説明

水処理装置

【課題】逆浸透膜が目詰まりしてしまうのを抑制することのできる水処理装置を得る。
【解決手段】水処理装置1は、少なくとも逆浸透膜41aを有し、処理水を生成するとともに濃縮水を排水するフィルタ41を有している。そして、水処理装置1は、濃縮水の排水流速を変動させる流速変動手段9を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、水処理装置として、逆浸透膜モジュールユニットを多段に配置し、前段の逆浸透膜モジュールユニットからの濃縮水流路が、次段の逆浸透膜モジュールユニットの供給液流路に連通させたものが知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−051663号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、かかる従来の技術では、後段に配置される逆浸透膜モジュールユニットに供給される水は、濃度の高い濃縮水であるため、逆浸透膜に汚れが付着し、逆浸透膜が目詰まりしやすいという問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、逆浸透膜が目詰まりしてしまうのを抑制することのできる水処理装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明にあっては、逆浸透膜を有し、処理水を生成するとともに濃縮水を排水するフィルタを備える水処理装置であって、前記水処理装置は、前記濃縮水の排水流速を変動させる流速変動手段を備えていることを主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、水処理装置は、逆浸透膜を有するフィルタから排水される濃縮水の排水流速を変動させる流速変動手段を備えており、流速変動手段によって濃縮水の排水流速を変動させることで、逆浸透膜を振動させることができる。その結果、逆浸透膜に汚れが付着しにくくなり、逆浸透膜が目詰まりしてしまうのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、本発明の第1実施形態にかかる水処理装置を模式的に示す全体構成図である。
【図2】図2は、本発明の第2実施形態にかかる水処理装置を模式的に示す全体構成図である。
【図3】図3は、本発明の第3実施形態にかかる水処理装置を模式的に示す全体構成図である。
【図4】図4は、本発明の第4実施形態にかかる水処理装置を模式的に示す全体構成図である。
【図5】図5は、本発明の第5実施形態にかかる水処理装置を模式的に示す全体構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下では、逆浸透膜の透過水が生成される側と反対側(ナノフィルタの逆浸透膜を透過しない水が存在する側)のことを逆浸透膜の原水側と定義する。また、以下の複数の実施形態ならびにその変形例には、同様の構成要素が含まれている。よって、以下では、それら同様の構成要素には共通の符号を付与するとともに、重複する説明を省略する。
【0010】
(第1実施形態)
本実施形態にかかる水処理装置1は、図1に示すように、筐体2と、筐体2に取り付けられた吐水部3と、NF膜(逆浸透膜)41aを有するナノフィルタ(少なくとも逆浸透膜を有するフィルタ)41を有し、筐体2内に配置される浄水部4と、を備えている。
【0011】
吐水部3は、操作・報知部31と、浄水(処理水)が吐出する吐水カラン32と、を備えている。
【0012】
浄水部4は、水道水路P0に分岐部D1を介して接続され、原水である水道水が導入される主通水路P1を有しており、この主通水路P1にナノフィルタ41が配置されている。さらに本実施形態では、ナノフィルタ41の上流側に前処理部40が配置されており、当該前処理部40にて前処理された水をナノフィルタ41に導入するようにしている。
【0013】
