説明

水底下物体の探査類別方法

【課題】探査と類別の計測時間を短縮可能な水底下物体の探査類別方法を提供する。
【解決手段】予め、形状や材質の異なる複数の既知の水底下物体21を用い、水中航走体2を既知の水底下物体21の周りで直線状あるいは曲線状に航行させたときの散乱波のレベルパターンを作成してデータベースとして蓄積しておき、水中航走体2を、測定対象の水域で直線状あるいは曲線状に航行させつつ、送波器3から音波を送波して散乱波の計測を行うと共に、水中航走体2を、測定対象の水域で格子状に縦横に航行させて、測定対象の水域中の任意の測定点に対して散乱波の計測を行うようにし、計測した散乱波の強度から水底下物体21を検知すると共に、計測した散乱波の強度を基に散乱波のレベルパターンを作成し、当該散乱波のレベルパターンをデータベースと照合することで、水底下物体21の類別を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水底下に埋没している物体の形状、大きさ等を類別するために用いる水底下物体の探査類別方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、水中や水底に存在する物体の大きさや形状を計測するための手段として、音響映像による探査が広く一般的に用いられている。
【0003】
音響映像による探査では、送波器(音波源)より高周波の音波(例えば、数十〜数百kHz)を指向性の高いビーム状に収束させて送波し、その反射波を送波器と同一位置においた受波器にて受波することにより、音波の送波から反射波の受波までの時間情報を基に反射点までの距離を測定し、この反射点の位置情報を多数集積することで音響映像を作成して、水中や水底に存在する物体の探査を行ったり、物体の大きさや形状についての情報を視覚的に得ている。
【0004】
しかし、高周波の音波は水底下に透過し難いという特性を有しているため、水底下、すなわち、水底の砂、泥、礫等の固体部分に埋もれている物体(例えば、人工物)の探査を行うことは困難であった。
【0005】
そこで、水底下に透過し易い低周波を用いて、水底に埋もれている水底下物体の探査を行う方法が提案されている。しかし、低周波は波長が長いため分解能が低下してしまい、高周波を用いた音響映像のように探査対象物体の形状を視覚的に捉えることが難しいという問題がある。
【0006】
そこで、本出願人は、形状や水底への埋もれ状況に関わらず、所望形状の水中資源を発見することができるようにするための手法として、水中での探査方向に向けて20kHz以下の低周波の音波を送波し、その探査方向の周辺の複数箇所で未知の水中資源からの散乱波を受波し、これら複数箇所でのマルチスタティック計測で受波した散乱波の到達時間、散乱波のレベル(強度)及び散乱パターンに基づき、該散乱の原因となった未知の水中資源の所在、及び、その水中資源の形状、姿勢を推定する水中資源探査方法を提案している(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
しかし、特許文献1の方法では、複数の水中航走体を用いる必要があるため、システム・運用が複雑になりコストがかかるという問題があった。そこで、本出願人は、送波器と受波器を搭載した水中航走体を用い、この水中航走体を探査すべき水底下物体の周りで周回航行させつつ、送波器から水底下物体に音波を送波すると共に、受波器で水底下物体からの散乱波を受波し、受波器で受波した散乱波のレベルを基に散乱波の方向レベルパターン(散乱パターン)を作成し、その散乱波の方向レベルパターンを予め蓄積したデータベースと照合することで、水底下物体の形状や大きさ等の類別を行う水底下物体の探査類別方法を提案している(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第4165201号公報
【特許文献2】特開2008−76294号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献2の方法では、測定対象の広い水域で水底下物体の探査を行い、当該探査にて水底下物体を検知すると、水底下物体の回りで水中航走体を周回航行させて類別を行うようになっており、探査と類別の計測を別途実施しているため計測に時間がかかるという問題があった。
【0010】
