説明

水中油型エマルションの製造方法

【課題】香気のロングラスティングが良く、経時での安定性が良好な水中油型エマルションを提供すること。
【解決手段】(i)(A)陽イオン性界面活性剤と、(B)香料と、(C)水を5〜40質量%含有する非イオン性界面活性剤とを混合して、水分を0.25〜7.5質量%含有する油相を調製する工程、
(ii)工程(i)において得られる油相に水相の一部を添加し、該油相と水相とを混合することにより液晶を形成する工程、及び
(iii)工程(ii)において得られる液晶に水相の残量を添加し、液晶と水相とを混合して転相させ、平均粒子径300nm以下の水中油型エマルションを得る工程、
を含む水中油型エマルションの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衣類等の繊維製品や、毛髪に適用して柔軟性を付与することができる水中油型エマルションの製造方法に関する。詳しくは、特定量の水を含有する非イオン界面活性剤を使用し、液晶形成後に転相させることを特徴とする水中油型エマルションの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、柔軟剤、ヘアリンス、トリートメント等として使用されている水中油型エマルションには、分子中に2個の長鎖アルキル基又はアルケニル基を有する第4級アンモニウム塩を主成分とする組成物が用いられてきた(特許文献1)。しかし、このような第4級アンモニウム塩は、生分解性が不十分なため環境への負荷が大きいことから、環境への負荷の少ない生分解性に優れたものへ変更することが望まれている。
一方、柔軟剤等の仕上げ剤やヘアリンス等の化粧料として使用する場合、商品価値を高める観点から香料を添加するのが通常であるが、香気の劣化が速い上、その持続性(ロングラスティング)及び拡散性も劣るという点で問題であった。
【0003】
【特許文献1】特開平02−112481
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、香気のロングラスティングが良く、経時での安定性が良好な水中油型エマルションを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らが鋭意検討した結果、特定量の水を含有する非イオン界面活性剤を使用し、液晶形成後に転相させて水中油型エマルションを製造することにより、上記課題を解決できることを見出した。即ち、本発明により、(i)(A)陽イオン性界面活性剤と、(B)香料と、(C)水を5〜40質量%含有する非イオン性界面活性剤とを混合して、水分を0.25〜7.5質量%含有する油相を調製する工程、
(ii)工程(i)において得られる油相に水相の一部を添加し、該油相と水相とを混合することにより液晶を形成する工程、及び
(iii)工程(ii)において得られる液晶に水相の残量を添加し、液晶と水相とを混合して転相させ、平均粒子径300nm以下の水中油型エマルションを得る工程、
を含む水中油型エマルションの製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、微細な乳化粒子が効率的に製造することができる。
本発明の製造方法により得られる水中油型エマルションは、香気のロングラスティングが良く、経時での安定性に優れる。本発明の製造方法により得られる水中油型エマルションはまた、柔軟性能や手触り触感等に優れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
(A)成分
本発明において用いることのできる陽イオン性界面活性剤としては、柔軟剤、ヘアリンス、トリートメント等に通常配合されているものであれば特に制限無く使用することができ、具体的には、4級アンモニウム塩、例えば、4級アンモニウム塩の具体例としては、塩化オクチルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化ドデシルトリメチルアンモニウム、塩化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、塩化牛脂トリメチルアンモニウム、塩化ヤシ油トリメチルアンモニウム、塩化オクチルジメチルベンジルアンモニウム、塩化デシルジメチルベンジルアンモニウム、塩化ジオクタデシルジメチルアンモニウム、塩化ジステアロイルオキシエチルジメチルアンモニウム、塩化ジオレオイルオキシエチルジメチルアンモニウム、ジステアロイルオキシエチルメチルヒドロキシエチルアンモニウムメチル硫酸塩、オレオイルオキシエチルジメチルヒドロキシエチルアンモニウムメチル硫酸塩など;アミンの中和物、例えば、アミンの中和物としては、ジステアリルメチルアミン塩酸塩、ジオレイルメチルアミン塩酸塩、ジステアリルメチルアミン硫酸塩、オクタデカノイルアミノプロピルオクタデカノイルオキシエチルメチルアミン塩酸塩など;イミダゾリンの中和物、例えば、オクタデカノイルアミノエチルヘプタデシルイミダゾリン塩酸塩、オクタデセノイルアミノエチルヘプタデセニルイミダゾリン塩酸塩などが挙げられる。イミダゾリニウム塩、例えば、メチル牛脂アミドエチル牛脂アルキルイミダゾリニウムメチル硫酸塩、塩化メチルヘキサデカノイルアミドエチルペンタデシルイミダゾリニウム、エチルオクタデセノイルアミドエチルヘプタデセニルイミダゾリニウムエチル硫酸塩などが挙げられる。このうち、4級アンモニウム塩、アミンの中和物が好ましい。陽イオン性界面活性剤分子中に含まれるアルキル(アルケニル)鎖が、-O-、-CONH-又は-COO-で分断されているのがより好ましい。塩化ジオレオイルオキシエチルジメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、ジステアロイルオキシエチルメチルヒドロキシエチルアンモニウムメチル硫酸塩、が好ましい。
