説明

水性懸濁液の処理

分散した粒状固体を有する水性液を含む材料を、流体として堆積区域に移動させ、次に放置して固化させる方法であって、材料と固化させるのに有効な量の水溶性ポリマーの水溶液とを組み合わせることにより、移動の間材料の流動性を維持しつつ固化を改良する方法。この方法は選鉱操業から生じる尾鉱底流の処理ならびに微細および粗尾鉱画分の共処分に特に適切である。さらに、固化工程の間に放出された液体は透明度が高い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉱物材料、特に廃石鉱物スラリーの処理に関する。本発明は、特に選鉱工程から生じる尾鉱および他の廃棄物の処分に特に適切であり、粗および微細固体の均一な混合物としての共処分を含む。
【0002】
鉱物有価物を抽出するための鉱石を処理する工程は、通常廃棄物が生じる。多くの場合、廃棄物は、水と混合された粒状鉱物材料、たとえばクレイ、シェール、砂、グリット、金属酸化物などを含む水性スラリーまたはスラッジからなる。
【0003】
場合によっては、廃棄物、たとえば鉱山尾鉱は好都合なことには、地下の鉱山で廃棄して埋め戻しを形成することができる。通常、埋め戻し廃石は、粗い大きな寸法の粒子を高い割合で他のより小さな寸法の粒子とともに含み、鉱山にスラリーとしてポンプで汲み上げ、そこで脱水させ、そこに沈降した固体が残る。凝集剤を用いて、微細な材料を凝集させて沈降速度を高くすることにより、この工程を促進するのが一般的な方法である。しかしこの場合、通常粗い材料が凝集された細粒より速い速度で沈降し、粗および微細固体の不均一な堆積物をもたらす。
【0004】
他の適用については、鉱山で廃石を処理することができないかもしれない。これらの場合、水性スラリーをラグーン、ヒープまたはスタックにポンプで汲み上げ、沈降、排水および蒸発の作用を介して徐々に脱水させることにより、この材料を処分するのが一般的な方法である。
【0005】
処分を目的とする新しい土地の割り当てを最小限にすること、および存在する処分場をより効果的に使用することに対する、多大な環境上の圧力がある。一つの方法は、ある区域に廃石の多重層を積み、したがってより高い廃石のスタックを形成することである。しかしこれは、廃棄物は予め固化された廃石の表面の上を許容できる範囲内で流れることだけができ、固化させてスタックを形成すること、ならびに廃石が十分に固まって、崩壊や滑りの危険性を伴わずに固化された材料の多重層を支えることを確保するのは困難である。したがって、堆積するための特性がある廃棄物を得ることに対する要求は、他の処分の形態、たとえば比較的密閉された区域内での埋め戻しに必要なものと全く異なる。
【0006】
典型的な選鉱操業では、水性工程で、鉱物有価物を含有する固体から廃石固体を分離する。廃石固体の水性懸濁液は、多くの場合クレイおよび他の鉱物を含有し、通常尾鉱と呼ばれる。これらの固体は多くの場合、シックナー中で凝集工程により濃縮されて、高密度底流を与え、いくらかの工程水を回収する。この底流を、多くの場合尾鉱ピットまたはダムと呼ばれる地上収容区域(surface holding area)にポンプで汲み上げることが通常である。この地上収容区域で堆積すると、水性懸濁液から水が放出し続け、ある期間にわたって固体のさらなる濃縮をもたらす。いったん十分な容量の水が集まったら、これを通常ポンプで選鉱プラントに戻す。
【0007】
尾鉱ダムは、多くの場合、環境への影響を最小限にするために寸法が限られる。さらに、より大きなダムを設けるには、地ならしおよび封じ込め壁の建造のコストが高いために費用がかかる可能性がある。これらのダムは、固体から放出された全ての水を一つの区域に集めさせ、次にポンプでプラントに戻すことができるなだらかに傾斜した底を有する傾向がある。しばしば起こる問題は、固体の微粒子が流出水で押し流される場合、このため水を汚染し、後続の水の使用に好ましくない影響があることである。
【0008】
多くの選鉱操業、たとえば鉱物砂選鉱工程では、主に0.1mmより大きい粗い鉱物粒子を含む第2廃石流を生じることも一般的である。粗および微細廃石粒子を均一な混合物として処分することが特に望ましく、これは脱水された固体の機械的特性を改良し、かつ土地を元へ戻すために最終的に必要な時間およびコストを大幅に減少させる。しかし、これは通常不可能である。理由は、たとえ粗い廃棄物を微細な廃棄物の水性懸濁液に完全に混合したとしても、処分場での堆積より前に、粗い材料は微細な材料よりもはるかに速く沈降し、脱水された固体中にしま模様をもたらすからである。さらに、微細な材料に対する粗い材料の量が比較的高い場合、粗い材料が急速に沈降すると、微粒子を高い割合で含有する水性の廃石の流出を促進する過剰なビーチ角(beach angle)が生成する可能性があり、さらに回収された水を汚染する。このため多くの場合、粗および微細廃石流を別個に処理する必要があり、いったん脱水工程を完了し、これらの材料を機械的な再作業により再度組み合わせる。
【0009】
尾鉱ダムへの供給材料を凝固剤または凝集剤を用いて処理して、沈降速度を高めるかおよび/または放出された水の透明度を改良するかにより、上述した問題を全て克服する試みがなされた。しかし、これらの処理を従来の投与量で適用したが、微細な廃棄物の圧縮速度にも回収された水の透明度にも、ほとんどまたは全く利点をもたらさなかったので、これは不成功であった。
【0010】
したがって、固体の懸濁液から水のより迅速な放出を与える処理を提供することが望まれている。さらに、濃縮された固体が、好都合な方法で、粗および微細画分両方の偏析を全て防止し、ならびに放出された水の汚染を防止するが同時に環境への影響を最小限にすることを維持するのを可能にすることが望まれている。
【0011】
ボーキサイトからアルミナを回収するバイヤー法では、ボーキサイトをアルカリ水溶液中で温浸してアルミン酸ナトリウムを形成し、これを不溶性残留物から分離する。この残留物は、砂と、主に酸化鉄(III)の微粒子とからなる。後者の水性懸濁液は赤泥として公知である。
【0012】
不溶性残留物からアルミン酸ナトリウム溶液をまず分離した後、砂(粗い廃石)を赤泥から分離する。アルミン酸塩を回収するために、上澄み液をさらに処理する。次に、赤泥を洗浄液により接触させる、複数の順次洗浄段階で赤泥を洗浄し、次に凝集剤を添加することにより凝集する。最後の洗浄段階の後、赤泥スラリーをできるだけたくさん濃縮し、次いで処分する。本明細書の文脈において、濃縮は赤泥の固形分を高めることを意味する。最後の濃縮段階は、凝集されたスラリーだけの沈降を含んでもよく、またろ過工程を含むこともある。あるいは、またはさらに、泥をラグーン中での長期の沈降にかけることができる。いずれにせよ、この最後の濃縮段階は、濃縮された水性懸濁液を処分場にポンプで汲み上げるための要求により制限される。
【0013】
泥は処分するか、および/または泥堆積区域での後続の処分のためにさらに乾燥にかけるか、することができる。泥を堆積するのに適切であるために、泥は高固形分であるべきであり、スタックが所定の容積に対してできるだけわずかな場所をとるように、スタッキング角ができるだけ高くあるために、積み重ねた時に、流れるべきではないが比較的堅くあるべきである。高固形分に対する要求は、流体としてポンプで汲み上げることが可能なままである材料に対する要求と相反し、そのため、たとえ堆積するのに望ましい高固形分を有する泥を製造することは可能であっても、これは泥をポンプで汲み上げることができなくするおそれがある。
【0014】
