説明

水処理用ろ材、同ろ材を用いた水処理装置および同ろ材の製造方法

【課題】 ろ材の交換や再生の周期を短縮することなく、水処理装置全体を小型化することができるろ材を提供する。
【解決手段】 イオン交換体を主要成分とする水処理用ろ材7であって、上記イオン交換体は、フラーレンまたはその重合体またはカーボンナノチューブからなる母体分子にイオン交換基が導入されたものとする。またこれを用いた水処理装置20は、上記水処理用ろ材7が収納されたイオン交換層5を有し、原水W1を上記イオン交換層5に通水することによって脱塩または塩転換を行うように構成する。また上記水処理用ろ材の製造方法として、上記母体分子をハロゲン化して前駆体を得る工程と、上記前駆体のハロゲン原子を上記イオン交換基と置換して上記イオン交換体を得る工程とを含むように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水処理用ろ材、同ろ材を用いた水処理装置および同ろ材の製造方法に関し、特にろ材としてイオン交換機能を有するものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の水処理用ろ材として、イオン交換樹脂や活性炭が広く知られている。例えば水処理装置の一種である浄水器として、イオン交換樹脂層、活性炭層および中空糸膜をこの順に配し、通水させるものが知られている(特許文献1〜3を参照)。
【0003】
特許文献1の浄水器は、イオン交換樹脂として陽イオンを交換するものを使用している。この陽イオン交換樹脂は、原水中に含まれる鉛等の重金属陽イオンを、カルシウムイオン等にイオン交換することによって除去する。また活性炭は残留塩素を還元するとともにトリハロメタンや農薬等の有害物を吸着除去し、中空糸膜は雑菌等を除去する。
【0004】
特許文献2の浄水器モジュールは、イオン交換樹脂として陰イオンを交換するものを使用している。この陰イオン交換樹脂は、原水中に含まれる硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素の除去を行う。また活性炭と中空糸膜とによって、陰イオン交換樹脂より溶出してくる分解物や低分子物質の除去、着色物質、臭気成分、細菌および微細有害物質の除去を行う。
【0005】
特許文献3の浄水器用カートリッジは、イオン交換体を環状成形体となし、活性炭層を通過した処理水が全てこの環状成形体を通過するように構成している。イオン交換体を環状に成形するために、イオン交換体としてイオン交換繊維を用いたり、イオン交換機能材を繊維状活性炭と混成したりしている。こうして環状に成形されたイオン交換体、活性炭素層および中空糸膜をコンパクトに収納して水道蛇口に取付けられるようにしている。
【0006】
図4に、特許文献3に示されるものと略同型の、従来構造の浄水器カートリッジを示す。この浄水器カートリッジは、流入口71a及び流出口71bが設けられた略有底円筒形のハウジング71の内部に、より小径の中空糸膜モジュール73を設けてキャップ72で蓋をした概略構造となっている。ハウジング71と中空糸膜モジュール73との間に形成される環状隙間に粒状の活性炭が充填され、活性炭層79を形成している。活性炭層79の上端(流入口71a側)は不織布80および通水孔を有するプレート82によって閉塞されている。
【0007】
一方、活性炭層79の下端(キャップ72側)にはイオン交換ブロック81が設けられ、その下端が通水孔を有するプレート83によって閉塞されている。イオン交換ブロック81は、陽イオン交換繊維を環状に成形したカルシウム型の陽イオン交換体であり、繊維の間の僅かな隙間によって通水可能となっている。イオン交換ブロック81の内径側は中空糸膜モジュール73に、外径側はハウジング71に、それぞれ密着してシールされている。
【0008】
中空糸膜モジュール73は、略円筒状の中空糸膜ケース74に中空糸膜76を格納したものである。中空糸膜76はポリエチレン等からなる中空の糸膜であって、その膜壁には無数の微細孔(0.1μm程度)が設けられている。多数の中空糸膜76がU字状に束ねられ、その端部はポッティング部78で封止(糸間の隙間をポリウレタン等で充塞)されており、各中空糸膜76の中空部のみが端面に開口するようになっている。
【0009】
原水W1が流入口71aからハウジング71の内部に流入すると、まず不織布80を通過する際に比較的大きな不純物が除去される。そして次の活性炭層79で残留塩素、トリハロメタン類、農薬及び臭気成分等の有機物などが吸着除去される。そして更に次のイオン交換ブロック81で、処理水中の陽イオン(主に鉛等の重金属イオン)がイオン交換繊維と結合して除去される(換わりに解離したカルシウムイオンが処理水中に放出される)。
【0010】
