説明

水処理システム

【課題】開放型ろ過装置が設置されている前段ろ過装置と、密閉型ろ過装置が設置されている後段ろ過装置とを備える水処理システムにおいて、中間水槽を設置しない水処理システムを提供すること、即ち、スペースやコストを大幅に削減し、設置条件の制約を解消し、運転制御系統を統一することができる水処理システムを提供する。
【解決手段】開放型ろ過装置11と密閉型ろ過装置21とをポンプ40を介して直接接続し、開放型ろ過装置11でろ過された処理水の流量は、ポンプ40の回転数または前記ポンプ40の2次側に取り付けたバルブの開度によって制御して密閉型ろ過装置21へ圧送することとした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開放型ろ過装置が設置されている前段ろ過装置と、密閉型ろ過装置が設置されている後段ろ過装置とを備える水処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、前段ろ過装置と後段ろ過装置とを備える水処理システムにおいて、下記特許文献に示すように、前段ろ過装置と後段ろ過装置との両段共に密閉型ろ過装置で接続する場合、同じ密閉型ろ過装置であるので中間水槽が設置されていなかった(文献図1参照)。
【0003】
これに対し、図5に示す水処理システム100のように、前段ろ過装置101が開放型ろ過装置102で、後段ろ過装置103が密閉型ろ過装置104であるとき、この両段のろ過装置は中間水槽105を用いて接続される。中間水槽105を用いて接続するのは、前段ろ過装置101が開放型ろ過装置102であるためろ過される処理水の流量が変動するのに対し、後段ろ過装置103の運転・制御を安定化させる緩衝機能を持たせるためであり、後段ろ過装置103の運転状況に前段ろ過装置101が影響を与えないように切り離するためである。また、中間水槽105は、前段ろ過装置101でろ過された処理水(以下「前段処理水」と言う。)を貯留する、後段ろ過装置103の原水貯留槽としての機能を有し、運転制御にも関わっていた。
【0004】
更に、開放型ろ過装置102と密閉型ろ過装置104を接続する場合、中間水槽105と後段ろ過装置103である密閉型ろ過装置104との間には、ポンプ106が設置される。ポンプ106が設置されるのは、前段ろ過装置101である開放型ろ過装置102の一次側水頭は、ほぼ装置高さかそれ以下であるのに対し、密閉型ろ過装置104は装置よりも相当高い一次側水頭を必要とするため、直接接続したのでは密閉型ろ過装置104に対する水頭が得られないためである。
【0005】
しかしながら、前段ろ過装置101が開放型ろ過装置102で、後段ろ過装置103が密閉型ろ過装置104であるとき、この両段のろ過装置を中間水槽105を用いて接続すると、(1)中間水槽105の容量は、前段処理水の流出量と後段ろ過装置103への流入量とのバランスから決定されるが、処理規模によっては巨大な水槽が必要となり、スペース、コストの両面で制約が大きかった。更に中間水槽を設置するとメンテナンス等の維持費が掛るとの問題点があった。また、(2)前段ろ過装置101は開放型で自由水面を持つため、中間水槽105の水位は、前段ろ過装置101の水位より低くする必要がある。そのため、後段ろ過装置103は、前段ろ過装置101と同レベル若しくはそれより低い位置に設置することが通常であり、設置条件に制約を受けていた。これは、後段ろ過装置103を前段ろ過装置101より高いレベルで設置すると、後段ろ過装置103の前に設置されるポンプ106の揚程を高くする必要があり、動力費増加の要因となるためである。更に、(3)前段ろ過装置101と後段ろ過装置103とを中間水槽105を介して接続する水処理システム100は、制御系統が中間水槽105で分かれるために、水量バランスの調整や装置稼動条件の設定などを前段ろ過装置101と後段ろ過装置103とで別個に行う必要があり、制御方法が複雑であった。
【0006】
【特許文献1】特開2005−95812
