が上面に気圧の低い領域を作るが、本発明ではそれとは正反対の翼の下面側に気圧降下を起こさせている。すなわち、下面に高速流を流し、上面に低速流が流れるようにした。実際には、航空機翼体の上面(凸面アッパーキャンバー)と下面(ロワーキャンバー)形状を反転させて風洞の中に固定し、風洞に固定された翼形状の板の下側の低圧部位に海水若しくは含水物を置く。
更に、真水の回収に係る第2機能では不飽和湿り空気を飽和又はそれ以上にすることである。これを満たすために、凝縮室の気圧を上げ、水蒸気を飽和状態にし、かつ結露を誘導するために雰囲気温度を下げ、更に、湿り空気の衝突板を備える。更に好ましくは、空気衝突板の表面は濡れ性を高くする材料を用いるか又は親水性表面処理を施しておくことが望ましい。
この親水性処理又は撥水性処理については本願発明者の村原らによりプラスチックや金属あるいはセラミックスなどの材料表面に光化学的に水酸基又は撥水基を置換する方法が、特許文献7「レーザーによるフッ素樹脂の表面改質方法」(特許1858351)、特許文献8「固体材料表面改質方法および固体材料表面改質装置」(特許第3316069)、特許文献9「C-H結合を有するプラスチック材料の表面改質方法」(特許第3467508号)、特許文献10「固体表面の改質方法および装置」(特許第3527969号)、特許文献11「Solid Surface Modification Method and Apparatus」(米国特許:USP- 6117497)、特許文献12「Solid Surface Modification Method and Apparatus」(欧州特許:EUP-0644227)、特許文献13「Solid Surface Modification Method and Apparatus」(米国特許:USP-6689426)、特許文献14「固体材料表面の光化学的改質方法」(特願2002-350311)に開示されている。
とくに本発明において、特筆すべきことは凝縮室(結露)の気圧を上げることである。この現象は、自然現象(気象学)では起こらない。すなわち、気象学的には、上昇した水蒸気は上空では気圧は下がるのみで気圧の上昇はありえない。そして、気圧が下がれば下がるほど飽和蒸気圧値は小さくなり、原理的には、結露は難しくなる筈である。ところが、幸いにも、上空では温度が氷点下近くまで下がるため結露が起こる。もし、上空の気圧を局所的に高くすることが可能であれば、温度に関係なく結露が起こる。本発明では、気象現象では決して起こらない、水蒸気の凝縮雰囲気の気圧を1気圧近くまで上げることを実証している。即ち、第2機能では、高速空気により低圧部位を形成することにより水分を蒸発させて不飽和湿り空気を生成し、第3機能では、第2機能で蒸発した空気を1気圧近くまで上げることにより結露し易くしたものである。
【0012】
自然風の流れを物理的に高速にする第1機能と、海水や含水物質の雰囲気の気圧を低くする第2機能を発現させるためには、高風速が必要である。この高風速は、風力エネルギーで回転/圧縮変換して製造した圧縮空気をタワー内のボンベに貯えた後、風洞に直接供給するか、又は海風あるいは陸風などの自然風の通路を狭めることで幾何学的手法により低気圧域を形成することができる。一般に低気圧域を発生させるための風速は毎秒20メートルで1/50気圧、毎秒100メートルで0.5気圧である。しかし、この風速を実現するには大掛かりな風洞設備が必要になり、復旧を最優先にする災害地などでは使えない。一方、大気を封じ切った風洞の容積を2倍に拡大すれば、風洞内の圧力は0.5気圧になり、毎秒100メートルの風速を発生させたと同じ効果が発現し、簡便な装置が実現する。これにより即座に不飽和湿り空気を生成することができる。装置の構成は簡単で、圧縮ポンプ内の前室に海水又は脱水物を置き、空気を封じ切る第1機能と、その前室を拡大して断熱膨張を行う第2機能により不飽和湿り空気が発生する。この不飽和湿り空気を断熱圧縮して飽和湿り空気を生成させる第3機能と、更に飽和湿り空気を圧縮して第4機能である結露を誘起して真水を生成する。 装置は、第1から第4機能を連続して起動するピストン型又は回転型圧縮機である。この小型簡易型淡水化装置は、電力や石油などのエネルギー投入量を最小限に抑え、海水から又は汚濁水から真水を生成する大規模災害に適した装置である。
【0013】
請求項1に記載の発明は、気圧差を利用した脱水方法及び真水の回収方法であり、含水物に空気を送り込み、含水物と空気を共に減圧して不飽和湿り空気を発生させ、この不飽和湿り空気の雰囲気気圧を昇圧して、結露させて真水を回収する方法に関するものである。
海風、陸風、山谷風、フエーン、ボラ、颪、ビル風などの自然風を集風して高速風にしたり、自然風を風洞の入り口に設備したファンで圧縮空気にしたり、又は風力エネルギーで回転/圧縮変換して回収した圧縮空気をタワー内のボンベに貯えた後、風洞の入り口に送風させる。一般に、風洞の高速空気は、低速風洞や亜音速風洞あるいは遷音速風洞ではファン(圧縮比:1.1以下)又はブロワー(圧縮比:1.2〜2)により風を送り、超音速風洞ではコンプレッサー(圧縮比:2以上)を用いる。ただしコンプレッサーで作った圧縮空気をボンベに蓄圧した高圧圧縮空気を使うと、風洞入り口で圧縮空気が大気開放されるため、断熱膨張を起こし温度が急激に下がるため、一般的には、ボイラーで予め空気を暖める。
この風洞の開口部で大気開放された圧縮空気は、高速空気とし風洞に送り込まれる。
ここで風洞とは、人工的に周囲が壁で囲まれた風トンネルをさすが、本発明では屋外に於いて壁が無くても気圧差によって局所的に流れる風の通り道を「風道」と定義し、風洞(風道)構造体の床部に含水物試料容器と一体化した構造体若しくは設置自在とした試料容器に該含水物であり、水分のみを蒸発させる含水物の内含水溶液としては、ミネラルを含む海水、塩水、塩湖水、温泉水、鉱泉水などの天然水、又は酸水溶液、塩基水溶液、無機物水溶液、色素水溶液などの化学薬品水溶液、又は果汁、牛乳、有機物(砂糖水) 健康飲料水)などの飲料用液体、及びアミノ酸、脂肪、蛋白質、糖類、炭水化物などの生体物質水溶液、あるいはビタミン類や汚染水であり、固体状含水物としては木、草、野菜、果物などの植物あるいは肉類や魚介類であり、水の飽和蒸気圧より高い液体状の含水物の場合はアルコール水である。これら含水物試料を試料容器内に置き、含水物を脱水して真水を回収する。このための手段として、第1機能として含水物試料が入れられた風洞(風道)構造体内に自然風又は圧縮空気あるいは自然風をファンで圧縮して生成した圧縮空気をいれ、第2機能において、水の飽和蒸気圧より高い含水物試料又は飽和蒸気圧が水と等しいか又は水より低い液体を減圧状態に保持し、順次不飽和湿り空気を発生させる。更に、第3機能において、不飽和湿り空気を大気圧まで昇圧し、若しくは断熱圧縮により大気圧以上に昇圧して飽和湿り空気に転換する。ここで第4機能により該飽和湿り空気を更に圧縮及び/又は親水性結露面で液化を誘起させて真水分を回収する。これを順次起動することにより、液体状又は固体状の含水物試料から真水(又は高濃度アルコール)を回収し、含水物試料容器の中に残留する被脱水物(脱アルコールされた水)を回収する。
一般に各物質の飽和蒸気圧値は温度によって変化し、温度が高いほど飽和蒸気圧値は高くなる。一方、気圧を下げれば、飽和蒸気圧値は降下させた気圧に等しいので、温度は低くなる。これは地上での水の沸点が摂氏100度であるのに対し、富士山(3776m)では、気圧が480Hg(640hPa、0.63気圧)であるから、沸点は摂氏88度である。しかるに、富士山頂では飽和蒸気圧値は480mmHgである。すなわち、摂氏88度で水は100%蒸発して湿度100%になる。とは言え、脱水だけを考えると、湿度を100%にする必要は無い。洗濯物を干しておくと自然に乾く。勿論富士山頂では洗濯物の乾きは更に早い。この乾燥現象は空気中の水蒸気が飽和に達していないからである。したがって、含水物を速い速度で脱水するには、雰囲気の気圧を下げても、あるいは雰囲気温度を上げても、何れか一方又は両方でも湿度100%は簡単に達成する。そこで本発明では気圧を下げる方法を採用する。しかし、注意しなければ成らないことは、湿度を100%にしてしまっては、それ以上の蒸発は起こらない。そこで空気が静止した状態では湿度が100%になるように設定した後、空気中の水蒸気が飽和蒸気圧に達しないように、大量の空気を流す。
本願発明では含アルコール溶液の濃縮もできる。一般に醸造酒のアルコール濃度は20%以下であるが、焼酎、ウイスキー、ブランデーあるいはウオッカなどは蒸留脱水して濃度を30%から40%にしている。一方、水の飽和蒸気圧は100℃で760 mmHg、80℃で340 mmHg、50℃で100 mmHgであるが、アルコールの飽和蒸気圧は高く、エタノールでは80℃で800 mmHg、50℃で210 mmHgである。したがってアルコール水溶液の濃縮はアルコール水溶液が入った容器中のエタノールを蒸発させて飽和湿りアルコール空気を結露させて回収し、最後に、容器の中に残た液体が真水である。
例えばバイオエタノールは本願発明者村原による非特許文献1「“風力よ”エタノール化からトウモロコシを救え<風力発電による海洋資源回収と洋上工場」の5章で述べているように、アルコール発酵の酵母菌は酸素が少ない状態でのみアルコール発酵が進み、かつアルコール濃度が18〜20%を超えないことが発酵条件である。これを95%の濃度に濃縮し、更に脱水して100%の燃料用アルコールは完成する。しかるに、95%までの脱水に本願発明の方法が使用できる。
【0014】
請求項2に記載の発明は、含水物試料近傍に存在する空気を減圧するための3方法を効果的に引き出すための前工程、すなわち風洞又は風道に空気を挿入する第1機能に関するものである。
流れがある空気(風)雰囲気では、とくに、海上、湖上、河川上、渓谷、岸壁、山肌、山頂、絶壁など強風地域に於いては自然風を直接高速空気流として利用する風道利用、あるいは自然風をホーン型集風装置で集めて増速した後、風洞(人工トンネル)構造体の入り口部分に導入する風洞利用、あるいは風力エネルギーで回転/圧縮変換して製造した圧縮空気や風洞入り口部分に取り付けたファンによる圧縮空気を導入する風洞利用、又は空気の流れのない雰囲気では、圧縮機内部に備えた空気溜め兼含水物試料容器格納室を予め空気で密閉するための空気を挿入させる第1機能であり、第2機能に属する含水物試料近傍の空気を減圧して不飽和湿り空気を生成させる手段に連動させる方法である。
