説明

水噴霧ノズル及びトンネル用水噴霧設備の点検装置

【課題】トンネル用水噴霧設備の点検の際に、放出した水の収集を、漏れが少なく、また、空気の混入が少ない状態で行うことができる水噴霧ノズルを提供すること。
【解決手段】水噴霧ノズル11のノズルヘッド14とトンネルの壁面71との間に露出した連結板15に、点検装置1のアタッチメント2を装着し、箱状体21の開口21aの周りに設けられたパッチン錠の操作部25を、連結板15のフック16に係合させて固定する。アタッチメント2の箱状体21の開口21aの周りに設けられたパッキン24で、連結板15とアタッチメント2との間が密閉され、集水室が形成される。ノズル11から放出され水を、集水室から漏れることなく収集し、点検装置1の気液分離装置3及び流量計4に送ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば道路のトンネルに設置される水噴霧設備に用いられる水噴霧ノズルと、トンネル用水噴霧設備の点検装置に関する。
【背景技術】
【0002】
高速道路等のトンネルには、火災に対処するための水噴霧設備が設けられている。水噴霧設備は、トンネルの軸方向に所定間隔をおいて配置された水噴霧ノズルと、水噴霧ノズルへの水の供給を制御する弁装置と、水を圧送するポンプ装置を備える。トンネル内で火災が検知されると、遠隔操作や自動制御でポンプ装置を起動すると共に弁装置を開き操作して水噴霧ノズルに水を供給し、水噴霧ノズルから霧状の水を放出してトンネル内に霧状の水を充満させる。これにより、水の蒸発による冷却効果と、水滴の充満による酸欠効果を発揮して、火災の抑制とトンネルの保護を行うようになっている。
【0003】
水噴霧ノズルは、一般的にトンネルの上部に配置されており、トンネルの軸方向に延びる配水管に接続された分岐管の先端に、ノズルヘッドが固定されて形成されている。水噴霧ノズルは、トンネルの形状や寸法等に応じて、トンネル内に均一に噴霧されるように、例えば遠投型ヘッドや近投型ヘッド等の種々のノズルヘッドが設けられ、また、任意の数のノズルヘッドが設けられ、また、ノズルヘッドの水の放出方向が調整される。
【0004】
水噴霧設備は、一定の頻度で放水性能の点検を行う必要がある。最も簡易な点検方法は、トンネル区間を含んだ道路を全面通行止めにして、水噴射ノズルからトンネル内に実際に放水を行う方法である。しかしながら、この点検方法は、道路を全面通行止めにするので、交通に与える影響が大きい。
【0005】
そこで、従来、水噴霧ノズルから水を受ける容器と、容器で受けた水の流量を測定する電磁流量計とを搭載した水噴霧設備の点検車両が提案されている(特許文献1参照)。この点検車両は、油圧駆動のアームに容器を設け、この容器の端面に形成された開口を通して水噴射ノズルを容器内に収容して、水噴射ノズルから放出された水を容器で受ける。容器が受けた水から、気液分離タンクで空気を除去し、電磁流量計で流量を測定した後、道路の排水溝に排出する。このように、点検車両により、トンネル内に放水することなく水噴霧ノズルから所定の流量が放水されているかを確認することにより、点検作業に必要な車線以外の車線を開放して、道路交通に与える影響を少なくしている。
【0006】
一方、水噴霧設備の水噴霧ノズルから水を収集して流量を測定する点検装置として、水噴霧ノズルに被せられ、開口の紐で緊縛されて水噴霧ノズルに装着される可撓性の巾着袋状の集水容器を備え、この集水容器で集めた水から気液分離装置で空気を除去した後、水の流量をフロート式の流量計で測定するものが提案されている(特許文献2参照)。この点検装置は、巾着袋状の集水容器により、水噴霧ノズルから放出された水を漏れが少ない状態で集めることができると共に、フロート式の流量計により、コストダウンと小型化ができるとされている。この点検装置は、トラックに搭載されて作動することにより、点検作業に必要な車線以外の車線を開放しながら水噴霧設備の点検を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第4002674号明細書
【特許文献2】特許第4009145号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1のトンネル用水噴霧設備の点検車両は、水噴霧ノズルからの放水を、端面が開口した状態の容器で受けるので、水噴霧ノズルからの水が開口から外部に漏れやすい。したがって、水噴霧ノズルの放水量の測定精度が低下しやすく、また、水噴霧ノズルの周囲が水浸しになる恐れがある。更に、水噴霧ノズルからの水を収集する際、空気が開口から容器内に流入しやすく、空気の水への混入量が増大しやすいという問題がある。したがって、大型の気液分離タンクが必要となり、点検設備の大型化を招く問題がある。
【0009】
また、水噴霧ノズルの放水を行う間、水噴霧ノズルを収容した状態で容器を支持し続ける必要があるので、油圧駆動のアームによって容器を所定の位置に保持する必要がある。したがって、点検車両は、油圧機器を備えた専用の特殊車両となるため、導入時の初期費用と、車検等の維持費用のいずれも比較的高額となる。その結果、水噴霧設備の点検のためのコストが嵩むという問題がある。さらに、水噴霧設備は、一般に、一つの弁装置で複数の水噴霧ノズルの配水が制御される。したがって、点検の際に同じタイミングで放水する複数の水噴霧ノズルに対応するため、複数台の点検車両が必要となるので、コストが大幅に嵩むという問題がある。
