説明

水密型ポリエチレン絶縁電線

【課題】使用済水密型ポリエチレン絶縁電線Pの絶縁体3を使用して、新たに、使用可能な水密型ポリエチレン絶縁電線を得る。
【解決手段】ベンゾトリアゾールとエポキシ系可塑剤からなる表面処理剤を塗布された複数の素線11aからなる導体11のその各素線間にEEA等の熱可塑性の樹脂からなる電気絶縁性水密材12を充填し、その導体の外周面に回収・改質した再生ポリエチレン13を被覆した水密型ポリエチレン絶縁電線Pである。表面処理によって各素線と水密材は密着性が高まり、その素線間の水密性(雨水浸入防止性)は、水密材の粘弾性に依存する割合が低下するため、水密材に硬質な樹脂を採用しても、その雨水浸入防止性を確保することができる。硬質な水密材は、回収・改質した再生ポリエチレンの剛性低下を補う効果を持つため、皮剥ぎ時の絶縁体の供回りを抑制できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複数の素線からなる導体のその各素線間に水密材を充填し、その導体の外周面にポリエチレンを被覆した水密型ポリエチレン絶縁電線に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の水密型ポリエチレン絶縁電線(OE−W)は、図3に示すように、複数の素線1aを撚り合わせた導体1のその周囲及び各素線1a、1a間に水密材2を充填し、その導体1(水密材2)の外周面にポリエチレン3を被覆したものが一般的であり、屋外配線用として使用される(特許文献1 段落0002 図1参照)。
【特許文献1】特開2006−328152号公報
【0003】
その屋外配線における架線工事の際、一の水密型ポリエチレン絶縁電線Pと他の水密型ポリエチレン絶縁電線P又は他の絶縁電線とを電気的に接続するため、上記ポリエチレン被覆からなる絶縁体3を剥ぎ取って導体1を露出させる皮剥作業を伴う。その皮剥作業は、例えば、図4に示す電線皮剥ぎ器Aによって行う。
【0004】
この電線皮剥ぎ器Aは、2つ割りの円筒状挟持部21の各片にアーム22を設けるとともに、その挟持部21の一片に剥ぎ取り刃23を設けたものであり、まず、同図(a)の開いた状態で絶縁電線Pを挟持部21に入れて挟み、つづいて、剥ぎ取り刃23を絶縁電線Pの絶縁体3に食い込ませ(同図(b))、その状態において、絶縁電線Pに対して電線皮剥ぎ器Aを同図(b)矢印のように回すと、同図(c)に示すように、剥ぎ取り刃23が回転につれてその幅分(剥ぎ取り刃23の食い込んでいる部分)aの絶縁体3を剥ぎ取る。
【0005】
この剥ぎ取り作業の際、絶縁体3と水密材2の接合力が弱いと、絶縁体3のみが剥がれ、水密材2が導体1上に残り、電線接続作業に支障が出る。このため、一般的な水密型ポリエチレン絶縁電線Pは、上記絶縁体3と水密材2を融着した構造としている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、屋外配線された水密型ポリエチレン絶縁電線は、夏の炎天下では、その絶縁体3が60℃以上の高温となり、その絶縁体3の硬度(剛性)が低下する。この剛性の低下のため、上記架線工事における絶縁体3の剥ぎ取り作業の際、上記電線皮剥ぎ器Aの回転につれて剥ぎ取り部aの両側の絶縁体bが供回りして、円滑な剥ぎ取りができない場合がある(図4(c)参照)。
【0007】
また、近年のリサイクル気運の高まりの下、各種の絶縁電線Pにおいても例外でない。このため、この水密型ポリエチレン絶縁電線Pにおいても、そのリサイクルの一つとして、上記ポリエチレン被覆からなる絶縁体3のリサイクルが考えられる。
その絶縁体3をリサイクルする際、使用済水密型ポリエチレン絶縁電線Pから回収した絶縁体3には、上述のように、絶縁体3と水密材2を融着させていることから、導体1周囲の水密材2が混入している。
【0008】
例えば、図2に示す、19本の銅素線(径:2mmφ)1aを同心撚りした公称断面積60mm2の水密型ポリエチレン絶縁電線Pにおいて、その各寸法が図示の通りの場合、この使用済水密型ポリエチレン絶縁電線Pから絶縁体3を皮剥ぎして回収すると、図中、導体1の外接円(鎖線)の外側部分2a及びその外接円と最外層素線1aで囲まれた部分2bの水密材2(点加入部分)が絶縁体3とともに剥ぎ取られる。
