説明

水性インクジェットインキ

【課題】分散性、保存安定性に優れるとともに、経時でのノズル詰まりを解消し、高い印字品質を可能にした水性インクジェットインキ組成物および印刷物を提供する。
【解決手段】着色成分として2種類のアゾ顔料、顔料分散樹脂、水、水溶性溶剤とを少なくとも含んでなるインキ組成物であって、該2種類のアゾ顔料の構成成分である特定の構造式を有する化合物のインク中の含有量が400ppm以下であることを特徴とし、該水溶性溶剤がグリコールエーテル類、ジオール類から選ばれる少なくとも一種である水性インクジェットインキ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、色再現性に優れ、インクジェットノズルからの吐出安定性、分散性、保存安定性に優れる水性インクジェットインキ組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、インクジェット印刷においては、着色剤として水溶性染料を使用した水性インキが主に用いられてきた。しかし、染料インキは耐候性、耐水性に劣る欠点があった。そこで、水溶性染料に変えて顔料を使用する顔料インキの検討が行われるようになり、近年、サインディスプレイ市場での大判プリンタとして、顔料インキを使用するインクジェットプリンターの実用化が進んできた。しかしながら、顔料インキに使用されるカラー顔料、特にマゼンタ色に使用される顔料であるC.I.ピグメントレッド122やC.I.ピグメントバイオレッド19は、染料のマゼンタ色と比較して、着色力が弱く、色再現範囲が十分に満足できるものではなかった。
【0003】
近年、これらの問題を解決しうるマゼンタ色の顔料として、アゾ系顔料が着目されている。しかし、このアゾ系顔料は、分散性、経時安定性が悪いことや、ノズル詰まりを引き起こすという問題があり、様々な検討が行われている。例えば、特許文献1は、アゾ顔料をメタノール抽出・洗浄し、その前後の重量比から算出した純度が90%以上の顔料を使用したインクジェットインキを記載している。しかしながら、純度が90%では、ノズル詰まりの原因である一般式(1)が経時で析出しノズル詰まりを引き起こす。さらに、インク中の一般式(1)量の記載もなく、ノズル詰まりを解決するには不十分であった。特許文献2は、アゾ顔料中の不純物の量を一定量以下にすることを目的とした顔料を使用したインクジェットインキを記載している。しかしながら、この顔料では、顔料同士の凝集が強く、分散性が不十分である。また、コート紙などの難浸透性の基材でのインキ液滴の浸透・拡がり不足で起こるビーディングや白スジの発生を無くし、印字品質を高めるために添加されるグリコールエーテル、ジオール類の浸透性溶剤により、経時での保存性が悪化するということ問題があった。そのため、インクジェトインキに使用することは困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−123866号公報
【特許文献2】特表2007−533802号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、インクジェットインキで良好な分散性、保存安定性が得られ、経時においてノズル詰まりがなく、優れた印字品質および色再現性を有し、その他インクジェットインキに要求される特性をバランス良く満たすインクジェットインキを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的は、以下の本発明によって達成される。
【0007】
即ち、本発明は、着色成分として2種類のアゾ顔料、顔料分散樹脂、水、水溶性溶剤とを少なくとも含んでなるインキ組成物であって、該アゾ顔料の構成成分である一般式(1)のインク中の含有量が400ppm以下であることを特徴とし、該水溶性溶剤がグリコールエーテル類、ジオール類から選ばれる少なくとも一種である水性インクジェットインキ組成物に関する。
また、第二の発明は、前記2種類のアゾ顔料が、一般式(1)を構成成分として含む一般式(2)で示される上記発明のインクジェットインキ組成物に関する。
【0008】
また、第三の発明は、一般式(2)のアゾ顔料のX1がメトキシ基、Y1が水素原子、Z1が塩素原子であるC.I.ピグメントレッド269と、R1が、水素原子であるC.I.ピグメントレッド150、又は、X1がメチル基、Y1が水素原子、Z1が塩素原子であるC.I.ピグメントレッド147、又は、X1がメトキシ基、Y1が塩素原子、Z1がメトキシ基であるC.I.ピグメントレッド146の混合物である上記いずれかの発明のインクジェットインキ組成物に関する。
また、第四の発明は上記発明のインクジェットインキを印刷してなる印刷物に関する。
【発明の効果】
【0009】
インクジェットインキで良好な分散性が得られ、インクジェットインキが連続印刷においてノズル詰まりがなく優れた印字特性および色再現性を有し、その他インクジェットインキに要求される特性をバランス良く満たすインクジェットインキが提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明のインクジェットインキは、インキ中の一般式(1)の含有量が400ppm以下にすることにより、経時でのノズル詰まりなく安定したインク吐出を実現できることを見出した。この理由は、定かではないが以下のように考えられる。
一般式(1)
【0011】
【化5】

