説明

水分捕集器およびそれを備える燃料フィルタ装置

【課題】燃料中に分散する水分の捕捉性能、排出性能を改善する。
【解決手段】燃料フィルタ装置10は、水分捕集器50を備える。水分捕集器50は、繊維集合体51を備える。燃料が、繊維集合体51を通過する際に、水分は繊維に捕捉され、凝集して水滴となり容器20内に沈降する。支持部材52の下板55は、傾斜面を有している。繊維集合体51に捕捉された水滴は、傾斜面によって出口へ案内される。さらに、傾斜面は、繊維集合体51を圧縮し、入口側に高密度部が位置し、出口側に低密度部が位置する繊維密度の分布を与える。この結果、燃料の流れ方向に沿って水滴が成長するにつれて繊維の隙間が大きくなる。この結果、水分の捕捉、凝集を促進でき、繊維集合体51からの分離を促進することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料中に含まれる水分を捕集する水分捕集器およびそれを備える燃料フィルタ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1または特許文献2に記載の燃料フィルタ装置が知られている。この燃料フィルタ装置では、燃料中の微小な固形物を除去するための固形物フィルタに加えて、燃料中に混入した水分を捕捉する水分捕集器を備えている。水分捕集器は、固定物フィルタに比べて密度が十分に低い繊維集合体を備えている。燃料が繊維集合体を通過するとき、その中の水分が繊維に捕捉され、凝集されることで、水滴に成長する。水滴は、容器内の底部に沈降して貯留され、ドレン通路から適宜取り出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−147087号公報
【特許文献2】特表2006−521497号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1および特許文献2の技術では、水分捕集器に均一な繊維密度をもつ繊維集合体を使用している。このため、水滴の成長に適した繊維密度を得ることが困難であった。例えば、入口側では水の分子あるいは微小な水滴に対して繊維密度が低すぎて捕捉効率が低くなるおそれがある。また、出口側では成長した水滴に対して繊維密度が高すぎて水滴の凝集、成長が阻害されるおそれがある。
【0005】
また、均一な繊維密度をもった繊維集合体は水滴を均等に保持してしまう。このため、繊維集合体に残留した水滴が低温時に凍結すると、通路面積の減少、通路の閉塞といった不具合を生じるおそれがあった。
【0006】
また、水分捕集器の出口からは、燃料と水滴とがともに流出する。このため、水分捕集器の出口において、あるいはその下流において水分が燃料中に再び分散するおそれがある。例えば、水分が大きな水滴に成長する前に燃料の流れに押し流されるおそれがある。また、出口からの燃料の流れが水滴を再び分散させたり、貯留された水面から水滴を巻き上げたりするおそれがある。
【0007】
本発明は、上記問題点に鑑み、改良された水分捕集器およびそれを備える燃料フィルタ装置を提供することを目的とする。
【0008】
本発明は、上記問題点に鑑み、水分の捕捉性能に優れた水分捕集器およびそれを備える燃料フィルタ装置を提供することを目的とする。
【0009】
本発明は、上記問題点に鑑み、捕捉した水分の排出性能に優れた水分捕集器およびそれを備える燃料フィルタ装置を提供することを他の目的とする。
【0010】
本発明は、上記問題点に鑑み、水分の捕捉性能に優れ、かつ捕捉した水分の排出性能に優れた水分捕集器およびそれを備える燃料フィルタ装置を提供することをさらに他の目的とする。
【0011】
本発明は、上記問題点に鑑み、捕捉した水分の再分散を抑制した水分捕集器およびそれを備える燃料フィルタ装置を提供することを他の目的とする。
【0012】
従来技術として列挙された特許文献の記載内容は、この明細書に記載された技術的要素の説明として、参照によって導入ないし援用することができる。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、下記の技術的手段を採用することができる。
【0014】
【0015】
【0016】
請求項1に記載の発明は、繊維を集合させてなり、燃料から水分を捕集する繊維集合体と、繊維集合体に燃料を供給する入口としての第1開口、および繊維集合体を通過した燃料が流出可能な出口としての第2開口が形成され、繊維集合体を支持する支持部材とを備え、繊維集合体は、燃料の流れ方向の上流側に繊維密度が高い高密度部が位置し、下流側に前記高密度部より繊維密度が低い低密度部が位置する繊維密度の直列的な分布を有し、支持部材は、繊維集合体を圧縮することにより低密度部と高密度部とを形成する圧縮部材を備えるという技術的手段を採用する。この発明によると、上流側では高密度部によって水分の捕捉が促進され、下流側では低密度部によって水滴の成長が促進される。このため、水分の捕捉性能、凝集性能を向上することができる。この発明によると、繊維集合体を圧縮することにより、繊維密度の直列的な分布を与えることができる。
【0017】
請求項2に記載の発明は、繊維集合体は、さらに、第2開口に面する繊維集合体の表面に、繊維密度が低い低密度部と、低密度部より繊維密度が高い高密度部とが並列的に位置する並列的な繊維密度の分布を有するという技術的手段を採用する。この発明によると、第2開口に面する繊維集合体の出口側の表面に、低密度部と高密度部とが表れる。低密度部では、繊維集合体からの水滴の分離が促進される。このため、水分の排出性能を向上することができる。この発明によると、繊維集合体を圧縮することにより、繊維密度の並列的な分布を与えることができる。