イオン交換ブロック81を通過した水は、中空糸膜ケース74に設けられた通水部74a(切り欠き)から中空糸膜ケース74の内部に流入する。そして中空糸膜ケース74に格納された中空糸膜76の内部中空部に膜壁の微細孔から流入する。その際、鉄錆、カビ、濁り及び一般細菌などがろ過によって除去される。こうして中空糸膜76を通過して浄化された浄水W2が、流出口71bから流出する。
【特許文献1】特開平7−204631号公報
【特許文献2】特開平9−38642号公報
【特許文献3】特開2003−285052号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら上記浄水器カートリッジは、イオン交換ブロック81、活性炭層79および中空糸膜76(これらを総称して以下ろ材という)の配置や形態を工夫してコンパクトに収納してはいるが、処理水量当たりの各ろ材の量(容積)自体が削減されているわけではなく、その小型化にも限界があった。
【0012】
さらなる小型化を図るためには、例えば各ろ材の量を単に削減することが考えられる。しかしその場合、当然処理水量も減少してしまうから、ろ材の交換や再生の周期が短くなり、メンテナンス性を悪化させてしまう。
【0013】
この問題は浄水器のみに限ったものではなく、上記ろ材の一部又は全部を用いた他の水処理装置(水や糖液の軟化装置、糖液の精製装置、ホルマリンの脱塩装置等)を小型化する場合にも共通する問題である。
【0014】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、ろ材の交換や再生の周期を短縮することなく、水処理装置全体を小型化することができるろ材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明に係る請求項1の水処理用ろ材は、イオン交換体を主要成分とする水処理用ろ材であって、上記イオン交換体は、フラーレンまたはその重合体またはカーボンナノチューブからなる母体分子にイオン交換基が導入されたものであることを特徴とする。
【0016】
フラーレンやカーボンナノチューブは、比較的最近(1980年代以降)発見された炭素の同素体で、立体的な分子構造を有する。代表格的なフラーレンであるフラーレンC60は、60個の炭素原子がサッカーボール状に立体的に配列された構造となっており、12個の5角形(5員環)と20個の6角形(6員環)とからなる(図1(a)参照)。フラーレンには、C60の他にC70、C76、C78、C82、C84・・・(それぞれ70個、76個、78個、82個、84個・・・の炭素原子が楕円体状に繋がったもの。)等がある。また、単独の構造で1分子として存在するほか、複数のものが連鎖的に繋がって重合体(ポリマー)となったものもある。
【0017】
カーボンナノチューブは、グラファイト(図1(c)参照)のシートを円筒状に丸めたような構造となっている。両端は5員環を形成することによって半球状に閉じている(図1(b)参照)。単層のもののほか、入れ子状に多層構造となったものや捻れたもの、途中で径が変化するもの、枝分かれするもの等が知られている。
【0018】
上記イオン交換基は、母体分子の炭素原子と結合する官能基の一種であり、当該イオン交換基中のイオンと外部(処理水中)のイオンとをイオン交換する作用を有するものである。イオン交換基には、陽イオンを交換する陽イオン交換基と陰イオンを交換する陰イオン交換基とがある。
【0019】
上記水処理用ろ材において、上記イオン交換体1分子当たりのイオン交換基の導入数を、当該イオン交換体が処理水中に溶出する臨界値より小さい値であるように構成すると好適である。例えば、上記母体分子がフラーレンC60であるとき、上記イオン交換基の導入数を3乃至24とすれば好適である(請求項2、3)。
【0020】
また上記水処理用ろ材において、上記イオン交換基がスルホン酸基(−SO3H)またはスルホン酸基のプロトン(H+)を他の陽イオンに置換したもの、例えばスルホン酸基系Na型の官能基(−SO3Na)であるようにすれば好適である(請求項4、5)。
【0021】
本発明に係る請求項6の水処理装置は、上記水処理用ろ材が収納されたイオン交換層を有し、原水を上記イオン交換層に通水することによって脱塩または塩転換を行うことを特徴とする。例えば水道水の給水経路中に設けられ、原水を浄化するように構成すれば良い(請求項7)。
【0022】
本発明に係る請求項8の上記水処理用ろ材の製造方法は、上記母体分子をハロゲン化して前駆体を得る工程と、上記前駆体のハロゲン原子を上記イオン交換基と置換して上記イオン交換体を得る工程とを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
請求項1の発明によると、フラーレンまたはその重合体またはカーボンナノチューブを母体分子とするイオン交換体が、イオン交換樹脂と同様のイオン交換機能を有するので、これを主要成分とする水処理用ろ材によってイオン交換を伴う水処理を行うことができる。上記母体分子の1分子に導入できるイオン交換基の数は、例えばフラーレンC60の場合、最大で60個まで導入可能である。このように、1分子に多量のイオン交換基を導入することができるので、従来のイオン交換樹脂に対して単位質量あたり約10倍乃至はそれ以上という格段に高いイオン交換性能を得ることができる。
