説明

水性撥水処理剤

【課題】溶媒として水を使用しつつ、優れた撥水機能と防汚性能とを発揮することができる水性撥水処理剤を提供すること。
【解決手段】両末端にヒドロキシル基を有するシリコーンオイルと、界面活性剤と、水と、必要に応じて、触媒(好ましくは、酸)と、その他の添加剤とを配合して、水性撥水処理剤を調製する。この水性撥水処理剤によれば、溶媒が水であることから環境負荷が低く、不快な溶剤臭が低減され、しかも、溶媒が水であるにもかかわらず、ガラスなどの被処理面に対して、優れた撥水性能と防汚性能とを発揮することができる。この水性撥水処理剤は、特に、ガラス用の水性撥水処理剤として好適である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水性撥水処理剤、詳しくは、ガラスの表面処理などに用いられる水性撥水処理剤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ガラスなどの非多孔性基質を保護し、これを撥水性にする方法として、特許文献1には、主として一般式:
【0003】
【化1】

【0004】
〔nは1より大きい整数、Rは炭素原子1〜7個を有する低級アルキル基、Rは水素、炭素原子1〜7個を有する低級アルキル基、または炭素原子約6個を有するアリール基を表わす。〕を有するアルキルポリシロキサン、ならびに硫酸、リン酸、芳香族スルホン酸、脂肪族スルホン酸および塩酸の群から選ばれた1つの酸よりなり、この酸がポリシロキサンの重量に対し約2.5〜30%の量で存在する組成物により基質を処理する方法が記載されている。
【0005】
また、近年、25℃での動粘度が1〜20mm/sの範囲であるジメチルポリシロキサン、不揮発性の酸、不溶性微粉末および溶剤(例えば、アルコール類など。)を含有する撥水処理剤(特許文献2参照)のように、アルキルポリシロキサンなどを用いて、極めて優れた撥水性能を示す撥水処理剤が、各種提案されている。
さらに、例えば、特許文献3には、成分(A)フルオロアルキルシラン、(B)アルカノールアミン、(C)成分(A)を溶解可能なアルコール性溶媒、(D)苛性アルカリ類、(E)水を含有する1液式水系撥水処理剤や、さらにこの1液式水系撥水処理剤と、アルコールもしくはアルコールと水の混液に分散した拭き取り液とからなる2液式水系撥水処理剤が記載されている。
【特許文献1】特開昭50−15473号公報
【特許文献2】特開2002−155272号公報
【特許文献3】特開2001−115151号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかるに、特許文献1および2に記載の撥水処理剤では、溶媒として、アルコール類、脂肪族系炭化水素、芳香族系炭化水素などが用いられるため、環境に対する負荷、溶剤による不快臭、人体への悪影響などの観点から、改善の余地がある。
しかしながら、従来の撥水処理剤の溶媒を、単に、水に変更しただけでは、アルキルポリシロキサンなどが、ガラスなどの被処理面で弾かれ、十分に定着しないという不具合が生じる。
【0007】
また、特許文献3に記載の撥水処理剤は、環境への負荷を軽減することを目的として、撥水処理剤の溶媒として、水性媒体を用いることが試みられているが、依然として、アルコール性溶媒の使用が必須であり、また、苛性アルカリ類を含有することから、目などに付着することを防止しなければならないなど、安全性や取扱い性の観点から、改善の余地がある。
【0008】
そこで、本発明の目的は、溶媒として水を使用しつつ、優れた撥水機能と、汚れの付着を防止する性能(防汚性能)とを発揮することができる水性撥水処理剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の水性撥水処理剤は、両末端にヒドロキシル基を有するシリコーンオイルと、界面活性剤と、水とを含有することを特徴としている。
また、本発明の水性撥水処理剤は、さらに、触媒を含有することが好適である。
また、本発明の水性撥水処理剤では、前記触媒が、酸であることが好適である。
また、本発明の水性撥水処理剤は、ガラス用の水性撥水処理剤として好適である。
【0010】
また、本発明の水性撥水処理剤では、前記シリコーンオイルの動粘度が、500mm/s以下であることが好適である。
また、本発明の水性撥水処理剤では、水性撥水処理剤の全重量に対して、前記シリコーンオイルを、0.1〜30重量%含有することが好適である。
【発明の効果】
【0011】