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明はかかる問題点を解決するためになされたものであって、その目的とするところは、開放型ろ過装置が設置されている前段ろ過装置と、密閉型ろ過装置が設置されている後段ろ過装置とを備える水処理システムにおいて、中間水槽を設置しない水処理システムを提供すること、即ち、スペースやコストを大幅に削減し、設置条件の制約を解消し、運転制御系統を統一することができる水処理システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の請求項1に係る水処理システムは、開放型ろ過装置が少なくとも1台以上設置されている前段ろ過装置と、密閉型ろ過装置が少なくとも1台以上設置されている後段ろ過装置とを備える水処理システムにおいて、前記前段ろ過装置と前記後段ろ過装置とはポンプを介して直接接続され、前記前段ろ過装置でろ過された処理水(以下「前段処理水」という。)の流量は、前記ポンプの回転数または前記ポンプ2次側に取り付けたバルブの開度によって制御されて前記後段ろ過装置へ圧送されることを特徴とするものである。
【0009】
また、本発明の請求項2に係る水処理システムは、請求項1に記載の水処理システムにおいて、前記前段ろ過装置の2次側の圧力または水位のいずれか一の値が設定値から外れた場合に前記ポンプの運転が停止される制御を行うことを特徴とするものである。
【0010】
また、本発明の請求項3に係る水処理システムは、請求項1または請求項2に記載の水処理システムにおいて、前記前段ろ過装置への流入量が、前記ポンプで前記後段ろ過装置へ圧送される前段処理水の流入量より多くなることにより発生するオーバーフローを前記前段ろ過装置の流入口より前に戻すことを特徴とするものである。
【0011】
また、本発明の請求項4に係る水処理システムは、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の水処理システムにおいて、前記ポンプで前記後段ろ過装置に圧送される前段処理水の流入量は、前記後段ろ過装置の2次側の流出口に接続されている配管に設置されている流量計で計測される前記後段ろ過装置でろ過された処理水(以下「後段処理水」と言う。)の流出量に対応して、又は前記ポンプと前記後段ろ過装置とが接続されている配管に設置されている流量計で計測される前記前段処理水の流入量で、制御され、前記前段ろ過装置への流入量は、前記前段ろ過装置の水位で制御されることを特徴とするものである。
【0012】
また、本発明の請求項5に係る水処理システムは、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の水処理システムにおいて、前記ポンプで前記後段ろ過装置へ圧送される前段処理水の流入量は、前記前段ろ過装置の水位で制御されることを特徴とするものである。
【0013】
また、本発明の請求項6に係る水処理システムは、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の水処理システムにおいて、前記ポンプで前記後段ろ過装置に圧送される前段処理水の流入量は、前記後段ろ過装置の2次側の流出口に接続されている配管に設置されている流量計で計測される後段処理水の流出量に対応して、又は前記ポンプと前記後段ろ過装置とが接続されている配管に設置されている流量計で計測される前記前段処理水の流入量で、制御され、前記前段ろ過装置への流入量は、前記後段処理水の流出量を基準に所定量が勘案された数値で制御されることを特徴とするものである。
【0014】
また、本発明の請求項7に係る水処理システムは、請求項2または請求項3に記載の水処理システムにおいて、前記ポンプで前記後段ろ過装置に圧送される前段処理水の流入量は、前記後段ろ過装置の2次側の流出口に接続されている配管に設置されている流量計で計測される後段処理水の流出量に対応して、又は前記ポンプと前記後段ろ過装置とが接続されている配管に設置されている流量計で計測される前記前段処理水の流入量で、制御され、前記前段ろ過装置への流入量は、前記後段処理水の流出量及び前記オーバーフロー量を基準に所定量が勘案された数値で制御されることを特徴とするものである。
【0015】
また、本発明の請求項8に係る水処理システムは、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の水処理システムにおいて、前記前段ろ過装置が上向流砂ろ過装置、下向流砂ろ過装置、または横流式砂ろ過装置の中のいずれかであることを特徴とするものである。
【0016】
また、本発明の請求項9に係る水処理システムは、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の水処理システムにおいて、前記後段ろ過装置が膜ろ過装置、急速砂ろ過装置、または活性炭ろ過装置の中のいずれかであることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0017】
