説明

気液接触装置用規則充填物

【課題】表面張力の大きな液体を含む系や液量の多い系においても十分な気液接触面積が得られる規則充填物を提供する。
【解決手段】薄板平面部材を表裏交互に折り曲げて所定の角度及び間隔で並列する波形面を形成させるとともに、隣接する波形同士の稜線間隔を波形の高さに対して3.5倍以上となるようにした波面材を作製し、このような波面材の複数枚を、各々の波形の傾きが互いに交差するように重ね合わせて構成した規則充填物であって、波面材の各折り目に沿って一対の切れ目を多数組設け、各切れ目が形成する小片部分を波形の内側に陥没させて多数の開口部を形成させたことを特徴とする規則充填物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化学プラント装置に設置されて気体と液体を接触させて両流体間の物質移動や熱移動を促進させる充填物に関するものである。気液の効果的接触を目的とする充填物は蒸留塔、吸収塔、冷水塔などの装置内部に納められ、両流体間の接触は各充填物の表面やその内部空間あるいは充填物相互の間隙などで行われる。充填物は一般に気液相互の物質移動と熱移動を促進させることを主目的に使用されるが、この過程で化学反応を同時に伴うこともある。このような移動現象を利用する気液接触操作の中でとりわけ蒸留は混合物から目的成分を分離精製する目的で化学工場では最も利用頻度の高い操作である。このため物質移動や熱移動の媒体となるこの種の充填物は蒸留装置用としてトレイと並んで頻繁に使用される。
【背景技術】
【0002】
充填物は不規則充填物と規則充填物の2種類に大別される。不規則充填物は個々の充填物が装置内へ無秩序に投入されて不規則に配置されるが、規則充填物は装置内で一様で規則的な配置状態となるように、製造されており不規則充填物より一般的に物質、熱移動性能および圧力損失の面で優れている。通常、規則充填物は帯状薄板を波形に加工して製造されるが、金属、金網、プラスチックなどの材料もしばしば用いられる。本発明も同様な帯状薄板を用いる波形状規則充填物に関するものである。塔内のこのような構成の充填層の上部に液が供給されて、重力により下降し一方下部からは気体が供給され、圧力差により上昇する。この間に気液双方の流体は充填層内で向流接触を繰り返し、この接触によって両流体間の物質や熱の移動現象が起こる。充填層内を気体は連続相として上昇するが、液体は充填層内を一様に分散して重力により流下する。液の分散が一様でないと接触効率が低下する。そして液が層内の限られた部分のみを流下するという偏流が起こると、この部分の液は気体との接触の機会が極端に制限されて接触効率が著しく低下する。充填層内で液を一様に分散して流下させるためには、液を滴状に分散させて充填層の最上部に均等に供給することが重要である。この目的に合致するような液分散器が望ましいが、優れた液分散器を用いても装置内部での液の動きまでを制御することは不可能である。液体は充填層内を下降するため液挙動へ影響を及ぼす主要因は充填物の形状であり、結局は充填物性能の優劣が装置の接触効率を決定的に支配していると言える。液分散器から供給された液は充填物の各エレメントの波面やエレメントの内部空間または相互間の空隙部を流れ落ち、この間に充填物層内を上昇する気体と向流接触を繰り返す。充填物のエレメントで波形の面に囲まれて形成される傾斜した溝状の空間は気体の主要な上昇路となっている。溝状空間を斜めに上昇する気体のかなりの割合は、溝状空間を含んだ波形を形成する折り目を横断してこの波形に交差して隣接するエレメントの波面側の溝状空間に移動する。ここに移動した気体はいままでとは交差するように向きを変えて上昇を続ける。このように気体は充填層内をジグザグしながら上昇していく。このように層内で主流を成す溝状空間での動き以外に、充填物面に設けられた円形などの開口部を通って上昇する気体の流れもある。特に気体が開口部を通過する時に気体の流れに乱れが起これば、この付近の液界面との物質移動を一層促進させることになる。従来の波形状規則充填物の多くは波面上に多数の円形の開口部を配置させている。上述のように開口部は気体の通過による物質移動を促進させる役割のみではない。開口部を経て液を波面の裏面へ移動させ、あるいは開口部の周囲を迂回させて波面上に広く液を拡散させるなど、開口部の存在は液の流れ方に大きく影響している。
【0003】
【特許文献】US Patent−4,710,326 この特許では波形の内角は90度以内の形状を薦めており、より具体的には約60度が望ましいとしている。60度の内角はP/H(後述)の値が1.15に相当する。なお公表された充填物ではこれがP/Hの最小値と想定される。またP/Hとスリットとの関連についても言及されていない。
【0004】