残留物から除去された砂画分はさらに洗浄され、分離脱水および処分のため処分場に移動される。
【0015】
EP-A-388108には、ポンプで汲み上げるより前に、水吸収性、水不溶性ポリマーを、分散した粒状固体、たとえば赤泥を有する水性液を含む材料に加え、次に材料をポンプで汲み上げ、材料を放置し、次いで固化させると、積み重ね可能な固体になることが記載されている。ポリマーはスラリーの水性液を吸収し、これが粒状固体の結合、したがって材料の凝固を促進する。しかしこの方法には、適切な凝固を実現するためには吸収性ポリマーの高投与量を必要とする欠点がある。十分に固化された材料を実現するためには、多くの場合泥1トン当り10〜20kgと高い投与量を使用することが必要である。水膨潤性吸収性ポリマーを材料を固化させるのに使用することは、明らかな固体の増加を与えると思われるが、実際水性液は吸収性ポリマー中に保持される。これには、固化された材料から実際には水性液は除去されていないので、続いて特定の条件下で水性液が脱着する可能性があり、これはスタックを不安定化する避けられないリスクを伴う廃棄物の再流動化の危険にさらすおそれがある、欠点が存在する。
【0016】
WO-A-96/05146には、連続油相中に分散した水溶性ポリマーのエマルションを、スラリーと混合することを含む、粒状固体の水性スラリーの堆積方法が記載されている。好ましくは炭化水素の液体またはガス中で、エマルションを逆転せず、エマルションポリマーを希釈剤で希釈するのが好ましい。したがって、ポリマーを水溶液としてスラリーに加えないことが方法の必要条件である。
【0017】
WO-A-0192167には、粒状固体の懸濁液を含む材料を流体としてポンプで汲み上げ、次に放置して固化させる方法が記載されている。懸濁液に固有粘度が3dl/g以上である水溶性ポリマーの粒子を導入することにより、固化を実現する。この処理は材料がそのポンプで汲み上げた流動性を維持できるようにするが、放置すると材料を固化させる。この方法は、濃縮された固体は容易に積み重ねることができる利点を有し、これが処分に必要な土地の面積を最小限にする。この方法は架橋水吸収性ポリマーの使用に対しても、懸濁液からの水はポリマーにより吸収され保持されるのではなく、放出されるという点で有利である。水溶性ポリマーの粒子を使用することの重要性が強調され、溶解したポリマーの水溶液の使用は効果がないことが記載されている。特にバイヤーアルミナ法からの赤泥底流に適用する場合、極めて効率のよい水の放出および好都合な廃石固体の貯蔵がこの方法により実現する。
【0018】
しかし、WO-A-0192167によりもたらされた、特に赤泥の処理での改良にもかかわらず、材料の懸濁液の固化をさらに改良し、放出された液体の透明度をさらに改良する必要が依然としてある。特に本発明の目的は、より良好な液体の放出および濃縮固体の処分のより有効な手段を与えるために、鉱物砂、アルミナまたは他の選鉱操業からの粗いおよび/または微細な粒状の廃棄物を処理する、より適切な方法を見出すことである。さらに、流体として沈降区域に移動した廃石固体の懸濁液の脱水を処分のために改良し、流出水の透明度に改良を与える必要がある。特に、処分場、たとえば尾鉱ダムに移動された廃石懸濁液の、速く、効率のよい濃縮およびより環境に優しい固体の貯蔵を確実にするより有効な処理を提供し、放出された液体の透明度を改良することが望まれている。
【0019】
本発明の第1の態様では、本発明者らは、分散した粒状固体を有する水性液を含む材料を流体として堆積区域に移動させ、次に放置して固化させる方法であって、材料と固化させるのに有効な量の水溶性ポリマーの水溶液とを組み合わせることにより、移動の間材料の流動性を維持しつつ固化を改良する方法を提供する。
【0020】
本発明の第2の態様では、本発明者らは、水性液が粒子寸法の双峰分布を有する分散した粒状固体を含有し、有効な量の水溶性ポリマーの水溶液での処理の後で、放置することにより、粒状固体の粗および微細画分の著しい偏析を伴わずに固化させる方法を提供する。
【0021】
水溶性ポリマーの水溶液を材料へ添加すると、移動の間の十分な流動性を維持し、次に材料をいったん放置すれば、固化された材料の後続の層を支えるだけ強い固体のかたまりを形成する。予期せざることには、本発明者らは、ポリマーの水溶液を材料に加えても、即時の固化は起こさないか、放置するより前に固体の沈降は実質的に全く起こさないことを見出した。
【0022】
通常、懸濁した固体はシックナー中で濃縮され、この材料は導管を通って堆積区域にポンプで汲み上げられる底流としてシックナーを離れる。導管は、材料を堆積区域に移動するための任意の好都合な手段であり、たとえばパイプまたは溝とすることができる。材料を放置するまでの移動の段階中、材料は流体でポンプで汲み上げることが可能なままである。
【0023】
本発明の方法は、廃石固体の水性懸濁液を場合により容器中で凝集させて、水性の液体を含む上澄み層と、材料を形成する濃縮された固体を含む底流層とを形成する、選鉱操業の一部であるのが望ましい。上澄み層を容器中で底流から分離し、通常リサイクルするかさらなる工程にかける。廃石固体の水性懸濁液または場合により濃縮された底流を、通常ポンプで汲み上げることにより、たとえば尾鉱ダムまたはラグーンとすることができる堆積区域に移動する。材料は主に微粒子だけ、または微細および粗粒子の混合物からなることができる。場合により、追加の粗い粒子を、堆積区域で排出するより前の任意の好都合な段階で、水性懸濁液と組み合わせることができる。いったん材料が堆積区域に届けば、放置して固化が起こる。ポリマー水溶液は、任意の好都合な段階で、通常は移動の間に、有効な量を材料に加えることができる。場合によっては、堆積区域に移動させる前に、水性懸濁液をまず保持容器に移動させることができる。
【0024】
ポリマーの適切な投与量は、材料固体1トン当り10g〜10,000gの範囲である。通常適切な投与量は、特定の材料および材料の固形分によって変化する可能性がある。好適な投与量は30〜3,000g/トンの範囲にあるが、より好適な投与量は60〜200または400g/トンの範囲にある。
【0025】
材料粒子は、通常の無機および/または通常の鉱物である。通常、材料は、ろ過ケーク、尾鉱、シックナー底流または未濃縮プラント廃石流、たとえば、ホスフェート、ダイヤモンド、金スライム、鉱物砂、亜鉛、鉛、銅、銀、ウラン、ニッケル、鉄鉱石方法、石炭または赤泥からの尾鉱を含む他の鉱物尾鉱またはスライム、から得るかこれらを含有することができる。材料は、最後のシックナーまたは選鉱操業の洗浄段階から沈降した固体であることができる。したがって、材料は選鉱操業から得るのが望ましい。材料が尾鉱を含むのが好ましい。
【0026】
ポンプで汲み上げられた微細な尾鉱または他の材料は、固形分10〜80重量%の範囲にある。スラリーは、多くの場合20〜70重量%、たとえば45〜65重量%の範囲にある。微細な尾鉱の典型的なサンプルでは、粒子寸法は、実質的に全てが25ミクロン未満であり、たとえば材料の約95重量%が20ミクロン未満の粒子であり、約75%が10ミクロン未満である。粗い尾鉱は実質的に100ミクロンより大きく、たとえば約85%は100ミクロンより大きいが、通常10,000ミクロン未満である。微細な尾鉱と粗い尾鉱を、ポンプで汲み上げることが可能なままで、任意の都合のよい比で共に存在または組み合わせることができる。
【0027】
分散した粒状固体は、粒子寸法の双峰分布を有することができる。通常この双峰分布は、微細な画分と粗い画分とを含むことができ、微細な画分のピークは実質的に25ミクロン未満であり、粗い画分のピークは実質的に75ミクロンより大きい。
