説明

水位計システム

【課題】水位の計測位置の精度を高めること。
【解決手段】ASE光源1からの光が光サーキュレータ2aにより所定方向に出力され、該光サーキュレータ2aからの光のうち、特定波長の光がたとえば空中FBG3により反射され、該光サーキュレータ2aを介して光ファイバ20に出力されると、該光ファイバ20の先端に設けられ、たとえば空中FBG3と同じ特定波長の光を反射するとともに、少なくとも温度の変化に伴い反射波長をシフトさせるたとえば水中FBG8により反射される際、その反射波長がシフトされ、光スペクトラムアナライザ13によりその反射光のスペクトルを観測することで、特定位置で圧力変化があったとして認識でき、水位が変化したと見なすことにより、水位の変化を確認することができるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水位計センサとなる光ファイバを用いた水位計システムに係り、特に河川、ダム、下水道等の水位を計測するものに適した水位計システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、河川等の水位を計測するものとして、フロート式水位計、静電容量式水位計、圧力式水位計、測定柱式水位計、超音波式水位計、音波式水位計、電極式水位計等のように、その水位を何らかの物理量(フロートの位置、静電容量、水頭圧等)として計測し、それを水位に変換する様々な水位計測装置が知られている。
【0003】
ところが、これらの水位計測装置では、計測結果に、風や放流等で発生する湖面波動等による外乱の影響が含まれてしまう。そのため、過去に計測した水位との移動平均をとる等の水位の平滑化によりその影響を相殺するようにしているが、完全に外乱の影響を取り除くことができず、外乱の影響を含まない真の水位を計測することが困難となっていた。
【0004】
このような不具合を解消するようにしたものとして、特許文献1に示されているような水位計測装置が知られている。この装置は、光ファイバセンサ及びそれを覆う保護管を河川水面上部から水中に進入するように設置しておき、河川水位の持つ特性をまず光ファイバセンサ上の温度分布として計測して演算表示装置に送信し、演算表示装置により受信した温度分布が水温から気温に変化する地点を水面の存在する地点とみなすようにすることで、温度分布が水位に変換されるようにしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平09−304162号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように、特許文献1での水位計測装置では、光ファイバセンサを用いた温度分布測定を利用し温度分布の変化を元にして水位に変換されるようになっているため、外乱の影響を含まない真の水位を計測することができるようになっている。
【0007】
ところが、このような水位計測装置では、温度分布が水温から気温に変化する地点を水面の存在する地点とみなすようにしているものの、光ファイバセンサ上の温度分布はある部分で水温部分から気温部分に瞬間的に変化するのでなく、ある程度の幅を持って変化しており、それぞれの幅での平均温度を元に温度の変化位置を見極めるようになっているため、水位の計測位置を絞り込むことができず、水位の計測位置の精度が低いものとなってしまうという問題があった。
【0008】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、水位の計測位置の精度を高めることができる水位計システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の水位計システムは、光源と、該光源からの光の出力先を変更する光出力先変更手段と、該光出力先変更手段から出力される特定波長の光を反射する特定波長反射手段と、該特定波長反射手段によって反射された前記光を伝播する光ファイバと、該光ファイバの先端に設けられ、温度変化に応じて前記光ファイバにより伝播される光の反射波長をシフトさせる温度変化検出手段と、該温度変化検出手段からの反射光のスペクトルを観測する反射光観測手段とを備え、前記温度変化を水位変化として認識することを特徴とする。
本発明の水位計システムは、光源と、該光源からの光の出力先を変更する光出力先変更手段と、該光出力先変更手段から出力される特定波長の光を反射する特定波長反射手段と、該特定波長反射手段によって反射された前記光を伝播する光ファイバと、該光ファイバの先端に設けられ、水圧変化に応じて前記光ファイバにより伝播される光の特性を変化させる水圧変化検出手段と、該水圧変化検出手段からの反射光の光の特性の変化を観測する反射光観測手段とを備え、前記水圧変化を水位変化として認識することを特徴とする。
