説明

水剤供給装置

【課題】簡単な構成で、水剤ボトルに収容された水剤を装置内で攪拌できる、水剤供給装置を提供する。
【解決手段】水剤を収容した水剤ボトル23から水剤を投薬ボトルに供給する水剤供給装置は、水剤ボトル23の底部23Bを保持するホルダ78と、回転力を発生させ、水剤ボトル23の中心線L2に沿う回転軸L3を中心に、ホルダ78とホルダ78に保持された水剤ボトル23とを回転させる回転駆動部61と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水剤供給装置に関し、特に、水剤を収容した水剤ボトルから水剤を投薬ボトルに供給するための水剤供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、調剤薬局などでは、液状の薬剤である水剤の調剤が行なわれている。患者に対する処方箋に従って、一種類または複数種類の水剤が所定量ずつ投薬ボトルに順次注入され、必要な賦形剤が注入されて、水剤の調剤が行なわれる。
【0003】
水剤の調剤を行なうための水剤供給装置に関する従来の技術は、たとえば、特開2009−112673号(特許文献1)に開示されている。上記文献では、複数の水剤ボトルを保持しつつ回転する回転ユニットを有し、回転ユニットを180度回転させることで水剤ボトルを転倒させる、水剤供給装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−112673号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
懸濁性の水剤を調剤する場合、調剤指針によって、水剤ボトル内の水剤を攪拌した後に投薬ボトルへ供給することが求められている。上記文献に記載の水剤供給装置では、回転ユニットを用いて水剤ボトルを180度回転させ転倒させることにより、水剤ボトルに貯留されている水剤が攪拌されるので、水剤の攪拌のための構成が複雑であり、水剤供給装置が大型化する問題があった。
【0006】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、簡単な構成で水剤ボトルに収容された水剤を装置内で攪拌できる、水剤供給装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る水剤供給装置は、水剤を収容した水剤ボトルから水剤を投薬ボトルに供給する水剤供給装置であって、水剤ボトルの底部を保持するホルダと、回転力を発生させ、水剤ボトルの中心線に沿う回転軸を中心に、ホルダとホルダに保持された水剤ボトルとを回転させる回転駆動部と、を備える。
【0008】
上記水剤供給装置において好ましくは、水剤ボトルから流出する水剤が通過する管部を備え、管部は、水剤ボトルの内部に配置され、水剤ボトルの開口部から底部へ向かって延びる。
【0009】
上記水剤供給装置において好ましくは、ホルダは、中心線を回転軸から離して水剤ボトルを保持する。
【0010】
上記水剤供給装置において好ましくは、回転駆動部は正逆両方向の回転力を発生し、水剤ボトルを正方向に回転させた後に、正方向と反対の逆方向に水剤ボトルを回転させる。
【0011】
上記水剤供給装置において好ましくは、回転駆動部が水剤ボトルを回転させた後に水剤を投薬ボトルに供給する。
【発明の効果】
【0012】
本発明の水剤供給装置によると、簡単な構成で、水剤ボトルに収容された水剤を装置内で攪拌することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施の形態の水剤供給装置の構成を示す斜視図である。
【図2】図1に示す水剤供給装置の正面図である。
【図3】図2に示すIII−III線に沿う水剤供給装置の断面図である。
【図4】図2に示すIV−IV線に沿う水剤供給装置の断面図である。
【図5】図2に示すV−V線に沿う水剤供給装置の断面図である。
【図6】水剤ボトル内の水剤を攪拌する攪拌ユニットの構成を示す斜視図である。
【図7】図6に示す攪拌ユニットの側面図である。
【図8】図7中に示すVIII−VIII線に沿う攪拌ユニットの断面図である。
【図9】攪拌ユニットの分解斜視図である。
【図10】水剤ボトルにチューブを取り付ける取付構造の分解斜視図である。
【図11】チューブの全体構成を示す概略図である。
【図12】水剤供給装置の制御方法の一例を示す流れ図である。
【図13】攪拌装置の変形例を示す概略図である。
【図14】攪拌装置の他の変形例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面に基づいてこの発明の実施の形態を説明する。なお、以下の図面において、同一または相当する部分には同一の参照番号を付し、その説明は繰返さない。
【0015】
図1は、本発明の一実施の形態の水剤供給装置1の構成を示す斜視図である。図2は、図1に示す水剤供給装置1の正面図である。図3は、図2に示すIII−III線に沿う水剤供給装置1の断面図である。図4は、図2に示すIV−IV線に沿う水剤供給装置1の断面図である。図5は、図2に示すV−V線に沿う水剤供給装置1の断面図である。本実施の形態の水剤供給装置1は、患者に対する処方箋に従って、液状の薬剤である水剤5を、水剤5を収容した水剤ボトル23から投薬ボトル2に供給し、調剤するために用いられる。
【0016】
水剤供給装置1は、水剤ボトル23から水剤5を投薬ボトル2に供給する水剤供給手段3と、投薬ボトル2に収容される水剤5の重量を検出する重量検出手段4とを備える。重量検出手段4により検出される水剤5の重量、および、水剤5の比重から、投薬ボトル2に供給された水剤5の体積が算出される。水剤供給手段3は、処方箋に従った所定の体積の水剤5が投薬ボトル2に供給されるように制御される。水剤供給手段3と重量検出手段4とは、筐体6に設けられる。筐体6は、直方体形状に形成され、起立した状態で水平な設置面に設置される。