【0028】
本発明者らは、材料が比較的濃厚で均一な場合、より良い結果が得られることを見出した。ポリマー溶液の添加を、他の添加剤と組み合わせることも望ましい。たとえば、分散剤を含むことにより、導管を通る材料の流動性を容易にすることができる。通常、分散剤を含む場合、従来の量で含む。しかし驚くべきことには、本発明者らは、分散剤または他の添加剤が存在しても、放置することによる材料の固化を損なわないことを見出した。材料を無機または有機の凝固剤で前処理して微細な材料を前凝固し、固化された固体中でのその保持を促進することも望ましい。
【0029】
したがって、本発明では、ポリマー溶液を前述の材料に直接加える。ポリマー溶液は完全にまたは部分的に水溶性のポリマーからなることができる。したがって、ポリマー溶液は、ポリマーが溶液中にあるかあたかも溶液中にあるように振る舞い、放置することにより固化を引き起こすのに十分な条件で、架橋ポリマーと水溶性ポリマーのブレンドを含むことができる。
【0030】
これは膨潤性ポリマーと可溶性ポリマーの物理的ブレンドとすることができ、あるいはまた、たとえばEP202780に記載されているような軽く架橋したポリマーである。ポリマー粒子はいくらか架橋したポリマーを含むことができるが、顕著な量の水溶性ポリマーが存在することが本発明に肝要である。ポリマー粒子がいくらか膨潤性のポリマーを含む場合、80%以上が水溶性であるのが望ましい。
【0031】
ポリマーの水溶液は、完全にまたは少なくとも実質的に水溶性のポリマーを含むのが好ましい。水溶性ポリマーは、たとえばWO-A-9829604、たとえば請求項12に記載されているように、枝分れ剤の存在により分岐状とすることもでき、あるいはまた水溶性ポリマーは実質的に直鎖状とすることもできる。
【0032】
水溶性ポリマーは、中〜高分子量であるのが好ましい。固有粘度3dl/g以上(1MのNaCl中、25℃で測定)、通常5または6dl/g以上であるのが望ましいが、ポリマーが著しく高い分子量であり、固有粘度25dl/gまたは30dl/g以上を示すことができる。好適なポリマーは、固有粘度が8dl/g〜25dl/g、より好ましくは11dl/gまたは12dl/g〜18dl/gまたは20dl/gの範囲にある。
【0033】
水溶性ポリマーは、天然ポリマー、たとえば多糖類、たとえばスターチ、グアーゴムもしくはデキストラン、または半天然ポリマー、たとえばカルボキシメチルセルロースまたはヒドロキシエチルセルロースとすることができる。このポリマーは合成物が好ましく、エチレン性不飽和水溶性のモノマーまたはモノマーのブレンドから形成されるのが好ましい。
【0034】
水溶性ポリマーはカチオン性、非イオン性、両性またはアニオン性とすることができる。ポリマーは、任意の適切な水溶性モノマーから形成される。通常水溶性モノマーは、25℃で水に5g/100cc以上の溶解性を有する。特に好適なアニオン性ポリマーは、エチレン性不飽和のカルボン酸およびスルホン酸のモノマーから選択され、好ましくは(メタ)アクリル酸、アリルスルホン酸および2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(AMPS)、およびこれらの塩から選択されるモノマーから、場合により、好ましくは(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸のヒドロキシアルキルエステルおよびN−ビニルピロリドンから選択される非イオン性コモノマーと組み合わせて形成される。
【0035】
好適な、非イオン性ポリマーは、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸のヒドロキシアルキルエステルおよびN−ビニルピロリドンから選択されるエチレン性不飽和モノマーから形成される。
【0036】
好適なカチオンポリマーは、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート−塩化メチル、(DMAEA.MeCl)quat、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド(DADMAC)、トリメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドクロリド(ATPAC)から選択されるエチレン性不飽和モノマーから、場合により非イオン性コモノマー、好ましくは(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸のヒドロキシアルキルエステルおよびN−ビニルピロリドンから選択される非イオン性コモノマーと組み合わせて形成される。
【0037】
場合によっては、ポリマーの種類の組合せを別個に加えるのが有利であることが見出された。したがって、アニオン性、カチオン性または非イオン性ポリマーの水溶液をまず上述した材料に加え、同様のまたは異なる任意の種類の水溶性ポリマーの2番目の投与を続けることができる。
【0038】
本発明では、水溶性ポリマーは、任意の適切な重合法により形成することができる。ポリマーは、たとえば、溶液重合、油中水懸濁重合または油中水乳化重合により、ゲルポリマーとして製造することができる。溶液重合によりゲルポリマーを製造する場合、開始剤は通常モノマー溶液に導入する。
【0039】
場合により、熱開始剤系を含むことができる。通常、熱開始剤は、高温でラジカルを放出する任意の適切な開始剤化合物、たとえばアゾ化合物、たとえばアゾ−ビス−イソブチロニトリルを含む。重合中の温度は70℃以上に上げるべきであるが、95℃未満が好ましい。あるいはまた、重合は、照射(紫外線、マイクロ波エネルギー、熱など)によって、場合により適切な放射線開始剤も用いて、行うことができる。いったん重合が完了し、ポリマーゲルを十分に放冷したら、ゲルを、まずゲルをより小さなかけらに細かく砕き、実質的に脱水したポリマーに乾燥し、次いで粉末に粉砕することによる、標準的な方法で処理することができる。あるいは、ポリマーゲルをポリマーゲルの形態で、たとえば中性子タイプゲルポリマーロッグとして供給することができる。
【0040】
このようなポリマーゲルは、上述したような適切な重合法により、たとえば照射により製造することができる。ゲルは必要に応じて適切な寸法に細断することができ、次いで使用するときに、部分的に水和した水溶性ポリマー粒子として材料と混合する。
【0041】
ポリマーは、たとえばEP-A-150933、EP-A-102760またはEP-A126528に示される方法にしたがって、懸濁重合によるビーズとして、または油中水乳化重合による油中水エマルションまたは分散液として製造することができる。
【0042】
あるいはまた、水溶性ポリマーを水性媒体中の分散液として与えることができる。これは、EP-A-170394に示されるように、たとえば平衡剤を含有する水性媒体中で20ミクロン以上のポリマー粒子の分散液とすることができる。これはたとえば、WO-A-9831749またはWO-A-9831748に示されたように、溶解した低IVポリマー、たとえばポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド、ならびに場合により他の溶解した材料、たとえば電解質および/または多価ヒドロキシ化合物、たとえばポリアルキレングリコールを含有する水性媒体の存在下で、水性モノマーの重合により製造したポリマー粒子の水性分散液も含むことができる。
