説明

水密ジョイント

【課題】耐震性に優れるとともに、高い水密性が得られ、且つ、作業性に優れた水密ジョイントの提供。
【解決手段】水密ジョイントAは、円筒ゴム部材3と、円筒スペーサー4と、ゴムパッキン5とを備え、径小部31にゴムパッキン5を巻き付けたケーブル保護管1を、円筒ゴム部材3および円筒スペーサー4の内部を通してハンドホール2内に挿入し、ステンレスバンド6を締め付けて、円筒ゴム部材3とケーブル保護管1とを固定する。ゴムパッキン5は、端が切れたC字状を呈し、螺旋溝11に嵌まる溝51を内周に形成しているので、螺旋溝11を有するケーブル保護管1へ容易に巻き付けることができ、施工が容易であり、高い水密性も確保できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、敷設した光ファイバーや電力ケーブル等をハンドホール内へ引き込む際に用い、特にケーブル保護管とハンドホールとを水密的に連結する水密ジョイントに関する。
【背景技術】
【0002】
ケーブル保護管をハンドホールに取り付ける接続用継手は、モルタルや接着剤等によりハンドホールの貫通孔に固定されている(特許文献1)。
地中埋設管を接続する筒状体は、接着剤によりハンドホールの貫通孔に固定されている(特許文献2)。
接続用継手は、螺旋溝付きの地中埋設管どうしを、継手(ゴムやプラスチック)と、ステンレス製のバンドとを用いて接続している(特許文献3)。
【特許文献1】特開平10−243538号公報
【特許文献2】特開2002−195460号公報
【特許文献3】特開2000−282556号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記特許文献1、2の技術は、以下の課題を有する。
接続用継手や筒状体を貫通孔に固定するのにモルタル等を使う必要があるので熟練を要する。
地震や車両等による振動が継手に加わると、接続用継手や筒状体を貫通孔に固定するモルタル等が破損したりヒビが入る。この場合には、電力ケーブル等が損傷したり、ヒビを介して地下水がハンドホールに浸入する。
継手は、可とう性が低いので、電力ケーブルやハンドホールの変位に追従できない。
【0004】
また、上記特許文献3の技術は、地中埋設管を捩じって継手に外嵌させる作業が必要であり、手間がかかる。
【0005】
本発明の目的は、耐震性に優れるとともに、高い水密性が得られ、且つ、作業性に優れた水密ジョイントの提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(請求項1について)
ハンドホールの側壁に設けた円形の取付穴へ、外周に螺旋溝を形成した円形のケーブル保護管を水密的に連結するための水密ジョイントは、円筒ゴム部材と、樹脂製の円筒スペーサーと、ゴムパッキンと、締具とを備える。
【0007】
円筒ゴム部材は、先端円筒部、基端の鍔部、および中間の中間円筒部を有し、中間円筒部の外面が取付穴壁に密着し、鍔部が内側穴角に係止される様にハンドホール内から嵌め込まれる。
【0008】
樹脂製の円筒スペーサーは、基端の鍔状部および円筒状部を有し、円筒状部が中間円筒部内に圧入され、鍔状部が鍔部に係止される様に、ハンドホール内から円筒ゴム部材内に打ち込まれる。これにより、円筒ゴム部材とハンドホールの取付穴との間で高い水密性が確保できる。
ゴムパッキンは、ケーブル保護管の螺旋溝に嵌まる溝を内周に形成している。
【0009】
作業は、以下の様に行う。
中間円筒部の外面が取付穴壁に密着し、取付穴の内側穴角に鍔部が係止される様にハンドホール内から取付穴内へ円筒ゴム部材を嵌め込む。
つぎに、円筒状部が中間円筒部内に圧入され、鍔状部が鍔部に係止される様に、ハンドホール内から円筒ゴム部材内に円筒スペーサーをハンマー等で打ち込む。円筒スペーサーの円筒状部の外径を、円筒ゴム部材の中間円筒部の内径より若干大きく設定しておけば、円筒スペーサーの打込時に、円筒ゴム部材の中間円筒部が拡径し、円筒ゴム部材および円筒スペーサーが強固に取付穴に固定される。
【0010】
ゴムパッキンを相対回転によりケーブル保護管の端から捩じ込んでケーブル保護管にゴムパッキンを取り付ける。なお、ゴムパッキンの取付位置は、嵌め込み後に、巻付部位に対応する先端円筒部外周に締具が臨む部位である。