【0010】
さらに、電磁流量計は、測定精度を向上するために、水が整流されて導かれる必要があるため、気液分離タンクの下流側に比較的長い整流用の管路が必要となり、点検設備の大型化を招く問題がある。
【0011】
一方、特許文献2のトンネル用水噴霧設備の点検装置は、水噴霧ノズルからの放水を巾着袋状の集水容器で集めるので、集水容器が水噴霧ノズルからの放水圧を受けて容易に変形する。この変形の繰り返しや、これに伴う開口を縛る紐の緩みによって、集水容器が水噴霧ノズルから脱落する恐れがある。また、集水容器は、可撓性を有する樹脂等の材料で形成されているので、水噴霧ノズルへの着脱の際に部材の角部に接触して損傷したり、水噴霧ノズルからの放水圧を受けて変形を繰り返したりすることにより、劣化しやすい。したがって、交換の頻度が高くてメンテナンス性能に劣る問題がある。さらに、気液分離装置に透水性の分離膜を用いるので、分離膜に水が残留しやすく、点検装置を使用した後に乾燥させる等の維持管理の手間が大きいという問題がある。気液分離装置の分離膜の乾燥が不十分であると、カビの発生等により分離膜が劣化し、短期間で交換が必要になり、メンテナンスの手間とコストが嵩む問題がある。
【0012】
そこで、本発明の課題は、トンネル用水噴霧設備の点検の際に、放出した水の収集を、漏れが実質的に無く、また、空気の混入が少ない状態で行うことができる水噴霧ノズルを提供することにある。また、水噴霧ノズルから放出された水を、漏れが実質的に無く、また、空気の混入が少ない状態で収集できるトンネル用水噴霧設備の点検装置を提供することにある。また、水噴霧ノズルの放出水を集める部材が、水噴霧ノズルに容易かつ堅固に取り付けられ、水噴霧ノズルの放水時にアーム等で支持する必要がなく、しかも、耐久性の良好であるトンネル用水噴霧設備の点検装置を提供することにある。また、耐久性が良好であり、メンテナンスの手間が少ないトンネル用水噴霧設備の点検装置を提供することにある。また、水噴霧ノズルから放出された水を、漏れが実質的に無いうえに、従来の油圧駆動のアームを用いることなく収集でき、したがって、特殊車両の使用が必須ではなくて、点検に使用する車両に関するコストを効果的に低減できるトンネル用水噴霧設備の点検装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するため、本発明の水噴霧ノズルは、トンネル用水噴霧設備に用いられる水噴霧ノズルであって、
霧状の水を放出するノズルヘッドと、
上記ノズルヘッドよりもトンネルの壁面側に露出して配置され、トンネル用水噴霧設備の点検装置のアタッチメントに連結されて、上記ノズルヘッドを収容して密閉された集水室を上記アタッチメントと共に形成するアタッチメント連結部と
を備えることを特徴としている。
【0014】
上記構成によれば、トンネル用水噴霧設備の点検の際、アタッチメント連結部が、点検装置のアタッチメントに連結されて、このアタッチメント連結部とアタッチメントとでノズルヘッドを収容する密閉された集水室が形成される。したがって、ノズルヘッドから放出された水は、殆ど漏洩することなく集水室に収集されて、点検装置に送られる。したがって、ノズルヘッドからの放水量の測定精度を向上することができ、また、漏れた水で水噴霧ノズルの周囲が水浸しになる不都合を防止できる。また、密閉された集水室でノズルヘッドからの放出水を集めるので、集水室に空気が流入し難いから、集めた水に空気が混入し難い。したがって、この水噴霧ノズルを用いたトンネル用水噴霧設備を点検するための点検装置は、収集した水から除去すべき空気が比較的少ないので、気液分離装置を小型にでき、点検装置の小型化を図ることができる。なお、「集水室が密閉された」とは、この集水室内に水噴霧ノズルから放出された水を点検装置に向かって排出する排出口以外に、開口を実質的に有しない状態をいう。
【0015】
また、上記水噴霧ノズルは、アタッチメント連結部が、ノズルヘッドよりもトンネルの壁面側に露出して配置されるので、多くの場合に、曲面形状をなすトンネルの壁面の比較的高い位置に設置されるにもかかわらず、容易にアクセスすることができる。したがって、トンネル用水噴霧設備の点検の際に、上記水噴霧ノズルのアタッチメント連結部に、点検装置のアタッチメントを容易に取り付けることができる。したがって、トンネル用水噴霧設備の点検作業の容易化を図ることができる。なお、上記アタッチメント連結部は、既存の水噴霧ノズルに後付けされたものでもよい。
【0016】
一実施形態の水噴霧ノズルは、トンネルの壁面の近傍の配水管から分岐してトンネルの内側に向かって延出する分岐管を備え、
上記ノズルヘッドは、上記分岐管の先端に設けられ、
上記アタッチメント連結部は、上記分岐管に貫通された状態で分岐管に固定された鍔状の板状体を含む。
【0017】
上記実施形態によれば、トンネルの壁面の近傍に設置された配水管に分岐管を接続し、この分岐管の先端にノズルヘッドを設けると共に、上記分岐管に貫通された状態で分岐管にアタッチメント連結部の板状体を固定して水噴霧ノズルを形成することにより、点検時に水漏れが少なく、点検時に収集される水への空気の混入が少なく、しかも、点検装置のアタッチメントの取り付けが容易な水噴霧ノズルが得られる。
