説明

水の消毒のための方法

【課題】水、特に冷却水及び高い塩素要求水を有する水系システム及びより特別には冷却水及び高い塩素要求を有する水系システムにおける微生物を殺滅し、そして生物汚染を抑制するための方法を提供する。
【解決手段】高い塩素要求水における微生物を殺滅し、そして生物汚染を制御するための方法であって、塩素ドナー溶液をアンモニウム塩溶液に添加して、塩素ドナー溶液とアンモニウム塩溶液とを、N/Clとして計算したモル比で少なくとも1:1の範囲の割合で混合して、その混合物のpHが8.0〜12.5の範囲であり、その混合物の濃度がCl2として0.01〜1.0%である生物殺滅混合物を調整し、そしてこの混合物を混合直後に前記水に添加することを特徴とする方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
循環水の生物学的汚染は、よく知られ且つ十分に実証された問題である。いくつかの要因がその問題の原因であり、そしてその範囲、すなわち水温;水のpH;システムに吸込まれる空気からの、又は水に天然において存在し又はプラント操作の間に連続的に供給される材料からの有機及び無機栄養物;好気及び嫌気条件;日光の存在/不在、等を支配する。
【背景技術】
【0002】
藻類、菌類、細菌及び他の単純な生命体が循環水に見出される。微生物のタイプ及び微生物増殖の程度は、水源及び他の要因に依存する。
【0003】
循環水における生物学的増殖は、パイプラインを汚染し、腐蝕を促進し、木材に悪影響を与え、熱伝達を低下させ、フィルターを閉塞し、紙シートの欠陥を引き起こし;サイジング混合物を分解し、そして多くの他の工程の障害を引き起こし得る。
【0004】
塩素ガス、次亜塩素酸、臭素及び他の酸化性生物殺滅剤を包含する酸化性生物殺滅剤は、再循環水(リサイクル水)に広く使用される。
【0005】
“塩素要求”とは、水における物質により減じられ、又は塩素の不活性形に転換される塩素の量として定義され;そして標準方法は、それを測定するために確立している。本明細書及び請求の範囲において、“塩素要求”は、“Standard Methods for the Examination of Water and Waste Water”,第16版,Methods §409,316〜319ページに概略されている方法により測定される。その方法は、媒体に塩素の特定量を適用し、そして一定の接触時間の後、残留塩素を測定することに基づいている。塩素消費物質は、アンモニア及びそのアミノ誘導体;硫化物、シアン化物、酸化性カチオン、パルプリグニン、スターチ、糖、油、水処理添加剤、たとえばスケール(scale)及び腐蝕インヒビターを包含する。
【0006】
水及び生物膜における微生物の増殖は、水の塩素要求及び処理されるべきシステムの塩素要求に関与する。酸化性生物殺滅剤は、重スライムを含む高塩素要求水においては無効果である。非酸化性生物殺滅剤が通常、そのような水のためにすすめられる。
【0007】
高い程度のアンモニア又は他のアンモニア誘導体を有する水の塩素化は、クロラミンの形成をもたらす。クロラミンは、次亜塩素酸又は次亜臭素酸よりも低い生物殺滅剤として説明されている。文献によれば、クロラミンはゆっくりと反応し、そして水システムにおいてより永続的であり得る(The NALCO water handbook,1988,PCT/US89/02730 21.6.1989,Great Lakes Chem.Corp.Wat.Sci.Tech.20 No ll/12,385〜39ページ,1988,M.D.Sobsey などによる、National Academy of Science,1980,Drinking Water and Health,第2巻、National Academy Press,Washington,D.C.)。
【0008】
飲料水のクロラミン化は、塩素が水に存在するか又は水に添加される少量のアンモニアと反応する場合に生じる。従来のクロラミン化は、水に存在するか又は既知の量で水に添加される少量のアンモニアとの反応のために水の合計量への遊離塩素の添加により生じる。たった1つの刊行物が、飲料水の後消毒のために予備形成されたモノクロラミンの使用を記載する(J.Beck など,Aqua I.25〜33,1986)。この研究においては、クロラミンは、硫酸アンモニウム及び1000ppmの濃度での次亜塩素酸塩溶液を混合することによって形成され;pHは、炭酸塩沈殿を回避するために投与の点の前、7.5に調節された。
【0009】
クロラミンは、表面海水逆浸透植物において二番生え及び生物汚染を制御するために使用された(Desalination 74,51〜67(1989)及びヨーロッパ特許出願第90108872.4号,11.05.90,Du Pont de Nemours and Company)。この特許は、微生物により同化され得る炭素源及びエネルギーを、分解された形で供給する場合、塩素分解性有機材料を含む液体工程流において脱塩素化後の再増殖を阻害するためにクロラミンの使用を開示する。前記工程のためのクロラミンは、NH3ガス、NH4OH、NH4Cl又は(NH42SO4を添加することによって現場製造された。塩素の源は、Cl2ガス、NaOCl、Ca(OCl)2及び電気的に生成された塩素であった。
【0010】
アンモニアを含む冷却水の塩素化の間に現場形成されるクロラミンはそれらの高い揮発性のためにすばやく除去されるので、冷却塔の処置において生物殺滅効果を有さないように思われる〔G.Holz Warth など.,Water Res.18(1),1421〜1427(1984)〕。
【0011】
塩素を使用しての高い濁り廃水の消毒は、アンモニアがその廃水に添加され(現場で)、そしてより長い接触時間が可能にされる場合に改良された〔Atasi Khalil Z.など.,Proc.Annu.Conf. Am.Water Works Assoc.,1988(Pt.Z),1763〜1770ページ〕。
【0012】