ゴムパッキンを取り付けたケーブル保護管を、円筒ゴム部材および円筒スペーサーの内部を通してハンドホール内に嵌め込む。
【0011】
ゴムパッキンが内側に臨む円筒ゴム部材の先端円筒部外周を締具で締め付けてケーブル保護管を円筒ゴム部材に固定する。
円筒ゴム部材の径小部に臨む位置へゴムパッキンを取り付けておき、円筒ゴム部材の先端円筒部外周に取り付けた締具を締め付ける構成であるので、螺旋溝を含むケーブル保護管とハンドホールの取付穴との間の隙間がなくなり、地下水や雨水がハンドホール内へ浸入せず、高い水密性が確保できる。
【0012】
ハンドホールの側壁に設けた取付穴へ、円筒ゴム部材を介してケーブル保護管を連結しているので可とう性に優れる。
このため、地震や車両等による振動が、ハンドホールやケーブル保護管に加わっても、水密ジョイントが追従して変形するので、ハンドホールやケーブル保護管の破損が防止できるとともに、水密性も保たれる。また、車両等による振動や、施工工事により、ケーブル保護管やハンドホールの位置が若干ずれても、水密ジョイントが追従して変形するので、ケーブル保護管等の破損が防止できるとともに、水密性も保たれる。
【0013】
ハンドホール内から円筒ゴム部材を取付穴へ嵌め込み、円筒スペーサーを円筒ゴム部材内に打ち込み、ゴムパッキンを巻き付けたケーブル保護管を、円筒ゴム部材および円筒スペーサーの内部を通してハンドホール内へ挿入し、円筒ゴム部材の先端円筒部外周を締具で締め付けることにより、ケーブル保護管を円筒ゴム部材に容易に固定することができ、施工が簡単であり、熟練を要しない。
【0014】
水密ジョイントは、取付穴の径に対応する円筒ゴム部材および筒状スペーサーを選択することにより、取付穴の径の大小を問わず、適用することができる。
【0015】
(請求項2について)
ハンドホールの側壁に設けた円形の取付穴へ、外周に螺旋溝を形成した円形のケーブル保護管を水密的に連結するための水密ジョイントは、円筒ゴム部材と、樹脂製の円筒スペーサーと、ゴムパッキンと、締具とを備える。
【0016】
円筒ゴム部材は、先端円筒部、基端の鍔部、および中間の中間円筒部を有し、中間円筒部の外面が取付穴壁に密着し、鍔部が内側穴角に係止される様にハンドホール内から嵌め込まれる。
【0017】
樹脂製の円筒スペーサーは、基端の鍔状部および円筒状部を有し、円筒状部が中間円筒部内に圧入され、鍔状部が鍔部に係止される様に、ハンドホール内から円筒ゴム部材内に打ち込まれる。これにより、円筒ゴム部材とハンドホールの取付穴との間で高い水密性が確保できる。
ゴムパッキンは、端が切れたC字状を呈し、ケーブル保護管の螺旋溝に嵌まる溝を内周に形成している。
【0018】
作業は、以下の様に行う。
中間円筒部の外面が取付穴壁に密着し、取付穴の内側穴角に鍔部が係止される様にハンドホール内から取付穴内へ円筒ゴム部材を嵌め込む。
つぎに、円筒状部が中間円筒部内に圧入され、鍔状部が鍔部に係止される様に、ハンドホール内から円筒ゴム部材内に円筒スペーサーをハンマー等で打ち込む。円筒スペーサーの円筒状部の外径を、円筒ゴム部材の中間円筒部の内径より若干大きく設定しておけば、円筒スペーサーの打込時に、円筒ゴム部材の中間円筒部が拡径し、円筒ゴム部材および円筒スペーサーが強固に取付穴に固定される。
【0019】
ゴムパッキンを巻き付けたケーブル保護管を、円筒ゴム部材および円筒スペーサーの内部を通してハンドホール内に嵌め込む。なお、ハンドホール内にケーブル保護管を嵌め込む前にゴムパッキンを巻き付けておく位置は、嵌め込み後に、巻付部位に対応する先端円筒部外周に締具が臨む位置である。なお、ゴムパッキンは、端が切れたC字状を呈し、螺旋溝に嵌まる溝を内周に形成しているので、上記位置に容易に巻き付けることができる。
【0020】
円筒ゴム部材の先端円筒部外周を締具で締め付けてケーブル保護管を円筒ゴム部材に固定する。なお、ケーブル保護管をハンドホール内に嵌め込む前に、円筒ゴム部材の先端円筒部外周に締具を取り付けておくのが好ましい。
【0021】