(A)成分は、当業界で公知の方法により製造することもできるし、市販品を使用することもできる。市販品としては、例えばライオンアクゾ(株)からアーカードシリーズとして提供されているものがあげられる。
(A)成分が、本発明の製造方法により得られる水中油型エマルションの全量を基準として、3〜35質量%の量で含まれるのが好ましく、5〜30質量%の量で含まれるのがより好ましい。(A)成分の量が3重量%未満の場合、同量では衣料用柔軟剤やリンスとして用いたときの柔軟効果が不十分となる場合がある。柔軟効果を十分に発揮させるためには使用量が増え、使用性が悪くなる。(A)成分の量が35重量%超の場合、粘度が高くなり乳化物の分散性が悪くなり柔軟効果が充分に得られなくなる場合がある。
【0008】
(B)成分
本発明において使用できる香料は特に限定されないが、下記の(I)群の香料成分と(II)群の香料成分とを含むのが好ましい。
(I)群:
メチル ジヒドロジャスモネート(ヘディオン)、1,3,4,6,7,8−ヘキサヒドロ−4,6,6,7,8,8−ヘキサメチル シクロペンタ−γ−2−ベンゾピラン(ガラクソリド)、6−アセチル−1,1,2,4,4,7−ヘキサメチル テトラヒドロ ナフタレン(トナリド)、3−メチル シクロペンタデカン−1−オン(ムスコン)、シクロペンタデカノリド(エギザルトリド)、3−メチル シクロペンタデセノン(ムセノン)、オキサシクロヘキサデセン−2−オン(ハバノライド)及びからなる群から選ばれる少なくとも一種、
(II)群:
1−(2,6,6−トリメチル−2−シクロヘキセニル)−2−ブテン−1−オン(α−ダマスコン)、1−(2,6,6−トリメチル−1−シクロヘキセニル)−2−ブテン−1−オン(β−ダマスコン)、1−(2,2−ジメチル−6−メチレンシクロヘキシル)−2−ブテン−1−オン(γ−ダマスコン)、1−(2,6,6−トリメチル−3−シクロヘキセニル)−2−ブテン−1−オン(δ−ダマスコン)、ウッディ類(サンダル類)及びアンバー類からなる群から選ばれる少なくとも一種。
【0009】
(I)群の香料としては、メチル ジヒドロジャスモネート(ヘディオン)、1,3,4,6,7,8−ヘキサヒドロ−4,6,6,7,8,8−ヘキサメチル シクロペンタ−γ−2−ベンゾピラン(ガラクソリド)がより好ましい。
(II)群の香料としては、1−(2,6,6−トリメチル−2−シクロヘキセニル)−2−ブテン−1−オン(α−ダマスコン)、1−(2,6,6−トリメチル―1―シクロヘキセニル)―2―ブテン−1−オン(β−ダマスコン)がより好ましい。
(B)成分が、本発明の製造方法により得られる水中油型エマルションの全量を基準として、0.005〜5質量%の量で含まれるのが好ましく、0.01〜3質量%の量で含まれるのがより好ましい。(B)成分の量が0.005重量%未満の場合、本発明の所期の効果が十分に期待できない。(B)成分の量が5重量%超の場合、安定性に劣る場合がある。
【0010】
(C)成分
本発明において、水を5〜40重量%含有する非イオン界面活性剤を使用することにより、(B)成分、(D)成分の乳化安定性、残香性が向上する。(C)成分が、水を7.5〜35質量%含有するのが好ましい。このような範囲で非イオン界面活性剤が水を含むことにより、(B)成分、(D)成分の乳化が十分に行え安定性、残香性が向上する。
本発明において用いることのできる非イオン界面活性剤としては、柔軟剤、ヘアリンス、トリートメント等に通常配合されているものであれば特に制限無く使用することができ、具体的には、高級アルコール、高級アミン、油脂又は高級脂肪酸から誘導される非イオン界面活性剤等を用いることができる。中でも高級アルコールのアルキレンオキシド付加物が好ましい。
【0011】
高級アルコールのアルキレンオキシド付加物を構成する高級アルコールは一級でも二級でもよく、その長鎖炭化水素鎖部分は、分岐していても直鎖でもよく、不飽和があってもよく、炭素鎖長に分布があってもよい。炭素鎖長は好ましくは8〜20、より好ましくは10〜18である。炭化水素鎖が不飽和基を含む場合には、炭素数は16〜18であるものが好ましく、不飽和基の立体異性体構造は、シス体又はトランス体であっても、両者の混合物であってもよい。
一方、高級アルコールに付加するアルキレンオキシドはエチレンオキシド(EO)単独が好ましいが、エチレンオキシドにプロピレンオキシド(PO)又はブチレンオキシド(BO)を併用してもよく、これらアルキレンオキシドの平均付加モル数は10〜100が好ましく、より好ましくは10〜50モルである。
【0012】
高級アルコールのアルキレンオキシド付加物の具体例としては、ラウリルアルコールの平均EO20モル付加物、一級イソデシルアルコールの平均EO20モル付加物、一級イソトリデシルアルコールの平均EO40、45又は60モル付加物、一級イソへキサデシルアルコールの平均EO60モル付加物、牛脂アルキルアミンの平均EO60モル付加物、ラウリン酸の平均EO30モル付加物などが挙げられる。このうち、イソトリデシルエーテルの平均EO45モル付加体、60モル付加物、一級イソへキサデシルアルコールの平均EO60モル付加物が好ましく、イソトリデシルエーテルの平均EO45モル付加体が特に好ましい。
【0013】
具体例として、ライオンケミカル(株)のAAOシリーズ、レオックスシリーズ、TAシリーズ等、日本エマルジョン株式会社のエマレックスシリーズ、三洋化成株式会社のエマルミンシリーズ、ライオン化学株式会社のTDAシリーズ、エソミンシリーズ、(株)日本触媒のソフタノールシリーズ、BASF社製Lutensolシリーズなどを使用することができる。また、上記化合物には、原料であるアルコールやアミン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコールなどのポリアルキレングリコールなどが未反応分として非イオン性界面活性剤中に10質量%以下で含まれてもよい。それらは、1種単独でも又は2種以上の混合物としても使用することができる。