本発明の水位計システムでは、たとえば光源からの光の出力先が光出力先変更手段により変更されて光ファイバに出力されると、特定波長反射手段により光出力先変更手段から出力される特定波長の光が反射され、該特定波長反射手段によって反射された光を伝播する光ファイバの先端に設けられた温度変化に応じて反射波長をシフトさせる温度変化検出手段からの反射光反射光のスペクトルを反射光観測手段により観測することで、特定位置で温度変化があったとして認識でき、水位が変化したと見なすことができることにより、水位の変化を確認することができる。
また、本発明の水位計システムでは、たとえば光源からの光の出力先が光出力先変更手段により変更されて光ファイバに出力されると、特定波長反射手段により光出力先変更手段から出力される特定波長の光が反射され、該特定波長反射手段によって反射された光を伝播する光ファイバの先端に設けられた水圧変化に応じて光ファイバにより伝播される光の特性を変化させる水圧変化検出手段からの反射光の光の特性の変化を反射光観測手段により観測することで、特定位置で水圧変化があったとして認識でき、水位が変化したと見なすことができることにより、水位の変化を確認することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の水位計システムによれば、たとえば温度変化に応じて反射波長をシフトさせる温度変化検出手段からの反射光のスペクトルを反射光観測手段により観測することで、特定位置で温度変化があったとして認識でき、水位が変化したと見なすことができることにより、水位の変化を確認することができるようにしたので、水位の計測位置の精度を高めることができる。
また、本発明の水位計システムによれば、たとえば水圧変化に応じて光ファイバにより伝播される光の特性を変化させる水圧変化検出手段からの反射光の光の特性の変化を反射光観測手段により観測することで、特定位置で水圧変化があったとして認識でき、水位が変化したと見なすことができることにより、水位の変化を確認することができるようにしたので、水位の計測位置の精度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の水位計システムの第1実施形態を説明するための図である。
【図2】図1の水位計システムにおける水位の計測を説明するための図である。
【図3】図1の水位計システムにおける水位の計測を説明するための図である。
【図4】図1の水位計システムにおける水位の計測を説明するための図である。
【図5】図1の水位計システムにおける水位の計測を説明するための図である。
【図6】図1の水位計システムの構成を変えた場合の第2実施形態を説明するための図である。
【図7】図1の水位計システムの構成を変えた場合の第3実施形態を説明するための図である。
【図8】図7の水位計システムの構成を変えた場合の第4実施形態を説明するための図である。
【図9】図7の水圧変化検出部の構成の詳細及びその変形例を模式的に示す図である。
【図10】図7の水圧変化検出部のさらに他の変形例を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態の詳細について説明する。
(第1実施形態)
図1は本発明の水位計システムの一実施形態を説明するための図であり、図2〜図5は図1の水位計システムにおける水位の計測を説明するための図である。
【0013】
図1に示す水位計システムは、ASE(Amplified Spontaneous Emission)光源1、光サーキュレータ2、2a、空中FBG(Fiber Bragg Grating Sensor)3〜7、水中FBG(Fiber Bragg Grating Sensor)8〜12、光スペクトラムアナライザ13、細径ステンレス管14、空中部筐体15、光ファイバ20を有している。なお、光出力先変更手段は光サーキュレータ2aであり、特定波長反射手段は空中FBG3〜7であり、温度変化検出手段は水中FBG8〜12である。
【0014】
ASE光源1は、光ファイバ20を介して光サーキュレータ2に接続され、広帯域に亘り出力が一様の自然放出光を出す光源である。なお、第1実施形態では、ASE光源1の代わりに、可変波長LD光源を用いることも可能である。
【0015】