【0017】
筐体6の内部には、支持フレーム8が設けられる。支持フレーム8は、筐体6の底板9と筐体6の天板10との間に配置され、詳しくは筐体6の天板10寄りに配置される。筐体6の内部空間は、支持フレーム8によって、支持フレーム8よりも上方の上部空間11と支持フレーム8よりも下方の下部空間12とに仕切られる。筐体6の前面部13には、タッチパネル14と、プリンタ17a,17bとが配置される。また前面部13には、下部空間12と筐体6の外部とを連通する下部開口15が形成される。
【0018】
下部開口15は、筐体6の前面部13における左右両側部16a,16bの間に形成される。左右両側部16a,16bの間の、下部開口15の上側には、下部空間12と筐体6の外部とを仕切る、湾曲した板状の前方カバー部18が配置されている。前方カバー部18は、下部空間12を筐体6の前方側の外部から視認可能なように、透明な材料により形成される。前方カバー部18は、左右両側部16a,16bの一方にヒンジを介して取り付けられ、当該ヒンジの軸周りに回動可能に設けられており、これにより、前方カバー部18は開閉可能とされている。
【0019】
水剤供給手段3は、下部空間12に配置され、支持フレーム8に対して鉛直な軸線(以下、「ドラム軸線」という)L1まわりに回転自在に設けられる回転体である回転ドラム21と、支持フレーム8の上面に載置され、支持フレーム8に対してドラム軸線L1まわりに回転ドラム21を回転させるドラム回転用モータ22と、を有する。水剤供給手段3はまた、回転ドラム21に設けられ、水剤5が収納された複数の水剤ボトル23から投薬ボトル2に水剤を移送する複数のポンプ24と、各ポンプ24を駆動するポンプ駆動ユニット25と、を有する。各ポンプ24は、チューブポンプであってもよい。
【0020】
回転ドラム21は、各ポンプ24を保持するポンプ保持体31と、各水剤ボトル23を開口部23A(後述する図10参照)が上方向に開口するように起立した状態に保持する水剤ボトル保持体32と、を有する。水剤ボトル保持体32は、ポンプ保持体31の下方に設けられており、平面視環状の平板形状に形成されている。ポンプ保持体31には、各ポンプ24が、ドラム軸線L1を中心とする周方向(以下、「ドラム周方向」という)に間隔をあけて配置される。水剤ボトル保持体32には、各水剤ボトル23が、ドラム周方向に間隔をあけて配置される。
【0021】
本実施の形態で回転ドラム21に搭載される水剤ボトル23およびポンプ24の個数は、目的に応じて任意に変更できる。複数の水剤ボトル23の各々に異なる水剤5が収容されてもよく、複数の水剤ボトル23に処方頻度の高い同種の水剤5が収容されてもよく、一つまたは複数の水剤ボトル23に常水や単シロップなどの賦形剤が収容されてもよい。
【0022】
各ポンプ24の各々を選択的に駆動するためのポンプ駆動ユニット25は、支持フレーム8に固定される固定部37と、固定部37に対して前後方向(図4および図5中に示す両矢印A方向)に移動自在に設けられる移動部38と、固定部37に固定され、移動部38を固定部37に対して前後方向に移動させる移動用モータ39と、移動部38に固定され、ポンプ24を駆動させるポンプ駆動用モータ40と、を有する。ポンプ駆動用モータ40として、ステッピングモータが用いられてもよい。
【0023】
ポンプ駆動用モータ40によって回転駆動される駆動軸41の先端には、連結部材42が固定される。各ポンプ24のロータの回転軸43には、連結部材42と連結される被連結部材44が固定される。連結部材42と被連結部材44とが連結されることで、ポンプ駆動用モータ40の回転がポンプ24に伝達される。ポンプ24は、ドラム回転用モータ22の間欠駆動に連動して、各々のポンプ24毎に駆動されるよう構成されている。水剤5の投薬ボトル2への供給速度は、ポンプ駆動用モータ40の回転速度が高速になるほど、高速になる。
【0024】
移動用モータ39を駆動することによって、ポンプ駆動用モータ40は前後方向に移動する。このポンプ駆動用モータ40の移動により、ポンプ駆動用モータ40の連結部材42をポンプ24の被連結部材44に連結させる連結状態と、連結部材42が被連結部材44に連結していない連結解除状態と、を切り替えることができるようになっている。
【0025】
たとえば、移動用モータ39の駆動によって移動部38を前進させることで、連結部材42と被連結部材44とを連結することができる。また、移動用モータ39の駆動によって移動部38を後退させることで、連結部材42と被連結部材44との連結を解除することができる。回転ドラム21は、連結解除状態において、支持フレーム8に対して回転することができる。
【0026】
連結解除状態でドラム回転用モータ22を駆動することによって、水剤供給装置1に入力された処方箋情報に基づいて選択された特定のポンプ24の被連結部材44がポンプ駆動用モータ40の連結部材42に対面する位置まで回転ドラム21を回転させ、回転後において連結状態に切り替える。これにより、選択された特定のポンプ24を駆動して、所望の水剤ボトル23から供給される水剤5を投薬ボトル2に分注することができる。なお、連結部材42と被連結部材44とは、共にギヤで構成されているが、動力を伝達可能なものであれば、どのような構成であってもよい。
【0027】
