説明

水処理装置

【課題】電解槽での電解効率の向上を図りつつ、電極にスケールが発生してしまうのを抑制することのできる水処理装置を得る。
【解決手段】ナノ濾過フィルタ11から浄水が供給される浄水路13に、上流側から順に浄水導電率センサ14および電解槽17を設置する。ナノ濾過フィルタ11の濃縮水排水路12に排水調節弁20を設ける。そして、浄水導電率センサ14でナノ濾過フィルタ11を通過した浄水の水質を検知し、検知した値に基づいて濃縮水排水路12の開度を排水調節弁20によって制御し、浄水中に適量のイオンが含まれるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、水処理装置として、逆浸透膜や限外濾過膜を用いて濾過した水を電解槽に導入し、アルカリイオン水と酸性水を生成するようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開H07−284772号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、水を濾過する手段として逆浸透膜を用いた場合、水中のイオン除去率が高くなり、水の導電率が著しく下がってしまうため、電解槽での電解効率が低下してしまうという問題があった。
【0005】
一方、限外濾過膜を用いた場合、水中のイオン除去率が低いため、水の導電率が低下してしまうのを抑制することはできるが、限外濾過膜を透過するイオンの量が多くなるため、電解槽の電極にスケールが発生し易くなってしまうという問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、電解槽での電解効率の向上を図りつつ、電極にスケールが発生してしまうのを抑制することのできる水処理装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明にかかる水処理装置は、逆浸透膜を用いた逆浸透濾過部と、前記逆浸透濾過部で濾過された浄水を少なくとも陰極室に導入してアルカリイオン水を生成する電解槽と、前記逆浸透濾過部に導入される原水の水質を検知する原水水質検知手段および前記逆浸透濾過部を通過した浄水の水質を検知する浄水水質検知手段のうち少なくともいずれか一方を有する水質検知手段と、前記逆浸透濾過部の濃縮水排出口の開度を、前記水質検知手段が検知した値に基づいて調節する排水調節弁と、を備えることを主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、水質検知手段で逆浸透濾過部に導入される原水の水質および逆浸透濾過部を通過した浄水のうちいずれか一方の水質を検知し、検知した値に基づいて逆浸透濾過部の濃縮水排出口の開度を排水調節弁で調節するようにしている。そのため、逆浸透膜を透過する浄水中に含まれるイオンの量が多くなりすぎたり少なくなりすぎたりしてしまうのを抑制することができる。すなわち、逆浸透膜を透過する浄水中に適量のイオンを含めることができるようになる。その結果、電解槽での電解効率の向上を図りつつ、電極にスケールが発生してしまうのを抑制することのできる水処理装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、本発明の第1実施形態にかかる水処理装置の全体構成を模式的に示す図である。
【図2】図2は、本発明の第2実施形態にかかる水処理装置の全体構成を模式的に示す図である。
【図3】図3は、本発明の第3実施形態にかかる水処理装置の全体構成を模式的に示す図である。
【図4】図4は、本発明の第4実施形態にかかる水処理装置の全体構成を模式的に示す図である。
【図5】図5は、本発明の第5実施形態にかかる水処理装置の全体構成を模式的に示す図である。
【図6】図6は、本発明の第6実施形態にかかる水処理装置の全体構成を模式的に示す図である。
【図7】図7は、本発明の第7実施形態にかかる水処理装置の全体構成を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下では、ナノ濾過フィルタに導入される水(第1フィルタ、活性炭フィルタおよび第2フィルタを通過して濾過された水)についても原水として説明する。すなわち、本発明では、ナノ濾過フィルタに導入される水を原水と定義する。
【0011】
また、以下の複数の実施形態には、同様の構成要素が含まれている。よって、以下では、それら同様の構成要素には共通の符号を付与するとともに、重複する説明を省略する。
【0012】
(第1実施形態)
本実施形態にかかる水処理装置1は、図1に示すように、水道管などの原水配水管2に連結した原水導入口3aから水道水などの原水が導入される給水路3を有している。この給水路3には、上流側から順に開閉弁4、第1フィルタ5、活性炭フィルタ6および第2フィルタ7が設置されている。なお、原水は水道水に限られるものではなく、井戸水や溜め水等であってもよい。
【0013】
第1フィルタ5は、原水中の縣濁粒子を除去する機能を有している。活性炭フィルタ6は、原水中の溶存物質、たとえば臭味物質やフミン質などを除去するとともに、残留塩素を除去する機能を有している。第2フィルタ7は、第1フィルタ5で捕捉されない微細な縣濁微粒子を除去するとともに、上流側に設置された活性炭フィルタ6から漏出した微細な活性炭粒子を除去する機能を有している。すなわち、第2フィルタ7の孔径は第1フィルタ5の孔径よりも小さくなっている。
【0014】
なお、第1および第2フィルタ5、7として、コットンなどの繊維を集水管に巻き付けたワインドタイプのものや焼結タイプのものを用いてもよく、細い繊維を積層した繊維タイプのものを用いてもよい。また、活性炭フィルタ6として、粒状活性炭をケースに収納したタイプのものや焼結タイプのものを用いてもよいし、繊維状炭タイプのものを用いてもよい。
【0015】
さらに、第2フィルタ7の下流側には、原水給水弁8、昇圧ポンプ9および原水流量センサ10がこれらの順に設置されている。そして、後述する操作パネル23を操作して給水(アルカリイオン水)を選択し、水処理装置1を稼働させると、原水給水弁8が開弁して給水路3に原水が供給される。
【0016】
そして、原水導入口3aから給水路3内に導入された原水は、第1フィルタ5、活性炭フィルタ6および第2フィルタ7を通過して濾過される。
【0017】
第1フィルタ5、活性炭フィルタ6および第2フィルタ7を通過して濾過された水は、原水給水弁8を通過して昇圧ポンプ9に至る。なお、原水給水弁8は、給水路3の途中のいずれかの位置に設置されていればよいが、第2フィルタ7の下流側に設置されているのが好ましい。こうすれば、原水給水弁8内部への異物の侵入を抑制することができるためである。
【0018】