光サーキュレータ2、2aは、複数のポート(端子)を有しているものであり、たとえば3ポート(端子)を有しているとすると、たとえば第1のポートに入力した光が第2のポートにのみ出力され、第2のポートに入力した光が第3のポートにのみ出力され、第3ポートに入力した光が第1のポートにのみ出力されるといったような特性を持っている。
【0016】
空中FBG3〜7は、屈折率変調の周期に比例したブラッグ波長と呼ばれる特定の波長の光のみを反射するといった特性を持っている。ここで、たとえば空中FBG3はλ1、空中FBG4はλ2、空中FBG5はλ3、空中FBG6はλ4、空中FBG7はλ5の特定の波長の光のみを反射するものとなっている。なお、FBGの長手方向に歪が加わったり、また温度が変化したりすると、ブラッグ波長は変化する。その変化量はFBGに加わった歪や温度の変化に対して線形に変化する。
【0017】
水中FBG8〜12は、それぞれ空中FBG3〜7と同じ波長の光のみを反射するといった特性を持っている。つまり、たとえば水中FBG8は空中FBG3と同様のλ1、水中FBG9は空中FBG4と同様のλ2、水中FBG10は空中FBG5と同様のλ3、水中FBG11は空中FBG6と同様のλ4、水中FBG12は空中FBG7と同様のλ5の波長の光のみを反射するものとなっている。
【0018】
また、上記同様に、FBGの長手方向に歪が加わったり、また温度が変化したりすると、ブラッグ波長は変化し、その変化量はFBGに加わった歪や温度の変化に対して線形に変化する。つまり、水中FBG8〜12は、水位の変化に伴い、水中に浸かることで温度が下がるが、そのときのブラッグ波長は短波長側にシフトする。
【0019】
光スペクトラムアナライザ13は、光ファイバ20を介して光サーキュレータ2に接続され、それぞれの水中FBG8〜12の反射波長(たとえばλ1〜λ5)のスペクトルを観測する。なお、第1実施形態では、光スペクトラムアナライザ13を用いた場合で示しているが、光スペクトラムアナライザ13を光パワーメータとしてもよい。
【0020】
細径ステンレス管14は、水中FBG8〜12及び光ファイバ21を収容する。また、細径ステンレス管14は、直径が1〜4mm程度であり、その先端が密封されることで内部の水密性が保たれている。これにより、水中FBG8〜12及び光ファイバ21が直に水に触れることが無くなり、水中FBG8〜12及び光ファイバ21の劣化が防止されるようになっている。なお、その内部には、熱伝導を考慮してゼリーを充填してもよい。
【0021】
空中部筐体15は、光サーキュレータ2a及び空中FBG3〜7を収容する。また、空中部筐体15の内部は水密処理されている。これにより、内部の光サーキュレータ2a及び空中FBG3〜7が空気から遮断されることで、劣化が防止されるようになっている。
【0022】
また、光サーキュレータ2に近い空中部筐体15は、光ファイバ20を介して光サーキュレータ2に接続されている。また、空中部筐体15同士も、光ファイバ20を介して互いに接続されている。
【0023】
なお、図中L1〜Lnは、空中部筐体15同士の間隔である、光ファイバ20同士の間隔を示している。
【0024】
次に、水位計システムにおける水位の計測について説明する。まず、ASE光源1から、図2に示すような広帯域に亘り出力が一様の自然放出光が出力される。そして、ASE光源1からの光は、全ての光サーキュレータ2、2aを通過し、最終まで伝播する。
【0025】
ここで、空中FBG3ではλ1の波長の光が反射し、光サーキュレータ2aから光ファイバ21を介して水中FBG8側に入射する。同様に、空中FBG4ではλ2の波長の光が反射し、光サーキュレータ2aから光ファイバ21を介して水中FBG9側に入射し、空中FBG5ではλ3の波長の光が反射し、光サーキュレータ2aから光ファイバ21を介して水中FBG10側に入射し、空中FBG6ではλ4の波長の光が反射し、光サーキュレータ2aから光ファイバ21を介して水中FBG11側に入射し、空中FBG7ではλ5の波長の光が反射し、光サーキュレータ2aから光ファイバ21を介して水中FBG12側に入射する。
【0026】
このとき、空中FBG3〜7と対となる水中FBG8〜12とが同じ温度の場合には、空中FBG3と水中FBG8、空中FBG4と水中FBG9、空中FBG5と水中FBG10、空中FBG6と水中FBG11、空中FBG7と水中FBG12がそれぞれ同じ波長で反射する様に選択されていることから、大気中では大気の温度が変化しても対となるFBGの反射波長は同等に変化する。
【0027】
これにより、水中FBG8〜12のそれぞれからλ1〜λ5の波長の光が光スペクトラムアナライザ13側に反射し、光スペクトラムアナライザ13ではそれぞれのλ1〜λ5の反射波長のスペクトルを観測することができる。