(Rは、水素原子、又はYのパラ位で結合する一般式(1)’であり、
一般式(1)’
【0012】
【化6】

、Y、Zが、水素原子、塩素原子、アルキル基、アルコキシル基の何れかである)
【0013】
一般式(1)は、水や水溶性溶剤などの親水性の高い溶剤には溶けにくく、インキを長期に保存した場合、経時で析出してくる。よって、一般式(1)をインク中に含有しないことは、安定吐出性の改善に効果ある。インキ中の一般式(1)量を上記範囲にする方法としては、特に制限されるものでなく、顔料の合成方法や洗浄精製により一般式(1)量を低減させた顔料を使用することができる。好ましくは、顔料をアルカリ洗浄することである。
【0014】
しかしながら、後記する実施例から明らかなように、一般式(1)量がある一定量以下になるとインキの分散性が悪くなる。
そこで、本発明者らは、2種類のアゾ顔料を混合することで、インキ中の一般式(1)を一定量以下の場合でも高い分散性を維持できることを見出した。
【0015】
また、2種類のアゾ顔料を混合することで、基材上での液滴の浸透性・濡れ性を制御し印字品質を向上させるために添加しているグリコールエーテル類、ジオール類を含有していても経時保存での粘度上昇が抑えられることを見出した。
【0016】
本発明で使用されるアゾ顔料としては、公知の化学構造を有するアゾ顔料が全て含まれるが、一般式(2)で示されるアゾ顔料を2種類混合することが好ましい。
一般式(2)
【0017】
【化7】



(Rは、水素原子又はYのパラ位で結合する一般式(1)’であり、
一般式(1)’
【0018】
【化8】


、Y、Zが、水素原子、塩素原子、アルキル基、アルコキシル基の何れかである)