そして、給水路3の端末は、RO膜やNF膜などの逆浸透膜を用いたナノ濾過フィルタ(逆浸透濾過部)11に接続されている。この場合、RO膜よりもイオン除去率の低いNF膜を逆浸透膜として用いるのが好適である。逆浸透膜としてNF膜を用いることで、浄水中に含まれるイオンの量が極端に少なくなってしまうのを抑制することができ、後述する電解槽17における浄水の電解効率の低下を抑制することができるようになるためである。
【0019】
このナノ濾過フィルタ11は、昇圧ポンプ9によって逆浸透圧をかけ、ナノ濾過フィルタ11に送られた水分の一部を逆浸透膜を透過させることで浄水を生成するようにしたものである。なお、残りの水分、塩類や不純物(この不純物には有機物やイオンなどが含まれる)は、濃縮水として濃縮水排水路(濃縮水排出口)12から排出されるようになっている。
【0020】
濃縮水排水路12は、途中に絞り弁18が設けられた第1排水路12aと、排水調節弁20が設けられた第2排水路12bとに分岐している。なお、排水調節弁20が最小開度時においても全閉とならない構造とすれば、濃縮水排水路12を分岐させない構造とすることができる。
【0021】
そして、ナノ濾過フィルタ11を透過した浄水は浄水路13へと供給される。浄水路13には、上流側から順に浄水導電率センサ(浄水水質検知手段:原水水質検知手段および浄水水質検知手段のうち少なくともいずれか一方を有する水質検知手段)14、浄水流量センサ15および浄水給水弁16が設置されており、さらに下流側となる浄水路13の端末には電解槽17が設置されている。
【0022】
電解槽17は、内部が隔膜17aによって仕切られており、一方が陰極17bを有する陰極室17cと、他方が陽極17dを有する陽極室17eとなっている。そして、浄水路13の端末を分岐させ、一方の分岐路を陰極室17cの入口に連通するとともに、他方の分岐路を陽極室17eの入口に連通させている。
【0023】
電解槽17の陰極室17cおよび陽極室17eにそれぞれ導入された浄水は、陰極17bと陽極17dとの間に電圧を印加することで電気分解され、陰極室17cではアルカリイオン水が生成されるとともに、陽極室17eでは酸性水(次亜水)が生成される。
【0024】
また、陰極室17cの出口にはアルカリイオン水路17fが連通されるとともに、陽極室17eの出口には酸性水路17gが連通されている。そして、陰極室17cで生成されたアルカリイオン水は、アルカリイオン水路17fを通り、水栓部22のアルカリイオン水吐出口22aから外部に吐出されるようになっている。一方、陽極室17eで生成された酸性水(次亜水)は、酸性水路17gを通り水栓部22の酸性水排出口22bから外部に吐出されるようになっている。
【0025】
そして、水栓部22には、水処理装置1の駆動/停止やアルカリイオン水の吐水/停止を入力する操作パネル(操作部)23が設けられている。
【0026】
また、本実施形態では、水処理装置1には制御部24が設けられており、原水給水弁8、昇圧ポンプ9、浄水給水弁16および排水調節弁20が、制御部24から供給される指令信号(電力)により制御されている。また、原水流量センサ10、浄水導電率センサ14および浄水流量センサ15の検知信号および操作パネル22の操作信号が制御部24に送られるようになっている。さらに、電解槽17も制御部24の指令信号によって駆動するようになっており、電解槽17の陰極17bおよび陽極17dには、制御された電圧が印加されるようになっている。
【0027】
また、本実施形態では、浄水導電率センサ(浄水水質検知手段)14がナノ濾過フィルタ11を透過した浄水の導電率を検知することで、浄水の水質(実浄水水質(p))を検知するようにしている。この浄水導電率センサ14によって検知された値は、制御部24に送られる。そして、制御部24が、送られてきた実浄水水質(p)に基づいて排水調節弁20に開度信号を送信し、ナノ濾過フィルタ11の濃縮水排水路12の開度を制御するようにしている。
【0028】
また、本実施形態では、操作ボタンを押す等して操作パネル23を操作することで、予め設定した水質の値の中から1つの値を任意に選択する(例えば、吐水したい処理水のpHを8.0、8.3、8.5等のうちから1つ選択する)ことができるようになっており、この操作パネル23で選択可能な水質の値が制御部24に組み込まれた第1の記憶手段M1に記憶されている。そして、記憶された水質の値に対応する浄水水質(p0:例えば、電解槽17での電気分解によってpH8.5の処理水を生成するのに必要な浄水の導電率)も、制御部24に組み込まれた第1の記憶手段M1に記憶されている。
【0029】
なお、記憶した浄水導電率P0に対して、目的のアルカリイオン水のpHを得るために最適な電解電圧値E0を記憶させるようにしてもよい。
【0030】
さらに、制御部24には、選択した水質の値に対応する記憶された浄水水質(p0)と実浄水水質(p)とを比較する第1の比較演算手段CP1と、第1の比較演算手段CP1の比較結果に基づいて排水調節弁20の開度を調節する第1の制御手段CT1と、が組み込まれている。
【0031】
かかる構成の水処理装置1を、操作パネル23でアルカリイオン水の吐出を選択(所望のpHのアルカリイオン水の吐出を選択)した状態で稼働させると、ナノ濾過フィルタ11を透過した浄水が電解槽17へと供給され、供給された浄水が電解槽17内で電気分解されてアルカリイオン水と酸性水とが生成される。このとき、浄水導電率センサ14は、ナノ濾過フィルタ11を透過した実浄水導電率P(実浄水水質(p))を検知し、そのデータ信号が制御部24に送られる。
【0032】
実浄水導電率Pのデータ信号が制御部24に送られると、選択した水質の値に対応する浄水導電率P0(浄水水質(p0))と検知された実浄水導電率Pとを比較演算手段CP1によって比較する。
【0033】
そして、比較結果がP>P0の場合は、第1の制御手段CT1によって排水調節弁20の開度を大きくすることで、ナノ濾過フィルタ17の濃縮水量を増加させるとともに、浄水流量を減少させて逆浸透膜にかかる圧力を減少させる。なお、ナノ濾過フィルタ17は、浄水流量/原水流量の比が低下すると、イオンの除去率が上昇して浄水の導電率が低下するという特性を有している。したがって、排水調節弁20の開度を大きくすると、実浄水導電率Pが低下し、実浄水導電率Pを予め設定した浄水導電率P0の値に近づけることができるようになる。
【0034】
逆に、比較演算手段CP1による比較結果がP<P0の場合には、排水調節弁20の開度を絞ることで、ナノ濾過フィルタ17の濃縮水量を減少させるとともに、逆浸透膜への圧力を上昇させ、浄水量を増加させる。このように、排水調節弁20の開度を絞ると、ナノ濾過フィルタ17の特性より、実浄水導電率Pが増加し、実浄水導電率Pを予め設定した浄水導電率P0の値に近づけることができるようになる。