強風ではない自然風を風洞(人工トンネル)構造体の入り口に効率よく集風させるために、風洞構造体先端部(入り口部分)には風上側が末広がりに拡開するホーン形状開口部としたものである。地球上では太陽エネルギー分布の違いで高気圧・低気圧が生まれ、高気圧から低気圧へと流れる空気流が風である。地球の中緯度地域の偏西風、熱帯地域の貿易風、南極や北極地域の極東風。大陸の辺縁部のモンスーン。海岸付近では日中の海風、夜間の陸風、夜間放射冷却によって山肌が冷やされ、山の斜面に沿って下降する冷たい山風、日中山肌が温められて山の斜面に沿って上昇する暖かい谷風。湿った風が山を登るときに起こる、断熱膨張による冷却と、山を下る時に起こる断熱圧縮による昇温により空気に含まれる水分が減少した乾いた風のことをフエーン。ヨーロッパ中部から東部に居座る大陸性の冷たい気団がアルプス山脈を越えて東西方向に吹き降ろす風速が40m/秒にも達する風のことをボラ。冬季に山から吹き降ろす風のことを颪。大きな建物の周囲の狭い範囲で発生する風がビル風である。これら、海風、陸風、山谷風、フエーン、ボラ、颪、ビル風などの自然風を集風するために、大口径の御椀状の風上側が末広がりに拡開するホーン形状構造体を風洞の先端部に取り付けたホーン型集風装置である。
【0015】
請求項3に記載の発明は、風洞(人工トンネル)の中央部で気圧降下域を発現するために通風路の段面積を狭窄して括れ構造にした第2機能に関するものである。
風洞(人工トンネル)構造体内部の入り口部分(風上)から中央部の気圧降下域までの間に含水物試料容器の試料を置き、この含水物試料に接して流れる自然風及び/又は圧縮空気通過部位の断面積が狭まるに連れて、高速流空気と成り、風洞入り口近くの空気圧と括れ構造部との間に気圧差が生じ、減圧された狭窄部位近傍の含水物試料から順次不飽和湿り空気を発生(第2機能)させた後、該風洞の断面積が風下側に進むに連れて順次大きく成り大気開放される。この狭窄部位以降の気圧上昇を利用して、不飽和湿り空気を順次飽和湿り空気に転換させ(第3機能)、かつ狭窄部から広い部位に開放される断熱膨張は雰囲気温度を降下させる効果も手伝って飽和湿り空気発生が助長され、大気開放部位には親水性処理された結露面を備える(第4機能)ことにより真水を回収する。
【0016】
請求項4に記載の発明は、風洞(人工トンネル)内の含水物試料容器の試料と接して流れる自然風及び/又は圧縮空気通過部位で気圧降下域を発現するために通風路内に流速を増速させる形状物を配して、高速流と低速流を分離させ、減圧域を発現させる方法、若しくは圧縮機を用いて断熱膨張させて減圧域を発現させる第2機能に関するものである。
【0017】
請求項5に記載の発明は、不飽和湿り空気を飽和湿り空気に変換する第3機能に関するものである。
風洞(人工トンネル)又は風道(自然風)あるいは空気圧縮機構造体内部の含水物試料容器の試料を減圧する第2機能から得られた不飽和湿り空気を昇圧、断熱圧縮させ飽和湿り空気に転換する第3機能の手段が、風洞(風道)構造体の出口方向に拡開する末広がり状ホーン形状構造体を構成する。これにより、ホーン形状構造体内部は外気の大気圧(1気圧)に近づくと同時に、ホーン形状構造体に拡開した高速空気は断熱膨張して雰囲気温度を下げる働きもする。このため 不飽和湿り空気は、末広がり状ホーン形状構造体内では気圧が上がり、かつ温度が下がるため、湿度が100%の飽和湿り空気となる。そこで、ホーン形状構造体の任意の位置の風下側に、飽和湿り空気の衝突角度を調整可能とし、かつ風の流れが閉塞又は過度に抑制されないようにした(大気開放面積は確保)、複数枚の結露面を単層又は多重層に配設する。そして、結露面の開度を自在に調整する機構により、垂直真下方向に結露面に結露した結露水を自重落下させて真水を回収するドレン容器を配設させる。

あるいは機械的圧縮機としてのピストン式レシプロ圧縮機、多段式ターボ圧縮機又はベーン式圧縮機と連動させることにより、大気圧以上まで断熱圧縮し、圧縮されて生じた飽和湿り空気を更に圧縮、液化を誘起させることができる。一般に断熱圧縮すると雰囲気温度が上がり、飽和蒸気圧値が100℃付近まで上がってしまうことが懸念される。しかし、スクリュー型ロータリーコンプレッサーを採用すれば空気の排気温度も60℃内外に抑えられるので、真水の回収は比較的楽である。更に、このスクリュー型ロータリーコンプレッサーの回転軸と風洞(矩形又は円形)の開口部の吸入空気ファンの回転軸を同一軸としてモーターで回転させるターボファン・エンジン型風洞を構成すると構造を簡略化することができる。このターボファン・エンジン型風洞を用い、含水物からの蒸発気体と高速空気の混合した不飽和湿り空気とした後、第3機能のコンプレッサー内部で圧縮されて生じた飽和湿り空気を、更に圧縮・液化させ、水として回収することが可能である。
【0018】
請求項6に記載の発明は、飽和湿り空気を液化させて真水を回収する第4機能に関するものである。
第3機能で発生させた飽和湿り空気を更に圧縮・液化を誘起させて真水を回収する第4機能の手段が、該風洞(風道)構造体内部の末端部である風下に、飽和湿り空気の衝突角度を自在に調整可能とする親水性に処理された複数枚の結露面を配備し、該結露面の衝突角度に応じた垂直真下方向に該結露面に結露した結露水を回収容器に自重落下させて真水を回収する手ことである。
一般に気象学では、上昇気流によって空気が上空に上がり、断熱膨張により温度が下がり、空気中の塵が核と成って水滴が成長し、雲になり、降水に至ると説明されている。問題なのはこの核である。若し大気中に塵が存在し無かったら、水滴の表面張力が強いため、空気中の水分子は凝縮できない。もし、この水滴の表面張力を小さくすることができれば、結露は容易になる。この表面張力を小さくすることは、水と被結露剤(塵、結露面)の濡れ性を高くする(接触角を小さくする)ことである。本発明者は材料表面の所望の場所に光化学的手法で親水基(-OH)を置換する方法を、特許文献8、特許文献9、特許文献10、特許文献11、特許文献12、特許文献13に開示している。とくに特許文献14では、全てのプラスチック、金属、セラミックなどの固体材料の被改質表面に、予め1〜3分ぐらいの弱いプラズマ前処理を施した後、被改質表面に水を塗布し水の薄液層を形成させ、193nm以下の波長の紫外線を照射すると恒久的な親水性が維持されることを開示している。このような親水性処理面は大面積の結露面を形成でき、塵が核と成って雲を作る現象よりも、大量の水滴を直接生成させるため効果的である。この結露面をホーン形状構造体の任意の位置の風下側に複数枚配置し、大気開放される空気の出口が閉塞されず、かつ乾燥空気となって大気開放されるように注意を払い、飽和湿り空気流が結露面に接触する際の衝突角度を調整可能とするブラインド状結露面を複数枚単層又は複数層に並べた結露装置を構成する。
ここで結露面は結露を誘引するために、濡れ性の高い材料あるいは結露面表面を親水性に表面改質処理(親水基(-OH)を置換)することが望ましい。
【0019】
請求項7に記載の発明は、含水物試料容器の試料上面に航空機の翼体形状を逆さに取り付けて気圧を下げる方法に関するものである。
自然風及び/又は圧縮空気を送風させる風洞(風道)構造体が筒型構造体であり、該風洞(風道)構造体内に自然風及び/又は圧縮空気を入れる第1機能を有する手段と、筒型構造体中央部位に設けた狭窄部位により気圧降下域である低圧部を形成、保持させる第2機能が、航空機翼体形状の上面(アッパーキャンバー)と下面(ローワーキャンパー)形状を反転させた形状物又は平面構造体形状翼或いは含水試料容器の試料上面が凸平面形状でありその裏面が平面あるいは凹平面構造体形状翼を成し、含水物試料容器の試料上面とで間隙を設けた位置に、仰角を翼体の重心部となる固定軸を介して可動可能な構造体として、配備させる手段と、蒸発した不飽和湿り空気を大気圧まで昇圧させて飽和湿り空気に転換させる第3機能の手段が、風洞(風道)構造体内部の気圧降下域である航空機翼体形状のアッパーキャンバー又は風上に比べて風下が含水試料容器に接近した平板あるいは含水試料上面が凸平面形状である構造体形状翼を通過した不飽和湿り空気と、航空機翼体のロワーキャンバー又は風下側が含水試料容器側に下がった平板あるいは凹平面構造体を通過してきた気流とが合流して昇圧された不飽和湿り空気を、さらに出口方向に拡開する末広がりホーン形状内部を通過させた後、該風洞(風道)構造体内部の末端部である風下には、飽和湿り空気の衝突角度を自在に調整可能とする親水性に処理された複数枚の結露面を配備し、該結露面の衝突角度に応じた垂直真下方向に該結露面に結露した結露水を回収容器に自重落下させて真水を回収する第4機能を有する手段を有している。
一般に、航空機翼体の翼型の上弦をアッパーキャンバー、下弦をロワーキャンバーと言い、風上側を前縁、風下側を後縁と言う。本発明では、上面(凸面アッパーキャンバー)と下面(ロワーキャンバー)形状を反転させた形状の上下逆向き翼の真下には、筒型風洞構造体と一体化させた海水若しくは含水物試料容器を配設して、筒型風洞構造体の開口部から圧縮空気を送風する。ここで航空機の翼体が平板であっても、風上を持ち上げ風下側を下げれば、平板の下側の流速は上側の平面より速くなり、気圧降下は発現する。メニスカス形状の曲平板であっても下面が凸平であれば下面の流速が速まり気圧降下は発現する。このような形状で発現させた低気圧域は、含水物試料容器中の含水物から発生した水蒸気は不飽和湿り空気となって、真水の回収に係る第3機能及び第4機能に送られる。反転させた翼体の迎え角及び含水物試料容器との距離を調整するために、翼体の重心部となる軸が筒型風洞構造体の両壁面で固定され、かつ、該軸が上下及び翼体角度を自在に調整、変位可能とするハンドル機構を備えている。重心部となる軸が筒型風洞構造体の両壁面で固定された翼体が風上から風を受けると、空気の流れが速くなると、速さの2乗に比例して抵抗が大きくなる。この抵抗で最も大きいのが圧力抵抗である。若し空気の流がスムーズに翼の後方まで流れれば、流れの剥離が起きない。このため翼型を流線型にする。さらに前縁と後縁を結んだ線を翼弦線と言う。この翼弦線と風の流れとの角度を迎え角と言う。この角度が生じた時に、航空機の翼では上面(アッパーキャンバー)を流れる空気の流れは、下面(ロワーキャンバー)を流れる空気の流れより速くなる。この高速流が気圧を下げる。この結果として揚力が発生する。ここで翼を流線型ではなく平板にしても上面と下面では空気の流れの差が生じ、同様に揚力は発生する。しかし、平板では圧力抵抗が大きいので、翼は流線形形状を採用し、かつ上面(アッパーキャンバー)を凸面にし、高速流を起こし易くして、低圧部を形成する。本発明では、この気流が作る低圧部を利用して含水物から水分を蒸発させる。
【0020】
