説明

水性フィルム形成ポリマー分散体およびポリエーテルシリコーンを含むコーティング組成物、その調製方法およびその使用

本発明は、新規なコーティング組成物または表面処理組成物、例えば、ペイント組成物などに関する。本発明の組成物は、内装または外装水性ペイント、荒塗り、ワニス、半厚コーティング、建築用繊維の仕上げ用組成物、硬質または可撓性プラスチック表面または表面保護製品を含めた様々な用途に使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なコーティング組成物または表面処理組成物、特にペイント組成物に関する。これらの組成物は、様々な用途、例えば、内装または外装水性ペイント、下塗り、ワニス、半厚コーティング、建築用繊維の仕上げ用組成物、硬質または可撓性プラスチック表面または表面保護製品などにおいて使用することができる。それらは、汚染防止コーティングを生成するために都合よく使用される。
【背景技術】
【0002】
従来技術は、最終用途において、例えば、ペイントの形態において、長期持続性、即ち、洗浄に耐え、保護コーティングとしての性能を減少させることのない、即ち、コーティングされる支持体に対する保護フィルムまたはその接着剤の組成を劣化させることのない、コーティングの外側表面における強力な親水性を与えるフィルムを正確に形成することのできるコーティング組成物を示していない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、本発明の本質的な目的の1つは、最終用途において、長期持続性、即ち、洗浄に耐え、保護コーティングとしての性能を減少させることのない、即ち、コーティングされる支持体に対する保護フィルムまたはその接着剤の組成を劣化させることのない、コーティングの外側表面における強力な親水性を与える新規なコーティング組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
さらに具体的には、本発明の主題を発展させかつ形成する新規なコーティング組成物は、
フィルム形成ポリマーの水性分散体、および
以下の式(I)で表わされるシリコーンポリエーテルの十分量:
【0005】
【化2】

(式中、
EOは、−O−CH−CH−を表し、
POは、−O−CH−CH−CH−を表し、
Rは、水素原子または1〜22個の炭素原子、好ましくは1〜4個の炭素原子を有する直鎖もしくは分枝状アルキル基を表し、
xは、5〜50の数であり、
yは、3〜10の数であり、
eは、10〜30の数であり、
pは、0〜10の数であり、
x/yは、10未満、好ましくは8以下であり、
e+pは、30未満、好ましくは20以下であり、
e/pは、1より大きく、好ましくは4以上であり、
x+yは、60未満、好ましくは40未満である)
を含み、エチレンオキシドまたはプロピレンオキシドの末端基はOR基である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
好ましい形態は、特に、x=9.5、y=3.5、e=11.5およびp=2.5であり、かつRが水素原子であり、x=14、y=4、e=17およびp=1であり、かつRが水素原子であり、x=48、y=6、e=15およびp=5であり、かつRが水素原子である生成物である。
【0007】
これらの生成物は全て非水性液体生成物である。
【0008】
「水不溶性フィルム形成ポリマーの水性分散体(ラテックス)」という表現は、天然または合成ラテックスを意味するものである。
【0009】
好ましい水不溶性フィルム形成ポリマーは、ビニルエステル、特に酢酸ビニル;アルキル基が1〜10個の炭素原子を含むアルキルアクリレートおよびメタクリレート、例えば、メチルアクリレートおよびメタクリレート、エチルアクリレートおよびメタクリレート、n−ブチルアクリレートおよびメタクリレートならびに2−エチルヘキシルアクリレートおよびメタクリレート;ビニル芳香族モノマー、特にスチレンから選択されるモノマーの重合により得られる。
【0010】
これらのモノマーは、互いにまたはその他のエチレン性不飽和モノマーと共重合してホモポリマー、コポリマーまたはターポリマーを形成することができる。
【0011】