【0035】
また、比較結果がP=P0の場合には、排水調節弁20がその開度を維持するように制御する。
【0036】
このように、第1の制御手段CT1により排水調節弁20の開度を制御することで浄水の導電率がP=P0となるように水質を調整することが可能となる。そして、所定の導電率となった浄水の流量を浄水流量センサ15が検知すると、第1の制御手段CT1によって、排水調節弁20が現在の開度を維持するように制御される。
【0037】
この一連の動作により、電解槽17には、ほぼ一定の導電率の浄水が導入されることとなり、陰極17bと陽極17dとの間に印加した電圧によって所定の電流が流れることとなる。そして、陰極室17cには所望のpH(選択した水質の値)のアルカリイオン水が安定して生成されることとなる。そして、このアルカリイオン水が水栓部22のアルカリイオン水吐出口22aから吐出されることとなる。
【0038】
なお、稼働状態にある水処理装置1は、操作パネル23でアルカリイオン水の吐出停止を選択すると、制御部24からの信号により、原水給水弁8および浄水給水弁16を閉弁するとともに、昇圧ポンプ9を停止する。このとき、排水調節弁20は、所定時間全開状態を維持して逆浸透膜にかかる圧力を常圧に戻し、その後に閉弁するようにしている。
【0039】
また、電解槽17の両電極17b、17dへの電圧の印加も停止する。なお、この電圧停止時に、所定時間だけ逆の電位を両電極17b、17dに印加して逆電解を行わせるようにすれば、陰極17bに付着したスケールを除去することができるようになる。
【0040】
さらに、水処理装置1を長時間使用しなかった場合には、通水開始時に電解槽17を逆電解の状態で所定時間通水し、電乾燥17よりも下流の浄水路13を酸性水中に存在する次亜塩素酸で殺菌洗浄するようにするのが好ましい。
【0041】
さらに、ナノ濾過フィルタ11は、逆浸透膜の破損などによって高導電率の水が浄水路13に侵入した場合、これを浄水導電率センサ14で検知させ、制御部24によって浄水給水弁16を閉弁するとともに、電解槽17への通電を停止させるようにするのが好ましい。
【0042】
また、電解槽17の電極17b、17dへの通電は、排水調節弁20の開度調節により、浄水導電率センサ14が所定の導電率を検知してから行うようにするのが好ましい。
【0043】
また、排水調節弁20の開度を最大または最小にした場合でも実浄水導電率Pが選択した水質の値に対応する浄水導電率P0に該当しない場合には、制御部24が水質異常と判断して、使用者に水質異常を報知する報知手段を水栓部22の操作パネル23近傍に設けるようにしてもよい。
【0044】
以上、説明したように、本実施形態では、ナノ濾過フィルタ11にイオン除去率の高い逆浸透膜を用い、浄水導電率センサ(浄水水質検知手段)14でナノ濾過フィルタ(逆浸透濾過部)11を通過した浄水の水質を検知し、検知した値に基づいてナノ濾過フィルタ(逆浸透濾過部)11の濃縮水排水路(濃縮水排出口)12の開度を排水調節弁20で調節するようにしている。
【0045】
そのため、有機物やコロイド粒子を効果的に取り除きつつ、逆浸透膜を透過する浄水中に含まれるイオンの量が多くなりすぎたり少なくなりすぎたりしてしまうのを抑制することができる。すなわち、逆浸透膜を透過する浄水中に適量のイオンを含めることができるようになる。
【0046】
このように、有機物やコロイド粒子を効果的に取り除きつつ、浄水中に適量のイオンを含ませるようにすることで、適量のイオンを含む被電解水を電解槽17にて電気分解させることができる。その結果、電解槽17での電解効率の向上を図ることができ、所定の水質の電解水を得やすくすることができる。また、限外濾過膜を用いて浄水を生成した場合に比べ、イオンの透過量が増加してしまうのを抑制することもできるため、電解槽17の陰極17bにスケールが発生してしまうのを抑制することも可能となる。
【0047】
以上より、本実施形態によれば、電解槽17での電解効率の向上を図りつつ、電極(特に、陰極17b)にスケールが発生してしまうのを抑制することのできる水処理装置1を得ることができる。
【0048】
また、本実施形態では、操作パネル(操作部)23が、予め設定した水質を任意に選択できるようになっており、この操作パネル23で選択可能な水質が制御部24に組み込まれた第1の記憶手段M1に記憶されている。そして、記憶された水質に対応する浄水導電率P0(浄水水質(p0))も、制御部24に組み込まれた第1の記憶手段M1に記憶されている。
【0049】
そして、制御部24に第1の比較演算手段CP1および第1の制御手段CT1を設け、選択した水質の値に対応する記憶された浄水導電率P0(浄水水質(p))を呼び出し、当該呼び出された浄水導電率P0(浄水水質(p))と検知された実浄水導電率P(実浄水水質(p))とを比較演算手段CP1によって比較している。具体的には、実浄水導電率Pが浄水導電率P0よりも大きい場合には、第1の制御手段CT1によって排水調節弁20の開度を大きくし、実浄水導電率Pが浄水導電率P0よりも小さい場合には、第1の制御手段CT1によって排水調節弁20の開度を絞るようにしている。
【0050】
すなわち、本実施形態では、逆浸透膜の特性を利用して排水調節弁20の開度を調節することで、実浄水導電率Pが選択した水質の値に対応する記憶された浄水導電率P0に近づくように制御している。
【0051】
その結果、実浄水導電率Pをほぼ一定の値となるように制御することができ、ほぼ一定のpHのアルカリイオン水および酸性水をより安定して生成することができるようになる。このとき、浄水中の溶存イオンの量(濃度)を選択した水質を得るのに最適な量(濃度)とすることができ、電解槽17での電解効率の向上を図りつつ、電極(特に、陰極17b)にスケールが発生してしまうのを抑制することのできる水処理装置1を得ることができるようになる。
【0052】
また、操作パネル23によって予め設定した水質を任意に選択することで、所望の水質を簡単に得ることができるようになり、水処理装置1の使い勝手をより向上させることができる。
【0053】
なお、予め浄水導電率P0に対する電解電圧値E0が記憶されている場合には、制御手段24が浄水導電率P0を呼び出す際に同時に電解電圧値E0を呼び出し、実際に電極17b、17dに印加する実電解電圧値Eを、呼び出した電解電圧値E0に設定する。こうすれば、さらに正確なpHのアルカリイオン水を生成することが可能となる。
【0054】
(第2実施形態)
本実施形態にかかる水処理装置1Aは、図2に示すように、基本的に上記第1実施形態と同様の構成を備えている。
【0055】