端が切れたC字状のゴムパッキンを、円筒ゴム部材の先端円筒部に臨む位置へ巻き付けておき、円筒ゴム部材の先端円筒部外周に取り付けた締具を締め付ける構成であるので、螺旋溝を含むケーブル保護管とハンドホールの取付穴との間の隙間がなくなり、地下水や雨水がハンドホール内へ浸入せず、高い止水性が確保できる。
【0022】
ハンドホールの側壁に設けた取付穴へ、円筒ゴム部材を介してケーブル保護管を連結しているので可とう性に優れる。
このため、地震や車両等による振動が、ハンドホールやケーブル保護管に加わっても、水密ジョイントが追従して変形するので、ハンドホールやケーブル保護管の破損が防止できるとともに、水密性も保たれる。また、車両等による振動や、施工工事により、ケーブル保護管やハンドホールの位置が若干ずれても、水密ジョイントが追従して変形するので、ケーブル保護管等の破損が防止できるとともに、水密性も保たれる。
【0023】
ハンドホール内から円筒ゴム部材を取付穴へ嵌め込み、円筒スペーサーを円筒ゴム部材内に打ち込み、ゴムパッキンを巻き付けたケーブル保護管を、円筒ゴム部材および円筒スペーサーの内部を通してハンドホール内へ挿入し、円筒ゴム部材の先端円筒部外周を締具で締め付けることにより、ケーブル保護管を円筒ゴム部材に容易に固定することができ、施工が簡単であり、熟練を要しない。
【0024】
水密ジョイントは、取付穴の径に対応する円筒ゴム部材および筒状スペーサーを選択することにより、取付穴の径の大小を問わず、適用することができる。
【0025】
(請求項3について)
円筒スペーサーの基端を、外側鍔と内側鍔とを有するT字鍔状部とする。ハンドホール内から円筒ゴム部材に嵌め込むと、T字鍔状部の外側鍔が鍔部に係止する。
ケーブル保護管をハンドホール内に嵌め込むと、保護管先端がT字鍔状部の内側鍔で係止するためベルマウスの役目を果たし、保護管先端の破損を防止できる。
なお、T字鍔状部の内側鍔で係止されるため、T字鍔状部の寸法を保護管先端の内外径の寸法に合わせる。
【0026】
従来は、ケーブル保護管の保護管先端を防護するため、ベルマウスが必要であった。しかし、請求項3の水密ジョイントでは、円筒スペーサーのT字鍔状部の内側鍔がベルマウスと同じ機能を奏するため、ベルマウスが不要になる。
【0027】
円筒スペーサーの基端を、外側鍔と内側鍔とを有するT字鍔状部にしているので、下記の利点を有する。
ケーブルをハンドホール内へ引き込む際に、ケーブル保護管の保護管先端を破損から守ることができる。
ケーブル保護管の保護管先端が揃うので、出っ張りがない。
ケーブル保護管を切断する位置の目安となる。
部材を減らすことができ、経済的に優れる。
【0028】
(請求項4について)
外周に螺旋溝を形成した、円形のケーブル保護管どうしを水密的に連結するための水密ジョイントは、ゴムパッキンと円筒ゴムと締具とを備える。
ゴムパッキンは、螺旋溝に嵌まる溝を内周に形成し、ケーブル保護管の端から捩じ込まれて、各ケーブル保護管の管端に取り付けられる。
円筒ゴムは、ゴムパッキンを巻き付けたケーブル保護管の管端を嵌め込み可能な内径を有する。
締具は、円筒ゴムの外周に配される。
【0029】
作業は、以下の様に行う。
各ケーブル保護管の端からゴムパッキンを捩じ込み、各ケーブル保護管の管端にゴムパッキンを取り付ける。
円筒ゴムの両側から、ゴムパッキンを巻き付けた管端が対向する状態に各ケーブル保護管を嵌め込み、円筒ゴムの円筒内で付き合わせる。
円筒ゴムの外周に配した締具を締め付ける。
ゴムパッキンおよび円筒ゴムを介して、ケーブル保護管どうしが連結される。
【0030】
ケーブル保護管の螺旋溝に嵌まる溝を内周に形成しているため、円筒ゴムの外周に配した締具を締め付けると、ゴムパッキンとケーブル保護管とが緊密に接合する。よって、この水密ジョイントは、作業性に優れ、且つ、高い水密性が得られる。
【0031】
(請求項5について)
外周に螺旋溝を形成した、円形のケーブル保護管どうしを水密的に連結するための水密ジョイントは、ゴムパッキンと円筒ゴムと締具とを備える。
ゴムパッキンは、端が切れたC字状を呈し、螺旋溝に嵌まる溝を内周に形成している。 円筒ゴムは、ゴムパッキンを巻き付けたケーブル保護管の管端を嵌め込み可能な内径を有する。
締具は、円筒ゴムの外周に配される。