(C)成分が、本発明の製造方法により得られる水中油型エマルションの全量を基準として、0.1〜5質量%の量で含まれるのが好ましく、1〜3質量%の量で含まれるのがより好ましい。(C)成分の量が0.1重量%未満の場合、乳化できない場合がある。(C)成分の量が5重量%超の場合、混合時ゲル化してしまう場合がある。
【0014】
本発明において、上記(A)〜(C)成分を混合することにより得られる油相の水分を特定範囲に規定することにより、香料を微細かつ安定に乳化しロングラスティング効果が得られる。油相に含まれる水分の量は0.25〜7.5質量%、好ましくは0.3〜7.0質量%である。下限値未満の場合、本発明の製造方法により得られる水中油型エマルションに含まれる香料のロングラスティング効果が充分でない。上限値を超える場合、後述する(D)成分が水中油型エマルション中に含まれている場合、該(D)成分がエマルション中でゲル化してしまうことがある。また、本発明で規定する範囲の平均粒子径を有するエマルションが出来ない場合もある。
該油相に含まれる水分の量は、非イオン界面活性剤の水分量により調整することができる。油相に含まれる水分の量はカールフィッシャー水分計で測定することができる。
【0015】
(D)水と接触するとゲル化する変性シリコーン
本発明の製造方法により得られる水中油型エマルションが、さらに水と接触するとゲル化する変性シリコーンを含有するのが好ましい。該変性シリコーンは、工程(i)において油相を調製するときに、(A)〜(C)成分と一緒に容器に投入して混合することもできるし、(A)〜(C)成分を混合した後に容器に投入して混合することもできる。(A)〜(C)成分を混合した後に容器に投入して混合するのが好ましい。本発明において、水と接触するとゲル化する変性シリコーンとは、1/2倍量の水と混合した場合に、粘度(BH型粘度計、25℃)が50%以上(対未変性シリコーン)上昇してゲル化を起こすものを言う。該変性シリコーンは、衣類等の繊維や毛髪に作用ししわ防止性やすべり性を付与する。具体的には、親水性の官能基(EO、アミノ、カチオンなど)で変性されたシリコーンがあげられる。変性シリコーンが、ポリエーテル変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、アミノ・ポリエーテル変性シリコーン、アルキル・ポリエーテル変性シリコーン及びアミド・ポリエーテル変性シリコーンからなる群から選ばれる少なくとも1種であるのが好ましい。EO変性シリコーンが好ましい。(D)成分を添加することにより、本発明の製造方法により得られる水中油型エマルションのロングラスティング効果が向上するので好ましい。
特に、下記一般式(VI)で表わされる分子内にポリオキシアルキレン基を含有するポリエーテル変性シリコーン類が好適である。
【0016】
【化1】

【0017】
式中、−Z1、−Z2は、それぞれ独立に−R、−O−R、−OH、−O−X−R、−O−X−Hである。Rは互いに同一でも異なっていてもよく、いずれも飽和あるいは不飽和の直鎖又は分岐の炭素数1〜4の炭化水素基であり、Xはポリオキシアルキレン基である。−Yは、−R10−O−X−R11又は−O−X−R11であり、R10は炭素数1〜4の飽和あるいは不飽和の直鎖又は分岐の炭化水素基であり、R11は水素原子又は炭素数1〜4の飽和あるいは不飽和の直鎖又は分岐の炭化水素基である。Lは0〜50、Mは1〜1000、Nは10〜10000である。但し、X中のポリオキシエチレン鎖部分の質量割合は、分子全体の質量を基準として10%以上60%未満である。
上記一般式(VI)において、−Z1、−Z2は、それぞれ独立に−R、−OHであることが好ましい。Rは、炭素数1〜4の短鎖飽和炭化水素基が好ましく、メチル基が特に好ましい。R10は、炭素数1〜4の短鎖飽和炭化水素基が好ましく、プロピレン基が好ましい。R11が炭化水素基である場合には、炭素数1〜4の短鎖飽和炭化水素基が好ましい。特に好ましいR11は、水素原子又はメチル基である。
【0018】
また、上記一般式(VI)において、Xはポリオキシアルキレン基を表すが、オキシエチレン単位、オキシプロピレン単位、又はオキシブチレン単位などが、ブロック状あるいはランダムに配列したものであってもよい。但し、X中のポリオキシエチレン鎖部分の質量割合は、分子全体の質量を基準として10%以上60%未満であり、好ましくは20%〜35%である。また、ポリオキシアルキレン基X中のポリオキシエチレン鎖部分の質量割合は、50%〜100%であるのが好ましい。
更に、上記一般式(VI)において、L、M及びNは、いずれも各繰返し単位の数の平均値を表し、Lは0〜50、好ましくは0〜3であり、Mは1〜1000、好ましくは1〜50であり、Nは10〜10000、好ましくは20〜500である。なお、上記一般式(VI)で表わされるポリエーテル変性シリコーンは、各繰返し単位がブロック状に配列しているブロックコポリマーの構造を有するものであってもよく、各繰返し単位がランダムに配列している構造を有するものであってもよい。
シリコーンの25℃における動粘度は100〜10万mm2/sの範囲が好ましく、更に好ましくは100〜1万mm2/sである。各種シリコーンはオイルとして用いても、エマルジョンとして用いてもよく、シリコーンエラストマーのパウダーを用いる場合には分散液として用いてもよい。
【0019】