【0018】
一実施形態の水噴霧ノズルは、上記アタッチメント連結部の板状体が、上記分岐管の途中に介設された六角ニップルに固定されている。
【0019】
上記実施形態によれば、アタッチメント連結部の板状体を、分岐管に貫通された状態で分岐管に強固に固定することができる。したがって、点検装置のアタッチメントが取り付けられたとき、このアタッチメントを堅固に支持することができる。
【0020】
本発明のトンネル用水噴霧設備の点検装置は、トンネル用水噴霧設備の水噴霧ノズルが有するアタッチメント連結部に連結され、上記水噴霧ノズルが有するノズルヘッドを収容して密閉された集水室を上記アタッチメント連結部と共に形成するアタッチメントと、
上記アタッチメントに接続され、上記アタッチメントとアタッチメント連結部とで形成された集水室で集められた水を導く導水管と、
上記導水管に接続された気液分離装置と、
上記気液分離装置で気体が分離された水の流量を測定する流量計と、
上記流量計からの水をトンネルの排水溝に排出する排水装置と
を備えることを特徴としている。
【0021】
上記構成によれば、トンネル用水噴霧設備の水噴霧ノズルからの放水量を測定する放水点検において、アタッチメントが、水噴霧ノズルが有するアタッチメント連結部に連結される。これにより、アタッチメントとアタッチメント連結部とで、上記水噴霧ノズルが有するノズルヘッドを収容して密閉された集水室が形成される。この状態で水噴霧ノズルの放水を行うと、水噴霧ノズルのノズルヘッドから放出された水が、導水管を通して気液分離装置に送られる。気液分離装置で空気が分離された水の流量が、流量計で測定され、流量が測定された水が排水装置でトンネルの排水溝に排出される。
【0022】
上記アタッチメントは、水噴霧ノズルのアタッチメント連結部に連結され、このアタッチメント連結部と共に、ノズルヘッドを収容して密閉された集水室を形成するので、ノズルヘッドから放出された水を、漏れが生じることなく集めて導水管に送ることができる。したがって、流量計で測定される水の流量の測定精度を向上することができ、また、漏れた水で水噴霧ノズルの周囲が水浸しになる不都合を防止できる。また、密閉された集水室でノズルヘッドからの放出水を集めるので、集水室に空気が流入し難く、集めた水に空気が混入し難い。したがって、水と分離すべき空気の量が比較的少ないので、気液分離装置を小型にでき、点検装置の小型化を図ることができる。
【0023】
一実施形態のトンネル用水噴霧設備の点検装置は、上記アタッチメントは、
一つの面に開口を有し、この開口を塞ぐように水噴霧ノズルのアタッチメント連結部に連結される箱状体と、
上記箱状体の開口の縁を取り囲むように設けられたシール部材と、
上記箱状体を水噴霧ノズルのアタッチメント連結部に固定する固定具とを有する。
【0024】
上記実施形態によれば、箱状体の開口を塞ぐように、この箱状体に水噴霧ノズルのアタッチメント連結部が連結され、固定具によって箱状体がアタッチメント連結部に固定されて、集水室が形成される。箱状体とアタッチメント連結部との間が、シール部材でシールされるので、水噴霧ノズルから放出された水の集水室からの漏れを効果的に防止でき、また、集水室への空気の流入を効果的に防止できる。また、箱状体がアタッチメント連結部に固定されて集水室が形成されるので、この箱状体及びアタッチメント連結部は、水噴霧ノズルからの放出水によって変形することが防止され、良好な耐久性が得られる。また、アタッチメントがアタッチメント連結部によって支持されるので、アタッチメントを支持するアーム等が不要になるから、従来の水を受けるための容器を支持する油圧駆動のアームを備えた点検車両と比較して、コストを削減でき、また、容器を支持する手間を削減できる。
【0025】
一実施形態のトンネル用水噴霧設備の点検装置は、上記気液分離装置は、外槽と、この外槽の内側に配置されて外槽よりも低い高さを有して上端が開口した内槽とを有し、上記導水管で導かれた水が、上記内槽の内側に供給され、この内槽の上端縁を越流して内槽の外側面と外槽の内側面との間に流入した後、外槽の下端部に形成された排水口から外部に排出されるように形成されている。
【0026】
上記実施形態によれば、アタッチメントから導水管を通して気液分離装置に導かれた水は、先ず内槽に供給され、この内槽から溢れた水が、内槽の上端縁を越流して内槽の外側に流出する。水が内槽に供給されてから内槽の上端縁を越流するまでの間に、水に混入していた空気が、水から分離して除去される。内槽の内側から、内槽の外側面と外槽の内側面との間に流入した水は、流量に応じた水位をなして貯留され、水に混入していた空気が更に水から分離される。空気が分離された水は、下端部の排水口から外部に排出される。
【0027】
上記気液分離装置は、内槽と外槽を有して形成されるので、透水性の分離膜を用いた気液分離装置のような水の残留が生じ難い。したがって、放水点検の後に乾燥させる手間が少なく、また、乾燥が不十分であってもカビ等の発生による劣化が生じ難い。したがって、良好な耐久性を有し、メンテナンスの手間とコストの少ない気液分離装置が得られる。
【0028】