【非特許文献】2007 SpringAIChE Meeting ‘REACHING NEW PERFORMANCE LEVELS WITH SURFACE ENHNCED RASCHIG SUPER−PAK STRUCTURED PACKINGS’これに記載の写真によると規則充填物Rasching Super−Pakは、本規則充填物と同様にスリットを波型規則充填物上に成型しているが、スリットは水平でなく斜め方向である。それ以外のP/Hなどの構造の詳細は不明である。
【非特許文献】HENRY Z.Kister, ‘DISTILLATION DESIGN’,McGraw−Hill,Inc これによると規則充填物のP/Hが2から4までと記載している。スリットについての記載はない。
【非特許文献】矢野間 章 ‘蒸留装置の変遷と蒸留塔用充てん物の最近の動向’、PETROTECH、1990,MARCH,第13巻13号p55 これによると従来の代表的規則充填物のP/Hは2前後であり、径3.8mmの小円を波形のうえに配置させていることが示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の規則充填物では液が滴状に分散して再合一する頻度が少ないため、この時の界面更新によって気液間の物質移動が起こることは少なく、充填物上で液によって濡れる面積が物質移動を促進させる最重要な役割を果たしている。即ち、このような有効接触面積の大小が従来の充填物の性能を左右している。水を多量に含む混合物系のように表面張力が大きい場合、充填物の表面が濡れ難く十分な有効面積を確保することが困難となる。このため従来の規則充填物では表面張力が大きい系では性能を発揮できなかった。本発明者らは従来の波形状規則充填物における液の流れの様子を理解するために、波面に設けた開口部を経て液が波形の裏面へ移動する量に関する系統的な流動実験を行った。その結果、従来の波形状規則充填物では開口部を経て液が裏面への移動する量は極めて限定的で、大部分の液は開口部の周りを迂回して波面上を流下することが明らかになった。波面の傾斜は波形を成す折り目の斜め下方への向きだけではなく、これと交差するように波面を横切る方向にも傾斜している。このため液が開口部の周りを迂回して波面上を流れ落ちれば、以降も引き続いてこの液が同じ波面上に留まって流れ続けるとは限らない。同時に液は波形の向きと交差して波面を横切る方向にも流れるので、液がやがて波形の折り目を横断して落下することになる。一度液が傾斜面から離れて波形の折り目から液が落下すると、この液の次の落下点もまた波形の折り目の近傍となる。このようにして液の多くは波形の傾斜平面へ再び戻ることが困難となり、次々と折り目近傍の自由空間をほぼ真下へ落下することが判明した。この流動実験の結果、従来の規則充填物ではこのように波面をバイパスして波形の折り目を横切って自由空間をほぼ真下に落下し続ける液量が想像以上の割合となることも判明した。その要因の一つは上述の通り液の多くは開口部へ流入せずその周囲を迂回するように流下し、波面を貫通して裏面へ移動する液量が少ないことであると考えられる。このようなバイパス流はチャンネリングとも呼ばれる偏流のミクロな現象であり、直接的には接触界面積を著しく減少させて性能の低下の原因となる。この実験によって、波形を成す折り目を横断して自由空間を液が頻繁に落下することを防止できれば、従来の波形状規則充填物の性能を向上させることが可能と考えられる。本発明ではこのような観点から従来の規則充填物には未だ改良の余地があるとの結論に達した。従来の波形状規則充填物では、液量が比較的多い場合には充分な性能を発揮することが困難であった。特に圧力が高い場合、ガス密度が増して体積が減少するため容積基準では液量が低圧運転時より相対的に大きくなる。本発明者らの実験によると、液は波形を形成する折り目の傾斜の方向に流下するだけではなく、下方への傾斜と交差して波面を横方向にも流れてやがて液は折り目を横断して落下することは既に述べた通りである。液量を増加させると、折り目を横断して落下する液の割合がさらに増大する事もこの実験によって明らかになった。これは液の増大に伴って波形の傾斜した面上で液嵩が増して流路に抵抗が発生するので、液はこの抵抗を避けて横へ移動しようとするためと考えられる。液が傾斜面から離れて一度波形の折り目から落下すると波形の傾斜平面へ再び戻ることが困難となることも既に述べた通りである。従来の充填物では液量が比較的多い場合に接触効率を低下する原因はこの点にあることも明確になった。従来の規則充填物では、液量が増加すると開口部が液膜で覆われる傾向があり、この点も接触効率低下の原因を成していると考えられる。前述の通り、従来の波形状規則充填物では開口部を経て波面の表裏に亘って移動する液量は限られ、大部分の液は表面を沿うように穏やかに流れ落ちていることが本発明者らの実験で明らかになった。ここでは液の滴化による分散や再合一も限定されて気液界面の更新も十分に行われないので、液によって濡れた充填物の表面で起こる静的な物質移動が支配的になる。このような充填物で液量が増えると、充填物面上を液膜の厚みも増えてくる。