請求項8に記載の発明は、含水物試料容器の試料上面に航空機の翼体形状の上面(アッパーキャンバー)同士を対向させた位置に垂直に配備して気圧を下げる方法に関するものである。
含水物試料容器内を満たし、若しくは含水物試料容器内に静置させた液体状又は固体状の含水物から該風洞(風道)構造体内部の中央部位に設けた狭窄部位により気圧降下域を生成させ、飽和蒸気圧が低い気体(液体)から順次不飽和湿り空気を発生させる第2機能を有する手段が、上面(アッパーキャンバー)と下面(ローワーキャンパー)形状を有する2つの航空機翼体形状物の上面(アッパーキャンバー)同士を対向させた位置に垂直に含水物試料容器上に配備させ、通過する自然風及び/又は圧縮空気が含水物試料用容器の試料と接して流れる通過部位に減圧状態を保持し、気圧降下域を生成させ、不飽和湿り空気を発生する。
2つの航空機翼体形状物の上面(アッパーキャンバー)同士を対向させた位置に垂直に立たせることにより、対向した面の気圧は2倍低く成り、下面にある含水物から蒸発して発生した不飽和湿り空気は、2つの航空機翼体の上面(アッパーキャンバー)間の間隙で発生した不飽和湿り空気が大気圧まで昇圧され飽和湿り空気に転換する前記第3機能が、気圧降下域を通過した不飽和湿り空気の出口方向に拡開する末広がりホーン形状内部を通過し、大気圧まで昇圧される手段と断熱膨張による冷却効果及び2つの航空機翼体の下面(ロワーキャンバー)を通過した気流と不飽和湿り空気との混合による雰囲気気圧の上昇の競合作用により飽和湿り空気への転換を促進し、かつ風洞(風道)構造体内部の末端部である風下には、飽和湿り空気の衝突角度を自在に調整可能とする親水性に処理された複数枚の結露面を配備し、該結露面の衝突角度に応じた垂直真下方向に該結露面に結露した結露水を回収容器に自重落下させる。
【0021】
請求項9に記載の発明は、第2機能である気圧降下域で発生した不飽和湿り空気を昇圧、断熱圧縮させて飽和湿り空気に転換させる第3機能の手段が、ピストン式レシプロ圧縮機、多段式ターボ圧縮機又はベーン式圧縮機であり、夫々の圧縮機の断熱膨張域により不飽和湿り空気を発生させ、かつ、断熱圧縮領域において飽和湿り空気に転換し、圧縮されて生じた飽和湿り空気を更に圧縮、かつ親水性結露面に液化を誘起させる断熱圧縮して飽和湿り空気に転換する装置に関するものである。
【0022】
請求項10に記載の発明は、本願発明装置により脱水させる処理対象物に関するものである。
処理対象物が、水の飽和蒸気圧より低い液体状の含水物の場合は、ミネラルを含む海水、塩水、塩湖水、温泉水、鉱泉水などの天然水、又は酸水溶液、塩基水溶液、無機物水溶液、色素水溶液などの化学薬品水溶液、又は果汁、牛乳、有機物(砂糖水) 健康飲料水)などの飲料用液体、及びアミノ酸、脂肪、蛋白質、糖類、炭水化物などの生体物質水溶液、あるいはビタミン類や汚染水であり、固体状含水物としては木、草、野菜、果物などの植物あるいは肉類や魚介類であり、水の飽和蒸気圧より高い液体状の含水物の場合はアルコール水である。これら含水物を試料容器内に置き、含水物を脱水して真水を回収する。
本発明で最も重要な処理対象物は海水の淡水化であるが、真水を回収するだけが目的ではない。アルコール水からは高濃度アルコールを回収し、海水からは石油の代替エネルギーが期待される金属ナトリウムや硫酸などが回収できる。温泉水からは稀少金属が回収できる。草や植物は真水を回収後の脱水物は燃料になり、草は脱水量を制御すればサイレージとして牧草が供給できる。このように、飲用に供する真水の回収と同時に、脱水された濃縮物を鉱物資源、工業薬品、長期保存食料、長期保存飼料などを分離回収できる。海水は真水と濃縮水から金属ナトリウム、金属マグネシウム、塩酸、硫酸を回収するために使われる。南米のアタカマ塩湖、ウニュー塩湖、ボリビア塩湖、アルゼンチン・オラロス塩湖、チベット塩湖などの塩湖はリチウムの埋蔵量が多い。その多くが塩田において天日と風を利用して濃縮している。その期間は半年以上である。飲料水採取を目的にしているのはカスピ海・塩湖である。源泉の温度が摂氏25度以上を温泉と呼び、それ以下を鉱泉と呼ぶ。温泉水は海水に比べて金属成分が多く、水溶液の温度が高いため、蒸留には都合が良い。有馬温泉はリチウムが多く、玉川温泉はアルミニウムが多い。塩酸や硫酸は海水の電気透析中に生成するが、これらは濃度が低いため、脱水し濃度を高めることができる。果汁は水分をいったん蒸発させ、1/4〜1/6程度に濃縮する。この濃縮された果汁の状態でドラム缶に密封保存する。消費地で製品化する時、この濃縮果汁を原料として蒸発させた分の水分を補い、元の搾汁の状態(果汁100%)に戻したものが、濃縮還元ジュースであり、輸送費の削減や長期保存に長けている。牛乳も88.7%が水のため、濃縮牛乳は、果汁同様輸送費の削減や長期保存に長けている。発酵アルコールの濃度は18〜20%である。これを蒸留濃縮して25%〜35%が焼酎で、50%から70%がウイスキー、ブランデー、中国酒、コニャック、ウオッカなどである。燃料用バイオエタノールは100%が必要であるため、本発明の方法で95%まで濃縮する。更に脱水して100%の燃料用アルコールは完成する。ただし、エタノールの1気圧における沸点は摂氏78度だから、水よりも早く蒸発する。したがってアルコール水溶液の濃縮はアルコール水溶液が入った容器中のエタノールを蒸発させて飽和湿りアルコール空気を結露させて回収し、容器の中に残った液体が真水である。色素を乾燥させ保存する時に脱水が必要である。生体物質(アミノ酸、脂肪、タンパク質、糖類、炭水化物)、あるいは血液などを濃縮して長期保存を行なう。
固体の含水物としての果実や野菜は水の貯蔵庫である。 海水中の水分は96%、胡瓜も同じく96%である。 メロン96%、スイカ93%、キャベツ92%、みかん90%、トマト90%、冬瓜90%、キューイ85%と殆どが水の貯蔵庫である。草についても同様で、90%内外の水分を含んでいる。野菜のレタスも96%の水分を含む。地下茎のジャガイモ中の水分は83%澱粉12.1%、ごぼう中の水分78.6%。熱帯地方で生育する椰子。海岸の砂地でも育ち、1個の椰子のみの中には1リットルもの水が含まれている。この水も淡水である。これら植物は土壌から水分を汲みあげ、葉や、実や茎に貯えている。それらの水が全て蒸留水である。海水や湖水あるいは河川から蒸発した水分が、雨となって地上に降注ぐ。正しくこれも蒸留水である筈である。しかし大気汚染の影響をもろに受け、純粋な蒸留水とは言い難い。ところが植物が保存する水は紛れも無く蒸留水である。硬い皮で被われた椰子、比較的長期間水を貯蔵できるイモ類は除き、その他の果実や野菜は収穫後直ぐに大気中に水を発散し腐敗する。水を保持している期間は極短い。虫が食っているとか鮮度が落ちたからと言って、廃棄される野菜や果実も多い。これら蒸留水を回収し飲料として供給すれば、飲用に適さない水を飲んでいる水不足の国々の人々を救うことになる。肉類の供給源で欠かせないのは動物への飼料供給である。牧草が常時採取できるところ以外は、冬季の飼料を確保しておく必要がある。その際たる物がサイレージである。秋口になると、家畜の餌になるサイレージは原料草の乾燥が不十分のままサイロに収納されることが多い。ところが不十分の乾燥は、結果として、多量の排汁が発生し、窒素や有機物などの汚染物質のため環境汚染を引き起こす。このため水分量を70%以下にすることが好ましい。一般に乳酸発酵の適水分域は60〜70%であるため、良好なサイレージ発酵につながり、冬季の家畜の飼料として効果的である。さらにサイレージ製造中の30%の水分を飲料水に転用できる。とくに肉や魚は鮮度が要求されるため冷凍は欠かせない。しかし冷凍は冷凍時、保存期間及び解凍のために電力を消費する。もし乾燥肉や乾燥魚類の調理法が更に進めば長期保存が可能になり、塩を母体とした長期保存から塩を使わない保存法として、本発明が、世界の飢えと水不足を救う手段になると考える。
更に、本発明による脱水を目的とする処理対象物として、生ごみの脱水による嵩の縮小、鮮度を保持させる目的で食品を乾燥状態にした状態での輸送、干物作り、洗濯物の乾燥等日常生活に適用できる。
【0023】
請求項11に記載の発明は、洋上に係留した双胴船において航空機の逆向き翼体を海面と平行に設置して、自然風のみにより海水から真水を回収する方法に関するものである。
洋上は障害物の影響が少ないため、強く安定した風吹いている。しかも双胴船の船首を船形にして舫いすれば常に風上を向く性質がある。さらに真水の原料は真下の海水である。そこで海風を送風させる矩形型風洞構造体の左右両面は双胴船の両舷を壁に見立て、下面は原料である海水面の試料容器と見立て、かつ、上面を航空機翼体形状物の上面(アツパーキャンバー)と見立てる。更に、双胴船の両舷には固定軸を介して翼体形状物を取り付け、海水から真水を得る際に、低圧部位を形成する第2機能が航空機翼体形状の上面(アッパーキャンバー)と下面(ローワーキャンパー)形状を反転させた形状物を翼体の重心部となる固定軸を介して可動可能な構造とし、海面上に間隙部を設けて該筒型風洞構造体内部に設置させ、海面と翼体上面(アッパーキャンバー)の間隙部を通過する自然風(海風)を受風することにより翼体上面(アッパーキャンバー)と海面間との間隙部に気圧降下域を生成させる。この航空機翼体を反転した構造は、ロワーキャンバーを通過する空気の速度が遅く成り、海面側に比べて気圧が高くなる。しかも翼の面積が大きいため翼を海面側に押し付ける力が増大し、船は沈む。これを防止するために双胴船の浮力体を大きくして、海水面と翼面の距離を維持するために浮力体の内部に海水を挿入してバランスを取る構造である。そこで、この海面と翼体の間隙に強風が通過すると気圧が下がり不飽和水蒸気が真水製造室の出口方向に拡開する末広がりホーン形状内部を通過させた後、該風洞(風道)構造体内部の末端部である風下には、飽和湿り空気の衝突角度を自在に調整可能とする親水性に処理された複数枚の結露面を配備し、結露面の衝突角度に応じた垂直真下方向に該結露面に結露した結露水を回収容器に自重落下させて真水を回収する第4機能を有する手段を有している。この双胴船の海面位置に容器を備え、海水を注入する構造にすれば脱水後の濃縮塩を回収できることもできる。
【0024】
請求項12に記載の発明は、洋上に係留した双胴船において航空機の翼体形状のアッパーキャンバー同士を対向させた位置に垂直に配備して、自然風のみにより海水から真水を回収する方法に関するものである。