【0018】
【0019】
請求項3に記載の発明は、繊維集合体は環状であり、圧縮部材は、環状のテーパ面を有することを特徴とするという技術的手段を採用する。この発明によると、高さ方向の寸法を小さくできる環状の繊維集合体を用いることができる。
【0020】
請求項4に記載の発明は、圧縮部材には、第1開口側と第2開口側との間に延在する峰と谷とが設けられているという技術的手段を採用する。この発明によると、谷に水滴を集めることができ、排出性をさらに向上させることができる。
【0021】
請求項5に記載の発明は、支持部材には、さらに、第2開口より上方に位置し、繊維集合体を通過した燃料が流出可能な出口としての第3開口が形成されているという技術的手段を採用する。この発明によると、第2開口の付近に水滴が溜まることがあっても、第3開口から燃料を流出させることができる。
【0022】
【0023】
請求項6に記載の発明は、繊維集合体は、親水性の繊維によって構成されているという技術的手段を採用する。この発明によると、繊維集合体の繊維に水分が捕捉されやすい。このため、水分の捕捉性能を向上することができる。
【0024】
請求項7に記載の発明は、繊維集合体は、所定の親水性を示す第1部分と、第1部分よりも高い親油性を示す第2部分とを有するという技術的手段を採用する。この発明によると、繊維集合体の第1部分には水滴が通りやすく、第2部分には燃料が通りやすい。このため、燃料の通路を確保することができる。
【0025】
請求項8に記載の発明は、第1部分は、第1開口と第2開口とに面するとともに、支持部材の下面に接して配置され、第2部分は、第3開口に面するとともに、支持部材の上面に接して配置されているという技術的手段を採用する。この発明によると、第1部分を通して水分が第2開口へ案内され、第2部分を通して燃料が第3開口へ案内される。
【0026】
請求項9に記載の発明は、第1部分は下方に配置され、第2部分は第1部分よりも上方に配置されているという技術的手段を採用する。この発明によると、沈降しやすい水滴を第1部分に通し、第2部分には燃料の通路を確保することができる。
【0027】
請求項10に記載の発明は、繊維集合体の中には、第1開口からの燃料の流れを誘導する誘導板が配置されているという技術的手段を採用する。この発明によると、燃料の流れによって水分の捕捉、凝集が阻害されないように、繊維集合体の中における燃料の流れを誘導することができる。
【0028】
請求項11に記載の発明は、請求項1から10のいずれかに記載の水分捕集器と、水分捕集器よりも燃料の流れ方向の下流側に設けられたフィルタとを備えるという技術的手段を採用する。この発明によると、水分によるフィルタの目詰まりを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の第1実施形態である水分捕集器を備えた燃料フィルタの模式的な断面図である。
【図2】第1実施形態の水分捕集器を示す拡大断面図である。
【図3】第1実施形態の支持部材の形状を示す平面図である。
【図4】第1実施形態の支持部材の連結手段の形状を示す拡大断面図である。
【図5】本発明の第2実施形態の水分捕集器を示す拡大断面図である。
【図6】第2実施形態の支持部材の形状を示す平面図である。
【図7】本発明の第3実施形態の水分捕集器を示す拡大断面図である。
【図8】第3実施形態の支持部材の形状を示す平面図である。
【図9】本発明の第4実施形態の水分捕集器を示す分解断面図である。
【図10】本発明の第5実施形態の水分捕集器を示す分解断面図である。
【図11】本発明の第6実施形態の水分捕集器を示す拡大断面図である。
【図12】本発明の第7実施形態の水分捕集器を示す拡大断面図である。
【図13】本発明の第8実施形態の水分捕集器を示す拡大断面図である。
【図14】本発明の第9実施形態の水分捕集器を示す拡大断面図である。
【図15】本発明の第10実施形態である水分捕集器を備えた燃料フィルタの模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
(第1実施形態)
以下、本発明を燃料フィルタ装置に適用した第1実施形態を説明する。燃料フィルタ装置は、本発明に係る水分捕集器を備える。燃料フィルタ装置は、ディーゼル機関その他の内燃機関に燃料を供給するための燃料供給装置の部品であって、燃料供給経路に設けられている。内燃機関は、車両あるいは船舶等の動力源として搭載されたもの、あるいは発電用、空調用の動力源として定置されたものである。燃料は、炭化水素の液体である軽油が用いられ、所定の水分を含有している。
【0031】
図1は、第1実施形態の燃料フィルタ装置10の模式的な断面図である。図2は、第1実施形態の水分捕集器を示す拡大断面図である。図3は、支持部材の形状を示す平面図であって、繊維集合体と接触する支持部材の表面を示している。図4は、支持部材の連結手段の形状を示す拡大断面図である。
【0032】
図1において、燃料フィルタ装置10の断面が示されている。図1の上下方向は、燃料フィルタ装置10の使用状態における上下方向と一致している。燃料フィルタ装置10は、容器20とフィルタアッセンブリ30とを有する。
【0033】
容器20は、燃料通路を区画形成するものであって、少なくとも燃料の入口10aと、燃料の出口10bとを有している。容器20は、ベース部分21と、カップ部分22とを有する。ベース部分21とカップ部分22との間には、円柱状の収容空間が形成される。カップ部分22は、リテーナ23によってベース部分21に固定されている。ベース部分21とカップ部分22との間には、フィルタ収容空間24と、油水分離空間25とが形成されている。容器20の使用状態における重力方向の下端には手動操作可能なバルブ26が設けられている。油水分離空間25内に貯留された水および異物は、バルブ26を開くことにより燃料通路から外部へ取り出される。