充填物の表面積は一定のため、液量が増えると単位液量に対しての有効表面積は減少傾向となる。折り目を落下する液量など上述の理由に加えて、従来の規則充填物では液量が多い場合に接触効率が低下するのは有効表面積が液量の増加に追随して増えないためである。本発明者らは、内部を可視できる容器に複数種の波形規則充填物を順次入れ替えて空気‐水系および空気−炭化水素系を用いて流動実験を行った。この実験の観察によると開口部に流入せずこの周りを迂回して波形の傾斜平面を沿うように流下する液の流れの様子は比較的穏やかである。液が開口部へ流入すれば、ここを落下する時には外乱が作用して物質移動が促進される。この時、液の滴化が起これば物質移動は一層促進される。垂直な平面を膜状に流下する濡れ壁塔は古くから利用されてきた気液接触方式である。この方式では液は乱れることなく膜状に流れ、液の滴化に伴う分散や再合一は少ない。ここでは気液の静的な接触面積を通しての物質移動が支配的で、一般にはその接触効率が低い。従って、液流れの乱れの発生や液の滴化によって気液界面の更新が頻繁となれば、従来の規則充填物の性能を向上させることが可能となる。前述の通り、既存の波形規則充填物では液が開口部に流入せずこの周りを迂回して波形の傾斜平面を穏やかに流れる傾向がある。このような流れを撹乱させて気液間の界面を頻繁に更新するような動的効果を活用することが重要である。液を開口部へ流入させて波形の裏面へ多量に移動させることは、流れに乱れを与えて液の滴化や再合一を促進させる効果がある。この点でも従来の規則充填物には改良の余地がある。
実験では厚さ0.1mmの金属薄板平面を材料とした異なった形状の充填物のそれぞれについて円形開口部の直径を変えて流動状態を観察した。ここで用いた充填物は、波形の傾斜角度が45度、比表面積がほぼ250m/mとなるようにした。これは現在工業的に広く利用されている充填物に近い形状である。一般的に開口部が小さい場合、開口部は液膜で覆われて液がこの部分を飛び越えて流下する傾向がみられた。この場合、開口部を通過して波形の裏面へ移動する液量は極めて少なかった。多くの充填物で採用されている直径が4mm前後の円形開口部でも、液量が多い場合は小口径の場合と同様に液膜で覆われる傾向がある。この開口部での液膜現象が性能低下の一因と考えられる。この範囲の円形開口部を用いた場合、通常工業的に運転される範囲まで液量を下げると液膜で覆われることはなかった。しかしこの場合でも液が開口部へ流れ込む程度は極めて少量で、大部分は開口部の周囲を迂回するように流下することが観察され、開口部には流れの迂回によって波面上の液を横へ拡散させて充填物の気液接触面積が増加する効果があることが認められた。直径を大幅に大きくすると開口部に流れ込んで波形の裏面へ移動する液が増え、この量は開口部の面積に大きく依存することも確認された。また直径の増大に伴って開口部に流入する液量の増加とともに、波形の折り目を横切ってここを落下する液量が必ずしも減少していないことも明らかとなった。これは開口部の増大が液を横方向へ拡散させる作用があるためと考えられる。また開口部の増大に伴って液の流れと同じ表側でこの下側の開口半円に続く下流域の波面まで廻り込む液量が少なくなり、この領域が液で濡れることなく乾燥状態となる傾向があった。このような理由で、開口径を大きくすることで波形状規則充填物の改善を図ることには限度があることも明らかになった。また開口面積の増大に伴って材料の廃棄量が増加して過大な材料の損失となる。開口部へ流入液量が増加することは波面の裏側へ液が移動するのみではなく、開口部の下側に広がる空間を経て更に下に位置する別の波面へ落下する液量も多くなる。このような流入に伴う流れの変化の過程で液が滴状に細かく分散して滴化する可能性も増大する。液が滴化すれば波面上で別の液滴と合流して再合一も起こる。このような液滴の分散と合一が頻繁に繰り返されれば、気液間の界面も頻繁に更新されて物質移動が促進される。従来の波形状規則充填物の大部分に採用されている円形開口部(径4mm前後)ではここへ流入する液量が限定的で、これを如何に増加させるかが問題である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
充填物表面の濡れ具合(接触面積)に影響される表面張力の大きい系の分離では従来の充填物は性能を発揮できなかった。また高圧力下での蒸留操作のように相対的に液量が多い場合は著しい性能の低下を伴うので、このような装置に従来の充填物が使われることは稀であった。実験で明らかにしたように、(1)波形を成す折り目を横断する液量が増加する、(2)液が開口部を覆う、(3)液の増加に伴って有効接触面積が増加しない、ことが性能低下の要因である。しかし、液量の増加に応じて接触面積を増大させることは困難である。液量の増加に伴って液滴への分散や再合一による気液の界面を頻繁に更新させることができれば、接触面積の問題を解決できる可能性はある。