回転ドラム21の上端部26には、ドラム軸線L1と同軸に水平に配置されたリング部材27が、ドラム軸線L1回りに回転可能に配置される。リング部材27の外周側には、リング部材27を支持する3つ以上の支持部材28が設けられる。各支持部材28は、ドラム周方向に、等しい間隔を空けて配置される。
【0028】
各支持部材28は、ドラム軸線L1に平行な軸線回りに、支持フレーム8に対して相対回転自在に設けられる。扁平円筒状の各支持部材28の外周面には、全周にわたって凹条29が形成される。リング部材27の外周部には、全周にわたって環状の凸条30が形成される。リング部材27の凸条30は、各支持部材28の凹条29に嵌り込む。リング部材27と支持部材28とは、互いに相対回転可能に設けられている。
【0029】
ドラム回転用モータ22は、支持フレーム8に固定される。ドラム回転用モータ22の回転軸には、原動歯車(図示せず)が固定される。回転ドラム21の上端部26には、原動歯車に噛合する従動歯車33が固定される。従動歯車33は、環状薄板状に形成され、リング部材27の下面に固定されている。ドラム回転用モータ22の回転は、原動歯車および従動歯車33を介してリング部材27に伝達され、これにより、リング部材27とリング部材が固定された回転ドラム21とが一体として回転する。このような構成によって、支持フレーム8に対して回転ドラム21を円滑に回転させることができる。
【0030】
ドラム回転用モータ22は、回転ドラム21に搭載された複数の水剤ボトル23と、複数の水剤ボトル23毎に対応して設けられたポンプ24および供給ノズル36と、一端が水剤ボトル23の内部に配置され他端が供給ノズル36に取り付けられた後述するチューブ34と、を水平方向に一体に回動させる。
【0031】
供給ノズル36は、ポンプ保持体31の下端に設けられた環状の平板であるノズル取付板53の、外周部同一円周上に取り付けられている。各供給ノズル36は、ノズル取付板53上に、ドラム軸線L1を中心とする仮想円上でドラム周方向に等間隔をあけて配置される。供給ノズル36は、ドラム軸線L1に対して所定の角度で傾斜して、ノズル取付板53に取付けられている。ノズル取付板53は、水剤ボトル保持体32の上方に配置されている。ノズル取付板53と水剤ボトル保持体32とは互いに並行であり、回転ドラム21と共に水平面上でドラム軸線L1回りに回動可能に構成されている。
【0032】
重量検出手段4は、下部開口15に配置される。重量検出手段4は、電子天秤45と、電子天秤45を収容するケーシング46と、電子天秤45に載置されて固定され、投薬ボトル2を開口2Aが上方向に開口するように起立した状態に保持する投薬ボトル保持体47とを有する。電子天秤45は、投薬ボトル2に供給された水剤5の重量を検出する。水剤5の重量が所定値に到達することにより、水剤供給手段3はポンプ24の駆動を停止し、投薬ボトル2への水剤5の供給を停止する。電子天秤45は、音叉式、ロードセル式または電磁式などの任意の形式であってもよい。ケーシング46は、筐体6の前面部13における左右両側部16a,16b間の下部に設けられる。投薬ボトル保持体47は、投薬ボトル2が載置される載置台48と、載置台48の上側に設けられ投薬ボトル2を保持する保持具49と、を有する。
【0033】
重量検出手段4は、図5に示す駆動部としての昇降装置50により昇降されるようになっている。昇降装置50は、初期位置と供給位置との2位置に位置することができるように、重量検出手段4を上下方向に移動させ、これに伴い、重量検出手段4の載置台48上に載置された投薬ボトル2を移動させる。初期位置は、投薬ボトル2を水剤供給装置1の載置台48上に設置するための位置である。供給位置は、上記初期位置よりも投薬ボトル2と供給ノズル36とが接近して、投薬ボトル2に水剤5を供給するための位置である。昇降装置50によって、投薬ボトル2は、初期位置と供給位置とを往復するように、水剤供給装置1の筐体6の外部と内部とを往復移動する。
【0034】
図6は、水剤ボトル23内の水剤5を攪拌する攪拌ユニットの構成を示す斜視図である。図7は、図6に示す攪拌ユニットの側面図である。図8は、図7中に示すVIII−VIII線に沿う攪拌ユニットの断面図である。図9は、攪拌ユニットの分解斜視図である。本実施の形態の水剤供給手段3は、水剤供給装置1の筐体6の内部に、水剤ボトル23に収容された水剤5を攪拌する攪拌装置を備える。以下、この攪拌装置について詳細に説明する。
【0035】
なお、図6〜9および後述する図10では、わかりやすさを優先して、水剤ボトル23が一本のみ載置された水剤ボトル保持体32を示している。また、水剤供給装置1は水剤ボトル23を保持するための複数のカップ固定部76,76Aおよびカップ78などを備えるが、図6〜10には複数のカップ固定部76,76Aおよびカップ78などの一部のみが図示され、それらの全てが図示されていない。
【0036】
水剤ボトル保持体32の下側には、回転力を発生させる回転駆動部61が配置される。図8に示すように、回転駆動部61は、動力源の一例としてのモータ62と、モータ62を内部に収容するボックス63と、を有する。モータ62の回転軸には、モータ62とともに回転する軸部64が連結される。軸部64は、モータ62と一体に回転軸L3を中心に回転可能に、モータ62に固定されている。軸部64は、ボックス63の内部と外部とに亘るように配置される。軸部64は、平板状の水剤ボトル保持体32を上下方向に貫くように配置され、モータ62の発生する回転力を水剤ボトル保持体32の下側から水剤ボトル保持体32の上側へ伝達する。
【0037】
