説明

気泡発生器

【課題】全ての出口流路から確実に気泡を含む液体を流出させることができる気泡発生器を提案する。
【解決手段】各出口流路(42)には、水の流路断面を縮小させるための流出側絞り部(38)がそれぞれ形成される。水が各流出側絞り部(38)内を通過すると、縮径部(38c)及び最小径部(38a)で水が減圧されて気泡が発生する。更に、拡径部(38b)では衝撃波によって気泡が破裂し、気泡が微細化される。微細化された気泡を含む水は、各出口流路(42)から浴槽(5)内へ噴射される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気体が溶解した液体を減圧することで、気泡を含む液体を発生させる気泡発生器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、気体が溶解した液体を減圧して気泡を発生し、この気泡を含む液体を浴槽等へ供給するための気泡発生器が知られている。
【0003】
例えば特許文献1には、この種の気泡発生器が開示されている。この気泡発生器は、浴槽内に臨むように浴槽壁面に取り付けられている。気泡発生器には、気体(空気)が溶解した液体(水)が流入する入口流路と、この入口流路と接続する分配流路と、分配流路から分岐する複数の出口流路とが設けられている。また、入口流路には、その流出側に水の流路断面を縮小させる絞り部が設けられている。
【0004】
この気泡発生器には、空気が溶解した状態の水が導入される。この水は入口流路に流入し、絞り部を通過する際に減圧される。その結果、水中に溶解していた空気が遊離して気泡が発生する。気泡を含む水は分配流路に流入し、その軸心側から径方向外側へ流れる。分配流路の外側へ流れた水は、各出口流路へ分流し、微細な気泡を含んだ状態で浴槽内へ噴射される。
【特許文献1】特開2005−118542号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したような気泡発生器では、上記入口流路の絞り部によって気泡を発生させ、この気泡を分配流路を介して各出口流路に分流させるようにしている。このため、分配流路内の気泡が不均一となると、各出口流路に均等に気泡を送ることができないことがある。その結果、一部の出口流路から流出する気泡の量が不足してしまい、浴槽等へ供給される気泡が不均一となってしまうという不具合が生じる。
【0006】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、全ての出口流路から確実に気泡を含む液体を流出させ、浴槽等へ均一に気泡を供給できる気泡発生器を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明は、気体が溶解した液体が流入する入口流路(40)と、該入口流路(40)を流出した液体が分流する複数の出口流路(42)とを備え、各出口流路(42)から気泡を含む液体をそれぞれ流出させる気泡発生器を前提としている。そして、この気泡発生器は、上記各出口流路(42)には、その流路断面を縮小させることで、液体を減圧して気泡を発生させる流出側絞り部(38)が形成されていることを特徴とするものである。
【0008】
第1の発明の気泡発生器では、気体が溶解された状態の液体が、入口流路(40)に流入し、その後に複数の出口流路(42)に分流する。本発明では、各出口流路(42)にそれぞれ流出側絞り部(38)が設けられている。各出口流路(42)では、液体が流出側絞り部(38)を通過する際に減圧され、液中から気体が遊離して気泡が発生する。このため、本発明では、全ての出口流路(42)において、気泡を含む液体が流出することになる。
【0009】
第2の発明は、第1の発明において、上記入口流路(40)には、その流路断面を縮小させる流入側絞り部(35)が形成されていることを特徴とするものである。
【0010】
第2の発明では、入口流路(40)に流入側絞り部(35)が設けられる。気体が溶解した状態の液体が入口流路(40)に流入すると、この液体が流入側絞り部(35)を通過する際に減圧される。その結果、入口流路(40)においても気泡が発生する。気泡を含んだ液体は、各出口流路(42)へ分流し、各出口側絞り部(38)で更に減圧される。その結果、各出口流路(42)で更に気泡が発生する。以上のように、本発明では、液体が入口流路(40)と各出口流路(42)との双方で二段階に減圧され、各流路(40,42)でそれぞれ気泡が発生する。
