説明

水処理具

【課題】2種類の異種金属をメッキやクラッド法により互いに一体化させる必要がなく、これにより、製造コストを低減できると共に、マグネシウムが無くなるまで永続的に効果を維持させることができる水処理具の提供。
【解決手段】第1金属1がマグネシウムで構成される第2金属2の外周に所定の移動隙間を形成した状態で囲繞する円筒状で該内周面に多数の突起11が形成され、第1金属1と第2金属2が複数の貫通孔33を有する非金属性容器3内において互いに相対移動可能な状態に収容されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、花瓶や花器、水槽、洗濯機、池、湖、プール、噴水、冷却塔、クーリングタワー、風呂、トイレのロータンク、加湿器、循環水管路、取水口部分等に収容される全ての水の他に、例えば、医科や医療器具等の殺菌洗浄処理に用いられる洗浄水の製造や、金属イオンを添加した木酢液、竹酢液の製造等に適用される水処理具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種の水処理具として、本件出願人が先に出願した特許願がある(例えば、特許文献1参照)。
即ち、この特許願は、イオン化傾向又は/及び電位の異なる2種類の異種金属を互いに密着させると共に該2種類の異種金属の接触境界部分が水と接触する状態で露出形成されている構成とすることにより水中において該接触境界部分で局部電池が形成されてイオン化傾向の大きい又は/及び電位の低い方の第2金属2が酸化する際に水中に金属イオンを溶出させて水に所定の機能を付加する水処理具であって、2種類の異種金属をメッキやクラッド法により互いに密着させた構造としたものであった。
【0003】
【特許文献1】特願2004−22549号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、先に出願の水処理具では、2種類の異種金属をメッキやクラッド法により互いに一体化させた構造であったため、異種金属を互いに密着させた状態に組み付ける作業に設備費や手間を要するため製造コストが高く付くという問題があった。
【0005】
本発明は、かかる従来の問題点を解決するためになされたものであって、その目的とするところは、2種類の異種金属をメッキやクラッド法により互いに一体化させる必要がなく、これにより、製造コストを低減できると共に、マグネシウムが無くなるまで永続的に効果を維持させることができる水処理具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するための手段として、請求項1記載の水処理具は、イオン化傾向又は/及び電位の異なる2種類の異種金属を互いに接触させた状態で処理すべき水中に没する状態とすることにより、前記2種類の異種金属のうちイオン化傾向の小さい及び/又は電極電位の高い方の第1金属の腐蝕を防止しようとして電極電位の低い方の第2金属から高い方の第1金属へ電子を移動させるイオン化傾向の大きい及び/又は電極電位の低い方の第2金属の局部電池形成による酸化還元反応の腐蝕作用により該イオン化傾向の大きい及び/又は電極電位の低い方の第2金属から金属イオンを永続的に溶出させて水に所定の機能を付加する水処理具であって、前記第2金属がマグネシウムで構成され、前記第1金属がマグネシウムで構成される前記第2金属の外周に所定の移動隙間を形成した状態で囲繞する筒状で該内周面に多数の突起が形成され、前記第1金属と第2金属が複数の貫通孔を有する非金属性容器内において互いに相対移動可能な状態に収容されていることを特徴とする手段とした。
【0007】
請求項2記載の水処理具は、請求項1に記載の水処理具において、前記第2金属が棒状のマグネシウムで構成され、該棒状のマグネシウムで構成される第2金属の両端部が前記非金属製容器に固定され、前記筒状で該内周面に多数の突起が形成された第1金属のみが前記非金属性容器内で移動することにより前記第1金属と第2金属が複数の貫通孔を有する非金属性容器内において互いに相対移動可能な状態に収容されていることを特徴とする手段とした。
【0008】
請求項3記載の水処理具は、請求項1に記載の水処理具において、前記筒状で該内周面に多数の突起が形成された第1金属が前記非金属製容器に固定され、前記マグネシウムで構成される第2金属のみが前記非金属性容器内で移動することにより前記第1金属と第2金属が複数の貫通孔を有する非金属性容器内において互いに相対移動可能な状態に収容されていることを特徴とする手段とした。