本発明の水性撥水処理剤によれば、溶媒が水であることから環境負荷が低く、不快な溶剤臭が低減され、人体に対する悪影響が極めて小さく、しかも、溶媒が水であるにもかかわらず、ガラスなどの被処理面に対して、優れた撥水性能と防汚性能とを発揮することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の水性撥水処理剤は、両末端にヒドロキシル基を有するシリコーンオイルと、界面活性剤と、水とを含有しており、さらに任意的に、触媒を含有している。
両末端にヒドロキシル基を有するシリコーンオイル(以下、「両末端型ヒドロキシル変性シリコーンオイル」という。)は、ポリシロキサンの両方の末端にヒドロキシル基が導入され、ポリシロキサンの両方の末端がシラノール基(−SiOH)となっている変性シリコーンオイルである。
【0013】
両末端型ヒドロキシル変性シリコーンオイルの両末端のヒドロキシル基以外の部分は、例えば、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイルなどのストレートシリコーンオイルと同様である。
このような両末端型ヒドロキシル変性シリコーンオイルとしては、これに限定されないが、例えば、品名「PRX−413」(動粘度90mm/s(25℃))、品名「BY−16−873」(動粘度2500mm/s(25℃))、品名「BY−16−817」(動粘度4000mm/s(25℃))(以上、東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製)、品名「WS62M」(動粘度100mm/s(25℃))、品名「CT1000M」(動粘度1000mm/s(25℃))、品名「CT6000M」(動粘度6000mm/s(25℃))、品名「CT20000M」(動粘度20000mm/s(25℃))(以上、旭化成ワッカーシリコーン(株)製)、品名「4−2737PAFLUID」(動粘度40mm/s(25℃))、品名「Q1−3563FLUID」(動粘度70mm/s(25℃))、品名「3−0133POLYMER」(動粘度2000mm/s(25℃))、品名「3−0113POLYMER」(動粘度6000mm/s(25℃))、品名「3−0135POLYMER」(動粘度12000mm/s(25℃))、品名「3−0084POLYMER」(動粘度14000mm/s(25℃))、品名「3−0278POLYMER」(動粘度20000mm/s(25℃))、品名「3−0134POLYMER」(動粘度50000mm/s(25℃))、品名「3−3602POLYMER」(動粘度80000mm/s(25℃))(以上、ダウコーニング社製)などが挙げられる。
【0014】
この両末端型ヒドロキシル変性シリコーンオイルは、両末端にヒドロキシル基を有していることから、例えば、ガラスの表面に塗布後、水の蒸発とともに、縮合反応によって、ポリシロキサンとガラスとの間で結合を生成することがあり、これにより、撥水処理の耐久性が向上する。
本発明の水性撥水処理剤では、両末端ヒドロキシル変性シリコーンオイルを用いることにより、従来のアルキルポリシロキサンなどを主成分とする撥水処理剤を使用したときと同等程度またはそれ以上の撥水性能や防汚性能を発揮することができ、しかも、このような効果を、溶媒として水を使用しつつ、実現することができる。
【0015】
両末端ヒドロキシル変性シリコーンオイルは、水性撥水処理剤の全重量に対して、例えば、好ましくは、0.1〜30重量%、より好ましくは、0.1〜20重量%、さらに好ましくは、0.2〜15重量%含有される。両末端ヒドロキシル変性シリコーンオイルが、水性撥水処理剤の全重量に対して、0.1〜30重量%の範囲内で含有されると、ガラスなどの被処理表面に優れた撥水性能や防汚性能を付与するとともに、その性能を長期間持続させることができる。一方で、0.1重量%未満であると、撥水性能や防汚性能が低下する場合や、ガラスなどの被処理表面の一部に未処理部分を生じて、撥水性能や防汚性能が発揮されなくなる場合がある。また、30重量%を超えると、ガラスなどの被処理表面に水性撥水処理剤を付着させた後、被処理表面が透明になるまで払拭するのが困難になる場合があることから、例えば、本発明の水性撥水処理剤を、車両のフロントガラス、ウィンドガラス、ミラーなどの表面に撥水性を付与する用途などにおいて、実用上および美観上の不具合を生じる場合がある。
【0016】
本発明の水性撥水処理剤において、両末端ヒドロキシル変性シリコーンオイルの動粘度は、特に限定されないが、例えば、好ましくは、500mm/s以下であり、より好ましくは、100mm/s以下であり、さらに好ましくは、1〜50mm/sである。両末端ヒドロキシル変性シリコーンオイルの動粘度が、500mm/sを上回ると、撥水性能や防汚性能が低下する場合がある。
【0017】
本発明の水性撥水処理剤において、界面活性剤は、特に制限されないが、非イオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤などが挙げられる。これらのうち、好ましくは、非イオン系界面活性剤が挙げられる。