【0028】
このとき、光スペクトラムアナライザ13での観測結果は、たとえば図3に示すようなものとなる。すなわち、λ1、λ2、λ3、λ4、λ5はそれぞれ、空中FBG3と水中FBG8、空中FBG4と水中FBG9、空中FBG5と水中FBG10、空中FBG6と水中FBG11、空中FBG7と水中FBG12による反射光のスペクトラムを示している。
【0029】
一方、水中FBG8〜12のうち、たとえば水位が上昇して水中FBG8が水中に浸かり、その水温により温度が下がった場合、反射波長が短波長側にシフトするので、対応する空中FBG3とは異なった反射波長となる。この場合、水中FBG8での反射光量が減少するため、光スペクトラムアナライザ13で観測されるスペクトルは図4に示すようになり、水中FBG8が水中に浸かって水位が変化したことの確認が可能になる。
【0030】
また、水中FBG8〜12のうち、たとえば水中FBG8と水中FBG9とが水中に浸かり、その水温により温度が下がった場合、上記同様に、反射波長が短波長側にシフトするので、対応する空中FBG3と空中FBG4とは異なった反射波長となる。この場合、水中FBG8と水中FBG9での反射光量が減少するため、光スペクトラムアナライザ13で観測されるスペクトルは図5に示すようになり、水中FBG8と水中FBG9とが水中に浸かって水位が変化したか否かの確認が可能となる。
【0031】
このように、第1実施形態では、光サーキュレータ2を介して出力される光源であるASE光源1からの光が光出力先変更手段である光サーキュレータ2aにより所定方向に出力され、該光サーキュレータ2aからの光のうち、特定波長(たとえばλ1)の光が特定波長反射手段であるたとえば空中FBG3により反射され、該光サーキュレータ2aを介して光ファイバ21に出力されると、該光ファイバ21の先端に設けられ、たとえば空中FBG3と同じ特定波長(たとえばλ1)の光を反射するとともに、少なくとも温度の変化に伴い反射波長をシフトさせる温度変化検出手段であるたとえば水中FBG8により反射される際、その反射波長がシフトされるため、反射光観測手段である光スペクトラムアナライザ13によりその反射光のスペクトルを観測することで、特定位置で温度変化があったとして認識でき、水位が変化したと見なすことができることから、水位の計測位置の精度を高めることができる。
【0032】
また、第1実施形態では、複数の光サーキュレータ2aと、これらの光サーキュレータ2aのそれぞれに対応し、これらの光サーキュレータ2aからの光のうち、それぞれ特定波長の光を反射する空中FBG3〜7とを空中部筐体15に収容し、さらに、それぞれの光サーキュレータ2aを介して出力される空中FBG3〜7からの光を伝播する光ファイバ21の先端に、それぞれ空中FBG3〜7と同じ特定波長の光を反射し、少なくとも温度の変化に伴い反射波長をシフトさせる水中FBG8〜12を設け、これら水中FBG8〜12からの反射光のスペクトルを光スペクトラムアナライザ13により観測するようにしたので、上述した水位の計測位置の精度を高めることができることに加え、複数の地点の水位を計測できるとともに、その複数の地点の水位の平均をとることで、さらに水位計測の精度を向上させることができる。
【0033】
また、光ファイバ21と水中FBG8〜12は、水密処理された細径の管であるたとえば細径ステンレス管14に収納されているようにしているため、水中FBG8〜12及び光ファイバ21が直に水に触れることが無くなり、水中FBG8〜12及び光ファイバ21の劣化を防止することができる。
【0034】
(第2実施形態)
図6は、図1の水位計システムの構成を変えた場合の第2実施形態を示す図である。なお、以下に示す図において、図1と共通する部分には同一符号を付し重複する説明は適宜行うものとする。なお、光出力先変更手段は光サーキュレータ2aであり、特定波長反射手段は空中FBG50〜55であり、温度変化検出手段は水中FBG22〜27である。
【0035】
同図に示す水位計システムは、それぞれの空中部筐体15に、3個の光サーキュレータ2aと3個の空中FBG50〜52、53〜55とが収納されている。また、細径ステンレス管14には、それぞれ3個の空中FBG50〜52、53〜55と対となる水中FBG22〜24、25〜27と光ファイバ21とが収納されている。また、それぞれの空中部筐体15間の光ファイバ20は、たとえば細径ステンレス管20a内に収納されるようになっている。この細径ステンレス管20aにより、それぞれの空中部筐体15間の光ファイバ20は、風雨等から保護されるようになっている。
【0036】
