水冷式ブスバー及びその製造方法
【課題】長さ方向に互いに隣り合う2個のブスバー構成部材の端面間に発生することのある隙間腐食を防止し、これにより両ブスバー構成部材間の電気抵抗を小さくすることができる水冷式ブスバーを提供する。
【解決手段】水冷式ブスバー40Aを構成する2個のアルミニウム又はその合金製ブスバー構成部1、1の端面2、2同士が互いに離間して配置されている。両ブスバー構成部材1、1同士が導電性部材20を介して互いに電気的に接続されている。各ブスバー構成部材1の端面2に、冷却水通路3の開口部3aが形成されている。そして、両方の開口部3a、3a同士がフレキシブルな冷却水導通管10を介して互いに連通状態に連結されている。
【解決手段】水冷式ブスバー40Aを構成する2個のアルミニウム又はその合金製ブスバー構成部1、1の端面2、2同士が互いに離間して配置されている。両ブスバー構成部材1、1同士が導電性部材20を介して互いに電気的に接続されている。各ブスバー構成部材1の端面2に、冷却水通路3の開口部3aが形成されている。そして、両方の開口部3a、3a同士がフレキシブルな冷却水導通管10を介して互いに連通状態に連結されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、供給先に給電する給電路として使用される水冷式ブスバー及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば国際熱核融合実験炉(いわゆるITER)に採用されたトカマク型の炉には、プラズマを閉じ込めるための磁場を発生させる超伝導コイルが設置されている。この超伝導コイルには磁場を発生させるために高電圧大電流の電力を供給する必要がある。
【0003】
このような高電圧大電流の電力を超伝導コイルに供給するための給電路として、近年、水冷式ブスバーを採用することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。このブスバーは、軽量化を図るためにアルミニウム又はその合金で製作されている。
【0004】
このブスバーは、通電時に生じる発熱量が一般の工場で使用される低電圧大電流用や高電圧小電流用のものと比べて非常に大きい。そのため、ブスバーの内部には、ブスバーを冷却するための冷却水が流通する冷却水通路がブスバーの長さ方向(即ち通電方向)に延びて形成されている。さらに、このブスバーは、炉の小型化を図るためにトンネル状の狭い空間内を通して配置されるものであり、また、このような狭い空間内にブスバーが複数個、近接して配置されるものである。
【特許文献1】特開2004−193067号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
而して、上述のような用途に用いられるブスバーのうち長尺なブスバーは、複数個の金属製ブスバー構成部材を長さ方向に順次連結することにより製造される。長さ方向に互いに隣り合う2個のブスバー構成部材の連結方法として、図17及び18に示す二つの方法が考えられる。各図に示した方法について以下に説明する。
【0006】
図17において、140はブスバーである。このブスバー140の2個のブスバー構成部材101、101の内部には、それぞれ冷却水通路103、103が長さ方向に延びて形成されている。さらに、各ブスバー構成部材101、101の長さ方向の端面102、102の中央部に、冷却水通路の開口部103a、103aが形成されている。そして、両ブスバー構成部材101、101の端面102、102同士が、互いに冷却水通路103、103同士を連通させた状態に突き合わされるとともに、この状態で両端面102、102同士がその外周面側から溶接(例:TIG溶接、MIG溶接)によって全周に亘って接合されている。なお120は、両ブスバー構成部材101、111の端面102、102同士を接合した溶接部である。
【0007】
図17に示した方法によれば、両ブスバー構成部材101、101の端面102、102同士が溶接によって接合されるので、良好な通電性を得ることができる。しかしながら、このブスバー140は、上述したように、狭い空間内に配置されたり、複数個近接して配置されたりするものであるため、ブスバー140の設置現場での溶接作業が非常に困難であるという難点があった。また、各ブスバー構成部材101、101の外周面から冷却水通路103、103までの肉厚が大きく且つ両ブスバー構成部材101、101の端面102、102同士がその外周面側から溶接されるため、同図に示すように両ブスバー構成部材101、101の端面102、102における冷却水通路103、103側にそれぞれ未溶接面部121、121が残存する虞があった。もし、このように未溶接面部121、121が残存すると、両端面102、102の両未溶接面部121、121間に冷却水が浸入して両未溶接面部121、121間で隙間腐食が発生し、その結果、両ブスバー構成部材101、101間の電気抵抗が増大するという難点があった。
【0008】
図18では、両ブスバー構成部材101、101の端部には、それぞれ側方突出状のボルト締結用フランジ部101a、101aが一体形成されている。そして、両ブスバー構成部材101、101の端面102、102同士が、互いに冷却水通路103、103同士を連通させた状態に突き合わされるとともに、この状態で両ブスバー構成部材101、101同士が両フランジ部101a、101aに通した複数個の通しボルト125よって締結されている。なお、125aは通しボルト125と螺合したナットである。
【0009】
図18に示した方法によれば、各ブスバー構成部材101、101の端面102、102には微細な凹凸が存在しているため、端面102、102同士の接触面積が比較的小さく、そのため電気抵抗が大きいという難点があった。さらに、両端面102、102間に冷却水が浸入して両端面102、102間で隙間腐食が発生し、その結果、電気抵抗が増大するという難点があった。
【0010】
本発明は、上述した技術背景に鑑みてなされたもので、その目的は、複数個のブスバー構成部材が長さ方向に順次連結されて製造される水冷式ブスバーであって、長さ方向に互いに隣り合う2個のブスバー構成部材の端面間に発生することのある隙間腐食を防止し、これにより両ブスバー構成部材間の電気抵抗を小さくすることができる水冷式ブスバー及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は以下の手段を提供する。
【0012】
[1] 内部に冷却水通路が長さ方向に延びて設けられるとともに、長さ方向の端面に前記冷却水通路の開口部が形成された複数個のアルミニウム又はその合金製ブスバー構成部材を備え、
前記複数個のブスバー構成部材における長さ方向に互いに隣り合う2個のブスバー構成部材の端面同士が互いに離間して配置され、
両ブスバー構成部材同士が導電性部材を介して互いに電気的に接続されるとともに、
両ブスバー構成部材の端面の開口部同士がフレキシブルな冷却水導通管を介して互いに連通状態に連結されていることを特徴とする水冷式ブスバー。
【0013】
[2] 前記ブスバー構成部材の外周面に形成された切欠き部に、前記導電性部材のブスバー構成部材との取付け部が嵌め込まれている前項1記載の水冷式ブスバー。
【0014】
[3] 前記導電性部材と前記ブスバー構成部材とが、導電性部材及びブスバー構成部材を順次貫通した状態に配置された通しボルトによって互いに密着する方向に締結されている前項1又は2記載の水冷式ブスバー。
【0015】
[4] 前記導電性部材と前記ブスバー構成部材とが、導電性部材とブスバー構成部材との接触面間に配置されるとともに導電性粒子を含有した導電性ペースト層を介して互いに連結されている前項1〜3のいずれかに記載の水冷式ブスバー。
【0016】
[5] 前記導電性ペーストは、前記導電性粒子として、金、銀、銅、カーボン、カーボンナノチューブ、アルミニウム、マグネシウム、亜鉛、ニッケル、スズ、鉛及びビスマスからなる群より選択された一種又は二種以上を含有している前項4記載の水冷式ブスバー。
【0017】
[6] 前記導電性部材と前記ブスバー構成部材とが、導電性部材とブスバー構成部材との接触面間に配置され且つ両接触面同士を接合したはんだ層を介して互いに連結されている前項1〜3のいずれかに記載の水冷式ブスバー。
【0018】
[7] 前記ブスバー構成部材の導電性部材との接触面が、ブスバー構成部材の構成材料とは異種の金属で置換されている前項1〜6のいずれかに記載の水冷式ブスバー。
【0019】
[8] 前記導電性部材のブスバー構成部材との接触面が、導電性部材の構成材料とは異種の金属で置換されている前項1〜7のいずれかに記載の水冷式ブスバー。
【0020】
[9] 前記導電性部材のブスバー構成部材との接触面の全面積は、ブスバー構成部材の横断面積と同等以上に設定されている前項1〜8のいずれかに記載の水冷式ブスバー。
【0021】
[10] 前記冷却水導通管は、軟質ゴム、軟質樹脂又は金属編組で形成されている前項1〜9のいずれかに記載の水冷式ブスバー。
【0022】
[11] 前記導電性部材の長さ方向両端部が、導電性部材の両ブスバー構成部材との取付け部であり、
前記導電性部材の長さ方向両端部がそれぞれ板状に形成されるとともに、当該両端部が前記両ブスバー構成部材に固定状態に連結され、
前記導電性部材の少なくとも長さ方向中間部は、複数の薄板が積層されて形成された積層体か、あるいは多数の細線が束ねられて形成された細線束で形成されている前項1〜10のいずれかに記載の水冷式ブスバー。
【0023】
[12] 内部に冷却水通路が長さ方向に延びて設けられるとともに、長さ方向の端面に前記冷却水通路の開口部が形成された2個のブスバー構成部材の端面同士を互いに離間して配置する配置工程と、
両ブスバー構成部材同士を導電性部材を介して互いに電気的に接続する電気的接続工程と、
両ブスバー構成部材の端面の開口部同士をフレキシブルな冷却水導通管を介して互いに連通状態に連結する連結工程と、
を含むことを特徴とする水冷式ブスバーの製造方法。
【発明の効果】
【0024】
本発明は以下の効果を奏する。
【0025】
[1]の発明では、両ブスバー構成部材の端面同士が互いに離間して配置されているので、両ブスバー構成部材の端面間に発生することのある隙間腐食を防止することができる。
【0026】
さらに、両ブスバー構成部材同士が導電性部材を介して互いに電気的に接続されているので、電流が両ブスバー構成部材のうち一方のブスバー構成部材から導電性部材を通って他方のブスバー構成部材へと流れるようになり、即ち一方のブスバー構成部材と他方のブスバー構成部材との間の通電を確保することができる。
【0027】
さらに、両ブスバー構成部材の端面の開口部同士が冷却水導通管を介して互いに連通状態に連結されているので、両ブスバー構成部材をその全長さ領域に亘って冷却することができる。
【0028】
その上、冷却水導通管がフレキシブルなものであるから、各ブスバー構成部材の温度変化に伴い両ブスバー構成部材の端面間の距離が変化した場合には、この距離変化に追従して冷却水導通管が伸縮又は屈曲する。これにより、両ブスバー構成部材間の冷却水通路の連続性を確保することができ、もって各ブスバー構成部材を確実に冷却することができる。
【0029】
[2]の発明では、ブスバー構成部材の外周面に形成された切欠き部に、導電性部材のブスバー構成部材との取付け部が嵌め込まれているので、導電性部材の取付け部がブスバー構成部材に取り付けられた状態において、導電性部材の取付け部がブスバー構成部材の外周面から突出する突出量を小さくすることができる。これにより、ブスバーを狭い空間内に配置する際に導電性部材の取付け部が他の部材を干渉するのを防止することができるし、また複数個のブスバーを互いに近接して配置することができ、もってブスバーの設置スペースについて省スペース化を図ることができる。
【0030】
さらに、導電性部材の取付け部が切欠き部に嵌め込まれているから、導電性部材の取付け部が切欠き部に嵌め込まれていない場合に比べて、導電性部材の取付け部が切欠き部に嵌め込まれた分、導電性部材とブスバー構成部材との接触面が冷却水通路に接近している。これにより、導電性部材とブスバー構成部材との接触面を確実に冷却することができる。
【0031】
[3]の発明では、導電性部材とブスバー構成部材とが、導電性部材及びブスバー構成部材を順次貫通した状態に配置された通しボルトによって締結されることにより、導電性部材とブスバー構成部材とを施工性良く連結することができる。さらに、導電性部材とブスバー構成部材とが互いに密着する方向に締結されているので、導電性部材とブスバー構成部材との間の電気抵抗を確実に小さくすることができる。
【0032】
[4]の発明では、導電性部材とブスバー構成部材とが、導電性部材とブスバー構成部材との接触面間に配置されるとともに導電性粒子を含有した導電性ペースト層を介して互いに連結されている。したがって、もし仮に導電性部材とブスバー構成部材との接触面にそれぞれ微細な凹凸が形成されていても、この微細凹凸に起因して両接触面間に生じる隙間が導電性ペースト層で塞がれる。そのため、導電性部材とブスバー構成部材との接触面積が増大する。これにより、導電性部材とブスバー構成部材との間の電気抵抗を小さくすることができ、即ち導電性部材とブスバー構成部材との間の導電性を確実に向上させることができる。
【0033】
[5]の発明では、導電性部材とブスバー構成部材との間の導電性を確実に向上させることができる。
【0034】
[6]の発明では、導電性部材とブスバー構成部材とが、導電性部材とブスバー構成部材との接触面間に配置され且つ両接触面同士を接合したはんだ層を介して互いに連結されている。したがって、もし仮に導電性部材とブスバー構成部材との接触面にそれぞれ微細な凹凸が形成されていても、この微細凹凸に起因して両接触面間に生じる隙間がはんだ層で塞がれる。そのため、導電性部材とブスバー構成部材との接触面積が増大する。これにより、導電性部材とブスバー構成部材との間の電気抵抗を小さくすることができ、即ち導電性部材とブスバー構成部材との間の導電性を確実に向上させることができる。
【0035】
[7]の発明では、ブスバー構成部材の導電性部材との接触面が、ブスバー構成部材の構成材料とは異種の金属で置換されることにより、ブスバー構成部材の接触面に絶縁性の酸化層(例:自然酸化層、水和酸化層)が形成されるのを防止することができる。これにより、導電性部材とブスバー構成部材との間の電気抵抗を更に小さくすることができる。
【0036】
[8]の発明では、導電性部材のブスバー構成部材との接触面が、導電性部材の構成材料とは異種の金属で置換されていることにより、導電性部材の接触面に絶縁性の酸化層(例:自然酸化層、水和酸化層)が形成されるのを防止することができる。これにより、導電性部材とブスバー構成部材との間の電気抵抗を更に小さくすることができる。
【0037】
[9]の発明では、導電性部材のブスバー構成部材との接触面の全面積が、ブスバー構成部材の横断面積と同等以上に設定されることにより、導電性部材とブスバー構成部材との間の導通面積を確保し得て導電性部材とブスバー構成部材との間に発生することのある発熱を確実に抑制することができる。
【0038】
[10]の発明では、安価に入手可能な冷却水導通管によって両ブスバー構成部材の端面間の距離の変化を確実に吸収することができる。
【0039】