そこで、本発明の目的は、上記課題を解決し、探査と類別の計測時間を短縮可能な水底下物体の探査類別方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は上記目的を達成するために創案されたものであり、水中航走体に送波器と受波器とを搭載し、前記水中航走体を探査すべき水底下物体の周りで航行させつつ、前記送波器から前記水底下物体に音波を送波すると共に、前記受波器で前記水底下物体からの散乱波を受波し、該受波器で受波した散乱波の強度を基に散乱波のレベルパターンを作成し、その散乱波のレベルパターンを予め蓄積したデータベースと照合することで、前記水底下物体の類別を行う水底下物体の探査類別方法において、予め、形状や材質の異なる複数の既知の水底下物体を用い、前記水中航走体を前記既知の水底下物体の周りで直線状あるいは曲線状に航行させたときの前記散乱波のレベルパターンを作成して前記データベースとして蓄積しておき、前記水中航走体を、測定対象の水域で直線状あるいは曲線状に航行させつつ、前記送波器から音波を送波して散乱波の計測を行うと共に、前記水中航走体を、前記測定対象の水域で格子状に縦横に航行させて、前記測定対象の水域中の任意の測定点に対して散乱波の計測を行うようにし、計測した散乱波の強度から前記水底下物体を検知すると共に、計測した散乱波の強度を基に前記散乱波のレベルパターンを作成し、当該散乱波のレベルパターンを前記データベースと照合することで、前記水底下物体の類別を行う水底下物体の探査類別方法である。
【0012】
前記既知の水底下物体の水平面内での角度、前記水中航走体の航路に対する水平方向の距離、および前記水中航走体の航路に対する鉛直方向の距離ごとに前記散乱波のレベルパターンを作成して、前記データベースとして蓄積しておくとよい。
【0013】
前記測定対象の水域中の任意の測定点に対して少なくとも2回、90°異なる方位角度から散乱波の計測を行ってもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、探査と類別の計測時間を短縮可能な水底下物体の探査類別方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施の形態に係る水底下物体の探査類別方法に用いる水底下物体の探査類別装置の概略切断側面図である。
【図2】水底下物体の探査類別装置により水底下物体を探査している状態を示す概略後面図である。
【図3】(a)は、本発明において、水中航走体を水底下物体の周りで直線状に航行させたときに水中航走体の移動に伴い散乱波の強度が変化することを説明する図、(b)は、得られる散乱波のレベルパターンの一例を示す図である。
【図4】(a)〜(c)は、本発明において、水底下物体の水平面内での角度が異なると、得られる散乱波のレベルパターンが異なってくることを説明する図である。
【図5】(a)〜(c)は、本発明において、水中航走体の航路に対する水平方向の距離が異なると、得られる散乱波のレベルパターンが異なってくることを説明する図である。
【図6】(a),(b)は、本発明において、1方向からの計測では水底下物体を検知できない場合があることを説明する図である。
【図7】本発明において、水中航走体の航行パターンの一例を示す図である。
【図8】(a)は、本発明において、水中航走体を水底下物体の周りで曲線状に航行させたときに水中航走体の移動に伴い散乱波の強度が変化することを説明する図、(b)は、得られる散乱波のレベルパターンの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を添付図面にしたがって説明する。
【0017】
まず、本実施の形態に係る水底下物体の探査類別方法に用いる水底下物体の探査類別装置を説明する。
【0018】
図1は、本実施の形態に係る水底下物体の探査類別装置の概略切断側面図である。
【0019】
図1に示すように、水底下物体の探査類別装置1は、航走体としての水中航走体2に、水底下物体に音波を送波する送波器(低周波音源)3と、水底下物体からの散乱波を受波する受波器4と、受波器4で受波した信号を増幅するアンプ5と、アンプ5で増幅した受波信号を解析する解析手段としての信号処理器6とを搭載したものである。水中航走体2は、図示しない推進機構及び操舵機構、並びにホバリング機構を有し、これらを制御して水中航走体2が所定の航路に従って航行するように制御する航行制御手段(図示せず)や、水中で自己の位置と探査すべき水底下物体との位置関係を特定できる航法装置(図示せず)を備えている。