【0009】
請求項4記載の水処理具は、イオン化傾向又は/及び電位の異なる2種類の異種金属を互いに接触させた状態で処理すべき水中に没する状態とすることにより、前記2種類の異種金属のうちイオン化傾向の小さい及び/又は電極電位の高い方の第1金属の腐蝕を防止しようとして電極電位の低い方の第2金属から高い方の第1金属へ電子を移動させるイオン化傾向の大きい及び/又は電極電位の低い方の第2金属の局部電池形成による酸化還元反応の腐蝕作用により該イオン化傾向の大きい及び/又は電極電位の低い方の第2金属から金属イオンを永続的に溶出させて水に所定の機能を付加する水処理具であって、前記第2金属がマグネシウムで構成され、前記第1金属が内周面に多数の突起が形成されると共に複数の貫通孔を有する容器体に形成され、該容器体の第1金属内に前記マグネシウムで構成される第2金属が移動可能な状態に収容されていることを特徴とする手段とした。
【0010】
請求項5記載の水処理具は、請求項4に記載の水処理具において、前記第2金属が棒状のマグネシウムで構成され、前記第1金属が棒状のマグネシウムで構成される前記第2金属の外周に所定の移動隙間を形成した状態でその外周全体を囲繞する筒状の容器体で該内周面に多数の突起が形成されると共に複数の貫通孔を有していることを特徴とする手段とした。
【0011】
請求項6記載の水処理具は、請求項1〜5のいずれか1項に記載の水処理具において、前記第2金属が交換可能な状態に設けられていることを特徴とする手段とした。
【0012】
請求項7記載の水処理具は、請求項1、3、4、6のいずれか1項に記載の水処理具において、前記第1金属内に前記第2金属と共に該第2金属よりは重い材質の移動体を収容してなることを特徴とする手段とした。
【0013】
請求項8記載の水処理具は、請求項7項に記載の水処理具において、前記移動体が遠赤外線放出体で構成されていることを特徴とする手段とした。
【0014】
請求項9記載の水処理具は、請求項7項に記載の水処理具において、前記移動体がマイナスイオン放出体で構成されていることを特徴とする手段とした。
【0015】
請求項10記載の水処理具は、請求項7項に記載の水処理具において、前記移動体がゼオライト鉱石で構成されていることを特徴とする手段とした。
【0016】
請求項11記載の水処理具は、請求項7項に記載の水処理具において、前記移動体が活性炭等の炭素体で構成されていることを特徴とする手段とした。
【0017】
請求項12記載の水処理具は、請求項7項に記載の水処理具において、前記移動体が黒曜石で構成されていることを特徴とする手段とした。
【発明の効果】
【0018】
本発明請求項1記載の水処理具では、上述のように、前記第2金属が棒状のマグネシウムで構成され、第1金属が棒状のマグネシウムで構成される第2金属の外周に所定の移動隙間を形成した状態で囲繞する筒状で該内周面に多数の突起が形成され、第1金属と第2金属が複数の貫通孔を有する非金属性容器内において互いに相対移動可能な状態に収容されている構成としたことで、以下に述べるような効果が得られる。
即ち、マグネシウム単独でも処理すべき水中に単に没した状態としておくと、水中で酸化腐触してマグネシウムイオンを溶出するが、マグネシウム単独の場合はその表面全体に酸化皮膜が形成されるため、マグネシウムイオンの溶出が停止される。ところが、この発明では、第2金属の表面に第1金属の複数の突起が当接することで、2種類の異種金属のうちイオン化傾向の小さい及び/又は電極電位の高い方の第1金属の腐蝕を防止しようとして電極電位の低い方のマグネシウムで構成される第2金属から高い方の第1金属へ電子を移動させるイオン化傾向の大きい及び/又は電極電位の低い方のマグネシウムで構成される第2金属の局部電池形成による酸化還元反応の腐蝕作用により酸化皮膜が形成されることなしに該第2金属を構成するマグネシウムからマグネシウムイオンを永続的に溶出させることができるようになる。
【0019】
また、この発明においても、大気中では第2金属を構成するマグネシウムの表面に酸化被膜が形成され、また、水中に没した状態においても、第1金属の突起が当接していない部分に酸化被膜が形成されることになるが、この発明の水処理具の使用に際しては、この水処理具を所定回数振ってやると、第1金属と第2金属が互いに接触した状態で相対移動することで、第1金属の複数の突起が第2金属を構成するマグネシウムの表面に無数の傷を付け、これにより、酸化被膜が形成されていない状態に復帰させることができるようになる。