[11]の発明では、導電性部材の長さ方向両端部が、導電性部材の両ブスバー構成部材との取付け部であり、導電性部材の長さ方向両端部がそれぞれ板状に形成されるとともに、当該両端部が両ブスバー構成部材に固定状態に連結されている。したがって、導電性部材の両端部を両ブスバー構成部材に面接触状態に接触させて連結することができ、これにより、導電性部材とブスバー構成部材との間の導通面積を確保し得て導電性部材とブスバー構成部材との間に発生することのある発熱を抑制することができる。
【0040】
さらに、導電性部材の少なくとも長さ方向中間部が、複数の薄板が積層されて形成された積層体か、あるいは多数の細線が束ねられて形成された細線束で形成されている。したがって、各ブスバー構成部材の温度変化に伴い両ブスバー構成部材の端面間の距離が変化した場合には、この距離変化に追従して導電性部材の中間部が変形する。これにより、両ブスバー構成部材の端面間の距離の変化を導電性部材の中間部で確実に吸収することができる。
【0041】
[12]の発明では、本発明に係るブスバーを確実に製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
次に、本発明の幾つかの実施形態について図面を参照して以下に説明する。
【0043】
図1〜5は、本発明の一実施形態に係る水冷式ブスバー及びその製造方法を説明する図である。
【0044】
本実施形態の水冷式ブスバー40Aは、国際熱核融合実験炉に設置される超伝導コイル等のように、高電圧大電流の動作電力を必要とするデバイス(図示せず)に給電するための給電路として用いられるものである。
【0045】
このブスバー40Aは、複数個のブスバー構成部材1が長さ方向Lに順次連結されて製造されたものである。このブスバー40Aを構成する複数個のブスバー構成部材のうち長さ方向Lに互いに隣り合う2個のブスバー構成部材1、1は、互いに一直線上に並んで且つその端面2、2同士が離間した状態に配置されている。そして、両ブスバー構成部材1、1同士が2個の導電性部材20、20を介して互いに電気的に接続されている。
【0046】
ここで、Lは、ブスバー構成部材1(即ちブスバー40A)の長さ方向を示している。ブスバー40Aの通電方向は、ブスバー構成部材1の長さ方向Lである。W及びHは、ブスバー構成部材1の長さ方向Lに対して互いに直交する二つの方向を示しており、本実施形態では、説明の便宜上、Hをブスバー構成部材1の厚さ方向、Wをブスバー構成部材1の幅方向として以下に説明する。ただし本発明では、ブスバー構成部材1の厚さ方向H及び幅方向Wは絶対的な方向ではなく互いに相対的な方向である。
【0047】
両ブスバー構成部材1、1は互いに同一形状及び同一材質である。各ブスバー構成部材1は、横断面四角形状であり、一方向(即ち長さ方向L)に延びて形成されている。また、各ブスバー構成部材1はアルミニウム又はその合金製である。特に本発明では、ブスバー構成部材1の材質は、純アルミニウムか、あるいはAl−Mg−Si系のアルミニウム合金であることが望ましく、これにより、ブスバー構成部材1の導電性を高めることができるし、そのようなブスバー構成部材1を容易に入手することができる。
【0048】
各ブスバー構成部材1の長さは例えば2000〜6000mmに設定されており、その厚さは例えば40〜100mmに設定されており、その幅は例えば50〜200mmに設定されている。
【0049】
各ブスバー構成部材1の内部には、通電時に各ブスバー構成部材1(即ちブスバー40A)を冷却する冷却水が流通する断面円形状の冷却水通路3が長さ方向Lに延びて形成されており、詳述すると、冷却水通路3がブスバー構成部材1の長さ方向L全長に亘って形成されている。さらに、各ブスバー構成部材1の長さ方向Lの各端面2の中央部には、冷却水通路3の開口部3aが形成されている。開口部3aの断面形状は円形状である。冷却水としては、純水をはじめ、様々な種類の水が用いられる。
【0050】
両ブスバー構成部材1、1のうち、一方のブスバー構成部材1の端面2と他方のブスバー構成部材1の端面2とは互いに離間して配置されている。両端面2、2間の距離は例えば50〜200mmに設定されている。この距離は、各ブスバー構成部材1の温度変化に伴い各ブスバー構成部材1の長さが伸縮することによって少し変化するものである。
【0051】
両ブスバー構成部材1、1の端面2、2間には、断面円環状の冷却水導通管10が配置されている。この冷却水導通管10は、一方のブスバー構成部材1の冷却水通路3内の冷却水を他方のブスバー構成部材1の冷却水通路3内へと導通させるものである。
【0052】
冷却水導通管10は、両ブスバー構成部材1、1の端面2、2間の距離の変化に追従して変形可能なフレキシブルなものであり、軟質ゴム、軟質樹脂又は金属編組で形成されている。このような材料で冷却水導通管10を形成することにより、冷却水導通管10を安価に入手することができるし、更に、両ブスバー構成部材1、1の端面2、2間の距離の変化をこの冷却水導通管10によって確実に吸収することができる。この冷却水導通管10の長さは、両ブスバー構成部材1、1の端面2、2間の距離よりも少し長く設定されている。
【0053】
図4に示すように、各ブスバー構成部材1の端面2の冷却水通路開口部3aには、開口部3aと冷却水導通管10の各端部とを結合する短筒状の金属製結合部材12がその周方向の全周に亘って溶接されて固着されている。14は、結合部材12を開口部3aに固着した溶接部である。そして、一方の結合部材12に冷却水導通管10の一端部が外嵌状態に且つ冷却水漏出阻止状態に結合されるとともに、他方の結合部材12に冷却水導通管10の他端部が冷却水漏出阻止状態に結合されている。これにより、両開口部3a同士が冷却水導通管10を介して互いに連通状態に連結されている。13は、結合部材12に冷却水導通管10の端部を冷却水漏出阻止状態に巻締め固定したリング状巻締め部材である。
【0054】
さらに、両ブスバー構成部材1、1同士が、両ブスバー構成部材1、1に跨って配置された2個の導電性部材20、20を介して互いに電気的に接続されている。各導電性部材20はブスバー構成部材1の長さ方向Lと平行に配置されている。
【0055】
両導電性部材20、20は、互いに同一形状及び同一材質である。各導電性部材20はその全体形状が板状に形成されている。導電性部材20は、ブスバー構成部材1の導電率と同等以上の導電率を有する良導体からなり、具体的には、導電性部材20は、ブスバー構成部材1の材質と同じ材質(即ちアルミニウム又はアルミニウム合金)で製作されるか、あるいは銅などで製作されている。本実施形態では導電性部材20は例えば銅で製作される。
【0056】
ブスバー構成部材1の材質が例えば合金番号1070のアルミニウム又は6063のアルミニウム合金である場合、そのブスバー構成部材1の導電率は、それぞれ、IACS(International Annealed Copper Standerd)で61%(1070アルミニウム)又は55%(6063アルミニウム合金)である。一方、導電性部材20の材質が銅である場合、その導電率は、当然、IACSで100%である。したがって、導電性部材20の電気抵抗を小さくするためには、導電性部材20の材質はアルミニウム又はその合金よりも銅の方が望ましい。
【0057】
導電性部材20の長さは、両ブスバー構成部材1、1の端面2、2間の距離よりも80〜200mm長く設定されている。導電性部材20の幅は例えばブスバー構成部材1の幅と略等しく設定されており、またその厚さは例えば5〜20mmに設定されている。
【0058】
導電性部材20の長さ方向一端部21は、導電性部材20における一方のブスバー構成部材1との取付け部23に対応し、導電性部材20の長さ方向他端部21は、導電性部材20における他方のブスバー構成部材1との取付け部23に対応している。22は、導電性部材20の長さ方向中間部である。導電性部材20の長さ方向両端部21、21及び中間部22はそれぞれ板状に形成されている。
【0059】
本実施形態では、導電性部材20はその全体が長さ方向に真直に形成されているが、本発明では、その他に、例えば導電性部材20の中間部22が局部的に円弧状に屈曲していても良い(図13〜16参照)。
【0060】
そして、2個の導電性部材20、20の長さ方向一端部21、21(即ち取付け部23、23)は、一方のブスバー構成部材1の長さ方向端部をその厚さ方向Hに挟んだ状態に配置されている。詳述すると、各導電性部材20の一端部21は一方のブスバー構成部材1の端部の外周面上に重ねられて配置されている。そして、一方の導電性部材20の一端部21、一方のブスバー構成部材1の端部及び他方の導電性部材20の一端部21を順次貫通した状態に配置された複数個(本実施形態では4個)の通しボルト29によって、一方の導電性部材20の一端部21、一方のブスバー構成部材1の端部及び他方の導電性部材20の一端部21が互いに順次密着する方向に締結されている。これにより、両導電性部材20、20の一端部21、21が一方のブスバー構成部材1に固定状態に連結されるとともに、両導電性部材20、20と一方のブスバー構成部材1とが電気的に接続されている。各通しボルト29はワッシャ29bに通されて配置されており、このワッシャ29bによって通しボルト29による締結力の均等化が図られている。29aは、通しボルト29の先端部に螺合したナットである。なお、通しボルト29は、各導電性部材20、20及びブスバー構成部材1にそれぞれ設けられたボルト挿通孔(図示せず)に挿通されることで、これら三部材20、1、20を順次貫通した状態に配置されている。
【0061】
上と同様に、2個の導電性部材20、20の長さ方向他端部21、21(即ち取付け部23、23)は、他方のブスバー構成部材1の長さ方向端部をその厚さ方向Hに挟んだ状態に配置されている。そして、一方の導電性部材20の他端部21、他方のブスバー構成部材1の端部及び他方の導電性部材20の他端部21を順次貫通した状態に配置された複数個(本実施形態では4個)の通しボルト29によって、一方の導電性部材20の他端部21、他方のブスバー構成部材1の端部及び他方の導電性部材20の他端部21が互いに順次密着する方向に締結されている。これにより、両導電性部材20、20の他端部21、21が他方のブスバー構成部材1に固定状態に連結されるとともに、両導電性部材20、20と他方のブスバー構成部材1とが電気的に接続されている。
【0062】
このようにして、両ブスバー構成部材1、1同士が2個の導電性部材20、20を介して互いに電気的に接続されている。
【0063】
さらに、2個の導電性部材20、20における、一方のブスバー構成部材1との接触面20a、20aの全面積(即ち合計面積)は、一方のブスバー構成部材1の横断面積と同等以上に設定されている。これにより、両導電性部材20、20と一方のブスバー構成部材1との間の導通面積を確保し得て両導電性部材20、20と一方のブスバー構成部材1との間に発生することのある発熱を確実に抑制することができる。
【0064】
上と同様に、2個の導電性部材20、20における、他方のブスバー構成部材1との接触面20a、20aの全面積(即ち合計面積)は、他方のブスバー構成部材1の横断面積と同等以上に設定されている。これにより、両導電性部材20、20と他方のブスバー構成部材1との間の導通面積を確保し得て両導電性部材20、20と他方のブスバー構成部材1との間に発生することのある発熱を確実に抑制することができる。
【0065】
さらに、図5に示すように、ブスバー構成部材1の導電性部材20との接触面1aの表面は、ブスバー構成部材1の構成材料(即ちアルミニウム又はその合金)とは異種の金属で置換されている。これにより、この接触面1aの表面には、絶縁性の酸化層(例:自然酸化層、水和酸化層)ではなく、ブスバー構成部材1の接触面1aの表面が異種金属で置換されてなる異種金属置換層1bが形成されている。この異種金属置換層1bは導電性(詳述すると良導電性)を有している。
【0066】
上と同様に、導電性部材20のブスバー構成部材1との接触面20aの表面は、導電性部材20の構成材料とは異種の金属で置換されている。これにより、この接触面20aの表面には、絶縁性の酸化層(例:自然酸化層、水和酸化層)ではなく、導電性部材20の接触面20aの表面が異種金属で置換されてなる異種金属置換層20bが形成されている。この異種金属置換層20bは導電性(詳述すると良導電性)を有している。
【0067】
本発明では、各異種金属置換層1b、20bは、無電解メッキ層、電気メッキ層又ははんだメッキ層であることが望ましい。また、各異種金属置換層1b、20bの厚さは例えば0.1〜2μmである。
【0068】
さらに、図5に示すように、導電性部材20とブスバー構成部材1は、導電性部材20とブスバー構成部材1との接触面20a、1a間に配置された導電性ペースト層30を介して互いに連結されている。
【0069】
導電性ペースト層30は、導電性粒子を含有したものであり、詳述すると導電性粒子として、金、銀、銅、カーボン、カーボンナノチューブ、アルミニウム、マグネシウム、亜鉛、ニッケル、スズ、鉛及びビスマスからなる群より選択された一種又は二種以上を含有している。このような導電性粒子を含有した導電性ペースト層30を導電性部材20とブスバー構成部材1との接触面20a、1a間に配置することにより、導電性部材20とブスバー構成部材1との間の導電性を確実に向上させることができる。導電性ペースト層30の厚さは例えば1〜5μmである。この導電性ペースト層30では、導電性粒子は樹脂ペースト中に均一に混合分散されている。
【0070】
次に、本実施形態のブスバー40Aの製造方法について以下に説明する。
【0071】
まず、ブスバー40Aを構成する複数個のアルミニウム又はその合金製ブスバー構成部材1を準備する。この工程を「ブスバー構成部材準備工程」という。複数個のブスバー構成部材のうち長さ方向Lに互いに隣り合って配置される2個のブスバー構成部材1、1の内部には、それぞれ、冷却水通路3が長さ方向L全長に亘って形成されている。また、各ブスバー構成部材1の端面2の中央部には冷却水通路3の開口部3aが形成されている。さらに、各開口部3aには結合部材12が固着されている。また、ブスバー構成部材1の端部には、複数個の通しボルト29用ボルト挿通孔(図示せず)がその厚さ方向Hに貫通して設けられている。
【0072】
また、複数個の導電性部材20を準備する。この工程を「導電性部材準備工程」という。各導電性部材20の両端部21、21にはそれぞれ複数個の通しボルト29用ボルト挿通孔(図示せず)がその厚さ方向に貫通して設けられている。
【0073】
次いで、各ブスバー構成部材1の導電性部材20との接触面1aを、ブスバー構成部材1の構成材料とは異種の金属で置換する。この工程を「異種金属置換工程」という。
【0074】
この異種金属置換工程では、各ブスバー構成部材1の接触面1aに異種金属置換層1bとして無電解メッキ層、電気メッキ層又ははんだメッキ層を形成し、これにより各ブスバー構成部材1の接触面1aを異種金属で置換する。
【0075】
ブスバー構成部材1の接触面1aに異種金属置換層1bとして無電解メッキ層を形成する場合には、異種金属置換層1bを容易に形成することができる。無電解メッキ層の金属種(メッキ種)としては、亜鉛、銅、ニッケル等が好適に用いられる。
【0076】
ブスバー構成部材1の接触面1aに無電解メッキ層を形成する方法としては、公知の無電解メッキ方法が適用され、これを簡単に説明すると次のとおりである。
【0077】