(D)成分が、本発明の製造方法により得られる水中油型エマルションの全量を基準として、0.1〜50質量%の量で含まれるのが好ましく、0.5〜35質量%の量で含まれるのがより好ましい。(D)成分の量が0.1重量%未満の場合、ロングラスティング効果が不十分となる場合がある。(D)成分の量が50重量%超の場合、水中油型エマルションの粘度が高くなってしまい、使用時に水への分散性が悪くなったりハンドリング性に劣ることがある。特に、TES:POE変性シリコーン=1:0.12〜1:0.35(質量比)となる量で該変性シリコーンを含有するのが好ましい。
【0020】
その他の任意成分
水中油型エマルションの粘度をコントロールする目的で、無機又は有機の水溶性塩類を用いることができる。無機の水溶性塩類としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硫酸もしくは硝酸のアルカリ金属塩もしくはアルカリ土類金属塩等があげられる。有機の水溶性塩類としては、p−トルエンスルホン酸、グリコール酸、乳酸などの有機酸のアルカリ金属塩などが挙げられる。好ましくは、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化ナトリウムである。
塩類の配合量は、水中油型エマルション全量に対し0.001〜3質量%、好ましくは0.01〜2質量%、より好ましくは0.05〜1質量%であるのが好ましい。これら塩類は水中油型エマルション製造のどの工程で添加してもよい。
【0021】
製造過程におけるハンドリング性向上や、水中油型エマルションの透明化、もしくは凍結復元安定性付与を目的として、炭素数1〜8の一価又は二価のアルコールを配合することができる。具体例的には、エタノール、イソプロパノール、プロピレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,2−ペンタンジオール、ヘキシレングリコール、トリメチルペンタンジオール、ベンジルアルコール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、グリセリン、2−フェノキシエタノール、2−フェニルエタノールなどである。エタノールが好ましい。これら1種を単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることもできる。
炭素数1〜8の一価又は二価のアルコールの配合は、通常、水中油型エマルション全量に対し0〜15質量%、好ましくは0.5〜10質量%であるのが好ましい。これらアルコールは水中油型エマルション製造のどの工程で添加してもよい。
【0022】
水中油型エマルションの香気や色調の安定性を向上することを目的として、金属イオン封鎖剤及び/又は酸化防止剤を含有することができる。金属イオン封鎖剤の例としては、エチレンジアミン四酢酸塩やジエチレントリアミン五酢酸塩などに代表されるアミノカルボン酸塩、クエン酸、コハク酸、ヒドロキシイミノジコハク酸、トリポリリン酸塩に代表される無機リン化合物、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸塩に代表される有機リン化合物などが挙げられる。1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸塩が特に好ましい。これらの化合物は、遊離の酸として配合してもよく、塩として配合してもよい。
金属イオン封鎖剤の配合量は、水中油型エマルション全量に対し、好ましくは0.0001〜1質量%、より好ましくは0.0005〜0.5質量%である。配合量が少なすぎると、水中油型エマルションを液体柔軟剤組成物とした場合その効果が充分でなく、多すぎると相分離を生じたりする場合がある。
【0023】
酸化防止剤の例としては、没食子酸プロピル、BHT(ブチル化ヒドロキシトルエン)、BHA(ブチル化ヒドロキシアニソール)、p−ヒドロキシアニソール、茶エキスなどが挙げられる。BHTが特に好ましい。
酸化防止剤の配合量は、水中油型エマルション全量に対し0〜1質量%、好ましくは0.0001〜0.5質量%、より好ましくは0.001〜0.1質量%であるのが好ましい。配合量が少なすぎると、水中油型エマルションを液体柔軟剤組成物とした場合その効果が充分でなく、多すぎると製造コストが高くなる。
【0024】
防腐力、殺菌力を強化する目的で、以下1)〜4)に記載の化合物を1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
1)イソチアゾロン系の有機硫黄化合物としては、3−イソチアゾロン基を含む化合物が好ましい。これらの化合物は、1981年5月5日発行のLewisらの米国特許第4,265,899号明細書に開示されている。その例としては、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−n−ブチル−3−イソチアゾロン、2−ベンジル−3−イソチアゾロン、2−フェニル−3−イソチアゾロン、2−メチル−4,5−ジクロロイソチアゾロン、5−クロロ−2−メチル−3−イソチアゾロン、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン及びそれらの混合物が挙げられる。より好ましい防腐・殺菌剤は、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンと2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンとの水溶性混合物であり、更に好ましくは約77質量%の5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンと約23質量%の2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンとの水溶性混合物である。ローム・アンド・ハース社のケーソンCG/ICP(約1.5質量%水溶液)、純正化学社製のジュンサイド5などジュンサイドシリーズなど市販されているものを使用することができる。