具体的には、本実施形態では、主通水路P1の上流側から下流側に向かって順に、第1プレフィルタ42、供給ポンプ43、第2プレフィルタ44、第3プレフィルタ45、ナノフィルタ41が配置されている。また、本実施形態では、主通水路P1の第1プレフィルタ42の上流側には、浄水部4内に供給される水道水の水圧を検知する圧力センサ6が設けられており、第1プレフィルタ42と供給ポンプ43との間には、水道水の水処理装置1内への導入の開始および停止を制御する開閉弁7が設けられている。
【0014】
第1プレフィルタ42は、例えば、孔径5μmの不織布フィルタで構成されており、主通水路P1内に導入される水道水に混入した大きな粒子やゴミなど、比較的大きめの異物を捕捉して除去するものである。なお、このプレフィルタ42は、供給ポンプ43内部への微粒子の混入によるポンプ能力の低下を防止したり、開閉弁7の開閉動作が阻害されてしまうのを抑制するために設けるものであり、特に設けなくてもよい。ただし、その場合、例えば、微粒子を捕捉可能なストレーナを供給ポンプ43や開閉弁7の上流側に配置するのが好ましい。
【0015】
第1プレフィルタ42および開閉弁7を通過して供給ポンプ43に到達した水は、供給ポンプ43で昇圧(たとえば、0.4MPa)され、下流側に圧送される。なお、供給ポンプ43は、ゴミなどが除去された水を昇圧して下流側に圧送することで、ナノフィルタ41の逆浸透圧を作り出すものである。この供給ポンプ43や開閉弁7の配置位置は、図1に示すものに限らず、他の場所に配置することができる。例えば、第3プレフィルタ45の下流側や、ストレーナを上流側に配置した状態で第1プレフィルタ42の上流側に配置することが可能である。
【0016】
そして、供給ポンプ43で昇圧されて下流側に圧送された水は、第2プレフィルタ44および第3プレフィルタ45に導入されて遊離残留塩素等が除去される。
【0017】
第2プレフィルタ44には、活性炭フィルタ(図示せず)が収納されており、水に溶解した成分、特に異味や異臭、あるいは、トリハロメタンをはじめとしたハロゲン化炭素を除去するものである。
【0018】
なお、活性炭フィルタの内部に重金属を除去するための重金属除去剤を混入し、当該重金属除去剤に鉛などの有害重金属を吸着させて除去できるようにしてもよい。また、活性炭フィルタで水中の残留塩素を分解除去することで、下流側に細菌が繁殖し易くなるが、これを防止するため、第2プレフィルタ44に、銀などの抗菌性を有する金属を含む抗菌剤を混合するようにしてもよい。
【0019】
また、第3プレフィルタ45は、例えば、孔径1μmの不織布フィルタで構成されており、第1プレフィルタ42では捕捉されないより微細な懸濁物質を捕捉、除去するものである。
【0020】
このように、本実施形態では、第1プレフィルタ42、供給ポンプ43、第2プレフィルタ44および第3プレフィルタ45にて前処理が行われた水が、ナノフィルタ41に導入されるようになっている。すなわち、本実施形態では、第1プレフィルタ42、供給ポンプ43、第2プレフィルタ44および第3プレフィルタ45で前処理部40を形成している。
【0021】
なお、前処理部の構成は、この構成に限定されるものではなく、例えば、ブロック活性炭フィルタや繊維状活性炭フィルタを用い、当該フィルタの孔径を利用して不織布フィルタの機能を兼ね備えるようにしてもよい。
【0022】
そして、前処理部40にて前処理が行われた水はナノフィルタ41に導入され、濃縮水および処理水が生成される。本実施形態では、2つのナノフィルタ41,41が並列に配置されており、それぞれ通水路P2,P3を介して水が導入されるようになっている。
【0023】
なお、ナノフィルタ41の上流側に、ナノフィルタ41への流入量を検知する流量センサ8が設けられている。
【0024】
このナノフィルタ41は、NF膜41aによって有機物(たとえば、トリハロメタンやカビ臭および農薬など)や重金属イオン(たとえば、鉛、クロム、カドミウム、水銀、砒素など)、さらにナトリウムやカルシウムなどの低分子量のイオン成分などを除去するものである。そして、NF膜41aを透過した水は、これらの物質が除去された処理水として、それぞれ処理水路P4,P6を通り、合流水路P9に供給される。また、NF膜41aを透過しない水は、上述の物質が含有された濃縮水として濃縮水通路P5,P7を通り、排水調整弁9が設けられた合流排水路P8から外部に排出される。
【0025】