酢酸ビニルおよび/またはアクリルエステルおよび/またはスチレンと共重合できるモノマーの非限定的例としては、エチレンおよびイソブテンなどのオレフィン;1〜12個の炭素原子を有する分枝状または非分枝状飽和モノカルボン酸のビニルエステル、例えば、ビニルプロピオネート、ビニル「ベルサテート(Versatate)」(C〜C11の分岐酸のエステルの登録商標)、ビニルピバレート、ビニルラウレート;3〜6個の炭素原子を有する不飽和モノまたはジカルボン酸と1〜10個の炭素原子を有するアルカノールとのエステル、例えば、メチル、エチル、ブチルもしくはエチルヘキシルマレエートまたはメチル、エチル、ブチルまたはエチルヘキシルフマレート;ビニル芳香族モノマー、例えば、メチルスチレンまたはビニルトルエン;塩化ビニル、塩化ビニリデンなどのハロゲン化ビニル、ジオレフィン、特にブタジエン;(メタ)アクリル酸(メタ)アリルエステル、マレイン酸モノおよびジエステルの(メタ)アリルエステル、フマル酸モノおよびジエステルならびにイタコン酸モノおよびジエステル、ならびにN−メタアリルマレイミドなどのアクリルおよびメタクリル酸アミドのアルケン誘導体を挙げることができる。
【0012】
性質において異なる少なくとも2つの共重合性モノマーは、特にターポリマーを得るために選択することができる。
【0013】
例としては、アセテート/ベルサテート/ジブチルマレエートタイプを挙げることができる。
【0014】
ラテックスの重合は、それ自身知られている方法において、重合性モノマーの水性エマルションとして、少なくとも1つの遊離基開始剤の存在下、好ましくは、移動剤、例えば、メルカプタンタイプの存在下において、一般的に20〜60重量%の反応媒体におけるモノマー濃度で行われる。
【0015】
重合は、モノマーの一部を連続的に導入しながら、連続的に、バッチまたは半連続的に行うことができ、均質および不均質構造の粒子を得るための任意の知られている変形による「シード」または「漸進的」タイプの重合であることができる。
【0016】
ラテックスの調製に対しては、非限定的例として、本出願人名のEP第599676号明細書において記載されている方法が参考にされる。
【0017】
好ましくは、アクリル系コーティング組成物が使用され、それらは、アクリルタイプのモノマー(例えば、1〜10個の炭素原子を含むアルキル基のアルキルアクリレートおよびメタクリレート、例えば、メチル、エチル、n−ブチルまたは2−エチルヘキシルアクリレートおよびメタクリレートなど)をベースとしたポリマーを含む。それらは、また、その他のモノマーを含むことができ、それらは、例えば、スチレン−アクリル系ワニスであっても良い。
【0018】
しかしながら、実際の用途においては、「純粋」なアクリル系コーティング組成物、即ち、アクリルタイプのみのモノマーをベースとした組成物がなおさらに好ましい。
【0019】
使用されるラテックスは、それらのガラス転移温度(TG)が10〜60℃、好ましくは20〜40℃である様に選択される。
【0020】
本発明によるラテックスを構成する水性分散体としてのポリマー粒子のサイズは、300ナノメートル〜20ナノメートルであることができる。これらの粒子サイズは、サンプルの凍結破砕後にレーザー粒度分布計または走査顕微鏡により測定される。
【0021】
場合によっては、フィルム形成ポリマーの水性分散体は、本発明方法が極めて冷たい温度条件下、即ち、0℃より下の温度で使用される時にフィルム形成温度(MFFT)を低下させるための可塑剤を含むことができる。
【0022】
一般的に、フィルム形成ポリマー水性分散体(ラテックス)に添加されたシリコーンポリエーテルの十分量は、乾燥ラテックスの重量に対して、0.1〜10重量%の式(I)の乾燥シリコーンポリエーテルである。
【0023】
好ましくは、フィルム形成ポリマー水性分散体(ラテックス)に添加されたシリコーンポリエーテルの十分量は、乾燥ラテックスの重量に対して、1〜5重量%の式(I)の乾燥シリコーンポリエーテルである。
【0024】
式(I)のシリコーンポリエーテルの添加は、勿論、経済的ならびに技術的理由で適切に計量されなければならない。
【0025】
式(I)のシリコーンポリエーテルの添加は、液体シリコーンポリエーテルをフィルム形成ポリマーの水性分散体(ラテックス)への単純な添加、即ち、液/液混合方法により行われる。
【0026】
式(I)のシリコーンポリエーテルおよびフィルム形成ポリマーの水性分散体の混合は、空気の導入を引き起すことのない混合のために任意の液/液混合機において液/液混合することにより行うことができる。
【0027】
コーティング組成物における本発明の式(I)のシリコーンポリエーテルの使用は、幾つかの利点を有する。
【0028】
その第一は、この化合物は、フィルム形成ポリマーの水性分散体(ラテックス)と混合される時に、混和性であり、相溶性でありかつ安定である。さらに、コーティング組成物が支持体に適用される際にフィルム形成を妨げたり変性したりしない利点を有する。
【0029】
さらに詳細には、この化合物は、保護のためのコーティングの能力を減少させることなく、形成されるフィルムの表面において強力な親水性を付与する。科学的理論またはメカニズムに制約される積りはないが、この性質は、親水性基を運ぶシリコーンポリエーテルが、フィルム形成後に、空気に暴露される側において、フィルムの最も外側の表面にのみ配置されることによるものであることは明らかである。