すなわち、本実施形態の水処理装置1Aも、第1フィルタ5、活性炭フィルタ6および第2フィルタ7を通過して濾過された原水をナノ濾過フィルタ(逆浸透濾過部)11に供給し、逆浸透膜を透過した浄水を電解槽17に供給して電気分解を行うことで、アルカリイオン水および酸性水を得るようにしたものである。
【0056】
ここで、本実施形態の水処理装置1Aが、上記第1実施形態の水処理装置1と主に異なる点は、給水路3の原水流量センサ10とナノ濾過フィルタ11との間に、ナノ濾過フィルタ11に導入される原水の水質を検知する原水導電率センサ(原水水質検知手段:原水水質検知手段および浄水水質検知手段のうち少なくともいずれか一方を有する水質検知手段)25を設け、原水導電率センサ25で検知した実原水水質(t)に基づいて浄水の水質を制御するようにしたことにある。
【0057】
すなわち、本実施形態の制御部24には、予め設定した原水水質(t0)を記憶するとともに、設定された原水水質(t0)に対応する浄水水質(p0)を記憶する第2の記憶手段M2と、実原水水質(t)と原水水質(t0)とを比較するとともに、実浄水水質(p)と予め記憶された浄水水質(p0)とを比較する第2の比較演算手段CP2と、この第2の比較演算手段CP2の比較結果に基づいて排水調節弁20を開度調節する第2の制御手段CT2と、が設けられている。
【0058】
本実施形態では、予め設定した複数の原水導電率T0(原水水質(t0))を記憶するとともに、それぞれの原水導電率T0に対応する浄水導電率P0(浄水水質(p0))を定め、それらを制御部24内の第2の記憶手段M2に記憶させるようにしている。このとき、実際に使用されることが想定される地域の原水導電率T0の範囲において、所定の範囲を設けた複数の原水導電率T0を設定しておくことが好ましい。この原水導電率T0に対し、ナノ濾過フィルタ11によって生成可能な浄水導電率P0は予め実験などによって予測することが可能であり、この予測される浄水導電率P0の中で最も効率良くアルカリイオン水を生成可能な浄水導電率P0をそれぞれの原水導電率T0に対して記憶させるようにするのが好ましい。
【0059】
さらに、記憶した浄水導電率P0に対して、目的のアルカリイオン水のpHを得るために最適な電解電圧値E0を記憶させるようにしてもよい。
【0060】
このような水処理装置1Aにおいて、水栓部22の操作パネル23によってアルカリイオン水を選択し、水処理装置1を稼働させた場合には、制御部24が原水給水弁8を開弁するとともに昇圧ポンプ9を駆動させ、電解槽17の両電極17b、17d間に所定の電圧を印加する。
【0061】
このとき、原水導電率センサ25は、第1フィルタ5、活性炭フィルタ6および第2フィルタ7で濾過されナノ濾過フィルタ11に導入される直前の原水の導電率(実原水導電率T)を検知する。
【0062】
そして、第2の比較演算手段CP2は、検知された実原水導電率Tと予め記憶された原水導電率T0とを比較し、一致する原水導電率T0を選択するとともに、これに対応する値として記憶された浄水導電率P0を呼び出す。そして、この呼び出した浄水導電率P0と浄水導電率センサ14で検知した実浄水導電率Pとを比較する。
【0063】
第2の制御手段CT2は、第2の比較演算手段CP2の演算結果を受けて、P>P0の場合には、排水調節弁20の開度を大きくする。これにより、ナノ濾過フィルタ11の濃縮水の排水量が増加するとともに浄水流量が減少し、逆浸透膜にかかる圧力が減少し、上記第1実施形態で述べたように、イオン除去率が上昇して浄水の導電率が低下する。
【0064】
逆に、P<P0の場合には、排水調節弁20の開度を絞る。これにより、ナノ濾過フィルタ17の濃縮水量が減少して逆浸透膜への圧力が上昇するため、浄水量が増加し、イオン除去率が低下して浄水の導電率が上昇する。比較結果がP=P0の場合も同様に、排水調節弁20がその開度を維持するように制御する。
【0065】
この一連の動作により、実浄水導電率Pは記憶された浄水導電率P0となり、所望の導電率となった浄水が、所定の電圧を電極17b、17d間に印加した電解槽17を通過する際に、所定のpHのアルカリイオン水が生成され、このアルカリイオン水が水栓部22のアルカリイオン水吐出口22aから吐出することとなる。
【0066】
以上の本実施形態によっても、上記第1実施形態と同様の作用、効果を奏することができる。
【0067】
また、本実施形態によれば、ナノ濾過フィルタ11に導入される原水の水質を検知する原水導電率センサ25を設け、第2の記憶手段M2、第2の比較演算手段CP2および第2の制御手段CT2によって排水調節弁20の開度を調節するようにしている。
【0068】
すなわち、原水導電率センサ25が、ナノ濾過フィルタ11に導入される直前の原水の導電率(実原水導電率T)を検知するようにしている。
【0069】
そして、第2の比較演算手段CP2が、検知された実原水導電率Tと予め記憶された原水導電率T0とを比較し、一致する原水導電率T0を選択するとともに、これに対応する値として記憶された浄水導電率P0を呼び出し、この呼び出した浄水導電率P0と浄水導電率センサ14で検知した実浄水導電率Pとを比較するようにしている。
【0070】
そして、呼び出した浄水導電率P0と浄水導電率センサ14で検知した実浄水導電率Pとの比較結果に基づいて、排水調節弁20の開度を調節するようにしている。
【0071】
そのため、選択した水質に応じてナノ濾過フィルタ11の濃縮水排出量を調節することとなり、浄水中の溶存イオンの量(濃度)を選択した水質を得るのに最適な量(濃度)とすることができる。
【0072】
このように、本実施形態によれば、有機物などを含まずイオンを含む被電解水(浄水)が、電解するための最適な浄水水質となるように制御することが容易になり、より正確に所望の水質のアルカリイオン水および酸性水を得ることができるようになる。
【0073】
このとき、実際に使用されることが想定される地域の原水導電率T0の範囲において、所定の範囲を設けた複数の原水導電率T0を設定するようにすれば、原水水質に地域差があったとしても、それぞれの地域で水処理装置1Aを使用することができるようになり、水処理装置1Aの設置場所に汎用性をもたせることができるという利点がある。
【0074】
なお、予め浄水導電率P0に対する電解電圧値E0が記憶されている場合には、制御手段24が浄水導電率P0を呼び出す際に同時に電解電圧値E0を呼び出し、実際に電極17b、17dに印加する実電解電圧値Eを、呼び出した電解電圧値E0に設定する。こうすれば、さらに正確なpHのアルカリイオン水を生成することが可能となる。
【0075】
(第3実施形態)
本実施形態にかかる水処理装置1Bは、図3に示すように、基本的に上記第2実施形態と同様の構成を備えている。
【0076】