なお、図6では、1本の細径ステンレス管14に3個の水中FBG22〜24、25〜27と3本の光ファイバ21とが収納されている場合で示しているが、これに限らず、水中FBG22〜24、25〜27と光ファイバ21とのそれぞれを1本の細径ステンレス管14に収納させるようにしてもよい。
【0037】
また、細径ステンレス管14内での水中FBG22〜24、25〜27は、順にその高さが高くなるように配置されている。つまり、水中FBG22、25が一番低く、水中FBG23、26が中程度で、水中FBG24、27が一番高くなるように配置されている。
【0038】
このような構成では、水中FBG22〜24、25〜27の何れかが水中に浸かると、上記同様に、反射波長が短波長側にシフトするので、対応する空中FBG50〜52、53〜55とは異なった反射波長となる。
【0039】
この場合、たとえば水中FBG22、25が水中に浸かったとすると、水中FBG22、25での反射光量が減少するため、光スペクトラムアナライザ13で観測されるスペクトルは上記の図4に示すようになり、水中FBG22、25が水中に浸かったか否かの確認が可能となる。
【0040】
また、たとえば水中FBG22、23、25、26が水中に浸かったとすると、水中FBG22、23、25、26での反射光量が減少するため、光スペクトラムアナライザ13で観測されるスペクトルは上記の図5に示したようになり、水中FBG22、23、25、26が水中に浸かったか否かの確認が可能となる。
【0041】
このように、第2実施形態では、水中FBG22〜24、25〜27が順に水中に浸かることで、光スペクトラムアナライザ13で観測されるスペクトルがその水中に浸かった水中FBG22〜24、25〜27に対応して変化することから、上述した作用効果に加え、温度変化に伴った現在の水位の変化を観測することができ、さらに詳細な水深データを得ることができる。
【0042】
(第3実施形態)
図7は、図1の水位計システムの構成を変えた場合の第3実施形態を示す図である。第3実施形態における水位計システムの構成においては、図1のASE光源1が可変波長LD光源28に、図1の光スペクトラムアナライザ13が光パワーメータ29に、水中FBG8〜12がダイヤフラム35〜39等を有する水圧変化検出部40にそれぞれ変更されている点で図1の水位計システムとは構成が異なっている。その他の構成は図1と同様である。なお、光出力先変更手段は光サーキュレータ2aであり、特定波長反射手段は空中FBG30〜34であり、水圧変化検出手段は水圧変化検出部40である。
【0043】
水圧変化検出部40内部は水密処理されており、ダイヤフラム35〜39が直に水に浸されるのを防止する役目も担っている。これにより、ダイヤフラム35〜39の劣化が防止されるようになっている。
【0044】
また、可変波長LD光源28からのLD光の波長は、空中FBG30〜34のそれぞれの反射波長に対応させて可変されるようになっている。なお、第3実施形態では、後述のように、干渉光の強度の変化を観測するため、光源としては上記のASE光源1を用いてもよいが、LD光源の方が適している。また、ダイヤフラム35〜39に光ファイバ21の先端が接続される。
【0045】
ここで、水圧変化検出部40の詳細の一例を、図9(a)(b)を参照して説明する。なお、図9(a)(b)は、複数の水圧変化検出部40のうち、ダイヤフラム35を有するものを代表して示している。すなわち、図9(a)に示すように、水圧変化検出部40は、ベローズ40a、底板40b、光透過性介在部材35a及び全反射ミラー35bを有し、光透過性介在部材35a及び全反射ミラー35bがいわゆるダイヤフラム35を構成している。ベローズ40aは、水圧に応じて矢印a−b方向に伸縮する。底板40bはスチール等の剛板であり、ベローズ40aの下端に水密処理された状態で取り付けられている。
【0046】
光透過性介在部材35a及び全反射ミラー35bは、光ファイバ21の端面に取り付けられている。また、図9(b)に示すように、光透過性介在部材35aは、ベローズ40aの矢印a−b方向への伸縮により、底板40bが矢印a方向へ移動することによって変位し、光ファイバ21に圧力の変動を伝える。また、全反射ミラー35bは、光ファイバ21の端面で光を反射させる。
【0047】
このような構成により、光ファイバ21の端面から全反射ミラー35b側に入射した光が反射を繰り返すとき、水圧によるベローズ40aの伸縮に応じたダイヤフラム35〜39の変位により、光路差に変位を伴う。このとき、圧力の変化にほぼ比例して干渉光の強度が変化することになる。よって、光パワーメータ29により、その干渉光の強度の変化を観測することで、特定位置で圧力変化があったとして認識でき、水位が変化したと見なすことができることから、水位の計測が可能となる。