【0024】
従って、水処理量を減少させることなく、ろ材の量(容積)を削減することができる。つまりろ材の交換や再生の周期を短縮することなく、水処理装置全体を小型化することができる。あるいは従来のイオン交換樹脂と同量の上記ろ材を用いた場合には、ろ材の交換や再生の周期を延長することができ、メンテナンス性を向上させることができる。
【0025】
ところで、フラーレンやカーボンナノチューブは、それ自体は水に不溶性である。しかしこれらに多量のイオン交換基を導入すると水に溶出するようになる。そこで、上記イオン交換体1分子当たりのイオン交換基の導入数を、当該イオン交換体が処理水中に溶出する臨界値より小さい値であるように構成することにより、上記溶出を効果的に防止することができる。ただし上記導入数を小さくしすぎると、上記ろ材の削減効果が目減りしてしまう。従って上記導入数は、上記臨界値より小さい範囲で可及的に大きな値とすることが望ましい。例えば上記母体分子がフラーレンC60であるとき、導入数を3乃至24とすれば良い。より望ましくは5乃至20程度とするのが良い。
【0026】
上記イオン交換基として、例えばスルホン酸基(−SO3H)を導入すれば良い。スルホン酸基は、陽イオン交換基として作用し、処理水中に含まれる鉛等の重金属イオンとプロトン(H+)とをイオン交換する。つまり処理水から鉛等の重金属イオンを除去することができる。
【0027】
また、フラーレンやカーボンナノチューブは疎水性であって、水に分散させるためには例えばアルコールを添加する等、親水性を高める処置を必要とする。しかしスルホン酸基の導入によって親水性が向上するので、そのような処置をしなくても容易に水に分散させることができるようになる。
【0028】
一方、処理水の方は、スルホン酸基から解離したプロトンによって酸性が強くなる(pH値が小さくなる)。浄水器のように、処理水を酸性化するのが望ましくない場合は、スルホン酸基のプロトンを他の陽イオンに置換したものを導入するようにすれば良い。例えばNa型の官能基(−SO3Na)とすれば良い。このようにすれば、処理水中のpH変動を効果的に抑制することができる。
【0029】
請求項6の水処理装置によると、上記ろ材を用いることによって、効率良く脱塩や塩転換等の水処理(例えば水や糖液の軟化、糖液の精製、ホルマリンの脱塩等)を行うことができ、装置全体を小型化することができる。あるいは従来のイオン交換樹脂と同量の上記ろ材を用いた場合には、ろ材の交換や再生の周期を延長することができ、メンテナンス性を向上させることができる。
【0030】
特に、この水処理装置を、水道水の給水経路中に設けられて原水を浄化する浄水器とすると、より効果的である。従来の浄水器にイオン交換層を設ける場合、活性炭素層を併設し、残留塩素、トリハロメタン類、農薬及び臭気成分等の有機物などを吸着除去させるようにするのが一般的であった。しかしフラーレンやカーボンナノチューブを母体分子とする上記イオン交換体は、活性炭素と同様に上記残留塩素等を吸着除去する作用をも有する。しかもその単位容積あたりの吸着量は活性炭よりも格段に多く、10倍程度が見込まれる。つまり上記ろ材は、従来のイオン交換樹脂と活性炭との両方の作用を同時になすことができ、しかもその能力は、これらよりも高くなっている。従って装置の小型化を格段に促進することができ、或いはメンテナンス性の向上効果を一層高めることができる。
【0031】
請求項8の発明によると、ハロゲン化した前駆体を経由させることによってイオン交換基の導入数を適度に抑制することができる。つまり導入数が上記臨界値を越えない範囲で可及的に多くなるようにすることができる。この方法により、請求項2または3に示すろ材を容易に得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、本発明の最良の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
【0033】
図1は、本発明のイオン交換体の分子構造を示す説明図であり、(a)はフラーレンC60にスルホン酸基(−SO3H)を導入したもの、(b)はカーボンナノチューブにスルホン酸基系Na型の官能基(−SO3Na)を導入したもの、(c)は(a)、(b)と比較するために示した黒鉛(グラファイト)の分子構造である。それぞれ炭素原子を黒丸で示している。
【0034】
