説明

水処理装置、水質管理方法

【課題】 被処理水の浄化処理を行う浄化処理部と、浄化処理部において処理された水の消毒処理を行う消毒処理部とを備える水処理装置において、水質管理を高いレベルで実現するのに有効な技術を提供する。
【解決手段】 水処理装置100の最下流部である消毒槽190に浸漬された水質検出センサ200は、消毒処理後に消毒槽190から水処理装置100外へと放流される水の水質を検出するとともに、消毒槽190における消毒処理性能の低下によって当該水質検出センサ200の検出部に生物膜付着が発生したことを検出する構成とされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水処理技術に係り、詳しくは被処理水の浄化処理を行う浄化処理部と、浄化処理部において処理された水の消毒処理を行う消毒処理部とを備える水処理装置において、良好な水質管理を行うのに有効な技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、一般家庭等から排出される生活排水や、産業廃水等の汚水などの被処理水を処理する水処理装置において、水質検出センサを用いて処理水質を常時把握する構成が知られている。例えば下記特許文献1に記載の水処理装置では、消毒槽の上流に配置されたばっ気槽にDOセンサが設置されており、当該DOセンサによってばっ気処理後の水の水質が把握されるようになっている。
【特許文献1】特開平3−52696号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、上記特許文献1に記載の水処理装置のように、ばっ気槽のような浄化処理領域に水質検出センサを設けると、当該水質検出センサに生物膜が付着することで正確な水質検出が阻害されるという問題が生じる。また、環境保全に対する関心が高い近年では、この種の水処理装置内を流れる水の水質を把握することはもとより、水処理装置外へと放流される水の放流水質を高いレベルで管理する要請が高い。
そこで、本発明者らは、上記の問題や要請に応えるべく水質検出センサによる正確な水質検出を可能とするこの種の水処理装置について鋭意検討した。その検討の結果、水処理装置内における水質検出センサの配置を工夫することによって、水質検出センサへの生物膜の付着を抑えたうえで、処理水質及び放流水質を包括的に管理することができることを見出した。
本発明では、被処理水の浄化処理を行う浄化処理部と、浄化処理部において処理された水の消毒処理を行う消毒処理部とを備える水処理装置において、水質管理を高いレベルで実現するのに有効な技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
前記課題を解決するために、本発明が構成される。なお、本発明は、一般家庭等から排出される生活排水や、産業廃水等の被処理水を処理する水処理装置の構築技術として好適に用いられる。
【0005】
(本発明の第1発明)
前記課題を解決する本発明の第1発明は、請求項1に記載されたとおりの水処理装置である。
請求項1に記載のこの水処理装置は、浄化処理部、消毒処理部、水貯留部、水質検出センサを少なくとも備える。
本発明の浄化処理部は、被処理水の浄化処理を行う領域として構成される。この浄化処理として、固液分離処理、嫌気処理、ばっ気処理、好気処理などを適宜用いることができる。
本発明の消毒処理部は、浄化処理部において処理された水の消毒処理を行う領域として構成される。この消毒処理として、塩素処理、オゾン処理、UV(紫外線)処理、電解殺菌処理などを適宜用いることができる。
本発明の水貯留部は、消毒処理部で処理された水が貯留される領域として構成される。この水貯留部は、消毒処理部の一部または全部と合致する構成であってもよいし、或いは消毒処理部の下流に形成される当該消毒処理部とは別の領域として構成されてもよい。そして、本発明では、消毒処理後の水は、水貯留部から水処理装置外へと放流されるようになっている。
【0006】
本発明の水質検出センサは、水質検出用のセンサであり、特に水貯留部に浸漬される構成とされる。これによって、消毒処理がなされ水処理装置外へと放流される水の水質が検出可能とされる。この水質検出センサとして、水の濁度、透視度、SS(浮遊懸濁物質量)、BOD(生物化学的酸素要求量)、DO(溶存酸素)、pH、紫外線(UV)吸光度などの水質に関する情報(データ)を連続的ないし一定時間毎に検出する各種のセンサを適宜用いることができる。