【0020】
請求項2記載の水処理具では、上述のように、前記第2金属が棒状のマグネシウムで構成され、該棒状のマグネシウムで構成される第2金属の両端部が非金属製容器に固定され、筒状で該内周面に多数の突起が形成された第1金属のみが非金属性容器内で移動することにより第1金属と第2金属が複数の貫通孔を有する非金属性容器内において互いに相対移動可能な状態に収容されている構成としたことで、この水処理具を振る場合に、金属の中でも比較的重量の軽いマグネシウム側を固定することで、それよりは重量の重い第1金属側を効率的に移動させることができるようになる。
【0021】
請求項3記載の水処理具では、上述のように、前記筒状で該内周面に多数の突起が形成された第1金属が非金属製容器に固定され、マグネシウムで構成される第2金属のみが非金属性容器内で移動することにより第1金属と第2金属が複数の貫通孔を有する非金属性容器内において互いに相対移動可能な状態に収容されている構成としたことで、第2金属を粒状や塊状の複数のマグネシウムとした場合に、すべてのマグネシウムの表面に無数の傷を効率的に付けることができるようになる。
【0022】
請求項4記載の水処理具では、上述のように、第2金属がマグネシウムで構成され、第1金属が内周面に多数の突起が形成されると共に複数の貫通孔を有する容器体に形成され、該容器体の第1金属内にマグネシウムで構成される第2金属が移動可能な状態に収容されている構成としたことで、請求項1に記載の発明に比べ、非金属性容器を省略できるため、コストの低減化とコンパクト化が可能になる。
また、第2金属を粒状や塊状の複数のマグネシウムとした場合に、すべてのマグネシウムの表面に無数の傷を効率的に付けることができるようになる。
【0023】
請求項5記載の水処理具では、上述のように、前記第2金属が棒状のマグネシウムで構成され、第1金属が棒状のマグネシウムで構成される第2金属の外周に所定の移動隙間を形成した状態でその外周全体を囲繞する筒状の容器体で該内周面に多数の突起が形成されると共に複数の貫通孔を有している構成としたことで、請求項1に記載の発明に比べ、非金属性容器を省略できるため、コストの低減化とコンパクト化が可能になる。
【0024】
請求項6記載の水処理具では、上述のように、前記第2金属が交換可能な状態に設けられている構成としたことで、マグネシウムイオンの溶出により減少する方の第2金属のみを交換することにより、その他の部材の再利用が可能であるため、ランニングコストを低減化することができるようになる。
【0025】
請求項7記載の水処理具では、上述のように、前記第1金属内に前記第2金属と共に該第2金属よりは重い材質の移動体を収容することにより、この水処理具を振る際に軽量のマグネシウムで構成される第2金属を移動体の動きで大きく動かすことができるようになると共に、この移動体と擦れ合うことでマグネシウムの表面に無数の傷をさらに効率的に付けることができるようになる。
【0026】
請求項8記載の水処理具では、上述のように、前記移動体が遠赤外線放出体で構成されることにより、水に遠赤外線効果を付与することができるようになるという追加の効果が得られる。
【0027】
請求項9記載の水処理具では、上述のように、前記移動体がマイナスイオン放出体で構成されることにより、水にマイナスイオン効果を付与することができるようになるという追加の効果が得られる。
【0028】
請求項10記載の水処理具では、上述のように、前記移動体がゼオライト鉱石で構成されることにより、水に含まれる不純物の吸着作用による追加の効果が得られる。
【0029】
請求項11記載の水処理具では、上述のように、前記移動体が活性炭等の炭素体で構成されることにより、不純物の吸着作用により水に含まれる不純物を除去するという追加の効果が得られると共に、炭素はマグネシウムよりイオン化傾向の小さい及び/又は電極電位の高い金属であるため、この炭素体とマグネシウムとが第1金属内で接触することにより、第2金属を構成するマグネシウムからマグネシウムイオンを効率的に溶出させることができるようになるという追加の効果が得られる。
【0030】