すなわち、ブスバー構成部材1の接触面1aを、市販の脱脂液を用いて脱脂し、水洗いする。次いで、接触面1aを水酸化ナトリウム水溶液50g/Lを用いて50℃×1minの条件でエッチングすることにより、接触面1aの酸化層を除去し、水洗いする。次いで、接触面1aを硝酸水溶液100g/Lを用いて30秒間中和し、水洗いする。このような一連の処理を前処理という。次いで、接触面1aを、酸化亜鉛20g/L、水酸化ナトリウム120g/L、塩化第二鉄2g/L、ロッセル塩50g/L及び硝酸ナトリウム1g/Lのメッキ液を用いて常温×1minの条件で処理する。これにより、接触面1aに無電解メッキ層を形成する。
【0078】
ブスバー構成部材1の接触面1aに異種金属置換層1bとして電気メッキ層を形成する場合には、緻密な異種金属置換層1bを形成することができる。電気メッキ層の金属種(メッキ種)としては、亜鉛、スズ、銅、ニッケル、銀等が好適に用いられる。
【0079】
ブスバー構成部材1の接触面1aに電気メッキ層を形成する方法としては、公知の電気メッキ方法が適用され、これを簡単に説明すると次のとおりである。
【0080】
すなわち、ブスバー構成部材1の接触面1aに対して、上述した前処理と同様に、脱脂、水洗い、エッチング、水洗い、中和、水洗いを順次行う。次いで、接触面1aを硫酸銅(CuSO4)200g/L及び硫酸(H2SO4)100g/Lのメッキ液を用いて温度30℃×通電電流(直流)1〜5A/dm2の条件で処理する。これにより、接触面1aに電気メッキ層を形成する。
【0081】
ブスバー構成部材1の接触面1aに異種金属置換層1bとしてはんだメッキ層を形成する場合には、異種金属置換層1bをブスバー40Aの設置現場で形成することができる。はんだメッキ層の金属種(はんだ種)としては、Zn−Al系、Sn−Zn系、Cd−Zn系、Zn−Cd系等が好適に用いられる。
【0082】
ブスバー構成部材1の接触面1aにはんだメッキ層を形成する方法としては、公知のはんだメッキ方法が適用され、これを簡単に説明すると次のとおりである。
【0083】
すなわち、ブスバー構成部材1の接触面1aの酸化層を除去するために接触面1aに市販のフラックスを塗布し、例えばSn91Zn(Sn91%+Zn9%)のシート状、粒状、粉状のはんだを載置する。次いで、フラックス及びはんだを約200℃で加熱溶融する。これにより、接触面1aにはんだメッキ層を形成する。
【0084】
また、導電性部材20のブスバー構成部材1との接触面20aに異種金属置換層20bとして無電解メッキ層、電気メッキ層又ははんだメッキ層を形成する。各層の形成方法としては公知の方法が適用され、例えば上述した方法が適用される。
【0085】
次いで、導電性部材20とブスバー構成部材1との接触面20a、1aの少なくとも一方に、導電性粒子を含有した導電性ペーストを付着させて導電性ペースト層30を形成する。この工程を「導電性ペースト付着工程」という。
【0086】
導電性ペースト層30の導電性粒子の平均粒径は例えば1〜50μmの範囲に設定されている。導電性粒子は導電性ペースト層中に均一に分散している。
【0087】
次いで、複数個のブスバー構成部材のうち長さ方向Lに互いに隣り合う2個のブスバー構成部材1、1について、一方のブスバー構成部材1の端面2と他方のブスバー構成部材1の端面2とを互いに対向状に離間して配置する。この工程を「配置工程」という。
【0088】
次いで、一方のブスバー構成部材1の端面2の冷却水通路開口部3aに固着された結合部材12にフレキシブルな冷却水導通管10の一端部を冷却水漏出阻止状態に結合するとともに、他方のブスバー構成部材1の端面2の冷却水通路開口部3aに固着された結合部材12に冷却水導通管10の他端部を冷却水漏出阻止状態に結合する。これにより、一方のブスバー構成部材1の端面2の冷却水通路開口部3aと他方のブスバー構成部材1の端面2の冷却水通路開口部3aとを、冷却水導通管10を介して互いに連通状態に連結する。この工程を「連結工程」という。
【0089】
次いで、2個の導電性部材20、20の一端部21、21(即ち取付け部23、23)を、これら(21、21)の間に一方のブスバー構成部材1の端部をその厚さ方向Hに挟んだ状態に配置する。そして、一方の導電性部材20の一端部21、一方のブスバー構成部材1の端部及び他方の導電性部材20の一端部21を順次貫通した状態に配置された複数個の通しボルト29によって、一方の導電性部材20の一端部21、一方のブスバー構成部材1の端部及び他方の導電性部材20の一端部21を互いに順次密着する方向に締結する。これにより、各導電性部材20と一方のブスバー構成部材1とが導電性ペースト層30を介して互いに連結されるとともに、この状態で両導電性部材20、20と一方のブスバー構成部材1とが電気的に接続される。
【0090】
上と同様に、2個の導電性部材20、20の他端部21、21(即ち取付け部23、23)を、これら(21、21)の間に他方のブスバー構成部材1の端部をその厚さ方向Hに挟んだ状態に配置する。そして、一方の導電性部材20の他端部21、他方のブスバー構成部材1の端部及び他方の導電性部材20の他端部21を順次貫通した状態に配置された複数個の通しボルト29によって、一方の導電性部材20の他端部21、他方のブスバー構成部材1の端部及び他方の導電性部材20の他端部21を互いに順次密着する方向に締結する。これにより、各導電性部材20と他方のブスバー構成部材1とが導電性ペースト層30を介して互いに連結されるとともに、この状態で両導電性部材20、20と他方のブスバー構成部材1とが電気的に接続される。このような工程を「電気的接続工程」という。
【0091】
これらの工程を経ることにより、図1に示した本実施形態のブスバー40Aが製造される。
【0092】
なお上記実施形態では、連結工程の後で電気的接続工程が行われているが、本発明では、その他に、電気的接続工程の後で連結工程を行っても良い。
【0093】
而して、本実施形態のブスバー40Aには次の利点がある。
【0094】
両ブスバー構成部材1、1の端面2、2同士が互いに離間して配置されているので、両ブスバー構成部材1、1の端面2、2間に発生することのある隙間腐食を防止することができる。
【0095】
さらに、両ブスバー構成部材1、1同士が導電性部材20を介して互いに電気的に接続されているので、電流が両ブスバー構成部材1、1のうち一方のブスバー構成部材1から導電性部材20を通って他方のブスバー構成部材1へと流れるようになり、即ち一方のブスバー構成部材1と他方のブスバー構成部材1との間の通電を確保することができる。
【0096】
さらに、両ブスバー構成部材1、1の端面2、2の冷却水通路開口部3a、3a同士が冷却水導通管10を介して互いに連通状態に連結されているので、両ブスバー構成部材1、1をその全長さ領域に亘って冷却することができる。
【0097】
その上、冷却水導通管10がフレキシブルなものであるから、各ブスバー構成部材1の温度変化に伴い両ブスバー構成部材1、1の端面2、2間の距離が変化した場合には、この距離変化に追従して冷却水導通管10が伸縮又は屈曲する。これにより、両ブスバー構成部材1、1間の冷却水通路の連続性を確保することができ、もって各ブスバー構成部材1を確実に冷却することができる。
【0098】
さらに、導電性部材20とブスバー構成部材1とが通しボルト29によって締結されているので、導電性部材20とブスバー構成部材1とを施工性良く連結することができる。さらに、導電性部材20とブスバー構成部材1とが互いに密着する方向に締結されているので、導電性部材20とブスバー構成部材1との間の電気抵抗を小さくすることができる。
【0099】
さらに、導電性部材20とブスバー構成部材1とが、導電性部材20とブスバー構成部材1との接触面20a、1a間に配置された導電性ペースト層30を介して互いに連結されている。したがって、もし仮に導電性部材20とブスバー構成部材1との接触面20a、1aにそれぞれ微細な凹凸が形成されていても、この微細凹凸に起因して両接触面20a、1a間に生じる隙間が導電性ペースト層30で塞がれる。そのため、導電性部材20とブスバー構成部材1との接触面積が増大する。これにより、導電性部材20とブスバー構成部材1との間の電気抵抗を小さくすることができ、即ち導電性部材20とブスバー構成部材1との間の導電性を確実に向上させることができる。
【0100】
さらに、ブスバー構成部材1の導電性部材20との接触面1aが、ブスバー構成部材1の構成材料とは異種の金属で置換されることにより、ブスバー構成部材1の接触面1aに絶縁性の酸化層(例:自然酸化層、水和酸化層)が形成されるのを防止することができる。これにより、導電性部材20とブスバー構成部材1との間の電気抵抗を更に小さくすることができる。
【0101】
その上、導電性部材20のブスバー構成部材1との接触面20aが、導電性部材20の構成材料とは異種の金属で置換されることにより、導電性部材20の接触面20aに絶縁性の酸化層(例:自然酸化層、水和酸化層)が形成されるのを防止することができる。これにより、導電性部材20とブスバー構成部材1との間の電気抵抗を更に一層小さくすることができる。
【0102】
而して、本実施形態のブスバー40Aでは、導電性部材20とブスバー構成部材1との接触面20a、1a間に導電性ペースト層30が配置されているが、本発明では、その他に、図6に示すように、導電性ペースト層30の代わりにはんだ層31が配置されていても良い。このはんだ層31は次のようにして配置されたものである。
【0103】
導電性部材20とブスバー構成部材1との接触面20a、1a間に、シート状、粒状又は粉状のはんだを挟み、次いではんだを火炎バーナーや誘導加熱手段等によって加熱溶融させることにより、導電性部材20とブスバー構成部材1との接触面20a、1a間にはんだ層31を配置する。こうすることにより、両接触面20a、1a同士がはんだ層31によって接合固着されるとともに、この状態で導電性部材20とブスバー構成部材1とが通しボルト29によって互いに連結される。この場合には、もし仮に導電性部材20とブスバー構成部材1との接触面20a、1aにそれぞれ微細な凹凸が形成されていても、この微細凹凸に起因して両接触面20a、1a間に生じる隙間がはんだ層31で塞がれる。そのため、導電性部材20とブスバー構成部材1との接触面積が増大する。これにより、導電性部材20とブスバー構成部材1との間の電気抵抗を更に小さくすることができる。はんだ層20の厚さは例えば導電性ペースト層31の厚さと同じ厚さに設定される。また、はんだ層のはんだ種としては、Zn−Al系、Sn−Zn系、Cd−Zn系、Zn−Cd系等が好適に用いられる。
【0104】
図7及び8は、上記実施形態のブスバー40Aにおける第1変形形態を説明する図である。本第1変形形態について上記実施形態とは異なる点を中心に以下に説明する。
【0105】
本第1変形形態のブスバー40Bでは、各ブスバー構成部材1の端部の外周面における上面及び下面には、それぞれ凹状の切欠き部4、4が各ブスバー構成部材1の端面2まで延びて形成されている。切欠き部4の深さは、導電性部材20の厚さと等しく設定されている。
【0106】
そして、各導電性部材20の一端部21(即ち取付け部23)が一方のブスバー構成部材1の各切欠き部4に嵌め込まれるとともに、各導電性部材20の他端部21(即ち取付け部23)が他方のブスバー構成部材1の各切欠き部4に嵌め込まれている。そして、上記実施形態と同様に、両導電性部材20、20の一端部21、21と一方のブスバー構成部材1の端部とが複数個の通しボルト29によって互いに密着する方向に締結されるとともに、両導電性部材20、20の他端部21、21と他方のブスバー構成部材1の端部とが複数個の通しボルト29によって互いに密着する方向に締結されている。このように締結された状態において、各ブスバー構成部材1の外周面と導電性部材20の外面とは互いに長さ方向Lに面一(つらいち)に連なっている。
【0107】
本第1変形形態のブスバー40Bのその他の構成は、上記実施形態のブスバー40Aと同じである。
【0108】
本第1変形形態のブスバー40Bによれば、各ブスバー構成部材1の外周面に形成された切欠き部4に、導電性部材20の端部21、即ち導電性部材20のブスバー構成部材1との取付け部23が嵌め込まれているので、導電性部材20の端部21(取付け部23)がブスバー構成部材1に取り付けられた状態において、導電性部材20の端部21がブスバー構成部材1の外周面から突出する突出量を小さくすることができる。これにより、ブスバー40Bを狭い空間内に配置する際に導電性部材20の端部21が他の部材と干渉するのを防止することができるし、また複数個のブスバー40Bを互いに近接して配置することができ、もってブスバー40Bの設置スペースについて省スペース化を図ることができる。
【0109】
さらに、導電性部材20の端部21が切欠き部4に嵌め込まれているから、導電性部材20の端部21が切欠き部4に嵌め込まれていない場合に比べて、導電性部材20の端部21が切欠き部4に嵌め込まれた分、導電性部材20とブスバー構成部材1との接触面20a、1aが冷却水通路3に接近している。これにより、導電性部材20とブスバー構成部材1との接触面20a、1aを確実に冷却することができる。
【0110】
図9及び10は、上記実施形態のブスバー40Aにおける第2変形形態を説明する図である。本第2変形形態について上記実施形態とは異なる点を中心に以下に説明する。
【0111】
本第2変形形態のブスバー40Cでは、一方のブスバー構成部材1と他方のブスバー構成部材1とは、互いに一直線上に並んで配置されておらず、互いに所定角度をなして配置されている。両ブスバー構成部材1、1間のなす角度θは、例えば45〜135°であり、詳述するとθは90°である(図10参照)。すなわち、他方のブスバー構成部材1は、一方のブスバー構成部材1の幅方向W片側に、一方のブスバー構成部材1に対して所定角度θで曲がった状態に配置されている。
【0112】
そして、2個のL字状の導電性部材20、20の一端部21、21がそれぞれ一方のブスバー構成部材1の端部の外周面における内角側の表面とその反対側の表面とに重ねられて配置されるとともに、両導電性部材20、20の他端部21、21がそれぞれ他方のブスバー構成部材1の端部の外周面における内角側の表面とその反対側の表面とに重ねられて配置されている。すなわち、両導電性部材20、20の一端部21、21が一方のブスバー構成部材1の端部をその幅方向Wに挟んだ状態に配置されるとともに、両導電性部材20、20の他端部21、21が他方のブスバー構成部材1の端部をその幅方向Wに挟んだ状態に配置されている。そして、上記実施形態と同様に、両導電性部材20の一端部21、21と一方のブスバー構成部材1の端部とが複数個の通しボルト29によって互いに密着する方向に締結されるとともに、両導電性部材20、20の他端部21、21と他方のブスバー構成部材1の端部とが複数個の通しボルト29によって互いに密着する方向に締結されている。
【0113】
本第2変形形態のブスバー40Cのその他の構成は、上記実施形態のブスバー40Aと同じである。
【0114】
図11及び12は、上記実施形態のブスバー40Aにおける第3変形形態を説明する図である。本第3変形形態について上記実施形態とは異なる点を中心に以下に説明する。
【0115】
本第3変形形態のブスバー40Dでは、上記第2変形形態と同様に、一方のブスバー構成部材1と他方のブスバー構成部材1とは、互いに一直線上に並んで配置されておらず、互いに所定角度をなして配置されている。両ブスバー構成部材1、1間のなす角度θは、例えば45〜135°であり、詳述するとθは90°である(図12参照)。すなわち、他方のブスバー構成部材1は、一方のブスバー構成部材1の幅方向W片側に、一方のブスバー構成部材1に対して所定角度θで曲がった状態に配置されている。