【0030】
さらに、この化合物は、長期持続的にコーティングにこの親水性効果を付与し、雨や洗浄によって洗い流されない。ラテックスおよび本発明による式(I)のシリコーンポリエーテルの混合物は安定でありかつ、それらが40℃で2ヶ月間暴露された場合を含めて長期貯蔵後においてさえも均質のままである。
【0031】
式(I)のシリコーンポリエーテルの添加により最も外側の表面に付与される親水性は、通常の「ぬれ角度」法により評価される。較正されたサイズの蒸留水の一滴が、標準化された繰り返し条件下で、検討される表面上に堆積される。それは、表面の親水性によって大きくまたは小さく広がったりまたは縮んだりし、適当な装置で、例えば、ぬれ角度を測定するためのゴニオメータ、例えば、タンテック(Tantec)ゴニオメータで、表面上に堆積された水滴により形成された角度を測定することが可能である。70°を超える高い接触角は疎水性表面に相当する。小さな角度、特に40°未満の角度(水滴の広がりが得られることを表す)は、親水性表面に相当する。本発明によるシステムによって付与される表面親水性の耐久性は同じ方法により評価されるが、フィルムまたは、12時間の幾つかの期間純水に完全に浸漬され、次いで50℃で1時間乾燥されたこれらのフィルムでコーティングされた対象物において行われる。本発明による実施例においては、表面親水性は、15サイクルの完全な浸漬および乾燥後でも常に観察される。
【0032】
本発明のコーティング組成物の2つの主たる構成成分に加えて、組成物は、その他の添加剤、例えば、1つまたは複数の消泡剤、殺生剤、界面活性剤、レオロジー剤、凝集剤、分散剤および増粘剤なども含むことができる。
【0033】
しかしながら、好ましくは、使用される組成物は、単純に、ラテックスおよび式(I)の本発明によるシリコーンポリエーテルの組み合わせであり、通常のコーティング層上の仕上げ層として使用される。
【0034】
コーティング組成物の調製のために、様々な構成成分はそれ自身知られている方法において混合される。
【0035】
本発明によるコーティング組成物は、通常の方法によって適用することができる。例えば、それは、任意の適当な手段、例えば、ペイントブラシ、ブラシ、噴霧装置などによって表面に適用することができる。
【0036】
本発明によるコーティング組成物が適用できる表面は実際には多種多様である。
【0037】
しかしながら、コーティングの外側表面において良好な親水性を得るためには、コーティング組成物を疎水性支持体に適用することが重要である。
【0038】
疎水性支持体は、ガラス、金属、硬質ポリプロピレンまたは不織編み形態のポリプロピレン、本発明によるラテックスの第一層であってシリコーンポリエーテルを伴わない第一層で処理された木材またはラテックス単独の第一層で処理されたセメントベース材料から選択される。したがって、それらは、一滴の水での接触角テストが70°以上の程度のぬれ角度を与えるという意味において疎水性である。
【0039】
したがって、非疎水性支持体を含めた任意の支持体は、接着プライマー、即ち、水性分散体(ラテックス)であって溶媒をベースとしたフィルム形成ポリマーの組成物で予めコーティングすることによって本発明の目的のための疎水性を付与されることができる点に注目することが重要である。
【0040】
例えば、事実上親水性である多孔性材料、例えば、未加工木材、セメント、セメントまたはフィブロセメント製組み立て式製品、またはその他のレンガまたは未塗装タイル、または緊張コットン製繊維シートなどは、本発明によるコーティング組成物の適用前に、水性分散体であって溶媒ベースのフィルム形成ポリマーの組成物(疎水性接着プライマー)でコーティングされなければならない。
【0041】
この疎水性接着プライマーは、特に、順番に適用されるコーティング組成物において使用されるラテックスをベースとすることができる。
【0042】
本発明の主題は、また、長期持続的に疎水性支持体に更なる親水性(30°程度の水でのぬれ角度)を付与するための方法であって、本発明によるコーティング組成物の十分量が疎水性支持体の表面に適用されることを特徴とする方法である。
【0043】
本発明の主題は、また、フィルム形成ポリマーの水性エマルションおよび式(I)の少なくとも1つのシリコーンポリエーテルを含む組成物の乾燥から得られるフィルムでその表面の少なくとも一部がコーティングされた疎水性支持体である。
【0044】
本発明の組成物は、様々な用途に対して有用である。
【0045】
好ましくは、本発明の組成物は汚染防止コーティングを生成するために使用される。