【0048】
このような構成の水位計システムでは、たとえば可変波長LD光源28からのLD光の波長が空中FBG30の反射波長に対応するものである場合、光空中FBG30で反射したLD光がダイヤフラム35に伝播する反射光による干渉が生じる。
【0049】
このとき、ダイヤフラム35を有する水圧変化検出部40が水中に浸かると、水圧変化検出部40を介してダイヤフラム35に水圧が加わり、その水圧によりダイヤフラム35での反射光による干渉の強度が変化する。
【0050】
よって、光パワーメータ29により、その反射光による干渉の強度の変化を観測することで、上記の図4で説明した内容とほぼ同様の結果となり、ダイヤフラム35を有する水圧変化検出部40が水中に浸かったか否かの確認が可能となる。なお、第3実施形態では、光パワーメータ29を用いた場合で説明したが、光パワーメータ29の代わりに光スペクトルアナライザを用いてもよい。
【0051】
また、たとえばダイヤフラム35、36を有する2つの水圧変化検出部40が水中に浸かったとすると、図5で説明した内容とほぼ同様の結果となり、ダイヤフラム35、36を有する2つの水圧変化検出部40が水中に浸かったか否かの確認が可能となる。
【0052】
このように、第3実施形態では、可変波長LD光源28からの光が光出力先変更手段である光サーキュレータ2aにより所定方向に出力され、該光サーキュレータ2aからの光のうち、特定波長の光が特定波長反射手段であるたとえば空中FBG30により反射され、該光サーキュレータ2aを介して光ファイバ21に出力されると、該光ファイバ21の先端に設けられ、さらに内部が水密処理された水圧変化検出手段である水圧変化検出部40内に収容されるとともに、該水圧変化検出部40を介して得られる圧力の変化に比例して干渉光の強度を変化させるたとえばダイヤフラム35による干渉光の強度の変化を、干渉光観測手段である光パワーメータ29により観測することで、特定位置で圧力変化があったとして認識でき、水位が変化したと見なすことができることから、上述した作用効果に加え、水圧変化に伴った干渉光の強度の変化による観測結果が得られるまでの応答性と水圧変化検出部40が水中に浸かって水位が変化したことの観測結果の精度とを高めることができる。
【0053】
すなわち、第3実施形態では、観測結果が水圧変化検出部40を介して得られる圧力の変化に比例した干渉光の強度の変化に基づき得られるため、第1実施形態での水中FBG8〜12や第2実施形態での水中FBG22〜27からの反射光のスペクトルによる観測結果が得られるものに比べてその応答性が良く、第1実施形態及び第2実施形態に比べ、より高速に観測結果を得ることができる。また、第3実施形態では、水圧変化検出部40を介して得られる圧力の変化に比例した干渉光の強度の変化による観測結果が得られるため、第1実施形態及び第2実施形態での反射光のスペクトルによる観測結果に比べ、より精度の良い観測結果を得ることができる。
【0054】
また、第3実施形態では、複数の光サーキュレータ2aと、これらの光サーキュレータ2aのそれぞれに対応し、これらの光サーキュレータ2aからの光のうち、それぞれ特定波長の光を反射する特定波長光反射手段である空中FBG30〜34とを空中部筐体15に収容し、さらに、それぞれの光サーキュレータ2aを介して出力される空中FBG30〜34からの光を伝播する光ファイバである光ファイバ21の先端に、内部が水密処理された水圧変化検出手段である水圧変化検出部40内に収容されるとともに、該水圧変化検出部40を介して得られる圧力の変化に比例して干渉光の強度を変化させるダイヤフラム35〜39を設け、これらダイヤフラム35〜39による干渉光の強度の変化を光パワーメータ29により観測することで、特定位置で圧力変化があったとして認識でき、水位が変化したと見なすことができることから、上述した作用効果に加え、複数の地点の水位を計測することができる。
【0055】
また、光ファイバ21は水密処理された細径の管であるたとえば細径ステンレス管14に収納され、ダイヤフラム35〜39は内部が水密処理された水圧変化検出部40内に収容されるようにしているため、光ファイバ21及びダイヤフラム35〜39が直に水に触れることが無くなり、光ファイバ21及びダイヤフラム35〜39の劣化を防止することができる。なお、第3実施形態では、水圧変化検出手段を、ベローズ40a、底板40b、光透過性介在部材35a及び全反射ミラー35bを有し、光透過性介在部材35a及び全反射ミラー35bがいわゆるダイヤフラム35とされた水圧変化検出部40とした場合で説明したが、この例に限らず、圧力変化を干渉光の強度の変化として検出できるような他の構成であってもよい。