洋上は障害物の影響が少ないため、強く安定した風吹いている。しかも双胴船の船首を船形にして舫いすれば常に風上を向く性質がある。さらに真水の原料は真下の海水である。そこで海風を送風させる矩形型風洞構造体の上面と見立てる天板で翼体の重心を固定し、左右両面をアッパーキャンバー同士が対向した2翼の航空機翼体形状物を両壁と見立て、上面に2つの翼体の重心を固定する働きを兼ね備えた天板を備え、下面は原料である海水面の試料容器と見立てる。そこで、海水から真水を得る際に、前記低圧部位を形成する第2機能が、曲面形状を有する該2翼の航空機翼体形状物上面(アッパーキャンバー)同士の間隙に受風される自然風(海風)により気圧降下域を生成させ、不飽和湿り空気を発生させ、そこで、この海面と翼体の間隙に強風が通過すると気圧が下がり不飽和水蒸気が真水製造室の出口方向に拡開する末広がりホーン形状内部を通過させた後、該風洞(風道)構造体内部の末端部である風下には、飽和湿り空気の衝突角度を自在に調整可能とする親水性に処理された複数枚の結露面を配備し、結露面の衝突角度に応じた垂直真下方向に該結露面に結露した結露水を回収容器に自重落下させて真水を回収する第4機能を有する手段を有している。この双胴船の海面位置に容器を備え、海水を注入する構造にすれば脱水後の濃縮塩を回収できることもできる。
【0025】
請求項13に記載の発明は、真水回収用圧縮機の構造に関するものである。
ピストン式レシプロ圧縮機、多段式ターボ圧縮機又はベーン式圧縮機などの圧縮機のシリンダーを小型風洞に見立て、小型風洞(シリンダー)内部に空気と含水物試料とを密閉するための格納室を設け、該格納室には含水物試料の投入口と被脱水物の廃棄口及び空気の入気口と排気口兼真水回収口を備え、第1機能として、含水物試料が入った該格納室に空気を入れて一時的に弁で閉塞させ、封じ切った空気の状態にし、第2機能として、格納室とシリンダーを連通させ、該シリンダーのピストン又はベーンでシリンダーの容積を拡張して内部を減圧(断熱膨張)にして不飽和湿り空気を発生させ(第3機能)、該不飽和湿り空気を圧縮に転じさせて(断熱圧縮)昇圧し、飽和湿り空気に転換して(第3機能)、更に圧縮して親水性結露面で結露を誘起して液化させ、真水と排気空気の兼用弁から真水を回収し、同時に空気を排気する(第4機能)。
【0026】
請求項14に記載の発明は、ピストン式レシプロ圧縮機を用いた真水製造装置に関するものである。
ピストン式レシプロ圧縮機のシリンダー内部に空気と含水物試料とを密閉するための格納室を設け、該格納室には含水物試料の投入口と被脱水物の廃棄口及び空気の入気口とを備え、ピストン式レシプロ圧縮機のコンロッドを引くとピストンの吸入行程で空気孔の弁が閉じ、同時に該格納室とシリンダーを結ぶ弁が開き、これに連動してシリンダー内の容積が拡張すると断熱膨張による減圧によりシリンダー内は不飽和湿り空気が充満(第2機能)する。ここでピストンの運動方向を逆にするとシリンダー内は圧縮状態に転じ、同時に、ピストンの圧縮行程で該格納室とシリンダーを結ぶ弁が閉じ、不飽和湿り空気は圧縮されて飽和湿り空気に転換され(第3機能)、更に飽和湿り空気を圧縮すると親水性結露面で結露が誘起され、圧縮された空気はリリーフ弁から結露水と共に排出され、圧縮空気は大気開放され、結露水は真水としてドレン容器で回収される。
【0027】
請求項15に記載の発明は、ベーン式圧縮機のシリンダーの中心軸とベーンを固定するローターの回転軸とが同一軸構造である真水回収装置に関するものである。
円筒式シリンダー底部に含水物試料容器を設置し、ローターには3枚の蝶番式ベーンを設け、夫々のベーンに時間差により作動するシーケンス制御を持たせて一方向に順次回転運動をさせ、互いに隣り合った先行するベーンと後行するベーンとの容積変化により、大気の封じ切り(第1機能)、断熱膨張(第2機能)、断熱圧縮(第3機能)、結露(第4機能)成る手段を連続的に繰り返し行う、真水回収装置であり、結露を誘起させるために、3枚のベーンの回転方向の背面(飽和湿り空気の受圧側の面)が親水性部材又は親水性処理が施された面である事が結露を誘起させるための条件である。
【0028】
請求項16に記載の発明は、ベーン式圧縮機のシリンダー内を120度間隔で取り付けられた3枚の抜け差し自在ベーンの夫々がシリンダー内を偏芯回転する構造である真水回収装置に関するものである。
本願発明では、シリンダー内壁に接触して偏芯回転する120度間隔でローターに取り付けられた3枚のベーンと同じくシリンダー内壁とローターの間に接触して設置された1個の親水性面を有する円筒又は海鼠形をなす弾力性材料からなる弁の役割は、空気挿入室(第1機能)、不飽和湿り空気発生室(第2機能)、飽和湿り空気発現室(第3機能)を存在させることであり、かつ飽和湿り空気を更に圧縮して結露を誘起して真水取り出し口と空気孔を遮断する弁(第4機能)の機能を兼ね備えている事である。
【0029】
請求項17に記載の発明は、地面に根を下ろしている植物や切り取られた植物を袋で被い、袋内をピストン式レシプロ圧縮機で減圧して真水を回収する装置に関するものである。
ビニルやポリエチレンなどの袋で草木類を空気と一緒に被い、これをホースでピストン式レシプロ圧縮機に接続し、ピストンがシリンダー内を往復運動することにより植物から真水を回収する方法である。本発明で使用するピストン式レシプロ圧縮機の特徴は、両端が閉じられたシリンダー内でピストンの往復運動を行い、ピストンで2分割されたシリンダーの2つの室の内一方が断熱膨張の時は他方は断熱圧縮であり、2つの室は独立的に交互に断熱膨張及び断熱圧縮を繰り返し、断熱膨張時は、減圧行程により不飽和湿り空気が生成され、断熱圧縮時には、圧縮行程で断熱圧縮域から飽和湿り空気がシリンダー内の上死点部位及び下死点部位に嵌合させた飽和湿り空気の受圧面(シリンダーの両端面)が親水性部材からなる結露面に結露した結露水を、リリーフ(結露弁)からドレン容器で真水として回収する。
【発明の効果】
【0030】
上記のように、本発明によれば、海水又は含水物質から熱エネルギーを一切使わず、空気圧を下げるのみで真水を取り出すことができる。
空気の流れが有る場合は(自然風)、風洞型脱水装置の中央部に上下を逆にして取り付けた航空機用翼とその翼の真下に備えた海水または含水物を、高速空気流により発生する低気圧により、含水物から発生する水蒸気と空気の混合体である不飽和湿り空気発生させ、通路を徐々に拡大させて大気圧に戻し、飽和湿り空気に変換した後、親水性を有する結露板を核として結露・液化させて真水を回収する。
空気の流れが無い場合には、圧縮機のシリンダーを小型風洞に見立て、予めシリンダー内部に密閉し含水物と空気の容積を拡張する断熱膨張により不飽和湿り空気を発生させ、これを断熱圧縮して飽和湿り空気に変換した後、シリンダー内に備えた親水性を有する結露面を核として結露・液化させて真水を回収する。
この真水は、災害地での生活用水を海水から緊急造水する手段に使える他、飲用に適さない水を飲んでいる世界中の水不足で苦しむ人々を救うことになる。また家畜の飼料であるサイレージの製造に使えば冬季の家畜の飼料として効果的である。さらにサイレージ製造中の30%の水分を飲料水に転用できる。このように食にまつわる栄養不足や水不足を解消し、かつ脱水によって副産物として、海水の濃縮物から得られる金属ナトリウムは石油の代替エネルギーとして世界のエネルギー経済あるいは食料生産の活性化に優れた効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】気圧差を利用した含水物の脱水方法及び真水の回収方法フローチャートである (請求項1の説明図)。
【図2】含水物試料近傍に存在する空気を減圧するための3方法に関するフローチャートである(請求項2の説明図)。
【図3】風洞中央部の断面積を狭めた風洞構造体の概略図である(請求項3の説明図)。矩形筒型風洞構造体の内部に低圧部位を形成させる位置に、上下を反転させた形状の航空機翼体(上下逆向き翼)を取り付け、かつ矩形筒型風洞構造体開口部に自然風を集風するフード(請求項3)を取り付けた概念図である(請求項1、請求項2、請求項3、請求項4の説明図)。
【図4−1】風洞又は圧縮機内に不飽和湿り空気及び飽和湿り空気を発生させ結露・液化を誘起させるための装置の構造原理図である(請求項4,5,6,7,8、9,13,16の説明図)。(A)は含水物試料容器の試料上面に航空機の翼体形状を逆さに取り付けて気圧を下げて脱水装置構造原理図(請求項4,5,6,7の説明図)。 (B)は気圧降下域で生成した不飽和湿り空気を水蒸気を含水物試料容器の試料上面に2枚の航空機の翼体形状体を互いが凸面で向かい合わせて取り付けて発生させた不飽和湿り空気をスクリュー型ロータリーコンプレッサー(ターボ式)で断熱圧縮して結露させる脱水装置構造原理図である(請求項4,5,6,8,9の説明図)。
【図4−2】(C)は第ピストン式レシプロ圧縮機内で断熱膨張と断熱圧縮を起こして真水を製造する装置構造原理図(請求項4,5,9,13)。(D)はシリンダー内を自在ベーンが偏芯回転するベーン式圧縮機内で断熱膨張と断熱圧縮を起こして真水を製造する装置構造原理図(請求項4,5,9、16の説明図)。
【図5】含水物試料容器の試料上面に航空機の翼体形状の上面(アッパーキャンバー)同士を対向させた位置に垂直に配備して気圧を下げ飽和湿り空気を発生させ結露・液化を誘起させるための装置の構造原理図である(請求項8の説明図)。
【図6】洋上に係留した双胴船に航空機の逆向き翼体を海面と平行に設置して、自然風のみにより海水から真水を回収する方法で、飽和湿り空気を発生させ結露・液化を誘起させるための方法の構造原理図である(請求項11の説明図)。
【図7】洋上に係留した双胴船に航空機の翼体のアッパーキャンバー同士を対向させた位置で海面に垂直に配備して、自然風のみにより海水から真水を回収する方法発生させ結露・液化を誘起させるための方法の構造原理図である(請求項12の説明図)。
【図8】ピストン式レシプロ圧縮機を用いた真水製造装置の構造原理図である(請求項14の説明図)。
【図9】ベーン式圧縮機のシリンダーの中心軸とベーンを固定するローターの回転軸とが同一軸構造である真水回収装置である(請求項15の説明図)。(A)は 蝶番型ベーンの構造図。(B)は空気封入前の状態図。 (C)は空気封入時の第1機能状態図。 (D)は断熱膨張時の第2機能状態図。 (E)は断熱圧縮時の第3機能能状態図。 (F)は結露・液化時の第4機能状態図。(請求項15の説明図)。
【図10】路地植え植物や切り取られた植物を袋で被い、袋内をピストン式レシプロ圧縮機で減圧して真水を回収する装置の構造原理図である(請求項17の説明図)。
【図11】真水の回収に係る第4機能に、冷却水が流れフィン付ラジエーターを複数本配置する概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の効果的な実施の形態を図1〜図11に基づいて詳細に説明する。