【0046】
したがって、それ自身閉鎖されていて(非多孔性)かつその集団において疎水性であるコーティングの最も外側の表面における超親水性は、汚れまたは微生物の付着を防止することを可能にする。コーティングの最も外側の表面における超親水性は、雨水または簡単なホースでの水掛での表面の良好な洗浄性を与える。
【0047】
したがって、本発明によるコーティング組成物は、ワニスまたは外装ペイントばかりでなく内装ペイントにおいても使用できる。
【0048】
事実、汚れの問題は、外部に暴露される全ての要素、例えば、建物の正面、「建築用」繊維(防水シート、緊張キャンバス、固定天蓋)、塗装金属表面または木材ばかりでなく、例えば、内部の要素、キッチンまたは浴室の水洗いできる内部ペイント、壁紙の仕上げワニス、ワニス塗りタイルの表面、木材、またはセメントまたはフィブロセメント製組み立て式要素にも存在する。
【0049】
汚れは、脂肪質および自動車の排気汚染または都市の暖房システムから本質的に由来するカーボンベースの汚れである可能性がある。この場合においては、汚れは、油、煤煙、油およびカーボンブラック粒子ならびに煙および煤煙エアロゾルの混合物を含む。
【0050】
しかしながら、汚れは、地衣類ならびに藻類および菌類の共生から成る生物学的発生元の汚れである可能性がある。
【0051】
例えば、赤ん坊のおむつにおいて使用されるポリマーの更なる親水性コーティングを生成するために本発明のコーティング組成物の使用が為されても良い。
【0052】
以下の実施例およびテストは例示のために与えられる。それらは、特に、本発明をさらに明確に理解させ、その利点を明確に示しかつ幾つかの実施の変形を示すことを可能にする。
【実施例1】
【0053】
1−組成物を、ラテックスに関して乾燥/乾燥基準で表して3%の含有量で候補のシリコーンポリエーテルをラテックスに添加して調製する。以下の表Iは、上で与えられた式(I)による、テストされる生成物の組成物を与える。
【0054】
この表において現れる2つのロードルシル(Rhodorsil)製品は、ローディア社(the company Rhodia)から市販されている商品である。
【0055】
その他生成物は、実験室規模で得られた製品である。
【0056】
試験の対象物であるラテックスは、ロードパス(Rhodopas)D2040(ローディア社から市販されているアクリル系ラテックス)である。
【0057】
2−長期にわたるエマルションおよび安定性の効果が観察される。
【0058】
3−安定混合物に関して、2mm厚の「フィルム」をシリコーン型において調製する。これは、フィルムを簡単に摘出できかつこのフィルムについての様々なテストまたは測定を行うことを可能にする。
【0059】
4−2つの面(空気に暴露された面および暴露されていない面)の親水性を、上で明確に述べた様に、表面に堆積された脱イオン水の一滴のぬれ角度を測定することによって測定する。
【0060】
以下の表Iは、試験の対象物であるシリコーンポリエーテルの定義を与える。
【0061】
【表1】

【0062】
以下の表IIは、接触角測定方法を使用してラテックス+シリコーンポリエーテル混合物から得られたフィルムについての親水性測定の結果を与える。
【0063】
【表2】

【0064】
これらの結果は、フィルムの最上面の親水性を得ることを可能にするシリコーンポリエーテルを明確に選択することを可能にする。
【実施例2】
【0065】
得られた効果の耐久性
上で述べた通り、上記実施例においてプラスの結果を与えたフィルムを浸漬し、一週間にわたり6回乾燥し、次いで、フィルムの最下部および最上部について接触角を再度測定する。結果は以下の表IIIにおいて与えられる。
【0066】
【表3】

【0067】
最上面の親水性は、温洗および再乾燥のサイクル後に完全に保存される点が注目される。したがって、それは長期持続性であり繰り返し洗浄に耐える。
【実施例3】
【0068】
本発明によるラテックス/シリコーンポリエーテルの投与量の影響についての検討
実施例1を3%のシリコーンポリエーテルで実施した。
【0069】
補足試験は、本発明によるシリコーンポリエーテルのロードルシルSP3301を1%、3%、5%および6%の含有量でラテックスのロードパスD2040(2つの生成物はローディア社から市販されている)へ添加することを含んでいた。フィルムの最上部についての蒸留水での接触角の測定は、一部の親水性が1%の添加から達成され、それは添加されたシリコーンポリエーテルの含有量に伴い増加(水−表面接触角における減少)することを示す。
添加なし 80°
1% 50°
3% 30°
5% 30°
6% 23°
8% 20°
8%の添加を超えては親水性は最早増加しない。
【実施例4】