臭化アンモニウムは、クロラミンのための可能性ある源として言及されていない。その通常の源は、アンモニア、塩化アンモニウム及び硫酸アンモニウムである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、水、特に冷却水及び高い塩素要求水を有する水系システム及びより特別には冷却水及び高い塩素要求を有する水系システムにおける微生物を殺滅し、そして生物汚染を抑制するための方法及び組成物を提供することにある。
【0014】
本発明のもう一つの目的は、高い塩素要求水において高い生物殺滅効果及び高い初期生物殺滅速度を有する方法及び組成物を提供することにある。
【0015】
本発明のさらにもう一つの目的は、一定且つ予め決定された生物殺滅効果及び性質を有する方法及び組成物を提供することにある。
本発明の他の目的及び利点は、説明が進行するにつれて明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の第一の構成によれば、高い塩素要求水における微生物を殺滅し、そして生物汚染を制御するための方法であって、塩素ドナーを臭化アンモニウムに徐々に添加して混合物を調整し、該混合物を混合直後に処理されるべき水系システムに添加することを特徴とする方法。
【0017】
本発明の第二の構成によれば、高い塩素要求水における微生物を殺滅し、そして生物汚染を制御するための方法であって、次亜塩素酸ナトリウムを臭化アンモニウムに徐々に添加して混合物を調整し、該混合物を混合直後に処理されるべき水系システムに添加することを特徴とする方法。
【0018】
本発明の第三の構成によれば、高い塩素要求水における微生物を殺滅し、そして生物汚染を制御するための方法であって、酸化剤を臭化アンモニウムに徐々に添加して混合物を調整し、該混合物を混合直後に処理されるべき水系システムに添加することを特徴とする方法。
【0019】
好ましくは、前記塩素ドナーが前記アンモニウム塩の溶液に添加される。また、前記塩素ドナーがNaOClであり、そして混合物中の塩素の最終濃度が0.1〜1%に達するまで、塩素に対して0.1%〜1%等モルの範囲で希釈されたアンモニウム塩の十分に混合された溶液に添加される。前記水の最少要求が、60分後、2.0ppm〜1.8ppmのCl2である。
【0020】
前記混合物が、Cl2として少なくとも2mg/lの毎日のレベルで処理されるべく水に添加される。前記混合物中のN/Clのモル比が1:1〜1:3である。前記混合物を添加する水の温度が、10乃至60℃の範囲である。前記混合物の温度が好ましくは10〜30℃である。前記混合物が生成され、そして処理されるべく水に連続的に供給される。
【0021】
前記酸化剤が、NaOClであり、アンモニウム塩溶液の温度が好ましくは10〜30℃である。pHが、NaOCl溶液の濃度によって調製され、好ましくは8.0乃至12.5のpH範囲である。
【0022】
本発明の方法は、2種の成分、すなわち酸化剤、好ましくは活性塩素ドナー及びより好ましくは次亜塩素酸ナトリウム及びアンモニウム塩、好ましくはハロゲン化アンモニウム、硫化アンモニウム及び窒化アンモニウムから選択されたものを混合し、そしてその濃縮生物殺滅剤をすぐに、処理されるべき水系システムに添加することを含んで成る。その頻度、持続期間及び濃度は、それぞれ個々の場合、生物汚染を制御するために決定されるべきである。
好ましくは、前記2種の成分は、特定の順序で混合され、そして特に酸化剤はアンモニウム塩の溶液に添加される。本発明の好ましい形においては、酸化剤はNaOClであり、そして好ましくは、混合物中の塩素の最終濃度が塩素として0.01〜1%に達するまで、塩素に対して0.01〜2%等モルの範囲で希釈されたアンモニウム塩の十分に混合された溶液にゆっくりと添加される。生物殺滅性原液のバッチ又は連続形成のいづれかが効果的である。
生物殺滅性混合物は、水システムにおける要求が60分以内で2.0ppm〜1.8ppmのCl2を越える場合、他の酸化性生物殺滅剤(たとえば塩素又は臭素)よりもより効果的であることが見出された。N/Clのモル比は好ましくは1:1である。過剰のNが使用され得る。
混合物が添加される水の温度は、10〜60℃の範囲であり得る。アンモニウム塩の溶液の温度は、NaOClが添加される場合、10〜30℃であるべきである。pHは、NaOCl溶液の濃度により調節され;好ましくは、pH範囲は8.0〜12.5であるべきである。活性成分は、pH7及びpH8で効果的であった。効能のいくらかの低下が、pH9で示された。
【0023】
生物汚染の良好な制御を維持するために必要とされる活性成分の濃度及び処理の頻度及び持続期間は、それぞれ個々の場合で決定されるべきである。しかしながら、良好な制御は、塩素として3mg/lのレベルで達成された(1000m3のために4.2kgのNH4Br)。
生物殺滅性混合物は、水要求が低い場合でさえ、汚染されたシステムのショック処理のために非常に有効であり、そして酸化性生物殺滅剤の効果的な毎日の使用を可能にする。9mg/lのレベル(塩素として)が、汚染されたシステムを清浄するのに十分である。
本発明の好ましい形においては、混合物が形成され、そしていずれか適切な手段、たとえば液体計量型ポンプ又は重力によりバッチ的に又は連続的に供給される。本発明は、上記のようにして調製された溶液を含んで成る。
次のものは、本発明の方法の可能性ある適用の非制限的な例である:再循環冷却水(リサイクル冷却水)、醸造所低温生物殺滅剤、空気洗浄器、蒸発冷却水、スクラバー、池及び水湖の水、閉水冷却システム、食用植物の消毒、漂白−パルプ及び紙、等。本発明の方法は、他の水処理化学物質、腐蝕及びスケールインヒビター、等に適合できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
例1:プソイドモナスsp.(Pseudomonas.sp.)に対するpH7.5での緩衝液における効能
用量:Cl2として1ppm
塩素要求:20分以内で1ppm〜0.1ppm
NH4Br+NaOCl:原液濃度:Cl2として1000ppm
【0025】
原液の調製:NH4Brを脱イオン水に溶解した(2761ppm )。NaOCl(Cl2として2000ppm )を、混合物を攪拌しながら、臭化アンモニウム溶液にすばやく滴下した。その原液をすばやく使用した。
【0026】
【表1】