その剥ぎ取られる厚み(水密材2の外接円(鎖線)から外周までの厚みの部分2a)を、実質的な上限値と考えられる0.1mmと仮定し、外接円と最外層素線1aで囲まれた部分2bの水密材2も完全に剥ぎ取られるとすると、その剥ぎ取った絶縁体3への水密材2(2a+2b)の混入率は、表1に示す値となる。このため、以下は、使用済水密型ポリエチレン絶縁電線Pから絶縁体3を皮剥ぎして回収する際の一般的な絶縁体3への水密材2の混入率を19vol%とする。
【0009】
【表1】

【0010】
この水密材2の混入した絶縁体(ポリエチレン)3は、その混入していないポリエチレンに対してその特性が大きく異なる。このため、従来では、その使用済水密型ポリエチレン絶縁電線Pの絶縁体3のリサイクルはなされていない。
【0011】
この発明は、上記の実情に鑑み、高温下での絶縁体の剥ぎ取り作業を円滑化し、併せて、使用済ポリエチレン絶縁電線Pの絶縁体を使用して、新たに、使用可能な水密型ポリエチレン絶縁電線を得ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を達成するために、この発明は、まず、導体素線に、その表面に水密材との密着性を高める表面処理剤が塗布されたものとしたのである。
導体素線と水密材の密着性が高まれば、高温下での絶縁体の剥ぎ取り作業においても、水密材を介して導体と絶縁体の一体化が維持されるため、上記皮剥ぎ器の回転につれての剥ぎ取り部a両側の絶縁体bの供回りが生じにくく、円滑な剥ぎ取りを行うことができる。
【0013】
つぎに、この発明は、水密材には、元来から良好な電気絶縁性を有する熱可塑性のもの、例えば、EVA(エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂)、EEA(エチレン−エチルアクリレート共重合樹脂)、EMA(エチレン−メチルアクリレート共重合樹脂)、EMMA(エチレン−メチルメタクリレート共重合樹脂)等を主成分とするものを使用することとしたのである。
水密材に熱硬化性樹脂を使用すれば、その粘弾性を広い温度範囲で確保できるが、熱硬化性樹脂の混入したポリエチレンは押出成型時において溶融しないので、押出表面にブツブツが発生し絶縁電線の絶縁体として使用することは困難である。このため、水密材には押出成型時において溶融する熱可塑性樹脂を使用する。
【0014】
また、水密材として、この良好な電気絶縁性を有する材料を主成分とするものとしたのは、ポリエチレンからなる絶縁体に混入しても、耐電圧等の絶縁電線の絶縁体に要求される一般特性には問題がないことを下記表2で示す実験などによって得たからである。
さらに、このような熱可塑性の水密材は、最大19vol%内では、ポリエチレンからなる絶縁体に混入しても、その外観、引張強度等の機械的強度に支障がないことを同表2で示す実験などによって得たからである。
その表2において、電気絶縁性はプレスシートによる体積抵抗率でもって評価し、押出外観はラボテスト押出機によるベルト押出し試料の外観でもって評価し、引張特性はプレスシートからJIS-3号ダンベルによる打ち抜きでもって評価し、水密材混入率はいずれも19vol%である。
【0015】
【表2】

【0016】
また、上記のように、絶縁体は高温(例えば60℃)になると、その絶縁体の硬度(剛性)が低下するため、上記の絶縁体の剥ぎ取り作業の際、絶縁体bの供回りが生じ、この現象は、特に水密材が混入した絶縁体において顕著になる。
このとき、何らかの方法で導体と水密材の接合力を高めた上で水密材に硬質のものを使用すれば、その絶縁体の剛性の低下を補うことができ、その供回りを抑制できると同時に雨水浸入防止性を確保できる。
しかし、導体と水密材の接合力が弱いままに硬質水密材を使用したのでは硬質であるが故の粘弾性の乏しさから、水密型ポリエチレン絶縁電線の雨水浸入防止性(水密性)の確保が困難となる。