【0034】
フィルタアッセンブリ30は、容器20内に収容されている。フィルタアッセンブリ30は、リテーナ23を解放状態として、カップ部分22をベース部分21から分離することにより交換可能である。
【0035】
フィルタアッセンブリ30は、主として燃料中の微小な固形物を除去するためのフィルタ40と、主として燃料中の水分を捕集する水分捕集器50とを有する。水分捕集器50は、フィルタ40に到達する前に水分を除去し、フィルタ40が水分によって目詰まりを起こすことを予防している。これらフィルタ40と水分捕集器50とは、一体的に取り扱い可能に連結されている。フィルタ40は、微小な固形物を捕捉するための濾紙により構成されている。水分捕集器50は、水分を捕捉し、捕捉された微小な水滴を凝集させて大きな水滴に成長させる。成長した水滴は、油水分離空間25へ排出され、重力によって沈降し、カップ部分22内に貯留される。水分捕集器50は、大きな固形物は捕捉できるが、およそ燃料中に混入している異物としての微小な固形物に対してはほとんど捕捉能力を有していない。このようにフィルタ40と水分捕集器50とは、その濾過性能において明確に区別される。ただし、水分捕集器50も広い意味でフィルタとして把握することができる。例えば、フィルタ40を主フィルタと呼び、水分捕集器50をプレフィルタと呼ぶこともできる。
【0036】
フィルタ40と水分捕集器50とは、容器20が区画形成する燃料通路において燃料の流れ方向に関して直列に配置されている。燃料の流れ方向に関して、水分捕集器50が上流側に位置し、フィルタ40が下流側に位置している。この結果、燃料は、水分捕集器50を通過した後に、フィルタ40を通過する。一方、水分捕集器50は、フィルタ40よりも重力方向の下方に位置付けられている。この配置により、燃料は水分捕集器50からフィルタ40へ向けて上向きに流れ、水滴は下向きに沈降してゆく。この結果、水滴の分離性能が高められている。
【0037】
フィルタ40は、フィルタエレメント41と、樹脂製のフレーム42とを有している。フィルタエレメント41は、濾紙をハニカム状あるいは菊花状に成形したものである。この実施形態では、ハニカム状フィルタエレメントが図示されている。フレーム42は、フィルタエレメント41を支持する支持部材である。フレーム42は、入口10aから流入した燃料を水分捕集器50に導入する燃料通路を提供するパイプを有している。フィルタエレメント41は、パイプと容器20との間にシールされた状態で配置されている。この結果、フィルタエレメント41は、図中下方から上方へ流れる燃料を濾過する。フィルタエレメント41を通過した燃料は、出口10bから流出し、内燃機関に供給される。
【0038】
図2において、水分捕集器50は、扁平な円柱状の外観を有する。水分捕集器50は、フレーム42の下端に連結されている。水分捕集器50は、支持部材52と、繊維集合体51とを有している。支持部材52は、フレーム42のパイプ下端に連結された環状の上板53と、上板53の外周端から下方へ垂下された円筒状の外板54と、上板53との間に所定の隙間を介して支持された円盤状の下板55とを有する。上板53の中央には燃料の入口としての第1開口52aが開設されている。外板54と下板55との間には環状の隙間が設けられている。この隙間は、燃料の出口としての第2開口52bである。第2開口52bは、後述する連結手段によって複数の開口に分割されている。支持部材52は、繊維集合体51へ燃料を流入させる第1開口52aと、繊維集合体51を通過した燃料を流出させる第2開口52bとを有する通路を区画形成する容器としても把握できる。
【0039】
圧縮部材としての上板53と圧縮部材としての下板55との間には、繊維集合体51が収納され、支持されている。繊維集合体51は、環状に構成されている。繊維集合体51は、燃料が流入する入口側表面としての内周面51aと、燃料が流出する出口側表面としての外周面51bとを有している。繊維集合体51は、燃料から水分を捕集する繊維を集合させたものである。繊維集合体51は、燃料中の水分をその繊維表面に捕捉し、徐々に蓄積することによって水分を凝集させて大きな水滴に成長させる。その一方で、繊維集合体51の繊維密度は、燃料に混入した微小な固形物に対しては、十分に粗い。そのため、繊維集合体51は、微小な固形物をほとんど除去することがない。繊維集合体51は、複数の環状の不織布を厚さ方向に積層して構成されている。繊維集合体51は、上板53と下板55とによってその軸方向、すなわち厚さ方向に圧縮されている。この結果、繊維集合体51の繊維密度は、圧縮前の繊維密度より高められている。
【0040】
支持部材52の上板53は、その下側の面によって、繊維集合体51と接触する上面を提供している。この上面は、環状かつ平板状である。下板55は、その上側の面によって、繊維集合体51と接触する下面を提供している。
【0041】
図3において、下板55の形状が図示されている。下板55は、ほぼ円板状である。繊維集合体51の外周面51bは、下板55の外周縁部に位置している。繊維集合体51の内周面51aは、下板55上の二点鎖線上に位置している。下板55の下面は、中央において最も高く、外周縁部に向かうほど徐々に低くなるように傾斜している。この下面は、ほぼ多角錐面と呼ぶことができる。下面は、繊維集合体51と接触する部分に、環状のテーパ面を有している。入口としての第1開口52aが中央に開口している。また、出口としての第2開口52bが外周縁部に開口している。このため、下面は、第1開口52aから第2開口52bへ向けて徐々に低くなるように傾斜している。下板55が提供する下面は、少なくとも繊維集合体51の外周面51bを含む範囲において、第2開口52bへ向けて徐々に低くなるように傾斜していることが望ましい。このような傾斜面が、水滴を第2開口52bへ向けて案内する。