請求項12記載の水処理具では、上述のように、前記移動体が黒曜石で構成されることにより、水に鉄イオンを溶出させることができるようになるという追加の効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、本発明の実施例を詳細に説明する。
(実施例1)
まず、この実施例1の水処理具の構成を図面に基づいて説明する。
図1はこの実施例1の水処理具を示す縦断面図、図2は図1のA−A線における横断平面図である。
【0032】
即ち、この実施例1の水処理具は、イオン化傾向又は/及び電位の異なる2種類の異種金属を互いに接触させた状態で処理すべき水中に没する状態とすることにより、前記2種類の異種金属のうちイオン化傾向の小さい及び/又は電極電位の高い方の第1金属の腐蝕を防止しようとして電極電位の低い方の第2金属から高い方の第1金属へ電子を移動させるイオン化傾向の大きい及び/又は電極電位の低い方の第2金属の局部電池形成による酸化還元反応の腐蝕作用により該イオン化傾向の大きい及び/又は電極電位の低い方の第2金属から金属イオンを永続的に溶出させて水に所定の機能を付加する水処理具であって、第1金属1と、第2金属2と、非金属製容器3と、で構成されている。
【0033】
さらに詳述すると、前記非金属製容器3は、食品衛生上問題のない合成樹脂等の非金属材料で構成されるもので、有底円筒状の容器本体31の開口部がねじ式の蓋体32で開閉自在に閉塞されると共に、その周壁には多数の貫通孔33が形成されている。
前記第2金属2は、棒状のマグネシウム(Mg)で構成されていて、その両端が容器本体31の底部34と蓋体32の中央部にそれぞれ形成された凹部34a、32aに装着された状態で固定されている。
【0034】
前記第1金属は、第2金属2の外周に所定の移動隙間を形成した状態で囲繞する円筒状で該内周面に多数の小さな突起11が形成されていて、非金属製容器3内において移動可能な状態に収容されている。この第1金属1としては、第2金属2を構成するマグネシウム(Mg)よりイオン化傾向の小さい及び/又は電極電位の高い金属であればよく、銅(Cu)、鉄(Fe)等を用いることができる。
【0035】
次に、この実施例1の作用・効果を説明する。
この実施例1の水処理具は、以上のように構成されるため、この水処理具を、処理すべき水中に単に没した状態としておくと、マグネシウム単独でも水中で酸化腐触してマグネシウムイオンを溶出するが、マグネシウム単独の場合は酸化皮膜が形成されるため、金属イオンの溶出が停止される。ところが、この実施例1では、第2金属2の表面に第1金属1の多数の突起11が当接することで、2種類の異種金属のうちイオン化傾向の小さい及び/又は電極電位の高い方の第1金属の腐蝕を防止しようとして電極電位の低い方のマグネシウムで構成される第2金属2から高い方の第1金属1へ電子を移動させるイオン化傾向の大きい及び/又は電極電位の低い方のマグネシウムで構成される第2金属2の局部電池形成による酸化還元反応の腐蝕作用により酸化皮膜が形成されることなしに該第2金属2を構成するマグネシウムからマグネシウムイオンを永続的に溶出させることができるようになる。
【0036】
また、この実施例1においても、大気中では第2金属2を構成するマグネシウムの表面に酸化被膜が形成され、また、水中に没した状態においても、第1金属1の突起11が当接していない部分に酸化被膜が形成されることになるが、この実施例1の水処理具の使用に際しては、この水処理具を所定回数振ってやると、非金属製容器3内で第1金属1のみが移動し、この第1金属1の突起11と第2金属2が互いに接触した状態で相対移動することで、第1金属1の多数の突起11が第2金属2を構成するマグネシウムの表面に無数の傷を付け、これにより、酸化被膜が形成されていない状態に復帰させることができるようになる。
【0037】
従って、2種類の異種金属をメッキやクラッド法により互いに一体化させる必要がないため、製造コストを低減できると共に、第2金属2を構成するマグネシウムが無くなるまで永続的に効果を維持させることができるようになるという効果が得られる。
【0038】
また、この水処理具を振る場合に、金属の中でも比較的重量の軽いマグネシウムで構成される第2金属2側を固定することで、それよりは重量の重い第1金属1側を効率的に移動させることができるようになる。
【0039】