図1(a)に示す分子は、代表的なフラーレンであるフラーレンC60にスルホン酸基(−SO3H)を導入したものである。フラーレンC60は、60個の炭素原子がサッカーボール状に立体的に配列された構造となっており、12個の5角形(5員環)と20個の6角形(6員環)とからなっている。図1(a)では便宜上特定の炭素原子に5個のスルホン酸基が結合しているように示しているが、これは実際の導入状態および導入数を限定するものではない。以下、図1(a)に示す分子をフラーレン類C60(−SO3H)nと記す。nはC60の1分子当たりに導入されたスルホン酸基の数である。nの値はn=3〜24が望ましく、n=5〜20がより望ましい。
【0035】
図1(b)に示す分子は、一般的なカーボンナノチューブにスルホン酸基系Na型の官能基(−SO3Na)を導入したものである。カーボンナノチューブは、図1(c)に示すグラファイトのシートを円筒状に丸めたような構造となっている。両端は5員環(斜線で示す)を形成することによって半球状に閉じている(フラーレンを半分に切ったような構造)。図1(b)では便宜上特定の炭素原子に8個のイオン官能基が結合しているように示しているが、これは実際の導入状態および導入数を限定するものではない。なお官能基(−SO3Na)は、比較的5員環の周りに導入され易い。
【0036】
フラーレンやカーボンナノチューブに導入するイオン交換基の種類は、図1(a)、(b)に示すものに限定するものではない。例えばフラーレンC60にイオン交換基(−SO3Na)を導入してフラーレン類C60(−SO3Na)nとしても良く、カーボンナノチューブにスルホン酸基(−SO3H)を導入しても良い。
【0037】
次に、フラーレン類C60(−SO3Na)nからなるイオン交換体の製造方法について、2通りの方法を説明する。第1の製造方法は、フラーレンC60を一旦ハロゲン化し、その後スルホン化する方法である。この方法は次の(1)〜(4)に示す工程を含んでいる。
(1)0.50gのフラーレンC60に6%次亜塩素酸ナトリウムを20ml加える。
(2)鉄粉(Fe)を0.02g加える。これによりハロゲン化が促進され、前駆体C60Cln(nはC60と結合したCl(塩素)の数)を得る。
(3)硫酸ナトリウム(Na2SO4)を0.2g添加する。これによりスルホン化され、フラーレン類C60(−SO3Na)nを得る。
(4)(3)で得られた溶液を0.3μmのろ紙でろ過し、40℃で6時間乾燥してフラーレン類C60(−SO3Na)nからなるイオン交換体を得る。
【0038】
以下、上記(1)〜(4)の工程を経て得られたイオン交換体をハロゲン化仕様のイオン交換体と称する。
【0039】
フラーレン類C60(−SO3Na)nからなるイオン交換体の第2の製造方法は、フラーレンC60に濃硫酸を添加して得る方法であり、ハロゲン化を経由しない。この方法は次の(11)〜(14)に示す工程を含んでいる。
(11)0.50gのフラーレンC60に濃硫酸を20ml加える。
(12)さらに40℃で16時間放置する。
(13)50%水酸化ナトリウム(NaOH)を添加し、中和する。これによりスルホン化されたフラーレン類C60(−SO3Na)nを得る。
(14)(13)で得られた溶液を0.3μmのろ紙でろ過し、40℃で6時間乾燥してフラーレン類C60(−SO3Na)nからなるイオン交換体を得る。
【0040】
以下、上記(11)〜(14)の工程を経て得られたイオン交換体を濃硫酸仕様のイオン交換体と称する。
【0041】
次に、上記第1の製造方法で得られたハロゲン化仕様のイオン交換体および上記第2の製造方法で得られた濃硫酸仕様のイオン交換体の、鉛(Pb)イオン除去試験について説明する。試験は次の(イ)〜(ハ)の手順で行った。
(イ)ろ材の固定
(イ−1)試料A、試料B、比較試料Q1および比較試料Q2をそれぞれ準備した。試料Aはハロゲン化仕様のC60(−SO3Na)n、試料Bは濃硫酸仕様のC60(−SO3Na)m(mはnと同義であるが、試料Aと区別するためにmとした)、比較試料Q1は母体フラーレンC60(官能基を導入しないもの)、比較試料Q2は従来のイオン交換樹脂(市販品の強酸性陽イオン交換樹脂で、交換容量2.0meq/ml以上のもの)である。
(イ−2)0.2gの比較試料Q1にアルコール50mlを加え、さらに水を加えて100mlの溶液とした。アルコールは、疎水性であるフラーレンC60を溶液中に分散し易くするために添加するものである。
(イ−3)試料A,B各0.2gに水を加え、各100mlの溶液とした。試料A,Bはスルホン化によって親水性が向上しており、アルコールを添加しなくても容易に分散するので水のみを加えた。
(イ−4)試料A,Bおよび比較試料Q1の各溶液に超音波を5分間照射し、各溶液中の各イオン交換体を分散させた。
(イ−5)各溶液を0.3μmのろ紙でろ過し、ろ紙上に各試料を固定した。
(イー6)2.0gの比較試料Q2を均一な厚さとなるようにろ紙上に固定した。
【0042】
(ロ)試験液の作成
(ロ−1)硝酸鉛Pb(NO32を水に溶かし、濃度50μg/Lの硝酸鉛水溶液を得た。
(ロ−2)原子吸光分析装置にて鉛濃度が50μg/Lであることを確認した。