すなわち、本実施形態の水処理装置1Bも、第1フィルタ5、活性炭フィルタ6および第2フィルタ7を通過して濾過された原水をナノ濾過フィルタ(逆浸透濾過部)11に供給し、逆浸透膜を透過した浄水を電解槽17に供給して電気分解を行うことで、アルカリイオン水および酸性水を得るようにしたものである。
【0077】
ここで、本実施形態の水処理装置1Bが、上記第2実施形態の水処理装置1Aと主に異なる点は、制御部24に、予め設定した原水水質(t0)を記憶するとともに、設定した原水水質(t0)に対応した排水調節弁20の開度A0を記憶する第3の記憶手段M3と、実原水水質(t)と予め記憶された原水水質(t0)とを比較する第3の比較演算手段CP3と、実原水水質(t)に該当する記憶された原水水質(t0)に対応した排水調節弁20の開度A0を第3の記憶手段CP3から呼び出し、その開度A0に基づいて排水調節弁20の実開度Aを調節する第3の制御手段CT3と、を設けたことにある。
【0078】
すなわち、本実施形態の水処理装置1Bでは、予め設定した複数の原水導電率T0(原水水質(t0))に対応する排水調節弁20の開度A0を定め、制御部24内の第3の記憶手段M3に記憶させておく。このとき、実際に使用されることが想定される地域の原水導電率T0の範囲において、所定の範囲を設けた複数の原水導電率T0を設定しておくことが好ましい。それぞれの原水導電率T0に対し、ナノ濾過フィルタ11によって所望の浄水導電率P0となるための排水調節弁20の開度A0は、予め実験などによって予測することが可能である。
【0079】
本実施形態では、記憶されたそれぞれの原水導電率T0に対し、最適の浄水導電率Pbを実現させる排水調節弁20の開度Abを記憶させるようにしている。さらに、目的のアルカリイオン水のpHを得るために最適な電解電圧値E0を記憶させるようにしてもよい。
【0080】
そして、水栓部22の操作パネル23によってアルカリイオン水を選択した場合には、制御部24が原水給水弁8を開弁するとともに昇圧ポンプ9を駆動させて、電解槽17の両電極17b、17d間に所定の電圧値を印加する。これにより、水処理装置1Bが稼働し、原水導電率センサ25は、第1フィルタ5、活性炭フィルタ6および第2フィルタ7を通過して濾過され、ナノ濾過フィルタ11に導入される直前の原水の導電率(実原水導電率T)を検知する。
【0081】
第3の比較演算手段CP3は、検知された実原水導電率Tと予め記憶された原水導電率T0とを比較し、実原水導電率Tに対応する原水導電率T0を選択し、選択した原水導電率T0に対応する排水調節弁20の開度A0を呼び出す。そして、第3の制御手段CT3により、ナノ濾過フィルタ11の排水調節弁20の開度Aを、呼び出した排水調節弁20の開度A0となるように信号を送って動作させる。
【0082】
この一連の動作により、ナノ濾過フィルタ11を通過した浄水の水質が記憶された浄水導電率P0となり、当該浄水が所定の電圧が電極17b、17d間に印加された電解槽17を通過する際に、所定のpHのアルカリイオン水が生成され、水栓部22のアルカリイオン水吐出口22aから吐出されることとなる。
【0083】
なお、本実施形態では、浄水導電率センサ14が設けられた水処理装置1Bを例示したが、浄水導電率センサ14は設けなくてもよい。また、浄水導電率センサ14を逆浸透膜の交換時期や故障等を判定するために用いるようにしてもよい。すなわち、それぞれの原水導電率T0に対応する排水調節弁20の開度A0とした際に、予測される浄水導電率P0を所定の範囲を有するように第3の記憶手段に記憶し、浄水導電率センサ14が検知した実浄水導電率Pが記憶された浄水導電率P0の範囲に該当しない場合には、逆浸透膜の交換や洗浄が必要である旨を、報知手段等を設けることで使用者に知らせるようにしてもよい。
【0084】
以上の本実施形態によっても、上記第2実施形態と同様の作用、効果を奏することができる。
【0085】
また、本実施形態によれば、制御部24に第3の記憶手段M3、第3の比較演算手段CP3および第3の制御手段CT3を設けている。そのため、原水導電率センサ25によって検知された実原水導電率Tに基づいて排水調節弁20の開度Aを調節し、浄水の水質が予測される浄水導電率P0となるようにすることができる。すなわち、原水導電率センサ25によって実原水導電率Tを検知するだけで、最適の排水調節弁20の開度Aに調節して、被電解水中の有機物やイオンを最適な濃度となるようにすることが可能となる。したがって、より短時間かつ高精度に、電解槽17に導入される浄水を最適な浄水水質となるように制御することが可能となり、より正確に所定の水質の電解水を得ることができるようになる。
【0086】
なお、本実施形態にあっても、予め浄水導電率P0に対する電解電圧値E0が記憶されている場合には、制御手段24が浄水導電率P0を呼び出す際に同時に電解電圧値E0を呼び出し、実際に電極17b、17dに印加する実電解電圧値Eを、呼び出した電解電圧値E0に設定する。こうすれば、さらに正確なpHのアルカリイオン水を生成することが可能となる。
【0087】
また、上記第1実施形態の水処理装置1にあっても本実施形態を適用することが可能である。
【0088】
(第4実施形態)
本実施形態にかかる水処理装置1Cは、図4に示すように、基本的に上記第2実施形態と同様の構成を備えている。
【0089】
すなわち、本実施形態の水処理装置1Cも、第1フィルタ5、活性炭フィルタ6および第2フィルタ7を通過して濾過された原水をナノ濾過フィルタ(逆浸透濾過部)11に供給し、逆浸透膜を透過した浄水を電解槽17に供給して電気分解を行うことで、アルカリイオン水および酸性水を得るようにしたものである。
【0090】
ここで、本実施形態の水処理装置1Cが、上記第2実施形態の水処理装置1Aと主に異なる点は、ナノ濾過フィルタ11の濃縮水の一部を循環させるようにしたことにある。
【0091】
すなわち、本実施形態の水処理装置1Cは、ナノ濾過フィルタ11の濃縮水の一部をナノ濾過フィルタ11の上流側に還元する循環路26と、この循環路26に設けられ、濃縮水を循環させる循環ポンプ27と、を備えている。
【0092】
循環路26は、濃縮水排水路12の第1排水路12aと第2排水路12bの分岐部(若しくはこの分岐部よりも上流側)と、ナノ濾過フィルタ11の上流側の給水路3(本実施形態では、原水流量センサ10と原水導電率センサ25との間)とを連通している。また、循環ポンプ27は、循環路26の途中に設けられており、制御部24から供給される指令信号(電力)により制御されるようになっている。
【0093】