【0011】
第3の発明は、第1又は第2の発明の気泡発生器において、上記各流出側絞り部(38)には、流路断面が最小になる最小径部(38a)と、該最小径部(38a)からその流出側に向かって流路断面が徐々に拡大する拡径部(38b)とが形成されていることを特徴とするものである。
【0012】
第3の発明では、複数の流出側絞り部(38)に最小径部(38a)と拡径部(38b)とがそれぞれ形成される。流出側絞り部(38)内に流入した液体が最小径部(38a)内を流れると、出口流路(42)の流路断面が最小となって液体が減圧される。その結果、液中から気泡が発生する。この気泡を含む液体は、最小径部(38a)内を通過して拡径部(38b)内へ流入する。ここで、最小径部(38a)内を液体が通過する際には、液体の流速が高速化される。一方、この液体が拡径部(38b)内を流れて流路断面が徐々に拡がると、液体の速度勾配(圧力勾配)が変化し、拡径部(38b)内を流れる液体の乱れが大きくなる。その結果、拡径部(38b)内では、気泡が剪断されて微細な気泡となる。また、上記最小径部(38a)内を流れる液体の流速が音速まで高速化されると、拡径部(38b)内で衝撃波が発生する。従って、このような場合には、拡径部(38b)内を流れる液体が更に微細化される。
【0013】
第4の発明は、第3の発明の気泡発生器において、上記各流出側絞り部(38)の拡径部(38b)は、上記最小径部(38a)から上記出口流路(42)の流出端に亘って形成されていることを特徴とするものである。
【0014】
第4の発明では、拡流出側絞り部(38)の拡径部(38b)が出口流路(42)の流出端まで形成される。ここで、仮に拡径部(38b)を出口流路(42)の途中までしか形成しない場合には、拡径部(38b)内を通過した液体が出口流路(42)を流出するまでの間に、微細な気泡が再び合体して肥大化してしまうことがある。一方、本発明では、拡径部(38b)の流出端が出口流路(42)の流出端と一致しているため、拡径部(38b)で発生した微細な気泡が出口流路(42)から速やかに流出する。従って、気泡の合体に伴って出口流路(42)から流出される気泡が大きくなってしまうのを抑制できる。
【0015】
第5の発明は、第1乃至第4のいずれか1つ発明の気泡発生器において、上記各流出側絞り部(38)には、その流入端から上記最小径部(38a)に向かって流路断面が徐々に縮小する縮径部(38c)が形成されていることを特徴とするものである。
【0016】
第5の発明では、各流出側絞り部(38)の流入側に縮径部(38c)が形成される。流出側絞り部(38)内に流入した液体は、縮径部(38c)によって徐々に流路断面が縮小され、その後に最小径部(38a)内へ流入する。このため、例えば流出側絞り部(38)内に流入した液体が、いきなり最小径部(38a)内へ流入する場合と比較して、液体は流出側絞り部(38)内を淀みなく流れることになる。
【発明の効果】
【0017】
本発明では、各出口流路(42)にそれぞれ流出側絞り部(38)を設け、各出口流路(42)の流路断面をそれぞれ縮小するようにしている。このため、本発明によれば、全ての出口流路(42)でそれぞれ気泡を発生することができるので、これら全ての出口流路(42)から気泡を含む液体を流出させることができる。その結果、この気泡発生器から浴槽等へ供給される気泡の分布を均一化できる。
【0018】
第2の発明では、入口流路(40)に流入側絞り部(38)を設けている。従って、本発明によれば、入口流路(40)でも気泡が発生するので、この気泡発生器の気泡発生量を増大させることができる。また、このように入口流路(40)で発生した気泡のサイズが比較的大きい場合にも、この気泡を各出口流路(42)の各流出側絞り部(38)内で細かく砕くことができる。
【0019】
特に、第3の発明では、各流出側絞り部(38)に最小径部(38a)と拡径部(38b)とをそれぞれ形成している。このため、本発明によれば、各拡径部(38b)内の液体の乱れを促すことで、気泡を微細化することができる。また、最小径部(38a)を流れる液体の流速を音速まで高速化させることで、各拡径部(38b)内で衝撃波を発生させることができ、各出口流路(42)内の気泡を更に微細化することができる。従って、各出口流路(42)から微細な気泡を含む液体を流出させることができる。
【0020】
更に、第4の発明では、拡径部(38b)を出口流路(42)の流出端まで形成している。このため、本発明によれば、拡径部(38b)で発生した気泡が出口流路(42)で合体して肥大化してしまうことを防止できる。従って、出口流路(42)から微細な気泡を確実に流出させることができる。