【0116】
そして、2個の平板状の導電性部材20、20の一端部21、21がそれぞれ一方のブスバー構成部材1の端部の外周面における上面と下面に重ねられて配置されるとともに、両導電性部材20、20の他端部21、21がそれぞれ他方のブスバー構成部材1の端部の外周面における上面と下面に重ねられて配置されている。すなわち、両導電性部材20、20の一端部21、21が一方のブスバー構成部材1の端部をその厚さ方向Hに挟んだ状態に配置されるとともに、両導電性部材20、20の他端部21、21が他方のブスバー構成部材1の端部をその厚さ方向Hに挟んだ状態に配置されている。そして、上記実施形態と同様に、両導電性部材20、20の一端部21、21と一方のブスバー構成部材1の端部とが複数個の通しボルト29によって互いに密着する方向に締結されるとともに、両導電性部材20、20の他端部21、21と他方のブスバー構成部材1の端部とが複数個の通しボルト29によって互いに密着する方向に締結されている。
【0117】
図13は、上記実施形態のブスバー40Aにおける第4変形形態を説明する図である。本第4変形形態について上記実施形態とは異なる点を中心に以下に説明する。
【0118】
本第4変形形態のブスバー40Eでは、導電性部材20は、その全体が、多数の金属製薄板24aが積層されて形成された板状積層体24で形成されている。したがって、導電性部材20の長さ方向両端部21、21と中間部22は、いずれも板状(詳述すると厚板状)に形成されている。薄板24aの材質は例えば銅である。薄板24aの厚さは例えば0.1〜2mmである。積層体24における薄板24aの積層枚数は例えば10〜100枚である。また、互いに隣接する2枚の薄板24a、24a同士は互いに固着されておらず、単に重ね合わされているだけである。そのため、導電性部材20の少なくとも中間部22は変形し易くなっている。さらに、導電性部材20の中間部22は局部的に円弧状に屈曲しており、これにより、導電性部材20の中間部22が更に変形し易くなっている。
【0119】
本第4変形形態のブスバー40Eのその他の構成は、上記実施形態のブスバー40Aと同じである。
【0120】
本第4変形形態のブスバー40Eによれば、導電性部材20の両端部21、21は、硬質の板状に形成されるとともに、両ブスバー構成部材1、1に通しボルト29によって固定状態に連結されている。したがって、導電性部材20の両端部21、21を両ブスバー構成部材1、1に面接触状態に接触させて連結することができ、これにより、導電性部材20とブスバー構成部材1との間の導通面積を確保し得て導電性部材20とブスバー構成部材1との間に発生することのある発熱を確実に抑制することができる。
【0121】
さらに、導電性部材20の少なくとも中間部22が、多数の薄板24aが積層されて形成された積層体24で形成されている。したがって、各ブスバー構成部材1の温度変化に伴い両ブスバー構成部材1、1の端面2、2間の距離が変化した場合には、この距離変化に追従して導電性部材20の中間部22が変形する。これにより、両ブスバー構成部材1、1の端面2、2間の距離の変化を導電性部材20の中間部22で確実に吸収することができる。
【0122】
図14は、上記実施形態のブスバー40Aにおける第5変形形態を説明する図である。本第5変形形態について上記実施形態とは異なる点を中心に以下に説明する。
【0123】
本第5変形形態のブスバー40Fでは、上記第4変形形態と同様に、導電性部材20は、その全体が、多数の金属(例えば銅)製薄板24aが積層されて形成された板状積層体24で形成されている。したがって、導電性部材20の長さ方向両端部21、21と中間部22は、いずれも板状(詳述すると厚板状)に形成されている。さらに、導電性部材20の各端部21において、互いに隣接する2枚の薄板24a、24aの端部同士が両薄板24a、24a間に配置されたろう材によってろう付接合されている。25は、そのろう付接合である。これにより、多数の薄板24aの端部が一体化されている。
【0124】
一方、導電性部材20の中間部22において、多数の薄板24aの中間部はそのように一体化されておらず、単に重ね合わされているだけである。そのため、導電性部材20の中間部22は変形し易くなっている。さらに、導電性部材20の中間部22は局部的に円弧状に屈曲しており、これにより、導電性部材20の中間部22が更に変形し易くなっている。
【0125】
本第5変形形態のブスバー40Fのその他の構成は、上記実施形態のブスバー40Aと同じである。
【0126】
本第5変形形態のブスバー40Fによれば、導電性部材20の両端部21、21は、硬質の板状に形成されるとともに、両ブスバー構成部材1、1に通しボルト29によって固定状態に連結されている。したがって、導電性部材20の両端部21、21を両ブスバー構成部材1、1に面接触状態に接触させて連結することができ、これにより、導電性部材20とブスバー構成部材1との間の導通面積を確保し得て導電性部材20とブスバー構成部材1との間に発生することのある発熱を確実に抑制することができる。
【0127】
さらに、導電性部材20の中間部22が、多数の薄板24aが積層されて形成された積層体24で形成されている。したがって、各ブスバー構成部材1の温度変化に伴い両ブスバー構成部材1、1の端面2、2間の距離が変化した場合には、この距離変化に追従して導電性部材20の中間部22が変形する。これにより、両ブスバー構成部材1、1の端面2、2間の距離の変化を導電性部材20の中間部22で確実に吸収することができる。
【0128】
図15は、上記実施形態のブスバー40Aにおける第6変形形態を説明する図である。本第6変形形態について上記実施形態とは異なる点を中心に以下に説明する。
【0129】
本第6変形形態のブスバー40Gでは、導電性部材20の長さ方向両端部21、21は、それぞれ1個の金属(例えば銅)製厚板で形成されている。一方、導電性部材20の長さ方向中間部22は、多数の金属(例えば銅)製薄板24aが積層されて形成された板状積層体24で形成されている。そして、各薄板24aの両端が、導電性部材20の両端部21、21を形成する両厚板にろう付接合されている。26は、そのろう付接合部である。また、互いに隣接する2枚の薄板24a、24a同士は互いに固着されておらず、単に重ね合わされているだけである。そのため、導電性部材20の中間部22は変形し易くなっている。さらに、導電性部材20の中間部22は局部的に円弧状に屈曲しており、これにより、導電性部材20の中間部22が更に変形し易くなっている。
【0130】
本第6変形形態のブスバー40Gのその他の構成は、上記実施形態のブスバー40Aと同じである。
【0131】
本第6変形形態のブスバー40Gは、上記第5変形形態のブスバー40Fと同様の利点がある。
【0132】
図16は、上記実施形態のブスバー40Aにおける第7変形形態を説明する図である。本第7変形形態について上記実施形態とは異なる点を中心に以下に説明する。
【0133】
本第7変形形態のブスバー40Hでは、導電性部材20は、その全体が、多数の金属製細線27aが帯状に束ねられて形成された帯状細線束27で形成されている。細線束27はフレキシブルなものである。細線束27の厚さは例えば5〜20mmである。細線束27の幅はブスバー構成部材1の幅と略等しく設定されている。また、細線27aの材質は例えば銅である。細線27aの直径は例えば0.1〜0.5mmである。
【0134】
さらに、導電性部材20の両端部21、21上にそれぞれ金属(例えば銅)製挟み板28、28が配置されている。そして、一方の挟み板28と一方のブスバー構成部材1との間で導電性部材20の一端部21が挟まれるとともに、この状態で導電性部材20の一端部21が一方のブスバー構成部材1に通しボルト29によって固定状態に連結されている。これと同じく、他方の挟み板28と他方のブスバー構成部材1との間で導電性部材20の他端部21が挟まれるとともに、この状態で導電性部材20の他端部21が他方のブスバー構成部材1に通しボルト29によって固定状態に連結されている。
【0135】
本第7変形形態のブスバー40Hのその他の構成は、上記実施形態のブスバー40Aと同じである。
【0136】
本第7変形形態のブスバー40Hによれば、導電性部材20の少なくとも長さ方向中間部22が多数の細線27aが束ねられて形成された細線束27で形成されている。したがって、各ブスバー構成部材1の温度変化に伴い両ブスバー構成部材1、1の端面2、2間の距離が変化した場合には、この距離変化に追従して導電性部材20の中間部22が変形する。これにより、両ブスバー構成部材1、1の端面2、2間の距離の変化を導電性部材20の中間部22で確実に吸収することができる。
【0137】
以上で本発明の幾つかの実施形態及び変形形態を説明したが、本発明はこれらの実施形態及び変形形態に示したものであることに限定されるものではなく、様々に変更可能である。
【0138】
例えば、上記実施形態及び変形形態では、2個のブスバー構成部材1、1を電気的に繋ぐ導電性部材20の個数は2個であるが、本発明では、その他に、例えば1個であっても良いし2個以上であっても良い。
【0139】
また本発明では、上述したように、ブスバー構成部材の厚さ方向H及び幅方向Wは絶対的な方向ではなく互いに相対的な方向である。したがって、本発明に係る水冷式ブスバー及びその製造方法は、上記実施形態及び変形形態で説明したブスバー構成部材の厚さ方向H及び幅方向Wをそれぞれ幅方向及び厚さ方向に読み替えて構成しても良い。
【0140】
また、本発明に係る水冷式ブスバー及びその製造方法は、上記実施形態及び変形形態に適用された技術思想のうち二つ以上を組み合わせて構成しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0141】
本発明は、供給先に給電する給電路として使用される水冷式ブスバー及びその製造方法に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0142】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係る水冷式ブスバーの斜視図である。
【図2】図2は、同ブスバーの側面図である。
【図3】図3は、同ブスバーの正面図である。
【図4】図4は、同ブスバーの縦断面図である。
【図5】図5は、図4中のZ部分の拡大図である。
【図6】図6は、同ブスバーにおける一変形例を示す、図5に対応する拡大図である
【図7】図7は、本発明の第1変形形態に係る水冷式ブスバーの斜視図である。
【図8】図8は、同ブスバーの縦断面図である。
【図9】図9は、本発明の第2変形形態に係る水冷式ブスバーの斜視図である。
【図10】図10は、同ブスバーの平面図である。
【図11】図11は、本発明の第3変形形態に係る水冷式ブスバーの斜視図である。
【図12】図12は、同ブスバーの平面図である。
【図13】図13は、本発明の第4変形形態に係る水冷式ブスバーの斜視図である。
【図14】図14は、本発明の第5変形形態に係る水冷式ブスバーの斜視図である。
【図15】図15は、本発明の第6変形形態に係る水冷式ブスバーの斜視図である。
【図16】図16は、本発明の第7変形形態に係る水冷式ブスバーの斜視図である。
【図17】図17は、本発明の一関連技術に係る水冷式ブスバーの縦断面図である。
【図18】図18は、本発明のもう一つの関連技術に係る水冷式ブスバーの縦断面図である。
【符号の説明】
【0143】
1:ブスバー構成部材
1a:接触面
1b:異種金属置換層
2:端面
3:冷却水通路
3a:開口部
4:切欠き部
10:冷却水導通管
20:導電性部材
20a:接触面
20b:異種金属置換層
21:端部
22:中間部
23:取付け部
24:積層体
24a:薄板
27:細線束
27a:細線
29:通しボルト
30:導電性ペースト層
31:はんだ層
40A〜40H:ブスバー
L:ブスバー構成部材(ブスバー)の長さ方向
H:ブスバー構成部材(ブスバー)の厚さ方向
W:ブスバー構成部材(ブスバー)の幅方向
【技術分野】
【0001】
本発明は、供給先に給電する給電路として使用される水冷式ブスバー及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば国際熱核融合実験炉(いわゆるITER)に採用されたトカマク型の炉には、プラズマを閉じ込めるための磁場を発生させる超伝導コイルが設置されている。この超伝導コイルには磁場を発生させるために高電圧大電流の電力を供給する必要がある。
【0003】
このような高電圧大電流の電力を超伝導コイルに供給するための給電路として、近年、水冷式ブスバーを採用することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。このブスバーは、軽量化を図るためにアルミニウム又はその合金で製作されている。
【0004】
このブスバーは、通電時に生じる発熱量が一般の工場で使用される低電圧大電流用や高電圧小電流用のものと比べて非常に大きい。そのため、ブスバーの内部には、ブスバーを冷却するための冷却水が流通する冷却水通路がブスバーの長さ方向(即ち通電方向)に延びて形成されている。さらに、このブスバーは、炉の小型化を図るためにトンネル状の狭い空間内を通して配置されるものであり、また、このような狭い空間内にブスバーが複数個、近接して配置されるものである。
【特許文献1】特開2004−193067号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
而して、上述のような用途に用いられるブスバーのうち長尺なブスバーは、複数個の金属製ブスバー構成部材を長さ方向に順次連結することにより製造される。長さ方向に互いに隣り合う2個のブスバー構成部材の連結方法として、図17及び18に示す二つの方法が考えられる。各図に示した方法について以下に説明する。
【0006】
図17において、140はブスバーである。このブスバー140の2個のブスバー構成部材101、101の内部には、それぞれ冷却水通路103、103が長さ方向に延びて形成されている。さらに、各ブスバー構成部材101、101の長さ方向の端面102、102の中央部に、冷却水通路の開口部103a、103aが形成されている。そして、両ブスバー構成部材101、101の端面102、102同士が、互いに冷却水通路103、103同士を連通させた状態に突き合わされるとともに、この状態で両端面102、102同士がその外周面側から溶接(例:TIG溶接、MIG溶接)によって全周に亘って接合されている。なお120は、両ブスバー構成部材101、111の端面102、102同士を接合した溶接部である。
【0007】
図17に示した方法によれば、両ブスバー構成部材101、101の端面102、102同士が溶接によって接合されるので、良好な通電性を得ることができる。しかしながら、このブスバー140は、上述したように、狭い空間内に配置されたり、複数個近接して配置されたりするものであるため、ブスバー140の設置現場での溶接作業が非常に困難であるという難点があった。また、各ブスバー構成部材101、101の外周面から冷却水通路103、103までの肉厚が大きく且つ両ブスバー構成部材101、101の端面102、102同士がその外周面側から溶接されるため、同図に示すように両ブスバー構成部材101、101の端面102、102における冷却水通路103、103側にそれぞれ未溶接面部121、121が残存する虞があった。もし、このように未溶接面部121、121が残存すると、両端面102、102の両未溶接面部121、121間に冷却水が浸入して両未溶接面部121、121間で隙間腐食が発生し、その結果、両ブスバー構成部材101、101間の電気抵抗が増大するという難点があった。