即ち、液量の増加によって頻繁な界面の更新による物質移動の促進が相対的に減少する接触面積を補償できることが考えられる。開口部へ流入する液量が増加すれば、液滴への分散や再合一が促進できるので液を積極的に開口部へ導く工夫が必要となる。折り込んだ波状規則充填物のエレメントの山と山または谷と谷の頂点の距離をピッチ(P)、山と谷との距離を高さ(H)と定義すると従来の充填物では、P/Hの値が概ね2.0から2.5という小さい形状が採用されてきた。しかし、本発明では後述の理由によって逆にP/Hの値を極端に大きくなる形状を使うことにしたが、下記の実験でも明かなようにこのような形状ではそのままでは急激な効率の低下を伴う問題があった。ここでP/Hの値と波面での液の流れ方の関係を知るために、開口部を全く開けない平面材を用いた波形で流動実験を行った。P/Hの値を2.0から5.0まで形状を変化させて、波面を横切って下端側の折り目を超えて自由空間を落下する液量との関係で観察してみた。実用例が含まれるP/Hの値が2.5までの範囲に比べ3.0を越えると急激に落下量が増えることが確認された。3.5を越えて4.0付近になると自由空間への落下量が極端に増大した。そこで波面の下端側の折り目を横断しようとする液の流れの向きを、液が横断する以前に反転させることを考えてみた。流れの向きを反転させることが可能であれば、折り目を横断して液が自由空間へ落下することを防ぐことができる。これが可能となれば、P/Hの値の制約を受けず、従来のような限定された範囲の形状を超えた規則充填物の利用が可能となる。波面を横切って下端側にある折り目を横断する流れの向きを反転させる方法として、この折り目に沿って上下に開口部を多数配置することとした。折り目を横断する寸前でこれら開口部へ液を流入させることができれば、流れの向きを反転させて液が自由空間を落下しないようにすることが可能である。即ち、開口部へ流れ込んだ大部分の液は、この開口空間を経てこの開口部が属する波形の下側に続く別の波面上に落下することが出来る。液が落下する別の波面ではこの面を横切る方向は前回と逆になるので、液の流れの向きが反転する。このようにして液は繰り返し波面を横切ることが可能となる。本発明ではP/Hの値を従来の波形の形状より極端に大きくしてあるので、液が波面を横切るように多く流れ易い。一方、従来の充填物ではP/Hは比較的穏やかな値であり、波面上を斜め下方に流れる液量が多くなる。このような波面上での液の流れ方は、P/Hの値によって影響されることは既に述べた通りである。斜め下方に流れる液量が多くなると、流れの向きが一方的であるので流速が加速されて急速に斜面を流れ落ちる。そして波面を低速で横切る流れが少なくなり、液が波面上で十分に拡散せず接触界面積も少なくなる。一方P/Hの値が大きい本発明の波形では液が波面の横方向から斜めに流下して開口部に入り易いので、開口部の下流域の波面を横方向から濡らす効果がある。本発明の最も重要な点は、P/Hの値が十分大きい波形を採用して頻繁に液が波面を横切るようにし、これに波面の下端側の折り目の前で開口部という流れの反転機構を加えたことである。装置の操作圧力が高い場合には、ガス密度の増大に伴い容量基準では相対的に液量が増大する。このように液量が増大すると従来の波形規則充填物では波形の傾斜した面上で液嵩を増して流路抵抗も増すので、ますます折り目を横断して液が落下するようになるが、前述の通り本発明では液が開口部に流入し易く、液が折り目を横断して落下するのを防ぐ工夫がされている。また液量が増加すると充填物の面積は一定であるので液量当たりの相対的な接触面積の減少によって性能も低下する。本発明の物質移動機構は、従来のように接触面積に依存するのみではなく、開口部を液が通過する過程で液滴への分散や再合一によって物質移動が促進されるようになっている。このため、本発明では相対的面積の減少を開口部へ流入する液量の増加によって一層促進される界面更新によって補償するような作用がある。前述の実験によると、円形の開口部では面積の増大とともに開口部へ流入する液量も増加傾向にある。そこで、開口部の形状を円形から上辺が傾いた直線状の切り口を持つ四角形に代えて実験してみた。この場合も円形と同様に液は傾斜した切り口に沿って流れ落ちる傾向があるが、この直線状の切り口の傾斜角度を水平に近づけると開口部へ流入する液量が増加することが確かめられた。上辺が水平な切り口に流れ込んだ液は、円形を含めて傾斜した切り口を持つ場合と違って液が一方向のみには流れ難い。このためこの液は切り口の左右両側へ同等に広がろうとする。このような水平な動きは重力で加速されることはなく、横へ広がる速度は傾斜した切り口の場合に比べて緩慢となる。水平な切り口部分へ液が連続して流れ込めば、ここに液が集積されて液嵩を増す。この液容積には重力による平準化作用が働くので、液は切り口に沿って横へ移動して液膜状になろうとする。このようにして開口部の上辺が水平な切り口では液が横方向に拡散する傾向がある。液膜はやがて厚みを増し、切り口の下部は開口空間となっているのでここを落下する。