【実施例】
【0033】
図1は気圧差を利用した含水物の脱水方法及び真水の回収方法フローチャートである (請求項1の説明図)。
本願発明は含水物より飽和蒸気圧の高い物質から先に蒸発させて分離回収するため、水の蒸気圧は100℃で1気圧(760 mmHg)であるから、水に混合している物質では、1気圧の蒸気圧が100℃以下の物質から先に蒸発する。例えばエタノールは78.32℃、アセトン 56.12℃、メタノール 64.51℃などである。しかるに、アルコール水を同一温度で蒸発させるとアルコール類から先に蒸発開始し、後から水が蒸発する。他方、水より飽和水上気圧が低い含水物の場合は被含水物中に残留するので、本願発明では、水の飽和蒸気圧を基準として高いものをアルコール類、飽和蒸気圧が水と等しいか又は水より飽和蒸気圧が低い気体(液体)は水と分類している。従って、ミネラルを含む海水、塩水、塩湖水、温泉水、鉱泉水などの天然水、又は酸水溶液、塩基水溶液、無機物水溶液、色素水溶液などの化学薬品水溶液、又は果汁、牛乳、有機物(砂糖水) 健康飲料水、酒類)などの飲料用液体、及びアミノ酸、脂肪、蛋白質、糖類、炭水化物などの生体物質水溶液、あるいはビタミン類や汚染水などが含水溶液であり、固体状含水物としては木、草、野菜、果物などの植物あるいは肉類や魚介類が固体状含水物であり、水の飽和蒸気圧より高い液体状の含水物の場合はアルコール類がアルコール水である。これら含水物を試料容器内に置き、含水物を脱水して真水を回収する。
これら含水物試料を脱水して真水と被脱水物(残留物)あるいはアルコール類と水を分離回収するためには、第1機能から第4機能までの行程が必要である。第1機能は風洞構造体(周囲に壁を有する人工トンネル)又は風道構造体(周囲に壁を持たない強い風の流れで境界面に周囲と気圧差を持って流れる風束と本願発明では「風道」と定義する)の中に含水物試料を設置するか、又は含水物試料面を風洞(風道)の少なくとも1つの壁面として、該風洞(風道)内に自然風、自然風を集風した高速風、圧縮空気又は空気を入気する。これに引き続いて、第2機能においては、含水物試料とその雰囲気の空気とを減圧して不飽和湿り空気を発生させる。ここで、水の飽和蒸気圧より高いアルコール含水物試料からはアルコールが気化した不飽和湿り空気が発生し、飽和蒸気圧が水と等しいか又は水より低い液体からは水が気化した不飽和湿り空気が発生させる。更に、第3機能において、不飽和湿り空気を大気圧まで昇圧し、若しくは断熱圧縮により大気圧以上に昇圧して飽和湿り空気に転換する。ここで第4機能により該飽和湿り空気を更に圧縮及び/又は親水性結露面で液化を誘起させて真水分を回収する。これを順次起動することにより、液体状又は固体状の含水物から真水(又は高濃度アルコール)を回収し、含水物資料容器の中に残留する被脱水物(脱アルコールされた水)を回収する。
【0034】
図2は含水物試料近傍に存在する空気を減圧するための3方法に関するフローチャートである(請求項2の説明図)。
不飽和湿り空気を発生させるためには含水物試料雰囲気には空気が必要である。もし空気の流れが存在する時は、航空機翼体形状物により低速流と高速流を形成することができ、あるいは気流中に括れを挟むことにより高速流をつくることができる。あるいは圧縮空気をボンベに溜めこれを風洞内に大気開放しても高速流を作ることができる。もし、空気の流れが無い時は、含水物試料雰囲気の空気溜め(含水物資料容器格納庫)を空気で密閉し、を封じ込め、これを圧縮機で断熱膨張させれば減圧状態に発現でき、何れも含水物試料近傍の空気を減圧できる。
【0035】
図3は風洞中央部の断面積を狭めた風洞構造体の概略図である(請求項3の説明図)。
風洞1の開口部(風上)2 から中央部の気圧降下域(狭窄部位/括れ構造)3 までの間に含水物試料容器4 を置き、この中の含水物試料5に接して流れる自然風及び/又は圧縮空気6 (第1機能7)の通過部位の断面積が狭まるに連れて、高速流空気と成り、風洞入り口近くの開口部2 の空気圧と気圧降下域(括れ構造部)3 との間に気圧差が生じ、減圧された狭窄部位近傍3 の含水物試料か5から順次不飽和湿り空気8 を発生(第2機能9 )させた後、該風洞の断面積が風下側に進むに連れて順次大きく成り大気開放10 される。この狭窄部位以降の気圧上昇を利用して、不飽和湿り空気を順次飽和湿り空気11 に変換させ(第3機能12)、かつ狭窄部から広い部位に開放される断熱膨張は雰囲気温度を降下させる効果も手伝って飽和湿り空気11の発生が助長され、大気開放部位10には親水性処理された結露板(面)13 を備える(第4機能14)ことにより真水(ドレン容器)15を回収する。
【0036】
図4は風洞又は圧縮機内に不飽和湿り空気及び飽和湿り空気を発生させ結露・液化を誘起させるための装置の構造原理図である。
図4-1(A)は含水物試料容器の試料上面に航空機の翼体形状を逆さに取り付けて気圧を下げて脱水装置構造原理図である(請求項4,5,6,7,9の説明図)。
自然風及び/又は圧縮空気6を送風させる風洞(風道)構造体1が筒型構造体であり、該風洞(風道)構造体内1に自然風及び/又は圧縮空気6を入れる第1機能7を有する手段と、風洞構造体1の中央部位に設けた狭窄部位により気圧降下域3である低圧部を形成、保持させる第2機能9が、航空機翼体形状の上面(アッパーキャンバー)16と航空機翼体形状の下面(ローワーキャンパー)17の形状を反転させた形状物(上下逆向き翼)18 又は平面構造体形状翼或いは含水試料容器4の試料上面が凸平面形状でありその裏面が平面あるいは凹平面構造体形状翼を成し、含水物試料容器の試料上面とで間隙を設けた位置に、仰角19を翼体の重心部となる固定軸20を介して可動可能な構造体として、配備させる手段と、蒸発した不飽和湿り空気を大気圧まで昇圧させて飽和湿り空気11に転換させる第3機能12の手段が、風洞(風道)構造体1の内部の気圧降下域3である航空機翼体形状のアッパーキャンバー16又は風上に比べて風下が含水試料容器に接近した平板あるいは含水試料上面が凸平面形状である構造体形状翼を通過した不飽和湿り空気8と、航空機翼体のロワーキャンバー17又は風下側が含水試料容器4側に下がった平板あるいは凹平面構造体を通過してきた気流とが合流して昇圧された不飽和湿り空気8を、さらに出口方向に拡開する末広がりホーン形状構造物21の内部を通過させた後、該風洞(風道)構造体内部の末端部である風下には、飽和湿り空気の衝突角度を自在に調整可能とする親水性に処理された複数枚の結露板22を配備し、該結露面の衝突角度に応じた垂直真下方向に該結露面に結露した結露水を真水(ドレーン容器)15に自重落下させて真水を回収する第4機能14を有する手段を有している。
図4-1(B)は気圧降下域で生成した不飽和湿り空気を水蒸気を含水物試料容器の試料上面に2枚の航空機の翼体形状体を互いが凸面で向かい合わせて取り付けて発生させた不飽和湿り空気をスクリュー型ロータリーコンプレッサー(ターボ式)で断熱圧縮して結露させる脱水装置構造原理図である(請求項4,5,6,8,9の説明図)。
含水物試料容器4内に含水物試料を満たし、若しくは含水物試料容器内に静置させた液体状又は固体状の含水物から該風洞(風道)構造体1内部の中央部位に設けた狭窄部位により気圧降下域3を生成させ、飽和蒸気圧が低い気体(液体)から順次不飽和湿り空気3を発生させる第2機能9を有する手段が、上面(アッパーキャンバー)16と下面(ローワーキャンバー)17形状を有する2つの航空機上下逆向き翼18形状物の上面(アッパーキャンバー)16同士を対向させた位置に垂直に含水物試料容器4上に配備させ、スクリュー型ロータリーコンプレッサー23のモーター24の回転軸と連動したファン25で自然風26を圧縮空気27にした後、含水物試料用容器の試料と接して流れる通過部位に減圧状態を保持し、気圧降下域3を生成させ、不飽和湿り空気3を発生させる。この不飽和湿り空気3をスクリュー型ロータリーコンプレッサー23により断熱圧縮28されて生じた飽和湿り空気11を、更に親水性処理した結露面29雰囲気で圧縮・液化させて真水15として回収し、真水と分離された空気はスクリュー型ロータリーコンプレッサー23のモーター24の回転軸と連動した排気ファン30で乾燥空気31として大気に放出される。ここで、スクリュー型ロータリーコンプレッサーを採用する理由は空気の排気温度を60℃内外に抑えることができるためである。
図4-2(C)は第ピストン式レシプロ圧縮機内で断熱膨張と断熱圧縮を起こして真水を製造する装置構造原理図である(請求項4,5,9,13の説明図)。
圧縮機のシリンダー32内部に空気と含水物試料容器4中の含水物とを密閉するための格納室33を設け、該格納室33には含水物試料の投入口と被脱水物の廃棄口及び空気の入気口と排気口兼真水回収口を備え、第1機能7として、含水物試料が入った該格納室33に空気を入れて一時的に空気孔弁34で閉塞させ、封じ切った空気の状態にし、第2機能9に移行するために、コンロッド35を引いて断熱圧縮を開始する。この吸引により開閉弁36が開き、格納室33とシリンダー32を連通させ、該シリンダー32のピストン48でシリンダーの容積を拡張して内部を減圧(断熱膨張)9を行い不飽和湿り空気を発生させる(第2機能9)。この時点でコンロッド35を断熱圧縮12に転じさせる。この圧縮によってシリンダー内の空気圧は高く成り、開閉弁36は押されて閉じる。これにより断熱圧縮12は強くなり、不飽和湿り空気は飽和湿り空気に転換し(第3機能12)、更に圧縮して親水性処理が施された結露面29で結露を誘起して液化させ、真水と排気空気の兼用のリリース弁37から真水15を回収し、同時に空気をリリース弁37から排気する(第4機能14)。ここでリリース弁37の役割は断熱圧縮12で液化最適圧力の設定値以上に成るとリリース弁37が開き真水と排気空気が排出され真水はドレン容器15に溜まり排出空気は大気開放される。
図4-2(D)はシリンダー内を自在ベーンが偏芯回転するベーン式圧縮機内で断熱膨張と断熱圧縮を起こして真水を製造する装置構造原理図である(請求項4,5,9、16の説明図)。
本願発明では、シリンダー32の内壁に接触して偏芯回転する120度間隔でローター38に取り付けられた3枚のベーン39と該シリンダー32の内壁とローター38の間に接触して設置された1個の親水性面を有する円筒又は海鼠形をなす弾力性材料からなる弁40の役割は、空気格納室33(第1機能7)、不飽和湿り空気発生室41(第2機能9)、飽和湿り空気転換室42(第3機能12)を存在させることであり、かつ飽和湿り空気を更に圧縮して結露を誘起して真水取り出し口と空気孔を遮蔽する弁40(第4機能14)の機能を兼ね備えている事である。