【0019】
具体的には、C.I.ピグメントレッド269とC.I.ピグメントレッド150、又はC.I.ピグメントレッド269とC.I.ピグメントレッド147、又はC.I.ピグメントレッド269とC.I.ピグメントレッド146との混合が好ましい。より好ましくは、C.I.ピグメントレッド269とC.I.ピグメントレッド147との混合である。混合比率は、99:1から90:10の範囲が好ましい。より好ましくは、97:3から92:8である。混合方法としては、特に制限されるものでなく顔料の合成・洗浄精製、又は分散時のどちらでも構わない。好ましくは、顔料の合成・洗浄精製時である。
顔料の合成法は、特に制限されるものでなく、公知の方法を用いることが出来る。
【0020】
本発明で使用される水溶性溶剤は、基材への濡れ性や浸透性を高めて、ビーディングや白スジを無くし印字品質の向上の目的で使用される。
【0021】
グリコールエーテル類の具体例としては、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノペンチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノプロピルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル等が挙げられる。
ジオール類の具体例としては、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール等が挙げられる。
この中でも効果が高いのは、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、1,2−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオールである。
これらの溶剤は単独で使用しても良く、複数を混合して使用することもできる。
【0022】
本発明のインクジェットインキは、上記で説明した本発明で規定した顔料、水溶性溶剤の他に、顔料分散樹脂及び水を含んでなるが、以下、これらの各成分について説明する。
【0023】
本発明のインクジェトインキに含まれる顔料分散樹脂としては、従来既知のものが使用できるが、一般に、(メタ)アクリル酸共重合物が使用される。これは、顔料表面に吸着した(メタ)アクリル酸共重合物がイオン化した際の電荷反発により、水性溶媒中で、顔料どうし電荷反発が起こり、安定した顔料分散状態を保つことができるためと考える。
【0024】
本発明のインクジェットインキに含まれる水としては、種々のイオンを含有する一般の水でなく、イオン交換水(脱イオン水)を使用することが好ましい。
【0025】
また、本発明のインキは、上記成分の他に、必要に応じて所望の物性を持つインキとするために、表面調整剤、消泡剤、水分散性樹脂微粒子、水分散ワックス、防腐剤等を適宜に添加することができる。
【0026】
上記したような成分からなる本発明のインキの作製方法としては、下記のような方法が挙げられるが、本発明は、これらに限定されるものではない。先ず初めに、顔料分散樹脂と、水とが少なくとも混合された水性媒体に顔料を添加し、混合撹拌した後、後述の分散手段を用いて分散処理を行い、必要に応じて遠心分離処理を行って所望の顔料分散液を得る。次に、必要に応じてこの顔料分散液に、水溶性溶剤、或いは、上記で挙げたような適宜に選択された添加剤成分を加え、撹拌、必要に応じて濾過して本発明のインキとする。
【0027】
本発明のインキの作製方法においては、上記で述べたように、インキの調製に分散処理を行って得られる顔料分散液を使用するが、顔料分散液の調製の際に行う分散処理の前に、プレミキシングを行うのが効果的である。即ち、プレミキシングは、少なくとも顔料分散樹脂と水とが混合された水性媒体に顔料を加えて行えばよい。このようなプレミキシング操作は、顔料表面の濡れ性を改善し、顔料表面への分散剤の吸着を促進することができるため、好ましい。
【0028】
上記した顔料の分散処理の際に使用される分散機は、一般に使用される分散機なら、如何なるものでもよいが、例えば、ボールミル、ロールミル、サンドミル、ビーズミル及びナノマイザー等が挙げられる。その中でも、ビーズミルが好ましく使用される。このようなものとしては、例えば、スーパーミル、サンドグラインダー、アジテータミル、グレンミル、ダイノーミル、パールミル及びコボルミル(何れも商品名)等が挙げられる。
さらに、上記した顔料のプレミキシング及び分散処理において、顔料分散樹脂は水のみに溶解もしくは分散した場合であっても、水溶性溶剤と水の混合溶媒に溶解もしくは分散した場合であっても良い。
【0029】
以上説明した本発明のインクジェットインキを印刷する基材は、公知のものが使用可能である。例えば、上質紙、コート紙、アート紙、キャスト紙、合成紙、または、フィルムなどを使用することができる。前記基材の表面が滑らかな表面であっても、凹凸のついたものであっても良いし、透明、半透明、不透明のいずれであっても良い。
又、これらの基材の2種以上を互いに張り合わせたものでも良い。更に印字面の反対側に剥離粘着層等を設けても良く、又印字後、印字面に粘着層等を設けても良い。
【0030】
[実施例]
以下、実施例により、本発明を具体的に説明する。なお、実施例中の「部」は、「重量部」を、「%」は、「重量%」をそれぞれ表す。
【0031】
(顔料の製造例)
3−アミノ−4−メトキシベンズアニリド100部を水1500部に分散させ、氷を加えて0〜5℃に温度調整し、35%塩酸水溶液120gを加えて10分攪拌した。その後、亜硝酸ナトリウム29gを水に溶解して添加し、60分間攪拌した後、スルファミン酸4gを加えて亜硝酸を消去した。さらに酢酸ナトリウム100g、90%酢酸150gを添加し、ジアゾニウム塩溶液とした。
これとは別にN−(5−クロロ−2−メトキシフェニル)−3−ヒドロキシ−2−ナフタレンカルボキシアミド139gを水1500g、水酸化ナトリウム50gと共に90℃で溶解した後、水を追加して温度を20℃に合わせて、カップラー溶液とした。