【0042】
さらに、下面には、第1開口側と第2開口側との間に延在する峰55aと谷55bとが設けられている。下面には、複数の峰55aと、複数の谷55bとが設けられている。複数の峰55aと複数の谷55bとが交互に設けられている。複数の峰55aと複数の谷55bとは、放射状に配置されている。図中の同一円周上においては、谷55bは、峰55aより低く形成されている。各々の峰55aは、中央から外周縁部へ向けて、すなわち第1開口52aから第2開口52bへ向けて徐々に低くなるように傾斜している。また、各々の谷55bは、中央から外周縁部へ向けて、すなわち第1開口52aから第2開口52bへ向けて徐々に低くなるように傾斜している。この結果、峰55aと谷55bとの間には、中央から外周縁部へ向けて傾斜するとともに、さらに峰55aから谷55bに向けて傾斜した傾斜面55cが形成されている。
【0043】
上板53が提供する上面と下板55が提供する下面との間には、繊維集合体51が厚さ方向に圧縮された状態で支持されている。さらに、下板55が上記のような形状を有しているため、繊維集合体51には、繊維密度が低い低密度部と、この低密度部より繊維密度が高い高密度部とが形成されている。
【0044】
上述のように、下板55は、テーパ面を有する。このため、繊維集合体51は、燃料の流れ方向の上流側の内周面51aに繊維密度が高い高密度部としての部位51c、51dが位置し、下流側の外周面51bに高密度部としての部位51c、51dより繊維密度が低い低密度部としての部位51e、51fが位置する繊維密度の直列的な分布DRを有する。峰55aにおいては、内周面51aに高密度部としての部位51cが位置し、外周面51bに低密度部としての部位51eが位置している。谷55bにおいては、内周面51aに高密度部としての部位51dが位置し、外周面51bに低密度部としての部位51fが位置している。繊維集合体51内においては、繊維密度は徐々に変化しており、密度勾配を有している。峰55aにおける低密度部としての部位51eの繊維密度は、谷55bにおける高密度部としての部位51dの繊維密度より低いか、同等とすることができる。
【0045】
また、下板55は、峰55aと谷55bとを有する。このため、繊維集合体51は、峰55a上から谷55b上に向けて繊維密度が低下する周方向の並列的な分布DCを有する。この並列的な分布DCは、内周面51a上において、繊維密度が低い低密度部としての部位51dと、低密度部としての部位51dより繊維密度が高い高密度部としての部位51cとが並列的に位置する繊維密度の並列的な分布として表れる。さらに、第2開口52bに面する繊維集合体51の外周面51b上にも、繊維密度が低い低密度部としての部位51fと、低密度部としての部位51fより繊維密度が高い高密度部としての部位51eとが並列的に位置する繊維密度の並列的な分布として表れる。繊維集合体51内においては、繊維密度は徐々に変化しており、密度勾配を有している。
【0046】
図4において、下板55と上板53とを連結するための連結手段が図示されている。連結手段は、係合部55dと被係合部54aとによって構成される。係合部55dは、下板55の外周縁部から延び出すJ字状の弾性片と、その先端に設けられた係合爪とを有する。被係合部54aは、外板54に設けられた係合穴によって提供されている。係合部55dは、被係合部54aに係合することで、繊維集合体51を圧縮した状態で下板55と上板53とを連結する。連結手段は、下板55の周方向に沿って等間隔に3つ設けられている。
【0047】
以上に述べた実施形態では、入口10aから燃料が流入すると、燃料は水分捕集器50を通過する。水分捕集器50においては、燃料は、第1開口52aから供給され、繊維集合体51内を通過し、第2開口52bから容器20内に流出する。燃料は、繊維集合体51内を、主として径方向に流れる。このとき、燃料は、繊維集合体51の繊維密度の分布DR、DCと、下板55の峰55aおよび谷55bとによって、繊維集合体51内の周方向への流れ成分を与えられる。この結果、繊維集合体51内においては、峰55a上から谷55b上へ向かう燃料の流れが形成される。繊維集合体51の外周面51bにおいては、峰55a上よりも谷55b上から多くの燃料が流出する。
【0048】
水分捕集器50内において、燃料中に分散している水分は、繊維集合体51の繊維に捕捉される。捕捉された水分は、繊維上を伝わって移動し徐々に凝集する水滴となる。水滴は徐々に大きく成長し、繊維集合体51の出口側である外周面51bにおいて最大化される。繊維集合体51で捕捉され凝集した水滴は、第2開口52bから油水分離空間25に流出する。水滴は、重力によって油水分離空間25内を沈降し、カップ部分22の底部に貯留される。貯留された水は、バルブ26を開くことによって外部へ取り出される。一方、第2開口52bから流出した燃料は、油水分離空間25から上方へと流れ、フィルタ40を通過して、出口10bから流出する。
【0049】