また、この水質検出センサは、水貯留部の水質を検出する手段であるとともに、水貯留部における消毒処理性能の低下によって当該水質検出センサの検出部に生物膜付着が発生したことを検出する手段として兼用化されている。すなわち、消毒処理性能が低下すると、水質検出センサの検出部に生物膜付着が発生し当該水質検出センサによる検出値が通常領域を外れる状態が形成されるため、この状態を監視することによって消毒処理性能の低下を把握することができる。例えば塩素処理を行う消毒槽にあっては、塩素消毒剤がきれたことが把握される。
【0007】
請求項1に記載の水処理装置のこのような構成によれば、消毒処理がなされた後の水に水質検出センサが浸漬されているため、水質を高いレベルで包括的に管理することが可能となる。すなわち、消毒処理によって水質検出センサへの生物膜の付着が抑えられるため、生物膜付着により正確な水質検出が阻害されるのを防止することができ、また水質検出センサを用いて水質の常時監視を行うことが可能となる。とりわけ、家庭の生活排水を受け入れて処理する家庭用の水処理装置にあっては、保守点検の頻度が工場などに比べて低い(例えば4ヶ月に1回)ことから、次回の保守点検時までの水質の変動を監視する要請が高い。そこで、本発明のごとく、水貯留部の水質検出センサを用いて正確且つ常時に水質を監視することによって、特に家庭用の水処理装置において、水質の日常管理はもとより、水質の悪化を迅速に把握して対処することが可能となる。そのうえ、水処理装置内を流れる水の水質を把握することはもとより、水処理装置外へと放流される水の放流水質を把握することが可能となるため、環境に配慮した水質管理システムが構築される。
また、水質検出センサを用い、水貯留部の水質を検出するとともに、当該水質検出センサの検出部に生物膜付着が発生したことを検出する構成によって、水質管理に関し水質検出センサを水貯留部の水質監視用及び消毒処理性能の監視用として兼用化した合理的な水質管理システムが構築される。
【0008】
(本発明の第2発明)
前記課題を解決する本発明の第2発明は、請求項2に記載されたとおりの水質管理方法である。
請求項2に記載のこの水質管理方法は、請求項1に記載の水処理装置と同様の構成の水処理装置を用いて水質管理を行う方法である。すなわち、この水質管理方法では、水貯留部に水質検出用の水質検出センサを浸漬させ、これによって水処理装置外へと放流される水の水質を検出するステップと、水貯留部における消毒処理性能の低下により当該水質検出センサの検出部に生物膜付着が発生したことを検出するステップを少なくとも有する。
従って、請求項2に記載のこのような水質管理方法によれば、消毒処理がなされた後の水に水質検出センサを浸漬させることによって、水質を高いレベルで包括的に管理することが可能となる。すなわち、消毒処理によって水質検出センサへの生物膜の付着が抑えられるため、生物膜付着により正確な水質検出が阻害されるのを防止することができ、また水質検出センサを用いて水質の常時監視を行うことが可能となる。また、水質の日常管理はもとより、水質の悪化を迅速に把握して対処することが可能となる。そのうえ、水処理装置内を流れる水の水質を把握することはもとより、水処理装置外へと放流される水の放流水質を把握することが可能となるため、環境に配慮した水質管理方法が構築される。
また、水質検出センサを用い、水貯留部の水質を検出するとともに、当該水質検出センサの検出部に生物膜付着が発生したことを検出することによって、水質管理に関し水質検出センサを水貯留部の水質監視用及び消毒処理性能の監視用として兼用化した合理的な水質管理方法が構築される。
【発明の効果】
【0009】
以上のように、本発明によれば、特に、消毒処理後に水処理装置外へと放流される水を水質検出用の水質検出センサを用いて検出することによって、水質管理を高いレベルで実現することが可能とされる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下に、本発明における一実施の形態の水処理装置の構成等を図面に基づいて説明する。なお、本実施の形態は、一般家庭等から排出される排水(被処理水)の処理を行う水処理装置について説明するものである。
【0011】
本発明における「水処理装置」の一実施の形態である水処理装置100の処理フローが図1に示される。
図1に示すように、本実施の形態の水処理装置100は、槽状に成形された槽本体101の内部に各種の浄化処理機構を収容している。大別すると、処理工程の順に対応して上流(図1中の左側)から夾雑物除去槽110、嫌気濾床槽130、接触濾床槽150、処理水槽170、消毒槽190の各浄化処理機構が槽本体101に収容される。このような構成の槽本体101の内部に流入した排水は、夾雑物除去槽110、嫌気濾床槽130、接触濾床槽150、処理水槽170、消毒槽190で順次浄化処理されたのち、槽本体101の外部へ放流される。なお、本実施の形態では、各槽において処理される汚水(被処理水)および当該汚水を処理する処理過程において流れる水を「被処理水」ないし「水」と記載する。