上記構成を備えた本発明の水処理システムは、前段ろ過装置と後段ろ過装置とが中間水槽を設置することなく直接接続されているので、中間水槽を設置するためのスペースやコストを大幅に削減することができ、設置条件の制約を解消することができる。更に、前段ろ過装置と後段ろ過装置とがポンプを介して直接接続されているので運転制御系統を統一することができる。
【0018】
更に、請求項2に係る水処理システムは、前段ろ過装置の2次側の圧力または水位のいずれか一の値が設定値から外れた場合にポンプの運転が停止される制御であるので、緩衝機能としての中間水槽が設置されていない場合でも前段処理水がポンプにより過剰に吸引されるのを防止し、ポンプや後段ろ過装置等が棄損するのを防止することができる。
【0019】
更に、請求項3に係る水処理システムは、前段ろ過装置と後段ろ過装置の処理能力に一時的な差異が生じることにより発生する原水若しくは前段処理水のオーバーフローを前段ろ過装置の流入口より前に戻す流路を設けたので、原水若しくは前段処理水が流出する無駄を防止することができる。
【0020】
更に、請求項4に係る水処理システムは、前記ポンプで前記後段ろ過装置に圧送される前段処理水の流入量は、前記後段ろ過装置の2次側の流出口に接続されている配管に設置されている流量計で計測される後段処理水の流出量に対応して、又は前記ポンプと前記後段ろ過装置とが接続されている配管に設置されている流量計で計測される前記前段処理水の流入量で、制御され、前段ろ過装置への流入量は、前段ろ過装置の水位で制御されるので、後段ろ過装置で必要な前段処理水量を不足なく供給することができ、水処理システムを後段ろ過装置の処理能力に適合させて効率よく稼働させることができる。
【0021】
更に、請求項5に係る水処理システムは、後段ろ過装置へポンプで圧送される前段処理水の流入量は、前段ろ過装置の水位で制御されるので、後段ろ過装置は、前段ろ過装置の処理能力に対応してろ過処理を行うことができる。
【0022】
更に、請求項6に係る水処理システムは、前記ポンプで前記後段ろ過装置に圧送される前段処理水の流入量は、前記後段ろ過装置の2次側の流出口に接続されている配管に設置されている流量計で計測される後段処理水の流出量に対応して、又は前記ポンプと前記後段ろ過装置とが接続されている配管に設置されている流量計で計測される前記前段処理水の流入量で、制御され、前記前段ろ過装置への流入量は、後段処理水の流出量を基準に所定量が勘案された数値で制御されるので、前段ろ過装置と後段ろ過装置とのろ過処理能力の差異が考慮され、バッファーとしての中間水槽がないことによる前段処理水が不足し、水処理システムが停止するのを防止することができる。
【0023】
更に、請求項7に係る水処理システムは、前記ポンプで前記後段ろ過装置に圧送される前段処理水の流入量は、前記後段ろ過装置の2次側の流出口に接続されている配管に設置されている流量計で計測される後段処理水の流出量に対応して、又は前記ポンプと前記後段ろ過装置とが接続されている配管に設置されている流量計で計測される前記前段処理水の流入量で、制御され、前記前段ろ過装置への流入量は、前記後段処理水の流出量及び前記オーバーフロー量を基準に所定量が勘案された数値で制御されるので、前段ろ過装置と後段ろ過装置とのろ過処理能力の差異が考慮され、バッファーとしての中間水槽がないことによる前段処理水が不足し、水処理システムが停止するのを防止することができる。
【0024】
更に、本発明に係る水処理システムにおいては、前段ろ過装置に上向流砂ろ過装置、下向流砂ろ過装置、または横流式砂ろ過装置の中のいずれかを、後段ろ過装置に膜ろ過装置、急速砂ろ過装置、または活性炭ろ過装置のいずれかを用いるのが好適である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下に図面を参照して、この発明の好適な実施の形態を例示して説明する。ただし、この発明の範囲は、特に限定的記載がない限り、この実施の形態に記載されている内容に限定する趣旨のものではない。
【0026】
第1実施形態:
本発明の第1実施形態に係る水処理システムの概略図を図1に示す。この水処理システム1は、前段ろ過装置10に開放型ろ過装置11である横流式砂ろ過装置の一種である横流移動床式砂ろ過装置が設置され、後段ろ過装置20には密閉型ろ過装置21である膜ろ過装置が設置されている。
【0027】