【0043】
水溶性ポリマーの水溶液は通常、ポリマーを水に溶解するか、またはポリマーのより濃厚な溶液を希釈することにより得られる。通常、固体の粒状ポリマーを、たとえば粉末またはビーズの形態で水に分散し、攪拌して溶解させる。これは、従来の製造装置を用いて実現することができる。ポリマー溶液は、Ciba Specialty Chemicalsにより供給されるAuto Jet Wet(商標)を用いて製造できるのが望ましい。あるいはまた、ポリマーを、逆相エマルションまたは次に水に転化することができる分散液の形態で供給することができる。
【0044】
ポリマー水溶液は、任意の適切な濃度で加えることができる。材料に導入する水の量を最小限にするために、比較的濃厚な溶液、たとえばポリマー重量に基づいて10%までまたはそれ以上を使用するのが望ましい。しかし、ポリマー溶液の高い粘度から生じる問題を最小限にし、材料全体にわたるポリマーの分布を容易にするために、通常ポリマー溶液をより低い濃度で加えるのが望ましい。ポリマー溶液は、比較的希薄な濃度で、たとえばポリマー0.01重量%を加えることができる。ポリマー溶液は通常、ポリマー濃度0.05〜5重量%で用いるのが典型的である。好適なポリマー濃度は、0.1%〜2または3%の範囲である。より好適な濃度は、0.25%〜約1または1.5%の範囲である。
【0045】
懸濁液を上澄み層および底流材料に分離するために、固体を含有する懸濁液をシックナー中で凝集させる選鉱操業では、材料は通常、シックナーでの凝集の後だが材料を放置する前の任意の適切な段階で、処理することができる。ポンプで汲み上げる段階より前に、固化させるのに適切かつ有効な量の水溶性ポリマー溶液を材料と混合することができる。このようにして、ポリマー溶液は材料全体にわたって分布することができる。あるいはまた、ポンプで汲み上げる段階中にまたはその後に、ポリマー溶液を導入し材料と混合することができる。添加の最も有効な段階は、基材およびシックナーから堆積区域への距離に左右される。導管が比較的短い場合は、材料がシックナーから流れる場所に近い任意の場所がポリマー溶液を投与するのに有利である。一方、堆積区域がシックナーから著しく離れた場合、ポリマー溶液を出口のより近くで導入するのが望ましい。場合によっては、出口を出る時にポリマー溶液を材料に導入するのが好都合である。
【0046】
共処分を目的として微細および粗粒状の材料の水性懸濁液を組み合わせる場合、固化させるのに有効な量の水溶性ポリマー溶液は、通常、異なる廃石流の均質スラリーへの混合中または混合後に加える。
【0047】
堆積区域で材料を流体として出口にポンプで汲み上げ、材料を固化された材料の表面上を流れさせるのが好ましい。材料を放置して固化させ、したがって固化された材料のスタックを形成する。この方法を数回繰り返して、数層の固化された材料を含むスタックを形成することができる。固化された材料のスタック形成は、処分に必要な面積が少ない利点がある。
【0048】
導管を通って堆積区域に流れる時に、材料の流動学的特性は重要である。理由は、流動性の著しい低下がプロセス効率を有意に損なうおそれがあるからである。閉塞をもたらすおそれがあるので、著しい固体の沈降がないことが重要であり、これは閉塞を除いてきれいにさせるためにプラントを停止しなければならないことを意味する。さらに、流動性の著しい低下がないことが重要である。理由は、材料についてポンプで汲み上げる能力を激しく損なうおそれがあるからである。このような有害な影響は、ポンプでの汲み上げが難しくなるのでエネルギーコストを著しく高くし、ポンプ輸送装置の磨耗が増える可能性をもたらすおそれがある。
【0049】
固化する時の材料の流動学的特性は重要である。理由は、いったん材料を放置したら、流れを最小限にし材料の凝固が迅速に進行することが重要であるからである。材料が流動しやすいと、有効なスタックを形成せず、材料から放出された水を汚染する危険性もある。固化された材料が、変化しないままであり、それに加えられた固化された材料の後続の層の重量に耐えるほど十分に強度がある必要もある。
【0050】
本発明の方法は、堆積された処分形態を実現し、固体の微細および粗画分を材料中に共に固定し、ならびに水圧力排水の力で放出された全ての水を材料から分離するための高い駆動力を持たせるのが好ましい。堆積された形態は、下側の固体上により高い下向きの圧縮圧力を与えるように見え、これは脱水速度を高める原因となるように思われる。本発明者らはこの形態が表面積当りより高い廃石容積をもたらすことを見出し、これは環境におよび経済的に有益である。
【0051】
本発明の目的を、シックナー中での凝集工程を適応することによって実現するのは不可能である。たとえば、積み重ねるように十分に濃縮した底流を得るためのシックナー中での懸濁液の凝集は、有効性がほとんどない。理由は、このような濃縮底流をポンプで汲み上げることができないからである。その代わりに、本発明者らは、シックナー中に底流として形成された材料を処理することが重要なことを見出した。底流中で濃縮された固体を別個に処理することは、移動の間流動性を損なわずに材料を効果的に固化させるのを可能にするように思われる。
【0052】
本発明の好適な特徴は、多くの場合固化工程の間に起こる水性の液体の放出である。したがって、本発明の好適な形態では、材料を固化の間に脱水して、著しく少ない固体を含有する液体を放出する。次に液体を方法に戻すことができ、このため取り込まれた水の必要な容量を減らし、したがって液体が透明で実質的に汚染物質、特に移行する粒状の細粒を含まないことが重要である。液体はたとえば、材料を底流として分離するシックナーにリサイクルするのが適切である。あるいはまた、液体を同じプラントのスパイラルまたは他の方法にリサイクルすることができる。
【0053】
本発明の別の態様では、本発明者らは、分散した粒状固体を有する水性液を含む材料を流体として沈降区域に移動させ、次に脱水させて、分散した鉱物有価物を含有する液体を放出させる方法であって、材料と脱水させるのに有効な量の水溶性ポリマーの水溶液とを組み合わせることにより、移動の間材料の流動性を維持しつつ脱水を向上させる方法を提供する。
【0054】
本発明のこの形態では、上述したような同様の方法で、ポリマー水溶液を材料に適用する。この場合、脱水させるのに有効な量で、本発明の第1の態様と同じ方法でポリマー溶液を適用し、移動の間材料の流動性を維持することが重要である。材料をたとえば尾鉱ダムまたはラグーンとすることができる沈降区域へ移動する。脱水工程は、固体を濃縮させ、水性の液体を放出させるようにできるだけ早く進行しなければならない。液体が透明度高く、さらなる処理を損なう固体、特に細粒で汚染されないことが重要である。
【0055】
通常選鉱操業では、固体の懸濁液を容器中で凝集させて、水性の液体を含む上澄み層、および材料を形成する濃縮された固体を含む底流層を形成する。容器からの底流懸濁液の流れは、場合により追加の粗い粒状の材料と組み合わせ、次に材料を脱水させる沈降区域にポンプで汲み上げる。ポリマー水溶液を、懸濁液の凝集後かつ材料を固化させ脱水させる前に、材料に混合する。
【0056】
ポリマー水溶液は、任意のポリマーを含み、上述したような同様の方法で用いることができる。
【0057】
以下、実施例により、本発明を説明する。
【0058】
実施例1
ポリマーの製造
表1に示すポリマーサンプルを、ゲル重合法により製造した。ポリマーを、濃度0.25%で水に入れて攪拌して水溶液を用意した。
【0059】
【表1】