このカップラー溶液を、温度を20℃以下に調整した上記ジアゾニウム塩溶液に添加してカップリング反応を行い、1時間攪拌した。得られた顔料スラリーを90℃で加熱処理した後、濾過・水洗を行い、100℃で乾燥しC.I.ピグメントレッド269を218g得た。
同様の方法で、N−(5−クロロ−2−メトキシフェニル)−3−ヒドロキシ−2−ナフタレンカルボキシアミドを使用せずに、N−(4−クロロ−2,5−ジメトキシフェニル)−3−ヒドロキシ−2−ナフタレンカルボキシアミドを153g使用して、C.I.ピグメントレッド146を221g得た。
【0032】
得られたC.I.ピグメントレッド269を99gとC.I.ピグメントレッド146を1gとを水2000gに懸濁させ、水酸化ナトリウム50gを加え攪拌した。35℃で加熱処理した後、濾過・水洗を行い、100℃で乾燥し、C.I.ピグメントレッド269とC.I.ピグメントレッド146の99:1のアルカリ洗浄したアゾ顔料を得た。
【0033】
(顔料分散樹脂の製造例)
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、ブタノール93.4部を仕込み、窒素ガスで置換した。反応容器内を110℃に加熱して、ラウリルメタクリレート35.0部、スチレン35.0部、アクリル酸30.0部、およびV−601(和光純薬製)6.0部の混合物を2時間かけて滴下し、重合反応を行った。滴下終了後、さらに110℃で3時間反応させた後、V−601(和光純薬製)0.6部を添加し、さらに110℃で1時間反応を続けて、顔料分散樹脂1の溶液を得た。顔料分散樹脂1の重量平均分子量は約16000であった。
さらに、室温まで冷却した後、ジメチルアミノエタノール37.1部添加し中和した。これは、アクリル酸を100%中和する量である。さらに、水を293.4部添加し、水性化した。その後、ブタノールを除去した。これを1gサンプリングして、180℃20分加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に水性化した樹脂溶液の不揮発分が20%になるように水を加えた。これより、顔料分散樹脂1の不揮発分20%の水性化溶液を得た。
【0034】
(顔料分散体の製造例)
アルカリ洗浄したアゾ顔料を合計20部、顔料分散樹脂1の水溶化液を35部、水45部をマヨネーズ瓶に仕込み、ディスパーで予備分散した後、直径0.8mmのジルコニアビーズ250部を分散メディアとして仕込み、ペイントシェイカーにて2時間本分散を行い、顔料分散体を得た。
【0035】
(インキの製造例)
得られた顔料分散体を17部、アセチレングリコール系界面活性剤のポリアルコキシレートとしてサーフィノール465(AirProductsandChemicals Inc.製)を1部、1,2−プロパンジオールを47部、トリエチレングリコールモノメチルエーテルを1部、ジエチレングリコールモノブチルエーテルを5部、水を29部混合し、1μmのガラスフィルターでろ過することで、インキを作製した。
【0036】
(インク中の一般式(1)量の測定)
得られたインキ1.5gとメタノール5mLとを混合し、14000rpmで30分間遠心分離を行い、上澄みを0.2μmのメンブランフィルターで濾過しサンプル液とした。
【0037】
30μLのサンプル液を、高速液体クロマトグラフィーに注入、240nmのフォトダイオートアレイ検出器により検出し(分離カラム:TSKgel ODS−80TS、溶離液:A液(5モルリン酸二アンモニウム/メタノール=90/10)とB液(メタノール/水=95/5)のグラジエント混合、流速:0.8mL/min)、インク中の一般式(1)量を確認した。
【0038】
(印刷物の製造例)
インキをインクジェットプリンター(エプソン社製「PM−750C」)のカートリッジに充填して、コート紙(王子製紙製OKトップコート+、米坪104.7g/m)に印字を行い、評価用印刷物を作製した。
【0039】
(実施例1〜9)
表1に記載した組成に従い、上記製造例と同様にして分散体の作製、インキの作製、インク中の一般式(1)量の測定、評価用印刷物を作製した。
【0040】
(比較例1〜9)
表2に記載した組成に従い、上記製造例と同様にして分散体の作製、インキの作製、インク中の一般式(1)量の測定、評価用印刷物を作製した。
【0041】
上記各実施例、比較例で得られたインクジェットインキについて以下の項目について評価を行った。結果を表3に示す。
【0042】
(インクジェトインキの分散性)
作製したインクジェットインキの分散性を、1μmガラスフィルターの濾過性で目視判断した。目詰まり無しなら○、やや目詰まりありなら△、多量に目詰まりありなら×とした。
【0043】
(インクジェットインキの保存安定性)
インクを70℃の恒温機に2週間保存、経時促進させた後、経時前後でのインクの粘度変化を評価した。70℃2週間保存前後の変化率が、±10%以内なら○、±10%以上±20%以内であれば△、±20%以上であれば×とした。
【0044】
(基材への浸透性・濡れ性評価)
印字率100%のベタ印刷部において、目視で、明らかに白スジが発生しているものを×、若干白スジが発生しているものを△、白スジがないものを○とした。
【0045】
(インクジェットインキのノズル詰まり)
作製したインクジェットインキを、インクジェットプリンターのカートリッジに充填し、室温で2週間経時させた後、経時前後での印字した印字物を比較し目視でノズル詰まりを判断した。室温2週間経時前後の印字物を比較してノズル抜けがないものを○、少しノズル抜けがあるものを△、多量にノズル抜けがあるものを×とした。
【0046】
表3に示す通りインキ中の一般式(1)量が400ppm以下でかつ、2種類のアゾ顔料を用いたインキは、ノズル詰まりがなく分散性も良好であり、グリコールエーテル類、ジオール類を含有した状態でも、保存性も良好であった。
【0047】
【表1】