切り口から液の落下の程度は、液へ働く重力と表面張力との関係で決定される。表面張力は液を保持するように働くので、液の落下は液質量の増加による下方への力が表面張力に打ち勝った時に起こる。従って、この現象は連続的ではなく間欠的となり、液は滴状となって落下する傾向がある。このようにして上辺が水平な切り口を持つ開口部では、液の流入が容易となり、その液が水平方向へ拡散し、しかも液は滴状となって波面を通過することが可能となる。従来の多くの充填物で採用されている円形の開口部では流入する液量が限定的で、大部分の液はこの周りを迂回して流下する傾向があった。本発明では、流れ実験による上記の知見が、開口部の上辺を成す切り口を水平またはそれに近い形状にして従来とは異なった開口部とした理由である。上辺が水平またはそれに近い切り口を持つ開口部へ流入した液は、この切り口の下側に続く開口空間を滴状となって通過する。この液の一部は開口部の裏側へ付着しながら移動するが、大部分は同じ波形を構成して下側にある別の波面まで落下する。落下した液はこの波面でも同様に開口部へ流入するが、他の液と合流してこの切り口でも再び液膜を形成する。このような繰り返しによって、液滴への分散や液膜への再合一が頻繁に起こる。このように本発明の充填物では液の分散や合一によって気体との界面も頻繁に更新される。界面が新しい流体で更新されると、ここに物質移動の推進力となる新たな気液間の組成の濃度差が発生する。液の分散や再合一が頻繁に起こることは物質移動を促進させるために好都合であり、本発明で使われる開口部の形状は望ましい流動特性を与えることができる。本発明では波面を成す下端側の折り目に沿って多数の開口部を続けて配置しているので、上下に隣り合う開口部の間隔が近接している。このため開口部の下流域の波面に重なって次の開口部が続いている。本来この波面は乾燥状態を呈する領域であるが、波面に代わって開口部が存在するので接触面積の低下を招くことがない。また後述の通り開口部への液の流入は波面の横方向から斜めに流下し易い波形となっているので、開口部の下流域の波面を横方向から濡らすことが可能となる。これは既に述べたようにP/Hの値を大きくした結果である。また波面の下端側にある折り目を越えた位置は波面ではなく、波形を成す溝状空間が続いていることも乾燥問題を回避できる理由となっている。この溝状空間も開口部の下流域の一部を成しているが、仮に乾燥状態になってもここに波面が存在しないので有効接触面積の低下とは無関係である。このように開口部を波面の下端側折り目に沿って多数設置したことは、流れの方向を反転させるだけではなく乾燥問題の回避にも効果がある。開口部の上辺を成す切り口は水平であることがもっとも望ましい。しかし、切り口が若干傾斜しているか、曲線であっても、水平に近い形状の切り口であれば極端に性能が低下することはない。問題となるのは、上辺の切り口が僅かの部分であっても急激に下向きに変化するばあいである。このような上辺を持つ開口部では切り口が急激に変化した場所から液が多量に落下して横方向への液の拡散が遮断される。請求項に記載した開口部の形状はこのような定性的事実を具体化させたものである。一層の詳細は、流動実験の知見を基本として多種類の充填物を実際に製作して、それらを実液による蒸留実験によって総合的に決定した。
【発明の効果】
【0007】
従来の規則充填物では、液で濡れた部分が有効面積として主に物質移動を促進させる働きをしていた。本発明では、従来の面積に加えて頻繁な界面更新による物質移動が大きな役割を果たしている。水を多量に含むような物質系のように表面張力が大きい場合、充填物の表面が濡れ難く十分な有効面積を確保することが困難となる。この点、本発明の充填物では物質移動が接触面積への依存度が限定的であり、この充填物を表面張力の大小に無関係に広く使用することが可能となった。本発明の波形規則充填物は、水平または水平に近い切り口を上辺に持つ開口部を多数規則的に波面に配置して形成されている。この充填物では波面を流下する液が開口部に流入し易く、液が開口部上辺の切り口に沿って横へ拡散し、そしてこの液は切り口を滴状に分散して落下する傾向がある。液は落下した新しい面で他の液と合流するので、本発明の充填物は液滴への分散と再合一が繰り返される。この結果、気液の界面が頻繁に更新されて物質移動が効果的に行われる。従来の規則充填物ではこのように頻繁な液滴への分散と再合一が見られず十分な接触効率を達成できなかったが、この点で本発明による改善効果は著しい。また圧力が高い場合のように液量が多い操作では液量当たりの接触面積の減少による性能低下のため、従来の充填物が採用されることは稀であった。従来の波形規則充填物では接触面積が性能に直接影響するためであるが、本発明の波形規則充填物は、上記と同じ理由で液量が多い場合にも適用できるようになった。従来の波形状規則充填物では、液量が非常に多いと波形を形成する折り目を横断して落下し易いことが判明した。