【0020】
送波器3は、低周波の音波を指向性ビーム7として送波するように構成される。図1において、角度θは指向性ビーム7の指向性の幅を示す。また、指向性ビーム7は、図2に示すように、航行方向後方から見たとき、その中心軸Cが水底に対して傾いている。
【0021】
受波器4は、受波アレイを構成すべく、航行方向に複数個並べて配置される。これら複数個の受波器4による受波信号を公知のアルゴリズムに従って合成開口処理することにより、航行方向の幅が狭い範囲からの散乱波を検出することができる。
【0022】
信号処理器6は、受波器4で受波した散乱波の強度を基に散乱波のレベルパターンを作成し、その散乱波のレベルパターンを予め蓄積したデータベースと照合することで、水底下物体21の類別を行うものである。
【0023】
次に、本実施の形態に係る水底下物体の探査類別方法を説明する。
【0024】
本実施の形態に係る水底下物体の探査類別方法では、水中航走体2を、測定対象の水域で直線状あるいは曲線状に航行させつつ、送波器3から音波を送波して散乱波の計測を行い、計測した散乱波の強度から水底下物体21を検知すると共に、計測した散乱波の強度を基に散乱波のレベルパターンを作成し、当該散乱波のレベルパターンをデータベースと照合することで、水底下物体21の類別を行う。
【0025】
そのため、本実施の形態に係る水底下物体の探査類別方法では、予め、形状や材質の異なる複数の既知の水底下物体21を用い、水中航走体2を既知の水底下物体21の周りで直線状あるいは曲線状に航行させたときの散乱波を測定(あるいはシミュレーションにより計算)して散乱波のレベルパターンを作成し、データベースとして蓄積しておく必要がある。
【0026】
ここで、本実施の形態に係る水底下物体の探査類別方法で蓄積しておくデータベースについて説明する。以下、水中航走体2を直線状に航行させる場合について説明する。
【0027】
図3(a)に示すように、水中航走体2を水底下物体21の周りで直線状に航行させると、水中航走体2の移動に伴い、音波の照射方向と水底下物体21との角度の関係が変化し、それにより、散乱波の強度(音圧レベル)が高い位置と低い位置が生じる。したがって、図3(b)のような散乱波のレベルパターンが得られる。なお、本発明における散乱波のレベルパターンとは、横軸を水中航走体2の航路に沿った位置(距離)、縦軸を散乱波の強度(音圧レベル)としたレベルパターンをいう。
【0028】
このとき、図4(a)〜(c)に示すように、水底下物体21の水平面内での角度が異なると、得られる散乱波のレベルパターンが異なってくる。したがって、水底下物体21の水平面内での角度をパラメータとしたデータベースを用意しておく必要がある。
【0029】
また、図5(a)〜(c)に示すように、水中航走体2の航路に対する水平方向の距離(最短距離)が異なると、水中航走体2に対する水底下物体21の鉛直面内での角度が変化し、得られる散乱波のレベルパターンが異なってくる。したがって、水中航走体2の航路に対する水平方向の距離をパラメータとしたデータベースも用意しておく必要がある。
【0030】
さらに、図示していないが、水中航走体2の航路に対する鉛直方向の距離が異なっても、水中航走体2に対する水底下物体21の鉛直面内での角度が変化するので、得られる散乱波のレベルパターンが異なってくる。したがって、水中航走体2の航路に対する鉛直方向の距離をパラメータとしたデータベースも用意しておく必要がある。
【0031】
つまり、本実施の形態では、任意の形状・材質の既知の水底下物体21について、水底下物体21の水平面内での角度、水中航走体2の航路に対する水平方向の距離、および水中航走体2の航路に対する鉛直方向の距離ごとの散乱波のレベルパターンを測定(あるいは計算)し、データベースとして予め蓄積しておく。
【0032】
水底下物体21の探査類別を行う際には、水中航走体2を水中に投入すると共に、水中航走体2を、測定対象の水域で直線状に航行させつつ、所定の時間間隔ごとに送波器3から音波を送波して散乱波の計測を行う。
【0033】