表1の結果は、塩素のための低い要求を有する水においてNH4Br+NaOClに比べて、NaOBr及びNaOClに関してのより早い殺滅速度を示す。
【0027】
例2:種々のpHでの臭化アンモニウムの効能
試験されたMO:バシラス マイコイデス(bacillus mycoides)
用量:Cl2として2ppm
NH4Br+NaOCl:1:1のモル比;原液濃度:0.5%;
NH4Br+NaOClを、予備混合し又は緩衝液に現場添加した。
要求:60分以内で2ppm のCl2 〜1.8ppm
【0028】
【表2】

【0029】
表2は、予備混合された(NH4Br+NaOCl)は、塩素要求が上昇するにつれて、NaOCl又はNaOBrに比べてより早い殺滅速度を有することを示す。効能は、8.0〜9.0のpHでわずかに弱められた。
【0030】
例3:柑橘類のジュース蒸発器から取られる水におけるNH4Cl+NaOClの効能:非酸化性生物殺滅剤との比較
水要求:60分以内で30ppmより高いCl2(30ppmのCl2から)
原液(NH4Cl+NaOCl)の濃度:1000ppm
AlgicolIIは、第四アンモニウム塩である。
【0031】
【表3】

【0032】
表3における結果は、NH4Cl+NaOClの混合物が塩素のための高い要求を有する水において3種の非酸化性生物殺滅剤よりもより効果的であったことを示す。
【0033】
例4:スターチサイジング混合物(紙産業)における酸化及び非酸化性生物殺滅剤の効能
効能は60℃で測定された。
NH4Br+NaOCl:0.1%の原液濃度
用量:30ppmの活性成分
インキュベーション温度:60℃
【0034】
【表4】

