説明

水処理装置

【課題】エネルギー効率を向上させることのできる水処理装置を得る。
【解決手段】水を電気分解することで水素を取り出す改質装置20と、改質装置20に電気を供給する直流電源40と、改質装置20で得られた水素をアノード32に供給する導入路35と、空気をカソード31に供給する導入路34と、を有し、水素と空気中の酸素との電気化学反応により発電する燃料電池30と、を備え、燃料電池30に、電気化学反応による発電の際に得られる浄水を取り出す吐出口30aを設けるともに、当該燃料電池30で得られた電気を直流電源40に還流させた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、海水を電気分解して水素を取出す改質装置と、この改質装置から得られる水素を水素イオンに換えて電解質に導き酸素と反応させて電気を発生する燃料電池本体と、を備え、燃料電池本体で電気の発生とともに生成される水を飲料水とする装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−58098号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術のように、電気分解装置を利用して水素を取り出す際の実際のエネルギー効率は、オーム抵抗、反応抵抗、拡散抵抗などが生じるため約20%となる。また、燃料電池のエネルギー効率は、電気分解装置ほど多くの抵抗が生じないため、電気分解装置よりは高くなるが、約50%と低いものである。このように、上記従来の技術では、浄水の生成効率は約10%となり、浄水の生成のためのエネルギー効率が悪かった。
【0005】
そこで、本発明は、エネルギー効率を向上させることのできる水処理装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明にあっては、水を電気分解することで水素を取り出す改質装置と、前記改質装置に電気を供給する直流電源と、前記改質装置で得られた水素をアノードに供給する導入路と、空気をカソードに供給する導入路と、を有し、水素と空気中の酸素との電気化学反応により発電する燃料電池と、を備え、前記燃料電池に、電気化学反応による発電の際に得られる浄水を取り出す吐出口を設けるともに、当該燃料電池で得られた電気を前記直流電源に還流させたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、燃料電池で得られた電気を直流電源に還流させる構成としたため、水を電気分解する際に供給する電力を少なくすることができる。その結果、所定量の浄水を得るために供給される電力が少なくなって、エネルギー効率を向上させることができる。そのため、水処理装置の構成の簡素化および小型を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、本発明の第1実施形態にかかる水処理装置を模式的に示す図である。
【図2】図2は、本発明の第1実施形態にかかる水処理装置のエネルギー効率と従来の水処理装置のエネルギー効率とを比較した図である。
【図3】図3は、本発明の第2実施形態にかかる水処理装置を模式的に示す図である。
【図4】図4は、本発明の第3実施形態にかかる水処理装置を模式的に示す図である。
【図5】図5は、本発明の第4実施形態にかかる水処理装置を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の複数の実施形態には、同様の構成要素が含まれている。よって、以下では、それら同様の構成要素には共通の符号を付与するとともに、重複する説明を省略する。
【0010】
(第1実施形態)
本実施形態にかかる水処理装置10は、水を電気分解することで水素を取り出す改質装置20と、当該改質装置20に電気を供給する直流電源40と、水素と酸素との電気化学反応により発電する燃料電池30と、を備えている。
【0011】
改質装置20には、電気分解する水を貯留する電解槽21が形成されている。そして、電解槽21に連通して水を電解槽21内に供給する給水路27と、電解槽21に連通して電気分解後の水を電解槽21外に排出する排水路28と、が形成されている。本実施形態では、給水路27および排水路28は、電解槽21の下部(改質装置20の下部)に形成されている。
【0012】
また、改質装置20の電解槽21内には、互いに対向する陽極25および陰極26が配置されており、陽極25側上方には酸素貯槽部23が形成されているとともに、当該酸素貯槽部23には、生成された酸素を排出する酸素排出路23aが形成されている。