本実施形態では、循環路26に、図示せぬ濃縮水流量センサを設け、循環させる濃縮水量を制御部24にフィードバックできるようにするのが好ましい。こうすれば、濃縮水の循環流量をより精度良く制御することができるようになる。なお、濃縮水流量センサに代えて、循環ポンプ27の駆動電流によってポンプ負荷を制御部24にて検知し、これにより濃縮水の循環流量を推定するようにしてもよい。こうすれば、濃縮水流量センサを廃止することができる。
【0094】
また、循環路26には、給水管3から原水が濃縮水排水路12に逆流するのを阻止するために逆止弁を設けておくのが好ましい。
【0095】
本実施形態の水処理装置1Cの基本的動作は、上記第2実施形態で示した水処理装置1Aと同様であり、制御部24は、原水導電率センサ25で検知した実原水導電率Tと予め記憶された原水導電率T0とを比較し、一致する原水導電率T0を選択するとともに、これに対応する値として記憶された浄水導電率P0を呼び出し、この呼び出した浄水導電率P0と浄水導電率センサ14で検知した実浄水導電率Pとを比較するようにしている。
【0096】
ここで、本実施形態では、循環路26と循環ポンプ27が設けられており、P>P0の場合には、循環ポンプ27を起動させて濃縮水をナノ濾過フィルタ11の上流側に還元するようにしている。その結果、ナノ濾過フィルタ11の逆浸透膜表面の見掛け上の流量が増加するため、逆浸透膜表面での除去成分の濃度が低い状態となる。なお、ナノ濾過フィルタ11は、逆浸透膜表面近傍での除去成分濃度が低いほど浄水の導電率が低下するという特性を有している。したがって、循環ポンプ27を起動させると、逆浸透膜表面での除去成分の濃度が低くなり、実浄水導電率Pが低下して実浄水導電率Pを予め設定した浄水導電率P0の値に近づけることができるようになる。
【0097】
また、循環ポンプ27の吐水能力が限界まで到達したことを、循環ポンプ27の電流値により制御部24が検知した場合には、制御部24は循環ポンプ27の吐水量を維持させつつ排水調節弁20を開弁するようにしている。こうすれば、濃縮水の排水量が増加するため、ナノ濾過フィルタ11の逆浸透膜に作用する逆浸透圧が低下し、透過する浄水量が減少する。そして、上述したように、ナノ濾過フィルタ11は、浄水流量/原水流量の比が低下すると、イオン除去率が増加して浄水の導電率が低下するという特性を有している。したがって、循環ポンプ27の吐水量を維持させつつ排水調節弁20を開弁すれば、透過する浄水量が減少するため、実浄水導電率Pが低下して実浄水導電率Pを予め設定した浄水導電率P0の値に近づけることができるようになる。
【0098】
逆に、P<P0の場合には、排水調節弁20の開度を絞るようにしている。こうすれば、濃縮水の排水量が減少するため、ナノ濾過フィルタ11の逆浸透膜に作用する逆浸透圧が上昇し、透過する浄水量が増加する。そして、ナノ濾過フィルタ11は、浄水流量/原水流量の比が上昇すると、イオン除去率が低下して浄水の導電率が上昇するという特性を有している。したがって、排水調節弁20の開度を絞れば、ナノ濾過フィルタ11の浄水流量/原水流量の比が上昇し、実浄水導電率Pが上昇して実浄水導電率Pを予め設定した浄水導電率P0の値に近づけることができるようになる。
【0099】
また、P=P0の場合には、循環ポンプ27の吐出量と排水調節弁20の開度を維持するように制御する。この場合、原水導電率T0に対する循環路26を流れる濃縮水の循環流量C0を予め制御部24に記憶させておくようにするのが好ましい。
【0100】
以上の本実施形態によっても、上記第2実施形態と同様の作用、効果を奏することができる。
【0101】
また、本実施形態によれば、濃縮水の循環路26と循環ポンプ27とを設けたため、濃縮水の循環流量と排水量を調節することが可能となり、予め記憶された浄水導電率P0になるように被電解水中の有機物やイオンを最適な濃度まで低減させることができる。したがって、より幅広い水質に対して、濃縮水の排水量を著しく増加させることなく、適量のイオンを含む被電解水を電解するための最適な浄水の水質に制御することが可能となり、より正確に所望の水質の電解水を得ることができる。
【0102】
なお、予め原水導電率T0に応じて目的の浄水導電率P0を得るための循環ポンプ27の循環流量C0に応じた駆動電圧値Pv0を記憶させるようにすれば、原水導電率センサ25により検知した実原水導電率Tに応じて、記憶させた循環流量C0により短時間で合わせることができるようになる上、より迅速に目的の浄水導電率P0となるようにすることができる。
【0103】
また、上記第1および第3実施形態の水処理装置1,1Bにあっても、本実施形態を適用することが可能である。
【0104】
(第5実施形態)
本実施形態にかかる水処理装置1Dは、図5に示すように、基本的に上記第4実施形態と同様の構成を備えている。
【0105】
すなわち、本実施形態の水処理装置1Dも、第1フィルタ5、活性炭フィルタ6および第2フィルタ7を通過して濾過された原水をナノ濾過フィルタ(逆浸透濾過部)11に供給し、逆浸透膜を透過した浄水を電解槽17に供給して電気分解を行うことで、アルカリイオン水および酸性水を得るようにしたものである。
【0106】
ここで、本実施形態の水処理装置1Dが、上記第4実施形態の水処理装置1Cと主に異なる点は、電解槽17で浄水の水質を検知するようにしたことにある。
【0107】
すなわち、本実施形態では、上記第4実施形態で設けられていた浄水導電率センサ14を廃止して、電解槽17の陰極17bと陽極17dとの間に掛かる電流値Iで実浄水導電率Pを検知するようにしている。
【0108】
具体的には、制御部24が使用開始時から電解槽17の電極17b、17d間に所定電圧値Es0を印加し、そのときの電流値Iを検知することで、実浄水導電率Pを検知するようにしている。そして、制御部24は、検知された実浄水導電率Pが予め記憶された浄水導電率P0となったことを検知すると、記憶させた浄水導電率P0に対応する電解電圧値E0を電極17b、17dに印加する。
【0109】
以上の本実施形態によっても、上記第4実施形態と同様の作用、効果を奏することができる。
【0110】
また、本実施形態によれば、電解槽17に所定の電圧値を印加したときの電極17b、17d間の電流値Iにより実浄水導電率Pを検知できるため、より簡素な構成で適量のイオンを含む被電解水を電解するための最適な浄水の水質に制御が可能となる。
【0111】
また、上記第1〜第3実施形態の水処理装置1、1A、1Bにあっても、本実施形態を適用することが可能である。
【0112】
(第6実施形態)
本実施形態にかかる水処理装置1Eは、図6に示すように、基本的に上記第2実施形態と同様の構成を備えている。
【0113】
すなわち、本実施形態の水処理装置1Eも、第1フィルタ5、活性炭フィルタ6および第2フィルタ7を通過して濾過された原水をナノ濾過フィルタ(逆浸透濾過部)11に供給し、逆浸透膜を透過した浄水を電解槽17に供給して電気分解を行うことで、アルカリイオン水および酸性水を得るようにしたものである。