この実施形態の繊維集合体51は、径方向に沿って入口側に高密度部が位置し、出口側に低密度部が位置する繊維密度の直列的な分布DRを有している。この繊維密度の直列的な分布DRは、以下に述べる作用効果の少なくともひとつを提供する。第1に、水滴が徐々に凝集し成長してゆく過程に沿って、繊維集合体51内の繊維間隔が広がるため、水滴の成長が促進される。成長した水滴を保持できる繊維間隔が提供されるからである。第2に、出口側における低い繊維密度は、成長した水滴が繊維間に水膜を形成することを抑制する。この結果、水膜による圧力損失の増加が抑制される。また、水膜が凍結することによる圧力損失の増加、または目詰まりが抑制される。第3に、出口側における低い繊維密度は、繊維集合体51からの水滴の離脱を促進する。この結果、繊維集合体51の外周面51bにおいて過剰に水滴が蓄積されることが防止される。また、蓄積された水滴が凍結することによる圧力損失の増加、または目詰まりが抑制される。
【0050】
また、別の観点では、この実施形態の繊維集合体51は、出口側である外周面に繊維密度の並列的な分布DCを有している。この繊維密度の並列的な分布DCは、以下に述べる作用効果の少なくともひとつを提供する。第1に、繊維密度の並列的な分布DCは、水滴が集中しやすく、しかも繊維集合体51から比較的離脱しやすい部位を提供し、繊維集合体51からの水滴の離脱を促進する。この結果、繊維集合体51の外周面51bにおいて過剰に水滴が蓄積されることが防止される。また、蓄積された水滴が凍結することによる圧力損失の増加、または目詰まりが抑制される。第2に、繊維密度の並列的な分布DCは、繊維間に水膜が形成されにくく、しかも水膜が破れやすい部位を提供する。この結果、水膜による圧力損失の増加が抑制される。また、水膜が凍結することによる圧力損失の増加、または目詰まりが抑制される。
【0051】
また、別の観点では、この実施形態の下板55は、第2開口52bへ向けて低くなるテーパ面を有している。このテーパ面は、繊維集合体51内の下部に沈降した水滴を第2開口52bへ案内する。このため、繊維集合体51内に水滴が滞留することが抑制される。
【0052】
また、別の観点では、この実施形態の下板55は、第1開口52aから第2開口52bへ向けて延在する峰55aと谷55bとを有している。これにより、水滴が峰55aから谷55bへ流れるため、凝集が促進される。また、繊維集合体51の外周面51bにおいては、谷55bによって水滴の成長が促進されるため、水滴が繊維集合体51から離脱しやすくなる。
【0053】
さらに、下板55は、テーパ面に加えて、さらに峰55aと谷55bとを有しているため、それらの作用効果の両方を得ることができる。
【0054】
さらに、この実施形態では、下板55によって繊維集合体51を圧縮して上記直列的な分布DRと並列的な分布DCとを提供しているため、それらの作用効果が相乗的に得られ、水分の高い捕捉性能と、水分の高い排出性能とが得られる。
【0055】
(第2実施形態)
次に、本発明を適用した第2実施形態を説明する。この実施形態では、先行する実施形態で説明した燃料フィルタ装置の水分捕集器50と代替可能な水分捕集器を説明する。先行する説明を参照することができる構成要素には、先行実施形態と同一の符号を付した。図5は、この実施形態の水分捕集器を示す拡大断面図である。図6は、支持部材の形状を示す平面図である。
【0056】
図5および図6において、支持部材252は、下板255を採用している。下板255は、その中央に円形の平面部分255aを有している。下板255は、部分多角錐状であって、その外周部分に環状のテーパ面を有している。この実施形態においても、上述の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0057】
(第3実施形態)
次に、本発明を適用した第3実施形態を説明する。この実施形態では、先行する実施形態で説明した燃料フィルタ装置の水分捕集器50と代替可能な水分捕集器を説明する。先行する説明を参照することができる構成要素には、先行実施形態と同一の符号を付した。図7は、この実施形態の水分捕集器を示す拡大断面図である。図8は、支持部材の形状を示す平面図である。
【0058】
図7および図8において、支持部材352は、下板355を採用している。下板355は、その中央に多角形の平面部分355dを有している。下板355は、部分多角錐状であって、その外周部分に環状のテーパ面を有している。下板355は、放射状に延在し、交互に配置された複数の峰355aと複数の谷355bとを有する。
【0059】
繊維集合体351の内周面351aは、平面部分355d上に位置している。このため、繊維集合体351は、その内周面351aにおいては、周方向に沿って一定量だけ圧縮される。よって、内周面351aには、その全体が繊維密度が比較的高い高密度部としての部位351cとなる。繊維集合体351の外周面351bは、峰355aと谷355bとの上に位置している。このため、繊維密度の並列的な分布DCが外周面351bに表れる。外周面351bには、低密度部としての部位351fと高密度部としての部位351eとが表れている。
【0060】
この実施形態においても、上述の実施形態と同様の効果を得ることができる。さらに、繊維集合体351の入口側である内周面351aにおいて一様な繊維密度が提供されるため、繊維集合体351の周方向に関して均等に燃料を流入させることができる。
【0061】
(第4実施形態)
次に、本発明を適用した第4実施形態を説明する。この実施形態では、先行する実施形態で説明した燃料フィルタ装置の水分捕集器50と代替可能な水分捕集器を説明する。先行する説明を参照することができる構成要素には、先行実施形態と同一の符号を付した。図9は、この実施形態の水分捕集器の分解状態を示す拡大断面図である。
【0062】