【0032】
作業は、以下の様に行う。
ゴムパッキンを各ケーブル保護管の管端外周に巻き付ける。
円筒ゴムの両側から、ゴムパッキンを巻き付けた管端が対向する状態に各ケーブル保護管を嵌め込み、円筒ゴムの円筒内で付き合わせる。
円筒ゴムの外周に配した締具を締め付ける。
ゴムパッキンおよび円筒ゴムを介して、ケーブル保護管どうしが連結される。
【0033】
ゴムパッキンを巻き付けたケーブル保護管の管端を嵌め込み可能な内径を円筒ゴムが有し、ゴムパッキンが端が切れたC字状を呈するため、ケーブル保護管の連結部外周にゴムパッキンを容易に巻き付けることができるとともに、ゴムパッキンを巻き付けたケーブル保護管を円筒ゴムの円筒内へ嵌め込む際に捩じる必要がない。
また、ケーブル保護管の螺旋溝に嵌まる溝を内周に形成しているため、円筒ゴムの複数箇所の外周に配した締具を締め付けると、ゴムパッキンとケーブル保護管とが緊密に接合する。よって、この水密ジョイントは、作業性に優れ、且つ、高い水密性が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
外周に螺旋溝を形成したケーブル保護管を、ハンドホールの取付穴へ水密的に連結するための水密ジョイントは、円筒ゴム部材と、円筒スペーサー(樹脂製)と、ゴムパッキンと、締具とを備える。
先ず、ハンドホール内から取付穴へ円筒ゴム部材を嵌め込み、円筒ゴム部材内に円筒スペーサーをハンマー等で打ち込む。
【0035】
ゴムパッキンを巻き付けたケーブル保護管を、円筒ゴム部材および円筒スペーサーの内部を通してハンドホール内に嵌め込む。なお、端が切れたC字状のゴムパッキンを巻き付けておく位置は、嵌め込み後に、巻付部位に対応する先端円筒部外周に締具が臨む位置である。
【0036】
C字状のゴムパッキンをケーブル保護管へ巻き付けておき、円筒ゴム部材の先端円筒部外周に取り付けた締具を締め付ける構成であるので、螺旋溝を含むケーブル保護管とハンドホールの取付穴との間の隙間がなくなり、地下水や雨水がハンドホール内へ浸入せず、高い水密性が確保できる。
【0037】
ハンドホール内から円筒ゴム部材を取付穴へ嵌め込み、円筒スペーサーを円筒ゴム部材内に打ち込み、ゴムパッキンを巻き付けたケーブル保護管を、円筒ゴム部材および円筒スペーサの内部を通してハンドホール内へ嵌め込み、円筒ゴム部材の先端円筒部外周を締具で締め付けることにより、ケーブル保護管を円筒ゴム部材に容易に固定することができるため、施工が簡単であり熟練を要しない。
【実施例1】
【0038】
本発明の実施例1(請求項2に対応)を図1〜図5に基づいて説明する。
ケーブル保護管1をハンドホール2の取付穴21へ水密的に連結するための水密ジョイントAは、図1に示す如く、ハンドホール2内から取付穴21へ嵌め込まれる円筒ゴム部材3と、ハンドホール2内から円筒ゴム部材3内に打ち込まれる円筒スペーサー4と、外から挿入するケーブル保護管1に配されるゴムパッキン5とを備え、円筒ゴム部材3の凹部30に取り付けたステンレスバンド6を締め付けてケーブル保護管1を円筒ゴム部材3に固定している。
【0039】
円筒ゴム部材3(肉厚5mm、全長140mm)は、凹部30を外周に周設した先端の径小部31(内径φ90)と、基端の鍔部32と、径大部33(内径φ98)と、径大部33−径小部31間に位置し、内外径が連続的に小さくなっていく漸減径部34とを有する。
なお、36はブチルゴム(厚さ1mm)であり、径大部33の外周に貼着されている。
【0040】
そして、径大部33の外面がブチルゴム36の内周面に密着し、鍔部32がハンドホール2の削穴角の内壁37に係止される。なお、この円筒ゴム部材3は、作業の最初に、ハンドホール2内から取付穴21へ嵌め込まれる{図2の(a)参照}。
【0041】
地中に埋設され、外形が四角柱を呈し、ハンドホール2(コンクリート製)は、光ファイバーや電力線を内部に引き込むためのものであり、側壁(壁厚35mm)に取付穴21(断面円形;φ110)が穿設されている。なお、ハンドホール2の外形は、四角柱以外に円柱であっても良く、側壁の壁厚は、35mm〜200mmが選択可能であり、取付穴21の穴径も変更可能である。
【0042】