【0021】
また、第5の発明では、各流出側絞り部(38)の流入端に縮径部(38c)をそれぞれ形成している。このため、本発明によれば、液体を淀みなく最小径部(38a)内へ導入することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。本発明の実施形態に係る気泡発生器(30)は、浴槽(5)に微細な気泡を含んだ水を供給する微細気泡供給装置(10)に設けられている。
【0023】
〈微細気泡供給装置の全体構成〉
図1に示すように、本実施形態の微細気泡供給装置(10)は、入口と出口とがそれぞれ浴槽(5)に接続された循環流路(11)を備えている。つまり、循環流路(11)では、浴槽(5)内の水(液体)が循環可能となっている。この循環流路(11)には、上流側から下流側に向かって順に、空気導入器(12)とポンプ機構(13)と気体溶解器(14)と上記気泡発生器(30)とが接続されている。
【0024】
上記空気導入器(12)は、循環流路(11)内へ気泡源となる空気(気体)を外部から導入するものである。この空気導入器(12)は、その内部の水流によって発生する負圧を利用して空気を吸入する、いわゆるエジェクター方式の空気導入器である。つまり、空気導入器(12)では、その内部を通過する水流により負圧が生じ、この負圧によって外部の空気が空気導入管(12a)を介して循環流路(11)に導入される。
【0025】
上記ポンプ機構(13)は、浴槽(5)の水を循環流路(11)内で循環させるためのものである。このポンプ機構(13)は、空気導入器(12)側から吸い込んだ水を気体溶解器(14)側へ吐出する。
【0026】
上記気体溶解器(14)は、筒状の容器(14a)内において、水に対する空気の溶解を促進させるものである。この容器(14a)内には、空気と水との接触時間や接触面積を稼ぐための例えば充填材等が設けられている。
【0027】
上記気泡発生器(30)は、空気が溶解した水を減圧して微細な気泡を発生させるためのものである。気泡発生器(30)は、浴槽(5)内に臨むように浴槽(5)の側壁面に取り付けられている。この気泡発生器(30)の詳細は後述するものとする。
【0028】
循環流路(11)には、その入口側と空気導入器(12)との間に流量計(15)が設けられている。流量計(15)は、循環流路(11)を循環する水の流量を計測する流量計測手段を構成している。また、循環流路(11)には、気体溶解器(14)と気泡発生器(30)との間に流量調節バルブ(16)が設けられている。流量調節バルブ(16)は、その開度に応じて循環流路(11)の流量を調節する流量調節手段を構成している。
【0029】
〈気泡発生器の詳細構造〉
次に、本発明の特徴となる気泡発生器(30)の詳細構造について説明する。図2(A)に示す気泡発生器(30)は、循環流路(11)の流量調節バルブ(16)側に設けられる流入側部材(31)と、浴槽(5)側に設けられる流出側部材(32)とを備えている。
【0030】
流入側部材(31)及び流出側部材(32)は、それぞれ略円筒状に形成されている。流入側部材(31)の一端側(図2(A)における右端側)の内周壁には、雌ネジ部(33)が形成されている。これに対し、流出側部材(32)の一端側(図2(A)における左端側)の外周壁には、雄ネジ部(34)が形成されている。流入側部材(31)と流出側部材(32)とは、雌ネジ部(33)に雄ネジ部(34)が締結されることで、一体的に組み合わされて気泡発生器(30)を構成している。
【0031】
流入側部材(31)には、その他端側に入口流路(40)が形成されている。入口流路(40)には、上記気体溶解器(14)を流出して空気が溶解した状態となった水が流入する。入口流路(40)の流出側には、流入側絞り部(35)が形成されている。この流入側絞り部(35)は、入口流路(40)を流れる水の流路断面を縮小させることで、この水を減圧する減圧流路を構成している。
【0032】
具体的には、流入側絞り部(35)は、入口流路(40)の流出側に向かって縮径したテーパー面(35a)と、このテーパー面(35a)の先端側に形成される円周面(35b)とを有している。入口流路(40)では、この流入側絞り部(35)が形成されることで、その流入側から下流側に向かって順に、大径通路(40a)と縮径通路(40b)と小径通路(40c)とが形成されている。大径通路(40a)は比較的大径の円柱状に形成され、縮径通路(40b)は、その流出側に向かって縮径する台形円錐状に形成され、小径通路(40c)は大径通路(40a)よりも小径の円柱状に形成されている。