【0013】
そして、陰極26側上方には水素貯槽部24が形成されているとともに、当該水素貯槽部24には、生成された水素を排出する水素排出路24aが形成されている。この、酸素貯槽部23と水素貯槽部24は、電解槽21の上部に設けた隔壁22によって画成されており、電気分解によって生成された酸素と水素とが混合してしまうのを抑制している。
【0014】
陽極25および陰極26は、略板状をしており、約4mmの電極間距離でそれぞれの表面が対向するように配置されている。そして、配線25a,26aを介して直流電源40に電気的に接続されている。また、陽極25および陰極26は、それぞれの表面が鉛直面となるように配置されている。このように、陽極25および陰極26をそれぞれの表面が鉛直面となるように配置することで、水の電気抵抗による熱エネルギーのロスを低減することができる。さらに、生成された気体(水素および酸素)が電極表面に沿って上昇するため、水素と酸素とが混合してしまうのを抑制することができる。
【0015】
そして、給水路27は、水道配管などの配管27aに電磁弁50を介して接続されており、排水路28は、排水管28aに電磁弁51を介して接続されている。この電磁弁50,51の開閉によって、電解槽21内への水の給水や電解槽21外への水の排水が行われる。なお、電磁弁50,51は、配線61,62を介して制御部60に電気的に接続されている。
【0016】
また、制御部60は、配線63を介して直流電源40にも電気的に接続されており、電磁弁50,51の開閉および直流電源40のオン・オフを制御している。
【0017】
直流電源40は、配線41,42を介して家庭用電源などの外部電源70に電気的に接続されており、外部電源70から電気が供給されるようになっている。なお、外部電源70から交流電流が供給される場合、直交変換装置によって直流電流に変換されて直流電源40に供給される。なお、直流電源40が直交変換装置を備えていてもよい。
【0018】
燃料電池30は、改質装置20で得られた水素をアノード(燃料極)32に供給する水素導入室(導入路)35と、空気をカソード(空気極)31に供給する空気導入室(導入路)34と、を有している。また、電解質33が、アノード(燃料極)32およびカソード(空気極)31で挟まれている。そして、水素と空気中の酸素とを電気化学反応により発電させることで、電気エネルギーを取り出せるようになっている。
【0019】
この燃料電池30としては、公知のものを用いることができる。例えば、電解質33として、プロトン伝導性の高分子膜を用いると、固体高分子形(PEFC)の燃料電池を製造することができる。また、電解質33としてリン酸を用いると、リン酸形(PAFC)の燃料電池を製造することができる。また、電解質33として溶融炭酸塩を用いると、溶融炭酸塩形(MCFC)の燃料電池を製造することができる。また、電解質33として安定化ジルコニアを用いると、固体電解質形(SOFC)の燃料電池を製造することができる。
【0020】
そして、アノード32及びカソード31としては、例えば、固体高分子形の燃料電池を製造する場合には、カーボンペーパーに白金等の触媒を塗布したものを用いることができる。また、リン酸形の燃料電池を製造する場合には、アノード32として、カーボン材に白金又は白金・ルテニウム合金触媒を塗布したものを用い、カソード31として、カーボン材に白金を塗布したものを用いることができる。また、溶融炭酸塩形の燃料電池を製造する場合には、アノード32として、ニッケルを主成分としてクロムやアルミが添加された材料を用い、カソード31として、酸化ニッケルを用いることができる。また、固体電解質形の燃料電池を製造する場合には、アノード32として、ニッケルと安定化ジルコニアの混合焼結体であるNi/YSZサーメットを用い、カソード31として、ランタナマンガナイトを用いることができる。
【0021】
さらに、本実施形態では、改質装置20の水素排出路24aと水素導入室(導入路)35とを連通し、改質装置20で生成された水素が水素導入室(導入路)35からアノード(燃料極)32に供給されるようになっている。
【0022】
また、空気導入室(導入路)34には、空気通路34aが連通されており、当該空気通路34aに配置されたエアーポンプ39によって空気が導入されるようになっている。
【0023】
そして、燃料電池30の下部には、当該燃料電池30にて電気化学反応による発電が行われる際に生成される浄水を取り出す浄水吐出口(吐出口)30aが設けられている。
【0024】