これに対し、上述のように、この発明は、導体素線に、その表面に水密材との密着性を高める表面処理剤を塗布されたものとしたので、導体素線は水密材との密着強度が高いものとなり、その導体素線間の水密性(雨水浸入防止性)は、水密材の粘弾性に依存する割合が低下する。このため、水密材に硬質な樹脂を採用しても、導体素線間の水密性(雨水浸入防止性)を確保することができる。
【0017】
上記課題を解決した発明の構成としては、複数の素線からなる導体のその各素線間に電気絶縁性水密材を充填し、その導体の外周面にポリエチレンを被覆した水密型ポリエチレン絶縁電線において、前記各素線表面に前記水密材との密着性を高める表面処理剤が塗布され、その水密材には熱可塑性の電気絶縁性樹脂が使用された構成を採用することができる。
【0018】
この構成の水密型ポリエチレン絶縁電線は、その絶縁体をリサイクルする際、水密材が回収した絶縁体に混入するが、上述のように、その水密材がポリエチレンからなる絶縁体に混入しても、その外観、電気特性、引張強度等の機械的強度に支障がないため、リサイクルの支障とならない。
このため、この構成の水密型ポリエチレン絶縁電線は、その構成の使用済水密型ポリエチレン絶縁電線から回収・改質した再生ポリエチレンを使用した絶縁体とすることができる。
【0019】
ここで、上述のように、上記水密材に硬質のものを使用すれば、その水密材が混入した絶縁体の剛性の低下を補うため、絶縁体の皮剥ぎ作業におけるその供回りを抑制できる。このため、その供回りを回避できる水密材の硬度を、使用態様に基づき適宜に設定すればよい。
【0020】
例えば、屋外配線における架線工事は、上述のように、夏場の炎天下が最も厳しい環境であって、その環境下では、絶縁体は60℃程の高温となる。このため、この最も厳しい環境下の作業でも、皮剥ぎ作業における絶縁体の供回りが生じないようにするためには、水密材は、まず、その温度、60℃では溶融しない融点が60℃を超える(複数の樹脂を配合して使用する場合には、そのいずれの樹脂の融点も60℃を超える)樹脂を使用し、つぎに、その60℃においても、供回りをしない高い硬度を有するものとする。
すなわち、上記の構成において、上記水密材は、その構成樹脂の融点が何れも60℃を超えるものであって、その60℃における硬度がデュロメータTYPE:Aで40以上あるものとすることができる。好ましくは48以上とする。
40未満であれば、水密材の混入した絶縁体の皮剥ぎは、供回りをして皮剥ぎ作業に支障をきたす。40以上であれば、水密材の混入した絶縁体の皮剥ぎは、少し供回りはするが、皮剥ぎ作業は可能である。また、48以上であれば水密材の混入した絶縁体の皮剥ぎは、ほとんど供回りがなく皮剥ぎ作業ができる。
【0021】
なお、水密材の混入していない絶縁体は、水密材の混入している絶縁体に比べ高温化による剛性の低下が小さいため、硬度の低い軟質の水密材を使用しても、供回りは小さく、皮剥ぎは可能であるが、水密材の混入している絶縁体であっても、その水密材に上記の硬質のものを使用すれば、供回りはほとんどなく、皮剥ぎ作業性は容易となる。このことから、絶縁体の皮剥ぎ作業にすこぶる円滑さを望まなければ、水密材に硬質なものを必ずしも使用する必要はない(軟質なものを適宜に使用し得る)。
【0022】
上記表面処理剤は、使用する水密材との密着性を高めるものであれば、何れでも良いが、例えば、ベンゾトリアゾール(その誘導体(ベンゾトリアゾール誘導体)及び混合物(ベンゾトリアゾールとベンゾトリアゾール誘導体の混合物)を含む)、エポキシ系可塑剤、残部が溶剤からなるものを採用する(特許文献2 特許請求の範囲参照)。
すなわち、ベンゾトリアゾールは、銅加工品に防錆剤として塗布されることがあり、これ自体も銅と水密材の接着力を高める効果を有するが、一定量以上に添加量を多くしても、接着力のさらなる向上は得られない。しかし、ベンゾトリアゾールにエポキシ系可塑剤を添加すると、エポキシ系可塑剤が金属、ポリオレフィン、いずれに対しても親和性が強いエポキシ基を有しており、またベンゾトリアゾールと異なり常温で液体であるために、ベンゾトリアゾールの皮膜に浸入し、ベンゾトリアゾールだけを用いた場合に比べ、より接着力を向上させることを見出した。この発見に基づき、表面処理剤に、ベンゾトリアゾール、エポキシ系可塑剤、残部が溶剤からなるものを採用できるとしたのである。