【0012】
夾雑物除去槽110は、槽本体101内の最上流部に配置されており、流入口(図示省略)を通じて当該夾雑物除去槽110に被処理水が流入する構成になっている。この夾雑物除去槽110は、被処理水中に含まれる夾雑物を、流入バッフル(図示省略)などの固液分離手段を用いて被処理水から分離する処理を行う槽であり、被処理水の固液分離機能を果たす。この夾雑物除去槽110において夾雑物の除去処理がなされたあとの水は、その下流に配置された嫌気濾床槽130へと移流する。
【0013】
嫌気濾床槽130は、被処理水中の有機汚濁物質を嫌気処理(還元)する機能を有する処理槽であり、典型的には、有機汚濁物質を嫌気処理(還元)する嫌気性微生物が付着する所定量の濾材が濾床に充填される構成を有する。この嫌気処理によってBODの低減と汚泥物の減量化が図られる。この嫌気濾床槽130で処理されたあとの水は、その下流に配置された接触濾床槽150へと移流する。
【0014】
接触濾床槽150は、被処理水の好気処理及び濾過処理を行う機能を有する処理槽である。この接触濾床槽150で処理されたあとの水は、その下流に配置された処理水槽170へと移流する。
処理水槽170は、消毒槽190へ移流する前の水を一時的に貯留する機能を有する処理槽である。この処理水槽170に一時的に貯留された水は、その後消毒槽190へと移流する。
【0015】
消毒槽190は、処理水槽170から流入した水を消毒処理する機能を有する処理槽であり、槽本体101内の最下流部に配置されている。この消毒槽190は、消毒処理を行うための固形塩素剤(消毒剤)が充填された薬剤筒(図示省略)を備えている。この消毒槽190において消毒処理(塩素消毒処理)された水は、槽本体101の外部へ放流される。すなわち、この消毒槽190は、放流前の消毒処理を行う機能と、放流前の水を貯留する機能とを有する槽状体であり、本発明における「消毒処理部」及び「水貯留部」に対応している。また、この消毒槽190よりも上流の処理槽である、夾雑物除去槽110、嫌気濾床槽130、接触濾床槽150、処理水槽170が、本発明における「浄化処理部」を構成する。
【0016】
本実施の形態では、この消毒槽190に水質検出センサ200が浸漬されている。この水質検出センサ200は、消毒処理された水の水質を検出(測定)する機能を有する水質検出用のセンサとして構成される。この水質検出センサ200が、本発明における「水質検出センサ」に対応している。典型的には赤色光や近赤外線を用いた透過光方式、或いは赤色光や近赤外線を用いた散乱光方式などによる既知の濁度測定センサ(或いは透視度測定センサ)を用いて水質検出センサ200が構成され、消毒処理された後の水の濁度(或いは透視度)が検出される。
なお、本実施の形態では、消毒槽190よりも上流で浄化処理された水が消毒槽190において消毒処理されることによって、水質検出センサ200への生物膜の付着が抑えられるようになっている。このような構成によれば、検出部への生物膜付着により正確な水質検出が阻害されるのを防止することが可能となる。このとき、検出部に生物膜付着防止用の洗浄機能(例えばワイパー式洗浄部材)を備える水質検出センサにおいて、水質検出センサへの生物膜の付着が多少発生するような場合にあっては、洗浄機能の負荷を低減させることが可能となる。また、水質検出センサへの生物膜の付着が殆ど発生しないような場合にあっては、検出部に設置される洗浄機能自体を省略することができ、これによってセンサ構造が簡素化される。このように、本実施の形態の水質検出センサ200としては、消毒槽190内の水質を勘案したうえで、洗浄機能付きタイプ或いは洗浄機能無しタイプの水質検出センサを適宜用いることができる。
また、消毒処理による影響を勘案した場合、水質検出センサ200のセンサハウジング等を、耐食性を有するSUS(ステンレス)材料、樹脂材料などを用いて構成するのが好ましい。
【0017】
そして、この水質検出センサ200によって検出された検出データは、ケーブル201を経由して、表示や音声などによって出力部210に出力される。出力部210における具体的な出力態様としては、水処理装置100自体やその周辺に表示器や報知器を設置し、当該表示器にデータを出力表示したり、また予め設定された設定水質状態を外れたことを当該報知器が報知する。或いは、水質検出センサ200によって検出された検出データは、水処理装置100から離れた位置に設置されたデータ監視装置(データ管理装置)やデータ処理装置等に有線回線または無線回線を通じて適宜伝送される。