また、燃料電池30は、配線31a,32aを介して充電池等の電池36に電気的に接続されており、この電池36は、配線37,38を介して直流電源40に電気的に接続されている。
【0025】
このように、本実施形態では、燃料電池30で発電させた電気を、電池36を介して直流電源40に環流させている。すなわち、改質装置20における水の電気分解は、直流電源40および燃料電池30で発電させた電気を駆動源として行われている。
【0026】
次に、水処理装置10の作用を説明する。
【0027】
まず、水道配管などの配管27aから電磁弁50を介して電解槽21内に水を供給し、一定量内部に貯水する。次に、陽極25および陰極26に電圧を印加する。このとき、電流密度が1A/dm以下となるように、好ましくは、0.6〜0.8A/dmとなるように、電圧を印加するのが好適である。電流密度が高すぎると生成する気体による電気抵抗が増大してエネルギー効率が低下する上、電極寿命が短くなり、電流密度が低いとエネルギー効率は高くなるが、電極面積を増大する必要がありコストが嵩んでしまうという問題があるためである。
【0028】
そして、陽極25および陰極26に電圧を印加すると、電解槽21内部の水は、電気分解されて、陽極25側から酸素が、陰極26側から水素が生成される。生成された酸素と水素は、それぞれ酸素貯槽部23および水素貯槽部24に移動し、酸素排出路23aおよび水素排出路24aから改質装置20外へ排出される。
【0029】
なお、この時の電解槽21のエネルギー効率は30%前後となる。
【0030】
また、電気分解反応が進行するにつれて電解槽21内の水量が減少するが、一定水位になった際には、電気分解を停止し、排水路28側の電磁弁51を開放して濃縮排水を排水管28aから排出されるようにしている。この制御は、制御部60にて行われる。
【0031】
具体的には、制御部60は、まず、給水路27側の電磁弁50を開放させて電解槽21内に水を一定量供給した後、電磁弁50を閉止するようにしている。次に、直流電源40をオンにし、電解槽21内に貯水された水を電気分解することで、水素および酸素を生成する。そして、水素および酸素の生成に伴い貯水量が所定量以下に減少した際には、直流電源40をオフにし、電気分解を停止する。そして、排水路28側の電磁弁51を開放して濃縮排水を排水管28aから排出した後、電磁弁51を閉止する。
【0032】
本実施形態では、電解槽21内の水量検知を、陽極25と陰極26との間の電気抵抗を検知することにより行っている。具体的には、陽極25および陰極26が完全に水没した状態における両電極25,26間の電気抵抗が出力された際に、制御部60が満水状態と判断する。そして、満水時の約2倍の抵抗値が出力された際、すなわち、陽極25および陰極26の浸水している高さが1/2となった際に、制御部60が、電気分解を停止(直流電源40からの電気の供給を停止)し、排水路28側の電磁弁51を開放して濃縮排水を排出するようにしている。そして、濃縮排水を排出すると、制御部60は、電磁弁51を閉じるとともに、電磁弁50を開放して、電解槽21内に水を供給する。以上の過程を繰り返し行うことで、改質装置20から水素を継続して取り出すようにしている。
【0033】
このように、本実施形態では、制御部60が、互いに対向する陽極25と陰極26との電気抵抗に基づいて、改質装置20における給水、電気分解、排水の制御を行っている。
【0034】
そして、改質装置20で生成された水素は、水素排出路24aから燃料電池30の水素導入室(導入路)35に送られる。一方、空気導入室(導入路)34側には空気が供給されて、燃料電池30内での電解反応により電気と浄水が生成され、浄水吐出口30aから浄水を得ることができる。
【0035】
この時、カソード(空気極)31に供給する酸素の供給源として空気を用いているため、酸素ボンベを用いる場合に比べて装置の製造コストを低減させることができる。さらに、酸素を過剰に供給させることができるため、酸素の拡散速度を早くすることができる。その結果、酸素の拡散速度が遅いことによる陽極25側の反応抵抗を軽減することができ、燃料電池30の立ち上げ時を早くすることができるとともに、燃料電池30の反応ロスを抑制することができる。
【0036】
そして、水生成と同時に発生する電力は電池36を介して直流電源40へと還流される。
【0037】
このように、発電した電力を全量還流することにより、電力の利用効率を高めることができる。
【0038】
ここで、図2に基づいて、本実施形態にかかる水処理装置(サンプル4)の浄水生成効率を、従来の水処理装置(サンプル1〜3)と比較して説明する。
【0039】