【0035】
表4における結果は、NH4Br+NaOClの混合物が高い要求媒体において他の酸化及び非酸化性生物殺滅剤よりも効果的であることを示す。
【0036】
例5:柑橘類のジュース蒸発器からの水における、NaOClと混合されたアンモニウム塩の種々の混合物の殺滅の動態学
用量:Cl2として30ppm
要求:10分間30ppmのCl2 〜30ppm 以上のCl2
NH4X+NaOClの原液:Cl2として0.1%
【0037】
【表5】

【0038】
表5における結果は、アンモニウム塩及びNaOClの混合物が、塩素のための高い要求を有する水における好気性及び嫌気性微生物の制御において効果的であることを示す。制御は10分以内で達成された。これらの条件下で、NaOCl及びNaOBrの両者は、媒体により弱められた。NH4Br+NaOClの混合物は、10分後、測定できる残留物を残さず、さらにそれは10分以内での生存計数の低下においても非常に効果的であった。
【0039】
例6:ペーパーミルから取られる水における酸化性生物殺滅剤の効能(パルプスラリーの濃原液)
用量:Cl2として15mg/l
微生物は37℃でインキュベートされた(合計の好気性生存計数)。
原液の濃度:Cl2として0.1%
【0040】
【表6】

【0041】
表6における結果は、この重荷重水において、他の酸化性生物殺滅剤に比べてNH4Br+NaOClに関して高い効能を示す。
【0042】
例7:高濃度のアミンを含む家庭給水における一連の生物殺滅剤の効能
接触時間:10分
用量:Cl2として60ppm
インキュベーション温度:27℃
原液の濃度:0.2%
NH3としてのN:50mg/l:pH6.10
【0043】
【表7】

【0044】
表7における結果は、高濃度のNH3 の存在下で、NaOClが微生物増殖を制御することにおいて予備混合されたNH4 Cl+NaOClよりも効果的でない(Cl2 のために高い要求を有する水において)ことを示し;良好な制御は10分後に測定された。
【0045】
例8:家庭廃水における酸化性生物殺滅剤の効能
おおまかに濾過された非処理家庭廃水:接触時間:10分
原液の濃度:Cl2 として0.5%
用量:Cl2 として20ppm
【0046】
【表8】

【0047】
表8における結果は、NaOClとの予備混合(NH42 SOx溶液は、大腸菌及び合計の計数の両者の低い生存計数をもたらすことを示す。高い有機負荷を有する廃水において、この消毒方法は、NaOCl又はNaOBrのいづれかによる消毒よりも卓越した。
【0048】
例9:抗−スケール及び腐蝕阻害処理(CWC)の存在下での生物殺滅剤の効能
原液の濃度:Cl2 として0.5%
プソイドモナスsp.に対する効能
CWC:100mg/l
pH:9.0
接触時間:5時間
【0049】
【表9】

【0050】
表9における結果は、スケール及び腐蝕インヒビターの存在下で、種々の生物殺滅剤の効能は、良好な制御を維持するためにより多くの用量の生物殺滅剤が供給されるべき程度に弱められたことを示す。NH4 Br+NaOClの混合物は、CWCにより少々弱められ、そしてCWCの存在下でさえ、良好な微生物及び藻類の制御を示した。
【0051】
例10:アンモニウム塩及びNaOClの現場添加に対する予備混合
コーン加工プラントからの水:Cl2 のための高い要求
用量:12ppm
NH4 Cl+NaOCl:原液の濃度:1%
NH4 Br+NaOCl:原液の濃度:0.5%
原溶液はpH14.0,7.0,4.0で及び水において形成された。
現場添加に関して:NH4 X及びNaOClの両者が適切なpHで溶解された。
【0052】
【表10】

【0053】
表10における結果は、NH4 X+NaOClの混合物により示される効能は、原液混合物のpH及びその形成の態様に依存することを示す。水への2種の成分の現場添加は、いずれかの試験されたpHで低い効能をもたらした。
【0054】
NH4 Br+NaOClの原液混合物は、pH7.0で緩衝液において調製される場合よりも水において調製される場合により効果的であった。その原溶液がそれよりも高い又は低いpHで調製される場合、それはほとんど効果的でなかった。
【0055】
例11:原溶液の濃度へのNH4 Br+NaOClの混合物の効能の依存性
研究は、産業廃水で行なわれた。
原液濃縮物は、pH7.00の緩衝液において調製された。
生物殺滅剤の用量:Cl2 として4ppm
【0056】
【表11】