【0018】
なお、水の濁度(或いは透視度)は、一般的にBOD(生物化学的酸素要求量)やSS(浮遊懸濁物質量)と相関があることが知られており、本実施の形態では、濁度(或いは透視度)の検出データを得ることによってBODやSSに関する水質を定量的或いは定性的に判定するように構成している。この際、水質検出センサ200は、濁度(或いは透視度)の検出データ自体をそのまま出力部210に出力するように構成してもよいし、或いは濁度(或いは透視度)の検出データに基づいてBODやSSに関するデータに変換された後のデータを出力部210に出力するように構成してもよい。
【0019】
また、本実施の形態では、この水質検出センサ200を上述のような水質検出のみならず、消毒槽190における消毒処理性能の低下を把握するのに用いる。これは、消毒処理性能が低下すると、水質検出センサ200の検出部に生物膜付着が発生し当該水質検出センサによる検出値が通常領域を外れる状態が形成されるため、この状態を監視することによって、例えば塩素消毒剤がきれたことによって消毒処理性能が低下したことを把握することができる。このように、本実施の形態の水質検出センサ200は、消毒槽190の水質を検出する手段であるとともに、消毒槽190における消毒処理性能の低下によって当該水質検出センサ200の検出部に生物膜付着が発生したことを検出する手段として兼用化されている。また、本実施の形態の水質検出センサ200を用いた水管理方法では、消毒処理後に消毒槽190から水処理装置100外へと放流される水の水質を検出するステップと、消毒槽190における消毒処理性能の低下により水質検出センサ200の検出部に生物膜付着が発生したことを検出するステップを有する。
【0020】
以下に、上記構成の水質検出センサ200の具体的な設置態様を図2〜図7を参照しながら説明する。
なお、本実施の形態においてこの水質検出センサ200は、その検出部が消毒槽190内の貯留領域に常時浸漬されるように配置される。このとき、消毒槽190において、槽底部に沈降する沈降性汚泥や槽上部に浮上する浮上性汚泥の発生を勘案した場合、消毒処理後の標準的な水質を精度よく検出するためには、水質検出センサ200の検出部(発光部及び受光部)を、消毒槽190内の貯留領域の各部位のうち槽上下方向に関し沈降性汚泥領域と浮上性汚泥領域との間の領域に配置するのが好ましい。これにより、沈降性汚泥や浮上性汚泥が水質検出センサ200による水質検出(水質測定)に影響を及ぼすのを阻止し、消毒処理後の標準的な水質を安定的且つ精度よく検出することが可能となる。
【0021】
具体的には、消毒槽190の槽底部から上方へ第1の規定距離だけ離れた位置を第1の基準位置とし、消毒槽190の水面から下方へ第2の規定距離だけ離れた位置を第2の基準位置としたうえで、これら第1の基準位置と第2の基準位置との間に水質検出センサ200の検出部を配置する。第1の規定距離は、槽底部に堆積した沈降性汚泥に水質検出センサ200の検出部が埋没しないように、沈降性汚泥の堆積高さを勘案して設定される距離であり、例えば数センチの距離とされる。第2の規定距離は、水面付近に浮遊した浮上性汚泥や昆虫類の死骸などの浮遊物に水質検出センサ200の検出部が干渉しないように、浮遊物の厚みを勘案して設定される距離であり、例えば数センチの距離とされる。これにより、槽底部に堆積した沈降性汚泥や、水面付近に浮遊した浮遊物が水質検出(水質測定)に影響を及ぼすのを抑えることができ、更に良好なデータ検出が可能となる。
【0022】
本実施の形態の水質検出センサ200の第1の設置態様が図2に示される。
図2に示すこの第1の設置態様では、槽本体101の各部位のうち消毒槽190内の構成壁部102に、爪状のアーム部103を設けられている。このアーム部103は、水質検出センサ200を挟持可能な挟持アーム片103a、すなわち円筒状として示される当該水質検出センサ200の外径よりも若干小さい内径の挟持アーム片103aを備える。従って、上下方向に延在する水質検出センサ200が、挟持アーム片103aの内側に形成される被挿入部103bに向けて側方の開口から挿入され、挟持アーム片103aが多少押しひろげられることによって、挟持アーム片103aの挟持力が水質検出センサ200に作用することとなり、当該水質検出センサ200が構成壁部102に対し止着され保持(固定)される。この保持状態では、円筒状として示される水質検出センサ200は、縦向きに延在することとなる。なお、このアーム部103は、一体成形によって設けられてもよいし、或いは後付け固定される構成であってもよい。