なお、NF膜41aはRO膜よりも透過孔が大きくなっている。そのため、NF膜41aを用いたナノフィルタ41は、粒子や有機物および重金属を90パーセント以上の高い除去率で除去することができるが、低分子量のイオン成分は透過水に約10〜30パーセント程度残存するという特性を有する。この場合、例えば導電率が300μS/cmの水を透過させた場合、低分子イオンが残存した処理水として、約60μS/cm程度の導電率の処理水が得られる。ただし、逆浸透膜として使用する膜は、このNF膜に限らず、RO膜等の逆浸透膜も用いることが可能である。
【0026】
なお、通水路P9には、処理水の流量を検知する流量センサ10が設けられている。
【0027】
そして、通水路P9の導入された処理水は、吐水カラン32から取り出される。
【0028】
また、本実施形態では、圧力センサ6、供給ポンプ43、開閉弁7,流量センサ8、排水調整弁9、流量センサ10、および操作・報知部31は、それぞれ、配線H1、H2、H3、H4、H5、H6、H7を介して制御装置11に接続され、当該制御装置11により制御されている。
【0029】
ここで、本実施形態では、水処理装置1に、濃縮水の排水流速を変動させる流速変動手段を設けている。
【0030】
具体的には、排水調整弁9を流速変動手段として用いている。すなわち、制御装置11により排水調整弁9の開度を変えることで、濃縮水の排水流速を変動させている。なお、流速変動手段として電磁開閉弁にスリットを設けたものを用い、当該電磁開閉弁のオン・オフにより排水速度を変化させるようにしてもよい。このように、スリットを設けた電磁開閉弁を用いると、より迅速に排水速度を変化させることができるようになる。
【0031】
かかる構成を備える水処理装置1は、以下のように動作する。
【0032】
まず、吐水部3に設けられた操作・報知部31を操作し、浄水生成モードを選択すると、制御装置11により、主通水路P1の開閉弁6が開かれる。そして、水道水が水道水路P0から分岐部D1を通って主通水路P1内に導入され、主通水路P1内の前処理部40、すなわち、第1から第3プレフィルタ42,44,45を通過しながら浄水されるとともに、供給ポンプ43により昇圧される。
【0033】
そして、前処理部40にて浄水された水がナノフィルタ41に導入される。なお、前処理部40にて処理された水の水量が所定値以下であると流量センサ8が検知した場合には、制御装置11が、給水路に異常が生じていると判断し、制御装置11によって開閉弁6が閉じられて供給ポンプ43が停止するとともに、水処理装置1の異常が操作・報知部31に報知される。
【0034】
そして、ナノフィルタ41に導入され、NF膜41aを透過して当該NF膜41aによって水中に溶存する有機物やイオンが取り除かれた処理水(浄水)が、処理水路P4,P6を通り、合流水路P9を介して吐水カラン32に供給されて外部に吐出される。
【0035】
一方、ナノフィルタ41に導入されるが、NF膜41aを透過しない水は、濃縮水として濃縮水通路P5,P7および合流排水路P8を通過し、外部に排出される。
【0036】
このとき、濃縮水の流量が少ない場合には、NF膜41aの原水側表面における水流の線速度が低下し、濃縮水の濃度分極が発生しやすくなる。そのため、NF膜41aの表面に、有機物やイオン等が付着しやすくなり、NF膜41aが目詰まりし、透過水量の低下を招いてしまうという問題がある。また、濃縮水の水量を増加させると、濃度分極の発生は抑制できるが、透過水量が低下してしまう。
【0037】
そこで、本実施形態では、浄水生成時に、制御装置11により排水調整弁9の開度を変えるようにした。具体的には、制御装置11によって、所定時間(数秒から十数秒)、開閉弁9の開度を拡大させ、所定時間(数秒から十数秒)経過後に開閉弁9の開度を縮小させるという一連の動作を繰り返し行うようにしている。このように、開閉弁9の開度を拡大、縮小させることで、高濃度の濃縮水が長時間NF膜41aに接触してしまうのを抑制することができる。また、NF膜41aの原水側表面における水流の線速度が急激に変化するため、NF膜41aの表面に付着した有機物やイオン等を洗い流すことが可能となる。このように、排水調整弁9の開度を変えることで、NF膜41aの表面に有機物やイオン等の成分が付着してしまうのを抑制している。