水分捕集器450は、支持部材452と、繊維集合体451とを有している。支持部材452は、環状の上板453と、円錐状の下板455とを有している。下板455は、峰や谷を持たない。上板453と下板455とは、適宜の連結手段によって所定の間隔をもって連結され、それらの間に配置された繊維集合体451を圧縮して支持する。繊維集合体451は、複数の環状不織布を積層して構成されている。上板453と下板455とが連結されると、繊維集合体451は、内周側から外周側へ向けて繊維密度が徐々に低くなるように圧縮される。このため、繊維密度の直列的な分布が得られる。この実施形態によると、繊維密度の直列的な分布による作用効果が得られる。また、円錐状の下板455が提供するテーパ面による作用効果を得ることができる。
【0063】
なお、以上に述べた実施形態では下板55、255、355、455だけにテーパ面を設けて繊維集合体51、451を圧縮したが、上板にもテーパ面を設けてもよい。例えば、図9に破線で図示されるように、凸テーパ面を有する上板453a、または凹テーパ面を有する上板453bを採用することができる。
【0064】
(第5実施形態(参考例))
次に、本発明を適用した第5実施形態(参考例)を説明する。この実施形態では、先行する実施形態で説明した燃料フィルタ装置の水分捕集器50と代替可能な水分捕集器を説明する。先行する説明を参照することができる構成要素には、先行実施形態と同一の符号を付した。図10は、この実施形態の水分捕集器の分解状態を示す拡大断面図である。
【0065】
水分捕集器550は、支持部材552と、繊維集合体551a、551bとを有する。支持部材552は、上板553、下板555ともに平板上であって、繊維集合体を均一に圧縮して支持する。入口側に配置される入口側の繊維集合体551aは、所定の高い繊維密度をもつ。出口側に配置される出口側の繊維集合体551bは、入口側の繊維集合体551aより低い繊維密度をもつ。入口側の繊維集合体551aと出口側の繊維集合体551bとは、径方向に内側、外側に配置される。この結果、繊維集合体551a、551bは、全体として内周側から外周側へ向けて繊維密度が徐々に低くなる繊維密度の直列的な分布を提供する。この実施形態によると、繊維密度の直列的な分布による作用効果が得られる。
【0066】
(第6実施形態(参考例))
次に、本発明を適用した第6実施形態(参考例)を説明する。この実施形態では、先行する実施形態で説明した燃料フィルタ装置の水分捕集器50と代替可能な水分捕集器を説明する。先行する説明を参照することができる構成要素には、先行実施形態と同一の符号を付した。図11は、この実施形態の水分捕集器を示す拡大断面図である。
【0067】
水分捕集器650は、支持部材652と、その内部に収容された繊維集合体651とを有している。支持部材652は、環状の上板653と、上板653の外周縁部から垂下する円筒状の外板654と、上板653と対向して配置された下板655とを有する。上板653のほぼ中央には、燃料を繊維集合体651に流入させる入口としての第1開口652aが開口している。下板655は、その中央部に円錐状の凸部を有し、その円錐面によって傾斜面を提供している。下板655と外板654との間には、繊維集合体651を通過した燃料が流出可能な出口としての第2開口652bが開口している。第2開口652bは、支持部材652のうちの最も下部に開口している。外板654には、繊維集合体651を通過した燃料が流出可能な出口としての第3開口652cが開口している。第3開口652cは、第2開口652bより上方にて開口している。下板655が提供する下面は、第2開口652bへ向けて徐々に低くなるように傾斜している。
【0068】
繊維集合体651は、上板653が提供する上面と、外板654が提供する外面と、下板655が提供する下面とに接して収容されている。繊維集合体651は、所定の親水性を示す繊維を多く含むことによって全体としても比較的高い親水性を示すように構成されている。繊維集合体651を主として構成する繊維としては、レーヨン、ナイロン、PET(ポリエチレンテレフタレート)などを用いることができる。
【0069】
この実施形態によると、燃料中の水分は繊維集合体651に捕捉され、水滴として凝集する。水滴は、繊維集合体651内の繊維を伝って流下してゆく。下板655に到達した水滴は、下板655の傾斜面に沿って第2開口652bに案内されてゆく。水滴は、第2開口652bの近傍で大きな水滴に成長し、第2開口652bから離脱して油水分離空間25内を沈降してゆく。一方、繊維集合体651内を通過する燃料は、第2開口652bと第3開口652cとの両方から流出してゆく。このとき、第2開口652bの周辺に水滴が溜まると、燃料は圧力損失が小さくなるように、第3開口652cから優先的に流出する。この結果、第2開口652bの周辺に案内された水滴が、燃料の流れによって強制的に押し出されたり、分散されたりすることが回避される。
【0070】
(第7実施形態(参考例))
次に、本発明を適用した第7実施形態(参考例)を説明する。この実施形態では、先行する実施形態で説明した燃料フィルタ装置の水分捕集器50と代替可能な水分捕集器を説明する。先行する説明を参照することができる構成要素には、先行実施形態と同一の符号を付した。図12は、この実施形態の水分捕集器を示す拡大断面図である。
【0071】
水分捕集器750は、繊維集合体は第1部分751aと、第2部分751bとを有する。第1部分751aは、比較的高い親水性を示す繊維を主として含み、全体としても比較的高い親水性を示す。第1部分751aは、第1開口652aと第2開口652bに面するとともに、下板655が提供する下面に接して配置されている。第1部分751aは、ほぼ円錐状に構成されている。一方、第2部分751bは、比較的親油性を示す繊維を多く含んでおり、全体として第1部分751aよりも高い親油性を示す。なお、親油性とは、燃料との濡れ性の高さを示すものである。第2部分751bは、第1部分751aより低い親水性を示す。第2部分751bは、第3開口652cに面するとともに、上板653が提供する上面に接して配置されている。第2部分751bは、ほぼ環状に構成されている。第1部分751aは下方に配置され、第2部分751bは第1部分751aよりも上方に配置されている。