【0023】
また、本実施の形態の水質検出センサ200の第2の設置態様が図3に示される。
図3に示すこの第2の設置態様では、第1の設置態様から90度回転させた状態のアーム部103が構成壁部102に設けられている。従って、左右方向に延在する水質検出センサ200が、挟持アーム片103aの内側に形成される被挿入部103bに向けて側方の開口から挿入され、挟持アーム片103aが多少押しひろげられることによって、挟持アーム片103aの挟持力が水質検出センサ200に作用することとなり、当該水質検出センサ200が構成壁部102に対し止着され保持(固定)される。この保持状態では、円筒状として示される水質検出センサ200は、横向きに延在することとなる。
【0024】
また、本実施の形態の水質検出センサ200の第3の設置態様が図4に示される。
図4に示すこの第3の設置態様では、槽本体101の各部位のうち消毒槽190内の構成壁部102自体に挟持部102aが形成されるように成形されている。この挟持部102aは、水質検出センサ200を挟持可能な構成、すなわち円筒状として示される当該水質検出センサ200の外径よりも若干小さい内径を有する構成とされる。従って、上下方向に延在する水質検出センサ200が、挟持部102aの内側に形成される被挿入部102bに向けて上方の開口から挿入され、挟持部102aが多少押しひろげられることによって、挟持部102aの挟持力が水質検出センサ200に作用することとなり、当該水質検出センサ200が構成壁部102に対し止着され保持(固定)される。この保持状態では、円筒状として示される水質検出センサ200は、縦向きに延在することとなる。
【0025】
また、本実施の形態の水質検出センサ200の第4の設置態様が図5に示される。
図5に示すこの第4の設置態様では、第3の設置態様から90度回転させた状態の挟持部102aが構成壁部102に設けられている。従って、左右方向に延在する水質検出センサ200が、挟持部102aの内側に形成される被挿入部102bに向けて側方の開口から挿入され、挟持部102aが多少押しひろげられることによって、挟持部102aの挟持力が水質検出センサ200に作用することとなり、当該水質検出センサ200が構成壁部102に対し止着され保持(固定)される。この保持状態では、円筒状として示される水質検出センサ200は、横向きに延在することとなる。
【0026】
また、本実施の形態の水質検出センサ200の第5の設置態様が図6に示される。
図6に示すこの第5の設置態様では、槽本体101の各部位のうち消毒槽190内の構成壁部102に、水平方向に延在する平板部104が設けられており、この平板部104の挿通孔104aに水質検出センサ200の検出部200aが挿通可能とされる。従って、上下方向に延在する水質検出センサ200の検出部200aが上方から挿通孔104aに挿入され(図6中の二点鎖線参照)、検出部200aに連接する本体部200bが平板部104上に載置されることによって、当該水質検出センサ200が構成壁部102に対し止着され保持(固定)される。この保持状態では、円筒状として示される水質検出センサ200は、縦向きに延在することとなる。
【0027】
また、本実施の形態の水質検出センサ200の第6の設置態様が図7に示される。
図7に示すこの第6の設置態様では、水質検出センサ200の本体部200bに爪状のフック部200cが設けられており、構成壁部102にこのフック部200cを引っ掛けて止着することが可能とされる。従って、上下方向に延在する水質検出センサ200のフック部200cを上方から構成壁部102へ引っ掛けることによって(図7中の二点鎖線参照)、当該水質検出センサ200が構成壁部102に対し止着され保持(固定)される。この保持状態では、円筒状として示される水質検出センサ200は、縦向きに延在することとなる。
【0028】
上記の各設置態様によれば、水質検出センサ200を構成壁部102に対し簡単且つ確実に取り付けることが可能となり、水流などの外力によって水質検出センサ200が動くのを防止することができる。また、水質検出センサ200自体を固定する構成によって、ケーブル201に過大なテンションが作用するのを防止することができる。従って、水質の検出条件が安定し検出値(測定値)の信頼性向上を図ることが可能となる。特に、図4に示す第3の設置態様や図5に示す第4の設置態様のように、構成壁部102自体を成形することによって水質検出センサ200の保持構造を形成する構成によれば、製造コストを抑えることが可能となる。また、図3に示す第2の設置態様や図5に示す第4の設置態様のように、水質検出センサ200を横向きに設置する構成により、安定した測定が可能とされる。