【0008】
図18では、両ブスバー構成部材101、101の端部には、それぞれ側方突出状のボルト締結用フランジ部101a、101aが一体形成されている。そして、両ブスバー構成部材101、101の端面102、102同士が、互いに冷却水通路103、103同士を連通させた状態に突き合わされるとともに、この状態で両ブスバー構成部材101、101同士が両フランジ部101a、101aに通した複数個の通しボルト125よって締結されている。なお、125aは通しボルト125と螺合したナットである。
【0009】
図18に示した方法によれば、各ブスバー構成部材101、101の端面102、102には微細な凹凸が存在しているため、端面102、102同士の接触面積が比較的小さく、そのため電気抵抗が大きいという難点があった。さらに、両端面102、102間に冷却水が浸入して両端面102、102間で隙間腐食が発生し、その結果、電気抵抗が増大するという難点があった。
【0010】
本発明は、上述した技術背景に鑑みてなされたもので、その目的は、複数個のブスバー構成部材が長さ方向に順次連結されて製造される水冷式ブスバーであって、長さ方向に互いに隣り合う2個のブスバー構成部材の端面間に発生することのある隙間腐食を防止し、これにより両ブスバー構成部材間の電気抵抗を小さくすることができる水冷式ブスバー及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は以下の手段を提供する。
【0012】
[1] 内部に冷却水通路が長さ方向に延びて設けられるとともに、長さ方向の端面に前記冷却水通路の開口部が形成された複数個のアルミニウム又はその合金製ブスバー構成部材を備え、
前記複数個のブスバー構成部材における長さ方向に互いに隣り合う2個のブスバー構成部材の端面同士が互いに離間して配置され、
両ブスバー構成部材同士が導電性部材を介して互いに電気的に接続されるとともに、
両ブスバー構成部材の端面の開口部同士がフレキシブルな冷却水導通管を介して互いに連通状態に連結されていることを特徴とする水冷式ブスバー。
【0013】
[2] 前記ブスバー構成部材の外周面に形成された切欠き部に、前記導電性部材のブスバー構成部材との取付け部が嵌め込まれている前項1記載の水冷式ブスバー。
【0014】
[3] 前記導電性部材と前記ブスバー構成部材とが、導電性部材及びブスバー構成部材を順次貫通した状態に配置された通しボルトによって互いに密着する方向に締結されている前項1又は2記載の水冷式ブスバー。
【0015】
[4] 前記導電性部材と前記ブスバー構成部材とが、導電性部材とブスバー構成部材との接触面間に配置されるとともに導電性粒子を含有した導電性ペースト層を介して互いに連結されている前項1〜3のいずれかに記載の水冷式ブスバー。
【0016】
[5] 前記導電性ペーストは、前記導電性粒子として、金、銀、銅、カーボン、カーボンナノチューブ、アルミニウム、マグネシウム、亜鉛、ニッケル、スズ、鉛及びビスマスからなる群より選択された一種又は二種以上を含有している前項4記載の水冷式ブスバー。
【0017】
[6] 前記導電性部材と前記ブスバー構成部材とが、導電性部材とブスバー構成部材との接触面間に配置され且つ両接触面同士を接合したはんだ層を介して互いに連結されている前項1〜3のいずれかに記載の水冷式ブスバー。
【0018】
[7] 前記ブスバー構成部材の導電性部材との接触面が、ブスバー構成部材の構成材料とは異種の金属で置換されている前項1〜6のいずれかに記載の水冷式ブスバー。
【0019】
[8] 前記導電性部材のブスバー構成部材との接触面が、導電性部材の構成材料とは異種の金属で置換されている前項1〜7のいずれかに記載の水冷式ブスバー。
【0020】
[9] 前記導電性部材のブスバー構成部材との接触面の全面積は、ブスバー構成部材の横断面積と同等以上に設定されている前項1〜8のいずれかに記載の水冷式ブスバー。
【0021】
[10] 前記冷却水導通管は、軟質ゴム、軟質樹脂又は金属編組で形成されている前項1〜9のいずれかに記載の水冷式ブスバー。
【0022】
[11] 前記導電性部材の長さ方向両端部が、導電性部材の両ブスバー構成部材との取付け部であり、
前記導電性部材の長さ方向両端部がそれぞれ板状に形成されるとともに、当該両端部が前記両ブスバー構成部材に固定状態に連結され、
前記導電性部材の少なくとも長さ方向中間部は、複数の薄板が積層されて形成された積層体か、あるいは多数の細線が束ねられて形成された細線束で形成されている前項1〜10のいずれかに記載の水冷式ブスバー。
【0023】
[12] 内部に冷却水通路が長さ方向に延びて設けられるとともに、長さ方向の端面に前記冷却水通路の開口部が形成された2個のブスバー構成部材の端面同士を互いに離間して配置する配置工程と、
両ブスバー構成部材同士を導電性部材を介して互いに電気的に接続する電気的接続工程と、
両ブスバー構成部材の端面の開口部同士をフレキシブルな冷却水導通管を介して互いに連通状態に連結する連結工程と、
を含むことを特徴とする水冷式ブスバーの製造方法。
【発明の効果】
【0024】
本発明は以下の効果を奏する。
【0025】
[1]の発明では、両ブスバー構成部材の端面同士が互いに離間して配置されているので、両ブスバー構成部材の端面間に発生することのある隙間腐食を防止することができる。
【0026】
さらに、両ブスバー構成部材同士が導電性部材を介して互いに電気的に接続されているので、電流が両ブスバー構成部材のうち一方のブスバー構成部材から導電性部材を通って他方のブスバー構成部材へと流れるようになり、即ち一方のブスバー構成部材と他方のブスバー構成部材との間の通電を確保することができる。
【0027】
さらに、両ブスバー構成部材の端面の開口部同士が冷却水導通管を介して互いに連通状態に連結されているので、両ブスバー構成部材をその全長さ領域に亘って冷却することができる。
【0028】
その上、冷却水導通管がフレキシブルなものであるから、各ブスバー構成部材の温度変化に伴い両ブスバー構成部材の端面間の距離が変化した場合には、この距離変化に追従して冷却水導通管が伸縮又は屈曲する。これにより、両ブスバー構成部材間の冷却水通路の連続性を確保することができ、もって各ブスバー構成部材を確実に冷却することができる。
【0029】
[2]の発明では、ブスバー構成部材の外周面に形成された切欠き部に、導電性部材のブスバー構成部材との取付け部が嵌め込まれているので、導電性部材の取付け部がブスバー構成部材に取り付けられた状態において、導電性部材の取付け部がブスバー構成部材の外周面から突出する突出量を小さくすることができる。これにより、ブスバーを狭い空間内に配置する際に導電性部材の取付け部が他の部材を干渉するのを防止することができるし、また複数個のブスバーを互いに近接して配置することができ、もってブスバーの設置スペースについて省スペース化を図ることができる。
【0030】
さらに、導電性部材の取付け部が切欠き部に嵌め込まれているから、導電性部材の取付け部が切欠き部に嵌め込まれていない場合に比べて、導電性部材の取付け部が切欠き部に嵌め込まれた分、導電性部材とブスバー構成部材との接触面が冷却水通路に接近している。これにより、導電性部材とブスバー構成部材との接触面を確実に冷却することができる。
【0031】
[3]の発明では、導電性部材とブスバー構成部材とが、導電性部材及びブスバー構成部材を順次貫通した状態に配置された通しボルトによって締結されることにより、導電性部材とブスバー構成部材とを施工性良く連結することができる。さらに、導電性部材とブスバー構成部材とが互いに密着する方向に締結されているので、導電性部材とブスバー構成部材との間の電気抵抗を確実に小さくすることができる。
【0032】
[4]の発明では、導電性部材とブスバー構成部材とが、導電性部材とブスバー構成部材との接触面間に配置されるとともに導電性粒子を含有した導電性ペースト層を介して互いに連結されている。したがって、もし仮に導電性部材とブスバー構成部材との接触面にそれぞれ微細な凹凸が形成されていても、この微細凹凸に起因して両接触面間に生じる隙間が導電性ペースト層で塞がれる。そのため、導電性部材とブスバー構成部材との接触面積が増大する。これにより、導電性部材とブスバー構成部材との間の電気抵抗を小さくすることができ、即ち導電性部材とブスバー構成部材との間の導電性を確実に向上させることができる。
【0033】
[5]の発明では、導電性部材とブスバー構成部材との間の導電性を確実に向上させることができる。
【0034】
[6]の発明では、導電性部材とブスバー構成部材とが、導電性部材とブスバー構成部材との接触面間に配置され且つ両接触面同士を接合したはんだ層を介して互いに連結されている。したがって、もし仮に導電性部材とブスバー構成部材との接触面にそれぞれ微細な凹凸が形成されていても、この微細凹凸に起因して両接触面間に生じる隙間がはんだ層で塞がれる。そのため、導電性部材とブスバー構成部材との接触面積が増大する。これにより、導電性部材とブスバー構成部材との間の電気抵抗を小さくすることができ、即ち導電性部材とブスバー構成部材との間の導電性を確実に向上させることができる。
【0035】
[7]の発明では、ブスバー構成部材の導電性部材との接触面が、ブスバー構成部材の構成材料とは異種の金属で置換されることにより、ブスバー構成部材の接触面に絶縁性の酸化層(例:自然酸化層、水和酸化層)が形成されるのを防止することができる。これにより、導電性部材とブスバー構成部材との間の電気抵抗を更に小さくすることができる。
【0036】
[8]の発明では、導電性部材のブスバー構成部材との接触面が、導電性部材の構成材料とは異種の金属で置換されていることにより、導電性部材の接触面に絶縁性の酸化層(例:自然酸化層、水和酸化層)が形成されるのを防止することができる。これにより、導電性部材とブスバー構成部材との間の電気抵抗を更に小さくすることができる。
【0037】
[9]の発明では、導電性部材のブスバー構成部材との接触面の全面積が、ブスバー構成部材の横断面積と同等以上に設定されることにより、導電性部材とブスバー構成部材との間の導通面積を確保し得て導電性部材とブスバー構成部材との間に発生することのある発熱を確実に抑制することができる。
【0038】
[10]の発明では、安価に入手可能な冷却水導通管によって両ブスバー構成部材の端面間の距離の変化を確実に吸収することができる。
【0039】
[11]の発明では、導電性部材の長さ方向両端部が、導電性部材の両ブスバー構成部材との取付け部であり、導電性部材の長さ方向両端部がそれぞれ板状に形成されるとともに、当該両端部が両ブスバー構成部材に固定状態に連結されている。したがって、導電性部材の両端部を両ブスバー構成部材に面接触状態に接触させて連結することができ、これにより、導電性部材とブスバー構成部材との間の導通面積を確保し得て導電性部材とブスバー構成部材との間に発生することのある発熱を抑制することができる。
【0040】
さらに、導電性部材の少なくとも長さ方向中間部が、複数の薄板が積層されて形成された積層体か、あるいは多数の細線が束ねられて形成された細線束で形成されている。したがって、各ブスバー構成部材の温度変化に伴い両ブスバー構成部材の端面間の距離が変化した場合には、この距離変化に追従して導電性部材の中間部が変形する。これにより、両ブスバー構成部材の端面間の距離の変化を導電性部材の中間部で確実に吸収することができる。
【0041】
[12]の発明では、本発明に係るブスバーを確実に製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
次に、本発明の幾つかの実施形態について図面を参照して以下に説明する。
【0043】
図1〜5は、本発明の一実施形態に係る水冷式ブスバー及びその製造方法を説明する図である。
【0044】
本実施形態の水冷式ブスバー40Aは、国際熱核融合実験炉に設置される超伝導コイル等のように、高電圧大電流の動作電力を必要とするデバイス(図示せず)に給電するための給電路として用いられるものである。
【0045】
このブスバー40Aは、複数個のブスバー構成部材1が長さ方向Lに順次連結されて製造されたものである。このブスバー40Aを構成する複数個のブスバー構成部材のうち長さ方向Lに互いに隣り合う2個のブスバー構成部材1、1は、互いに一直線上に並んで且つその端面2、2同士が離間した状態に配置されている。そして、両ブスバー構成部材1、1同士が2個の導電性部材20、20を介して互いに電気的に接続されている。
【0046】
ここで、Lは、ブスバー構成部材1(即ちブスバー40A)の長さ方向を示している。ブスバー40Aの通電方向は、ブスバー構成部材1の長さ方向Lである。W及びHは、ブスバー構成部材1の長さ方向Lに対して互いに直交する二つの方向を示しており、本実施形態では、説明の便宜上、Hをブスバー構成部材1の厚さ方向、Wをブスバー構成部材1の幅方向として以下に説明する。ただし本発明では、ブスバー構成部材1の厚さ方向H及び幅方向Wは絶対的な方向ではなく互いに相対的な方向である。
【0047】
両ブスバー構成部材1、1は互いに同一形状及び同一材質である。各ブスバー構成部材1は、横断面四角形状であり、一方向(即ち長さ方向L)に延びて形成されている。また、各ブスバー構成部材1はアルミニウム又はその合金製である。特に本発明では、ブスバー構成部材1の材質は、純アルミニウムか、あるいはAl−Mg−Si系のアルミニウム合金であることが望ましく、これにより、ブスバー構成部材1の導電性を高めることができるし、そのようなブスバー構成部材1を容易に入手することができる。
【0048】
各ブスバー構成部材1の長さは例えば2000〜6000mmに設定されており、その厚さは例えば40〜100mmに設定されており、その幅は例えば50〜200mmに設定されている。
【0049】
各ブスバー構成部材1の内部には、通電時に各ブスバー構成部材1(即ちブスバー40A)を冷却する冷却水が流通する断面円形状の冷却水通路3が長さ方向Lに延びて形成されており、詳述すると、冷却水通路3がブスバー構成部材1の長さ方向L全長に亘って形成されている。さらに、各ブスバー構成部材1の長さ方向Lの各端面2の中央部には、冷却水通路3の開口部3aが形成されている。開口部3aの断面形状は円形状である。冷却水としては、純水をはじめ、様々な種類の水が用いられる。
【0050】
両ブスバー構成部材1、1のうち、一方のブスバー構成部材1の端面2と他方のブスバー構成部材1の端面2とは互いに離間して配置されている。両端面2、2間の距離は例えば50〜200mmに設定されている。この距離は、各ブスバー構成部材1の温度変化に伴い各ブスバー構成部材1の長さが伸縮することによって少し変化するものである。
【0051】
両ブスバー構成部材1、1の端面2、2間には、断面円環状の冷却水導通管10が配置されている。この冷却水導通管10は、一方のブスバー構成部材1の冷却水通路3内の冷却水を他方のブスバー構成部材1の冷却水通路3内へと導通させるものである。
【0052】