また、前記第2金属2が交換可能な状態に設けられている構成としたことで、マグネシウムイオンの溶出により減少する方の第2金属2のみを交換することにより、その他の部材の再利用が可能であるため、ランニングコストを低減化することができるようになる。
【0040】
そして、例えば、この実施例1の水処理具を種々の目的に使用される水道水に適用することにより、マグネシウムイオンが水道水に含まれる遊離塩素と結合して塩化マグネシウム(にがりの成分)に変化させることができるため、塩素による弊害をなくすことができるようになる。
【0041】
また、この実施例1の水処理具を花瓶や花器等に収容された水に適用することにより、水とマグネシウムイオンの反応で水酸化マグネシウム(MgOH)と水素(H)が生成されると共に、アルカリ還元水になる。
さらに、豊富に水素(H)を含むミネラル豊富なマグネシウムイオン水になる。また、このアルカリ還元水は、水の腐敗や悪臭の発生を抑制すると共に、切花等がマグネシウムイオン水を吸い上げることにより、花や葉を鮮やかにする効果が得られ、より美しく延命させることができるようになる。
【0042】
また、水道水、井戸水、天然水等のあらゆる水に適用することにより、酸化還元電位の低い水(アルカリ還元イオン水)を容易かつ低コストにて作ることができるようになる。
【0043】
また、マグネシウム(Mg)から無数の微細な水素の気泡が発生するため、水中に含まれるゴミや不純物をこの無数の微細な気泡と共に水面に上昇させ、これを容易に除去することができるようになる。
【0044】
次に、この発明の他の実施例について説明する。なお、この他の実施例の説明にあたっては、前記実施例1と同様の構成部分については同一の符号を付けてその説明を省略し、相違点についてのみ説明する。
【0045】
(実施例2)
この実施例2の水処理具は、前記第1金属1が非金属製容器3に対し固定され、この非金属製容器3内に第2金属を構成する粒状または塊状のマグネシウムを移動可能な状態に収容した点が前記実施例1とは相違したものである。
【0046】
即ち、この実施例2の水処理具は、図3(縦断面図)、及び図4(図3のB−B線における横断平面図)に示すように、前記第1金属1が円筒状の容器体で該内周面に多数の突起11が形成されると共に複数の貫通孔12を有する形状で、この両端が容器本体31の底部34と蓋体32の中央部にそれぞれ形成された環状凹部34b、32bに装着された状態で固定されている。
そして、前記第2金属2が複数個の粒状または塊状のマグネシウムで構成されていて、第1金属1内に移動可能な状態で収容されている。
【0047】
次に、この実施例2の作用・効果を説明する。
この実施例2の水処理具は、以上のように構成されるため、この水処理具を、処理すべき水中に単に没した状態としておくと、第2金属2の表面に第1金属1の多数の突起11が当接することで、2種類の異種金属のうちイオン化傾向の小さい及び/又は電極電位の高い方の第1金属の腐蝕を防止しようとして電極電位の低い方のマグネシウムで構成される第2金属2から高い方の第1金属1へ電子を移動させるイオン化傾向の大きい及び/又は電極電位の低い方のマグネシウムで構成される第2金属2の局部電池形成による酸化還元反応の腐蝕作用により酸化皮膜が形成されることなしに該第2金属2を構成するマグネシウムからマグネシウムイオンを永続的に溶出させることができるようになる。
【0048】
また、この実施例2においても、大気中では第2金属2を構成するマグネシウムの表面に酸化被膜が形成され、また、水中に没した状態においても、第1金属1の突起11が当接していない部分に酸化被膜が形成されることになるが、この実施例2の水処理具の使用に際しては、この水処理具を所定回数振ってやると、非金属製容器3内で複数の粒状または塊状マグネシウムで構成される第2金属2のみが移動し、第1金属1の突起11と各第2金属2が互いに接触した状態で相対移動することで、第1金属1の多数の突起11が第2金属2を構成するマグネシウムの表面に無数の傷を付け、これにより、酸化被膜が形成されていない状態に復帰させることができるようになる。
【0049】
従って、2種類の異種金属をメッキやクラッド法により互いに一体化させる必要がないため、製造コストを低減できると共に、第2金属2を構成する粒状のマグネシウムが無くなるまで永続的に効果を維持させることができるようになるという効果が得られる。
【0050】