【0043】
(ハ)通水試験
(ハ−1)上記(イ−5)及び(イ−6)で得た各ろ紙に上記(ロ−1)で得た硝酸鉛水溶液を100ml/分で通水し、各ろ液を採取した。試料Aのろ液は無色透明であったが、試料Bのろ液はやや黄色みを帯びていた。
(ハ−2)採取した各ろ液の鉛濃度を原子吸光分析装置にて測定した。
【0044】
以上の手順によって得られた試験結果を下記表1に示す。
【0045】
【表1】

【0046】
表1に示すように、試験液の鉛濃度が50μg/Lであるとき、各ろ液の鉛濃度は、試料Aが2.7μg/L、試料Bが21μg/L、比較試料Q1が50μg/L、比較試料Q2が18μg/Lであった。従って鉛イオン(Pb2+)の除去率は、試料Aが95%、試料B58%、比較試料Q1が0%、比較試料Q2が64%であった。
【0047】
比較試料Q1の除去率が0%であった理由は、比較試料Q1にはイオン交換基が導入されておらず、鉛イオンがイオン交換されずにそのままろ液として流出したからと考えられる。
【0048】
これに対し試料Aでは95%という高い除去率を示した。これは、試料Aに導入されたイオン交換基(−SO3Na)のナトリウムイオン(Na+)と試験液中の鉛イオン(Pb2+)とが適正にイオン交換したため、試験液中の鉛イオンが効果的に除去されたものと考えられる。
【0049】
ところが試料Bでは除去率が58%であり、鉛イオン除去効果は見られるものの、試料Aよりも目減りしている。本来、試料Aも試料Bも製造方法が異なるだけで、イオン交換体としては同等物であるはずである。それにこのような除去率の差が生じた理由は、次のように考えることができる。
【0050】
すなわち、試料Bも試料Aと同様のイオン交換が行われたのであるが、試料Bではイオン交換してPbイオンを含んだイオン交換体分子自体が水に溶出し、ろ紙を通過してろ液に混入してしまったのである。ろ液が黄色みを帯びたのはこのためであると考えられる。このことから、試料B(C60(−SO3Na)m)のm値は、20〜24、乃至はそれ以上であったと考えられる。一般的に、m値が約24のとき、水1mlに100mg程度溶けることが知られており、20以下では溶解性が低いことが知られている(つまり溶出の臨界値がm=20〜24付近にある)からである。
【0051】
また、以上のことから試料A(C60(−SO3Na)n)のn値は、20以下であり、かつイオン交換機能を充分有する程度(n=3〜5)以上であったことがわかる。これは、試料Aを一旦ハロゲン化させてからスルホン化した効果であり、ハロゲン化によってイオン官能基の導入量が適度に抑制されたためであると考えられる。
【0052】
また比較試料Q2と比較すると、試料Bでは1/10の使用量で同程度の除去率が得られ、試料Aではさらにそれよりも高い除去率が得られた。このことから、試料A、Bは比較試料Q2(従来のイオン交換樹脂)よりも質量比で約10倍乃至はそれ以上の高いイオン交換性能を有していることが確認できた。
【0053】
次に、試料Aに相当するハロゲン化仕様のイオン交換体をろ材の具体的な使用形態について説明する。図2は、本発明の一実施形態である浄水器カートリッジ20(水処理装置の一例)の構造を模式的に示す正面断面図である。なお以下の説明において、便宜上図2の上下方向がこの浄水器カートリッジ20の上下方向であるとするが、これは実際の使用条件を規制するものではなく、任意の部位を上側にして使用して良い。
【0054】
この浄水器カートリッジ20は、上部に流入口1aと流出口1bとが設けられた略有底円筒形のハウジング1の内部に、より小径の中空糸膜モジュール3を設け、ハウジング1の下部開放端をキャップ2で蓋をした概略構造となっている。ハウジング1とキャップ2とはOリング16でシールされている。またハウジング1と中空糸膜モジュール3との間に形成される空間(環状隙間)は原水W1の通路となっている。
【0055】
中空糸膜モジュール3は、略円筒状の中空糸膜ケース4にイオン交換体付き中空糸膜5を格納したものである。イオン交換体付き中空糸膜5は中空糸膜6(ろ過材料)の膜壁外面にイオン交換体粒子7を均等に付着させたものである。従ってイオン交換体付き中空糸膜5は、イオン交換体粒子7によるイオン交換層であり、かつ中空糸膜6によるろ過層ともなっている。中空糸膜6はポリエチレン等からなる中空の糸膜であって、その膜壁には無数の微細孔(0.1μm程度)が設けられている。多数の中空糸膜6がU字状に束ねられ、その端部はポッティング部8で封止されており、各中空糸膜6の中空部のみが端面に開口するようになっている。
【0056】
イオン交換体粒子7は、上記試料A(ハロゲン化仕様のイオン交換体)に相当する粒子である。イオン交換体粒子7は各分子が自然に凝集して、中空糸膜6の微細孔よりも大きな粒径の粉末状粒子となっている。イオン交換体粒子7の総容積は、同じ浄水性能、同じ交換周期の従来構造における活性炭およびイオン交換樹脂の総容積の1/10以下である。従って、中空糸膜ケース4を殆ど大型化することなく中空糸膜6に付着させることができる。