冷却水導通管10は、両ブスバー構成部材1、1の端面2、2間の距離の変化に追従して変形可能なフレキシブルなものであり、軟質ゴム、軟質樹脂又は金属編組で形成されている。このような材料で冷却水導通管10を形成することにより、冷却水導通管10を安価に入手することができるし、更に、両ブスバー構成部材1、1の端面2、2間の距離の変化をこの冷却水導通管10によって確実に吸収することができる。この冷却水導通管10の長さは、両ブスバー構成部材1、1の端面2、2間の距離よりも少し長く設定されている。
【0053】
図4に示すように、各ブスバー構成部材1の端面2の冷却水通路開口部3aには、開口部3aと冷却水導通管10の各端部とを結合する短筒状の金属製結合部材12がその周方向の全周に亘って溶接されて固着されている。14は、結合部材12を開口部3aに固着した溶接部である。そして、一方の結合部材12に冷却水導通管10の一端部が外嵌状態に且つ冷却水漏出阻止状態に結合されるとともに、他方の結合部材12に冷却水導通管10の他端部が冷却水漏出阻止状態に結合されている。これにより、両開口部3a同士が冷却水導通管10を介して互いに連通状態に連結されている。13は、結合部材12に冷却水導通管10の端部を冷却水漏出阻止状態に巻締め固定したリング状巻締め部材である。
【0054】
さらに、両ブスバー構成部材1、1同士が、両ブスバー構成部材1、1に跨って配置された2個の導電性部材20、20を介して互いに電気的に接続されている。各導電性部材20はブスバー構成部材1の長さ方向Lと平行に配置されている。
【0055】
両導電性部材20、20は、互いに同一形状及び同一材質である。各導電性部材20はその全体形状が板状に形成されている。導電性部材20は、ブスバー構成部材1の導電率と同等以上の導電率を有する良導体からなり、具体的には、導電性部材20は、ブスバー構成部材1の材質と同じ材質(即ちアルミニウム又はアルミニウム合金)で製作されるか、あるいは銅などで製作されている。本実施形態では導電性部材20は例えば銅で製作される。
【0056】
ブスバー構成部材1の材質が例えば合金番号1070のアルミニウム又は6063のアルミニウム合金である場合、そのブスバー構成部材1の導電率は、それぞれ、IACS(International Annealed Copper Standerd)で61%(1070アルミニウム)又は55%(6063アルミニウム合金)である。一方、導電性部材20の材質が銅である場合、その導電率は、当然、IACSで100%である。したがって、導電性部材20の電気抵抗を小さくするためには、導電性部材20の材質はアルミニウム又はその合金よりも銅の方が望ましい。
【0057】
導電性部材20の長さは、両ブスバー構成部材1、1の端面2、2間の距離よりも80〜200mm長く設定されている。導電性部材20の幅は例えばブスバー構成部材1の幅と略等しく設定されており、またその厚さは例えば5〜20mmに設定されている。
【0058】
導電性部材20の長さ方向一端部21は、導電性部材20における一方のブスバー構成部材1との取付け部23に対応し、導電性部材20の長さ方向他端部21は、導電性部材20における他方のブスバー構成部材1との取付け部23に対応している。22は、導電性部材20の長さ方向中間部である。導電性部材20の長さ方向両端部21、21及び中間部22はそれぞれ板状に形成されている。
【0059】
本実施形態では、導電性部材20はその全体が長さ方向に真直に形成されているが、本発明では、その他に、例えば導電性部材20の中間部22が局部的に円弧状に屈曲していても良い(図13〜16参照)。
【0060】
そして、2個の導電性部材20、20の長さ方向一端部21、21(即ち取付け部23、23)は、一方のブスバー構成部材1の長さ方向端部をその厚さ方向Hに挟んだ状態に配置されている。詳述すると、各導電性部材20の一端部21は一方のブスバー構成部材1の端部の外周面上に重ねられて配置されている。そして、一方の導電性部材20の一端部21、一方のブスバー構成部材1の端部及び他方の導電性部材20の一端部21を順次貫通した状態に配置された複数個(本実施形態では4個)の通しボルト29によって、一方の導電性部材20の一端部21、一方のブスバー構成部材1の端部及び他方の導電性部材20の一端部21が互いに順次密着する方向に締結されている。これにより、両導電性部材20、20の一端部21、21が一方のブスバー構成部材1に固定状態に連結されるとともに、両導電性部材20、20と一方のブスバー構成部材1とが電気的に接続されている。各通しボルト29はワッシャ29bに通されて配置されており、このワッシャ29bによって通しボルト29による締結力の均等化が図られている。29aは、通しボルト29の先端部に螺合したナットである。なお、通しボルト29は、各導電性部材20、20及びブスバー構成部材1にそれぞれ設けられたボルト挿通孔(図示せず)に挿通されることで、これら三部材20、1、20を順次貫通した状態に配置されている。
【0061】
上と同様に、2個の導電性部材20、20の長さ方向他端部21、21(即ち取付け部23、23)は、他方のブスバー構成部材1の長さ方向端部をその厚さ方向Hに挟んだ状態に配置されている。そして、一方の導電性部材20の他端部21、他方のブスバー構成部材1の端部及び他方の導電性部材20の他端部21を順次貫通した状態に配置された複数個(本実施形態では4個)の通しボルト29によって、一方の導電性部材20の他端部21、他方のブスバー構成部材1の端部及び他方の導電性部材20の他端部21が互いに順次密着する方向に締結されている。これにより、両導電性部材20、20の他端部21、21が他方のブスバー構成部材1に固定状態に連結されるとともに、両導電性部材20、20と他方のブスバー構成部材1とが電気的に接続されている。
【0062】
このようにして、両ブスバー構成部材1、1同士が2個の導電性部材20、20を介して互いに電気的に接続されている。
【0063】
さらに、2個の導電性部材20、20における、一方のブスバー構成部材1との接触面20a、20aの全面積(即ち合計面積)は、一方のブスバー構成部材1の横断面積と同等以上に設定されている。これにより、両導電性部材20、20と一方のブスバー構成部材1との間の導通面積を確保し得て両導電性部材20、20と一方のブスバー構成部材1との間に発生することのある発熱を確実に抑制することができる。
【0064】
上と同様に、2個の導電性部材20、20における、他方のブスバー構成部材1との接触面20a、20aの全面積(即ち合計面積)は、他方のブスバー構成部材1の横断面積と同等以上に設定されている。これにより、両導電性部材20、20と他方のブスバー構成部材1との間の導通面積を確保し得て両導電性部材20、20と他方のブスバー構成部材1との間に発生することのある発熱を確実に抑制することができる。
【0065】
さらに、図5に示すように、ブスバー構成部材1の導電性部材20との接触面1aの表面は、ブスバー構成部材1の構成材料(即ちアルミニウム又はその合金)とは異種の金属で置換されている。これにより、この接触面1aの表面には、絶縁性の酸化層(例:自然酸化層、水和酸化層)ではなく、ブスバー構成部材1の接触面1aの表面が異種金属で置換されてなる異種金属置換層1bが形成されている。この異種金属置換層1bは導電性(詳述すると良導電性)を有している。
【0066】
上と同様に、導電性部材20のブスバー構成部材1との接触面20aの表面は、導電性部材20の構成材料とは異種の金属で置換されている。これにより、この接触面20aの表面には、絶縁性の酸化層(例:自然酸化層、水和酸化層)ではなく、導電性部材20の接触面20aの表面が異種金属で置換されてなる異種金属置換層20bが形成されている。この異種金属置換層20bは導電性(詳述すると良導電性)を有している。
【0067】
本発明では、各異種金属置換層1b、20bは、無電解メッキ層、電気メッキ層又ははんだメッキ層であることが望ましい。また、各異種金属置換層1b、20bの厚さは例えば0.1〜2μmである。
【0068】
さらに、図5に示すように、導電性部材20とブスバー構成部材1は、導電性部材20とブスバー構成部材1との接触面20a、1a間に配置された導電性ペースト層30を介して互いに連結されている。
【0069】
導電性ペースト層30は、導電性粒子を含有したものであり、詳述すると導電性粒子として、金、銀、銅、カーボン、カーボンナノチューブ、アルミニウム、マグネシウム、亜鉛、ニッケル、スズ、鉛及びビスマスからなる群より選択された一種又は二種以上を含有している。このような導電性粒子を含有した導電性ペースト層30を導電性部材20とブスバー構成部材1との接触面20a、1a間に配置することにより、導電性部材20とブスバー構成部材1との間の導電性を確実に向上させることができる。導電性ペースト層30の厚さは例えば1〜5μmである。この導電性ペースト層30では、導電性粒子は樹脂ペースト中に均一に混合分散されている。
【0070】
次に、本実施形態のブスバー40Aの製造方法について以下に説明する。
【0071】
まず、ブスバー40Aを構成する複数個のアルミニウム又はその合金製ブスバー構成部材1を準備する。この工程を「ブスバー構成部材準備工程」という。複数個のブスバー構成部材のうち長さ方向Lに互いに隣り合って配置される2個のブスバー構成部材1、1の内部には、それぞれ、冷却水通路3が長さ方向L全長に亘って形成されている。また、各ブスバー構成部材1の端面2の中央部には冷却水通路3の開口部3aが形成されている。さらに、各開口部3aには結合部材12が固着されている。また、ブスバー構成部材1の端部には、複数個の通しボルト29用ボルト挿通孔(図示せず)がその厚さ方向Hに貫通して設けられている。
【0072】
また、複数個の導電性部材20を準備する。この工程を「導電性部材準備工程」という。各導電性部材20の両端部21、21にはそれぞれ複数個の通しボルト29用ボルト挿通孔(図示せず)がその厚さ方向に貫通して設けられている。
【0073】
次いで、各ブスバー構成部材1の導電性部材20との接触面1aを、ブスバー構成部材1の構成材料とは異種の金属で置換する。この工程を「異種金属置換工程」という。
【0074】
この異種金属置換工程では、各ブスバー構成部材1の接触面1aに異種金属置換層1bとして無電解メッキ層、電気メッキ層又ははんだメッキ層を形成し、これにより各ブスバー構成部材1の接触面1aを異種金属で置換する。
【0075】
ブスバー構成部材1の接触面1aに異種金属置換層1bとして無電解メッキ層を形成する場合には、異種金属置換層1bを容易に形成することができる。無電解メッキ層の金属種(メッキ種)としては、亜鉛、銅、ニッケル等が好適に用いられる。
【0076】
ブスバー構成部材1の接触面1aに無電解メッキ層を形成する方法としては、公知の無電解メッキ方法が適用され、これを簡単に説明すると次のとおりである。
【0077】
すなわち、ブスバー構成部材1の接触面1aを、市販の脱脂液を用いて脱脂し、水洗いする。次いで、接触面1aを水酸化ナトリウム水溶液50g/Lを用いて50℃×1minの条件でエッチングすることにより、接触面1aの酸化層を除去し、水洗いする。次いで、接触面1aを硝酸水溶液100g/Lを用いて30秒間中和し、水洗いする。このような一連の処理を前処理という。次いで、接触面1aを、酸化亜鉛20g/L、水酸化ナトリウム120g/L、塩化第二鉄2g/L、ロッセル塩50g/L及び硝酸ナトリウム1g/Lのメッキ液を用いて常温×1minの条件で処理する。これにより、接触面1aに無電解メッキ層を形成する。
【0078】
ブスバー構成部材1の接触面1aに異種金属置換層1bとして電気メッキ層を形成する場合には、緻密な異種金属置換層1bを形成することができる。電気メッキ層の金属種(メッキ種)としては、亜鉛、スズ、銅、ニッケル、銀等が好適に用いられる。
【0079】
ブスバー構成部材1の接触面1aに電気メッキ層を形成する方法としては、公知の電気メッキ方法が適用され、これを簡単に説明すると次のとおりである。
【0080】
すなわち、ブスバー構成部材1の接触面1aに対して、上述した前処理と同様に、脱脂、水洗い、エッチング、水洗い、中和、水洗いを順次行う。次いで、接触面1aを硫酸銅(CuSO4)200g/L及び硫酸(H2SO4)100g/Lのメッキ液を用いて温度30℃×通電電流(直流)1〜5A/dm2の条件で処理する。これにより、接触面1aに電気メッキ層を形成する。
【0081】
ブスバー構成部材1の接触面1aに異種金属置換層1bとしてはんだメッキ層を形成する場合には、異種金属置換層1bをブスバー40Aの設置現場で形成することができる。はんだメッキ層の金属種(はんだ種)としては、Zn−Al系、Sn−Zn系、Cd−Zn系、Zn−Cd系等が好適に用いられる。
【0082】
ブスバー構成部材1の接触面1aにはんだメッキ層を形成する方法としては、公知のはんだメッキ方法が適用され、これを簡単に説明すると次のとおりである。
【0083】
すなわち、ブスバー構成部材1の接触面1aの酸化層を除去するために接触面1aに市販のフラックスを塗布し、例えばSn91Zn(Sn91%+Zn9%)のシート状、粒状、粉状のはんだを載置する。次いで、フラックス及びはんだを約200℃で加熱溶融する。これにより、接触面1aにはんだメッキ層を形成する。
【0084】
また、導電性部材20のブスバー構成部材1との接触面20aに異種金属置換層20bとして無電解メッキ層、電気メッキ層又ははんだメッキ層を形成する。各層の形成方法としては公知の方法が適用され、例えば上述した方法が適用される。
【0085】
次いで、導電性部材20とブスバー構成部材1との接触面20a、1aの少なくとも一方に、導電性粒子を含有した導電性ペーストを付着させて導電性ペースト層30を形成する。この工程を「導電性ペースト付着工程」という。
【0086】
導電性ペースト層30の導電性粒子の平均粒径は例えば1〜50μmの範囲に設定されている。導電性粒子は導電性ペースト層中に均一に分散している。
【0087】
次いで、複数個のブスバー構成部材のうち長さ方向Lに互いに隣り合う2個のブスバー構成部材1、1について、一方のブスバー構成部材1の端面2と他方のブスバー構成部材1の端面2とを互いに対向状に離間して配置する。この工程を「配置工程」という。
【0088】
次いで、一方のブスバー構成部材1の端面2の冷却水通路開口部3aに固着された結合部材12にフレキシブルな冷却水導通管10の一端部を冷却水漏出阻止状態に結合するとともに、他方のブスバー構成部材1の端面2の冷却水通路開口部3aに固着された結合部材12に冷却水導通管10の他端部を冷却水漏出阻止状態に結合する。これにより、一方のブスバー構成部材1の端面2の冷却水通路開口部3aと他方のブスバー構成部材1の端面2の冷却水通路開口部3aとを、冷却水導通管10を介して互いに連通状態に連結する。この工程を「連結工程」という。
【0089】
次いで、2個の導電性部材20、20の一端部21、21(即ち取付け部23、23)を、これら(21、21)の間に一方のブスバー構成部材1の端部をその厚さ方向Hに挟んだ状態に配置する。そして、一方の導電性部材20の一端部21、一方のブスバー構成部材1の端部及び他方の導電性部材20の一端部21を順次貫通した状態に配置された複数個の通しボルト29によって、一方の導電性部材20の一端部21、一方のブスバー構成部材1の端部及び他方の導電性部材20の一端部21を互いに順次密着する方向に締結する。これにより、各導電性部材20と一方のブスバー構成部材1とが導電性ペースト層30を介して互いに連結されるとともに、この状態で両導電性部材20、20と一方のブスバー構成部材1とが電気的に接続される。