【特許文献2】特公平03−71516号公報
【0023】
その混合割合は、ベンゾトリアゾール:0.1〜10重量%、より好ましくは0.2〜5重量%、エポキシ系可塑剤:0.05〜10重量%、より好ましくは0.1〜5重量%とする。
ベンゾトリアゾール:0.1重量%未満では、接着力が不足し、10重量%以上では、接着力が飽和する。同0.2〜5重量%では、接着力の向上効果とコストバランスが良い。
エポキシ系可塑剤:0.05重量%未満では接着力が不足し、10重量%以上では、接着力が飽和し、さらに過剰に添加すると、過剰な可塑剤が液体皮膜を形成するため、却って接着力が低下する。また、過剰な可塑剤が製造工程中のガイドローラ等の接触部材に付着するため、好ましくない。同0.1〜5重量%では、接着力の向上効果とコストバランスが良く、可塑剤の付着も少ない。
【発明の効果】
【0024】
この発明は、以上の構成とすることにより、高温下での絶縁体の剥ぎ取り作業における供回りを防止し得るものとすることができるとともに、使用済となってもその絶縁体を新たな水密型ポリエチレン絶縁電線の絶縁体として使用して、さらに、使用可能な水密型ポリエチレン絶縁電線を得ることができる。また、その再生絶縁体を使用した水密型ポリエチレン絶縁電線もその絶縁体を再使用できる。このため、水密型ポリエチレン絶縁電線の絶縁体のクローズドリサイクルを構築できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
図1に一実施形態を示し、この実施形態は、図3で示した従来と同様な構成の水密型ポリエチレン絶縁電線Pであって、19本の銅素線(径:2mmφ)11aから構成される公称断面積60mm2の同心撚りの丸撚り導体11の間(内部)及び表面(周り)に、表3に示す硬質水密材12を充填し、その外周に、さらにポリエチレン絶縁体13を被覆した水密型ポリエチレン絶縁電線Pである。なお、比較用として、同表3に示す軟質水密材も作った。表中の「水密材」は、何れもカーボンブラック:0.2PHR(P=per、H=hundred、R=resin)、酸化防止剤:0.1PHRを含む。この実施例では、軟質水密材12は、60℃における硬度がデュロメータTYPE:Aで40未満、硬質水密材12は、60℃における硬度がデュロメータTYPE:Aで40以上を言う。
【0026】
【表3】

【0027】
その各銅素線11aには、伸線時、その外全周面全長に亘って、イソプロピロアルコール:994gに、ベンゾトリアゾール:5gとエポキシ系大豆油:1gを溶解させた表面処理剤14を塗布した。
ポリエチレン絶縁体13は、使用態様に応じ、新品ポリエチレン単体(比較例1、2、実施例1、2)または、実際に架線・使用されていた非水密型ポリエチレン絶縁電線を撤去回収し、その絶縁被覆を、適当量の酸化防止剤を添加して、絶縁電線の絶縁体として支障なく使用できるように改質後、軟質、硬質の水密材(軟質:実施例4、硬質:実施例3、比較例3、4、5)を19vol%(リサイクル時に混入が予想される最大量)混入したものとした(リサイクルポリエチレン絶縁体とした)。その絶縁体13の特性を表4に示す。
この表4から理解できるように、混入水密材12の硬度にかかわらず、その混入後のリサイクル絶縁体(ポリエチレン)13には同じレベルの硬度の低下が見られる。
【0028】
【表4】

【0029】
以上の軟質又は硬質水密材12、リサイクル絶縁体13から成る実施例1〜4及び比較例1〜5において、図4に示す電線皮剥き器((株)古川電機製作所製)Aによる皮剥性及び雨水浸入防止性の結果を表5に示す。