軸部64には、後述する種々の要素を介在させて、カップ78が固定される。カップ78は、水剤ボトル23を保持するホルダとして機能する。カップ78は、図8に示す水剤ボトル23の底部23B側を保持する。カップ78は、有底の中空円筒形状に形成される。水剤ボトル23は、底部23Bがカップ78の内底面に対向するように、カップ78内に収容される。カップ78の側壁の内壁面は、水剤ボトル23の側面の径に対して僅かに大きい径を有する。そのため、水剤ボトル23の側面は、カップ78の側壁の内壁面に対して微小な隙間を介して対向する。水剤ボトル23の側面の一部がカップ78の側壁の内壁面に接触してもよい。
【0038】
水剤ボトル23の内部には、管部としてのチューブ34が配置される。チューブ34は、複数の水剤ボトル23毎に設けられる。チューブ34は、可撓性と弾性とを有する材料で形成され、その断面は押圧により変形可能であり、押圧を解除することにより弾性復元する。チューブ34は、たとえばシリコンチューブなどの合成樹脂製であってもよい。チューブ34は、水剤ボトル23の開口部23Aから底部23Bへ向かって延び、その一端部34aが水剤ボトル23の底部23Bの内面に接触するように、水剤ボトル23の内部に配置されている。
【0039】
図10は、水剤ボトル23にチューブ34を取り付ける取付構造の分解斜視図である。図7、図8および図10を参照して、水剤ボトル23の開口部23Aには、ベース部材81が固定されている。ベース部材81は、円環板状のフランジ部81aと、フランジ部81aの上面から突出する円筒状のスリーブ部81bと、を有する。スリーブ部81bの端部を形成する円板部材の中央部に、当該円板部材を貫通する貫通孔81cが形成されている。ベース部材81が水剤ボトル23の開口部23Aに取り付けられた状態で、水剤ボトル23の内部と外部とは、貫通孔81cを介して連通している。チューブ34は、貫通孔81cを貫くように貫通孔81cに挿通されて、水剤ボトル23の外部から内部に亘って配置されている。
【0040】
ベース部材81は、図8に示すように、水剤ボトル23の開口部23Aに固定される。ベース部材81のスリーブ部81bの内周面には、たとえばシリコーンゴムなどの弾性材料製の、円筒形状のスペーサ82が取り付けられる。ベース部材81または水剤ボトル23に寸法ばらつきが発生しても、確実に水剤ボトル23の開口部23Aにベース部材81を固定させることができるように、ベース部材81は、弾性変形可能なスペーサ82を介在させて、水剤ボトル23に取り付けられる。
【0041】
ベース部材81上には、カバー83が配置されている。カバー83は、ベース部材81に対し非固定状態に、ベース部材81のフランジ部81aの上面に載置されている。カバー83は、中空円筒状の壁部と壁部の上端を覆う円板状の天井部とを有するキャップ形状に形成される。上記壁部の下端がベース部材81の上面に当接して、ベース部材81上にカバー83が載置される。水剤ボトル23に固定されたベース部材81上にカバー83が載置された状態で、カバー83は、水剤ボトル23の開口部23Aを覆うように設けられている。カバー83の上記天井部には、チューブ34が丁度挿通される程度の径を有する貫通孔が形成されている。
【0042】
カバー83の上記天井部にはさらに、上面の一部が窪んだ窪み部84が形成されている。チューブ34には、位置決め部材85が取り付けられている。位置決め部材85は、チューブ34の内部を経由して流れる水剤5の流れを妨げることなく、チューブ34に取り付けられる。また位置決め部材85は、チューブ34に対するチューブ34の長手方向の移動が困難であるように、チューブ34に取り付けられる。窪み部84と位置決め部材85とは、位置決め部材85が窪み部84内に嵌合するように、互いに対応する形状に形成されている。
【0043】
位置決め部材85は、カバー83に形成された窪み部84と係合することにより、位置決め部材85の取り付けられたチューブ34の、水剤ボトル23に対する位置決めをする。図8に示すように、位置決め部材85がカバー83の窪み部84内に収容されるとき、水剤ボトル23内で僅かに湾曲したチューブ34の一端部34aが水剤ボトル23の底部23Bと接触するように、位置決め部材85は水剤ボトル23に対するチューブ34の位置決めをする。
【0044】
さらに、水剤ボトル23の外部でチューブ34を固定するための、チューブ固定部86が設けられている。チューブ固定部86は、図3に示すように、ノズル取付板53の下面側に固定されている。チューブ固定部86には、切欠き87が形成されている。切欠き87は、チューブ34を切欠き87の内部に保持できるように、チューブ34の外径とほぼ等しい形状に形成されている。チューブ34が水剤ボトル23の内部に挿入された、図7および図8に図示された状態で、チューブ34を切欠き87の内部に保持させることにより、チューブ34はノズル取付板53に対して固定される。チューブ34はさらに、ノズル取付板53に形成された切欠き部54(図5参照)に嵌め入れられることにより、ノズル取付板53に対して固定される。
【0045】
図11は、チューブ34の全体構成を示す概略図である。上述したように、チューブ34の開口した一端部34aは、水剤ボトル23の底部23Bにまで挿入され、水剤ボトル23内の水剤5に浸漬している。チューブ34の一端部34aと反対側の端部である他端部34bは、供給ノズル36に取り付けられている。上述したポンプ24がチューブポンプである場合、一端部34aと上記他端部との間のチューブ34の途中部分は、ポンプ24に挿通され、ポンプ24に着脱自在に把持される。
【0046】
ポンプ24は、水剤ボトル23内の水剤5を供給ノズル36に向けて吸引する動力源として用いられる。ポンプ24の駆動により水剤ボトル23から投薬ボトル2へ水剤5を供給するとき、水剤ボトル23から流出した水剤5は、一端部34aからチューブ34の内部を通過して流れ、供給ノズル36の端部が開口した供給口36Aから投薬ボトル2内に流入する。