一実施形態のトンネル用水噴霧設備の点検装置は、上記気液分離装置の上記導水管の下流側に、上記内槽へ流入させる前の水から分離した空気を排出するエア抜き管が接続されている。
【0029】
上記実施形態によれば、導水管で導かれた水から分離した空気をエア抜き管で排出し、上記分離した空気が除去された水を内槽に導くので、内槽と外槽とで水から分離すべき空気の量を削減できる。したがって、気液分離装置の小型化ができる。
【0030】
一実施形態のトンネル用水噴霧設備の点検装置は、上記流量計は、フラッパ式の面積流量計である。
【0031】
上記実施形態によれば、フラッパ式の面積流量計を用いることにより、流量計の上流又は下流に、電磁流量計を用いた場合のような比較的長い整流用の管路や、整流用のプレート等を設ける必要が無いので、トンネル用水噴霧設備の点検装置の小型化と部品点数の削減を図ることができる。特に、フラッパ式の面積流量計を設置する配管を鉛直向きに配置することにより、トンネル用水噴霧設備の点検装置の部品の配置効率を高めて、更なる小型化を行うことができる。
【0032】
一実施形態のトンネル用水噴霧設備の点検装置は、上記流量計と排水装置との間に、上記流量計の設置位置よりも上方に位置して大気に開放された開放管が接続されている。
【0033】
上記実施形態によれば、流量計と排水装置との間に接続された開放管を介して、流量計の設置位置よりも高い位置における過剰な水圧変動を防止できる。したがって、気液分離装置内の水が、サイフォン現象によって流量計側に吸引されて流量計の測定値が不安定になる不都合を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の実施形態のトンネル用水噴霧設備の点検装置により、トンネルの水噴霧設備の点検を行う様子を示す模式図である。
【図2】トンネル用水噴霧設備の点検装置の構成を示す図である。
【図3】トンネル用水噴霧設備の点検装置のアタッチメントを示す斜視図である。
【図4】トンネル用水噴霧設備の点検装置の気液分離装置を示す断面図である。
【図5】トンネル用水噴霧設備の点検装置によって放水の点検が行われる水噴霧ノズルを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明の水噴霧ノズルと、トンネル用水噴霧設備の点検装置の実施形態を、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
【0036】
図1は、本発明の実施形態のトンネル用水噴霧設備の点検装置により、トンネルの水噴霧設備の点検を行う様子を示す模式図であり、図2は、実施形態のトンネル用水噴霧設備の点検装置の構成を示す図である。この点検装置1は、トンネル7に設置された水噴霧設備の水噴霧ノズルから放出される水の流量を測定するものである。
【0037】
トンネル用水噴霧設備は、トンネル7の上部に設置されてトンネル7の軸方向に延びる配水管12と、この配水管12にトンネルの軸方向に所定間隔をおいて配置された水噴霧ノズル11と、配水管12への水の供給を制御する図示しない弁装置と、水を圧送する図示しないポンプ装置を含んで構成されている。
【0038】
トンネル用水噴霧設備の点検装置1は、水噴霧ノズル11に連結されるアタッチメント2と、気液分離装置3と、流量計4と、排水装置5とが順次連なって構成されている。気液分離装置3と流量計4は、ストッパ付きの車輪とハンドルを有する台車6に固定されており、人力によって移動可能に形成されている。
【0039】
アタッチメント2は、図3に示すように、一面に開口が設けられたステンレス製の箱状体21を有し、この箱状体21の開口21aの周囲に、シール部材としてのウレタン製のパッキン24が設けられている。なお、箱状体21は他の金属で形成されてもよく、或いは、FRP(繊維強化プラスチック)等の樹脂で形成されてもよい。また、パッキン24は、他の樹脂等で形成されてもよい。箱状体21の両側面と天面と底面の開口21a側には、パッチン錠の操作部25が、各面につき2個ずつ設けられている。これらのパッチン錠の操作部25を、後述する水噴霧ノズル11の連結板15に設けられたパッチン錠のフック16に係合させて、連結板15をアタッチメント2に固定するようになっている。
【0040】
アタッチメント2の箱状体21の底面には、下端にカップリング23が設けられた排出管22が固定されている。排出管22のカップリング23は、日本工業規格JIS
B 9911に規定された所謂町野式継手を用いるのが好ましい。町野式継手は、軸方向に嵌合する雄金具と雌金具で構成され、雄金具と雌金具が、ワンタッチで連結と連結解除が可能になっている。詳しくは、連結の際、雄金具の先端に設けられた環状の突起に、雌金具の内部に設けられて周方向内側に付勢される爪部材が係合し、雄金具と雌金具の連結状態が保持される。一方、連結解除の際、雄金具のホース側に設けられた環状の押し環を雌金具側にスライドさせると、押し環の先端が雌金具内の爪部材の傾斜面に当接し、爪部材が径方向外側に退去させられる。これにより、雌金具の爪部材と、雄金具の突起との係合が解除されて、雄金具と雌金具との連結が解除される。このように、雄金具の先端を雌金具の内側に挿入する操作で連結でき、また、雄金具の押し環を雌金具側にスライドさせる操作で連結解除できる。この町野式継手の雌金具が、アタッチメント2の排出管22のカップリング23に用いられている。