開放型ろ過装置11と密閉型ろ過装置21とは後段ポンプ40を介して配管50で直接接続され、開放型ろ過装置11に原水及び後述するオーバーフローを流入させるために流入口12に接続されている配管51には前段ポンプ30が中間に設置されている。また、開放型ろ過装置11には、ろ過された前段処理水の出口である2次側の出口に圧力計13が設置されていると共に、前段ろ過装置の水位を計測する水位計14が設置されている。密閉型ろ過装置21の2次側出口に接続されている配管53の中間には流量計22が設置されている。
【0028】
次に、この水処理システム1でのろ過処理の流れについて説明する。図示しない原水貯留槽から配管51に流出した原水は、前段ポンプ30により圧送され流入口12より開放型ろ過装置11の1次側に流入する。開放型ろ過装置11でろ過処理された前段処理水は、圧力計13が設置されている2次側の流出口から配管50に流出し、配管50の途中に設置されている後段ポンプ40により圧送され密閉型ろ過装置21の1次側に流入する。密閉型ろ過装置21でろ過処理された後段処理水は、2次側の流出口から流量計22が設置されている配管53へ流出する。
【0029】
この場合において、密閉型ろ過装置21に後段ポンプ40で圧送される前段処理水の流入量は、配管53に設置されている流量計22で計測される後段処理水の流出量に基き、後段ポンプ40の回転数で流量が制御される。そのため、後段ポンプ40により圧送される前段処理水の必要量は、開放型ろ過装置11で常時ろ過処理されていることが必要となり、開放型ろ過装置11へ前段ポンプ30で圧送される原水の流入量は、開放型ろ過装置11に設置されている水位計14により計測された、前段ろ過装置の水位で制御される。従って、密閉型ろ過装置21で必要な前段処理水量が不足なく供給され、水処理システム1を密閉型ろ過装置21の処理能力に適合させて運転することが可能となる。尚、流量の制御は、後段ポンプ40の回転数ではなく、後段ポンプ40と密閉型ろ過装置21とを連結している配管50Aに設置されている図示されていないバルブの開度で制御しても良い。更に、開放型ろ過装置11として設置している横流移動床式ろ過機の水位を一定に制御する目的は、このろ過装置の上部に設置されているろ過砂洗浄器の水位は固定であり、ろ過装置の水位はこの水位より一定以上高くしなければならないためであり、横流移動床式ろ過機に代えて図示しない固定床下向流ろ過機を使用した場合は、装置水位がろ過砂より下位になると、ろ過性能が著しく悪化するのでこれを防止するためである。
【0030】
尚、配管53に設置されている流量計22を、後段ポンプ40と密閉型ろ過装置21の流入口とを連結する配管50Aの中間に設置し、密閉型ろ過装置21に後段ポンプ40で圧送される前段処理水の流入量を、この位置に設置された流量計で計測された流入量で制御しても良い。
【0031】
また、密閉型ろ過装置21に後段ポンプ40で圧送される前段処理水の流入量が著しく増加し、前段ろ過装置の2次側の水位が急激に低下し、開放型ろ過装置11に設置されている圧力計13または水位計14により計測されたいずれかの値が設定値より外れた場合、後段ポンプ40の運転が停止され、後段ポンプ40に過大な負荷が掛かることによる後段ポンプ40及び密閉型ろ過装置21の故障を防止することが可能となる。
【0032】
第2実施形態:
本発明の第2実施形態に係る水処理システムは、図2に示す通りであり、第1実施形態と以下の構成が異なる以外は同じである。即ち、前段ポンプ30と開放型ろ過装置11の流入口12とを連結する配管51Aの中間に前段流量計15が設置されている。尚、第1実施形態において、密閉型ろ過装置21の流出口に接続される配管53に設置されていた流量計22は、設置されていない。
【0033】
第2実施形態において、密閉型ろ過装置21に後段ポンプ40で圧送される前段処理水の流入量は、開放型ろ過装置11に設置されている水位計14により計測された、前段ろ過装置の水位を一定状態に保つように、後段ポンプ40の回転数で流量が制御される。従って、密閉型ろ過装置21は、開放型ろ過装置11でろ過処理された前段処理水量に適合して運転するので、水処理システム1を開放型ろ過装置11の処理能力に適合させて運転することが可能となる。尚、開放型ろ過処理装置11でのろ過処理量は、水位計14により計測された、前段ろ過装置の水位に基き、流入口12に接続されている配管51Aに設置されている前段流量計15で計測される原水の流入量で制御することが可能である。
【0034】
第3実施形態:
本発明の第3実施形態に係る水処理システムは、図3に示す通りであり、第1実施形態と以下の構成が異なる以外は同じである。即ち、開放型ろ過装置11の上方に接続されている配管52が、図示しない原水槽と開放型ろ過装置11とを接続している配管51に連結されている。また、前段ポンプ30と開放型ろ過装置11の流入口12とを連結する配管51Aの中間に前段流量計15が設置されている。
【0035】
第3実施形態において、密閉型ろ過装置21に後段ポンプ40で圧送される前段処理水の流入量は配管53に設置されている流量計22で計測される後段処理水の流出量に基き、後段ポンプ40の回転数で流量が制御される。そのため、後段ポンプ40により圧送される前段処理水の必要量は、開放型ろ過装置11で常時ろ過処理されることが必要となり、開放型ろ過装置11への原水及びオーバーフローの流入量は、流量計22で計測される後段処理水の流出量を基準に一定量を加算した値、若しくは一定量を乗じた値等を用いて、前段流量計15で制御して行う。従って、開放型ろ過装置11と密閉型ろ過装置21とのろ過処理能力の差異が考慮されて開放型ろ過装置11への流入量が制御されるので、前段処理水が不足し、水処理システム1が停止するのを防止することができる。
【0036】
尚、開放型ろ過装置11への流入量が、後段ポンプ40で密閉型ろ過装置21へ圧送される前段処理水の流入量より多い場合には、前段処理水はオーバーフローとして開放型ろ過装置11の上方より配管52を経由して配管51または図示しない原水槽まで戻され、原水と一緒になって開放型ろ過装置11に再び流入するようになっているので、原水若しくは前段処理水の無駄を防止することが出来る。
【0037】
尚、配管52及び前段流量計15が増設されている以外第1実施形態と同じ構成であるので、配管53に設置されている流量計22を、後段ポンプ40と密閉型ろ過装置21の流入口とを連結する配管50Aの中間に設置し、密閉型ろ過装置21に後段ポンプ40で圧送される前段処理水の流入量を、この位置に設置された流量計で計測された流入量で制御しても良いことは、言うまでもない。
【0038】
第4実施形態:
本発明の第4実施形態に係る水処理システムは、図4に示す通りであり、第3実施形態と以下の構成が異なる以外は同じである。即ち、オーバーフローとして流出させるために開放型ろ過装置11の上方に接続されている配管52にオーバーフロー流量計16が設置されている。
【0039】
第4実施形態において、密閉型ろ過装置21に後段ポンプ40で圧送される前段処理水の流入量は配管53に設置されている流量計22で計測される後段処理水の流出量に基き、後段ポンプ40の回転数で流量が制御される。従って、後段ポンプ40により圧送される前段処理水の必要量は、開放型ろ過装置11で常時ろ過処理されることが必要となり、開放型ろ過装置11への原水及びオーバーフローの流入量は、流量計22で計測される後段処理水の流出量と、オーバーフロー流量計16で計測されるオーバーフローの流出量との和を基準に一定量を加算した値、若しくは一定量を乗じた値等を用いて、前段流量計15で制御して行う。従って、開放型ろ過装置11と密閉型ろ過装置21とのろ過処理能力の差異が考慮されて開放型ろ過装置11への流入量が制御されるので、前段処理水が不足し、水処理システム1が停止するのを防止することができる。
【0040】
尚、上記第1実施形態乃至第4実施形態において、密閉型ろ過装置21に使用される装置として、膜ろ過装置の代わりに急速砂ろ過装置、または活性炭ろ過装置を用いても良い。
【0041】
更に、上記第1実施形態乃至第4実施形態において、開放型ろ過装置11に原水を圧送するのに前段ポンプ30を用いたが、原水槽の水位を開放型ろ過装置11の水位より高くし、高低差による圧力を用い原水等を開放型ろ過装置11に流量制御弁にて制御して圧送しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の第1実施形態に係る水処理システムの概略説明図である。
【図2】本発明の第2実施形態に係る水処理システムの概略説明図である。
【図3】本発明の第3実施形態に係る水処理システムの概略説明図である。
【図4】本発明の第4実施形態に係る水処理システムの概略説明図である。
【図5】従来例に係る水処理システムの概略説明図である。
【符号の説明】
【0043】
1 水処理システム
10 前段ろ過装置
11 開放型ろ過装置
12 流入口
13 圧力計
14 水位計
15 前段流量計
16 オーバーフロー流量計
20 後段ろ過装置
21 密閉型ろ過装置
22 流量計
30 前段ポンプ
40 後段ポンプ
50,51,52,53 配管


【特許請求の範囲】
【請求項1】