【0047】
上述した位置決め部材85は、チューブ34の一端部34aから所定の距離を隔てて、チューブ34に取り付けられている。チューブ34の一端部34aから、位置決め部材85が取り付けられるチューブ34の位置までの距離が一定に保たれるように、位置決め部材85はチューブ34に取り付けられる。これにより、位置決め部材85が取り付けられたチューブ34を準備し、カバー83に形成された窪み部84に位置決め部材85を嵌め入れる簡単な操作によって、確実に水剤ボトル23に対するチューブ34の位置決めをすることができる。位置決め部材85は、チューブ34の一端部34aが水剤ボトル23内において確実に水剤5中に浸漬するように、典型的には一端部34aが水剤ボトル23の底部23Bに接触するように、チューブ34の長手方向に対する位置を設定されている。
【0048】
以上のような構成を備える攪拌装置において、回転駆動部61のモータ62を駆動させると、モータ62に固定された軸部64が、モータ62とともに回転する。このときのモータ62の回転方向を正方向と称する。軸部64の正方向の回転に伴って、軸部64に固定されたカップ78と、カップ78に保持された水剤ボトル23とは、回転軸L3を中心として回転する。水剤ボトル23の回転の中心軸を形成する回転軸L3は、水剤ボトル23の中心線L2に沿っている。ここで、水剤ボトル23の中心線L2とは、水剤ボトル23の開口部23Aと底部23Bとを結ぶ直線をいい、典型的には、平面視円形状の水剤ボトル23の開口部23Aの中心と、平面視円形状の水剤ボトル23の底部23Bの中心とを結ぶ直線をいう。
【0049】
図7および図8に図示された実施の形態では、水剤ボトル23がカップ78の中央に配置されている。これにより、水剤ボトル23の中心線L2と、回転駆動部61の回転軸L3とは、同一直線状に存在している。
【0050】
この水剤ボトル23の回転に伴って、水剤ボトル23内に収容された水剤5は、水剤ボトル23の回転方向に沿って、水剤ボトル23の内部を、水剤ボトル23の円筒状の側部の周方向に流れる。
【0051】
モータ62を所定時間正方向に回転させた後に、続いて、正方向と反対の方向である逆方向にモータ62を回転させる。回転駆動部61は、正逆両方向の回転力を発生できるように設けられている。水剤供給装置1を操作する操作者がモータ62の回転方向および回転時間を任意に設定可能に、水剤供給装置1を構成してもよい。たとえば、モータ62を正方向に5秒間回転させ水剤ボトル23を複数回回転させた後に、モータ62を逆方向に5秒間回転させ水剤ボトル23を逆方向に複数回回転させるなど、モータ62の正方向の回転と逆方向の回転との時間を等しくしてもよい。またたとえば、モータ62の回転方向を正方向のみに設定してもよい。
【0052】
モータ62の回転方向を切り換えることに伴って、水剤ボトル23の回転方向も切り替わる。すなわち、回転駆動部61は、水剤ボトル23を正方向に回転させた後に、正方向と反対の逆方向に水剤ボトル23を回転させる。回転方向が切り換えられ逆方向に回転する水剤ボトル23の内部では、水剤5の流れにおける乱流の乱れ強さが増大する。加えて、水剤5の流れ中に渦が発生する。この乱流および渦の作用によって、水剤5は水剤ボトル23内で攪拌される。
【0053】
このように、回転駆動部61の発生する回転駆動力によって水剤ボトル23が回転することにより、水剤供給装置1の内部において、水剤ボトル23内に収容された水剤5を攪拌することができる。そのため、撹拌を必要とする水剤5を、本実施の形態の水剤供給装置1を使用して、短時間で効率的に調剤することができる。従来の装置と比較して回転駆動部61が追加された簡単な構成で、水剤ボトル23を保持するカップ78と水剤ボトル23とを一体に回転させ、水剤5を水剤供給装置1内で攪拌することができる。水剤ボトル23の回転方向を正方向から逆方向へ切り換えることにより、水剤ボトル23内の乱流の乱れ強さを増大させることができるので、より効率よく水剤5を攪拌することができる。
【0054】
また、水剤ボトル23の開口部23Aから底部23Bにまで至るように水剤ボトル23内にチューブ34が配置されており、チューブ34は水剤ボトル23の外部で固定されている。そのため、回転する水剤ボトル23に対し、チューブ34は相対回転する。水剤ボトル23とともに水剤ボトル23内を流れる水剤5に対し、チューブ34は固定された状態に保たれるので、チューブ34は水剤5に対する攪拌子として機能する。つまり、チューブ34を水剤ボトル23内に水剤5に浸漬するように配置することにより、水剤5の流れが乱流となり易くなる。したがって、より効率よく水剤5を攪拌することができる。
【0055】
水剤ボトル23内に配置されたチューブ34が水剤ボトル23とともに回転すると、チューブ34のねじれが発生する場合がある。チューブ34がねじれると、水剤ボトル23からのチューブ34の外れ、水剤ボトル23の転倒、チューブ34の損傷などの不具合が発生する可能性がある。そのため、本実施の形態では、回転駆動部61が水剤ボトル23を回転させるとき、水剤ボトル23の開口部23Aに固定されたベース部材81は水剤ボトル23と一体に回転するが、ベース部材81上に載置されたカバー83は回転せずベース部材81に対して摺動する構成とする。チューブ34は、ノズル取付板53に対して固定され、かつ、ベース部材81に対して相対回転可能なカバー83に取り付けられる。
【0056】