まず、サンプル1〜4では、いずれも陽極および陰極を、約4mmの電極間距離で対向配置している。また、サンプル1〜4では、同一の燃料電池が用いられている。この燃料電池を用いると、180(mL/Hr)の浄水を生成することができる。そして、サンプル4のみ、燃料電池で発電された電気を直流電源40へと還流させている。
【0040】
ここで、サンプル1では、6(V)の電圧V1を印可することで、電流密度が1.5A/dmとなるようにしている。
【0041】
また、サンプル2では、3.5(V)の電圧V1を印可することで、電流密度が0.8A/dmとなるようにしている。
【0042】
また、サンプル3では、3.3(V)の電圧V1を印可することで、電流密度が0.6A/dmとなるようにしている。
【0043】
また、サンプル4では、3.5(V)の電圧V1を印可することで、電流密度が0.8A/dmとなるようにしている。
【0044】
そして、それぞれのサンプルの電解槽の電力効率ζ1は、以下の式1から得ることができる。
【0045】
電力効率ζ1=I1×(VH+VO)/(I1×V1)=(VH+VO)/V1…(1)
ここで、VHは、水素生成の標準電位(V)であり、理論値はVH(V)=0(V)である。
【0046】
また、VOは、酸素生成の標準電位(V)であり、理論値はVO(V)=1.23(V)である。
【0047】
また、I1は、電流(A)であり、V1は、上述の電圧(V)である。
【0048】
上記の式1に、それぞれのサンプルの電圧V1を代入して電解槽の電力効率ζ1(−)を計算すると、サンプル1では、ζ1=0.21、サンプル2では、ζ1=0.35、サンプル3では、ζ1=0.37、サンプル4では、ζ1=0.35となる。
【0049】
そして、燃料電池の電力効率ζ2は、以下の式2で求めることができる。
【0050】
電力効率ζ2=W2/(I2×(VH+VO))…(2)
ここで、W2は、燃料電池の消費電力(W)であり、W2(W)=192(W)となっている。
【0051】
また、I2は、燃料電池内を流れる電流(A)であり、I2(A)=270(A)となっている。
【0052】
したがって、燃料電池の電力効率ζ2は、上記W2(W)、I2(A)、VH、VOを式2に代入することで得られ、電力効率ζ2=0.58である。
【0053】
最後に、水生成のエネルギー利用効率ξを求める。
【0054】
この浄水生成のエネルギー利用効率ξは、電源還流がない場合には、以下の式3で得ることができ、電流還流がある場合には、以下の式4で得ることができる。
【0055】
ξ=ζ1×ζ2…(3)
ξ=ζ1×ζ2/(1−ζ1×ζ2)…(4)
したがって、サンプル1〜3における水生成のエネルギー利用効率ξは、式3に基づいて、それぞれξ=0.12、ξ=0.20、ξ=0.22となる。
【0056】
そして、サンプル4における浄水生成のエネルギー利用効率ξは、式4に基づいて、ξ=0.25となる。
【0057】
このように、燃料電池で発電された電気を直流電源40へと還流させることで、水生成のエネルギー利用効率を高められることが解る。
【0058】
以上の本実施形態によれば、燃料電池30で得られた電気を直流電源40に還流させる構成としたため、水を電気分解する際に外部電源70から供給される電力を少なくすることができる。その結果、所定量の浄水を得るために外部電源70から供給される電力を少なくすることができ、浄水生成のエネルギー効率を向上させることができる。このように、浄水生成のエネルギー効率を向上させることで、水処理装置10の構成の簡素化および小型を図ることができるようになる。なお、原料に水を利用すれば、安全に飲用水を供給することができるようになる。
【0059】
また、本実施形態によれば、燃料電池30で発電した電流を電池36を介して環流させることで、改質装置20の電解出力の脈流を抑制することができ、より安定した電解電圧を供給することが可能となる。すなわち、水処理装置10Aの定常運転を容易に行うことができる。また、燃料電池30で発電した電力の余剰電力を蓄電することができるため、発電した電力を無駄なく利用することができる。
【0060】
また、本実施形態によれば、陽極25および陰極26の上方に、酸素貯槽部23と酸素排出路23a、水素貯槽部24と水素排出路24aを、それぞれ設けており、給水路27および排水路28を、電解槽21の下部(改質装置20の下部)に形成している。そのため、水の給排水および酸素と水素の生成分離を効率よく行うことができ、水処理装置10の構成の簡素化および小型化を図ることができる。
【0061】