【0041】
アタッチメント2の排出管22には、ホース27が接続されている。ホース27の上端には、町野式継手の雄金具を用いたカップリングが設けられており、このホース27のカップリングが排出管22のカップリング23に連結されている。ホース27は、内部が視認可能な透明のクリスタルホースで形成され、上端のカップリングに脱落防止金具が取り付けられている。この脱落防止金具は、水噴霧ノズル11が取り付けられた分岐管13又は配水管12に接続されている。
【0042】
ホース27の下端には、上端と同様に、町野式継手の雄金具を用いたカップリングが設けられており、このカップリングが、気液分離装置3の導水管33の上端に設けられて町野式継手の雄金具を用いたカップリング35に連結されている。
【0043】
気液分離装置3は、図4に示すように、同軸に配置された筒状の外槽31及び内槽32と、外槽31の上部の内側に、内槽32の中心軸の延長上に配置された導水管33とで大略構成されている。導水管33は、上端に上記ホース27が接続されるカップリング35が設けられている一方、下端の開口が内槽32の上端の開口に対向して配置されている。導水管33の軸方向の中央よりも下端側には、側面から分岐して斜め上方に向かう傾斜管と、この傾斜管の上端に連なって略鉛直に延びる直管とを有するエア抜き34が設けられている。気液分離装置3の導水管33は内槽32よりも径が小さく形成され、導水管33の下端の開口と、内槽32の上端の開口32aとの間には、所定の間隔が設けられている。外槽31の下端の近傍には、水を排出する排出口31aが設けられている。上記外槽31と内槽32は、汎用の建築資材である塩化ビニル管を用いて形成できる。
【0044】
この気液分離装置3は、アタッチメント2からホース27を通じて導水管33に水が導かれると、この導水管33で水から分離した空気を、矢印A1で示すようにエア抜き34によって除去し、この後、矢印W1で示すように、導水管33から内槽32に水を流入させる。内槽32に流入した水は、矢印W2で示すように、内槽32の上端の開口32aから溢れて越流し、内槽32と外槽31との間に流入する。この内槽32内を流れて越流する際、水に混入していた空気が分離される。さらに、内槽32から越流した後、内槽32と外槽31との間を流れる際、水から空気が更に分離される。こうして、空気が分離された水は、内槽32と外槽31との間から、矢印W3で示すように外槽31の下端近傍の排出口31aを通って排出され、流量計4に導かれる。水から分離した空気は、外槽31の上端の開口31bから外部に排出される。
【0045】
流量計4は、フラッパ式の面積流量計によって形成されている。すなわち、この流量計4は、流路を開閉するフラップの開閉度に基づいて流量を測定するものであり、上記フラップは、ねじりバネ等の付勢手段によって閉じ側に付勢されている。この流量計4は、フラッパに連結された指示針を視認するため、ケーシングに視認用ガラスが装着されたサイトグラス式のフラッパ式面積流量計である。
【0046】
流量計4は、気液分離装置3の外槽31の下端の排出口31aに連なって鉛直方向に延びる縦管41の上半部に介設されている。流量計4は、フラッパ式面積流量計であるので、測定する水は整流される必要が無い。したがって、電磁流量計を用いる場合のように、比較的長い整流用の管路を流量計4の上流又は下流に設ける必要が無く、また、整流用のプレートも不要であるので、点検装置1の小型を行うことができる。更に、整流用の管路やプレートが不要であるので、鉛直方向に延在する比較的短い縦管41に流量計4を設置でき、縦長の気液分離装置3と組み合わせることにより、人力で操作する台車6に設置可能な程度の小型化が可能になっている。
【0047】
流量計4が介設された縦管41は、上端が、さらに鉛直に延びて上端が開放された開放管42と、略直角に屈曲して水平に延びる水平管43とに分岐している。水平管43は、略直角に屈曲して鉛直下向きに伸びる垂下管44に連なり、垂下管44の下端には、気液分離装置3の排出口31aと略同じ高さの位置で水平に延びる排出管45が連なっている。縦管41の上端が開放管42に連なることにより、縦管41の流量計4の設置位置よりも高い位置において、過剰な水圧変動が生じる不都合を防止でき、これにより、気液分離装置3内の水が、サイフォン現象によって流量計4側に吸引されて流量計4の測定値が不安定になる不都合を防止できる。
【0048】
排水装置5は、上記流量計4の下流側の排出管45に、ホース51を介して接続されている。排出管45とホース51との間と、ホース51と排水装置5との間は、町野式継手で連結されている。すなわち、排出管45の端部と排水装置5の端部に、町野式継手の雌金具を用いたカップリングが設けられ、ホース51の両端に、町野式継手の雄金具を用いたカップリングが設けられており、これら雌雄のカップリングが各々連結されている。
【0049】
排水装置5は、ホース51に連なる直管52に、この直管52と略直角をなす複数個の分岐管53,53,・・・が所定間隔をおいて取り付けられている。これら複数個の分岐管53,53,・・・を、トンネルの路側部に設けられた排水路の開口に挿入し、これら分岐管53を通して、流量を測定した後の水を排水路に排出するようになっている。複数個の分岐管53,53,・・・を通して排水を行うことにより、断面が比較的小さい排水路に流入させる水の量を、排水路の長手方向に分散させるようになっている。