【0060】
実験の詳細
次の手順にしたがって、鉱物砂操業から得た尾鉱スラリーを用いて、試験を行った。
【0061】
【表2】

【0062】
A)次の方法を用いてスランプ試験を行った。
1.高さ50mm外径50mmのシリンダを、遊離水の回収を容易にする排水孔を有する約200×200mmの金属表面上に置いた。
2.このシリンダに水性の鉱物スラリーを縁まで詰め、平らにならした。
3.スラリーを外に落とすのを可能にする速度で、シリンダをトレイから離して垂直に持ち上げた。
4.次に、得られた固形物の直径、端と中心の両方の高さを記録し、高さを半径の百分率として計算し、スランプとして表示した。
【0063】
【数1】


5.該当する場合には、固形物から放出される水を、1分にわたって集め、容量と透明度または濁り度との両方を測定した。
【0064】
B)前述のサンプルA〜Mを使用して、次の方法を用いて処理試験を行った。
1.尾鉱スラリー250mlを300mlプラスチックビーカーにサンプリングした。
2.次に、サンプルを1個の300mlのビーカーから別のビーカーに注入することによりスラリーを低剪断混合にかけ、サンプルが均一であることを確実にした。
3.ポリマー水溶液の必要投与量を尾鉱スラリーに加え、ばらつきのない材料が生成するまで混合を続けた。
4.処理したスラリーを、上述した「A」項で述べたようにスランプ試験を用いて評価した。
【0065】
【表3】

【0066】
水溶性ポリマーを加えることによる、鉱物尾鉱の固化の増加は、未処理の材料に比べて、スランプ半径が減少し、スタッキング高さが増加したことにより明らかである。ほとんど全ての試験で、放出された液体の量の増加、および透明度の著しい増加も観察された。
【0067】
実施例2
ポリマーの製造
表1に示すポリマーサンプルを、多くの異なる重合法により製造した。ポリマーを、有効ポリマー濃度0.25%で水に入れて攪拌して水溶液を用意した。
【0068】
【表4】