【0025】
2)ベンズイソチアゾリン系の有機硫黄化合物としては、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、2−メチル−4,5−トリメチレン−4−イソチアゾリン−3−オンなどが挙げられ、類縁化合物としてジチオ−2,2−ビス(ベンズメチルアミド)なども使用でき、それらを任意の混合比で使用することができる。このような化合物としては、アビシア(株)製のプロキセルシリーズ〔BDN(有効分33質量%)、BD20(有効分20質量%)、XL−2(有効分10質量%)、GXL(有効分20質量%)など〕、デニサイドBIT/NIPAなどの市販品を用いることができる。
【0026】
3)5−ブロモ−5−ニトロ−1,3−ジオキサン、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール、5−クロロ−5−ニトロ−1,3−ジオキサン、又は2−クロロ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールなどを用いることができる。Henkel社製BronidoxL、Inolex社製Bronopol、吉富製薬社製ブロノポール、ブーツ社製マイアサイドBT、BASF社製マイアサイドファーマBPなどの市販品を用いることができる。
【0027】
4)安息香酸類又はフェノール化合物としては、安息香酸又はその塩、サリチル酸又はその塩、パラヒドロキシ安息香酸又はその塩、パラオキシ安息香酸誘導体、3−メチル−3−イソプロピルフェノール、o−フェニルフェノール、2−イソプロピル−5−メチルフェノール、レゾルシン、クレゾール、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾールなどを使用することができる。
【0028】
1)〜3)の化合物の配合量は、好適には水中油型エマルション全量に対して0〜0.1質量%、好ましくは0.00001〜0.05質量%、より好ましくは0.0001〜0.01質量%であるのが好ましい。4)の化合物の配合量は、水中油型エマルション全量に対して0〜3質量%、好ましくは0.01〜1.5質量%であるのが好ましい。また、上記1)〜4)の化合物の2種以上を併用することにより防腐力、殺菌力を強化することができ、高価な上記化合物の使用量を削減することもできる。この中で、ケーソンCG/ICP、プロキセルシリーズBDN、マイアサイドBT、安息香酸の2種以上を併用することが特に好ましい。
上記1)〜3)の化合物は、安定化のために、亜鉛、銅、カルシウム、マグネシウムなどの金属イオンと共存させるか、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール溶液として組成物に添加されることが好ましい。
【0029】
水中油型エマルションの外観を向上する目的で、任意の染料及び/又は顔料を配合することができる。好ましくは、酸性染料、直接染料、塩基性染料、反応性染料及び媒染・酸性媒染染料から選ばれる、赤色、青色、黄色もしくは紫色系の水溶性染料の1種以上である。添加できる染料の具体例は、染料便覧(有機合成化学協会編,昭和45年7月20日発行,丸善株式会社)などに記載されている。
水中油型エマルションの保存安定性や繊維に対する染着性の観点からは、分子内に水酸基、スルホン酸基、アミノ基、アミド基から選ばれる少なくとも1種類の官能基を有する酸性染料、直接染料、反応性染料が好ましく、その配合量は組成物全体に対し、好ましくは1〜50ppm、より好ましくは1〜30ppmである。
本発明の製造方法により得られる水中油型エマルションに用いられる染料としては、特開平6−123081号公報、特開平6−123082号公報、特開平7−18573号公報、特開平8−27669号公報、特開平9−250085号公報、特開平10−77576号公報、特開平11−43865号公報、特開2001−181972号公報、特開2001−348784号公報、に記載されている染料を用いることもできる。
ができる。
【0030】
本発明の製造方法により得られる水中油型エマルションはエステル基の加水分解を抑制する目的で、pHを1.0〜6.0の範囲にすることが好ましく、特に、pH2.0〜4.0の範囲が好ましい。pH調整には、任意の無機又は有機の酸及びアルカリを使用することができ、具体的には、塩酸、硫酸、リン酸、アルキル硫酸、安息香酸、パラトルエンスルホン酸、酢酸、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、乳酸、グリコール酸などのカルボン酸、水酸化ナトリウム、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどを例示できる。この中でも、塩酸、メチル硫酸、水酸化ナトリウム、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンが好ましい。
【0031】
本発明の製造方法により得られる水中油型エマルションの平均粒子径は、小さいほうがロングラスティング効果に優れる。好ましくは250nm以下、より好ましくは200nm以下、特に好ましくは120〜150nmである。平均粒子径が300nmを超えると、ロングラスティング効果が充分でない。なお、本発明において平均粒子径は、レーザー散乱粒度分布計により測定することができる。