このとき、本実施の形態では、水中航走体2を、測定対象の水域で格子状に縦横に航行させて、測定対象の水域中の任意の測定点に対して少なくとも2回、異なる方位角度から散乱波の計測を行うようにする。これは、水底下物体21の形状によっては、1方向からの計測では水底下物体21を検知できない場合があり、探査漏れを防止するためである。なお、測定対象の水底下物体21の形状によっては、1回の散乱波の計測で十分に検知可能な場合も考えられる。つまり、測定対象の水底下物体21の形状が予め決まっており、その形状が例えば球形状のように散乱波の方向依存がない形状であるような場合などは、任意の測定点に対して散乱波のレベルパターンの計測を1回行えばよい。
【0034】
一例として、図6(a)に示すように、水底下物体21が円筒体61である場合、円筒体61の中心から受波器4へのベクトルAと、円筒体61の長軸方向を示すベクトルBとのなす角度αが、45°≦α≦90°であれば、受波器4に到達する散乱波の強度が十分に大きくなり、水底下物体21を検知することが可能である。しかし、図6(b)に示すように、角度αが45°未満になると、受波器4に到達する散乱波の強度が非常に小さくなり、水底下物体21を検知することができなくなる。この場合、図6(b)に破線で示す位置、すなわち、水底下物体21に対して90°異なる方位角度から散乱波の計測を行えば、角度αが45°≦α≦90°となり、確実に水底下物体21を検知することが可能である。
【0035】
そこで、本実施の形態では、測定対象の水域中の任意の測定点に対して少なくとも2回、90°異なる方位角度から散乱波のレベルパターンの計測を行うようにした。
【0036】
具体的には、例えば、図7に示すような長方形状の水域Xを測定対象とする場合、水中航走体2を長さ方向(図7では左右方向)に往復させつつ、測定対象の水域Xの全域で散乱波の計測を行い、その後、水中航走体2を幅方向(図7では上下方向)に往復させつつ、測定対象の水域Xの全域で散乱波の計測を行うようにすればよい(当然ながら、幅方向に往復させた後長さ方向に往復させてもよい)。図7におけるハッチングYは、水中航走体2における散乱波を計測可能な領域を表しており、水中航走体2を長さ方向あるいは幅方向に往復させる際に、この計測可能な領域Yが若干重なるように往復させると、測定対象の水域Xの全域を隈無く探査できる。図7のような格子状の航行パターンとすることで、測定対象の水域X中の任意の測定点に対して少なくとも2回、90°異なる方位角度から散乱波の計測を行うことが可能となる。
【0037】
計測した散乱波の強度が予め設定した閾値以上であれば、水底下物体21からの散乱波を受波したと考えられ、水底下物体21を検知できる。また、このとき計測した散乱波の強度を基に散乱波のレベルパターンを作成し、当該散乱波のレベルパターンを、予め蓄積した上述のデータベースと照合することで、水底下物体21の類別を行うことができる。
【0038】
なお、本実施の形態では、水中航走体2を直線状に航行させる場合を説明したが、これに限らず、水中航走体2を曲線状に航行させるようにしてもよい。水中航走体2を曲線状に航行させる場合についても、水中航走体2を直線状に航行させる場合と同様に、図8(a)に示すように、水中航走体2の移動に伴い、音波の照射方向と水底下物体21との角度の関係が変化し、それにより、散乱波の強度(音圧レベル)が高い位置と低い位置が生じる。その結果、図8(b)のような散乱波のレベルパターンが得られる。図3(b)と図8(b)では、同じ形状・材質の水底下物体21を用いた場合の散乱波のレベルパターンを示しているが、これらを比較してもわかるように、水中航走体2を直線状に航行させた場合と、水中航走体2を曲線状に航行させた場合では、散乱波のレベルパターンが異なってくる。したがって、水中航走体2を曲線状に航行させる場合には、予め水中航走体2を曲線状に航行させた場合のデータベースを作成しておき、これを用いて類別を行う必要がある。
【0039】
以上説明したように、本実施の形態に係る水底下物体の探査類別方法では、予め、形状や材質の異なる複数の既知の水底下物体21を用い、水中航走体2を既知の水底下物体21の周りで直線状あるいは曲線状に航行させたときの散乱波のレベルパターンを作成してデータベースとして蓄積しておき、水中航走体2を、測定対象の水域Xで直線状に航行させつつ、送波器3から音波を送波して散乱波の計測を行うと共に、水中航走体2を、測定対象の水域Xで格子状に縦横に航行させて、測定対象の水域X中の任意の測定点に対して少なくとも2回、異なる方位角度から散乱波の計測を行うようにし、計測した散乱波の強度から水底下物体21を検知すると共に、計測した散乱波の強度を基に散乱波のレベルパターンを作成し、当該散乱波のレベルパターンをデータベースと照合することで、水底下物体21の類別を行うようにしている。