【0069】
実験の詳細
試験は、実施例1で詳述した手順にしたがって、尾鉱スラリーを用いて行った。
【0070】
【表5】

【0071】
実施例3
実施例1で詳述した手順にしたがって、尾鉱スラリーを用いて、他の目的でスラリーに加えることができるいくつかの添加剤と共に、実施例1からのサンプルCを試験した。
【0072】
【表6】

【0073】
【表7】

【0074】
実施例4
実施例1から採取した選択したサンプルを、ラテライトニッケル、酸浸出方法から得た尾鉱スラリーを用いて、実施例1で詳述した手順にしたがって評価した。
【0075】
【表8】

【0076】
結果
【表9】

【0077】
実施例5
実施例1から採取した選択したサンプルを、アルミナ精錬所から得た赤泥尾鉱スラリーを用いて、実施例1で詳述した手順にしたがって評価した。
【0078】
【表10】

【0079】
結果
【表11】

【0080】
実施例6
実施例1から採取した選択したサンプルを、金CIL/CIP選鉱操業から得た尾鉱スラリーを用いて、実施例1で詳述した手順にしたがって評価した。
【0081】
【表12】

【0082】
結果
【表13】

【0083】
実施例7
実施例1から採取した選択したサンプルを、鉛/亜鉛選鉱操業から得た尾鉱スラリーを用いて、実施例1で詳述した手順にしたがって評価した。
【0084】
【表14】

【0085】
結果
【表15】

【0086】
実施例8
実施例1から採取した選択したサンプルを、選炭プラントから得た尾鉱スラリーを用いて、実施例1で詳述した手順にしたがって評価した。このサンプルは固形分が低いので、スランプシリンダ寸法を直径50mm×高さ100mmに大きくし、基材のアリコート500mlを用いた。透明ウェッジも用いて、放出された水の透明度を評価した。
【0087】
【表16】

【0088】
結果
【表17】

【0089】
実施例9
実験室評価
生成物1は、80/20アクリル酸ナトリウム/アクリルアミドコポリマーを含有する逆エマルションである。
【0090】
生成物1を水に転化して、0.35%の有効ポリマーを含有する水溶液を用意した。鉱物砂操業からの微細および粗尾鉱の組み合わせについて、前記実施例1で概略を示した方法にしたがって、生成物を評価した。
【0091】
微細固体画分:シックナー底流@27.7%wt/wt
粗固体画分:サイクロン廃棄物@96.4%wt/wt
可能な場合には、粗および微細固体のブレンドを水で対象固体43〜47%wt/wtに希釈した。
【0092】
結果
【表18】

【0093】
写真から、未処理の尾鉱に比べて、処理品のスタッキングは、改良されたことが明らかである。粗い画分の割合が高い粗および微細材料の共処分の場合、このことが特に認められる。
【0094】
実施例10
生成物2Aは、30/70アクリル酸ナトリウム/アクリルアミドコポリマーからなるゲル生成物である。
【0095】
生成物2Aを水に溶解して、供給されたままの生成物0.25%を含有する水溶液を用意した。選炭操業からの微細および粗尾鉱の組み合わせについて、投与量740gptで、ポリマーを評価した。組み合わせた尾鉱の総固形分は約19%wt/wtであり、微細/粗比は約1.4:1である。
【0096】
生成物2Bの溶液を使用して、次の方法を用いて処理試験を行った。
1.尾鉱スラリー500mlを600mlのプラスチックビーカーにサンプリングした。
2.次に、サンプルを1個の600mlのビーカーから別のビーカーに注入することによりスラリーを低剪断混合にかけ、サンプルが均一であることを確実にした。
3.ポリマー水溶液の必要投与量を尾鉱スラリーに加え、ばらつきのない材料が生成するまで混合を続けた。
4.材料を500mlのメスシリンダに移動し、数日間圧縮させ、その後遊離した水をデカントし捨てた。
5.圧縮した固体の上部および下部から部分を採取し、分析して各部分での固体の粒子寸法分布を調べた。
【0097】
結果
図1および2に、各部分の粒子寸法分布のグラフを示す。
【0098】



【0099】
図1は、未処理の材料の場合、圧縮した固体中で高い偏析が起こり、粗い粒子の大部分がサンプルの下部部分にだけ存在することを示す。図2は、ポリマー2A 740gptで処理した材料の場合、上部および下部部分の両方の粒子寸法分布は極めて類似しており、圧縮中に最小限の偏析しか起こらないことを示す。
【0100】
実施例11
実施例10で詳述した手順にしたがって、金CIL/CIP選鉱操業からの微細および粗尾鉱の組み合わせについて、生成物2Aを投与量240gptで評価した。組み合わせた尾鉱の総固形分は、約53%wt/wt微細/粗比は約2:1である。
【0101】
結果
図3および4に、各部分の粒子寸法分布のグラフを示す。



【0102】
図3は、未処理の材料の場合、下部部分への粗い固体の高い偏析を示し、ポリマー2Aで処理した材料について、図4は、上部および下部部分は、類似した量の粗粒子と微粒子の両方を含有することを示す。
【0103】
実施例12
生成物2Bは、30/70アクリル酸ナトリウム/アクリルアミドコポリマーを含有する逆エマルションである。
【0104】
生成物2Bを水に転化して、供給されたままの生成物1.0%を含有する水溶液を用意した。鉱物砂操業からの微細および粗尾鉱の組み合わせについて、ポリマーを評価した。組み合わせた尾鉱の総固形分は53%wt/wtであり、微細/粗比は約1:5である。
【0105】
実験室評価
処理試験、生成物2Bの溶液を使用して、次の方法を用いて処理試験を行った。
1.尾鉱スラリーを、1Lのプラスチックボトルに目盛線までサンプリングした。
2.次にスラリーを、上部攪拌装置および適切に機械加工された船舶用インペラを用いて、渦を発生させるために〜1500rpmの高剪断混合にかけた。
3.ポリマー溶液の必要量を、高剪断混合により生じたスラリーの渦に加えた。
4.プラスチックボトルの内容物を1分間混合した。
5.この期間が経過した後、スラリーを250mlのプラスチックボトルに首までいっぱいサンプリングし、続いてこれらを25rpmでX分タンブルした。
6.適切な時間で、実施例1の通りスランプ試験を行った。
【0106】
結果
【表19】