また、前記第2金属2が交換可能な状態に設けられている構成としたことで、マグネシウムイオンの溶出により減少する方の第2金属2を構成する粒状のマグネシウムのみを交換することにより、その他の部材の再利用が可能であるため、ランニングコストを低減化することができるようになる。
【0051】
(実施例3)
この実施例3の水処理具は、非金属製容器3を省略した点が前記実施例2とは相違したものである。
【0052】
即ち、この実施例3の水処理具は、図5(縦断面図)、及び図6(図5のC−C線における横断平面図)図4の縦断面図に示すように、前記第1金属1が有底円筒状の容器本体13の開口部がねじ式の蓋体14で開閉自在に閉塞されると共に、その周壁には多数の貫通孔15が形成されている構成とされ、この第1金属1内に複数個の粒状または塊状マグネシウムで構成される第2金属2が移動可能な状態で収容されている。
従って、この実施例3の水処理具では、前記実施例2と同様の効果が得られる他に、非金属性容器3を省略できるため、コストの低減化とコンパクト化が可能になるという追加の効果が得られる。
【0053】
(実施例4)
この実施例4の水処理具は、図7(縦断面図)、及び図8(図7のD−D線における横断平面図)図4の縦断面図に示すように、前記第2金属2が太い棒状のマグネシウムで構成されている点が前記実施例3とは相違したものである。
従って、この実施例4の水処理具では、前記実施例3とほぼ同様の効果が得られる。
【0054】
以上本発明の実施例を説明してきたが、本発明は上述の実施例に限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても本発明に含まれる。
例えば、実施例では、イオン化傾向の小さい又は/及び電位の高い方の金属として、銅(Cu)、鉄(Fe)を用いた例を示したが、その他の金属を用いることができ、また、それらの合金を用いることもできる。
【0055】
また、第1金属1内に第2金属2と共に該第2金属2よりは重い材質の移動体を収容することにより、この水処理具を振る際に軽量のマグネシウムで構成される第2金属2を移動体の動きで大きく動かすことができるようになると共に、この移動体と擦れ合うことでマグネシウムの表面に無数の傷をさらに効率的に付けることができるようになる。
【0056】
また、移動体を遠赤外線放出体で構成させることにより、水に遠赤外線効果を付与することができるようになるという追加の効果が得られる。
【0057】
また、移動体をマイナスイオン放出体で構成させることにより、水にマイナスイオン効果を付与することができるようになるという追加の効果が得られる。
【0058】
また、移動体をゼオライト鉱石で構成させることにより、水に含まれる不純物の吸着作用による追加の効果が得られる。
【0059】
また、移動体を活性炭等の炭素体で構成させることにより、不純物の吸着作用により水に含まれる不純物を除去するという追加の効果が得られると共に、炭素はマグネシウムよりイオン化傾向の小さい及び/又は電極電位の高い金属であるため、この炭素体とマグネシウムとが第1金属内で接触することにより、第2金属を構成するマグネシウムからマグネシウムイオンを効率的に溶出させることができるようになるという追加の効果が得られる。
【0060】
また、移動体を黒曜石で構成させることにより、水に鉄イオンを溶出させることができるようになるという追加の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明実施例1の水処理具を示す縦断面図である。
【図2】図1のA−A線における横断平面図である。
【図3】本発明実施例2の水処理具を示す縦断面図である。
【図4】図3のB−B線における横断平面図である。
【図5】本発明実施例3の水処理具を示す縦断面図である。
【図6】図5のC−C線における横断平面図である。
【図7】本発明実施例4の水処理具を示す縦断面図である。
【図8】図7のD−D線における横断平面図である。
【0062】
1 第1金属
11 突起
12 貫通孔
13 容器本体
14 蓋体
2 第2金属
3 非金属製容器
31 容器本体
32 蓋体
32a 凹部
32b 環状凹部
33 貫通孔
34 底部
34a 凹部
34b 環状凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