【0033】
流入側部材(31)と流出側部材(32)との間には、分配流路(41)が形成されている。
分配流路(41)は、入口流路(40)と同軸となって径方向外側に拡がる円板状に形成されている。分配流路(41)では、図2(A)における流入側部材(31)の右端面と流出側部材(32)の左端面とが、その軸方向両側の内壁を構成している。つまり、分配流路(41)に面する内壁では、流入側部材(31)の内壁が第1内壁部(36)を構成し、流出側部材(32)側の内壁が第2内壁部(37)を構成している。上記第1内壁部(36)には、上記入口流路(40)の小径通路(40c)が開口しており、分配流路(41)の軸心側に入口流路(40)が接続されている。一方、第2内壁部(37)には、複数の出口流路(42)の流入端が開口している。各出口流路(42)は、分配流路(41)の外周側に接続されている。
【0034】
上記第1内壁部(36)には、その外周縁部に環状溝(50)が形成されている。この環状溝(50)は、各出口流路(42)の流入開口と対面するように形成されている。また、環状溝(50)は、その溝断面が円弧状ないし半円形状となっている。
【0035】
一方、上記第2内壁部(37)には、段差が形成されている。つまり、第2内壁部(37)には、その軸心側に位置する円形面(37a)と、その外周側において円形面(37a)よりも流出側寄りに位置する環状面(37b)と、円形面(37a)及び環状面(37b)との間の段差となる段差面(37c)とが形成されている。このような第2内壁部(37)の段差により、分配流路(41)は、軸心側から外周側へ向かう水の流路断面が拡大された段状となっている。また、円形面(37a)と環状面(37b)との間の段差面(37c)は、上記複数の出口流路(42)よりも分配流路(41)の軸心側寄りに位置している(図2(B)参照)。
【0036】
図2(B)に示すように、流出側部材(32)には、6つの出口流路(42)が形成されている。各出口流路(42)は、流出側部材(32)を軸方向に貫通している。つまり、各出口流路(42)は、分配流路(41)の軸心と平行になっている。各出口流路(42)は、分配流路(41)と同心の円周上に等角度間隔(即ち、一定のピッチ)で配列されている。各出口流路(42)の流出端は、浴槽(5)内に臨んでいる。
【0037】
各出口流路(42)には、それぞれ流出側絞り部(38)が形成されている。流出側絞り部(38)は、出口流路(42)の内周壁から径方向内側に膨出した筒状に形成されており、出口流路(42)の流路断面を縮小させている。具体的には、流出側絞り部(38)には、その流入側から流出側に向かって順に、縮径部(38c)と最小径部(38a)と拡径部(38b)とが形成されている。
【0038】
上記最小径部(38a)では、出口流路(42)の流路断面が最小になる。上記拡径部(38b)は、最小径部(38a)から出口流路(42)の流出端に亘って形成されている。この拡径部(38b)では、最小径部(38a)から流出側に向かって流路断面が徐々に拡大する。つまり、拡径部(38b)の内周面は、その流出側に向かうにつれて径方向外側に傾斜している。上記縮径部(38c)は、流出側絞り部(38)の流入端から最小径部(38a)に亘って形成されている。この縮径部(38c)では、その流入側から最小径部(38a)に向かって流路断面が徐々に縮小する。つまり、縮径部(38c)の内周面は、その流出側に向かうにつれて径方向内側に傾斜している。また、縮径部(38c)は、その流入端側に向かってラッパ状に拡がっている。なお、この縮径部(38c)の流路長さは、上記拡径部(38b)の流路長さよりも極めて短くなっている。
【0039】
−微細気泡供給装置の運転動作−
本実施形態の微細気泡供給装置(10)の運転動作について説明する。この微細気泡供給装置(10)では、ポンプ機構(13)を起動させると、浴槽(5)の水が循環流路(11)の入口に吸い込まれて循環流路(11)の出口へ向かって流通する。
【0040】
なお、ポンプ機構(13)は、循環流路(11)の流量が例えば35リットル/分になるように調節される。この状態では、気体溶解器(14)の容器(14a)内が、300〜400kPa程度に加圧される。また、運転中は、流量調節バルブ(16)の開度が、流量計(15)によって計測された循環流路(11)の流量に基づいて調節される。