円筒スペーサー4(樹脂製)は、外径が連続的に小さくなっていくテーパ面40を有し、先端側に位置するテーパ状部41(内径φ92)と、基端側に位置する鍔状部42と、円筒状部43とを有する。
この円筒スペーサー4は、円筒状部43が径大部33内に圧入され、鍔状部42が鍔部32に係止される様に、ハンドホール2内から、ハンマーhにより円筒ゴム部材3内に打ち込まれる{図2の(b)参照}。
【0043】
管内を通すケーブル(光ファイバーや電力線等)を保護するケーブル保護管1は、内外周に螺旋溝を形成した螺旋円筒体であり、プラスチックで形成されている。
このケーブル保護管1は、ゴムパッキン5を取り付けた状態で、先端がハンドホール2内に臨む様に、円筒ゴム部材3および円筒スペーサー4の内部を通して外部からハンドホール2内へ挿入される{図3の(a)参照}。
【0044】
このケーブル保護管1は、凹部30に配したステンレスバンド6の締め付けにより円筒ゴム部材3に固定される{図3の(b)参照}。
ゴムパッキン5は、端が切れたC字状を呈し、ケーブル保護管1の螺旋溝11に嵌まる溝51を内周に形成している。
【0045】
つぎに、水密ジョイントAを用いて、ケーブル保護管1をハンドホール2の取付穴21へ水密的に連結するための工事の手順を説明する。
(1)ハンドホール2内から円筒ゴム部材3を取付穴21内へ嵌め込む{図2の(a)参照}。なお、ブチルゴム36の外周面が取付穴21の内壁に当り、鍔部32がハンドホール2の削穴角の内壁37に係止される。
【0046】
(2)ハンマーhを用いて、ハンドホール2内から、円筒ゴム部材3内に円筒スペーサー4を打ち込み、鍔状部42を鍔部32に係止する{図2の(b)参照}。
【0047】
(3)円筒ゴム部材3および円筒スペーサー4の内部へ、先端を所定の位置まで、ケーブル保護管1を差し込んだ場合に、ゴムパッキン5が円筒ゴム部材3の凹部30に臨む位置(先端から120mm)にゴムパッキン5を巻き付けておく{図3の(a)参照}。また、緩めたステンレスバンド6を円筒ゴム部材3の凹部30に取り付ける。
ゴムパッキン5は、端が切れたC字状を呈しており、螺旋溝11に嵌まる溝51を内周に形成しているため、嵌め込み後に、巻付部位に対応する径小部31の凹部30に臨む位置へゴムパッキン5を容易に巻き付けておくことができる。
【0048】
(4)ゴムパッキン5を巻き付けたケーブル保護管1を、円筒ゴム部材3および円筒スペーサー4の内部を通してハンドホール2内に嵌め込む{図3の(b)参照}。
(5)凹部30に配したステンレスバンド6を締め付けて{図3の(b)参照}、円筒ゴム部材3の径小部31にケーブル保護管1を固定(図1参照)する。
【0049】
実施例1の水密ジョイントAは、以下の利点を有する。
〔あ〕径大部33の外周にブチルゴム36を貼着した円筒ゴム部材3内に、円筒スペーサー4をハンマーhで打ち込んで径大部33を拡径させれば、取付穴21の穴壁へ円筒ゴム部材3が強固に圧着する。また、円筒ゴム部材3の径小部31の凹部30に配したステンレスバンド6により、ゴムパッキン5を巻き付けたケーブル保護管1と円筒ゴム部材3とが強固に固定されている。
このため、ケーブル保護管1と円筒ゴム部材3とハンドホール2の取付穴21の穴壁との間で、高い水密性が確保できる。
【0050】
〔い〕ハンドホール2の側壁に設けた取付穴21へ、円筒ゴム部材3を介してケーブル保護管1を連結しているので可とう性に優れる。
このため、地震や車両等による振動が、ハンドホール2やケーブル保護管1に加わっても、水密ジョイントAが追従して変形するので、ハンドホール2やケーブル保護管1の破損が防止できるとともに、水密性も保たれる。
また、車両等による振動や、施工工事により、ケーブル保護管1やハンドホール2の位置が若干ずれても、水密ジョイントAが追従して変形するので、ケーブル保護管1等の破損が防止できるとともに、水密性も保たれる。
【0051】
〔う〕ハンドホール2の内側から円筒ゴム部材3を取付穴21へ嵌め込み、円筒スペーサー4をハンマーhで円筒ゴム部材3の円筒部内に打ち込み、ゴムパッキン5を巻き付けたケーブル保護管1を水密ジョイントA内へ挿入し、ステンレスバンド6を締め付けて円筒ゴム部材3に固定するだけで良いので、施工が簡単であり、熟練を要しない。