【0114】
ここで、本実施形態の水処理装置1Eが、上記第2実施形態の水処理装置1Aと主に異なる点は、浄水伝導率センサ14により検知された実浄水導電率Pが予め設定された水質(所望のpHを得ることができる導電率)の範囲内となった際に、アルカリイオン水の水質(例えば、pHなど)が予め設定した所定の条件を満足したことを報知する水質報知手段28を設けたことにある。
【0115】
本実施形態では、水処理装置1Eの水栓部22に、ブザーなどの水質報知手段28を設けている。
【0116】
そして、水処理装置1Eは、浄水導電率P0が所定の範囲を設けて記憶されており、浄水導電率センサ14(上記第5実施形態に示す電解槽17の電極17b、17dでもよい)により検知される実浄水導電率Pが浄水導電率P0の範囲に該当したとき、制御部24が水質報知手段28を作動させるようになっている。こうして、水質が変化して所望の水質になったことを水処理装置1Eの使用者に知らせるようにしている。
【0117】
なお、水質報知手段28は、ブザーのように聴覚的に報知するもの以外に、LEDなどの視覚的に報知するもの、または聴覚と視覚の両方で報知するものであってもよい。
【0118】
また、本実施形態では、浄水導電率センサ14からアルカリイオン水吐出口22aまでの浄水路内容積Q0を予め求めて制御部24に記憶させておき、浄水導電率センサ14が報知する実浄水導電率Pが浄水導電率P0の範囲に入った後の積算流量Qを、浄水流量センサ15が検知した流量から演算して求め、積算流量Qが浄水路内容積Q0以上になったときに水質報知手段28を作動させるようにするのがより好ましい。
【0119】
ナノ濾過フィルタ11に用いられる逆浸透膜では、装置停止状態の止水時には、逆浸透膜を挟んだ透過側の浄水および濃縮側の濃縮水内に溶存する成分が徐々に拡散して同一濃度になろうとする。したがって、長時間止水状態が継続した場合、濃縮側の水中に濃縮された各種成分のうち、特に透過が比較的容易なイオン成分が透過側で高くなってしまう。このため、本来除去されるはずのイオンが高濃度で透過側に流出し、イオン濃度が高い浄水となってしまう。
【0120】
そこで、浄水導電率センサ14により検知した実浄水導電率Pが、予め記憶された浄水導電率P0になった後、少なくとも浄水導電率センサ14から水栓部22のアルカリイオン水吐出口22aまでの内部容積以上の水量が放出されるまでの時間が経過した後、または、浄水流量センサ15で検知された積算流量値の水量が、浄水導電率センサ14からアルカリイオン水吐出口22aまでの内部容積が放出されたことを検知した後に、使用者にアルカリイオン水の水質が使用可能状態になったことを水質報知手段28で報知するようにするのが好ましい。
【0121】
以上の本実施形態によっても、上記第2実施形態と同様の作用、効果を奏することができる。
【0122】
また、本実施形態によれば、水質報知手段28を設けて、浄水水質が予め設定した所定の条件、つまり、アルカリ吐水口22aから使用者が選択した本来の水質になるまで放出する条件を達した後に、使用可能であることを報知できるようにしている。そのため、より簡素な構成で使用者が目的の水質になる前の水を誤って使用してしまうのを抑制することができ、目的の水質の水をより安定して得ることができる。
【0123】
また、上記第1および第3〜第5実施形態の水処理装置1、1B、1C、1Dにあっても、本実施形態を適用することが可能である。
【0124】
(第7実施形態)
本実施形態にかかる水処理装置1Fは、図7に示すように、基本的に上記第2実施形態と同様の構成を備えている。
【0125】
すなわち、本実施形態の水処理装置1Fも、第1フィルタ5、活性炭フィルタ6および第2フィルタ7を通過して濾過された原水をナノ濾過フィルタ(逆浸透濾過部)11に供給し、逆浸透膜を透過した浄水を電解槽17に供給して電気分解を行うことで、アルカリイオン水および酸性水を得るようにしたものである。
【0126】
ここで、本実施形態の水処理装置1Fが、上記第2実施形態の水処理装置1Aと主に異なる点は、浄水の水質の制御を電解槽17の電解電圧値E0で行うようにしたことにある。
【0127】
すなわち、本実施形態の水処理装置1Fでは、制御部24に、予め設定した浄水水質P0を記憶するとともに、それぞれの浄水水質P0に対応する電解槽17の電解電圧値E0を記憶する第4の記憶手段M4と、浄水導電率センサ14で検知された実浄水水質Pと予め記憶された浄水水質P0とを比較演算する第4の比較演算手段CP4と、浄水導電率センサ14で検知された実浄水水質Pと一致する予め記憶された浄水水質P0に対応する電解電圧値E0を電解槽17の電極17b、17dに印加する第4の制御手段CT4と、が設けられている。
【0128】
本実施形態では、予め設定した複数の原水導電率T0(原水水質(t0))に対する電解槽17の電解電圧値E0を定め、制御部24内の第4の記憶手段M4に記憶させておく。このとき、実際に使用されることが想定される地域の原水導電率T0の範囲において、所定の範囲を設けた複数の電解電圧値E0を設定しておくのが好ましい。この原水導電率T0に対し、ナノ濾過フィルタ11によって生成可能な浄水導電率P0は予め実験などによって予測可能であり、この予測される浄水導電率P0の中で最も最適なpHのアルカリイオン水を生成可能な電解電圧値E0を、それぞれの原水導電率T0に対して記憶させるようにしている。
【0129】
このような水処理装置1Fにおいて、水栓部22の操作パネル23によってアルカリイオン水を選択した場合には、制御部24が原水給水弁8を開弁するとともに昇圧ポンプ9を駆動させて、電解槽17の両電極17b、17d間に所定の電圧値を印加する。このとき、原水導電率センサ25は、第1フィルタ5、活性炭フィルタ6および第2フィルタ7で濾過されてナノ濾過フィルタ11に導入される直前の原水の導電率(実原水導電率T)を検知する。
【0130】
第4の比較演算手段CP4は、検知された実原水導電率Tと予め記憶された原水導電率T0とを比較し、一致する原水導電率T0を選択するとともに、これに対応する値として記憶された電解電圧値E0を呼び出す。そして、呼び出した電解電圧値E0に対応する浄水伝導率P0と浄水導電率センサ14で検知した実浄水導電率Pとを比較する。
【0131】
第4の制御手段CT4は、第4の比較演算手段CP4の演算結果を受けて、P>P0の場合には、電解電圧値E0を高めに設定する。これにより、電解槽17で生成されるアルカリイオン水のpHは上昇する。逆に、P<P0の場合には、電解電圧値E0を低めに設定する。これにより、電解槽17で生成されるアルカリイオン水のpHは低下する。そして、比較結果がP=P0の場合には、現在の電解電圧値E0を維持するように制御する。