【0041】
図1に示す循環流路(11)の入口から流入した浴槽(5)の水は、空気導入器(12)に流入する。空気導入器(12)では、空気導入管(12a)から吸い込まれた空気が水に混入される。水に混入される空気は、比較的小さな気泡になる。気泡を含む水は、空気導入器(12)から流出し、ポンプ機構(13)を経て気体溶解器(14)に流入する。気体溶解器(14)では、水に対する空気の溶解が促進される。空気を溶解した水は、気体溶解器(14)を流出して気泡発生器(30)へ流入する。
【0042】
図2に示す気泡発生器(30)へ流入した水は、入口流路(40)を流通する。この水は、流入側絞り部(35)を通過する際に流路断面が縮小されて減圧される。その結果、水中に溶解した空気が遊離し、水中で気泡が発生する。気泡を含む水は小径通路(40c)から分配流路(41)へ流入する。
【0043】
分配流路(41)へ流入した水は、第2内壁部(37)の円形面(37a)に衝突することで、分配流路(41)の軸心側から外周側へ向かって放射状に拡がる。この水は、第1内壁部(36)と円形面(37a)の間を流通した後、段差面(37c)を通過する。水が段差面(37c)を通過すると、この水の流路断面が拡大する。その結果、段差面(37c)の表面近傍で負圧領域が発生し、いわゆるキャビテーションが発生する。このキャビテーションによって水中に未だに残存する空気が遊離して、水中で更に気泡が生じる。また、このキャビテーションによって生じる水流の乱れに伴い、水中に含まれる比較的大きな気泡が微細な気泡にまで剪断される。このようにして微細な気泡を含んだ水は、分配流路(41)の外周側へ均一に拡がり、各出口流路(42)に流入する。この際、水に含まれる気泡は、環状溝(50)内で周方向に拡散するので、各出口流路(42)へ気泡が均等に入り易くなる。
【0044】
各出口流路(42)へ流入した水は、各流出側絞り部(38)内へそれぞれ流入する。流出側絞り部(38)では、水が縮径部(38c)及び最小径部(38a)内を通過する際に、この水が減圧される。その結果、液中に未だ残存していた空気が遊離して更に気泡が発生する。また、最小径部(38a)内を水が通過する際には、水の流速が音速になるまで加速される。一方、この水が拡径部(38b)内を流れて流路断面が徐々に拡がると、水の速度勾配(圧力勾配)が変化し、拡径部(38b)内を流れる水の乱れが大きくなる。その結果、拡径部(38b)内では、気泡が剪断されて微細化される。また、最小径部(38a)内の流速が音速になると、拡径部(38b)内で衝撃波が発生する。その結果、拡径部(38b)内では、気泡が徐々に破裂して更に微細化される。以上のようにして、数十μm程度の気泡を含んだ水は、各出口流路(42)から浴槽(5)内へ噴射される。
【0045】
−実施形態の効果−
上記実施形態では、各出口流路(42)にそれぞれ流出側絞り部(38)を設け、各出口流路(42)の流路断面をそれぞれ縮小するようにしている。このため、上記実施形態によれば、全ての出口流路(42)でそれぞれ気泡を発生することができるので、これら全ての出口流路(42)から気泡を含む液体を浴槽(5)内へ噴射させることができる。その結果、この気泡発生器(30)から浴槽(5)へ供給される気泡の分布を均一化できる。
【0046】
また、上記実施形態では、入口流路(40)に流入側絞り部(38)を設けている。従って、上記実施形態によれば、入口流路(40)でも気泡が発生させることができ、この気泡発生器(30)の気泡発生量を増大させることができる。
【0047】
また、上記実施形態では、各流出側絞り部(38)に最小径部(38a)と拡径部(38b)とをそれぞれ形成している。このため、上記実施形態によれば、各拡径部(38b)内で衝撃波を発生させることができ、各出口流路(42)を流れる水に含まれる気泡を更に微細化することができる。従って、この気泡発生器(30)において、各出口流路(42)から微細な気泡を浴槽(5)内へ噴射させることができる。
【0048】
また、上記実施形態では、各流出側絞り部(38)の流入端に縮径部(38c)をそれぞれ形成している。このため、仮に縮径部(38c)を形成せず、水をいきなり最小径部(38a)内へ流入してしまうと、水が最小径部(38a)の流入側で淀んでしまうことがあるのに対し、縮径部(38c)を形成することで水を円滑に最小径部(38a)内へ導入することができる。
【0049】