水剤ボトル23の開口部23Aの径、および、ベース部材81に形成された貫通孔81cの径は、チューブ34の外径に対してある程度大きく形成されている。カバー83に形成されたチューブ34を挿通可能な貫通孔の位置を、水剤ボトル23の開口部23Aおよびベース部材81に形成された貫通孔81cと合わせることにより、図8に示すように、チューブ34は、開口部23Aおよび貫通孔81cの中央部を通るように水剤ボトル23に対して位置決めされる。ベース部材81と、カバー83と、位置決め部材85とは、開口部23Aの中央部を通るように水剤ボトル23に対するチューブ34の位置決めをする、位置決め手段を構成する。チューブ34は、この位置決め手段を介して、水剤ボトル23に取り付けられる。
【0057】
このような構成とすることにより、開口部23Aにチューブ23が接触するのを防止できるので、水剤ボトル23の回転時にチューブ34が水剤ボトル23と共に回転することを防止できる。そのため、チューブ34のねじれの発生を抑制でき、上述したようなチューブ34のねじれに伴う不具合の発生を抑制することができる。また、回転する水剤ボトル23およびベース部材81にチューブ34が接触してチューブ34の外表面が磨耗することを抑制できる。したがって、チューブ34の破損を抑制でき、かつ、チューブ34の磨耗粉が水剤ボトル23内へ侵入することを防止することができる。
【0058】
位置決め部材85をカバー83の窪み部84に嵌合させて位置決め部材85をカバー83に保持させることにより、チューブ34をカバー34に係合させ、チューブ34を開口部23Aの中央部を通るように水剤ボトル23に対して容易に位置決めでき、チューブ34のねじれまたは磨耗の発生を容易に抑制することができる。
【0059】
図10に示すように、カバー83に形成される窪み部84をカバー83の中央部から径方向外側へ向かう方向に延びる形状とし、チューブ34に取り付けられる位置決め部材85を窪み部84に合わせた形状とする。すなわち、位置決め部材85は、チューブ34の延在方向に対し交差する(典型的には直交する)方向に延在する。位置決め部材85の延在方向の一端側において、チューブ34が位置決め部材85を貫通し、上記一端側と反対側の他端側はチューブ34からチューブ34の径方向外側へ張り出すように、チューブ34の表面に対して突出している。このように位置決め部材85を形成すれば、位置決め部材85はチューブ34がカバー83に対して回転するのを防止する回転止め機能を有する。そのため、チューブ34とカバー83との磨耗を防ぐことができ、かつ、位置決め部材85とカバー83との磨耗を防ぐことができる。
【0060】
水剤ボトル23の回転時に、ベース部材81は、回転しないカバー83と接触した状態で、水剤ボトル23と共に回転する。そのため、ベース部材81とカバー83との接触摺動部分では、ベース部材81またはカバー83を形成する材料が磨耗する。しかし、ベース部材81が平板状のフランジ部81aとフランジ部81aから突起したスリーブ部81bとを有し、カバー83がフランジ部81a上に載置され、チューブ34がカバー83を貫通して配置されるための貫通孔81cはスリーブ部81bの上端に形成されている。したがって、ベース部材81とカバー83との磨耗粉が貫通孔81cを経由して水剤ボトル23内へ侵入することを、防止することができる。
【0061】
本実施の形態の撹拌装置では、回転駆動部61が水剤ボトル23の下側に配置され、回転力を伝達する軸部64がボックス63および水剤ボトル保持体32を貫通して回転駆動部61から上方に突き出している。軸部64を伝ってモータ62へ水剤5が浸入すると、モータ62に不具合が発生する可能性がある。そのため、水剤ボトル23の取り扱い時に水剤5がこぼれた場合にモータ62への水剤5の浸入を防止してモータ62を保護するための防水構造が、水剤ボトル保持体32の上面に設けられている。以下、この防水構造について説明する。
【0062】
図8および図9に示すように、モータ62に連結された軸部64の端部は、キャップ状の連結軸65によって覆われている。軸部64は、水剤ボトル保持体32に形成された貫通孔を経由して、水剤ボトル保持体32の上下両側に亘って配置される。連結軸65は、水剤ボトル保持体32の上側に配置されている。連結軸65は、メンテナンスの容易性を考慮して、軸部64に取り外し可能に取り付けられている。
【0063】
軸部64を貫通させるための水剤ボトル保持体32に形成された貫通孔の周囲を囲むように、弾性材料製の円環形状のシート部材71が、水剤ボトル保持体32の上面に接触して配置される。シート部材71は、水剤ボトル保持体32と、環状の押圧部材72との間に挟持される。押圧部材72は、複数のボルトに代表される固定部材73によって、水剤ボトル保持体32に固定されている。押圧部材72は、シート部材71に対し厚み方向に応力を作用し、シート部材71をその周方向の全体に亘って弾性変形させた状態に保ちながら、水剤ボトル保持体32に固定される。これにより、水剤ボトル保持体32に形成された貫通孔の周囲が液密に封止され、シート部材71に対し外周側から内周側への液体の浸入が防止されている。
【0064】
連結軸65の上端は、水剤ボトル保持体32に固定された押圧部材72に対し、上方に突き出している。連結軸65の上端には、円板状の円形コネクタ74が固定される。円形コネクタ74には、中心に近い側の固定穴74aと、周辺部に近い側の固定穴74bとが形成されている。円形コネクタ74と連結軸65とは、固定穴74aにボルトが挿通されることにより、一体に固定される。
【0065】