【0050】
図5は、上記トンネル用水噴霧設備の点検装置1によって放水の点検が行われる水噴霧ノズル11を示す斜視図である。
【0051】
この水噴霧ノズル11は、トンネルの壁面71の側部の上方に設置された配水管12に所定間隔を置いて設置されており、配水管12からトンネル内に向かって分岐した分岐管13と、この分岐管13の先端に設けられたノズルヘッド14と、アタッチメント連結部としての連結板15を有する。分岐管13は、連結板15の長手方向の一端側に偏った位置で連結板15を貫通した後、連結板15側に略直角に屈曲して連結板15の長手方向の他端側に延在し、その先端が、連結板15の直角方向面内で二股に分岐している。これら二股に分岐した分岐管13の先端に、2つのノズルヘッド14,14が設けられている。
【0052】
上記連結板15は、ステンレス製であり、分岐管13の途中に介設された六角ニップルに固定されている。すなわち、連結板15の分岐管13が貫通する位置に設けられた貫通孔に六角ニップルが嵌合し、この六角ニップルの外周と連結板15の貫通孔との間が溶接で固定されている。この連結板15は、六角ニップルに固定された構造を有するので、連結板15を有しない通常の水噴霧ノズルに、容易に後付けすることができる。すなわち、通常の水噴霧ノズルを、容易に本実施形態の水噴霧ノズル11に改修し、本実施形態の点検装置1を適用することができる。なお、連結板15は、ステンレス以外の金属で形成されてもよく、或いは、FRP等の樹脂で形成されてもよい。
【0053】
連結板15の縁には、点検装置1のアタッチメント2のパッチン錠の操作部25と係合するパッチン錠のフック16が、各辺につき2個ずつ設けられている。
【0054】
連結板15は、ノズルヘッド14とトンネルの壁面71との間に位置しており、トンネル7の内側に露出している。これにより、トンネル7内からのアクセスが容易となり、連結板15への点検装置1のアタッチメント2の連結作業を容易にしている。
【0055】
次に、上記構成の点検装置1により、上記水噴霧ノズル11の点検を行う方法を説明する。
【0056】
まず、トンネル内の水噴霧ノズル11に対応する車線の通行を規制して、点検の作業領域を設定する。この作業領域に、トラック等で、水噴霧ノズル11の数に応じた点検装置1,1,・・・を搬入する。点検装置1は、アタッチメント2と、気液分離装置3と、流量計4と、排水装置5で構成され、比較的軽量であるので、小型トラックにより複数の点検装置1を効率的に搬入できる。
【0057】
続いて、作用領域に進入したトラックから点検装置1,1,・・・を下ろし、点検装置1の台車6を人力で移動させて、水噴霧ノズル11に近接した点検位置に配置する。点検位置では、台車6の車輪にストッパをかけて点検装置1を固定する一方、水噴霧ノズル11にアタッチメント2を取り付ける。
【0058】
水噴霧ノズル11へのアタッチメント2の取り付けは、トンネルの路側部や点検通路に設置した脚立に作業者が登って行う。すなわち、作業者2がアタッチメント2を手に保持して脚立に登り、アタッチメント2の開口21aを通してノズルヘッド14と分岐管13の先端部を内部に収容させる。アタッチメント2のパッキン24を連結板15の縁部に密着させた状態で、連結板15のパッチン錠の操作部25を操作してアタッチメント2を連結板15に固定する。すなわち、連結板15のパッチン錠のフック16に、アタッチメント2のパッチン錠の操作部25の係合部を係合させ、操作部25のハンドルを回動させて係合部を牽引し、牽引状態に保持することにより、操作部25の係合部とフック16との係合状態を保持する。これにより、連結板15にアタッチメント2が固定され、連結板15とアタッチメント2の開口21aとの間がパッキン24で密閉されて、連結板15とアタッチメント2の内側に集水室が形成される。
【0059】
水噴霧ノズル11にアタッチメント2を固定すると、アタッチメント2と気液分離装置3との間にホース27を接続すると共に、流量計4の下流側の排出管45にホース51を接続する。このホース51の他端に排水装置5を接続し、この排水装置5の分岐管53,53,・・・を路側部の排水路の開口に挿入して、点検装置1の準備が完了する。
【0060】
点検を行う全ての水噴霧ノズル11について点検装置1の準備が完了すると、手動操作により、水噴霧設備のポンプ装置を起動すると共に弁装置を開き操作し、配水管12への水の圧送を開始する。配水管12へ水が圧送されると、分岐管13を通して各水噴霧ノズル11に水が供給され、水噴霧ノズル11のノズルヘッド14から水が放出される。ノズルヘッド14から放出された水は、アタッチメント2と連結板15とで形成された集水室に漏れなく集められ、アタッチメント2の排出管22とホース27を通して気液分離装置3へ送られる。
【0061】
気液分離装置3へ送られた水は、導水管33を通る際にエア抜き34で空気が除去された後、内槽32に流入して内槽32の上端を外槽31側に越流する際、さらに空気が分離されて除去される。内槽32と外槽31との間に流入した水は、下端の排出口31aから排出されるまでの間に更に空気が分離されて除去される。大部分の空気が除去された水は、排出口31aから排出されて縦管41に流入し、流量計4で流量が測定される。