【0057】
表11における結果は、混合物により示される効能が原溶液の濃度に相互関係することを示す。最高の効能は、Cl2 として0.5%に等しい原液濃度で測定された。類似する傾向が、原溶液が緩衝液よりもむしろ水において調製される場合に得られた(表10を参照のこと)(Cl2 として2%のレベルで緩衝液において測定された最高の効能は、この混合物のより高いpHに起因する)。
【0058】
野外実験
例12:
冷却塔1
冷却塔:1000m3 の体積を含む
循環速度:500m3 /時
スケール及び腐蝕インヒビター:CWC:100mg/l
塔を、低レベル(0.1〜1.2kg/日)のBCDMH供給に基づいて制御した。BCDMHの使用は、組成がイオン交換体において軟化される限り効果的であった。
【0059】
CWC(100mg/lのホスホネート)がイオン交換体の使用に交換される場合、より高い用量のBCDMH(4〜5kg/日)では、藻類の生物汚染及び増殖を妨ぐために十分ではなかった。
【0060】
システムに、NH4 Br+NaOClによりショック供給した。全体の用量:75lのNaOCl(10%)及び12.6kgのNH4 Br。その混合物は1.5時間にわたって供給した。このショック処理は、システムを清浄した。次に、25lのNaOCl(Cl2として10%)(+4.2kgのNH4 Br)のスラッジ用量を、2〜3日に1度、冷却塔に供給した。冷却塔は、生物膜又は藻類の明らかな増殖を伴わないで、きれいなまま存続した。0.6〜0.4ppm (合計の塩素として)の測定可能な残留物が、混合物の供給の後、24時間及び48時間の水で測定された。
【0061】
例13:
冷却塔2
コーン加工プラント
含まれる体積:20m3
循環速度:300m3 /時
pH:7.5〜8.0
水温:36℃〜57℃
【0062】
塔を、BCDMH(1.50〜2.26kg/日)により毎日処理した。水における非常に高い有機負荷のために、生物膜の増殖は非常に早かった。BCDMHによる処理は、毎日増殖する膜を制御することにおいては効果的であるが、しかし冷却塔を被覆する重スライムに対しては効果的でなかった。
【0063】
0.35kgのNH4 Brと共に混合された、3lのNaOCl(Cl2 として7%)の毎日の供給量は、毎日形成される生物膜並びに冷却塔を被覆するスライム及び藻類増殖を制御し、そして3週間の毎日の処理の後、冷却塔を清浄にし、ショック処理のための必要性を回避させた。
【0064】
例14:スターチサイジング混合物
ペーパーミル、スターチサイジング
含まれる体積:20m3
流速:8.33m3 /時(水中において6%のスターチ)
pH:約8.0
温度:50℃〜70℃
【0065】
サイジング混合物を、フィルタ(80ミクロン)を通してサイズプレスにおいて再循環する。
循環速度:6m3 /時。サイジング混合物は、8時間ごとに供給される(30lづつ)NaOCl(Cl2 として10%)により前もって処理された。この処理により、フィルターは、2時間ごとに洗浄されるべきである。
【0066】
NaOClの使用を、NH4 Br+NaOClの混合物(Cl2 として0.5%の原液濃度)の使用と交換した。
1日3度のNaOCl(Cl2 として10%、13l)及びNH4 Br(2.5kg)の供給は、サイズプレスにおけるフィルターをきれいに維持し;NH4 Br+NaOClによる処理は、サイジング混合物に添加されるブルー染料と適合でき、そしてNaOClと異なり、ブルースターチを漂白しなかった。
【0067】
本発明の多くの態様を例示目的のために記載して来たが、それらは制限的でなく、そして本発明は多くの変更、変性及び適応を本発明の範囲内で当業者により行なわれ得ることが理解されるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高い塩素要求水における微生物を殺滅し、そして生物汚染を制御するための方法であって、塩素ドナー溶液をアンモニウム塩溶液に添加して、塩素ドナー溶液とアンモニウム塩溶液とを、N/Clとして計算したモル比で少なくとも1:1の範囲の割合で混合して、その混合物のpHが8.0〜12.5の範囲であり、その混合物の濃度がCl2として0.01〜1.0%である生物殺滅混合物を調整し、そしてこの混合物を混合直後に前記水に添加することを特徴とする方法。

【公開番号】特開2007−21495(P2007−21495A)
【公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−224607(P2006−224607)
【出願日】平成18年8月21日(2006.8.21)
【分割の表示】特願2005−226979(P2005−226979)の分割
【原出願日】平成4年6月2日(1992.6.2)
【出願人】(591016219)ブロウミーン コンパウンズ リミティド (2)
【Fターム(参考)】