【0132】
この一連の動作により、実浄水導電率Pが記憶された浄水導電率P0に近づき、電極17b、17d間に呼び出された電解電圧値E0が印加された電解槽17を浄水が通過する際に、所定のpHのアルカリイオン水を生成し、水栓部22のアルカリイオン水吐出口22aから吐出させることとなる。
【0133】
以上の本実施形態によっても、上記第2実施形態と同様の作用、効果を奏することができる。
【0134】
また、本実施形態によれば、選択された水質に応じて電解電圧値E0を調節するようにしているため、電解槽17で生成されるアルカリイオン水のpH制御が可能となり、最適なpHに調整されたアルカリイオン水をアルカリイオン水吐出口22aから吐出させることができるようになる。
【0135】
また、上記第1および第3〜第6実施形態の水処理装置1、1B、1C、1D、1Eにあっても、本実施形態を適用することが可能である。こうすれば、各実施形態の機能と合わせてアルカリイオン水のpHをより最適に制御することができるようになる。
【0136】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態には限定されず、種々の変形が可能である。
【0137】
例えば、上記各実施形態では、水質検知手段として導電率を検知するものを例示したが、これに限らず、総溶解固形分(TDS:Total Dissolved Solids)等、他の水質を検知するものを用いてもよい。
【0138】
また、電解槽やその他細部のスペック(形状、大きさ、レイアウト等)も適宜に変更可能である。
【符号の説明】
【0139】
1、1A、1B、1C、1D、1E、1F 水処理装置
11 ナノ濾過フィルタ(逆浸透濾過部)
12 濃縮水排水路(濃縮水排出口)
14 浄水導電率センサ(浄水水質検知手段)
17 電解槽
17b 陰極
17d 陽極
20 排水調節弁
23 操作パネル(操作部)
25 原水導電率センサ(原水水質検知手段)
26 循環路
27 循環ポンプ
28 水質報知手段
M1 第1の記憶手段
M2 第2の記憶手段
M3 第3の記憶手段
M4 第4の記憶手段
CP1 第1の比較演算手段
CP2 第2の比較演算手段
CP3 第3の比較演算手段
CP4 第4の比較演算手段
CT1 第1の制御手段
CT2 第2の制御手段
CT3 第3の制御手段
CT4 第4の制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
逆浸透膜を用いた逆浸透濾過部と、
前記逆浸透濾過部で濾過された浄水を少なくとも陰極室に導入してアルカリイオン水を生成する電解槽と、
前記逆浸透濾過部に導入される原水の水質を検知する原水水質検知手段および前記逆浸透濾過部を通過した浄水の水質を検知する浄水水質検知手段のうち少なくともいずれか一方を有する水質検知手段と、
前記逆浸透濾過部の濃縮水排出口の開度を、前記水質検知手段が検知した値に基づいて調節する排水調節弁と、
を備えることを特徴とする水処理装置。
【請求項2】
前記水処理装置は、
予め設定した水質を任意に選択する操作部と、
予め設定した水質を記憶するとともに、当該水質に対応する浄水水質を記憶する第1の記憶手段と、
前記操作部で選択した水質に対応する浄水水質と前記浄水水質検知手段で検知された実浄水水質とを比較する第1の比較演算手段と、
前記第1の比較演算手段の比較結果に基づいて前記排水調節弁の開度を調節する第1の制御手段と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の水処理装置。
【請求項3】
前記水処理装置は、
予め設定した原水水質を記憶するとともに、当該原水水質に対応する浄水水質を記憶する第2の記憶手段と、
前記原水水質検知手段で検知された実原水水質と記憶された前記原水水質とを比較するとともに、前記浄水水質検知手段で検知された実浄水水質と記憶された前記浄水水質とを比較する第2の比較演算手段と、
前記第2の比較演算手段の比較結果に基づいて前記排水調節弁の開度を調節する第2の制御手段と、
を備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の水処理装置。
【請求項4】
前記水処理装置は、
予め設定した原水水質を記憶するとともに、当該原水水質に対応する前記排水調節弁の開度を記憶する第3の記憶手段と、
前記原水水質検知手段で検知された実原水水質と記憶された前記原水水質とを比較する第3の比較演算手段と、
前記実原水水質が該当する記憶された前記原水水質に対応する前記排水調節弁の開度を前記第3の記憶手段から呼び出し、呼び出した開度に基づいて前記排水調節弁の実開度を調節する第3の制御手段と、
を備えることを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか1項に記載の水処理装置。
【請求項5】
前記水処理装置は、
前記逆浸透濾過部の濃縮水の一部を当該逆浸透濾過部の上流側に還元する循環路と、
前記循環路に設けられ、濃縮水を循環させる循環ポンプと、
を備えることを特徴とする請求項1〜4のうちいずれか1項に記載の水処理装置。
【請求項6】
前記浄水水質検知手段が、前記電解槽の電極であることを特徴とする請求項1〜5のうちいずれか1項に記載の水処理装置。
【請求項7】
前記水処理装置は、
前記浄水水質検知手段により検知された実浄水水質が予め設定された水質の範囲内となった際に、前記アルカリイオン水の水質が予め設定した所定の条件を満足したことを報知する水質報知手段を備えることを特徴とする請求項1〜6のうちいずれか1項に記載の水処理装置。
【請求項8】
前記水処理装置は、
予め設定された浄水水質を記憶するとともに、当該浄水水質に対応する電解槽の電解電圧を記憶する第4の記憶手段と、
前記浄水水質検知手段で検知された実浄水水質と記憶された前記浄水水質とを比較演算する第4の比較演算手段と、
前記浄水水質検知手段で検知された前記実浄水水質が該当する記憶された前記浄水水質に対応する電解電圧を前記電解槽の電極に印加する第4の制御手段と、
を備えることを特徴とする請求項1〜7のうちいずれか1項に記載の水処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−101176(P2012−101176A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−251917(P2010−251917)
【出願日】平成22年11月10日(2010.11.10)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】