更に、上記実施形態では、拡径部(38b)を出口流路(42)の流出端まで形成している。このため、仮に拡径部(38b)を出口流路(42)の途中までしか形成しない場合には、拡径部(38b)の下流側の出口流路(42)で微細な気泡が合体して肥大化してしまうことがあるのに対し、上記実施形態では、拡径部(38b)の流出端が出口流路(42)の流出端と一致しているため、拡径部(38b)で発生した微細な気泡が合体してしまうことを防止できる。従って、微細な気泡を含む水を出口流路(42)から確実に噴射させることができる。
【0050】
《その他の実施形態》
上記実施形態については、以下のような構成としてもよい。
【0051】
上記実施形態の複数の流出側絞り部(38)を他の形状としても良い。具体的には、拡流出側絞り部(38)を図3に示すような形状としても良い。この流出側絞り部(38)では、縮径部(38c)の内壁面が流入側に向かってお椀状に拡がっている。また、縮径部(38c)と拡径部(38b)とは、流路長さが等しくなっており、最小径部(38a)を挟んで対称な形状をしている。この例においても、各流出側絞り部(38)でそれぞれ水を減圧させることで、各出口流路(42)でそれぞれ充分な量の気泡を発生させることができる。また、図4に示すように、流出側絞り部(38)を環状ないし筒状に形成し、その内部で水を減圧するようにしても良い。
【0052】
また、上記実施形態では、水中に空気を溶解させて気泡を発生するようにしているが、この水中に芳香(アロマ)成分や人体に有用な成分を混入させ、気泡と共に浴槽(5)内へ供給するようにしても良い。
【0053】
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0054】
以上説明したように、本発明は、気体が溶解した液体を減圧することで、気泡を含む液体を発生させる気泡発生器について有用である。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の実施形態に係る微細気泡供給装置の概略構成図である。
【図2】図2(A)は、本発明の実施形態に係る気泡発生器の縦断面図であり、図2(B)は、図2(A)のA−A矢視図である。
【図3】その他の実施形態の第1の例の気泡発生器の縦断面図である。
【図4】その他の実施形態の第2の例の気泡発生器の縦断面図である。
【符号の説明】
【0056】
30 気泡発生器
35 流入側絞り部
38 流出側絞り部
38a 最小径部
38b 拡径部
38c 縮径部
40 入口流路
42 出口流路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
気体が溶解した液体が流入する入口流路(40)と、該入口流路(40)を流出した液体が分流する複数の出口流路(42)とを備え、各出口流路(42)から気泡を含む液体をそれぞれ流出させる気泡発生器であって、
上記各出口流路(42)には、その流路断面を縮小させることで、液体を減圧して気泡を発生させる流出側絞り部(38)が形成されていることを特徴とする気泡発生器。
【請求項2】
請求項1において、
上記入口流路(40)には、その流路断面を縮小させる流入側絞り部(35)が形成されていることを特徴とする気泡発生器。
【請求項3】
請求項1又は2において、
上記各流出側絞り部(38)には、流路断面が最小になる最小径部(38a)と、該最小径部(38a)からその流出側に向かって流路断面が徐々に拡大する拡径部(38b)とが形成されていることを特徴とする気泡発生器。
【請求項4】
請求項3において、
上記各流出側絞り部(38)の拡径部(38b)は、上記最小径部(38a)から出口流路(42)の流出端に亘って形成されていることを特徴とする気泡発生器。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1において、
上記各流出側絞り部(38)には、その流入端から上記最小径部(38a)に向かって流路断面が徐々に縮小する縮径部(38c)が形成されていることを特徴とする気泡発生器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2008−161832(P2008−161832A)
【公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−356203(P2006−356203)
【出願日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】