【0057】
中空糸膜ケース4の上端付近外周部はOリング15を介してハウジング1に接合されている。また、中空糸膜ケース4の下端はキャップ2に当接しているが、円筒部分の一部を切り欠いた通水部4aが形成されている。すなわち原水W1がこの通水部4aを通って中空糸膜ケース4の外径側から内径側へ流入できるようになっている。中空糸膜ケース4の内径側の、イオン交換体付き中空糸膜5より下方かつ通水部4aより上方の部位に、中空糸膜ケース4の内径側全体に亘って不織布10が設けられている。また不織布10を支持するために通水孔を有するプレート12が設けられている。
【0058】
次にこの浄水器カートリッジ20の浄水作用について説明する。原水W1が流入口1aから流入し、浄水W2となって流出口1bから流出する流れの方向を図2中の矢印で示す。原水W1は、流入口1aからハウジング1の内部に流入すると、そのままハウジング1と中空糸膜モジュール3との間の環状隙間を通って通水部4aから中空糸膜ケース4の内径側に流入する。そして不織布10を通過する。このとき、不織布10によって比較的大きな不純物が除去される。
【0059】
次にこの水はイオン交換体付き中空糸膜5の膜壁に付着したイオン交換体粒子7に接触する。ここでイオン交換体粒子7は、水中に含まれる鉛等の陽イオンをイオン交換によって除去する。さらに、母体分子であるフラーレンC60の作用によって、原水中に含まれる残留塩素、トリハロメタン類、農薬、臭気成分および有機溶剤等の有機物などを吸着除去する。すなわち従来の陽イオン交換樹脂と活性炭との両方の作用を同時になす。
【0060】
次に水は中空糸膜6の膜壁に設けられた微細孔から中空糸膜6の内部中空部へ流入する。その際、鉄錆、カビ、濁り及び一般細菌などがろ過によって除去される。こうして中空糸膜6を通過して浄化された浄水W2が、流出口1bから流出する。なお、中空糸膜6の膜壁に付着したイオン交換体粒子7は、その粒径が中空糸膜6の微細孔より大きいので膜壁外面に留まり、流出口1bから流出することはない。
【0061】
また、イオン交換体粒子7のイオン交換以外の作用(活性炭相当の作用)による吸着力は物質同士の化学的な結合(ファン・デル・ワールス力や共有結合など)によって得られると考えられるため、活性炭のように吸着した物質を高温で容易に離すことがなく、原水W1が比較的高温のお湯であっても高い浄水性能を期待することができる。
【0062】
以上のように、この浄水器カートリッジ20は、少量のイオン交換体粒子7によって高い陽イオン除去性能や陽イオン以外の物質の吸着除去性能が得られるので、充分な浄水能力を維持しつつ大幅に小型化することができる。或いは同程度の大きさであれば交換周期をより長くすることができる。
【0063】
次に、イオン交換体付き中空糸膜5の製造方法および製造装置について説明する。
【0064】
図3は、中空糸膜6にイオン交換体粒子7を付着させるために用いられるイオン交換体付着装置30の主要部の構造を模式的に示す正面断面図である。
【0065】
イオン交換体付着装置30の主要な構成は、処理対象の中空糸膜モジュール3を支持する基台33と、基台33に接続される吸引ポンプ34と、基台33に支持された中空糸膜モジュール3の上方にバルブ32を介して設けられる貯溜槽31とからなる。
【0066】
基台33の上部は有底円筒形に成形された支持部33aが設けられており、中空糸膜ケース4のポッティング部8付近が途中まで嵌挿された状態で中空糸膜モジュール3を支持する(図2の中空糸膜モジュール3とは上下反転した状態)。基台33には支持部33aの底面に開口する吸引通路33bが形成され、この吸引通路33bに吸引ポンプ34が接続されており、さらに吸引ポンプ34には排水路35が接続されている。
【0067】
一方、支持された中空糸膜モジュール3の上方(通水部4a側)には有底円筒形の貯溜槽31が設けられている。貯溜槽31にはイオン交換体粒子混入液7’が貯溜されている。イオン交換体混入液7’は、水にイオン交換体粒子7を分散させたものである。
【0068】
貯溜槽31の底部には超音波照射手段として超音波振動子37が設けられ、電気回路38から所定の電力が供給されることにより、内部のイオン交換体粒子混入液7’に超音波を照射することができるようになっている。
【0069】
また貯溜槽31の底面には導入口31aおよびバルブ32が接続されており、その先端は中空糸膜ケース4の通水部4a側に嵌挿されている。従って、導入口31a、支持部33a、吸引通路33bおよび排水路35は、貯溜槽31からイオン交換体混入液7’を導いて中空糸膜6に通す混入液経路を形成している。
【0070】
なお、図3では中空糸膜モジュール3が処理のために支持された状態を示しているが、中空糸膜モジュール3は導入口31aを上下させることによって着脱可能となっている。