【0040】
これにより、水底下物体21の探査(検知)と類別を同時に行うことが可能となり、探査と類別を別途行う従来技術と比較して、探査と類別の計測時間を格段に短縮することが可能となる。
【0041】
また、測定対象の水域X中の任意の測定点に対して少なくとも2回、異なる方位角度から散乱波の計測を行うことで、探査漏れを抑制できる。
【0042】
さらに、本実施の形態に係る水底下物体の探査類別方法では、1機の水中航走体2で散乱波の計測を行うため、複数の水中航走体2を用いる場合と比較して、システム・運用を簡単化できる。
【0043】
本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変更を加え得ることは勿論である。
【0044】
例えば、上記実施の形態では、水中航走体2に搭載した信号処理器6にて、散乱波のレベルパターンの作成と、水底下物体21の類別の各工程を行うようにしたが、これに限定されず、受波器4で受波した散乱波のデータを、水中航走体2の母船等の船上に設けた解析装置、あるいは、地上に設けた解析装置へ送って、船上あるいは地上の解析装置で上述の各工程を行うようにしてもよい。
【0045】
さらに、上記実施の形態では、航走体として水中航走体2を用いたが、水上の航走体である船舶等を用いるようにしてもよい。ただし、水底下物体21に対する位置を特定し易いという観点からは、水中航走体2を用いることが好ましいといえる。
【符号の説明】
【0046】
1 水底下物体の探査類別装置
2 水中航走体
3 送波器
4 受波器
6 信号処理器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水中航走体に送波器と受波器とを搭載し、前記水中航走体を探査すべき水底下物体の周りで航行させつつ、前記送波器から前記水底下物体に音波を送波すると共に、前記受波器で前記水底下物体からの散乱波を受波し、該受波器で受波した散乱波の強度を基に散乱波のレベルパターンを作成し、その散乱波のレベルパターンを予め蓄積したデータベースと照合することで、前記水底下物体の類別を行う水底下物体の探査類別方法において、
予め、形状や材質の異なる複数の既知の水底下物体を用い、前記水中航走体を前記既知の水底下物体の周りで直線状あるいは曲線状に航行させたときの前記散乱波のレベルパターンを作成して前記データベースとして蓄積しておき、
前記水中航走体を、測定対象の水域で直線状あるいは曲線状に航行させつつ、前記送波器から音波を送波して散乱波の計測を行うと共に、
前記水中航走体を、前記測定対象の水域で格子状に縦横に航行させて、前記測定対象の水域中の任意の測定点に対して散乱波の計測を行うようにし、
計測した散乱波の強度から前記水底下物体を検知すると共に、計測した散乱波の強度を基に前記散乱波のレベルパターンを作成し、当該散乱波のレベルパターンを前記データベースと照合することで、前記水底下物体の類別を行う
ことを特徴とする水底下物体の探査類別方法。
【請求項2】
前記既知の水底下物体の水平面内での角度、前記水中航走体の航路に対する水平方向の距離、および前記水中航走体の航路に対する鉛直方向の距離ごとに前記散乱波のレベルパターンを作成して、前記データベースとして蓄積しておく請求項1記載の水底下物体の探査類別方法。
【請求項3】
前記測定対象の水域中の任意の測定点に対して少なくとも2回、90°異なる方位角度から散乱波の計測を行う請求項1または2記載の水底下物体の探査類別方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図8】
image rotate

【図3】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2012−122758(P2012−122758A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−271604(P2010−271604)
【出願日】平成22年12月6日(2010.12.6)
【出願人】(000000099)株式会社IHI (5,014)
【Fターム(参考)】