【0062】
流量計4では、縦管41を鉛直上向きに流れる水の流量が測定される。測定された流量は、目盛盤における指示針の様子をデジタルカメラで撮影することにより、記録する。測定流量の記録は所定時間ごとに行う。なお、測定流量の記録は、作業者が目盛盤で指示針が指す値を目視により観察し、筆記や電子記録機器への入力により記録してもよい。縦管41を流れる水は、縦管41の上端に連なる開放管42によって気液分離装置3との間のサイフォン現象が防止され、安定して流量計4で流量が測定される。流量計4で流量が測定された水は、水平管43、垂下管44及び排出管45を流れ、ホース51を通って排水装置5に導かれる。排水装置5に導かれた水は、分岐管53,53,・・・により、排水溝72の長手方向に分散して排出される。排水溝72は、道路の幅方向の端部に設けられており、円形断面を有してトンネル軸方向に延在している。排水溝72の路面の開口は、円形断面の径よりも小さいスリット状に形成されている。この排水溝72のスリット状の開口に、複数の分岐管53,53,・・・が、排水溝72の延在方向に配列するように挿入されている。
【0063】
水噴霧ノズル11の放水流量の測定が終了すると、水噴霧設備のポンプ装置を停止すると共に弁装置を閉じ操作し、配水管12への水の圧送を停止する。これにより、水噴霧ノズル11からの水の放出が停止する。水噴霧ノズル11の放水が停止すると、水噴霧ノズル11の連結板15からアタッチメント2を取り外すと共に、アタッチメント2と気液分離装置3との間を接続するホース27を取り外す。気液分離装置3内に残留した水を排水溝72に排出し、排出管45と排水装置5とを接続するホース51を取り外す。互いに分離した部品をトラックに積み、トンネル内の作業領域から搬出し、作業領域の通行規制を解除する。
【0064】
本実施形態のトンネル用水噴霧設備の点検装置1及び水噴霧ノズル11によれば、点検装置1のアタッチメント2と水噴霧ノズル11の連結板15とで、水噴霧ノズル11のノズルヘッド14を収容する密閉された集水室を形成するので、ノズルヘッド14から放出した水を、漏れを起こすことなく収集し、点検装置1の流量計4に送ることができる。したがって、ノズルヘッド14からの放水量を良好な精度で測定できる。また、漏れた水で水噴霧ノズル11の周囲が水浸しになる不都合を防止できる。
【0065】
また、上記点検装置1及び水噴霧ノズル11は、ノズルヘッド14から放出された水を、密閉された集水室で集めるので、集水室に空気が流入し難く、したがって、流量計4で測定すべき水に空気が混入し難い。その結果、水噴霧ノズル11から収集した水から分離する空気が比較的少ないので、気液分離装置3を小型にでき、その結果、点検装置1の小型化を行うことができる。
【0066】
また、上記水噴霧ノズル11は、連結板15が、トンネルの壁面71よりも内側に露出して配置されるので、多くの場合に、曲面形状をなすトンネルの壁面71の比較的高い位置に設置されるにもかかわらず、比較的容易にアクセスすることができる。したがって、トンネル用水噴霧設備の点検の際に、水噴霧ノズル11の連結板15に、点検装置1のアタッチメント2を容易に取り付けることができ、トンネル用水噴霧設備の点検作業の容易化を図ることができる。
【0067】
また、アタッチメント2を、水噴霧ノズル11の連結板15に連結して集水室を形成するので、可撓性の巾着袋状の容器を用いた従来の点検装置のような、放水圧による変形や脱落の不都合を防止できる。したがって、この点検装置1と水噴霧ノズル11によれば、耐久性が良く、また、安全に安定して点検を実行できる。
【0068】
また、この点検装置1は、アタッチメント2を、水噴霧ノズル11の連結板15に固定するので、従来の点検車両のように水噴霧ノズルを収容した状態の容器をアームで支持する必要が無い。したがって、従来のような油圧駆動のアームが不要であるので、従来のように特殊車両の点検車両を構成する必要が無い。その結果、特殊車両の導入時の初期費用や、導入後の維持費用を削除でき、水噴霧設備の点検のためのコストを削減できる。また、水噴霧設備の点検において、同じタイミングで放水する複数の水噴霧ノズル11に対応するには、簡易な構成の点検装置1を、水噴霧ノズル11の数に対応した数だけ準備すればよい。したがって、同じタイミングで放水する複数の水噴霧ノズルに対応して、特殊車両である点検車両を複数台準備するよりも、大幅にコスト削減を行うことができる。また、点検装置1は小型かつ軽量であるので、点検の対象であるトンネル7への搬入を、一般的なトラックで行うことができる。したがって、点検作業に用いる車両に関するコストを削減することができる。
【0069】
また、この点検装置1は、気液分離装置3を、導水管33で水が供給される内槽32と、この内槽32から越流した水を受ける外槽31とを有して構成するので、透水性の分離膜を用いた従来の気液分離装置における水の残留の問題を防止できる。すなわち、塩化ビニル管等の不透水性の材料で内槽32と外槽31を形成できるので、水を切り易いから、水噴霧ノズル11の放水点検の後に乾燥させる手間を少なくできる。また、水が多少残留しても、カビが発生し難いので、気液分離装置3の劣化を防止できる。その結果、気液分離装置3のメンテナンスの手間とコストの削減を図ることができる。さらに、汎用の建築資材である塩化ビニル管を用いることにより、気液分離装置3を安価に作成できる。