【0056】
(第4実施形態)
図8は、図7の水位計システムの構成を変えた場合の第4実施形態を示す図である。同図に示す水位計システムは、それぞれの空中部筐体15に、3個の光サーキュレータ2aと3個の空中FBG41〜43、44〜46とが収納されている。また、それぞれの空中部筐体15には、3個の細径ステンレス管14が連結されている。なお、光出力先変更手段は光サーキュレータ2aであり、特定波長反射手段は空中FBG41〜46であり、水圧変化検出手段は水圧変化検出部40である。
【0057】
また、3個の細径ステンレス管14の水圧変化検出部40内のダイヤフラム47〜49、50〜52は、順にその高さが高くなるように配置されている。つまり、ダイヤフラム47、50が一番低く、ダイヤフラム48、51が中程度で、ダイヤフラム49、52が一番高くなるように配置されている。また、それぞれの空中部筐体15間の光ファイバ20は、上述した第2実施形態と同様に、細径ステンレス管20a内に収納されるようになっている。この細径ステンレス管20aにより、上記同様に、それぞれの空中部筐体15間の光ファイバ20は、風雨等から保護されるようになっている。
【0058】
このような構成では、ダイヤフラム47〜49、50〜52を有する水圧変化検出部40の何れかが水中に浸かると、上記同様に、水圧変化検出部40を介して何れかかのダイヤフラム47〜49、50〜52に水圧が加わり、その水圧により何れかのダイヤフラム47〜49、50〜52が収縮し、光ファイバ21の端面での反射光による干渉の強度が変化する。
【0059】
この場合、ダイヤフラム47、50を有する水圧変化検出部40が水中に浸かったとすると、そのダイヤフラム47、50が水圧により収縮し、光ファイバ21の端面での反射光による干渉の強度が変化するため、光パワーメータ29で観測される反射光による干渉の強度の変化は上記の図4で説明した内容とほぼ同様の結果となり、ダイヤフラム47、50を有する水圧変化検出部40が水中に浸かったことの確認が可能となる。
【0060】
また、たとえばダイヤフラム47、48、50、51を有する水圧変化検出部40が水中に浸かったとすると、上記同様に、光パワーメータ29で観測される反射光による干渉の強度の変化は上記の図5で説明した内容とほぼ同様の結果となり、ダイヤフラム47、48、50、51を有する水圧変化検出部40が水中に浸かったことの確認が可能となる。
【0061】
このように、第4実施形態では、ダイヤフラム47〜49、50〜52が順に水中に浸かることで、光パワーメータ29で観測される反射光による干渉の強度はその水中に浸かったダイヤフラム47〜49、50〜52に対応して変化することから、上述した作用効果に加え、現在の水位の変化を観測することで、特定位置で圧力変化があったとして認識でき、水位が変化したと見なすことができ、さらに詳細な水深データを得ることができる。
【0062】
また、第4実施形態では、ダイヤフラム47〜49、50〜52による干渉光の強度の変化の応答性が高いため、ダイヤフラム47〜49、50〜52の位置をたとえば互いに数ミリ程度異なるように配置し、ダイヤフラム47〜49、50〜52の反応時間差とダイヤフラム47〜49、50〜52の位置の差とから、所定時間(たとえば1時間)の降水量の推定を行うことも可能である。
【0063】
なお、上述の水圧変化に伴った干渉光の強度の変化を観測する第3〜第4実施形態では、ベローズ40aを用いた場合で説明したが、この例に限らず、図9(c)(d)に示すように、そのベローズ40aを省いて水位の計測を行うことも可能である。
【0064】
なお、図9(c)(d)は、ダイヤフラム35を有するものを代表して示している。すなわち、図9(c)に示すように、水圧変化検出部40の筐体40Aの底部には、薄膜40cが水密処理された状態で取り付けられている。また、薄膜40cと光ファイバ21の端面との間には、上述した光透過性介在部材35a及び全反射ミラー35bを有するダイヤフラム35が取り付けられている。
【0065】
このような構成では、図9(d)に示すように、水圧の変化、すなわち矢印a方向に水圧が加わると、薄膜40cは筐体40Aの内側に撓み、ダイヤフラム35を押し付ける。このとき、上述したように、光透過性介在部材35aが歪みを生じることで、ダイヤフラム35が変位する。これにより、ベローズ40aを用いた場合と同様に、水圧変化に伴った干渉光の強度が変化するため、その変化を観測するこで、特定位置で圧力変化があったとして認識でき、水位が変化したと見なすことができ、水位の計測を行うことが可能となる。