イオン化傾向又は/及び電位の異なる2種類の異種金属を互いに接触させた状態で処理すべき水中に没する状態とすることにより、前記2種類の異種金属のうちイオン化傾向の小さい及び/又は電極電位の高い方の第1金属の腐蝕を防止しようとして電極電位の低い方の第2金属から高い方の第1金属へ電子を移動させるイオン化傾向の大きい及び/又は電極電位の低い方の第2金属の局部電池形成による酸化還元反応の腐蝕作用により該イオン化傾向の大きい及び/又は電極電位の低い方の第2金属から金属イオンを永続的に溶出させて水に所定の機能を付加する水処理具であって、
前記第2金属がマグネシウムで構成され、
前記第1金属がマグネシウムで構成される前記第2金属の外周に所定の移動隙間を形成した状態で囲繞する筒状で該内周面に多数の突起が形成され、
前記第1金属と第2金属が複数の貫通孔を有する非金属性容器内において互いに相対移動可能な状態に収容されていることを特徴とする水処理具。
【請求項2】
前記第2金属が棒状のマグネシウムで構成され、
該棒状のマグネシウムで構成される第2金属の両端部が前記非金属製容器に固定され、前記筒状で該内周面に多数の突起が形成された第1金属のみが前記非金属性容器内で移動することにより前記第1金属と第2金属が複数の貫通孔を有する非金属性容器内において互いに相対移動可能な状態に収容されていることを特徴とする請求項1に記載の水処理具。
【請求項3】
前記筒状で該内周面に多数の突起が形成された第1金属が前記非金属製容器に固定され、前記マグネシウムで構成される第2金属のみが前記非金属性容器内で移動することにより前記第1金属と第2金属が複数の貫通孔を有する非金属性容器内において互いに相対移動可能な状態に収容されていることを特徴とする請求項1に記載の水処理具。
【請求項4】
イオン化傾向又は/及び電位の異なる2種類の異種金属を互いに接触させた状態で処理すべき水中に没する状態とすることにより、前記2種類の異種金属のうちイオン化傾向の小さい及び/又は電極電位の高い方の第1金属の腐蝕を防止しようとして電極電位の低い方の第2金属から高い方の第1金属へ電子を移動させるイオン化傾向の大きい及び/又は電極電位の低い方の第2金属の局部電池形成による酸化還元反応の腐蝕作用により該イオン化傾向の大きい及び/又は電極電位の低い方の第2金属から金属イオンを永続的に溶出させて水に所定の機能を付加する水処理具であって、
前記第2金属がマグネシウムで構成され、
前記第1金属が内周面に多数の突起が形成されると共に複数の貫通孔を有する容器体に形成され、
該容器体の第1金属内に前記マグネシウムで構成される第2金属が移動可能な状態に収容されていることを特徴とする水処理具。
【請求項5】
前記第2金属が棒状のマグネシウムで構成され、
前記第1金属が棒状のマグネシウムで構成される前記第2金属の外周に所定の移動隙間を形成した状態でその外周全体を囲繞する筒状の容器体で該内周面に多数の突起が形成されると共に複数の貫通孔を有していることを特徴とする請求項4に記載の水処理具。
【請求項6】
前記第2金属が交換可能な状態に設けられていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の水処理具。
【請求項7】
前記第1金属内に前記第2金属と共に該第2金属よりは重い材質の移動体を収容してなることを特徴とする請求項1、3、4、6のいずれか1項に記載の水処理具。
【請求項8】
前記移動体が遠赤外線放出体で構成されていることを特徴とする請求項7項に記載の水処理具。
【請求項9】
前記移動体がマイナスイオン放出体で構成されていることを特徴とする請求項7項に記載の水処理具。
【請求項10】
前記移動体がゼオライト鉱石で構成されていることを特徴とする請求項7項に記載の水処理具。
【請求項11】
前記移動体が活性炭等の炭素体で構成されていることを特徴とする請求項7項に記載の水処理具。
【請求項12】
前記移動体が黒曜石で構成されていることを特徴とする請求項7項に記載の水処理具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−346550(P2006−346550A)
【公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−174471(P2005−174471)
【出願日】平成17年6月15日(2005.6.15)
【出願人】(399036202)
【出願人】(593035696)
【出願人】(303056140)
【出願人】(303056151)
【Fターム(参考)】