【0038】
なお、操作・報知部31の操作により通水を停止した場合には、制御装置11により開閉弁7が閉じられ、供給ポンプ43が停止する。
【0039】
以上説明したように、本実施形態によれば、水処理装置1は、NF膜(逆浸透膜)41aを有するナノフィルタ(フィルタ)41から排水される濃縮水の排水流速を変動させる排水調整弁(流速変動手段)9を備えている。そして、制御装置11によって、所定時間(数秒から十数秒)、開閉弁9の開度を拡大させ、所定時間(数秒から十数秒)経過後に開閉弁9の開度を縮小させるという一連の動作を繰り返し行うようにしている。このように、排水調整弁(流速変動手段)9によって濃縮水の排水流速を変動させることで、NF膜41aの原水側表面における水流の線速度を急激に変化させることができ、NF膜41aの表面に付着した有機物やイオン等を洗い流すことが可能となる。
【0040】
そして、NF膜41aの原水側表面における水流の線速度を急激に変化させると、水流の線速度の急激な変化により、NF膜(逆浸透膜)41aが振動する。その結果、NF膜(逆浸透膜)41aに汚れが付着しにくくなり、NF膜(逆浸透膜)41aが目詰まりしてしまうのを抑制することができる。
【0041】
(第2実施形態)
本実施形態にかかる水処理装置1Aは、基本的に上記第1実施形態とほぼ同様の構成をしている。すなわち、水処理装置1Aは、筐体2と、筐体2に取り付けられた吐水部3と、NF膜(逆浸透膜)41aを有するナノフィルタ(少なくとも逆浸透膜を有するフィルタ)41を有し、筐体2内に配置される浄水部4と、を備えている。
【0042】
ここで、本実施形態にかかる水処理装置1Aが、上記第1実施形態と主に異なる点は、水処理装置1Aに、流速変動手段としての気液混合手段を設けた点にある。
【0043】
具体的には、図2に示すように、ナノフィルタ41の上流側で、流量センサ8の下流側に気液混合部12が設けられており、この気液混合部12によってナノフィルタ41に導入される水に気体が混合されるようにしている。
【0044】
この気液混合部12は、電磁開閉弁とエジェクタを組み合わせたものであってもよいし、エアポンプ等の空気を混合させるものであってもよい。また、ガスボンベと電磁開閉弁を組み合わせたものであってもよく、気体の混合の開始と停止が制御できるものであればよい。なお、気液混合部12が周囲の空気を取り込む場合には、空気中のゴミを取り除く除塵手段を設けるようにするのが好ましい。
【0045】
なお、ナノフィルタ41に導入される水に気体を混合すると、気泡の集合・膨張が行われ、気泡がNF膜41aの表面に滞留してしまうおそれがある。このように、NF膜41aの表面に気泡が溜まると、NF膜41aの濾過有効面積が減少してしまい、透過水量の低下を招いてしまうという問題がある。そのため、本実施形態では、NF膜41aの濃縮排水側が上を向くようにナノフィルタ41を配置し、NF膜41aの表面に気泡が溜まるのを抑制できるようにしている。
【0046】
かかる構成を備える水処理装置1Aは、浄水生成時に、制御装置11によって、ナノフィルタ41に導入される水に、気体が間欠的に混合されるようにしている。
【0047】
このように、ナノフィルタ41に導入される水に、気体を間欠的に混合させることで、ナノフィルタ41に導入される見かけ上の水量が増減し、NF膜41aの原水側表面における水流の線速度を急激に変化させることができる。
【0048】
また、気泡を混合させることにより疎水性成分を気泡へ吸着させることができるようになる。さらに、NF膜41a表面近傍での気泡の破裂・膨張により、NF膜41aが振動し、NF膜41a表面に付着した成分を剥離させることができる。
【0049】
このように、本実施形態によっても、上記第1実施形態と同様の作用、効果を奏することができる。
【0050】
(第3実施形態)
本実施形態にかかる水処理装置1Bは、基本的に上記第1実施形態とほぼ同様の構成をしている。すなわち、水処理装置1Bは、筐体2と、筐体2に取り付けられた吐水部3と、NF膜(逆浸透膜)41aを有するナノフィルタ(少なくとも逆浸透膜を有するフィルタ)41を有し、筐体2内に配置される浄水部4と、を備えている。
【0051】