また、本実施形態によれば、制御部60が、互いに対向する陰極26と陽極25との間の電気抵抗に基づいて、改質装置20における給水、電気分解、排水を制御している。そのため、水の電気分解のエネルギー効率を向上させる(無駄なエネルギー損失を減らす)ことができ、水処理装置10の構成の簡素化および小型化を図ることができる。
【0062】
(第2実施形態)
本実施形態にかかる水処理装置10Aは、基本的に上記第1実施形態と同様の構成をしており、水を電気分解することで水素を取り出す改質装置20と、当該改質装置20に電気を供給する直流電源40と、水素と酸素との電気化学反応により発電する燃料電池30と、を備えている。
【0063】
ここで、本実施形態が上記第1実施形態と主に異なる点は、改質装置20の酸素排出路23aを燃料電池30の酸素導入部34に連通させるとともに、燃料電池30で発電した電気を、電池36を介して直流電源40に還流させたことにある。
【0064】
すなわち、改質装置20における水の電気分解で得られた酸素を、燃料電池30のカソード(空気極)31に供給する酸素として利用している。
【0065】
以上の本実施形態によれば、改質装置20における水の電気分解で得られた酸素を、燃料電池30のカソード(空気極)31に供給する酸素として利用することで、空気を取り入れるためのエアーポンプ等を装着する必要がなくなる。その結果、可動部材を少なくすることができ、水処理装置10Aの稼動信頼性を向上させることができる。
【0066】
また、本実施形態によれば、燃料電池30で発電した電流を電池36を介して環流させることで、改質装置20の電解出力の脈流を抑制することができ、より安定した電解電圧を供給することが可能となる。すなわち、水処理装置10Aの定常運転を容易に行うことができる。また、燃料電池30で発電した電力の余剰電力を蓄電することができるため、発電した電力を無駄なく利用することができる。
【0067】
また、本実施形態によっても、上記第1実施形態と同様の作用、効果を奏することができる。
【0068】
(第3実施形態)
本実施形態にかかる水処理装置10Bは、基本的に上記第1実施形態と同様の構成をしており、水を電気分解することで水素を取り出す改質装置20と、当該改質装置20に電気を供給する直流電源40と、水素と酸素との電気化学反応により発電する燃料電池30と、を備えている。
【0069】
ここで、本実施形態が上記第1実施形態と主に異なる点は、改質装置20が、対向する電極(陽極25および陰極26)を定期的に逆電する逆電手段(図示せず)を設けたことにある。
【0070】
この逆電手段としては、公知のものを用いることができる。この逆電手段を動作させると、陽極25と陰極26間に逆極性、つまり陽極25側をマイナス極、陰極26側をプラス極とする逆電位が印加されることとなる。このように、陽極25および陰極26に逆電位を印加して水の電気分解を行うことで、陽極25および陰極26の洗浄を行うようにしている。
【0071】
すなわち、電解槽21内に水を供給した後、陽極25および陰極26に通常運転時の逆電位を印加して水の電気分解を行い、陰極26に付着したカルシウムスケールを溶解して除去させた後、電解槽21外に排水する。
【0072】
この洗浄は、例えば、満水時の電極間の抵抗値が初期抵抗値に対して10%増加した時点で洗浄操作をするように設定することができる。
【0073】
なお、洗浄運転時には、陰極26側で、酸素が生成される。そこで、水素排出路24aに三方弁52を設けることで、通常運転時には、水素排出路24aを水素導入室(導入路)35に連通させるとともに、洗浄運転時には、水素導入室(導入路)35への通路を閉止するとともに、水素排出路24aを外部と連通するようした。
【0074】
したがって、通常運転時には、陰極26側で生成された水素を水素導入室(導入路)35へ供給することができ、洗浄運転時には、陰極26側で生成された酸素を、三方弁52を介して水素排出路24aから外部へ排出することができる。
【0075】
このように、本実施形態では、三方弁52を水素排出路24aに設けることで、洗浄運転時に陰極26側で生成された酸素が水素導入室(導入路)35に供給されてしまうのを抑制している。
【0076】
なお、洗浄時期は、所定時間経過後、または、使用回数に応じて、行うようにすることもできる。例えば、通常動作サイクル10回に対して1回行うようにすることもできる。
【0077】
以上の本実施形態によっても、上記第1実施形態と同様の作用、効果を奏することができる。
【0078】
また、本実施形態によれば、改質装置20の電極(陽極25および陰極26)を洗浄することができ、長期間安定した性能を維持することができるようになる。