このように一度折り目を落下した液は再度波面へ戻ることが困難となり、折り目近傍を落下し続ける傾向がある。また液量が多くない場合でも液は波面上を斜め下方に流れやすいため塔壁に集まりやすく、集まった後は塔壁近傍を落下し続けることになる。これらは波面を何度もバイパスすることであり、装置内部で偏流が発生していることになる。本発明の充填物では折り目を横断したり、塔壁に集まって液が落下しないような工夫がされているので、従来のような偏流による性能の著しい低下が起こらない。この点も従来の充填物を大幅に改善できた要因となっている。通常装置内部での液の偏流状態への移行を防ぎ、その分散状態を改善するために所定高さ毎に再分散器が用いられるが、本発明の充填物はこの点についても改善され、再分散器の配置が不要または最小限にすることができた。本発明の充填物を用いた場合、実液を用いた広範囲に亘る蒸留実験によると処理液量の増加とともに分離性能が良くなることが判明した。これは液量の増加とともに液の滴化分散と再合一も頻繁なり、界面更新が一層促進されることを示すものと考えられる。従来の充填物では液量の増加とともに分離性能が劣化することが一般的である。これは前述のように液量の増加によって、(1)単位液量当たりの有効接触面積が減少すること、および(2)一種の偏流現象が顕著になる、ことが主な原因と考えられる。蒸留塔などの気液接触装置の処理量はフラッディング点が限度であり、これを越えて運転することはできない。従来の規則充填物では、上記のように液量の増大とともに分離性能が低下する。従って、処理液量がフラッディング点に到達する以前に、分離性能が所定値を下回ることがある。このような場合の最大処理量はフラッディング点ではなく、分離性能の許容下限値で決定される。本発明の充填物を用いた場合性能はフラッディング点に達するまで処理液量の増加とともに分離性能が良くなるので、幅広い運転が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】トレイ塔の説明図 このような気液接触操作では、一般的に円筒状の塔(▲1▼)内の上下方向に多数の棚段を配置した装置をトレイ塔といい、それぞれの棚段に降下してくる液を堰き止めてここに蒸気を導いて気液接触を起こさせるトレイ(▲2▼)が最も頻繁に利用されている。
【図2】充填塔の説明図 充填塔では、液は一般的に円筒状の塔内に納めた充填物(▲1▼)によって形成される層内を流下し、この層を上昇する蒸気と向流接触することによって物質移動が行われる。充填塔はトレイ塔と比較して(1)物質、熱移動性能がよい(2)圧力(動力)損失が少ないという長所があるので、対象によっては充填物がトレイに代わって使われるようになってきている。
【図3】波形状規則充填物の構造 金属薄板や金網などを含む大多数の波形状規則充填物は、帯状材料の平面に予め円形の開口部を多数配置して、これを長さ方向に一定な間隔と角度で表裏交互に折り曲げて傾斜した波形(▲1▼と▲2▼)を形成させて製造される。このようにして得た波形面材を切断して多数枚の波面状エレメントにする。これら所定枚数を多層に重ね合わせ、同時に隣り合うエレメントの波形の傾きが互いに交差するように結束してブロック状の充填物を構成させている。一般にブロック状の充填物は塔形式の装置内部の上下方向に多層に重ねられて充填層が形成される。充填層を構成する各エレメントの波面は、装置内部でその幅方向が垂直になるように配置される。(▲1▼と▲2▼)
【図4】充填層の構成 蒸留塔を含む大部分の気液接触装置は水平断面が円形で、充填物は塔の内部に上述のように層状に重ねて納められる。先ず、複数個の充填物のブロックを塔内部の水平断面内に一様に敷き詰める。塔内径が小さい場合は1個のブロックを用いるが、一般には塔内径に応じて複数個のブロックが敷かれる。複数のブロックを用いる場合は、水平断面全体では円形となるように異なった形状のブロックを組み合わせる。このように塔内の水平断面に亘って敷き詰めた1個または複数個の充填物のブロックを1層として、この層を塔内の垂直方向に多層に重ね合わせて充填層を構成する。(▲1▼が▲2▼の一部となる)
【図5】充填物のエレメントのピッチ(P)と高さ(H) 折り込んだ波状規則充填物のエレメントの山と山または谷と谷の頂点の距離(▲1▼)をピッチ(P)、山と谷との距離(▲2▼)を高さ(H)と定義する。