円形コネクタ74と、押圧部材72とを覆うように、カバー75が設けられる。円形コネクタ74とカバー75とは、円形コネクタの周辺側の固定穴74bと、カバー75に形成された固定穴75bとにボルトが挿通されることにより、一体に固定される。カバー75は、円形コネクタ74の上面に接触する円板部と、この円板部の周辺から水剤ボトル保持体32側へ張り出す円筒部と、を有する。円筒部の直径は、円形コネクタ74および押圧部材72の直径よりも大きく、押圧部材72の外周面は円筒部によって囲まれている。カバー75の円板部は、円形コネクタ74に面接触する。
【0066】
以上のような防水構造により、カバー75に上方から液体がこぼれた場合に、液体はカバー75の円板部から円筒部の外側へ流れ、径方向内側の押圧部材72へ向かう液体の流れが抑制されている。押圧部材72の内側への液体の流入が防げられ、押圧部材72およびシート部材71を越えて軸部64へ液体が到達することが防止されている。また、カバー75と円形コネクタ74とを固定するための固定穴75b,74bを経由して液体が流れたとしても、固定穴74bは円形コネクタ74の外周付近に形成されており、円形コネクタ74の中央付近の固定穴74aにまで液体が到達することが抑制され、固定穴74aを経由して軸部64へ液体が到達することが抑制されている。したがって、軸部64を伝う液体の流れの発生を防止でき、軸部64を伝ったモータ62への水剤5の浸入を防止することができる。
【0067】
また、上述した防水構造を形成する各々の要素を、たとえばボルトなどを使用して取り外し可能に取り付けることで、水剤5がこぼれた場合に、各要素を取り外すことでこぼれた水剤5を容易に清掃することができる。
【0068】
カバー75の上側にはさらに、円板状のカップ固定部76が固定される。カップ固定部76には、上方へ突起する突起77が形成されている。カップ78の底面に形成された凹部にこの突起77が嵌合することで、カップ固定部76に対するカップ78の位置決めができ、カップ78のずれが防止できる。カップ固定部76は、強磁性体の材料により形成されている。そのため、カップ78の底面に磁石を設置することにより、カップ78はカップ固定部76に磁着して固定される。このような構成とすれば、カップ78を突起77に合わせて配置してカップ固定部76上に載置するだけで、カップ78をカップ固定部76に対し適切に位置決めされた状態で、カップ78を簡単に固定することができる。
【0069】
水剤ボトル23の底部23Bと対向するカップ78の内底面には、図示しない滑り止めシートが貼着される。この滑り止めシートは、水剤ボトル23がカップ78の内底面に対して滑るのを抑制し、回転駆動部61の正回転と逆回転との切換時に、水剤ボトル23がカップ78と共にスムーズに回転方向を切り換えることを可能にする。
【0070】
次に、水剤ボトル23から投薬ボトル2へ水剤5を供給して調剤を行なう場合の制御について説明する。図12は、水剤供給装置1の制御方法の一例を示す流れ図である。
【0071】
まず、投薬ボトル2を載置台48上に設置するための初期位置にある載置台48に投薬ボトル2をセットし、タッチパネル14を操作して投薬ボトル2への水剤5の供給を開始する指令を出すと、工程(S10)に示すように、昇降装置50に制御信号が送信される。昇降装置50が重量検出手段4を上方へ移動させることにより、投薬ボトル2は上昇する。重量検出手段4は、投薬ボトル2への水剤5の供給を行なう供給位置に到達するまで、上方へ移動する。
【0072】
次に工程(S20)において、ドラム回転用モータ22が制御され、回転ドラム21が回転する。水剤供給装置1により調剤を行なう前の初期状態では、供給ノズル36の下端に形成された供給口36Aが投薬ボトル2の上端に形成された開口2Aに臨む位置に位置せず、円周方向で隣り合う供給ノズル36,36間に投薬ボトル2が位置する。ドラム回転用モータ22が駆動されることにより、供給ノズル36の供給口36Aが投薬ボトル2の開口2Aに臨む位置に供給ノズル36が水平方向に移動するように、回転ドラム21が回転する。
【0073】
このとき、回転ドラム21に取り付けられた水剤ボトル保持体32上に載置された水剤ボトル23も、水平方向に移動する。そして、収容された水剤5が払い出される水剤ボトル23が、水剤供給装置1の最前面側に配置される。このように水剤ボトル23が移動することで、調剤される水剤5の種類を、水剤供給装置1の前方から視覚的に確認することができる。
【0074】
回転ドラム21の回転が完了すると、次に工程(S30)において、ポンプ駆動用モータ40を前方に移動し、ポンプ駆動用モータ40の連結部材42をポンプ24の被連結部材44に連結する。これにより、ポンプ駆動用モータ40の回転がポンプ24に伝達可能な状態、すなわち、ポンプ24が駆動可能な状態にする。
【0075】
次に工程(S40)において、投薬ボトル2へ供給される水剤5が、攪拌を必要とする種類の水剤5であるか否かを判断する。攪拌必要と判断された場合、続いて工程(S50)において、回転駆動部61が正方向に駆動することにより、水剤ボトル23は正方向に回転する。さらに工程(S60)において、回転駆動部61が逆方向に駆動することにより、水剤ボトル23は逆方向に回転する。この水剤ボトル23の正逆回転によって、水剤ボトル23内の水剤5が十分に攪拌される。
【0076】
続いて工程(S70)において、ポンプ24を駆動して、水剤ボトル23内の所定量の水剤5を、チューブ34および供給ノズル36を経由して、投薬ボトル2へ供給する。回転駆動部61が水剤ボトル23を回転させた後に水剤5を投薬ボトル2に供給することにより、十分に攪拌された状態の水剤5を供給できる。したがって、調剤指針により調剤前の攪拌を必要とされる種類の水剤5を、本実施の形態の水剤供給装置1を使用して、自動的に調剤することができる。
【0077】