開放型ろ過装置が少なくとも1台以上設置されている前段ろ過装置と、密閉型ろ過装置が少なくとも1台以上設置されている後段ろ過装置とを備える水処理システムにおいて、
前記前段ろ過装置と前記後段ろ過装置とはポンプを介して直接接続され、
前記前段ろ過装置でろ過された処理水(以下「前段処理水」という。)の流量は、前記ポンプの回転数または前記ポンプ2次側に取り付けたバルブの開度によって制御されて前記後段ろ過装置へ圧送されることを特徴とする水処理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の水処理システムにおいて、
前記前段ろ過装置の2次側の圧力または水位のいずれか一の値が設定値から外れた場合に前記ポンプの運転が停止される制御を行うことを特徴とする水処理システム。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の水処理システムにおいて、
前記前段ろ過装置への流入量が、前記ポンプで前記後段ろ過装置へ圧送される前段処理水の流入量より多くなることにより発生するオーバーフローを前記前段ろ過装置の流入口より前に戻すことを特徴とする水処理システム。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の水処理システムにおいて、
前記ポンプで前記後段ろ過装置に圧送される前段処理水の流入量は、前記後段ろ過装置の2次側の流出口に接続されている配管に設置されている流量計で計測される前記後段ろ過装置でろ過された処理水(以下「後段処理水」と言う。)の流出量に対応して、又は前記ポンプと前記後段ろ過装置とが接続されている配管に設置されている流量計で計測される前記前段処理水の流入量で、制御され、前記前段ろ過装置への流入量は、前記前段ろ過装置の水位で制御されることを特徴とする水処理システム。
【請求項5】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の水処理システムにおいて、
前記ポンプで前記後段ろ過装置へ圧送される前段処理水の流入量は、前記前段ろ過装置の水位で制御されることを特徴とする水処理システム。
【請求項6】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の水処理システムにおいて、
前記ポンプで前記後段ろ過装置に圧送される前段処理水の流入量は、前記後段ろ過装置の2次側の流出口に接続されている配管に設置されている流量計で計測される後段処理水の流出量に対応して、又は前記ポンプと前記後段ろ過装置とが接続されている配管に設置されている流量計で計測される前記前段処理水の流入量で、制御され、前記前段ろ過装置への流入量は、前記後段処理水の流出量を基準に所定量が勘案された数値で制御されることを特徴とする水処理システム。
【請求項7】
請求項2または請求項3に記載の水処理システムにおいて、
前記ポンプで前記後段ろ過装置に圧送される前段処理水の流入量は、前記後段ろ過装置の2次側の流出口に接続されている配管に設置されている流量計で計測される後段処理水の流出量に対応して、又は前記ポンプと前記後段ろ過装置とが接続されている配管に設置されている流量計で計測される前記前段処理水の流入量で、制御され、前記前段ろ過装置への流入量は、前記後段処理水の流出量及び前記オーバーフロー量を基準に所定量が勘案された数値で制御されることを特徴とする水処理システム。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の水処理システムにおいて、
前記前段ろ過装置が上向流砂ろ過装置、下向流砂ろ過装置、または横流式砂ろ過装置の中のいずれかであることを特徴とする水処理システム。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか1項に記載の水処理システムにおいて、
前記後段ろ過装置が膜ろ過装置、急速砂ろ過装置、または活性炭ろ過装置の中のいずれかであることを特徴とする水処理システム。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−115576(P2010−115576A)
【公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−289306(P2008−289306)
【出願日】平成20年11月11日(2008.11.11)
【出願人】(000193508)水道機工株式会社 (50)
【Fターム(参考)】