【図6】P/Hと液流との関係 面AA’BB’および面BB’CC’は、波形の折り目に相当するBB’の両側に接続した波面を示すものとする。3角形ABCは3角形A’B’C’と合同である。3角形ABCでBHは頂点Bからの垂線でこの長さが波形の高さ(=H)、ACの長さは波形のピッチ(=P)となる。折り目AA’とCC’によって形成される仮想平面AA’CC’は装置内での充填状態と同じく垂直平面である。ACの長さ(=P)を一定としてBHの長さ(=H)を変化させればP/Hの値を変えることができる。折り目AA’、BB’およびCC’は互いに平行である。ここで波面AA’BB’の表側の点Aに粒子を置いた時、この面上のADで示すようにこの粒子の動きとP/Hの値との関係で考えてみる。BHの長さを小さくすれば波面AA’BB’はBHに垂直な平面AA’CC’に接近するためこの波面の水平方向傾斜は小さくなり、この粒子は短時間で折り目BB’を横断しようとする。逆にBHの長さを大きくすれば波面AA’BB’は平面AA’CCから離れていき、折り目を横断する時間がかかる。BHを長くしてP/Hの値をさらに小さくすると、液は折り目BB’から離れてAA’側に近い面を流れ落ちるようになる。逆にP/Hの値を大きくして水平方向への傾きを小さくすれば、波面を横切って波形を成す折り目を飛び越える液量が増加する。このように液流の方向は、P/Hの値すなわち波面の下方への傾きと水平方向への傾きの相対値によって決定される。
【図7】スリットの一般的寸法関係 この図は、波形加工前の平面シート材上でのスリットとの一般的な寸法関係を示すため、限定された数のスリットを図示したものである。連続する山と谷に囲まれる平面をエレメントとして二つのエレメントを区分する稜線を横断する水平な二直線の切り込みをつくり、それを稜線の反対側に折り込んでつくられる曲線状の帯をタブ、押し抜かれた並行四辺形をスリットと定義して稜線に囲まれたシート同一平面上のスリット水平長さ(▲6▼)をaとして、稜線(山または谷)と続く稜線(谷または山)との水平長さ(▲5▼)をcとおくとa≧0.5cとするものである。またスリット内の上下方向(▲3▼と▲4▼)の距離をdとするとd≧3mmとするものである。また図▲1▼はシート材の長さ方向で、▲2▼はシート材の幅、点線は折曲線であり波面の稜線(山または谷)である。
【図8】稜線の表示 ▲2▼は折曲線である。▲3▼は山の稜線で、▲1▼および▲5▼は谷の稜線を示し、▲4▼は波の側面部である。
【図9】FファクターとHETPの関係 ▲2▼は従来の規則充填物の傾向を示している。▲1▼は本充填物でありFファクターが増大するにつれて,HETPが下がっていくという従来の規則充填物と違う挙動を示している。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の充填物ではP/H≧3.5とするものである。また開口部の上辺を成す切り口は、水平に近い形状であれば本発明の充填物の性能を十分発揮できる。しかし、製造の容易さを含めてこの切り口は水平な直線状であることが望ましい。特に、波形を重ね合わせてブロック状に結束させるときの監視作業を省略するため、切り口の上辺のみでなく、上下双方が直線で並行であることが一層望ましい。開口部の上辺を成す切り口の水平方向の幅は、請求項−1に記載してある。この範囲で機械的強度が許す限り幅広くすることによって高い性能を発揮できる。この幅が広いほど液は開口部へ流入する可能性が大きくなる。開口部を形成する上下一対の切り口の間隔、即ち上下間の幅は装置の設計液量に応じて変えることが最善である。本発明の充填物では、開口部へ液が流入する回数が多いほど気液間の界面更新が頻繁となり接触性能が向上する。波形をなす折り目の方向に上下に並んだ開口部間の間隔を近接させるとこの回数が増加する可能性が増す。一方液は波面上で斜め上方から開口部へ流入する構造となっているので開口部間の間隔が近過ぎると上辺の切り目の入口側に液が留まって開口部の上辺全体に亘って広がらない可能性が大となる。液量に対して切り口の上下間の幅が狭い場合、この開口部で架橋現象を起こして液が開口部を飛び越えて流下して性能を低下させる。液量に対して相対的にこの幅が広い場合、限られた波面を有効に使える部分が減少するのでこれも性能低下の原因となる。この幅が2mmなどに狭くして場合、液量が極端に少なくなっても架橋減少が起こり開口部を液膜で覆ってしまう。過去の実験結果から、この幅を3mm以下にすることは避けるべきである。従来の規則充填物が使われる液量範囲では、この幅を4から5mm程度にすることが好ましいが、上限の制限はなく液量に応じて6から10mmの幅も想定される。従来の波形規則充填物は液を拡散させる目的で、波面にエンボスなどの表面を粗くする加工を行うことが多く一般的には接触効率を向上させる効果があるが、本発明の充填物では、物質移動や熱移動はその表面積の寄与より液の滴化や合一の過程での寄与が大きいのでこのような表面加工の効果は限定的である。以下実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない
【実施例1】
従来法と同様、本発明の充填物でも金属薄板、金網、板状プラスチックなど多様な帯状材料を利用することができる。ここでは特許請求項−1に従った実施例を以下に記載する。
材料:厚さ0.1mmのステンレス金属薄板
エレメントのピッチ:48.2mm、エレメントの高さ: 11.6mm(P/H: 4.2)
スリット切り口:水平、 スリット上下の幅:4mm
比表面積: 214(m/m
上記と同じ構造の規則充填物を用いて水/酢酸2成分系で大気圧のもとで全還流運転を行った。その結果以下の運転データが得られた。