【0037】
図5は含水物試料容器の試料上面に航空機の翼体形状の上面(アッパーキャンバー)同士を対向させた位置に垂直に配備して気圧を下げ飽和湿り空気を発生させ結露・液化を誘起させるための装置の構造原理図である(請求項8の説明図)。
含水物試料容器4内を含水物試料5で満たし、若しくは含水物試料容器4内に静置させた液体状又は固体状の含水物から該風洞(風道)構造体1内部の中央部位に設けた狭窄部位により気圧降下域を生成させ、飽和蒸気圧が低い気体(液体)から順次不飽和湿り空気を発生させる第2機能9を有する手段が、上面(アッパーキャンバー)16と下面(ローワーキャンパー)17形状を有する2つの航空機翼体の上下逆向き翼18の上面(アッパーキャンバー)16同士を対向させた位置に垂直に含水物試料容器4上に配備させ、通過する自然風及び/又は圧縮空気6が含水物試料用容器4の含水物試料5と接して流れる通過部位に減圧状態を保持し、気圧降下域を生成させ、不飽和湿り空気43を発生させる。
2つの航空機の上下逆向き翼18の上面(アッパーキャンバー)16同士を対向させた位置に垂直に立たせることにより、対向した面の気圧は2倍低く成り、下面にある含水物から蒸発して発生した不飽和湿り空気43は、2つの航空機翼体の上面(アッパーキャンバー)16間の間隙で発生した不飽和湿り空気43が大気圧まで昇圧され飽和湿り空気44に転換する第3機能12が、気圧降下域を通過した不飽和湿り空気43の出口方向に拡開する末広がりホーン形状構造体21内部を通過し、大気圧まで昇圧される手段と断熱膨張による冷却効果及び2つの航空機翼体の下面(ロワーキャンバー)17を通過した気流と不飽和湿り空気43との混合による雰囲気気圧の上昇の競合作用により飽和湿り空気44への転換を促進し、かつ風洞(風道)構造体1内部の末端部である風下には、飽和湿り空気44の衝突角度を自在に調整可能とする親水性に処理された複数枚の結露板22を配備し、該結露面の衝突角度に応じた垂直真下方向に該結露面に結露した結露水を真水ドレン容器15に自重落下させ真水を回収する。
【0038】
図6は洋上に係留した双胴船に航空機の逆向き翼体を海面と平行に設置して、自然風のみにより海水から真水を回収する方法発生させ結露・液化を誘起させるための方法の構造原理図である(請求項11の説明図)。
自然風(海風)26を送風させる矩形型風洞構造体の左右両面は双胴船45の両舷を壁に見立て、下面は原料である海水(含水物試料)5を試料容器と見立て、かつ、上面を航空機翼体形状物(上下逆向き翼)18の上面(アツパーキャンバー)16と見立てる。更に、双胴船45の両舷には翼体の重心部となる固定軸20を介して翼体形状物(上下逆向き翼)18を取り付け、海水から真水を得る際に、低圧部位を形成する第2機能9が航空機翼体形状の上面(アッパーキャンバー)16と下面(ローワーキャンパー)17形状を反転させた形状物を翼体の重心部となる固定軸20を介して可動可能な構造とし、海面上に間隙部を設けて該筒型風洞構造体内部に設置させ、海面(海水)5と翼体上面(アッパーキャンバー)16の間隙部を通過する自然風(海風)26を受風することにより翼体上面(アッパーキャンバー)16と海面間との間隙部に気圧降下域を生成させる。この航空機翼体を反転した構造は、ロワーキャンバー17を通過する空気の速度が遅く成り、海面側に比べて気圧が高くなる。しかも翼の面積が大きいため翼を海面側に押し付ける力が増大し、船は沈む。これを防止するために双胴船45の浮力体45を大きくして、海水面と翼面の距離を維持するために浮力体の内部に海水を挿入してバランスを取る構造である。そこで、この海面と翼体の間隙に強風が通過すると気圧が下がり不飽和湿り空気43が真水製造室46の出口方向に拡開する末広がりホーン形状構造体21内部を通過させた後、該風洞(風道)構造体内部の末端部である風下には、飽和湿り空気42の衝突角度を自在に調整可能とする親水性に処理された複数枚の結露板22を配備し、結露板22の衝突角度に応じた垂直真下方向に該結露板22に結露した結露水を回収容器に自重落下させて真水をドレン容器15に回収する第4機能14を有する手段を有している。
【0039】
図7は洋上に係留した双胴船に航空機の翼体のアッパーキャンバー同士を対向させた位置で海面に垂直に配備して、自然風のみにより海水から真水を回収する方法発生させ結露・液化を誘起させるための方法の構造原理図である(請求項12の説明図)。
自然風(海風)26を送風させる矩形型風洞構造体の上面と見立てる天板47で2枚の翼体の重心部となる固定軸20を固定し、左右両面をアッパーキャンバー16同士が対向した2翼の航空機翼体形状物(上下逆向き翼)18を両壁と見立て、上面に2つの翼体の重心を固定する働きを兼ね備えた天板47を備え、下面は原料である海水面の試料容器と見立てる。そこで、海水から真水を得る際に、前記低圧部位を形成する第2機能9が、曲面形状を有する該2翼の航空機翼体形状物上面(アッパーキャンバー)16同士の間隙に受風される自然風(海風)26により気圧降下域を生成させ、不飽和湿り空気43を発生させ、そこで、この海面と翼体の間隙に強風が通過すると気圧が下がり不飽和湿り空気43が真水製造室46の出口方向に拡開する末広がりホーン形状構造体21内部を通過させた後、該風洞(風道)構造体内部の末端部である風下には、飽和湿り空気42の衝突角度を自在に調整可能とする親水性に処理された複数枚の結露板22を配備し、結露板の衝突角度に応じた垂直真下方向に該結露面に結露した結露水を回収容器に自重落下させて真水をドレン容器15に回収する第4機能14を有する手段を有している。
【0040】
図8はピストン式レシプロ圧縮機を用いた真水製造装置の構造原理図である(請求項14の説明図)。
ピストン式レシプロ圧縮機のシリンダー32内部に空気と含水物試料5とを密閉するための格納室33を設け、該格納室33には含水物試料5の投入口と被脱水物の廃棄口及び空気の入気口とを備え、ピストン式レシプロ圧縮機のコンロッド35を引くとピストン48の吸入行程で空気孔弁34が閉じ、同時に該格納室33とシリンダー32を結ぶ開閉弁36が開き、これに連動してシリンダー内の容積が拡張すると断熱膨張による減圧によりシリンダー内は不飽和湿り空気が充満(第2機能9)する。ここでピストン48の運動方向をコンロッド35で逆にするとシリンダー内は圧縮状態に転じ、同時に、ピストンの圧縮行程で該格納室33とシリンダー32を結ぶ開閉弁36が閉じ、不飽和湿り空気は圧縮されて飽和湿り空気に転換され(第3機能12)、更に飽和湿り空気を圧縮すると親水性結露面で結露が誘起され、圧縮された空気はリリーフ弁37から結露水と共に排出され、圧縮空気は大気開放され、結露水は真水としてドレン容器15で回収される。
【0041】
図9はベーン式圧縮機のシリンダーの中心軸とベーンを固定するローターの回転軸とが同一軸構造である真水回収装置である(請求項15の説明図)。(A)は 蝶番型ベーンの構造図。(B)は空気封入前の状態図。 (C)は空気封入時の第1機能状態図。 (D)は断熱膨張時の第2機能状態図。 (E)は断熱圧縮時の第3機能能状態図。 (F)は結露・液化時の第4機能状態図。(請求項15の説明図)。
図9(A)はシリンダー32の中心軸と3枚の蝶板ベーン50 の a,b,c を取り付けたローターの回転軸38が同一軸であり、シリンダー32の内壁を這うようにして3枚の蝶板ベーン50がa→b→cの順序で回転し、隣り合い、かつ向き合っている2枚のベーンが夫々時間差により作動するシーケンス回路を持たせ、互いに隣り合った先行するベーンと後行するベーンとの容積変化により、空気の挿入(第1機能)→断熱膨張(第2機能)→断熱圧縮(第3機能)→結露・液化(第4機能)と一連の仕事を行い、シリンダーを一周して完了する。これを繰り返し行うことにより連続して真水の製造を行う。本願発明の特徴は3枚のベーン50の回転軸を同一とし、各ベーンの回転駆動力は、中央のベーンが軸から、他の2枚のベーンは夫々左右の側面から得る構造になっている。ここで説明のために便宜上ベーンにa,b,cとする。
図9(B)シリンダー32に沿って先ずベーン(a)がシリンダー32 底部の含水物試料5の手前を僅かに越した位置で止まる。
図9(C)空気孔弁34が開きベーン(a)とベーン(b)が作る空気格納して33の空気を満たす(第1機能7)。ここでベーン(b)は空気を遮断している。
図9(D)ベーン(a)は断熱膨張を行いながら回転しリリース弁37を通過した時点で止まる(第2機能9)。
図9(E)ベーン(b)がシリンダー32 底部の含水物試料5の手前を僅かに越した位置を通過して断熱圧縮を行いながらベーン(a)を追いかける(第3機能12)。
図9(F)更にベーン(b)はベーン(a)を圧縮し、ベーン(a)の回転方向と反対側の面には親水性処理された結露面(板)29 であるために結露・液化が起こる。ここでリリース弁37が設定空気圧以上に成ると、結露水と空気排気するため、真水派ドレイン15 に回収し、空気は大気開放する。
【0042】
図10は、路地に植え植物や切り取られた植物を袋で被い、袋内をピストン式レシプロ圧縮機で減圧して真水を回収する装置の構造原理図である(請求項17の説明図)。
ビニルやポリエチレンなどの袋51で植物(雑草、牧草、葉)52を空気と一緒に被い、これをホース53で不飽和湿り空気入気弁56を介してピストン式レシプロ圧縮機54に接続し、ピストン48がシリンダー32内をコンロッド35で往復運動させることにより植物51から真水15を回収する。本発明で使用するピストン式レシプロ圧縮機54の特徴は、両端が閉じられたシリンダー32内でピストン32の往復運動を行い、ピストン32で2分割されたシリンダーの2つの室の内一方が断熱膨張の時は他方は断熱圧縮であり、2つの室は独立的に交互に断熱膨張及び断熱圧縮を繰り返し、断熱膨張時は、減圧行程により不飽和湿り空気が生成され、断熱圧縮時には、圧縮行程で断熱圧縮域から飽和湿り空気がシリンダー内の上死点部位及び下死点部位に嵌合させた飽和湿り空気の受圧面(シリンダーの両端面)が親水性部材からなる結露面29に結露した結露水を、リリース弁(結露弁)37からドレン容器15で真水として回収する。液化を促進する目的でリリース弁37の前段のパイプを冷却水57で冷却することもできる。
【0043】
図11は真水の回収に係る第4機能に、冷却水が流れフィン付ラジエーターを複数本配置する概念図である。一般に、結露量は低温の方が多い。そこで、空気の流れる方向と平行な向きに冷却水57が流れフィン付ラジエーター58 を設備し、フィンは金属製結露板13で、その金属板製フィン59 は親水性処理が施され、複数枚等間隔配置する。この方法は結露雰囲気温度が低くなり、結露板の間を空気が流れるため、空気の流れが阻害されず、しかも大気開放される空気は乾燥空気となるので効果的である。