ここで、本実施形態にかかる水処理装置1Bが、上記第1実施形態と主に異なる点は、水処理装置1Bに、流速変動手段としての流路切換手段を設けた点にある。
【0052】
具体的には、図3に示すように、主通水路P1は、ナノフィルタ41の上流側で、分岐部D2を介して通水路P2,P3に分岐され、それぞれに開閉弁13,14が設けられている。
【0053】
そして、通水路P2には、分岐部D3を介して通水路P10,P11が接続されている。この通水路P10,P11は、それぞれナノフィルタ41に接続されている。
【0054】
一方、通水路P3には、分岐部D4を介して通水路P12,P13が接続されており、通水路P12は、ナノフィルタ41の通水路P11とは別の位置に接続されている。
【0055】
そして、通水路P13には、分岐部D5を介して通水路P14,P15が接続されており、通水路P14は、ナノフィルタ41の通水路P10とは別の位置に接続されている。
【0056】
さらに、通水路P15には、分岐部D6を介して通水路P16,合流排水路P8が接続されており、この通水路P15には、開閉弁15が設けられている。
【0057】
また、通水路P16は、分岐部D3を介して通水路P2,P10,P11に接続されており、この通水路P16には、開閉弁9が設けられている。
【0058】
なお、開閉弁13、開閉弁14、開閉弁15は、それぞれ、配線H8、H9、H10を介して制御装置11に接続され、当該制御装置11により制御されている。
【0059】
ここで、本実施形態では、開閉弁9、開閉弁14を制御手段11により開くとともに、開閉弁13、開閉弁15を制御手段11により閉じた状態で、ナノフィルタ41に水を導入させる第1の流路(通水路P12,P14から導入し、通水路P11,P10から排出する流路)と、開閉弁9、開閉弁14を制御手段11により閉じるとともに、開閉弁13、開閉弁15を制御手段11により開いた状態で、ナノフィルタ41に水を導入させる第2の流路(通水路P11,P10から導入し、通水路P12,P14から排出する流路)と、を切り換えるようにしている。
【0060】
このように、制御手段11により、ナノフィルタ41に導入、排出される水(濃縮水)の流路を繰り返し切り換えることで、NF膜41aの原水側表面における水流の方向が変化(反転)する。その結果、濃縮水の濃度分極が発生してしまうのを抑制することができる。
【0061】
また、流路切換時に、ナノフィルタ41内に乱流が発生するため、NF膜41a表面に付着した成分を剥離させることができる。
【0062】
このように、本実施形態によっても、上記第1実施形態と同様の作用、効果を奏することができる。
【0063】
(第4実施形態)
本実施形態にかかる水処理装置1Cは、基本的に上記第1実施形態とほぼ同様の構成をしている。すなわち、水処理装置1Cは、筐体2と、筐体2に取り付けられた吐水部3と、NF膜(逆浸透膜)41aを有するナノフィルタ(少なくとも逆浸透膜を有するフィルタ)41を有し、筐体2内に配置される浄水部4と、を備えている。
【0064】
ここで、本実施形態にかかる水処理装置1Cが、上記第1実施形態と主に異なる点は、水処理装置1Cに、排水される濃縮水をナノフィルタ41の上流側に還流する還流路P16を設けた点にある。
【0065】
具体的には、還流路P16は、一端が、濃縮水通路P5,P7および合流排水路P8に接続されるとともに、他端が主通水路P0の開閉弁7と供給ポンプ43の間に接続されている。そして、この還流路P16にも、開閉弁16が設けられており、開閉弁16は、配線H11を介して制御装置11に接続され、当該制御装置11により制御されている。
【0066】
このように、排水される濃縮水をナノフィルタ41の上流側に還流する還流路P16を設け、濃縮水の還流量を調整することで、濃縮水の排水流速を変動させることができる。
【0067】
このように、本実施形態によっても、上記第1実施形態と同様の作用、効果を奏することができる。
【0068】
また、濃縮水の還流量を調整することで、濃縮水の排水流速を変動させることで、濃縮水の排水量を増大させることなく、NF膜(逆浸透膜)41aが目詰まりしてしまうのを抑制することができる。
【0069】
(第5実施形態)