その「皮剥性」は、長さ300mmの電線Pを60℃の恒温槽に浸し、その12時間後に取出し、直ちに、電線皮剥き器Aによる皮剥ぎを行って確認した。その表中、「×」は、「絶縁体13が電線皮剥き器Aと供回りして皮剥ぎが困難であったこと」、「◎」は、「その供回りが生じず、円滑な皮剥ぎが行えたこと」を示す。「○」は「その供回りがほとんどなく皮剥ぎ行えたこと」を示す。
また、「雨水浸入防止性」は、長さ2000mmの電線Pの一端に49kPaの水圧を24時間加え、他端から漏水の有無を調べた。その表中、「×」は、「漏水があったこと」、「○」は、「漏水がなかったこと」を示す。
【0030】
【表5】

【0031】
この結果から、導体素線11aの表面処理を行い、かつ硬質水密材12を使用した実施例2〜4は、良好な高温皮剥性及び雨水浸入防止性を確保できたが、その一方を欠如した比較例1〜5においては、「皮剥性」、「雨水浸入防止性」の少なくとも一方において、満足できないものであった。
なお、絶縁体に新品のポリエチレンを使用した場合(実施例1)には、表面処理剤14を塗布すれば、水密材12が硬質、軟質どちらでも高温皮剥性及び雨水浸入防止性を確保できるが、表面処理剤と硬質水密材を併用した場合(実施例2)の方がさらに高温皮剥性が円滑となる。
【0032】
上記各実施例は、EEAを主成分とする水密材12の場合であったが、熱可塑性を有し、融点及び硬度が同様な範囲の電気絶縁性樹脂であれば、例えば、上記EVA、EMA、EMMA等の電気絶縁性樹脂であれば、同様な作用効果を得ることができることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】一実施形態の断面図
【図2】水密材混入量算出用説明図
【図3】従来例の断面図
【図4】絶縁電線の皮剥ぎ作用説明図
【符号の説明】
【0034】
A 電線皮剥ぎ器
P 水密型ポリエチレン絶縁電線
1、11 導体
1a、11a 導体素線
2、12 水密材
3、13 絶縁体
14 表面処理剤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の素線(11a)からなる導体(11)のその各素線(11a、11a)間に電気絶縁性水密材(12)を充填し、その導体(11)の外周面にポリエチレン(13)を被覆した水密型ポリエチレン絶縁電線(P)であって、
上記各素線(11a)表面に上記水密材(12)との密着性を高める表面処理剤(14)が塗布され、前記水密材(12)には熱可塑性の電気絶縁性樹脂が使用されていることを特徴とする水密型ポリエチレン絶縁電線。
【請求項2】
上記ポリエチレン(13)には、上記水密材(12)が熱可塑性の樹脂からなる水密型ポリエチレン絶縁電線から回収・改質した再生ポリエチレンを使用したことを特徴とする請求項1に記載の水密型ポリエチレン絶縁電線。
【請求項3】
上記水密材(12)は、その構成樹脂の融点が何れも60℃を超えるものであって、その60℃における硬度がデュロメータTYPE:Aで40以上あるものとしたことを特徴とする請求項1又は2に記載の水密型ポリエチレン絶縁電線。
【請求項4】
上記表面処理剤(14)が、ベンゾトリアゾールと、エポキシ系可塑剤、残部が溶剤からなることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の水密型ポリエチレン絶縁電線。
【請求項5】
上記表面処理剤(14)のベンゾトリアゾールを0.1〜10重量%、エポキシ系可塑剤を0.05〜10重量%としたことを特徴とする請求項4に記載の水密型ポリエチレン絶縁電線。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−104991(P2009−104991A)
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−277685(P2007−277685)
【出願日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【出願人】(000213297)中部電力株式会社 (811)
【出願人】(000108742)タツタ電線株式会社 (76)
【Fターム(参考)】