【0072】
この実施形態によると、水分は主として第1部分751aに捕捉され、第1部分751aに沿って第2開口652bに流れてゆく。一方、燃料は、第1部分751aよりも親油性が高い第2部分751bを通りやすい。このため、燃料は第2開口652bより、第3開口652cから流出しやすくなる。また、第1部分751aに捕捉された水分が第2部分751bへ移動しにくいため、第3開口652cを通る燃料流出経路を維持することができる。
【0073】
(第8実施形態(参考例))
次に、本発明を適用した第8実施形態(参考例)を説明する。この実施形態では、先行する実施形態で説明した燃料フィルタ装置の水分捕集器50と代替可能な水分捕集器を説明する。先行する説明を参照することができる構成要素には、先行実施形態と同一の符号を付した。図13は、この実施形態の水分捕集器を示す拡大断面図である。
【0074】
水分捕集器850は、容器を提供する支持部材852と、支持部材852内に収容された繊維集合体851a、851bと、支持部材852内に収容された誘導部材856とを備える。支持部材852は、中央に入口としての第1開口852aが開設された環状の上板853と、上板853の外周縁から垂下した円筒状の外板854と、漏斗状の下板855とを有する。下板855は、繊維集合体851a、851bに向けて凹状のテーパ面を有し、その最下部に単一の第2開口852bが開設されている。第2開口852bは、第1開口852aの延長上に位置している。外板854には、第2開口852bより上方に開口する第3開口852cが開設されている。繊維集合体の第1部分851aは、上述の第1部分751aと同じ特徴を有している。繊維集合体の第2部分851bは、上述の第2部分751bと同じ特徴を有している。誘導部材856は、第1開口852aと第2開口852bとの間の直線的な連通を阻止するように広がる誘導板である。誘導部材856は、第1開口852aへ向かって凸状にやや湾曲している。
【0075】
この実施形態によると、燃料は、誘導部材856に衝突して第3開口852cに向けて誘導される。このとき、燃料は、第1部分851aから第2部分851bへ流れやすい。一方、第1部分851aに捕捉された水分は、第1部分851a内を伝わって流れやすいため、誘導部材856の縁を迂回して第2開口852bへ流下してゆく。誘導部材856は、燃料の流れによって水分の捕捉、凝集が阻害されないように、繊維集合体851a、851bの中における燃料の流れを誘導する。なお、この実施形態においては、繊維集合体として第1部分851aだけを支持部材852内に満たしてもよい。
【0076】
(第9実施形態(参考例))
次に、本発明を適用した第9実施形態(参考例)を説明する。この実施形態では、先行する実施形態で説明した燃料フィルタ装置の水分捕集器50と代替可能な水分捕集器を説明する。先行する説明を参照することができる構成要素には、先行実施形態と同一の符号を付した。図14は、この実施形態の水分捕集器を示す拡大断面図である。
【0077】
水分捕集器950は、支持部材952と、その内部に収容された繊維集合体951とを有している。支持部材952は、中央に第1開口952aが開設された環状の上板953と、上板953の外周縁部から垂下する円筒状の外板954と、上板953と対向して配置された下板955とを有する。下板955は、その中央部に円錐状の凸部を有し、その円錐面によって傾斜面を提供している。下板955と外板954との間には、第2開口952bが開口している。上板953には、繊維集合体951を通過した燃料が流出可能な出口としての第3開口952cが開口している。第3開口952cは、第2開口952bより上方にて開口している。上板953は、誘導部材956を有している。誘導部材956は、第1開口952aから延び出しており、円筒部と拡大部とを有している。
【0078】
この実施形態によると、燃料は、誘導部材956に沿って広がり、第2開口952bおよび第3開口952cに向けて誘導される。このとき、繊維集合体951に捕捉された水分は第2開口952bに流れやすく、燃料は第3開口952cへ流れやすい。なお、繊維集合体951に代えて、上述の実施形態に倣って第1部分751aと第2部分751bとを備えてもよい。
【0079】
(第10実施形態(参考例))
次に、本発明を適用した第10実施形態(参考例)を説明する。先行する実施形態では、燃料フィルタ装置を軸対称に構成したが、この実施形態のように燃料フィルタ装置1010は非対称に構成されてもよい。図15は、この実施形態の燃料フィルタ装置を示す断面図である。
【0080】
燃料フィルタ装置1010は、容器1020を有する。容器1020には、入口1010aと、出口1010bとが形成される。容器1020内には、フィルタエレメント1041と、水分捕集器1050とが収容される。水分捕集器1050は、図13に図示され説明された水分捕集器850の右半部に相当する構成を備えている。
【0081】
この実施形態においても、水分捕集器1050は、下面に設けられた傾斜面による上述の作用効果と、第2開口より上方にて開口するように設けられた第3開口による上述の作用効果とを得ることができる。
【0082】
(他の実施形態)