本実施形態にかかる水処理装置1Dは、基本的に上記第4実施形態とほぼ同様の構成をしている。すなわち、水処理装置1Dは、筐体2と、筐体2に取り付けられた吐水部3と、NF膜(逆浸透膜)41aを有するナノフィルタ(少なくとも逆浸透膜を有するフィルタ)41を有し、筐体2内に配置される浄水部4と、を備えている。
【0070】
そして、水処理装置1Dには、排水される濃縮水をナノフィルタ41の上流側に還流する還流路P16が設けられている。
【0071】
ここで、本実施形態にかかる水処理装置1Dが、上記第4実施形態と主に異なる点は、水処理装置1Dに、排水される濃縮水の水質(pHまたは導電率)を検知する水質センサ(水質検知手段)17が設けられている点にある。
【0072】
本実施形態では、水質センサ(水質検知手段)17は、合流排水路P8の濃縮水通路P5,P7の合流部に設けられている。なお、水質センサ(水質検知手段)17は、他の場所に設けるようにしてもよい。このとき、ナノフィルタ41からの濃縮水の排水路(濃縮水通路P5,P7および合流排水路P8)、または、還流路P16、または、ナノフィルタ41への水の導入路(通水路P2,P3)に設けるようにするのが好適である。
【0073】
また、水質センサ(水質検知手段)17は、配線H12を介して制御装置11に接続され、当該制御装置11により制御されている。
【0074】
本実施形態では、水処理装置1Dに、排水される濃縮水の水質を検知する水質センサ(水質検知手段)17を設けることで、濃縮水が、制御装置11に予め記憶させた所定値を越える導電率を越えた場合(水質センサ17により所定値以上のpHまたは導電率が検知された場合)に、開閉弁16を閉じて濃縮水の還流を停止するようにしている。また、濃縮水が、制御装置11に予め記憶させた所定値以下となった場合には、開閉弁16を開き濃縮水を還流させるようにしている。
【0075】
このように、濃縮水の水質に応じて開閉弁16を開閉し、濃縮水の還流を開始したり停止したりすることでも、濃縮水の排水流速を変動させることができる。
【0076】
すなわち、本実施形態によっても、上記第1実施形態と同様の作用、効果を奏することができる。
【0077】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0078】
1,1A,1B,1C,1D 水処理装置
4 浄水部
9 排水調整弁(流速変動手段)
12 気液混合部(気液混合手段)
17 水質センサ(水質検知手段)
41 ナノフィルタ(フィルタ)
41a NF膜(逆浸透膜)
P16 還流路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
逆浸透膜を有し、処理水を生成するとともに濃縮水を排水するフィルタを備える水処理装置であって、
前記水処理装置は、前記濃縮水の排水流速を変動させる流速変動手段を備えていることを特徴とする水処理装置。
【請求項2】
前記流速変動手段が気液混合手段であることを特徴とする請求項1に記載の水処理装置。
【請求項3】
前記流速変動手段が、前記フィルタへの供給される水の流路を切り換える流路切換手段であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の水処理装置。
【請求項4】
前記水処理装置は、排水される濃縮水を前記フィルタの上流側に還流する還流路を備えていることを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか1項に記載の水処理装置。
【請求項5】
前記水処理装置は、排水される濃縮水の水質を検知する水質検知手段を備えていることを特徴とする請求項1〜4のうちいずれか1項に記載の水処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−255349(P2011−255349A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−133959(P2010−133959)
【出願日】平成22年6月11日(2010.6.11)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】