【0029】
図2〜図7に示す上記の各設置態様で設置された水質検出センサ200によって、消毒槽190において消毒処理がなされた後の水、すなわち槽本体101外へ放流される前の水の水質が連続的にまたは一定時間毎に検出されることとなる。
このような構成及び管理方法によれば、水処理装置100内における水質検出センサ200の配置を工夫することによって、水質検出センサ200への生物膜の付着が抑えられ、槽本体101内のみならず槽本体101外へ放流される水の包括的な水質を正確且つ常時に監視することが可能となる。とりわけ、家庭の生活排水を受け入れて処理する家庭用の水処理装置にあっては、保守点検の頻度が工場などに比べて低い(例えば4ヶ月に1回)ことから、次回の保守点検時までの水質の変動を監視する要請が高い。そこで、本実施の形態のごとく、槽本体101外へと放流される前の水の水質を水質検出センサ200によって常時監視する構成を採用することによって、水処理装置100の処理性能の状態を把握し、例えば処理性能が低下した場合に迅速に対処することが可能となる。これによって、槽本体101外へ放流される前の水の水質を所望の状態に維持、管理することができ、環境に配慮した水質管理が可能となる。
また、前述のように、水質検出センサ200は、消毒槽190の水質を検出する手段であるとともに、消毒槽190における消毒処理性能の低下によって当該水質検出センサ200の検出部に生物膜付着が発生したことを検出する手段として用いられ、水貯留部の水質監視用及び消毒処理性能の監視用として兼用化されているため、合理的な水質管理が可能となる。このように、本実施の形態は、水質検出センサ200によって単なる水質の監視を行うのみならず、当該水質検出センサ200によって生物膜付着発生を検知することで消毒処理性能の監視をも行うという、通常の水質管理に対し更なる有利な作用効果を奏するものである。
【0030】
上記の各設置態様では、水質検出センサ200を縦向きや横向きに設置する場合について記載したが、この水質検出センサ200の向きは、検出部(発光部及び受光部)の配置構造を勘案したうえで、当該検出部に沈降性汚泥が堆積しにくい向きに設定するのが好ましい。例えば、検出部の面が上下方向に延在する向きに水質検出センサ200を設置することによって、水中を上方から下方へと沈降した汚泥が検出部に堆積しにくくなり、これにより水質検出センサ200による安定した測定が可能とされる。
【0031】
なお、本実施の形態の水処理装置100を用いた管理システムに一例が図8に示される。
図8に示す例では、複数(図8中では4つ)の水処理装置100において各水質検出センサ200で検出された検出データは、出力部210を経由して無線方式または有線方式(例えばインターネットを介する方法)で管理装置220にデータ伝送される構成とされる。このような構成によれば、複数の水処理装置の水質管理(水質監視)を、管理装置220を用いて集中して行うことができるため合理的である。とりわけ、家庭用の水処理装置のように普及数が多い水処理装置の水質管理(水質監視)に特に有効である。
【0032】
〔他の実施の形態〕
なお、本発明は上記の実施の形態のみに限定されるものではなく、種々の応用や変形が考えられる。例えば、上記実施の形態を応用した次の各形態を実施することもできる。
【0033】
上記実施の形態では、槽本体101内の最下流部に消毒槽190が配置される場合について記載したが、本発明では、消毒槽190のような消毒処理部の下流に、更に貯留槽や放流ポンプ槽などの下流処理部を配置することもできる。この場合には、消毒処理部及び下流処理部の少なくとも一方に水質検出センサ200のような水質検出センサを浸漬させ、当該水質検出センサを用いて水質管理を行うことができる。
【0034】
また、上記実施の形態では、消毒槽190における消毒処理に関し、固形塩素剤を用いる塩素消毒処理について記載したが、本発明では、この塩素消毒処理にかえて別の消毒処理方法、例えばオゾン処理、UV(紫外線)処理、電解殺菌処理などを用いた消毒処理方法を適宜用いることもできる。
【0035】
また、上記実施の形態では、水質として濁度(或いは透視度)を検出する場合について記載したが、本発明では、濁度(或いは透視度)に加え、また濁度(或いは透視度)とは別に、SS、BOD、DO、pHなどの水質を検出するように構成してもよい。
【0036】