【0032】
<工程(i)>
工程(i)において、(A)陽イオン性界面活性剤と、(B)香料と、(C)水を5〜40質量%含有する非イオン界面活性剤とを混合して水分0.25〜7.5質量%の油相を調製する。(A)〜(C)を混合するには、スタティックミキサー、アジホモミキサー、ディスパーミキサー等、公知の混合装置を使用することができる。混合条件は特に限定されるものではないが、例えば、流速0.01〜0.2m/s、時間1〜10分、温度40〜60℃の条件で行うことができる。
【0033】
<工程(ii)>
工程(ii)において、工程(i)において得られる油相に水相の一部を添加し、該油相と水相とを混合し、液晶を形成する。液晶の状態のカチオン粒子中に(B)香料を、所望により使用する(D)変性シリコーンとともに封入することにより、カチオン粒子中に安定に香料を封入する事ができ、安定性向上やロングラスティングが可能となる。
混合は、工程(i)に関して説明したスタテックミキサー、アジホモキミサー、ディスパーミキサーを使用して行うことができるし、ラインミキサーを使用して行うこともできる。剪断力の高い羽根を有するものが望ましい。配管内で回転する攪拌羽根を備えたラインミキサーを使用するのが好ましい。
攪拌羽根先端の周速Ut[m/s]は、装置の大きさにかかわらず、5m/s以上が好ましく、7m/s以上25m/s以下がより好ましく、10m/s以上25m/s以下が更に好ましい。先端速度がこのような範囲にあると、高剪断力を負荷することができ、その結果、得られる水中油型エマルションの平均粒子径が小さくなり、安定性が向上するので好ましい。攪拌羽根先端の周速Utは、下記数式1により算出することができる。
【0034】
Ut=π×n×d <数式1>
(但し、nは羽根回転数[rps]、dは羽根径[m]である。)
この場合、上記周速Utによって剪断の程度は規定できるが、全体混合力を確保するには、装置の大きさに関するファクターを考慮する必要があり、そのためには下記数式2で定義される見掛けの剪断速度によって規定することが望ましい。
見掛けの剪断速度=Ut/{(D−d)/2} <数式2>
(但し、Utは先端速度[m/s]、dは羽根径[m]、Dは撹拌槽径[m]である。)
【0035】
通常の混練装置の場合、羽根先端の周速Utを一定にすると、装置が大きくなるにつれて羽根と撹拌槽との間の距離が大きくなり、見掛けの剪断速度の値は小さくなるものである。このような見掛けの剪断速度を用いて本発明の高剪断を規定する場合、見掛けの剪断速度が100〜1000[s-1]程度であることが好ましい。
また、剪断力と全体混合とを同時に確保をするためには、羽根径dと撹拌槽径Dとの比d/Dを0.3以上にすることが好ましい。なお、その上限は0.9以下が好ましい。このような撹拌特性を有する具体的な装置としては、例えばラインミキサー、パワーミキサー、スパイラルミキサー等が好適に使用可能である。
【0036】
剪断力は、以下の式で表される。
剪断力:ずり速度γ=2π×n×d/(D−d) 単位[1/s]
(但し、nは羽根回転数[rps]、dは羽根径[m]、Dは撹拌槽径[m]である。)
液晶形成時の剪断力は、好ましくは200(1/s)以上、より好ましくは500(1/s)以上である。剪断力が200(1/s)未満の場合、本発明の製造方法により得られる水中油型エマルションの安定性、香気のロングラスティング効果が不十分な場合がある。
【0037】
特に、工程(ii)において、配管内で回転する攪拌羽根を備えた第一のラインミキサーの上流側に、工程(i)において得られる油相と水相の一部とを供給し、該油相と該水相とを混合することにより液晶を形成するのが好ましい。系内圧は、1kg/cm2ゲージ以上10kg/cm2ゲージ未満であるのが好ましく、1.5〜8kg/cm2ゲージであるのがより好ましい。本工程を、ラインミキサーを用いて行うことにより、緻密な液晶が形成されるので好ましい。油相と水相の供給は、連続的に行うこともできるし、断続的に行うこともできるが、連続的に行うのが好ましい。系内圧を上記範囲で行うことにより、適正な装置負荷で稼動できるので好ましい。攪拌羽根先端速度は、5〜30m/sであるのが好ましく、7〜25m/sであるのがより好ましい。このような速度で攪拌することにより、緻密な液晶が形成されるので好ましい。
液晶を形成したことの確認は、偏光顕微鏡観察により行うことができる。
【0038】
<工程(iii)>
工程(iii)において、工程(ii)において得られる液晶に水相の残量を添加し、液晶と水相とを混合して液晶を転相させる。混合装置としては、工程(i)又は(ii)において使用したのと同じものを使用することができる。
特に、工程(iii)において、配管内で回転する攪拌羽根を備えた第二のラインミキサーの上流側に、工程(ii)において得られる液晶と水相の残量とを供給し、該液晶と該水相とを混合することにより液晶を転相させるのが好ましい。系内圧は、1kg/cm2ゲージ以上10kg/cm2ゲージ未満であるのが好ましく、1.5〜8kg/cm2ゲージであるのがより好ましい。本工程を、ラインミキサーを用いて行うことにより、転相されないダマが存在しない製剤が得られる。油相と水相の供給は、連続的に行うこともできるし、断続的に行うこともできるが、連続的に行うのが好ましい。系内圧を上記範囲で行うことにより、適正な装置負荷で稼動できるので好ましい。攪拌羽根先端速度は、5〜30m/sであるのが好ましく、7〜25m/sであるのがより好ましい。このような速度で攪拌することにより、転相されないダマが存在しない製剤が得られるので好ましい。
液晶が転相したことの確認は、位相差顕微鏡観察により行うことができる。
【0039】