【0070】
上記実施形態において、水噴霧ノズル11は、ノズルヘッド14を2つ備えたが、水噴霧ノズル11のスプレーヘッド14の数は幾つでもよい。また、上記実施形態では、トンネル用水噴霧設備の点検装置1を、トンネルの壁面71の側部の上方に配置された水噴霧ノズル11の点検を行う場合について説明したが、トンネルの壁面71の頂部に配置された水噴霧ノズルの点検を行ってもよい。また、水噴霧ノズル11の連結板15は、既存の分岐管13及びノズルヘッド14を有する水噴霧ノズルに、後付けされたものであってもよい。
【0071】
また、上記点検装置1は、道路用のトンネルに設置された水噴霧設備の点検に用いたが、本発明のトンネル用水噴霧設備の点検装置は、発電設備や鉱山等、他の用途のトンネルに設置された水噴霧設備の点検のために用いてもよい。
【符号の説明】
【0072】
1 トンネル用水噴霧設備の点検装置
2 アタッチメント
3 気液分離装置
4 流量計
5 排水装置
7 トンネル
11 水噴霧ノズル
14 ノズルヘッド
15 連結板
21 箱状体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トンネル用水噴霧設備に用いられる水噴霧ノズルであって、
霧状の水を放出するノズルヘッドと、
上記ノズルヘッドよりもトンネルの壁面側に露出して配置され、トンネル用水噴霧設備の点検装置のアタッチメントに連結されて、上記ノズルヘッドを収容して密閉された集水室を上記アタッチメントと共に形成するアタッチメント連結部と
を備えることを特徴とする水噴霧ノズル。
【請求項2】
請求項1に記載の水噴霧ノズルにおいて、
トンネルの壁面の近傍の配水管から分岐してトンネルの内側に向かって延出する分岐管を備え、
上記ノズルヘッドは、上記分岐管の先端に設けられ、
上記アタッチメント連結部は、上記分岐管に貫通された状態で分岐管に固定された鍔状の板状体を含むことを特徴とする水噴霧ノズル。
【請求項3】
請求項2に記載の水噴霧ノズルにおいて、
上記アタッチメント連結部の板状体が、上記分岐管の途中に介設された六角ニップルに固定されていることを特徴とする水噴霧ノズル。
【請求項4】
トンネル用水噴霧設備の水噴霧ノズルが有するアタッチメント連結部に連結され、上記水噴霧ノズルが有するノズルヘッドを収容して密閉された集水室を上記アタッチメント連結部と共に形成するアタッチメントと、
上記アタッチメントに接続され、上記アタッチメントとアタッチメント連結部とで形成された集水室で集められた水を導く導水管と、
上記導水管に接続された気液分離装置と、
上記気液分離装置で気体が分離された水の流量を測定する流量計と、
上記流量計からの水をトンネルの排水溝に排出する排水装置と
を備えることを特徴とするトンネル用水噴霧設備の点検装置。
【請求項5】
請求項4に記載のトンネル用水噴霧設備の点検装置において、
上記アタッチメントは、
一つの面に開口を有し、この開口を塞ぐように水噴霧ノズルのアタッチメント連結部に連結される箱状体と、
上記箱状体の開口の縁を取り囲むように設けられたシール部材と、
上記箱状体を水噴霧ノズルのアタッチメント連結部に固定する固定具と
を有することを特徴とするトンネル用水噴霧設備の点検装置。
【請求項6】
請求項4に記載のトンネル用水噴霧設備の点検装置において、
上記気液分離装置は、外槽と、この外槽の内側に配置されて外槽よりも低い高さを有して上端が開口した内槽とを有し、上記導水管で導かれた水が、上記内槽の内側に供給され、この内槽の上端縁を越流して内槽の外側面と外槽の内側面との間に流入した後、外槽の下端部に形成された排水口から外部に排出されるように形成されていることを特徴とするトンネル用水噴霧設備の点検装置。
【請求項7】
請求項4に記載のトンネル用水噴霧設備の点検装置において、
上記気液分離装置の上記導水管の下流側に、上記内槽へ流入させる前の水から分離した空気を排出するエア抜き管が接続されていることを特徴とするトンネル用水噴霧設備の点検装置。
【請求項8】
請求項4に記載のトンネル用水噴霧設備の点検装置において、
上記流量計は、フラッパ式の面積流量計であることを特徴とするトンネル用水噴霧設備の点検装置。
【請求項9】
請求項4に記載のトンネル用水噴霧設備の点検装置において、
上記流量計と排水装置との間に、上記流量計の設置位置よりも上方に位置して大気に開放された開放管が接続されていることを特徴とするトンネル用水噴霧設備の点検装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−5020(P2011−5020A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−152234(P2009−152234)
【出願日】平成21年6月26日(2009.6.26)
【出願人】(505413255)阪神高速道路株式会社 (46)
【出願人】(508061549)阪神高速技術株式会社 (20)
【出願人】(509182065)株式会社テクノ阪神 (1)
【Fターム(参考)】