【0070】
或種の面の親水性:硬質ポリプロピレン表面の場合
殆どの材料は、フィルムを該当の表面に十分に接着させる条件において、このシステムを使用して表面親水性化することができる。
【0071】
特に、本発明者らは、ロードパスD2040ラテックスおよびシリコーンポリエーテルのロードルシルSP3301の混合物の直接適用(ペイントブラシまたは噴霧で)により硬質ポリプロピレン表面に親水性を付与することができた。
【0072】
【表4】

【実施例5】
【0073】
汚染防止効果。改善された「洗浄性」
本発明者らは、表面親水性を付与することがこの表面の良好な洗浄性を得ることを可能にするか否かを検証することを試みた。この事実は、洗浄洗濯物用の洗浄剤組成物(洗浄において合成繊維、特にポリエステルに親水性を付与する機能を有する「汚染防止」両親媒性ポリマーを含む)の分野において証明される。
【0074】
処理された材料は、かんなかけされた硬い木材で、その上に、ロードパスD2040ラテックスの第一層を堆積し、次いで、次の表Vにおいて示される計画により、ロードルシルSP3301シリコーンポリエーテルの増加投与量を添加したロードパスD2040の層を堆積する。
【0075】
【表5】

【0076】
この様に処理された木材のこれらの試験片を、様々なタイプの汚れ物、例えば、汚いモーターオイル(液体)で順番に汚染した。汚染して12時間乾燥後、試験片を単純水を流して汚れの除去を検証する。
【0077】
図1の写真において示される通り、シリコーンポリエーテルで補足されたラテックスでの処理の肯定的でかつ目覚しい効果が注目される。
【0078】
洗浄処理前でも、汚れた油は、3%および5%のシリコーンポリエーテルを含む混合物で処理された表面には付着しないことが注目される(図1において明らかな脱ぬれ)。
【0079】
水の下を通過させた後、汚れは、処理された試験片上でさらに効果的に除去され、5%のシリコーンポリエーテルを含む混合物で処理された試験片の場合において完全に除去される。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】シリコーンポリエーテル適用による油汚れの除去性を示す写真。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルム形成ポリマーの水性分散体、および
以下の式(I)で表わされるシリコーンポリエーテルの十分量:
【化1】

を含み、エチレンオキシドまたはプロピレンオキシドの末端基がOR基であるコーティング組成物
(式中、
EOは、−O−CH−CH−を表し、
POは、−O−CH−CH−CH−を表し、
Rは、水素原子または1から22個の炭素原子、好ましくは1から4個の炭素原子を有する直鎖もしくは分枝状アルキル基を表し、
xは、5から50の数であり、
yは、3から10の数であり、
eは、10から30の数であり、
pは、0から10の数であり、
x/yは、10未満、好ましくは8以下であり、
e+pは、30未満、好ましくは20以下であり、
e/pは、1より大きく、好ましくは4以上であり、
x+yは、60未満、好ましくは40未満である)。
【請求項2】
シリコーンポリエーテルが、次の条件:
x=9.5、y=3.5、e=11.5およびp=2.5であり、かつRは水素原子である、
x=14、y=4、e=17およびp=1であり、かつRは水素原子である、
x=48、y=6、e=15およびp=5であり、かつRは水素原子である、
を満足させる式(I)のシリコーンポリエーテルから選択されることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
フィルム形成ポリマーの水性分散体(ラテックス)が、
ビニルエステル、特に酢酸ビニル;
アルキル基が1〜10個の炭素原子を含むアルキルアクリレートおよびメタクリレート、例えば、メチルアクリレートおよびメタクリレート、エチルアクリレートおよびメタクリレート、n−ブチルアクリレートおよびメタクリレートならびに2−エチルヘキシルアクリレートおよびメタクリレート;
ビニル芳香族モノマー、特にスチレン
から選択されるモノマーの重合により得られた少なくとも1つの水不溶性ポリマーを含み、これらのモノマーが、互いにまたは酢酸ビニルおよび/もしくはアクリルエステルおよび/もしくはスチレンと共重合できるその他のエチレン性不飽和モノマーと共重合してホモポリマー、コポリマーまたはターポリマーを形成することができることを特徴とする請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