工程(ii)及び工程(iii)における系内圧は同じでも異なっていてもよいが、同じであるのが好ましい。
工程(ii)における混合条件は特に限定されるものではないが、例えば、時間0.3分以上2.7分未満、温度40〜60℃の条件で行うことができる。
工程(iii)における混合条件は特に限定されるものではないが、例えば、時間0.3分以上2.7分未満、温度40〜60℃の条件で行うことができる。
【0040】
工程(i)において使用する油相の量と、工程(ii)及び(iii)において使用する水相の合計量との比は、体積比にして、1/0.4〜1/1.5であるのが好ましく、1/0.65〜1/1.8であるのがより好ましい。このような範囲で水相を添加することにより、緻密な液晶が形成できる。
工程(ii)において添加する水相の量と、工程(iii)において添加する水相の量との比は、体積比にして、1/0.6〜1/4が好ましく、1/0.7〜1/4.5よりが好ましい。このような比で水相を添加することにより、転相されないダマが存在しない製剤ができる。
(B)成分の装置滞留時間が、0.5分以上3分未満であるのが好ましく、0.6分以上2.5分未満であるのがより好ましい。装置滞留時間がこのような範囲にあると、香料の揮発が抑制できるので好ましい。
【0041】
本発明の製造方法においては、工程(i)〜(iii)の他の工程を含むことができる。例えば、工程(iii)の後に、色素や塩類等の任意成分を添加し、さらに混合する工程を含むことができる。混合に使用できる装置としては上に記載したのと同じものを使用することができる。
【実施例】
【0042】
(実施例1〜6、比較例1,2)
表1−5に示す、(A)〜(E)成分を用い、表6に示す製造法1〜6により、表7に示した配合に従って水中油型エマルションを製造した。即ち、製造法1,2,5はプライミクス社製2Lアジホモミキサーに全体量が1.6kgとなるように(A)成分を添加しアジホモミキサージャケットに(A)成分の融点以上の温度に加熱した温水を流し、そこに(C)成分を添加し均一になるまで混合、その後(D)成分を添加し均一に混合、その後(B)成分を混合、表6に記載した条件で混合し油相とする。別に油相の融点以上に加熱した精製水を表7記載の量を添加(製造法5は精製水全量)し、表6の液晶形成の条件で攪拌し、その後残りの水相を添加し、表(6)の乳化分散の条件で攪拌し乳化後、無機塩の水溶液、色素等の後添加物を添加し表6の後添加記載の条件で混合し水中油型エマルションを得た。製造法3,4は全体流量で1.2Kg/minとなるように、 (A)成分(C)成分(D)成分(B)成分をスタティックミキサーに通し混合し、別に油相の融点以上に加熱した精製水を表7記載の量と一緒に表6記載の条件のラインミキサーを通し、更に残りの水相とあわせ、表6記載のラインミキサーに通し、乳化し、その後無機塩の水溶液、色素等の後添加物を添加し、製法3では表6記載のラインミキサー、製法4では表6記載のスタティックミキサーに通し水中油型エマルションを製造した。
なお、液晶を形成したことの確認は、偏光顕微鏡観察により液晶由来の十字ニコルの存在の有無により行った。
また、液晶が転相したことの確認は、位相差顕微鏡観察により1μm以上の大きな粒子の存在の有無により行った。
比較例1はノニオン界面活性剤の水分が多く、粒子径が大きい。また比較例2はノニオン界面活性剤が水分を含まず、液晶形成を行わない一般的な乳化方法で調製した。
【0043】
【表1】










【0044】
【表2】

【0045】
【表3】

【0046】
【表4】

【0047】
【表5】


【0048】
【表6】



















【0049】
【表7】

【0050】
上で調製した水中油型エマルションの香気のロングラスティング、高温保存時の安定性、高温保存後の油浮き、エマルションの平均粒子径を以下の方法で評価した。結果を表7に併記した。
1.ロングラスティングの評価方法
(1)水中油型エマルションによる処理
<試験布の調整>
市販の綿タオル(モラルテックス、(財)日本タオル検査協会製)を10枚、および市販のT−シャツ(B.V.D 丸首半袖T−シャツ M 品番GNO132 富士紡績(株)社製)を10枚用いた。試験用衣類は、家庭用洗濯機(*注1)を用いて前処理洗浄を施してから試験に供した。ここで、前処理洗浄には洗剤として市販洗剤(トップ、ライオン(株)製)を50g使用し、家庭用洗濯機は所定の設定(*注2)で洗浄を2回繰り返した。
<水中油型エマルションによる処理>
前処理洗浄した綿タオル10枚とT−シャツ10枚は、市販洗剤(トップ、ライオン(株)製)25g、および本発明の水中油型エマルションを30mL用い、洗浄剤および水中油型エマルション処理を施した。洗浄剤及び水中油型エマルション処理には家庭用洗濯機(*注1)を所定の設定(*注2)にて用いた。洗浄剤および本発明の製造方法により得られる水中油型エマルションは、それぞれ洗濯機に搭載されている洗剤投入口および柔軟剤(ソフト仕上剤)投入口に収納し、洗濯機により自動的に洗濯浴中に添加した。
*注1:NA−F70PX3、松下電器産業(株)製
*注2:ゴシゴシコース、水量54L
【0051】
(2)ロングラスティング効果
上記のような条件で洗浄剤および水中油型エマルション処理を行った試験用繊維製品を20℃、45%RHの条件下で乾燥させ、経過時間とともに下記に示す方法を用いた。
洗浄剤および水中油型エマルション処理を施した綿タオルおよびT−シャツのロングラスティング効果(乾燥直後、1日後、5日後)を、次の方法で評価した。対照品及び本発明組成双方の1日後、5日後のロングラスティング効果の評価について、それぞれ以下に示す5段階評価基準により専門パネル10名による一対比較の官能評価を行い、評価結果を平均値で示した。