なお、端が切れたC字状を呈し、螺旋溝11に嵌まる溝51を内周に形成したゴムパッキン5をケーブル保護管1に巻き付け、ステンレスバンド6を締め付ける構成であるので、螺旋溝11を含むケーブル保護管1とハンドホール2の取付穴21の穴壁との間の隙間がなくなり、地下水や雨水がハンドホール2内へ浸入せず、高い水密性が確保できる。
なお、ゴムパッキン5は、端が切れたC字状を呈し、螺旋溝11に嵌まる溝51を内周に形成しているので、ケーブル保護管1の所定位置へ容易に巻き付けることができる。
【0052】
〔え〕水密ジョイントAは、ハンドホール2の取付穴21の径に対応する円筒ゴム部材3および円筒スペーサー4を選択することにより、取付穴21の径の大小を問わず、適用することができる。
【実施例2】
【0053】
つぎに、本発明の実施例2(請求項5に対応)を図4および図7に基づいて説明する。 ケーブル保護管1、1どうしを水密的に連結するための水密ジョイントBは、図7に示す如く、ゴムパッキン5と、ステンレスバンド6、6、円筒ゴム8とを備える。
【0054】
ゴムパッキン5は、端が切れたC字状を呈し、ケーブル保護管1の螺旋溝11に嵌まる溝51を内周に形成している。
【0055】
円筒ゴム8は、管端にゴムパッキン5を巻き付けたケーブル保護管1、1の管端を遊嵌できる内径を有する。また、円筒ゴム8の中央内壁には、内方へ突出する凸部81が周設されている。
ステンレスバンド6、6は、円筒ゴム8の外周端に取り付けられている。
【0056】
つぎに、水密ジョイントBを用いて、ケーブル保護管1、1どうしを水密的に連結するための工事の手順を説明する。
(1)ゴムパッキン5をケーブル保護管1、1の管端に巻き付ける{図7の(a)参照}。
【0057】
(2)円筒ゴム8の両側から、ゴムパッキン5を巻き付けた管端が対向する状態にケーブル保護管1、1を嵌め込み、円筒ゴム8の円筒内で管端を当接させる。この際、ゴムパッキン5、5間の隙間に凸部81が臨む。なお、円筒ゴム8の端部外周にステンレスバンド6、6を緩く取り付けておく。
【0058】
(3)ステンレスバンド6、6を締め付けると、ゴムパッキン5および円筒ゴム8を介して、ケーブル保護管1、1どうしが連結される。
【0059】
実施例2の水密ジョイントBは、以下の利点を有する。
ゴムパッキン5は、端が切れたC字状を呈するため、ケーブル保護管1、1の管端にゴムパッキン5を容易に巻き付けることができるとともに、ゴムパッキン5を巻き付けたケーブル保護管1を遊嵌可能な内径を円筒ゴム8が有するので、ケーブル保護管1を円筒ゴム8の円筒内へ嵌め込む際にケーブル保護管1を捩じる必要がない。
また、ケーブル保護管1の螺旋溝11に嵌まる溝51を内周に形成しているため、円筒ゴム8に配したステンレスバンド6、6を締め付けると、ゴムパッキン5とケーブル保護管1とが緊密に接合する。よって、作業性に優れ、且つ、高い水密性が得られる。
【0060】
本発明は、上記実施例以外に、つぎの実施態様を含む。
a.円筒ゴム部材9は、漸減径部を設けず、全て等径(先端円筒部91、中間円筒部92)であっても良い(図8参照)。
【0061】
b.図1に示す第1実施例の水密ジョイントAでは、図4に示す端が切れたC字状を呈するゴムパッキン5をケーブル保護管1に巻き付けているが、図6に示す端が切れていない全円のゴムパッキン5をケーブル保護管1に取り付けても良い(請求項1に対応)。この場合、ケーブル保護管1の端から、端が切れていない全円のゴムパッキン5を相対回転により捩じ込んで取り付ける。
【0062】
c.図7に示す第2実施例の水密ジョイントBでは、図4に示す端が切れたC字状を呈するゴムパッキン5を各ケーブル保護管1の管端に巻き付けているが、図6に示す端が切れていない全円のゴムパッキン5をケーブル保護管1の管端に取り付けても良い(請求項4に対応)。この場合、各ケーブル保護管1の管端から、端が切れていない全円のゴムパッキン5を相対回転により捩じ込んで取り付ける。
【0063】
d.図1に示す第1実施例の水密ジョイントAにおいて、円筒スペーサー4の基端を、外側鍔45aと内側鍔45bとを有するT字鍔状部45としても良い(図9参照)。