【0048】
【表2】

【0049】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
着色成分として2種類のアゾ顔料、顔料分散樹脂、水、水溶性溶剤とを少なくとも含んでなるインキ組成物であって、該2種類のアゾ顔料の構成成分である下記の一般式(1)のインク中の含有量が400ppm以下であることを特徴とし、該水溶性溶剤がグリコールエーテル類、ジオール類から選ばれる少なくとも一種である水性インクジェットインキ組成物。
一般式(1)
【化1】


(Rは、水素原子、又はYのパラ位で結合する一般式(1)’
一般式(1)’
【化2】

であり、X、Y、Zが、水素原子、塩素原子、アルキル基、アルコキシル基の何れかである)
【請求項2】
前記2種類のアゾ顔料が、一般式(1)を構成成分として含む下記の一般式(2)で示される請求項1に記載の水性インクジェットインキ組成物。
一般式(2)
【化3】


(Rは、水素原子又はYのパラ位で結合する一般式(1)’であり、
一般式(1)’
【化4】




、Y、Zが、水素原子、塩素原子、アルキル基、アルコキシル基の何れかである)
【請求項3】
前記一般式(2)のアゾ顔料のX1がメトキシ基、Y1が水素原子、Z1が塩素原子であるC.I.ピグメントレッド269と、R1が、水素原子であるC.I.ピグメントレッド150、又は、X1がメチル基、Y1が水素原子、Z1が塩素原子であるC.I.ピグメントレッド147、又は、X1がメトキシ基、Y1が塩素原子、Z1がメトキシ基であるC.I.ピグメントレッド146の混合物である請求項1または2記載の水性インクジェットインキ組成物。
【請求項4】
請求項1から3いずれか記載の水性インクジェットインキを用いて印刷してなる印刷物。

【公開番号】特開2012−184334(P2012−184334A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−48530(P2011−48530)
【出願日】平成23年3月7日(2011.3.7)
【出願人】(000222118)東洋インキSCホールディングス株式会社 (2,229)
【Fターム(参考)】