【0090】
上と同様に、2個の導電性部材20、20の他端部21、21(即ち取付け部23、23)を、これら(21、21)の間に他方のブスバー構成部材1の端部をその厚さ方向Hに挟んだ状態に配置する。そして、一方の導電性部材20の他端部21、他方のブスバー構成部材1の端部及び他方の導電性部材20の他端部21を順次貫通した状態に配置された複数個の通しボルト29によって、一方の導電性部材20の他端部21、他方のブスバー構成部材1の端部及び他方の導電性部材20の他端部21を互いに順次密着する方向に締結する。これにより、各導電性部材20と他方のブスバー構成部材1とが導電性ペースト層30を介して互いに連結されるとともに、この状態で両導電性部材20、20と他方のブスバー構成部材1とが電気的に接続される。このような工程を「電気的接続工程」という。
【0091】
これらの工程を経ることにより、図1に示した本実施形態のブスバー40Aが製造される。
【0092】
なお上記実施形態では、連結工程の後で電気的接続工程が行われているが、本発明では、その他に、電気的接続工程の後で連結工程を行っても良い。
【0093】
而して、本実施形態のブスバー40Aには次の利点がある。
【0094】
両ブスバー構成部材1、1の端面2、2同士が互いに離間して配置されているので、両ブスバー構成部材1、1の端面2、2間に発生することのある隙間腐食を防止することができる。
【0095】
さらに、両ブスバー構成部材1、1同士が導電性部材20を介して互いに電気的に接続されているので、電流が両ブスバー構成部材1、1のうち一方のブスバー構成部材1から導電性部材20を通って他方のブスバー構成部材1へと流れるようになり、即ち一方のブスバー構成部材1と他方のブスバー構成部材1との間の通電を確保することができる。
【0096】
さらに、両ブスバー構成部材1、1の端面2、2の冷却水通路開口部3a、3a同士が冷却水導通管10を介して互いに連通状態に連結されているので、両ブスバー構成部材1、1をその全長さ領域に亘って冷却することができる。
【0097】
その上、冷却水導通管10がフレキシブルなものであるから、各ブスバー構成部材1の温度変化に伴い両ブスバー構成部材1、1の端面2、2間の距離が変化した場合には、この距離変化に追従して冷却水導通管10が伸縮又は屈曲する。これにより、両ブスバー構成部材1、1間の冷却水通路の連続性を確保することができ、もって各ブスバー構成部材1を確実に冷却することができる。
【0098】
さらに、導電性部材20とブスバー構成部材1とが通しボルト29によって締結されているので、導電性部材20とブスバー構成部材1とを施工性良く連結することができる。さらに、導電性部材20とブスバー構成部材1とが互いに密着する方向に締結されているので、導電性部材20とブスバー構成部材1との間の電気抵抗を小さくすることができる。
【0099】
さらに、導電性部材20とブスバー構成部材1とが、導電性部材20とブスバー構成部材1との接触面20a、1a間に配置された導電性ペースト層30を介して互いに連結されている。したがって、もし仮に導電性部材20とブスバー構成部材1との接触面20a、1aにそれぞれ微細な凹凸が形成されていても、この微細凹凸に起因して両接触面20a、1a間に生じる隙間が導電性ペースト層30で塞がれる。そのため、導電性部材20とブスバー構成部材1との接触面積が増大する。これにより、導電性部材20とブスバー構成部材1との間の電気抵抗を小さくすることができ、即ち導電性部材20とブスバー構成部材1との間の導電性を確実に向上させることができる。
【0100】
さらに、ブスバー構成部材1の導電性部材20との接触面1aが、ブスバー構成部材1の構成材料とは異種の金属で置換されることにより、ブスバー構成部材1の接触面1aに絶縁性の酸化層(例:自然酸化層、水和酸化層)が形成されるのを防止することができる。これにより、導電性部材20とブスバー構成部材1との間の電気抵抗を更に小さくすることができる。
【0101】
その上、導電性部材20のブスバー構成部材1との接触面20aが、導電性部材20の構成材料とは異種の金属で置換されることにより、導電性部材20の接触面20aに絶縁性の酸化層(例:自然酸化層、水和酸化層)が形成されるのを防止することができる。これにより、導電性部材20とブスバー構成部材1との間の電気抵抗を更に一層小さくすることができる。
【0102】
而して、本実施形態のブスバー40Aでは、導電性部材20とブスバー構成部材1との接触面20a、1a間に導電性ペースト層30が配置されているが、本発明では、その他に、図6に示すように、導電性ペースト層30の代わりにはんだ層31が配置されていても良い。このはんだ層31は次のようにして配置されたものである。
【0103】
導電性部材20とブスバー構成部材1との接触面20a、1a間に、シート状、粒状又は粉状のはんだを挟み、次いではんだを火炎バーナーや誘導加熱手段等によって加熱溶融させることにより、導電性部材20とブスバー構成部材1との接触面20a、1a間にはんだ層31を配置する。こうすることにより、両接触面20a、1a同士がはんだ層31によって接合固着されるとともに、この状態で導電性部材20とブスバー構成部材1とが通しボルト29によって互いに連結される。この場合には、もし仮に導電性部材20とブスバー構成部材1との接触面20a、1aにそれぞれ微細な凹凸が形成されていても、この微細凹凸に起因して両接触面20a、1a間に生じる隙間がはんだ層31で塞がれる。そのため、導電性部材20とブスバー構成部材1との接触面積が増大する。これにより、導電性部材20とブスバー構成部材1との間の電気抵抗を更に小さくすることができる。はんだ層20の厚さは例えば導電性ペースト層31の厚さと同じ厚さに設定される。また、はんだ層のはんだ種としては、Zn−Al系、Sn−Zn系、Cd−Zn系、Zn−Cd系等が好適に用いられる。
【0104】
図7及び8は、上記実施形態のブスバー40Aにおける第1変形形態を説明する図である。本第1変形形態について上記実施形態とは異なる点を中心に以下に説明する。
【0105】
本第1変形形態のブスバー40Bでは、各ブスバー構成部材1の端部の外周面における上面及び下面には、それぞれ凹状の切欠き部4、4が各ブスバー構成部材1の端面2まで延びて形成されている。切欠き部4の深さは、導電性部材20の厚さと等しく設定されている。
【0106】
そして、各導電性部材20の一端部21(即ち取付け部23)が一方のブスバー構成部材1の各切欠き部4に嵌め込まれるとともに、各導電性部材20の他端部21(即ち取付け部23)が他方のブスバー構成部材1の各切欠き部4に嵌め込まれている。そして、上記実施形態と同様に、両導電性部材20、20の一端部21、21と一方のブスバー構成部材1の端部とが複数個の通しボルト29によって互いに密着する方向に締結されるとともに、両導電性部材20、20の他端部21、21と他方のブスバー構成部材1の端部とが複数個の通しボルト29によって互いに密着する方向に締結されている。このように締結された状態において、各ブスバー構成部材1の外周面と導電性部材20の外面とは互いに長さ方向Lに面一(つらいち)に連なっている。
【0107】
本第1変形形態のブスバー40Bのその他の構成は、上記実施形態のブスバー40Aと同じである。
【0108】
本第1変形形態のブスバー40Bによれば、各ブスバー構成部材1の外周面に形成された切欠き部4に、導電性部材20の端部21、即ち導電性部材20のブスバー構成部材1との取付け部23が嵌め込まれているので、導電性部材20の端部21(取付け部23)がブスバー構成部材1に取り付けられた状態において、導電性部材20の端部21がブスバー構成部材1の外周面から突出する突出量を小さくすることができる。これにより、ブスバー40Bを狭い空間内に配置する際に導電性部材20の端部21が他の部材と干渉するのを防止することができるし、また複数個のブスバー40Bを互いに近接して配置することができ、もってブスバー40Bの設置スペースについて省スペース化を図ることができる。
【0109】
さらに、導電性部材20の端部21が切欠き部4に嵌め込まれているから、導電性部材20の端部21が切欠き部4に嵌め込まれていない場合に比べて、導電性部材20の端部21が切欠き部4に嵌め込まれた分、導電性部材20とブスバー構成部材1との接触面20a、1aが冷却水通路3に接近している。これにより、導電性部材20とブスバー構成部材1との接触面20a、1aを確実に冷却することができる。
【0110】
図9及び10は、上記実施形態のブスバー40Aにおける第2変形形態を説明する図である。本第2変形形態について上記実施形態とは異なる点を中心に以下に説明する。
【0111】
本第2変形形態のブスバー40Cでは、一方のブスバー構成部材1と他方のブスバー構成部材1とは、互いに一直線上に並んで配置されておらず、互いに所定角度をなして配置されている。両ブスバー構成部材1、1間のなす角度θは、例えば45〜135°であり、詳述するとθは90°である(図10参照)。すなわち、他方のブスバー構成部材1は、一方のブスバー構成部材1の幅方向W片側に、一方のブスバー構成部材1に対して所定角度θで曲がった状態に配置されている。
【0112】
そして、2個のL字状の導電性部材20、20の一端部21、21がそれぞれ一方のブスバー構成部材1の端部の外周面における内角側の表面とその反対側の表面とに重ねられて配置されるとともに、両導電性部材20、20の他端部21、21がそれぞれ他方のブスバー構成部材1の端部の外周面における内角側の表面とその反対側の表面とに重ねられて配置されている。すなわち、両導電性部材20、20の一端部21、21が一方のブスバー構成部材1の端部をその幅方向Wに挟んだ状態に配置されるとともに、両導電性部材20、20の他端部21、21が他方のブスバー構成部材1の端部をその幅方向Wに挟んだ状態に配置されている。そして、上記実施形態と同様に、両導電性部材20の一端部21、21と一方のブスバー構成部材1の端部とが複数個の通しボルト29によって互いに密着する方向に締結されるとともに、両導電性部材20、20の他端部21、21と他方のブスバー構成部材1の端部とが複数個の通しボルト29によって互いに密着する方向に締結されている。
【0113】
本第2変形形態のブスバー40Cのその他の構成は、上記実施形態のブスバー40Aと同じである。
【0114】
図11及び12は、上記実施形態のブスバー40Aにおける第3変形形態を説明する図である。本第3変形形態について上記実施形態とは異なる点を中心に以下に説明する。
【0115】
本第3変形形態のブスバー40Dでは、上記第2変形形態と同様に、一方のブスバー構成部材1と他方のブスバー構成部材1とは、互いに一直線上に並んで配置されておらず、互いに所定角度をなして配置されている。両ブスバー構成部材1、1間のなす角度θは、例えば45〜135°であり、詳述するとθは90°である(図12参照)。すなわち、他方のブスバー構成部材1は、一方のブスバー構成部材1の幅方向W片側に、一方のブスバー構成部材1に対して所定角度θで曲がった状態に配置されている。
【0116】
そして、2個の平板状の導電性部材20、20の一端部21、21がそれぞれ一方のブスバー構成部材1の端部の外周面における上面と下面に重ねられて配置されるとともに、両導電性部材20、20の他端部21、21がそれぞれ他方のブスバー構成部材1の端部の外周面における上面と下面に重ねられて配置されている。すなわち、両導電性部材20、20の一端部21、21が一方のブスバー構成部材1の端部をその厚さ方向Hに挟んだ状態に配置されるとともに、両導電性部材20、20の他端部21、21が他方のブスバー構成部材1の端部をその厚さ方向Hに挟んだ状態に配置されている。そして、上記実施形態と同様に、両導電性部材20、20の一端部21、21と一方のブスバー構成部材1の端部とが複数個の通しボルト29によって互いに密着する方向に締結されるとともに、両導電性部材20、20の他端部21、21と他方のブスバー構成部材1の端部とが複数個の通しボルト29によって互いに密着する方向に締結されている。
【0117】
図13は、上記実施形態のブスバー40Aにおける第4変形形態を説明する図である。本第4変形形態について上記実施形態とは異なる点を中心に以下に説明する。
【0118】
本第4変形形態のブスバー40Eでは、導電性部材20は、その全体が、多数の金属製薄板24aが積層されて形成された板状積層体24で形成されている。したがって、導電性部材20の長さ方向両端部21、21と中間部22は、いずれも板状(詳述すると厚板状)に形成されている。薄板24aの材質は例えば銅である。薄板24aの厚さは例えば0.1〜2mmである。積層体24における薄板24aの積層枚数は例えば10〜100枚である。また、互いに隣接する2枚の薄板24a、24a同士は互いに固着されておらず、単に重ね合わされているだけである。そのため、導電性部材20の少なくとも中間部22は変形し易くなっている。さらに、導電性部材20の中間部22は局部的に円弧状に屈曲しており、これにより、導電性部材20の中間部22が更に変形し易くなっている。
【0119】
本第4変形形態のブスバー40Eのその他の構成は、上記実施形態のブスバー40Aと同じである。
【0120】
本第4変形形態のブスバー40Eによれば、導電性部材20の両端部21、21は、硬質の板状に形成されるとともに、両ブスバー構成部材1、1に通しボルト29によって固定状態に連結されている。したがって、導電性部材20の両端部21、21を両ブスバー構成部材1、1に面接触状態に接触させて連結することができ、これにより、導電性部材20とブスバー構成部材1との間の導通面積を確保し得て導電性部材20とブスバー構成部材1との間に発生することのある発熱を確実に抑制することができる。
【0121】
さらに、導電性部材20の少なくとも中間部22が、多数の薄板24aが積層されて形成された積層体24で形成されている。したがって、各ブスバー構成部材1の温度変化に伴い両ブスバー構成部材1、1の端面2、2間の距離が変化した場合には、この距離変化に追従して導電性部材20の中間部22が変形する。これにより、両ブスバー構成部材1、1の端面2、2間の距離の変化を導電性部材20の中間部22で確実に吸収することができる。
【0122】
図14は、上記実施形態のブスバー40Aにおける第5変形形態を説明する図である。本第5変形形態について上記実施形態とは異なる点を中心に以下に説明する。
【0123】
本第5変形形態のブスバー40Fでは、上記第4変形形態と同様に、導電性部材20は、その全体が、多数の金属(例えば銅)製薄板24aが積層されて形成された板状積層体24で形成されている。したがって、導電性部材20の長さ方向両端部21、21と中間部22は、いずれも板状(詳述すると厚板状)に形成されている。さらに、導電性部材20の各端部21において、互いに隣接する2枚の薄板24a、24aの端部同士が両薄板24a、24a間に配置されたろう材によってろう付接合されている。25は、そのろう付接合である。これにより、多数の薄板24aの端部が一体化されている。
【0124】
一方、導電性部材20の中間部22において、多数の薄板24aの中間部はそのように一体化されておらず、単に重ね合わされているだけである。そのため、導電性部材20の中間部22は変形し易くなっている。さらに、導電性部材20の中間部22は局部的に円弧状に屈曲しており、これにより、導電性部材20の中間部22が更に変形し易くなっている。
【0125】