図9に示す水密ジョイントDは、ハンドホール2内から円筒スペーサー4を嵌め込むと、T字鍔状部45の外側鍔45aが鍔部32に係止する。また、ケーブル保護管1をハンドホール2内に嵌め込むと、保護管先端がT字鍔状部45の内側鍔45bで係止する(請求項2を引用した請求項3に対応)。
なお、水密ジョイントDの端が切れたC字状を呈するゴムパッキン5を、端が切れていない全円のゴムパッキン5に変更しても良い(請求項1を引用した請求項3に対応)。
【0064】
水密ジョイントDにおいて、ケーブル保護管1をハンドホール2内に嵌め込むと、保護管先端がT字鍔状部45の内側鍔45bで係止するためベルマウスの役目を果たし、保護管先端の破損を防止できる。
なお、T字鍔状部45の内側鍔45bで係止されるため、T字鍔状部45の寸法を保護管先端の内外径の寸法に合わせる。
【0065】
従来は、ケーブル保護管1の保護管先端を防護するため、ベルマウスが必要であった。しかし、水密ジョイントDでは、円筒スペーサー4のT字鍔状部45の内側鍔45bがベルマウスと同じ機能を奏するため、ベルマウスが不要になる。
【0066】
円筒スペーサー4の基端を、外側鍔45aと内側鍔45bとを有するT字鍔状部45にしているので、下記の利点を有する。
・ケーブルをハンドホール2内へ引き込む際に、ケーブル保護管1の保護管先端を破損から守ることができる。
・ケーブル保護管1の保護管先端が揃うので、出っ張りがない。
・ケーブル保護管1を切断する位置の目安となる。
・部材を減らすことができ、経済的に優れる。
【0067】
e.図9の様に、円筒ゴム部材9に漸増径部93を設け、先端円筒部94を径大にしても良い。但し、ゴムパッキン5の肉厚を大きくする。
【0068】
f.実施例2の水密ジョイントBは、ケーブル保護管1以外に、円筒管10(塩化ビニル管や鋼管等の異種管)を接続することもできる(図10参照)。なお、円筒管10側のゴムパッキン5は外す。
【0069】
g.図1、図8、図9で使用する締具は、幅狭のC字リング61をリング内側に嵌め込んだステンレスバンド6であっても良い(図11参照)。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】実施例1の水密ジョイントの断面図である。
【図2】(a)は取付穴へ円筒ゴム部材をハンドホール内から嵌め込むところを示す説明図、(b)はハンドホール内から、ハンマーにより円筒ゴム部材の円筒内に円筒スペーサーを打ち込むところを示す説明図である。
【図3】(a)は水密ジョイント内へケーブル保護管を嵌め込むところを示す説明図、(b)は円筒ゴム部材にケーブル保護管を固定したところを示す説明図である。
【図4】実施例2の水密ジョイントに用いるケーブル保護管およびゴムパッキンの斜視図である。
【図5】ステンレスバンドの斜視図である。
【図6】実施例2の水密ジョイントに用いるケーブル保護管およびゴムパッキンの斜視図である。
【図7】(a)は各ケーブル保護管を実施例3の水密ジョイントへ嵌め込むところを示す説明図、(b)はその水密ジョイントを用いてケーブル保護管どうしを連結するところを示す説明図である。
【図8】ベルマウスを円筒スペーサーに採用した水密ジョイントの断面図である。
【図9】T字鍔状部を円筒スペーサーに採用した水密ジョイントの断面図である。
【図10】(a)はケーブル保護管と円筒管とを水密ジョイントへ嵌め込むところを示す説明図、(b)はその水密ジョイントを用いて両者を連結するところを示す説明図である。
【図11】幅狭のC字リングをリング内側に嵌め込んだステンレスバンドの斜視図である。
【符号の説明】
【0071】
A、B、D 水密ジョイント
1 ケーブル保護管
2 ハンドホール
3、9 円筒ゴム部材
4 円筒スペーサー
5 ゴムパッキン
6 ステンレスバンド
11 螺旋溝
21 取付穴
31 径小部
32 鍔部
33 径大部
41 テーパ状部
42 鍔状部
43 円筒状部
45 T字鍔状部
45a 外側鍔
45b 内側鍔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハンドホールの側壁に設けた円形の取付穴へ、外周に螺旋溝を形成した円形のケーブル保護管を水密的に連結するための水密ジョイントであって、