非イオン系界面活性剤としては、例えば、アルキルアミンオキサイド、アルキルグルコシド、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルなどが挙げられる。これらのうち、好ましくは、ポリオキシエチレンアルキルエーテルが挙げられる。
【0018】
また、ポリオキシエチレンアルキルエーテルは、市販品としても入手可能であり、例えば、品名「ファインサーフTD−70」、品名「ファインサーフTD−75」、品名「ファインサーフTD−80」(以上、青木油脂工業(株)製)、品名「ノイゲン(登録商標)TDS−50」、品名「ノイゲン(登録商標)TDS−70」(以上、第一工業製薬(株)製)、品名「ソフタノール(登録商標)30」、品名「ソフタノール(登録商標)50」、品名「ソフタノール(登録商標)70」、品名「ソフタノール(登録商標)90」(以上、(株)日本触媒製)などが用いられる。これら界面活性剤は、単独で用いてもよく、また、2種以上併用してもよい。
【0019】
また、界面活性剤は、水性撥水処理剤の全重量に対して、例えば、好ましくは、0.1〜20重量%、より好ましくは、0.2〜10重量%含有される。界面活性剤が、水性撥水処理剤の全重量に対して、0.1〜20重量%の範囲内で含有されると、製品の保存安定性に優れ、ガラスなどの被処理表面において、水性撥水処理剤をより一層均一に付着させることができる。一方で、0.1重量%未満では、製品の保存安定性が不良になる場合や、均一に付着させにくくなる場合があり、20重量%を超えて配合すると、その効果が低下したり、コスト的に不利になる場合がある。
【0020】
本発明の水性撥水処理剤において、触媒は、特に限定されないが、例えば、硫酸、塩酸、硝酸、リン酸などの鉱酸類や、ギ酸、酢酸、シュウ酸、トリフルオロ酢酸などの有機酸類などの酸、例えば、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの無機塩基や、エチレンジアミン、アルカノールアミンなどの有機塩基などのアルカリ、例えば、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジオクチレート、ジブチル錫ジラウレートなどの有機錫化合物や、アルミニウムトリス(アセチルアセトン)、アルミニウムトリス(アセトアセテートエチル)、アルミニウムジイソプロポキシ(アセトアセテートエチル)などの有機アルミニウム化合物や、ジルコニウム(アセチルアセトン)、ジルコニウムトリス(アセチルアセトン)、ジルコニウムテトラキス(エチレングリコールモノメチルエーテル)、ジルコニウムテトラキス(エチレングリコールモノエチルエーテル)、ジルコニウムテトラキス(エチレングリコールモノブチルエーテル)などの有機ジルコニウム化合物や、チタニウムテトラキス(エチレングリコールモノメチルエーテル)、チタニウムテトラキス(エチレングリコールモノエチルエーテル)、チタニウムテトラキス(エチレングリコールモノブチルエーテル)などの有機チタニウム化合物などの有機金属化合物、例えば、アミノ変性シリコーン、アミノシラン、シラザン、アミン類などのアミノ化合物などが挙げられ、これらは、単独で、または、2種以上を混合して用いられる。
【0021】
なかでも、触媒は、好ましくは、酸であり、より好ましくは、鉱酸類であり、特に好ましくは、硫酸、塩酸である。
また、触媒は、水性撥水処理剤の全重量に対して、例えば、好ましくは、0.1〜5重量%、より好ましくは、0.5〜5重量%含有される。触媒が、水性撥水処理剤の全重量に対して、0.1〜5重量%の範囲内で含有されると、撥水性能や防汚性能を早期に発現させることができる。一方で、0.1重量%未満では、撥水性能や防汚性能を早期に発現させるのに時間がかかる場合があり、また、撥水性能や防汚性能が低下する場合もある。5重量%を超えると、撥水性能や防汚性能が低下する場合があり、取扱い性が低下する場合がある。
【0022】
そして、本発明の水性撥水処理剤は、上記した各成分を水に配合することにより、適宜調製することができる。
なお、水は、水性撥水処理剤の全重量に対して、上記した各成分の残余の重量%として配合される。
そして、本発明の水性撥水処理剤は、両末端ヒドロキシル変性シリコーンオイル、界面活性剤、および水と、必要により、例えば、触媒を、それぞれ上記の割合となるように配合し、混合して、乳化または分散させることによって調製することができる。
【0023】
また、本発明の水性撥水処理剤には、その他に作業性および性能を阻害しない範囲内で、水性撥水処理剤として一般に慣用されている、例えば、粘度調整剤、防腐剤、防カビ剤、水溶性溶剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、一般の顔料または染料および蛍光顔料などの着色剤、香料、研磨剤などの成分を、必要に応じて適宜、配合してもよい。