【0071】
次にこのフラーレン付着装置30の作動について説明する。まず貯溜槽31内で水中にイオン交換体粒子7を混入し、イオン交換体混入液7’を作る。次に電気回路38からの所定の電力によって超音波振動子37を作動させ、イオン交換体混入液7’に超音波を照射する。当実施形態では45kHzの超音波を照射している。照射時間は、200ml(フラーレン0.3g)に対し5分である。
【0072】
超音波照射によって速やかに良好な分散(イオン交換体混入液7’全体が褐色になる)が得られるので、その後、処理対象の中空糸膜モジュール3(中空糸膜ケース4に中空糸膜6を装着したもの)を図3に示すように支持した後、バルブ32を開けると共に吸引ポンプ34にて吸引する。するとイオン交換体混入液7’が中空糸膜ケース4の内部に導かれる。そしてイオン交換体混入液7’は、中空糸膜6の使用状態の通水方向と同一方向に流れて中空糸膜6の微細孔を通過する。ただしイオン交換体粒子7は、その粒径が中空糸膜6の微細孔よりも大きいのでこの微細孔を通過することなく、中空糸膜6の膜壁に留まる。従って水のみが中空糸膜6を通過することになり、吸引通路33bおよび吸引ポンプ34を経由して排水路35から排出される。
【0073】
こうしてイオン交換体混入液7’の通水を行うと、中空糸膜6の膜壁には次第にイオン交換体粒子7の付着層が形成される。イオン交換体混入液7’は、中空糸膜6の通水抵抗の小さい箇所(周囲より付着層の薄い箇所)により多く流れる。従って一時的に付着層の薄い箇所が生じても、そこにはより多くのイオン交換体粒子7が付着するようになり、結果的に全体的に均一な付着層が形成されることになる。
【0074】
充分なイオン交換体粒子7の付着層が形成された後、バルブ32を閉じると共に吸引ポンプ34の作動を停止して、中空糸膜6へのイオン交換体粒子7の付着が完了する。その後、中空糸膜モジュール3を取り出し、イオン交換体付き中空糸膜5を乾燥させる。
【0075】
最後に、中空糸膜モジュール3にプレート12および不織布10を取り付けるとともに、これをハウジング1に取り付けてキャップ2で蓋をし、浄水器カートリッジ20の完成となる。
【0076】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明はこの実施形態に限定されるものではなく、各請求項の範囲で適宜変形して良い。例えばイオン交換体粒子7として、上記試料Aに相当する粒子以外のものを使用しても良い。例えば母体分子としてフラーレンC60以外の他のフラーレン(C70、C76、C78、C82、C84等)を用いても良く、カーボンナノチューブ(図1(b)に示すような単層のものの他に、入れ子状に多層構造となったものや捻れたもの、途中で径が変化するもの、枝分かれするもの等も含む)を用いても良い。またフラーレンとカーボンナノチューブとを混合したものであっても良い。
【0077】
導入する陽イオン交換基は、上記のようなナトリウム型(−SO3Na)に限らず、他の陽イオンの型、例えばカルシウム型(−(SO32Ca)等であっても良い。また適宜pHの調節手段を併用する場合には、ベースのスルホン酸基(−SO3H)を導入しても良い。さらに、陽イオン官能基はスルホン酸基系以外のものでも良く、カルボキシル基(−COOH)、硫酸エステル基(−OSO3H)またはフェノール性ヒドロキシル基(−OH)等であっても良い。またこれら各官能基のプロトンをNa+やCa2+等に置換したものであっても良い。
【0078】
イオン交換体粒子7は、母体分子に陰イオン交換基を導入したものであっても良い。陰イオン交換基としては、4級アンモニウム塩基や1〜3級アミノ基が好適である。これらの陰イオン交換基によって、処理水中の硝酸イオンや亜硝酸イオン等の陰イオンを除去することができる。例えば井戸水にはこれらの陰イオンを多く含むことがあり、その浄化に効果的である。またイミノジ酢酸型、ポリアミン型とすることで、キレート形成により金属イオンの除去も可能となる。
【0079】
上記スルホン酸基を導入したイオン交換体粒子7は親水性が高いので、上記イオン交換体付着装置30では、貯溜槽31内でイオン交換体粒子7を水に分散させた。しかし親水性の低い、或いは疎水性のイオン交換基を導入した場合には、水に代わる適宜溶媒に分散させるようにしても良い。例えばエタノール等のアルコール水溶液を溶媒として用いても良い。
【0080】
また、現在知られている範囲で、母体分子のフラーレンは微量であるが有機溶剤に溶ける(但し通常の水に含まれる微量の有機溶剤には溶けないと考えられる)。このため、有機溶剤の吸着に関しては不充分となる虞がある。そこで母体分子のフラーレンをポリマー化して使用すると、有機溶剤に溶けなくなり、有機溶剤を確実に吸着することができる。フラーレンのポリマーは光重合によって得ることができる。
【0081】