先端円筒部、基端の鍔部、および中間の中間円筒部を有し、中間円筒部外面が取付穴壁に密着し、前記鍔部が内側穴角に係止される様にハンドホール内から嵌め込まれる円筒ゴム部材と、
基端の鍔状部および円筒状部を有し、該円筒状部が中間円筒部内に圧入され、前記鍔状部が前記鍔部に係止される様に、前記ハンドホール内から円筒ゴム部材内に打ち込まれる樹脂製の円筒スペーサーと、
前記螺旋溝に嵌まる溝を内周に形成したゴムパッキンとを備え、
前記ケーブル保護管の端から前記ゴムパッキンを相対回転により捩じ込んで取り付けた前記ケーブル保護管を、前記円筒ゴム部材および前記円筒スペーサーの内部を通して前記ハンドホール内に嵌め込み、
前記ゴムパッキンが内側に臨む前記円筒ゴム部材の先端円筒部外周を締具で締め付けて前記ケーブル保護管を前記円筒ゴム部材に固定することを特徴とする水密ジョイント。
【請求項2】
ハンドホールの側壁に設けた円形の取付穴へ、外周に螺旋溝を形成した円形のケーブル保護管を水密的に連結するための水密ジョイントであって、
先端円筒部、基端の鍔部、および中間の中間円筒部を有し、中間円筒部外面が取付穴壁に密着し、前記鍔部が内側穴角に係止される様にハンドホール内から嵌め込まれる円筒ゴム部材と、
基端の鍔状部および円筒状部を有し、該円筒状部が中間円筒部内に圧入され、前記鍔状部が前記鍔部に係止される様に、前記ハンドホール内から円筒ゴム部材内に打ち込まれる樹脂製の円筒スペーサーと、
端が切れたC字状を呈し、前記螺旋溝に嵌まる溝を内周に形成したゴムパッキンとを備え、
該ゴムパッキンを巻き付けた前記ケーブル保護管を、前記円筒ゴム部材および前記円筒スペーサーの内部を通して前記ハンドホール内に嵌め込み、
前記ゴムパッキンが内側に臨む前記円筒ゴム部材の先端円筒部外周を締具で締め付けて前記ケーブル保護管を前記円筒ゴム部材に固定することを特徴とする水密ジョイント。
【請求項3】
前記円筒スペーサーの基端はT字鍔状部とされ、
ハンドホール内から前記円筒ゴム部材に嵌め込むと、前記T字鍔状部の外側鍔が鍔部に係止し、
前記ケーブル保護管を前記ハンドホール内に嵌め込むと、保護管先端が前記T字鍔状部の内側鍔で係止することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の水密ジョイント。
【請求項4】
外周に螺旋溝を形成した、円形のケーブル保護管どうしを水密的に連結するための水密ジョイントであって、
前記螺旋溝に嵌まる溝を内周に形成し、各ケーブル保護管の管端に取り付けられるゴムパッキンと、
各ケーブル保護管の端から前記ゴムパッキンを相対回転により捩じ込んで取り付けたケーブル保護管の管端を嵌め込み可能な内径を有する円筒ゴムとを備え、
前記ゴムパッキンを取り付けた各ケーブル保護管の管端を円筒ゴム内に嵌め込み、
前記円筒ゴムの外周に配した締具を締め付けて前記ゴムパッキンを縮径することによりケーブル保護管どうしを連結することを特徴とする水密ジョイント。
【請求項5】
外周に螺旋溝を形成した、円形のケーブル保護管どうしを水密的に連結するための水密ジョイントであって、
端が切れたC字状を呈するとともに、前記螺旋溝に嵌まる溝を内周に形成し、各ケーブル保護管の管端に巻き付けられるゴムパッキンと、
該ゴムパッキンを巻き付けたケーブル保護管の管端を嵌め込み可能な内径を有する円筒ゴムとを備え、
前記ゴムパッキンを巻き付けた各ケーブル保護管の管端を円筒ゴム内に嵌め込み、
前記円筒ゴムの外周に配した締具を締め付けて前記ゴムパッキンを縮径することによりケーブル保護管どうしを連結することを特徴とする水密ジョイント。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−77605(P2009−77605A)
【公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−246620(P2007−246620)
【出願日】平成19年9月25日(2007.9.25)
【出願人】(599024001)株式会社サンリツ (20)
【Fターム(参考)】