<ロングラスティング効果>
〔評価基準〕5段階評価
5:本発明品の方が、かなり効果が認められる
4:本発明品の方が、やや効果が認められる
3:ほぼ同等
2:対照品の方が、やや効果が認められる
1:対照品の方が、かなり効果が認められる

データの平均値を以下の基準で示した。
5以下、4以上:◎
4未満、3以上:○
3未満、 :×
【0052】
2.保存時の粘度安定性
<粘度測定方法>
水中油型エマルションの初期粘度は、エマルションを調製後、直ちに試料500mLを容量500mLのトールビーカーに入れ、25℃恒温水槽にて1時間調温した後測定した。測定条件は、B型粘度計(TOKIMEC社製BL粘度計、回転数30回転/分、10回転目の粘度を読み取る、粘度1000mPa・s以下の場合にはNo.2ロータ、1000mPa・sを超える場合はNo.3ロータを使用)を用いて測定した。
保存時の粘度安定性
水中油型エマルション約90mLを内容量100mLのガラス瓶に入れて、40℃の恒温室に6ヶ月保存した後、B型粘度計を用い上に記載したのと同様にして粘度測定を行った。初期粘度を基準にして、測定結果を以下の通りに評価した。尚、商品価値の点からは、○以上であることが必要である。
<保存時の粘度安定性評価基準>
◎:40℃6ヶ月保存後の粘度が初期の10倍以内
○:同様の基準で20倍以内
△:同様の基準で30倍以上
×:同様の基準で40倍以上
【0053】
4.保存時の油浮き
水中油型エマルション約90mLを内容量100mLのガラス瓶に入れて、40℃の恒温室に1,3ヶ月保存した後、外観を目視で判断した。
○:油浮きが無し
×:油浮きが見られる
5.平均粒子径の測定
動的光散乱式粒径分布測定装置((株)堀場製作所製、LB-550)により測定した。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】図1は、本発明の製造方法の一例を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)(A)陽イオン性界面活性剤と、(B)香料と、(C)水を5〜40質量%含有する非イオン性界面活性剤とを混合して、水分を0.25〜7.5質量%含有する油相を調製する工程、
(ii)工程(i)において得られる油相に水相の一部を添加し、該油相と水相とを混合することにより液晶を形成する工程、及び
(iii)工程(ii)において得られる液晶に水相の残量を添加し、液晶と水相とを混合して転相させ、平均粒子径300nm以下の水中油型エマルションを得る工程、
を含む水中油型エマルションの製造方法。
【請求項2】
さらに、(D)水と接触するとゲル化する変性シリコーンを前記油相に添加することを含む請求項1記載の製造方法。
【請求項3】
前記(D)変性シリコーンが、ポリエーテル変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、アミノ・ポリエーテル変性シリコーン、アルキル・ポリエーテル変性シリコーン及びアミド・ポリエーテル変性シリコーンからなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項2記載の製造方法。
【請求項4】
前記(ii)工程において、配管内で回転する攪拌羽根を備えた第一のラインミキサーの上流側に、工程(i)において得られる油相と水相の一部とを供給し、該油相と該水相とを混合することにより液晶を形成する、請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
【請求項5】
前記(iii)工程において、配管内で回転する攪拌羽根を備えた第二のラインミキサーの上流側に、工程(ii)において得られる液晶と水相の残量とを供給し、該液晶と該水相とを混合することにより液晶を転相させる、請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法。
【請求項6】
前記(B)香料が、下記の(I)群の香料成分と(II)群の香料成分とを含む、請求項1〜5のいずれか1項記載の製造方法。
(I)群:
メチル ジヒドロジャスモネート(ヘディオン)、1,3,4,6,7,8−ヘキサヒドロ−4,6,6,7,8,8−ヘキサメチル シクロペンタ−γ−2−ベンゾピラン(ガラクソリド)、6−アセチル−1,1,2,4,4,7−ヘキサメチル テトラヒドロ ナフタレン(トナリド)、3−メチル シクロペンタデカン−1−オン(ムスコン)、シクロペンタデカノリド(エギザルトリド)、3−メチル シクロペンタデセノン(ムセノン)、オキサシクロヘキサデセン−2−オン(ハバノライド)及びからなる群から選ばれる少なくとも一種、
(II)群:
1−(2,6,6−トリメチル−2−シクロヘキセニル)−2−ブテン−1−オン(α−ダマスコン)、1−(2,6,6−トリメチル−1−シクロヘキセニル)−2−ブテン−1−オン(β−ダマスコン)、1−(2,2−ジメチル−6−メチレンシクロヘキシル)−2−ブテン−1−オン(γ−ダマスコン)、1−(2,6,6−トリメチル−3−シクロヘキセニル)−2−ブテン−1−オン(δ−ダマスコン)、ウッディ類(サンダル類)及びアンバー類からなる群から選ばれる少なくとも一種。

【図1】
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【公開番号】特開2008−93581(P2008−93581A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−279081(P2006−279081)
【出願日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【Fターム(参考)】