【産業上の利用可能性】
【0044】
海水は96%が水であり、4%が塩類である。水は飲料水として、塩類の中で最も多いのがナトリウムである。本発明は海水又は含水物質から熱エネルギーを一切使わず、空気圧を下げるのみで真水を取り出すことができる。高速風の流れが作る低圧域、又は圧縮機が断熱膨張したときに生じる低圧域を利用して含水物試料から不飽和湿り空気を発生させた後、昇圧により飽和湿り空気に変換して親水性面に結露・液化させる気圧差を利用した本願発明は、海水を淡水化し、脱水された濃縮物はエネルギー資源にする。この海水の淡水化と濃縮は、海水に止まらず、塩湖水、温泉水、鉱泉水、酸、塩基、塩、果汁、牛乳、有機物(砂糖水)、無機物、アルコール、色素、生体物質(アミノ酸、脂肪、タンパク質、糖類、炭水化物)、健康飲料水、酒類及びビタミン類や薬品、果実、野菜、肉、魚貝類など多くの含水物から蒸留水の形で飲料水を回収し、濃縮物は資源の再利用につながるため、産業のみならず、食料不足や水不足解決の手段として利用が広がるものと考える。本発明は、世界的資源の枯渇と資源高騰あるいはこれに伴う資源供給国の新規台頭や国際社会に影響力を拡大させている現況を沈静化させることは勿論のこと、無尽蔵にある海洋資源及びクリーンで再生可能な自然エネルギーを使って、化石燃料の代替エネルギー源を確保することは、四面を海に囲まれた我が国の産業にとっても地球環境上、更には経済的にも重要な手段になり得ると考える。更に災害時の非常用ポーターブル簡易海水淡水化装置としても役立たせることができる。

【符号の説明】
【0045】
1 風洞
2 開口部(風上)
3 気圧降下域(狭窄部位/括れ構造)
4 含水物試料容器
5 含水物試料
6 自然風及び/又は圧縮空気
7 第1機能
8 不飽和湿り空気
9 第2機能
10 大気開放
11 飽和湿り空気
12 第3機能
13 結露板(面)
14 第4機能
15 真水(ドレン容器)
16 航空機翼体形状の上面(アッパーキャンバー)
17 航空機翼体形状の下面(ロワーキャンパー)
18 上下逆向き翼
19 仰角
20 翼体の重心部となる固定軸
21 末広がりホーン形状構造物
22 結露板
23 スクリュー型ロータリーコンプレッサー
24 モーター
25 ファン
26 自然風
27 圧縮空気
28 断熱圧縮
29 結露面
30 排気ファン
31 乾燥空気
32 シリンダー
33 格納室
34 空気孔弁
35 コンロッド
36 開閉弁(格納室とシリンダーを連通)
37 リリース弁
38 ローター
39 ベーン
40 弁(結露面兼空気孔遮蔽/親水性)
41 不飽和湿り空気発生室
42 飽和湿り空気転換室
43 不飽和湿り空気
44 飽和湿り空気
45 双胴船
46 真水製造室
47 天板(風洞上面壁)
48 ピストン
49 ベーン型圧縮機
50 蝶番型ベーン
51 袋(ビニール、ポリ等)
52 植物(雑草、牧草、葉)
53 ホース
54 ピストン式レシプロ圧縮機
55 地面
56 不飽和湿り空気入気弁
57 冷却水
58 冷却水が流れフィン付ラジエーター
59 金属製フィン




















【特許請求の範囲】
【請求項1】
自然風及び/又は圧縮空気を送風させる風洞(風道)構造体の床部に試料容器と一体化した構造体若しくは設置自在とした含水物試料容器に該含水物である液体状試料を満たし、又は固体状試料を静置させ、該含水物から脱水、真水を回収するに際し、該風洞(風道)構造体内に自然風及び/又は圧縮空気を入れる第1機能を有する手段と、水の飽和蒸気圧より高い含水物試料又は飽和蒸気圧が水と等しいか又は水より飽和蒸気圧が低い気体(液体)を減圧状態に保持し、順次不飽和湿り空気を発生させる第2機能を有する手段と、該不飽和湿り空気を大気圧まで若しくは大気圧以上に断熱圧縮により昇圧して飽和湿り空気に転換する第3機能を有する手段と、該飽和湿り空気を更に圧縮及び/又は親水性結露板で液化を誘起させて真水分を回収する第4機能を有する手段とを順次起動することにより、液体状又は固体状の含水物試料から脱水及び真水を回収することを特徴とする気圧差を利用した脱水方法及び真水の回収方法。
【請求項2】
前記風洞(風道)構造体内部の含水物試料容器雰囲気の空気を減圧させる第2機能と連動させ、自然風及び/又は圧縮空気を送風させる第1機能が、空気の流れのある雰囲気では、自然風又は圧縮空気を風洞(風道)構造体の入口部分に集風させる機能を有し、空気の流れのない雰囲気では、空気溜めである含水物試料容器格納室を予め空気で密閉し、該密閉空気を圧縮機で断熱膨張させることにより空気を前記風洞(風道)構造体内部に挿入させることを特徴とする請求項1記載の液体状又は固体状の含水物試料から気圧差を利用した脱水方法。
【請求項3】
前記風洞(風道)構造体内部の含水物試料容器の試料と接して流れる自然風及び/又は圧縮空気通過部位を減圧状態に保持し、気圧降下域を生成させて飽和蒸気圧が高い気体(液体)から順次不飽和湿り空気を発生させる第2機能を有する手段が、風洞(風道)構造体内部に括れ構造により狭窄部位を形成させ、該狭窄部位より風上側に含水物試料容器を設置させることを特徴とする請求項1記載の液体状又は固体状の含水物試料から気圧差を利用した脱水方法。
【請求項4】
前記風洞(風道)構造体内部の含水物試料容器の試料と接して流れる自然風及び/又は圧縮空気通過部位を減圧状態に保持し、気圧降下域を生成させて飽和蒸気圧が高い気体(液体)から順次不飽和湿り空気を発生させる第2機能を得る手段が、通路内に自然風及び/又は圧縮空気の流速を増速させる形状物を配して減圧させるか若しくは封じ込めた空気を断熱膨張させて減圧する手段であることを特徴とする請求項1記載の液体状又は固体状の含水物試料から気圧差を利用した脱水方法。
【請求項5】
風洞(風道)構造体内部で前記第2機能から得られた不飽和湿り空気を昇圧、断熱圧縮させ飽和湿り空気に転換する第3機能の手段が、風洞(風道)構造体の出口方向に拡開する末広がりホーン形状部位を通過させ温度を下げて大気圧まで昇圧するか若しくはピストン式レシプロ圧縮機、多段式ターボ圧縮機又はベーン式圧縮機と連動させることにより、大気圧以上に断熱圧縮し、圧縮されて生じた飽和湿り空気を更に圧縮、液化を誘起させる手段であることを特徴とする請求項1記載の液体状又は固体状の含水物試料から気圧差を利用した脱水方法。
【請求項6】
前記飽和湿り空気を更に圧縮、液化を誘起させて真水を回収する第4機能の手段が、該風洞(風道)構造体内部の末端部である風下に、飽和湿り空気の衝突角度を自在に調整可能とする複数枚の結露板の結露面が親水性に処理され、該結露板の衝突角度に応じた垂直真下方向に該結露面に結露した結露水を回収容器に自重落下させて真水を回収する手段からなることを特徴とする請求項1記載の液体状又は固体状の含水物試料から気圧差を利用した脱水方法及び真水の回収方法。
【請求項7】
自然風及び/又は圧縮空気を送風させる風洞(風道)構造体が筒型構造体であり、該風洞(風道)構造体内に自然風及び/又は圧縮空気を入れる第1機能を有する手段と、筒型構造体中央部位に設けた狭窄部位により気圧降下域である低圧部を形成、保持させる第2機能が、航空機翼体形状の上面(アッパーキャンバー)と下面(ローワーキャンパー)形状を反転させた形状物又は曲面構造体形状物を含水物試料容器の試料上面とで間隙を設けた位置に、仰角を翼体の重心部となる固定軸を介して可動可能な構造体として配備させる手段と、
蒸発した不飽和湿り空気を温度を下げ大気圧まで昇圧させて飽和湿り空気に転換させる前記第3機能の手段が、風洞(風道)構造体内部の気圧降下域を通過した不飽和湿り空気を出口方向に拡開する末広がりホーン形状内部を通過させ、大気圧まで昇圧される手段を有し、該風洞(風道)構造体内部の末端部である風下には、飽和湿り空気の衝突角度を自在に調整可能とする結露面が親水性に処理された複数枚の結露板を配備し、該結露板の衝突角度に応じた垂直真下方向に該結露面に結露した結露水を回収容器に自重落下させて真水を回収する第4機能を有する手段からなることを特徴とする請求項1、請求項2、請求項3、請求項4、請求項5及び請求項6記載の液体状又は固体状の含水物試料から脱水及び真水を回収することを特徴とする気圧差を利用した脱水装置及び脱水した真水の回収装置。
【請求項8】
前記含水物試料容器内を満たし、若しくは含水物試料容器内に静置させた液体状又は固体状の含水物試料から該風洞(風道)構造体内部の中央部位に設けた狭窄部位により気圧降下域を生成させ、飽和蒸気圧が低い気体(液体)から順次不飽和湿り空気を発生させる第2機能を有する手段が、上面(アッパーキャンバー)と下面(ローワーキャンパー)形状を有する2つの航空機翼体形状物の上面(アッパーキャンバー)同士を対向させた位置に垂直に含水物試料容器上に配備させ、該風洞(風道)構造体内部を通過する自然風及び/又は圧縮空気が含水物試料容器の試料と接して流れる通過部位に減圧状態を保持し、気圧降下域を生成させ、不飽和湿り空気を発生する手段と、
蒸発した水蒸気の凝縮雰囲気が2つの航空機翼体形状物の上面(アッパーキャンバー)間の間隙で発生した不飽和湿り空気が大気圧まで昇圧され飽和湿り空気に転換する前記第3機能が、気圧降下域を通過した不飽和湿り空気の出口方向に拡開する末広がりホーン形状内部を通過し、大気圧まで昇圧される手段を有し、該風洞(風道)構造体内部の末端部である風下には、飽和湿り空気の衝突角度を自在に調整可能とする結露面が親水性に処理された複数枚の結露板を配備し、該結露板の衝突角度に応じた垂直真下方向に該結露面に結露した結露水を回収容器に自重落下させ、真水を回収する前記第4機能を有する手段からなることを特徴とする請求項7記載の液体状又は固体状の含水物試料から脱水及び真水を回収することを特徴とする気圧差を利用した脱水装置及び真水の回収装置。
【請求項9】
前記第2機能である気圧降下域で発生した不飽和湿り空気を昇圧、断熱圧縮させて飽和湿り空気に転換させる第3機能の手段が、ピストン式レシプロ圧縮機、多段式ターボ圧縮機又はベーン式圧縮機を採用し、夫々の圧縮機の断熱膨張域により不飽和湿り空気を発生させ、かつ、断熱圧縮領域において飽和湿り空気に転換し、圧縮されて生じた飽和湿り空気を更に圧縮、液化を誘起させることを特徴とする請求項5記載の不飽和湿り空気を昇圧、断熱圧縮して飽和湿り空気に転換する装置。
【請求項10】