本発明の技術的範囲は、上述した実施形態にのみ限定されるものではない。上述した実施形態は、本発明の技術的範囲内で、多様な変形、改良、または拡張を伴うことができる。本発明は、少なくとも次のような変形、改良または拡張を伴う実施形態を包含する。例えば、上記実施形態に示された特徴的な構成は、それぞれ組み合わせて用いることができる。まず、第1実施形態ないし第5実施形態に示した繊維密度の分布は、第6実施形態ないし第10実施形態においても採用することができる。例えば、下板655によって繊維集合体651を圧縮することにより中央部に高密度部が位置し、外周部に低密度部が位置する分布を与えることができる。また、下板655に峰と谷とを設けてもよい。また、第6実施形態ないし第10実施形態に示した第3開口は、第1実施形態ないし第5実施形態においても採用することができる。例えば、第1実施形態の上板53の繊維集合体51と接触する部位に第3開口を設けてもよい。
【符号の説明】
【0083】
10、1010 燃料フィルタ装置、
20、1020 容器、
30 フィルタアッセンブリ、
40 フィルタ、 41、1041 フィルタエレメント、 42 フレーム、
50、450、550、650、750、850、950、1050 水分捕集器、
51、351、451、551a、551b、651、751a、751b、851a、851b、951 繊維集合体、
52、252、352、452、552、652、852、952 支持部材、
52a、652a、852a、952a 第1開口、
52b、652b、852b、952b 第2開口、
652c、852c、952c 第3開口、
53、453、453a、453b、553、653、853、953 上板、
54、654、854、954 外板、
55、255、355、455、555、655、855、955 下板、
55a、355a 峰、 55b、355b 谷、 55c 傾斜面、
652a、652b、652c、852a、852b、852c、952a、952b、952c 開口、
856、956 誘導部材。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維を集合させてなり、燃料から水分を捕集する繊維集合体と、
前記繊維集合体に燃料を供給する入口としての第1開口、および前記繊維集合体を通過した燃料が流出可能な出口としての第2開口が形成され、前記繊維集合体を支持する支持部材とを備え、
前記繊維集合体は、燃料の流れ方向の上流側に繊維密度が高い高密度部が位置し、下流側に前記高密度部より繊維密度が低い低密度部が位置する繊維密度の直列的な分布を有し、
前記支持部材は、前記繊維集合体を圧縮することにより前記低密度部と前記高密度部とを形成する圧縮部材を備えることを特徴とする水分捕集器。
【請求項2】
前記繊維集合体は、さらに、前記第2開口に面する前記繊維集合体の表面に、繊維密度が低い低密度部と、前記低密度部より繊維密度が高い高密度部とが並列的に位置する繊維密度の並列的な分布を有することを特徴とする請求項1に記載の水分捕集器。
【請求項3】
前記繊維集合体は環状であり、
前記圧縮部材は、環状のテーパ面を有することを特徴とする請求項1または2に記載の水分捕集器。
【請求項4】
前記圧縮部材には、前記第1開口側と前記第2開口側との間に延在する峰と谷とが設けられていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の水分捕集器。
【請求項5】
前記支持部材には、さらに、前記第2開口より上方に位置し、前記繊維集合体を通過した燃料が流出可能な出口としての第3開口が形成されていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の水分捕集器。
【請求項6】
前記繊維集合体は、親水性の繊維によって構成されていることを特徴とする請求項5に記載の水分捕集器。
【請求項7】
前記繊維集合体は、所定の親水性を示す第1部分と、前記第1部分よりも高い親油性を示す第2部分とを有することを特徴とする請求項5または6に記載の水分捕集器。
【請求項8】
前記第1部分は、前記第1開口と前記第2開口とに面するとともに、前記支持部材の下面に接して配置され、
前記第2部分は、前記第3開口に面するとともに、前記支持部材の上面に接して配置されていることを特徴とする請求項7に記載の水分捕集器。
【請求項9】
前記第1部分は下方に配置され、前記第2部分は前記第1部分よりも上方に配置されていることを特徴とする請求項7または8に記載の水分捕集器。
【請求項10】
前記繊維集合体の中には、前記第1開口からの燃料の流れを誘導する誘導板が配置されていることを特徴とする請求項5から9のいずれかに記載の水分捕集器。
【請求項11】
請求項1から10のいずれかに記載の水分捕集器と、
前記水分捕集器よりも燃料の流れ方向の下流側に設けられたフィルタとを備えることを特徴とするフィルタ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2013−53630(P2013−53630A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−266500(P2012−266500)
【出願日】平成24年12月5日(2012.12.5)
【分割の表示】特願2009−69211(P2009−69211)の分割
【原出願日】平成21年3月20日(2009.3.20)
【出願人】(000161840)京三電機株式会社 (99)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【出願人】(000004695)株式会社日本自動車部品総合研究所 (1,981)
【Fターム(参考)】