また、必ずしもイオン交換体粒子7を中空糸膜6に付着させて用いる必要はなく、図4に示す従来構造において、活性炭層79およびイオン交換ブロック81に代えてイオン交換体粒子7からなる吸着層を設けても良い。この場合でも、イオン交換体粒子7の容積を活性炭層79とイオン交換ブロック81との合計容積よりも格段に小さくすることができるので、全体として浄水器カートリッジ20の大幅な小型化が図られる。なおその場合、イオン交換体粒子7を粉末状のまま用いると、充填中に飛散したり粉末で構成される吸着層の高さが偏ったりして性能が安定しない虞がある。そこでイオン交換体粒子7を扱い易い粒径(0.075〜1.7mm)に造粒して用いると、これらが効果的に防止されて好便である。
【0082】
また、イオン交換体粒子7を、細孔を有する多孔質材料(活性炭やセラミック等)に含有(吸蔵や含浸を含む)させて用いても良い。この場合、多孔質材料の細孔による物理的吸着とイオン交換体粒子7によるイオン交換作用および物質同士の科学的結合とが併用され、より高い浄水性能を期待することができる。
【0083】
フラーレン付着装置30において、必ずしも当実施形態のように貯溜槽31内で超音波を照射する必要はなく、例えば別途超音波照射のための槽を設け、その槽内でイオン交換体粒子7を水(または溶媒)中に充分分散させた後、このイオン交換体混入液7’を貯溜槽31内に移すようにしても良い。
【0084】
イオン交換体粒子7をろ材として用いる水処理装置は、上記浄水器カートリッジ20に限定するものではない。例えば水や糖液の軟化装置、糖液の精製装置、ホルマリンの脱塩装置等の水処理装置において、イオン交換樹脂やキレート樹脂に代えて用いることにより、同様に装置の小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】本発明のイオン交換体の分子構造を示す説明図であり、(a)はフラーレンC60にスルホン酸基を導入したもの、(b)はカーボンナノチューブにスルホン酸基系Na型の官能基を導入したもの、(c)は黒鉛の分子構造である。
【図2】本発明に係る一実施形態の浄水器カートリッジの構造を模式的に示す正面断面図である。
【図3】上記浄水器カートリッジを製造するためのフラーレン付着装置の主要部の構造を模式的に示す正面断面図である。
【図4】従来の浄水器カートリッジの構造を模式的に示す正面断面図である。
【符号の説明】
【0086】
5 イオン交換体付き中空糸膜(イオン交換層)
7 イオン交換体粒子(イオン交換体、水処理用ろ材)
20 浄水器カートリッジ(水処理装置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
イオン交換体を主要成分とする水処理用ろ材であって、
上記イオン交換体は、フラーレンまたはその重合体またはカーボンナノチューブからなる母体分子にイオン交換基が導入されたものであることを特徴とする水処理用ろ材。
【請求項2】
上記イオン交換体1分子当たりのイオン交換基の導入数は、当該イオン交換体が処理水中に溶出する臨界値より小さい値であるように構成されていることを特徴とする請求項1記載の水処理用ろ材。
【請求項3】
上記母体分子がフラーレンC60であるとき、上記イオン交換基の導入数が3乃至24であることを特徴とする請求項2記載の水処理用ろ材。
【請求項4】
上記イオン交換基がスルホン酸基(−SO3H)またはスルホン酸基のプロトン(H+)を他の陽イオンに置換したものであることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の水処理用ろ材。
【請求項5】
上記イオン交換基がスルホン酸基系Na型の官能基(−SO3Na)であることを特徴とする請求項4記載の水処理用ろ材。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れか1項に記載の水処理用ろ材が収納されたイオン交換層を有し、原水を上記イオン交換層に通水することによって脱塩または塩転換を行うことを特徴とする水処理装置。
【請求項7】
水道水の給水経路中に設けられ、原水を浄化することを特徴とする請求項6記載の水処理装置。
【請求項8】
請求項1乃至5の何れか1項に記載の水処理用ろ材の製造方法であって、
上記母体分子をハロゲン化して前駆体を得る工程と、
上記前駆体のハロゲン原子を上記イオン交換基と置換して上記イオン交換体を得る工程とを含むことを特徴とする水処理用ろ材の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−61747(P2006−61747A)
【公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−243579(P2004−243579)
【出願日】平成16年8月24日(2004.8.24)
【出願人】(000010076)ヤマハ発動機株式会社 (3,045)
【Fターム(参考)】