そして、このようにして得られた本発明の水性撥水処理剤を、例えば、自動車のフロントガラスなどのガラスに対し、撥水性を付与するために用いる場合には、ガラス表面を、本発明の水性撥水処理剤を含浸させたスポンジや布などで擦ることにより、スポンジや布に含浸されている水性撥水処理剤をガラス表面に塗布する。塗布方法は、特に制限されず、例えば、ハンドスプレー、エアゾール式などを採用することもできる。
【0024】
そうすると、ガラス表面に塗布された水性撥水処理剤の水が蒸発し、これにより、水性撥水処理剤に含有される両末端ヒドロキシル変性シリコーンオイルがガラスと結合する。そのため、ガラス表面に均一な皮膜が形成されるとともに、優れた撥水性能や防汚性能が付与される。
また、本発明の水性撥水処理剤は、自動車のガラスだけでなく、例えば、電車、モノレールその他の車両、航空機、船舶などのウィンドガラス、窓ガラス、鏡などに対しても、幅広く用いることができる。
【0025】
また、本発明の水性撥水処理剤は、溶媒として水を用いていることから、蒸気を吸入することによる健康被害のおそれが極めて低く、それゆえ、とりわけ、家庭用での撥水処理剤として、また、ハンドスプレー、エアゾールなどの形態での使用において、好適である。
【実施例】
【0026】
次に、実施例および比較例を挙げて、本発明を説明するが、本発明は、下記の実施例によって限定されるものではない。
実施例および比較例で使用した成分を、下記に示す。
・両末端型ヒドロキシル変性シリコーンオイル(動粘度20mm/s):品名「X21−5841」、信越化学工業(株)製。
・両末端型ヒドロキシル変性シリコーンオイル(動粘度30mm/s):品名「XC96−723」、GE東芝シリコーン(株)製。
・両末端型ヒドロキシル変性シリコーンオイル(動粘度100mm/s):品名「WS62M」、旭化成ワッカーシリコーン(株)社製。
・両末端型ヒドロキシル変性シリコーンオイル(動粘度1000mm/s):品名「CT1000M」、旭化成ワッカーシリコーン(株)製。
・界面活性剤:非イオン界面活性剤、品名「ノイゲン(登録商標)TDS−70」、トリデシルエチレンオキシド付加物、第1工業製薬社製。
・ジメチルシリコーンオイル(動粘度20mm/s):品名「KF−96」、信越化学工業(株)製。
・ジメチルシリコーンオイル(動粘度50mm/s):品名「KF−96」、信越化学工業(株)製。
【0027】
実施例1
両末端型ヒドロキシル変性シリコーンオイル(動粘度20mm/s)10重量部と、界面活性剤1重量部とを、ホモミキサーで攪拌しながら、水88重量部を徐々に加え、その後、さらに、98%硫酸1重量部を加えて、攪拌した。こうして、水性撥水処理剤を得た。
【0028】
実施例2
両末端型ヒドロキシル変性シリコーンオイル(動粘度30mm/s)10重量部と、界面活性剤1重量部とを、ホモミキサーで攪拌しながら、水88重量部を徐々に加え、その後、さらに、98%硫酸1重量部を加えて、攪拌した。こうして、水性撥水処理剤を得た。
【0029】
実施例3
両末端型ヒドロキシル変性シリコーンオイル(動粘度100mm/s)10重量部と、界面活性剤1重量部とを、ホモミキサーで攪拌しながら、水88重量部を徐々に加え、その後、さらに、98%硫酸1重量部を加えて、攪拌した。こうして、水性撥水処理剤を得た。
【0030】
実施例4
両末端型ヒドロキシル変性シリコーンオイル(動粘度1000mm/s)10重量部と、界面活性剤1重量部とを、ホモミキサーで攪拌しながら、水88重量部を徐々に加え、その後、さらに、98%硫酸1重量部を加えて、攪拌した。こうして、水性撥水処理剤を得た。
【0031】
実施例5
両末端型ヒドロキシル変性シリコーンオイル(動粘度20mm/s)10重量部と、界面活性剤1重量部とを、ホモミキサーで攪拌しながら、水88重量部を徐々に加え、その後、さらに、35%塩酸3重量部を加えて、攪拌した。こうして、水性撥水処理剤を得た。
【0032】
実施例6
両末端型ヒドロキシル変性シリコーンオイル(動粘度20mm/s)0.05重量部と、界面活性剤0.005重量部とを、ホモミキサーで攪拌しながら、水99.94重量部を徐々に加え、その後、さらに、98%硫酸0.005重量部を加えて、攪拌した。こうして、水性撥水処理剤を得た。
【0033】
比較例1
ジメチルシリコーンオイル(動粘度20mm/s)10重量部と、界面活性剤1重量部とを、ホモミキサーで攪拌しながら、水88重量部を徐々に加え、その後、さらに、98%硫酸1重量部を加えて、攪拌した。こうして、水性撥水処理剤を得た。
比較例2