本第5変形形態のブスバー40Fのその他の構成は、上記実施形態のブスバー40Aと同じである。
【0126】
本第5変形形態のブスバー40Fによれば、導電性部材20の両端部21、21は、硬質の板状に形成されるとともに、両ブスバー構成部材1、1に通しボルト29によって固定状態に連結されている。したがって、導電性部材20の両端部21、21を両ブスバー構成部材1、1に面接触状態に接触させて連結することができ、これにより、導電性部材20とブスバー構成部材1との間の導通面積を確保し得て導電性部材20とブスバー構成部材1との間に発生することのある発熱を確実に抑制することができる。
【0127】
さらに、導電性部材20の中間部22が、多数の薄板24aが積層されて形成された積層体24で形成されている。したがって、各ブスバー構成部材1の温度変化に伴い両ブスバー構成部材1、1の端面2、2間の距離が変化した場合には、この距離変化に追従して導電性部材20の中間部22が変形する。これにより、両ブスバー構成部材1、1の端面2、2間の距離の変化を導電性部材20の中間部22で確実に吸収することができる。
【0128】
図15は、上記実施形態のブスバー40Aにおける第6変形形態を説明する図である。本第6変形形態について上記実施形態とは異なる点を中心に以下に説明する。
【0129】
本第6変形形態のブスバー40Gでは、導電性部材20の長さ方向両端部21、21は、それぞれ1個の金属(例えば銅)製厚板で形成されている。一方、導電性部材20の長さ方向中間部22は、多数の金属(例えば銅)製薄板24aが積層されて形成された板状積層体24で形成されている。そして、各薄板24aの両端が、導電性部材20の両端部21、21を形成する両厚板にろう付接合されている。26は、そのろう付接合部である。また、互いに隣接する2枚の薄板24a、24a同士は互いに固着されておらず、単に重ね合わされているだけである。そのため、導電性部材20の中間部22は変形し易くなっている。さらに、導電性部材20の中間部22は局部的に円弧状に屈曲しており、これにより、導電性部材20の中間部22が更に変形し易くなっている。
【0130】
本第6変形形態のブスバー40Gのその他の構成は、上記実施形態のブスバー40Aと同じである。
【0131】
本第6変形形態のブスバー40Gは、上記第5変形形態のブスバー40Fと同様の利点がある。
【0132】
図16は、上記実施形態のブスバー40Aにおける第7変形形態を説明する図である。本第7変形形態について上記実施形態とは異なる点を中心に以下に説明する。
【0133】
本第7変形形態のブスバー40Hでは、導電性部材20は、その全体が、多数の金属製細線27aが帯状に束ねられて形成された帯状細線束27で形成されている。細線束27はフレキシブルなものである。細線束27の厚さは例えば5〜20mmである。細線束27の幅はブスバー構成部材1の幅と略等しく設定されている。また、細線27aの材質は例えば銅である。細線27aの直径は例えば0.1〜0.5mmである。
【0134】
さらに、導電性部材20の両端部21、21上にそれぞれ金属(例えば銅)製挟み板28、28が配置されている。そして、一方の挟み板28と一方のブスバー構成部材1との間で導電性部材20の一端部21が挟まれるとともに、この状態で導電性部材20の一端部21が一方のブスバー構成部材1に通しボルト29によって固定状態に連結されている。これと同じく、他方の挟み板28と他方のブスバー構成部材1との間で導電性部材20の他端部21が挟まれるとともに、この状態で導電性部材20の他端部21が他方のブスバー構成部材1に通しボルト29によって固定状態に連結されている。
【0135】
本第7変形形態のブスバー40Hのその他の構成は、上記実施形態のブスバー40Aと同じである。
【0136】
本第7変形形態のブスバー40Hによれば、導電性部材20の少なくとも長さ方向中間部22が多数の細線27aが束ねられて形成された細線束27で形成されている。したがって、各ブスバー構成部材1の温度変化に伴い両ブスバー構成部材1、1の端面2、2間の距離が変化した場合には、この距離変化に追従して導電性部材20の中間部22が変形する。これにより、両ブスバー構成部材1、1の端面2、2間の距離の変化を導電性部材20の中間部22で確実に吸収することができる。
【0137】
以上で本発明の幾つかの実施形態及び変形形態を説明したが、本発明はこれらの実施形態及び変形形態に示したものであることに限定されるものではなく、様々に変更可能である。
【0138】
例えば、上記実施形態及び変形形態では、2個のブスバー構成部材1、1を電気的に繋ぐ導電性部材20の個数は2個であるが、本発明では、その他に、例えば1個であっても良いし2個以上であっても良い。
【0139】
また本発明では、上述したように、ブスバー構成部材の厚さ方向H及び幅方向Wは絶対的な方向ではなく互いに相対的な方向である。したがって、本発明に係る水冷式ブスバー及びその製造方法は、上記実施形態及び変形形態で説明したブスバー構成部材の厚さ方向H及び幅方向Wをそれぞれ幅方向及び厚さ方向に読み替えて構成しても良い。
【0140】
また、本発明に係る水冷式ブスバー及びその製造方法は、上記実施形態及び変形形態に適用された技術思想のうち二つ以上を組み合わせて構成しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0141】
本発明は、供給先に給電する給電路として使用される水冷式ブスバー及びその製造方法に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0142】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係る水冷式ブスバーの斜視図である。
【図2】図2は、同ブスバーの側面図である。
【図3】図3は、同ブスバーの正面図である。
【図4】図4は、同ブスバーの縦断面図である。
【図5】図5は、図4中のZ部分の拡大図である。
【図6】図6は、同ブスバーにおける一変形例を示す、図5に対応する拡大図である
【図7】図7は、本発明の第1変形形態に係る水冷式ブスバーの斜視図である。
【図8】図8は、同ブスバーの縦断面図である。
【図9】図9は、本発明の第2変形形態に係る水冷式ブスバーの斜視図である。
【図10】図10は、同ブスバーの平面図である。
【図11】図11は、本発明の第3変形形態に係る水冷式ブスバーの斜視図である。
【図12】図12は、同ブスバーの平面図である。
【図13】図13は、本発明の第4変形形態に係る水冷式ブスバーの斜視図である。
【図14】図14は、本発明の第5変形形態に係る水冷式ブスバーの斜視図である。
【図15】図15は、本発明の第6変形形態に係る水冷式ブスバーの斜視図である。
【図16】図16は、本発明の第7変形形態に係る水冷式ブスバーの斜視図である。
【図17】図17は、本発明の一関連技術に係る水冷式ブスバーの縦断面図である。
【図18】図18は、本発明のもう一つの関連技術に係る水冷式ブスバーの縦断面図である。
【符号の説明】
【0143】
1:ブスバー構成部材
1a:接触面
1b:異種金属置換層
2:端面
3:冷却水通路
3a:開口部
4:切欠き部
10:冷却水導通管
20:導電性部材
20a:接触面
20b:異種金属置換層
21:端部
22:中間部
23:取付け部
24:積層体
24a:薄板
27:細線束
27a:細線
29:通しボルト
30:導電性ペースト層
31:はんだ層
40A〜40H:ブスバー
L:ブスバー構成部材(ブスバー)の長さ方向
H:ブスバー構成部材(ブスバー)の厚さ方向
W:ブスバー構成部材(ブスバー)の幅方向
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に冷却水通路が長さ方向に延びて設けられるとともに、長さ方向の端面に前記冷却水通路の開口部が形成された複数個のアルミニウム又はその合金製ブスバー構成部材を備え、
前記複数個のブスバー構成部材における長さ方向に互いに隣り合う2個のブスバー構成部材の端面同士が互いに離間して配置され、
両ブスバー構成部材同士が導電性部材を介して互いに電気的に接続されるとともに、
両ブスバー構成部材の端面の開口部同士がフレキシブルな冷却水導通管を介して互いに連通状態に連結されていることを特徴とする水冷式ブスバー。
【請求項2】
前記ブスバー構成部材の外周面に形成された切欠き部に、前記導電性部材のブスバー構成部材との取付け部が嵌め込まれている請求項1記載の水冷式ブスバー。
【請求項3】
前記導電性部材と前記ブスバー構成部材とが、導電性部材及びブスバー構成部材を順次貫通した状態に配置された通しボルトによって互いに密着する方向に締結されている請求項1又は2記載の水冷式ブスバー。
【請求項4】
前記導電性部材と前記ブスバー構成部材とが、導電性部材とブスバー構成部材との接触面間に配置されるとともに導電性粒子を含有した導電性ペースト層を介して互いに連結されている請求項1〜3のいずれかに記載の水冷式ブスバー。
【請求項5】
前記導電性ペーストは、前記導電性粒子として、金、銀、銅、カーボン、カーボンナノチューブ、アルミニウム、マグネシウム、亜鉛、ニッケル、スズ、鉛及びビスマスからなる群より選択された一種又は二種以上を含有している請求項4記載の水冷式ブスバー。
【請求項6】
前記導電性部材と前記ブスバー構成部材とが、導電性部材とブスバー構成部材との接触面間に配置され且つ両接触面同士を接合したはんだ層を介して互いに連結されている請求項1〜3のいずれかに記載の水冷式ブスバー。
【請求項7】
前記ブスバー構成部材の導電性部材との接触面が、ブスバー構成部材の構成材料とは異種の金属で置換されている請求項1〜6のいずれかに記載の水冷式ブスバー。
【請求項8】
前記導電性部材のブスバー構成部材との接触面が、導電性部材の構成材料とは異種の金属で置換されている請求項1〜7のいずれかに記載の水冷式ブスバー。
【請求項9】
前記導電性部材のブスバー構成部材との接触面の全面積は、ブスバー構成部材の横断面積と同等以上に設定されている請求項1〜8のいずれかに記載の水冷式ブスバー。
【請求項10】
前記冷却水導通管は、軟質ゴム、軟質樹脂又は金属編組で形成されている請求項1〜9のいずれかに記載の水冷式ブスバー。
【請求項11】
前記導電性部材の長さ方向両端部が、導電性部材の両ブスバー構成部材との取付け部であり、
前記導電性部材の長さ方向両端部がそれぞれ板状に形成されるとともに、当該両端部が前記両ブスバー構成部材に固定状態に連結され、
前記導電性部材の少なくとも長さ方向中間部は、複数の薄板が積層されて形成された積層体か、あるいは多数の細線が束ねられて形成された細線束で形成されている請求項1〜10のいずれかに記載の水冷式ブスバー。
【請求項12】
内部に冷却水通路が長さ方向に延びて設けられるとともに、長さ方向の端面に前記冷却水通路の開口部が形成された2個のブスバー構成部材の端面同士を互いに離間して配置する配置工程と、
両ブスバー構成部材同士を導電性部材を介して互いに電気的に接続する電気的接続工程と、
両ブスバー構成部材の端面の開口部同士をフレキシブルな冷却水導通管を介して互いに連通状態に連結する連結工程と、
を含むことを特徴とする水冷式ブスバーの製造方法。
【請求項1】
内部に冷却水通路が長さ方向に延びて設けられるとともに、長さ方向の端面に前記冷却水通路の開口部が形成された複数個のアルミニウム又はその合金製ブスバー構成部材を備え、
前記複数個のブスバー構成部材における長さ方向に互いに隣り合う2個のブスバー構成部材の端面同士が互いに離間して配置され、
両ブスバー構成部材同士が導電性部材を介して互いに電気的に接続されるとともに、
両ブスバー構成部材の端面の開口部同士がフレキシブルな冷却水導通管を介して互いに連通状態に連結されていることを特徴とする水冷式ブスバー。
【請求項2】
前記ブスバー構成部材の外周面に形成された切欠き部に、前記導電性部材のブスバー構成部材との取付け部が嵌め込まれている請求項1記載の水冷式ブスバー。
【請求項3】
前記導電性部材と前記ブスバー構成部材とが、導電性部材及びブスバー構成部材を順次貫通した状態に配置された通しボルトによって互いに密着する方向に締結されている請求項1又は2記載の水冷式ブスバー。
【請求項4】
前記導電性部材と前記ブスバー構成部材とが、導電性部材とブスバー構成部材との接触面間に配置されるとともに導電性粒子を含有した導電性ペースト層を介して互いに連結されている請求項1〜3のいずれかに記載の水冷式ブスバー。
【請求項5】
前記導電性ペーストは、前記導電性粒子として、金、銀、銅、カーボン、カーボンナノチューブ、アルミニウム、マグネシウム、亜鉛、ニッケル、スズ、鉛及びビスマスからなる群より選択された一種又は二種以上を含有している請求項4記載の水冷式ブスバー。
【請求項6】
前記導電性部材と前記ブスバー構成部材とが、導電性部材とブスバー構成部材との接触面間に配置され且つ両接触面同士を接合したはんだ層を介して互いに連結されている請求項1〜3のいずれかに記載の水冷式ブスバー。
【請求項7】
前記ブスバー構成部材の導電性部材との接触面が、ブスバー構成部材の構成材料とは異種の金属で置換されている請求項1〜6のいずれかに記載の水冷式ブスバー。
【請求項8】
前記導電性部材のブスバー構成部材との接触面が、導電性部材の構成材料とは異種の金属で置換されている請求項1〜7のいずれかに記載の水冷式ブスバー。
【請求項9】
前記導電性部材のブスバー構成部材との接触面の全面積は、ブスバー構成部材の横断面積と同等以上に設定されている請求項1〜8のいずれかに記載の水冷式ブスバー。
【請求項10】
前記冷却水導通管は、軟質ゴム、軟質樹脂又は金属編組で形成されている請求項1〜9のいずれかに記載の水冷式ブスバー。
【請求項11】
前記導電性部材の長さ方向両端部が、導電性部材の両ブスバー構成部材との取付け部であり、
前記導電性部材の長さ方向両端部がそれぞれ板状に形成されるとともに、当該両端部が前記両ブスバー構成部材に固定状態に連結され、
前記導電性部材の少なくとも長さ方向中間部は、複数の薄板が積層されて形成された積層体か、あるいは多数の細線が束ねられて形成された細線束で形成されている請求項1〜10のいずれかに記載の水冷式ブスバー。
【請求項12】
内部に冷却水通路が長さ方向に延びて設けられるとともに、長さ方向の端面に前記冷却水通路の開口部が形成された2個のブスバー構成部材の端面同士を互いに離間して配置する配置工程と、
両ブスバー構成部材同士を導電性部材を介して互いに電気的に接続する電気的接続工程と、
両ブスバー構成部材の端面の開口部同士をフレキシブルな冷却水導通管を介して互いに連通状態に連結する連結工程と、
を含むことを特徴とする水冷式ブスバーの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2010−16945(P2010−16945A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−173481(P2008−173481)
【出願日】平成20年7月2日(2008.7.2)
【出願人】(000002004)昭和電工株式会社 (3,251)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年7月2日(2008.7.2)
【出願人】(000002004)昭和電工株式会社 (3,251)
【Fターム(参考)】
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