自然風及び/又は圧縮空気を送風させる風洞(風道)構造体の床部に含水物試料容器と一体化した構造体若しくは設置自在とした試料容器で用いられる試料が、水の飽和蒸気圧より低い液体状の含水物の場合は、ミネラルを含む天然水(海水、塩水、塩湖水、温泉水、鉱泉水)、化学薬品水溶液(酸水溶液、塩基水溶液、無機物水溶液、色素水溶液)、飲料用(果汁、牛乳、有機物(砂糖水) 健康飲料水、酒類)、生体物質水溶液(アミノ酸、脂肪、蛋白質、糖類、炭水化物)、ビタミン類、汚染水であり、
水の飽和蒸気圧より高い液体状の含水物の場合はアルコール水であり、更に、固体状含水物として、植物(木、草、野菜、果物)、肉類、魚介類であることを特徴とする気圧差を利用した請求項1、請求項2、請求項3、請求項4、請求項5、請求項6記載の脱水方法及び真水の回収方法及び請求項7、請求項8記載の脱水装置及び真水の回収装置で用いられる含水物試料。
【請求項11】
自然風(海風)を送風させる上下面及び左右両面で囲まれた筒型風洞構造体を海面上に配備させ、該筒型風洞構造体の下面である海水面を含水物試料容器と見立て、かつ、上面を航空機翼体形状物の上面(アツパーキャンバー)と見立て、更に、前記翼体形状物を双胴船に固定軸を介して取り付け、更に、該双胴船の両舷を該筒型風洞構造体の左右両壁面と見立て、海水から真水を得る際に、前記低圧部位を形成する第2機能が航空機翼体形状の上面(アッパーキャンバー)と下面(ローワーキャンパー)形状を反転させた形状物を翼体の重心部となる固定軸を介して可動可能な構造とし、海面上に間隙部を設けて該筒型風洞構造体内部に設置させ、海面と翼体上面(アッパーキャンバー)の間隙部を通過する自然風(海風)を受風することにより翼体上面(アッパーキャンバー)と海面間との間隙部に気圧降下域を生成させ、海水の蒸発により不飽和湿り空気を発生させる第2機能と、更に、該航空機翼体形状物により蒸発した水蒸気の凝縮雰囲気を大気圧まで昇圧し飽和湿り空気に転換させる前記第3機能及び第4機能としての真水製造室を設け、更に、該風洞(風道)構造体内部の末端部である風下には、飽和湿り空気の衝突角度を自在に調整可能とする結露面が親水性に処理された複数枚の結露板を真水製造室内に配備し、該結露板の衝突角度に応じた垂直真下方向に該結露面に結露した結露水を回収容器に自重落下させて真水を回収する前記第4機能を有することを特徴とする請求項1及び請求項8記載の海水から真水の採取及び回収する方法。
【請求項12】
自然風(海風)を送風させる上面及び左右両面で囲む筒型風洞構造体を海面上に配備させるに、該筒型風洞構造体の下面の海水面を含水物試料容器と見立て、かつ、対向する位置に双胴船上に垂直に配備した2翼の航空機翼体形状物の上面(アッパーキャンバー)同士の左右両面を該筒型構造体の両壁面と見立て、海水から真水を得る際に、前記低圧部位を形成する第2機能が、曲面形状を有する該2翼の航空機翼体形状物上面(アッパーキャンバー)同士の間隙に受風される自然風(海風)により気圧降下域を生成させ、海水の蒸発により不飽和湿り空気を発生させ、更に、該2翼の航空機翼体形状物間隙により蒸発した水蒸気の凝縮雰囲気を大気圧まで昇圧して飽和湿り空気に転換させる前記第3機能及び前記第4機能としての真水製造室を設け、該風洞(風道)構造体内部の末端部である風下には、飽和湿り空気の衝突角度を自在に調整可能とする結露面が親水性に処理された複数枚の結露板を筒型風洞構造体真水回収室内に配備し、該結露板の衝突角度に応じた垂直真下方向に該結露面に結露した結露水を回収容器に自重落下させて真水を回収することを特徴とする請求項1、請求項8及び請求項11記載の海水から真水を採取及び回収する装置。
【請求項13】
請求項1記載の第1機能を得る手段が、自然風及び/又は圧縮空気を送風させる風洞(風道)構造体の内部に設置された該含水物試料容器内試料の静置影響域である該風洞(風道)の両端部を一時的に弁で閉塞させ、封じ切った空気の状態にし、該封じ切った空気を断熱膨張により減圧し、含水物試料から不飽和湿り空気を発生させる第2機能と、該不飽和湿り空気を昇圧、断熱圧縮し、飽和湿り空気に転換する第3機能と、該飽和湿り気空気を更に圧縮、液化させ、ドレン容器に真水を回収する第4機能を得る手段が、ピストン式レシプロ圧縮機、多段式ターボ圧縮機又はベーン式圧縮機により順次断熱膨張と断熱圧縮を繰り返し行い、圧縮されて生じた飽和湿り気を更に圧縮、液化を誘起させることを特徴とする請求項1、請求項2、請求項4、請求項5、請求項9及び請求項10記載の不飽和湿り空気を昇圧して飽和湿り空気に転換させることにより含水物試料から真水を得る方法。
【請求項14】
請求項5及び請求項9記載のピストン式レシプロ圧縮機が、シリンダー内を往復運動するに際し、ピストンの圧縮行程で空気孔の弁が開き、シリンダー底部に設置された含水物試料容器とシリンダーを結ぶ開閉弁が閉じ、シリンダー内に該含水物試料容器周辺の空気を混入させる第1機能の手段と、ピストンの膨張行程で含水物試料容器とシリンダーを結ぶ開閉弁が開いて該含水物容器周辺の空気を減圧させると同時にシリンダー底部に設置された該含水物試料容器から蒸発した不飽和湿り空気を断熱膨張させ飽和湿り空気とし、上死点からピストンの圧縮行程で該開閉弁が閉じ、断熱圧縮により、圧縮されて生じた飽和湿り空気を更に圧縮、液化を誘起させ、シリンダー内のピストンで加圧された飽和湿り空気の受圧面が親水性部材からなる結露板の結露面に結露した結露水はリリーフ弁により圧縮された空気とドレン容器に回収し、同時に該リリーフ弁に併設、連動された空気孔弁が開き、該シリンダー底部に設置された該含水物試料容器周辺に空気が満たされる機能を有することにより、断熱膨張と断熱圧縮を繰り返し行うことを特徴とする請求項1、請求項5及び請求項9記載のピストン式レシプロ圧縮機により含水物試料から真水を得る装置。
【請求項15】
請求項5、請求項9及び請求項13記載のベーン式圧縮機が、円筒式シリンダーの中心軸とベーンを固定するローターの回転軸とが同一軸である構造を有し、該円筒式シリンダー底部には該含水物試料容器を設置し、該ベーン式圧縮機の回転軸であるローターには3枚の蝶番式ベーンを設け、かつ、3枚の蝶番式ベーンの夫々のベーンが時間差により作動するシーケンス制御を持たせて一方向にのみ順次回転させるようにローター軸に取り付けられる機構を有し、隣り合わせた夫々2枚の蝶番式ベーンを一組とした回転により形成される容積変化により、空気を封じ切る第1機能の手段と、該封じ切った空気を断熱膨張により不飽和湿り空気を生成させる第2機能の手段と、更に、該不飽和湿り空気を断熱圧縮により飽和湿り空気に転換させる第3機能を有する手段と、該飽和湿り空気を更に圧縮して液化させる第4機能を有する手段とを独立的に順次連動して回転運動を行う手段が、該円筒式シリンダー底部に取り付け自在とした含水物試料容器内の含水物と前記封じ切る空気とを1枚目及び2枚目のベーンで封じ切る第1機能の手段と、1枚目及び2枚目のベーンにより断熱膨張させて不飽和湿り空気を得る第2機能の手段と、1枚目及び2枚目のベーンにより断熱膨張させて得られた不飽和湿り空気を断熱圧縮して飽和湿り空気に転換させる第3機能の手段と、更に圧縮、液化を誘起させ、ローターの1回転により、1枚目のベーンが空気孔弁の手前の位置での場所に設けたドレンから該円筒式シリンダー外にリリーフ弁(結露弁)から真水を排出させ、かつ、3枚の蝶番式ベーンの夫々の回転方向の裏面に飽和湿り空気の受圧面が親水性部材からなる第4機能の手段であり、該3枚の蝶番式ベーンの夫々のベーンの1枚目と2枚目、2枚目と3枚目、及び3枚目と1目とが協働作動を繰り返すことにより、シリンダー、ローター及びベーンで囲まれた容積変化により前記第1機能、第2機能、第3機能及び第4機能を連続的に繰り返し行うことを特徴とする請求項1、請求項5及び請求項9記載のベーン式圧縮により含水物試料から真水を得る装置。
【請求項16】
前記ベーン式圧縮機が、シリンダー内に偏芯して取り付けられたローターの偏芯軸に対して120度間隔で取り付けられた3枚の抜け差し自在ベーンの夫々がシリンダー内を偏芯回転することにより順次独立的に空気孔からの空気を取り入れる前記第1機能と、該円筒式シリンダー底部に設置した該含水物試料容器内の含水物から蒸発した水分と前記第1機能による空気と混合させた雰囲気の容積をローターの偏芯回転により逐次断熱膨張させる前記第2機能により不飽和湿り空気を形成させ、該不飽和湿り空気の容積を圧縮し断熱圧縮する第3機能により飽和湿り空気を形成させ、更に該飽和湿り空気をローターとシリンダー内で点接触させ密閉かつ、圧縮、液化を誘起させる弾力性機能を有する遮蔽板を空気孔を遮断する箇所に配備させ容積を減少させて断熱圧縮をさせると同時に、該遮蔽板は親水性部材からなる結露板の機能も有し、該結露板に結露した真水をドレン容器に回収する第4機能と、前記第1機能から第4機能を得る手段をローターの回転に従って3枚の抜け差し自在ベーンの夫々のベーンによりシリンダー内で回転させ、シリンダー、ローター、ベーン及び該遮蔽板で囲まれた容積変化を順次繰り返しながら不飽和湿り空気を昇圧、断熱圧縮して飽和湿り空気に転換させることを特徴とする請求項1、請求項5、請求項9及び請求項13記載のベーン式圧縮機による含水物試料から真水を得る装置。
【請求項17】
草木類を袋(ビニールシート)で密封させ、該袋上部付近にホース(ビニールパイプ)をモータ駆動によりピストンが往復運動をするピストン式レシプロ圧縮機である脱水装置に接続し、ピストンがシリンダー内を往復運動することにより、同一シリンダー内でピストンの往復運動に連動されて2分割された夫々の室で、独立的に交互に断熱膨張及び断熱圧縮を繰り返す機能を有し、断熱膨張時は、減圧行程により不飽和湿り空気が空気入気弁の開閉作動により流入、断熱膨張し、かつ、圧縮行程で断熱圧縮域から飽和湿り空気がシリンダー内の上死点部位及び下死点部位に嵌合させた飽和湿り空気の受圧面が親水性部材からなる結露板に結露した結露水を、リリーフ弁(結露弁)からドレン容器に真水が採取されることを特徴とする請求項1、請求項5、請求項9及び請求項10記載の草木類からの脱水装置及び真水を回収する装置。





【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4−1】
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【図4−2】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−200661(P2012−200661A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−66989(P2011−66989)
【出願日】平成23年3月25日(2011.3.25)
【出願人】(308026724)株式会社エム光・エネルギー開発研究所 (10)
【Fターム(参考)】