ジメチルシリコーンオイル(動粘度50mm/s)10重量部と、界面活性剤1重量部とを、ホモミキサーで攪拌しながら、水88重量部を徐々に加え、その後、さらに、98%硫酸1重量部を加えて、攪拌した。こうして、水性撥水処理剤を得た。
【0034】
比較例3
イソプロピルアルコール(2−プロパノール)89重量部と、98%硫酸1重量部とを、ホモミキサーで攪拌し、その後、さらにジメチルシリコーンオイル(動粘度20mm/s)10重量部を加えて、攪拌した。こうして、水性撥水処理剤を得た。
物性評価
・撥水性
各実施例および各比較例で得られた水性撥水処理剤0.1gを、長さ150mm、幅70mmのガラス板の表面に垂らして、ティッシュを用いて、ガラス板全面に塗り伸ばした。さらに、ガラス板が透明になるまで、ガラス板の表面をティッシュで払拭した。
【0035】
次いで、ガラス板を、常温常湿(25℃、60%RH)で1日間放置後、水性撥水処理剤が塗り延ばされたガラス板の表面について、接触角を測定し、下記の基準で、撥水性を評価した。その結果を表1に示す。
◎:接触角が、95°以上であった。
○:接触角が、85°以上、95°未満であった。
△:接触角が、75°以上、85°未満であった。
×:接触角が、75°未満であった。
【0036】
・防汚性
乗用自動車のフロントガラス(幅約1500mm、高さ約800mm)の表面を、幅方向に9つの領域(幅約165mmの縦長の領域)に分割して、各領域に、各実施例および各比較例で得られた水性撥水処理剤3gを、ウレタン製スポンジを用いて、塗り伸ばし、ガラス板が透明になるまで、ガラス板の表面をポリエステル製クロスで払拭した。次いで、上記乗用自動車を1ヶ月間屋外に駐車し、また、その間、週に2回、一般道路を走行した。走行距離の合計は、700kmであった。
【0037】
こうして、1ヵ月後に、フロントガラスの表面の汚れを、濡れタオルで払拭することにより除去し、その際の汚れの落ち具合から、下記の基準で防汚性を評価した。その結果を表1に示す。
◎:一度だけ払拭することにより、フロントガラス表面の汚れを除去できた。
○:軽く2、3往復払拭することにより、フロントガラス表面の汚れを除去できた。
△:強く4、5往復払拭することにより、フロントガラス表面の汚れを除去できた。
×:強く4、5往復払拭しても、フロントガラス表面の汚れを完全に除去できなかった。
【0038】
・臭気
各実施例および各比較例で得られた水性撥水処理剤10gを、シャーレに垂らして、デシケータに収容し、25℃の環境下にて1日保管した。保管後、デシケータ内の空気をテトラバッグの中に捕集して臭気試験サンプルとし、5人のパネラーによる臭気官能試験を実施して、下記の基準で臭気の有無を判定した。その結果を表1に示す。
○:不快な臭気が感じられなかった。
×:不快な溶剤臭が感じられた。
【0039】
・引火点
各実施例および各比較例で得られた水性撥水処理剤について、引火点がないものを○とし、引火点があるものを△とし、引火点が20℃以下であるものを×として評価した。その結果を表1に示す。
【0040】
【表1】

【0041】
表1中、「処方」の欄に示す各成分の配合量の単位は、いずれも重量部である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
両末端にヒドロキシル基を有するシリコーンオイルと、界面活性剤と、水とを含有することを特徴とする、水性撥水処理剤。
【請求項2】
さらに、触媒を含有することを特徴とする、請求項1に記載の水性撥水処理剤。
【請求項3】
前記触媒が、酸であることを特徴とする、請求項2に記載の水性撥水処理剤。
【請求項4】
ガラス用の水性撥水処理剤であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の水性撥水処理剤。
【請求項5】
前記シリコーンオイルの動粘度が、500mm/s以下であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の水性撥水処理剤。
【請求項6】
水性撥水処理剤の全重量に対して、前記シリコーンオイルを、0.1〜30重量%含有することを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の水性撥水処理剤。

【公開番号】特開2008−150432(P2008−150432A)
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−337260(P2006−337260)
【出願日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【出願人】(000227331)株式会社ソフト99コーポレーション (84)
【Fターム(参考)】