また、上記実施の形態では、槽本体101の内部に夾雑物除去槽110、嫌気濾床槽130、接触濾床槽150、処理水槽170、消毒槽190を備える水処理装置100に対し本発明を適用する場合について記載したが、別の構成の水処理装置、例えば槽本体の内部に夾雑物除去槽、嫌気濾床槽、担体流動生物濾過槽、処理水槽、消毒槽を備える水処理装置に対し本発明を適用することもできる。
【0037】
また、上記実施の形態では、家庭用の水処理装置について記載したが、本発明は、家庭用の水処理装置のみならず、工場などに設置される各種の水処理装置に対しても同様に適用可能な技術である。
【0038】
なお、上記実施の形態や種々の変更例の記載に鑑みた場合、本発明では、以下の態様1及び態様2に記載の構成を採り得る。
【0039】
すなわち、「請求項1に記載の水処理装置であって、前記水質検出センサは、前記水貯留部の各部位のうち上下方向に関し沈降性汚泥領域と浮上性汚泥領域との間の領域に配置される構成であることを特徴とする水処理装置。」という構成(態様1)が考えられる。
また、「請求項2に記載の水質管理方法であって、前記水質検出センサを、前記水貯留部の各部位のうち上下方向に関し沈降性汚泥領域と浮上性汚泥領域との間の領域に配置することを特徴とする水質管理方法。」という構成(態様2)が考えられる。
これら態様1や態様2に記載の発明によれば、沈降性汚泥や浮上性汚泥が水質検出センサによる水質検出(水質測定)に影響を及ぼすのを阻止し、消毒処理後の標準的な水質を安定的且つ精度よく検出することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明における「水処理装置」の一実施の形態である水処理装置100の処理フローを示す図である。
【図2】本実施の形態の水質検出センサ200の第1の設置態様を示す図である。
【図3】本実施の形態の水質検出センサ200の第2の設置態様を示す図である。
【図4】本実施の形態の水質検出センサ200の第3の設置態様を示す図である。
【図5】本実施の形態の水質検出センサ200の第4の設置態様を示す図である。
【図6】本実施の形態の水質検出センサ200の第5の設置態様を示す図である。
【図7】本実施の形態の水質検出センサ200の第6の設置態様を示す図である。
【図8】本実施の形態の水処理装置100を用いた管理システムを示す図である。
【符号の説明】
【0041】
100…水処理装置
101…槽本体
102…構成壁部
102a…挟持部
102b…被挿入部
103…アーム部
103a…挟持アーム片
103b…被挿入部
104…平板部
104a…挿通孔
110…夾雑物除去槽
130…嫌気濾床槽
150…接触濾床槽
170…処理水槽
190…消毒槽
200…水質検出センサ
200a…検出部
200b…本体部
200c…フック部
201…ケーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理水の浄化処理を行う浄化処理部と、
前記浄化処理部で処理された水の消毒処理を行う消毒処理部と、
前記消毒処理部で処理された水が貯留される水貯留部と、
水質検出用の水質検出センサと、を備え、
消毒処理後の水が前記水貯留部から水処理装置外へ放流される構成の水処理装置であって、
前記水質検出センサは、前記水貯留部に浸漬される構成であり、これによって消毒処理後に水処理装置外へと放流される水の水質を検出するとともに、前記水貯留部における消毒処理性能の低下によって当該水質検出センサの検出部に生物膜付着が発生したことを検出することを特徴とする水処理装置。
【請求項2】
被処理水の浄化処理を行う浄化処理部と、
前記浄化処理部で処理された水の消毒処理を行う消毒処理部と、
前記消毒処理部で処理された水が貯留される水貯留部と、を備え、
消毒処理後の水が前記水貯留部から水処理装置外へ放流される構成の水処理装置において、
前記水貯留部に水質検出用の水質検出センサを浸漬させ、これによって消毒処理後に水処理装置外へと放流される水の水質を検出するステップと、前記水貯留部における消毒処理性能の低下により当該水質検出センサの検出部に生物膜付着が発生したことを検出するステップを有することを特徴とする水質管理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−218378(P2006−218378A)
【公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−33130(P2005−33130)
【出願日】平成17年2月9日(2005.2.9)
【出願人】(390021348)フジクリーン工業株式会社 (71)
【Fターム(参考)】