工程(S40)において攪拌が不要と判断された場合、水剤ボトル23を回転させる工程は省略され、直ちにポンプ24が駆動されて、水剤ボトル23から投薬ボトル2へ水剤5が供給される。なお、攪拌が不要な水剤5を収容した水剤ボトル23は、水剤ボトル保持体32の上面にカップ固定部76A(図6〜図10参照)を介在させて取り付けられたカップ78の内部に保持されている。カップ固定部76Aの下方には、回転駆動部61は設けられていない。
【0078】
続いて工程(S80)において、投薬ボトル2への水剤5(および、必要な場合には賦形剤)の供給が全て完了し、調剤が完了したか否かが判断される。水剤5の供給が完了していない場合、工程(S20)に戻り、次に供給される水剤5が収容された水剤ボトル23が装置最前側に配置されるように、回転ドラム21が回転される。水剤5の供給が完了した場合、昇降装置50が載置台48を下方へ移動させることにより、投薬ボトル2は下降する。載置台48は、供給位置から初期位置に戻るまで、下方へ移動する。このようにして、本実施の形態の水剤供給装置1を使用した水剤5の投薬ボトル2への供給が完了する。
【0079】
図13は、攪拌装置の変形例を示す概略図である。図13に示す例では、水剤ボトル23の中心線L2が回転駆動部61の回転軸L3からずれており、ホルダとしてのカップ78は、中心線L2を回転軸L3から離して水剤ボトル23を保持する。
【0080】
水剤ボトル23をカップ78内に容易に収容するために、水剤ボトル23の径に対しカップ78の径は若干大きく形成されており、水剤ボトル23とカップ78との間には若干の遊びがある。そのため、図8に示す構成でも中心線L2と回転軸L3とは実際には完全に一致せず、回転駆動部61の回転に対して水剤ボトル23内の水剤5は偏心回転すると考えられる。この偏心回転により、水剤5は効率よく攪拌される。そこで、図13に示すように、中心線L2と回転軸L3とを積極的にずらす構成とすれば、回転駆動部61の回転に対して水剤ボトル23内の水剤5が確実に偏心回転し、偏心の大きさを増大させることができるので、一層効率よく水剤5を攪拌することができる。
【0081】
図14は、攪拌装置の他の変形例を示す概略図である。図14に示す例では、カップ78の底面に上方へ突起する突起79が設けられており、水剤ボトル23の底部23Bが突起79上に載るように、水剤ボトル23はカップ78内に配置される。このようにすれば、回転駆動部61の回転軸L3に対して水剤ボトル23の中心線L2を傾斜させることができ、水剤ボトル23内の水剤5の回転軸もまた回転軸L3に対して傾斜する。このように回転軸をずらすことにより、一層効率よく水剤5を攪拌することができる。
【0082】
以上のように本発明の実施の形態について説明を行なったが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。この発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味、および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0083】
1 水剤供給装置、2 投薬ボトル、2A 開口、5 水剤、6 筐体、21 回転ドラム、23 水剤ボトル、23A 開口部、23B 底部、24 ポンプ、32 水剤ボトル保持体、34 チューブ、34a 一端部、34b 他端部、36 供給ノズル、36A 供給口、53 ノズル取付板、54 切欠き部、61 回転駆動部、62 モータ、64 軸部、65 連結軸、71 シート部材、72 押圧部材、73 固定部材、74 円形コネクタ、74a,74b,75b 固定穴、75 カバー、76,76A カップ固定部、77 突起、78 カップ、81 ベース部材、81a フランジ部、81b スリーブ部、81c 貫通孔、82 スペーサ、83 カバー、84 窪み部、85 位置決め部材、86 チューブ固定部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水剤を収容した水剤ボトルから前記水剤を投薬ボトルに供給する、水剤供給装置であって、
前記水剤ボトルの底部を保持するホルダと、
回転力を発生させ、前記水剤ボトルの中心線に沿う回転軸を中心に、前記ホルダと前記ホルダに保持された前記水剤ボトルとを回転させる回転駆動部と、を備える、水剤供給装置。
【請求項2】
前記水剤ボトルから流出する前記水剤が通過する管部を備え、
前記管部は、前記水剤ボトルの内部に配置され、前記水剤ボトルの開口部から前記底部へ向かって延びる、請求項1に記載の水剤供給装置。
【請求項3】
前記ホルダは、前記中心線を前記回転軸から離して前記水剤ボトルを保持する、請求項1または請求項2に記載の水剤供給装置。
【請求項4】
前記回転駆動部は正逆両方向の回転力を発生し、前記水剤ボトルを正方向に回転させた後に、前記正方向と反対の逆方向に前記水剤ボトルを回転させる、請求項1から請求項3のいずれかに記載の水剤供給装置。
【請求項5】
前記回転駆動部が前記水剤ボトルを回転させた後に前記水剤を前記投薬ボトルに供給する、請求項1から請求項4のいずれかに記載の水剤供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−80954(P2012−80954A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−227717(P2010−227717)
【出願日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【出願人】(510154420)高園テクノロジー株式会社 (29)
【Fターム(参考)】