【0107】
プラント評価 鉱物砂方法からの尾鉱を、ラグーンで覆われた採掘区域を離れて高い尾鉱処分場にポンプで汲み上げた。低粘度の廃石流とともに、高い流量速度手段で排出位置から遠い長い距離にわたって固体を堆積した。尾鉱流による洗い流しが、処分場に深い溝を形成した。流れの流動性が鉱山の操業を危険にさらしたが、それは最大流量で尾鉱は採掘区域に流れ戻る可能性があり、ラグーンを水浸しにし、採掘効率を損なうからである。
【0108】
本発明の適用は、30%アニオンの逆エマルションポリマー(生成物2B)の0.5%(供給されたまま)水溶液を、乾燥固体1トン当り100gの投与量で、微細(シックナー底流)および粗混合廃棄物スラリー画分をそれぞれ速度20および50lpsで処分場へ供給するパイプラインへの導入を介する。上述した実験室評価に基づいて、排出位置に近い(20mまたは11秒)投与位置を選択して、処理した材料の剪断を最小限にした。これにより、スタッキング角8〜10度(測量用傾斜計を用いて測定)、清浄な水の放出、75ミクロン未満の高含量を示すスタックからのサンプルを有する処理した材料のヒープを実現し、ヒープ処分内に微細な材料が保持されていることを確かめた。
【0109】

【0110】
図5および図6は、処理なしおよび処理を行った鉱物砂尾鉱の排出を示す。図5では、尾鉱は流動性が高く、排出位置で固体の堆積はない。図6は、処理した尾鉱の排出位置下部のスタッキングおよび表面の清浄な水の遊離を示す。
【0111】
実施例13
生成物2Bは、上述した実施例12で用いたように、30/70アクリル酸ナトリウム/アクリルアミドコポリマーを含有する逆エマルションである。生成物3は、溶液型ポリアクリル酸ナトリウムホモポリマーである。
【0112】
生成物2Bを水に転化して、供給されたままの生成物1.0%を含有する水溶液を用意した。生成物3は、それ以上希釈する必要がなく、供給されたまま用いた。鉱物砂操業からの微細および粗尾鉱の組み合わせについて、ポリマーを評価した。組み合わせた尾鉱の固体は67%wt/wtであり、微細/粗比は約1:7である。
【0113】
実験室評価
生成物2Bおよび生成物3の溶液を使用して、次の方法を用いて処理試験を行った。
1.均一に組み合わせた尾鉱スラリーのアリコート250mlを、500mlのビーカーに入れた。
2.次にスラリーを、上部攪拌装置および適切に機械加工された船舶用インペラを用いて、〜500rpmの混合にかけた。
3.ポリマーの必要投与量をスラリーに加え、10、20または30秒混合を続けた。
4.処理したスラリー約150mlを200mlのビーカーに移動し、ベーン粘度計を用いて降伏応力を測定した。
【0114】
生成物2Bおよび3について別の試験も行って、上述した手順と一定の混合時間20秒を用いて、異なる微細/粗尾鉱比の効果を評価した。
【0115】
結果
【表20】

【0116】
この結果から、両方の生成物が、組み合わせた鉱物砂尾鉱の降伏応力を高めたことが分かる。遊離水の排水は、高投与量で起こった。
【0117】
異なる微細対粗比の効果を次のグラフに示す。試験した全ての比で、生成物2Bと生成物3の両方とも鉱物砂尾鉱の降伏応力を著しく高めた。
【0118】

【0119】

【0120】
プラント評価
スライムが圧縮したシックナーの底流を、鉱物砂操業からの廃石砂画分と組み合わせた。砂対スライムの比は鉱石の種類によって異なり、このため堆積された組み合わせのレオロジーおよび排水速度は異なる。
【0121】
採掘操業は移動でき、鉱石ボディのラインに続く。組み合わせた廃棄物を、順次満たされその後再び放置される一連のピットにポンプで送る。採掘企業が、常にできるだけ小さな設備面積で操業するのが望ましい。より速い脱水速度は、復旧方法を早く始めさせる。さらなる排水は、効率を改良し、取り込まれた水のコストを減らすために、方法プラントに戻すことができる。
【0122】
上述した現場での本発明の適用は以下の通りである。
【0123】
生成物3を投与量1050gptで、スクリューコンベヤーの後でかつ小さな遠心ポンプの前に加え、3日の期間にわたって投与した。結果として、スランプ角が改良されスラリーからの水の放出がはるかに多いということになった。図9、10および11は、未処理の尾鉱、ならびに513gptおよび1050gptでそれぞれ処理した尾鉱についての、ダムへの排出でのスランプ角を示す。
【0124】

【0125】
投与位置を変更し、生成物3を遠心ポンプの直後に加えた。代わりの位置で、投与量を、726g/Tに減らした。この位置を用いて、同じ砂の統一性が生じた。24時間後、遊離排水およびダムの表面上の気孔が明らかである。図12および13は、それぞれ排出特性およびダム表面を示す。
【0126】