【0066】
また、水圧変化検出部40は、図10(a)(b)に示すように、ダイヤフラム35の光透過性介在部材35aを省いた構成を用いることも可能である。すなわち、図10(a)に示すように、水圧変化検出部40は、ベローズ40a、底板40b、全反射ミラー35bを備えている。
【0067】
この場合、図10(b)に示すように、ベローズ40aが水圧に応じて矢印a−b方向に伸縮する際、底板40bが矢印a方向へ移動することによって、全反射ミラー35b及び光ファイバ21の端面を押し付ける。これにより、光ファイバ21に曲がりが生じて光損失が変化する。このとき、上述した光源であるASE光源1又は可変波長LD光源28からの光が全反射ミラー35bで反射する際、光ファイバ21の曲がりが生じた部分での漏光等により、上述した光スペクトラムアナライザ13又は光パワーメータ29側への反射光に光損失が生じることになる。そこで、その反射光の光損失を観測することで、特定位置で圧力変化があったとして認識でき、水位が変化したと見なすことができ、上記同様に、現在の水位の変化等の観測が可能となる。
【0068】
また、水圧変化検出部40は、図10(c)(d)に示すような構成とすることも可能である。すなわち、図10(c)に示すように、水圧変化検出部40の筐体40Bの側面は可撓性を有するように形成されている。その筐体40Bの内側には、複数の押圧突起40dが光ファイバ21の軸心に向けて突設されている。このような構成では、図10(d)に示すように、矢印c−dに水圧が加わると、筐体40Bの側面が内側に撓み、各押圧突起40dが光ファイバ21を押し付け、光ファイバ21に曲げを生じさせる。
【0069】
そして、この場合も、上記同様に、光ファイバ21の曲げが生じた付近での漏光等により、上述した光スペクトラムアナライザ13又は光パワーメータ29側への反射光に光損失が生じることになるため、その反射光の光損失を観測することで、特定位置で圧力変化があったとして認識でき、水位が変化したと見なすことができ、現在の水位の変化等の観測が可能となる。
【符号の説明】
【0070】
1 ASE光源
2、2a 光サーキュレータ
3〜7、30〜34、41〜46、50〜55 空中FBG
8〜12、22〜27 水中FBG
13 光スペクトラムアナライザ
14、20a 細径ステンレス管
15 空中部筐体
20、21 光ファイバ
28 可変波長LD光源
29 光パワーメータ
35〜39、47〜52 ダイヤフラム
35a 光透過性介在部材
35b 全反射ミラー
40 水圧変化検出部
40A、40B 筐体
40a ベローズ
40b 底板
40c 薄膜
40d 押圧突起

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、
該光源からの光の出力先を変更する光出力先変更手段と、
該光出力先変更手段から出力される特定波長の光を反射する特定波長反射手段と、
該特定波長反射手段によって反射された前記光を伝播する光ファイバと、
該光ファイバの先端に設けられ、温度変化に応じて前記光ファイバにより伝播される光の反射波長をシフトさせる温度変化検出手段と、
該温度変化検出手段からの反射光のスペクトルを観測する反射光観測手段とを備え、
前記温度変化を水位変化として認識する
ことを特徴とする水位計システム。
【請求項2】
光源と、
該光源からの光の出力先を変更する光出力先変更手段と、
該光出力先変更手段から出力される特定波長の光を反射する特定波長反射手段と、
該特定波長反射手段によって反射された前記光を伝播する光ファイバと、
該光ファイバの先端に設けられ、水圧変化に応じて前記光ファイバにより伝播される光の特性を変化させる水圧変化検出手段と、
該水圧変化検出手段からの反射光の光の特性の変化を観測する反射光観測手段とを備え、
前記水圧変化を水位変化として認識する
ことを特徴とする水位計システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−184947(P2012−184947A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−46506(P2011−46506)
【出願日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【出願人】(303040585)株式会社オーシーシー (47)
【Fターム(参考)】