表面張力が大きい水を含む系への適用例である。従来の標準的な規則充填物(比表面積250m/m)では、同一の条件でHETPが600〜650mmであり、それに対して本規則充填物は低いほどよいHETPが453〜479mmと分離性能がすぐれていることを示している。なおFファクターが増大するにつれて,HETPが下がっていくという従来の規則充填物と違う挙動も観察された。このFファクターは、ガス処理量を表すものであり、塔内ガス空塔速度x√ガス密度で定義され、この値が大きいほど、ガス処理量が大きいことを示している。
【実施例2】
【0010】
実施例1と同じ構造の規則充填物を用いて水/アセトン/空気3成分系で大気圧のもとで吸収実験を行ない、同一条件でポールリング1−1/2Bと比較を行なった。その結果以下の運転データが得られた。

液流量が多い吸収塔への適用例である。従来から汎用的に用いられている代表的不規則充填物(ポールリング1−1/2B)と比較してHETP、圧力損失が半分近くになっている。
なお従来の標準的な規則充填物では液量が多い(例えば30m/mhを越す)と性能低下が起きるが、本規則充填物はそのようなことはないことを示した。
【実施例3】
【0011】
実施例1と同じ構造の規則充填物を用いて、クロルベンゼン/エチルベンゼン2成分系で全還流蒸留運転を行った。大気圧のもとでは以下の運転データが得られた。

従来の標準的な規則充填物(比表面積250m/m)では、同一の条件でHETPが300〜350mmという大きなHETPを示しており、205mmから253mmを示す本規則充填物は優位性を示した。なおFファクターが増大するにつれて,HETPが下がっていくという従来の規則充填物と違う挙動も観察された。また同じ構造、系で真空圧力(100mmHgA)のもとでの全還流蒸留では以下の運転データが得られた。

大気圧における結果と同様に、Fファクターの増大にしたがってHETPが減少する傾向が観察された。Fファクターが3.8以上になってもフラッディングとならず、処理量が大きいことが示されている。
【産業上の利用可能性】
【0012】
蒸留に代表される気液分離操作は、伝熱、反応と並んで最も利用頻度の高い操作である。その分離装置用の内容物として規則充填物はトレイより分離性能がよく、圧力損失が少ないので使用が増えているが、取扱える対象や運転条件に制約もある。本充填物は従来の規則充填物と比較して通常の運転範囲で分離性能がよいのみでなく、いままで取り扱いが難しかった表面張力が大きい系や液流量が多い領域でも使えるという特徴をもっている。
規則充填物を用いた装置は圧力損失を低減できる長所があるので、従来から低圧レベルのスチームの利用などトレイ方式に比べて省エネルギーが可能であったが、適用できる対象に限定があった。しかし本発明の充填物は従来の波形状規則充填物を凌駕する特性を持つのみならず、多量の液を処理する場合や充填物の表面が濡れ難い系などトレイ方式に限定されていた分野でも使用できるようになった。本発明によると分離性能の大幅向上によって設備費用が低減でき、また本来の省エネルギーも期待できるので装置全体としての経済性を改善できる。この適用範囲の拡大および経済性の改善により、本発明の充填物は広い範囲にわたってトレイ方式に代替できる可能性が出てきた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状の薄板平面材を長さ方向に同一間隔と角度で表裏交互に折り曲げて35度以上で60度以下の一定傾斜角度で並列する波面を形成させ、かつ波形の山に相当する波の最高位置から谷に相当する最低位置までの波の高さに対して隣り合う波形の山に相当する各稜線間の幅が3.5倍以上となるように加工した後、これを切断して得た複数枚の波面材をそれぞれの幅方向が垂直で隣り合う面の波形の傾きが互いに交差するように重ね合わせて構成させた規則充填物で、波形の山の稜線及び谷の溝を通る波面材の各折り目に沿って一対の切り口を多数組並べて設け、各一対の切り口よって形成される小片部分を波形の内側へ陥没させて多数の開口部を形成させ、かつこれら各開口部で一対を成す上側の切り口が水平または5度以下の傾斜とし,さらに各開口部の上下方向の間隔が3mm以上の切り口の幅が隣り合う各稜線間の波形加工前の平面基準で水平方向距離の50%以上となるようにした充填物。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2012−50970(P2012−50970A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−210050(P2010−210050)
【出願日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【出願人】(505417367)株式会社エプシロン (10)
【Fターム(参考)】