【図面の簡単な説明】
【0127】
【図1】未処理の石炭尾鉱の各部分の粒子寸法分布。
【図2】ポリマー2A 740gptで処理した石炭尾鉱の各部分の粒子寸法分布。
【図3】未処理の金尾鉱の各部分の粒子寸法分布。
【図4】ポリマー2A 240gptで処理した金尾鉱の各部分の粒子寸法分布。
【図5】未処理の鉱物砂尾鉱の排出を示す写真。
【図6】生成物2B 100gptで処理した鉱物砂尾鉱の排出を示す写真。
【図7】生成物2における投与量−降伏応力の関係に及ぼす微細粒/粗粒比の影響を示す図。
【図8】生成物3における投与量−降伏応力の関係に及ぼす微細粒/粗粒比の影響を示す図。
【図9】未処理の尾鉱のダムへの排出のスランプ角を示す写真。
【図10】生成物3 513gptで処理した尾鉱のダムへの排出のスランプ角を示す写真。
【図11】生成物3 1050gptで処理した尾鉱のダムへの排出のスランプ角を示す写真。
【図12】生成物3を遠心ポンプの直後に726gpt加えたときの排出特性を示す写真。
【図13】生成物3を遠心ポンプの直後に726gpt加えたときのダム表面を示す写真。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
分散した粒状固体を有する水性液を含む材料を、流体として堆積区域に移動させ、次に放置して固化させる方法であって、材料と固化させるのに有効な量の水溶性ポリマーの水溶液とを組み合わせることにより、移動の間材料の流動性を維持しつつ固化を改良する方法。
【請求項2】
水溶性ポリマーが、3dl/g以上の固有粘度を有し、エチレン性不飽和の水溶性のモノマーまたはモノマーのブレンドから形成される、請求項1記載の方法。
【請求項3】
水溶性ポリマーがアニオン性である、請求項1または請求項2記載の方法。
【請求項4】
ポリマーが、遊離酸または遊離酸の塩としての(メタ)アクリル酸、アリルスルホン酸および2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸よりなる群から選択されるモノマーから、場合により(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸のヒドロキシアルキルエステルおよびN−ビニルピロリドンよりなる群から選択される非イオン性コモノマーと組み合わせて形成される、請求項3記載の方法。
【請求項5】
水溶性ポリマーが非イオン性である、請求項1または請求項2記載の方法。
【請求項6】
ポリマーが、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸のヒドロキシアルキルエステルおよびN−ビニルピロリドンよりなる群から選択されるモノマーから形成される、請求項5記載の方法。
【請求項7】
水溶性ポリマーがカチオン性である、請求項1または請求項2記載の方法。
【請求項8】
ポリマーが、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート−塩化メチル、(DMAEA.MeCl)quat、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド(DADMAC)、トリメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドクロリド(ATPAC)よりなる群から選択されるモノマーから、場合により(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸のヒドロキシアルキルエステルおよびN−ビニルピロリドンよりなる群から選択される非イオン性コモノマーと組み合わせて形成される、請求項7記載の方法。
【請求項9】
分散した粒状固体が鉱物である、請求項1〜8のいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
選鉱操業からの鉱物スラリー残留物の処分を含む、請求項1〜9のいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
材料が鉱物砂プロセスからの尾鉱に由来する、請求項1〜10のいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
分散した粒状固体が粒子寸法100ミクロン未満であり、好ましくは粒子の80%以上が寸法25ミクロン未満である、請求項1〜11のいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
分散した粒状固体が、微細な画分と粗い画分とを含み、微細な画分のピークが実質的に25ミクロン未満であり、粗い画分のピークが実質的に75ミクロンより大きい、粒子寸法の双峰分布を有する、請求項1〜11のいずれか1項記載の方法。
【請求項14】
材料が固形分15%〜80重量%の範囲、好ましくは40%または50%〜70重量%の範囲にある、請求項1〜13のいずれか1項記載の方法。
【請求項15】
固体の水性懸濁液を容器中で凝集させて水性の液体を含む上澄み層と材料になる濃縮された固体を含む底流層とを形成し、底流から上澄み層を分離し、粒状の材料を含有する底流は容器から流れ、次いで材料を放置して固化させる堆積区域にポンプで汲み上げることを含み、ここで懸濁液を凝集させた後かつ材料を放置する前に、固化させるのに有効な量の水溶性ポリマーの水溶液を材料と混合する、請求項1〜14のいずれか1項記載の方法。
【請求項16】
固化させるのに有効な量の水溶性ポリマーを添加する前または添加する間に、湿ったまたは乾いた粗い粒子を容器から底流に加える、請求項15記載の方法。
【請求項17】
材料を、堆積区域にポンプで汲み上げるより前に保持容器に移動する、請求項15または16記載の方法。
【請求項18】
材料を出口にポンプで汲み上げ、そこで予め固化された材料の表面の上を流れさせ、そこで材料を放置して固化させてスタックを形成する、請求項1〜17のいずれか1項記載の方法。
【請求項19】
ポンプで汲み上げる段階より前に、固化させるのに有効な量の水溶性ポリマーの水溶液を材料と混合する、請求項1〜18のいずれか1項記載の方法。
【請求項20】
ポンプで汲み上げる段階の間または後で、固化させるのに有効な量の水溶性ポリマーの水溶液を材料と混合する、請求項1〜18のいずれか1項記載の方法。
【請求項21】
出口を出る時に、固化させるのに有効な量の水溶性ポリマーの水溶液を材料と混合する、請求項1〜18のいずれか1項記載の方法。
【請求項22】
固化の間に材料を脱水し、液体を放出する、請求項1〜21のいずれか1項記載の方法。
【請求項23】
該液体を選鉱操業にリサイクルする、請求項22記載の方法。
【請求項24】
水溶性ポリマーの水溶液を添加することにより液体の透明度が向上する、請求項22または請求項23記載の方法。
【請求項25】
該液体が溶解した有価材料を含有し、該液体をさらなる処理にさらして有価材料を回収するか再利用する、請求項22〜24のいずれか1項記載の方法。
【請求項26】
分散した粒状固体を有する水性液を含む材料を、流体として沈降区域に移動させ、次に脱水させて液体を放出させる方法であって、材料と脱水させるのに有効な量の水溶性ポリマーの水溶液とを組み合わせることにより、移動の間材料の流動性を維持しつつ脱水を向上する方法。
【請求項27】
固体の水性懸濁液を容器中で凝集させて水性の液体を含む上澄み層と材料になる濃縮された固体を含む底流層とを形成し、底流から上澄み層を分離し、材料を含有する底流を容器から流し、次いで材料を脱水させる沈降区域にポンプで汲み上げることを含み、ここで懸濁液を凝集させた後かつ材料を脱水させる前に、脱水させるのに有効な量の水溶性ポリマーの水溶液を材料と混合する、請求項26記載の方法。
【請求項28】
脱水させるのに有効な量の水溶性ポリマーを添加する前または添加する間に、湿ったまたは乾いた粗い粒子を容器から底流に加える、請求項26または27記載の方法。
【請求項29】
該液体を選鉱操業にリサイクルする、請求項26〜28のいずれか1項記載の方法。
【請求項30】
水溶性ポリマーの水溶液を添加することにより該液体の透明度が向上する、請求項26〜29のいずれか1項記載の方法。
【請求項31】
該液体が溶解した有価材料を含有し、該液体をさらなる処理にさらして有価材料を回収するか再利用する、請求項26〜30のいずれか1項記載の方法。

【公表番号】特表2006−525104(P2006−525104A)
【公表日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−500524(P2006−500524)
【出願日】平成16年1月7日(2004.1.7)
【国際出願番号】PCT/EP2004/000042
【国際公開番号】WO2004/060819
【国際公開日】平成16年7月22日(2004.7.22)
【出願人】(592006855)チバ スペシャルティ ケミカルズ ウォーター トリートメント リミテッド (19)
【氏名又は名称原語表記】Ciba Specialty Chemicals Water Treatments Limited
【Fターム(参考)】