【0079】
(第4実施形態)
本実施形態にかかる水処理装置10Cは、基本的に上記第1実施形態と同様の構成をしており、水を電気分解することで水素を取り出す改質装置20と、当該改質装置20に電気を供給する直流電源40と、水素と酸素との電気化学反応により発電する燃料電池30と、を備えている。
【0080】
ここで、本実施形態が上記第1実施形態と主に異なる点は、直流電源40に電気を供給する外部電源として太陽電池71を用いたことにある。
【0081】
この太陽電池71も、公知のものを用いることができる。
【0082】
以上の本実施形態によっても、上記第1実施形態と同様の作用、効果を奏することができる。
【0083】
また、本実施形態によれば、屋外や災害時のような外部電源のない場所でも利用することのできる水処理装置10Cを得ることができる。
【0084】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態には限定されず、種々の変形が可能である。
【0085】
例えば、上記各実施形態で説明した特徴部分を適宜組み合わせて水処理装置を構成することもできる。
【符号の説明】
【0086】
10,10A,10B,10C 水処理装置
20 改質装置
23 酸素貯槽部
23a 酸素排出路
24 水素貯槽部
24a 水素排出路
25 陽極
26 陰極
27 給水路
28 排水路
30 燃料電池
30a 浄水吐出口(吐出口)
31 カソード
32 アノード
34 空気導入室(導入路)
35 水素導入室(導入路)
36 電池
40 直流電源
50 電磁弁
51 電磁弁
60 制御部
70 外部電源
71 太陽電池

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水を電気分解することで水素を取り出す改質装置と、
前記改質装置に電気を供給する直流電源と、
前記改質装置で得られた水素をアノードに供給する導入路と、空気をカソードに供給する導入路と、を有し、水素と空気中の酸素との電気化学反応により発電する燃料電池と、
を備え、
前記燃料電池に、電気化学反応による発電の際に得られる浄水を取り出す吐出口を設けるともに、当該燃料電池で得られた電気を前記直流電源に還流させたことを特徴とする水処理装置。
【請求項2】
水を電気分解することで水素を取り出す改質装置と、
前記改質装置に電気を供給する直流電源と、
前記改質装置で得られた水素をアノードに供給する導入路と、前記改質装置で得られた酸素をカソードに供給する導入路と、を有し、水素と酸素との電気化学反応により発電する燃料電池と、
を備え、
前記燃料電池に、電気化学反応による発電の際に得られる浄水を取り出す吐出口を設けるともに、当該燃料電池で得られた電気を、電池を介して前記直流電源に還流させたことを特徴とする水処理装置。
【請求項3】
前記改質装置は、前記直流電源に接続されるとともに互いに対向する陰極および陽極と、前記陰極側上方に位置する水素貯槽部および水素排出路と、前記陽極側上方に位置する酸素貯槽部および酸素排出路と、を備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の水処理装置。
【請求項4】
前記改質装置の下部には、電気分解する水を供給する給水路と、電気分解後の水を排出する排水路と、が形成されていることを特徴とする請求項3に記載の水処理装置。
【請求項5】
前記改質装置は、前記給水路および排水路にそれぞれ設けられた電磁弁と前記直流電源とを制御する制御部を備えており、
前記制御部は、互いに対向する前記陰極と前記陽極との間の電気抵抗に基づいて、前記改質装置における給水、電気分解、排水を制御していることを特徴とする請求項4に記載の水処理装置。
【請求項6】
前記改質装置は、対向する電極を逆電する逆電手段を備えることを特徴とする請求項3〜5のうちいずれか1項に記載の水処理装置。
【請求項7】
前記直流電源への電気供給源として太陽電池を用いることを特徴とする請求項1〜6のうちいずれか1項に記載の水処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−153037(P2011−153037A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−13943(P2010−13943)
【出願日】平成22年1月26日(2010.1.26)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】