酢酸ビニルおよび/またはアクリルエステルおよび/またはスチレンと共重合できるモノマーが、エチレンおよびイソブテンなどのオレフィン;1〜12個の炭素原子を有する分枝状または非分枝状飽和モノカルボン酸のビニルエステル、例えば、ビニルプロピオネート、ビニル「ベルサテート」(C〜C11の分岐酸のエステルの登録商標)、ビニルピバレート、ビニルラウレート;3〜6個の炭素原子を有する不飽和モノまたはジカルボン酸と1〜10個の炭素原子を有するアルカノールとのエステル、例えば、メチル、エチル、ブチルもしくはエチルヘキシルマレエートまたはメチル、エチル、ブチルまたはエチルヘキシルフマレート;ビニル芳香族モノマー、例えば、メチルスチレンまたはビニルトルエン;塩化ビニル、塩化ビニリデンなどのハロゲン化ビニル、ジオレフィン、特にブタジエン;(メタ)アクリル酸(メタ)アリルエステル、マレイン酸モノおよびジエステルの(メタ)アリルエステル、フマル酸モノおよびジエステルならびにイタコン酸モノおよびジエステル、ならびにN−メタアリルマレイミドなどのアクリルおよびメタクリル酸アミドのアルケン誘導体から選択されることを特徴とする請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
フィルム形成ポリマーの水性分散体(ラテックス)が、アルキル基が1〜10個の炭素原子を含むアルキルアクリレートおよびメタクリレート、例えば、メチル、エチル、n−ブチルまたは2−エチルヘキシルアクリレートおよびメタクリレートから選択されるモノマーの重合により得られた少なくとも1つの水不溶性ポリマーを含むことを特徴とする請求項3または4に記載の組成物。
【請求項6】
フィルム形成ポリマーの水性分散体(ラテックス)に添加された式(I)のシリコーンポリエーテルの十分量が、乾燥ラテックスの重量に対して0.1から10重量%の式(I)の乾燥シリコーンポリエーテルであることを特徴とする請求項1から5の一項に記載の組成物。
【請求項7】
フィルム形成ポリマーの水性分散体(ラテックス)に添加された式(I)のシリコーンポリエーテルの十分量が、乾燥ラテックスの重量に対して0.1から5重量%の式(I)の乾燥シリコーンポリエーテルであることを特徴とする請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
請求項1から7の一項に記載のコーティング組成物の十分量が疎水性支持体の表面に適用されることを特徴とする長期持続的に疎水性支持体に親水性を付与する方法。
【請求項9】
疎水性支持体が、ぬれ角度法で測定して70°を超える接触角を有することを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
疎水性支持体が、ガラス、金属、硬質ポリプロピレン、ワニス処理木材または疎水性接着プライマーで予備処理されたセメントベース材料から選択されることを特徴とする請求項8または9に記載の方法。
【請求項11】
疎水性接着プライマーが、水性分散体として、または溶媒ベースであるフィルム形成ポリマーの組成物であることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
接着プライマーが、コーティング組成物において使用されるフィルム形成ポリマーの水性分散体であることを特徴とする請求項10または11に記載の方法。
【請求項13】
フィルム形成ポリマーの水性エマルションおよび請求項1から7の一項に記載の式(I)のシリコーンポリエーテルの少なくとも1つを含む組成物の乾燥により得られるフィルムで少なくとも部分的にその表面がコーティングされた疎水性支持体。
【請求項14】
汚染防止コーティングとしての、請求項1から7の一項に記載のコーティング組成物の使用。
【請求項15】
汚染が、油、煤煙、油とカーボンブラック粒子の混合物、ならびに煙と煤煙エアロゾルの混合物から選択されることを特徴とする請求項14に記載の使用。

【図1】
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【公表番号】特表2007−508407(P2007−508407A)
【公表日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−530425(P2006−530425)
【出願日】平成16年10月8日(2004.10.8)
【国際出願番号】PCT/FR2004/002553
【国際公開番号】WO2005/035675
【国際公開日】平成17年4月21日(2005.4.21)
【出願人】(596174400)ヘキソン スペシャルティ ケミカルズ インコーポレーテッド (20)
【住所又は居所原語表記】180 East Broad Street,Columbus,Ohio 43215,United States of America
【Fターム(参考)】