説明

水性洗浄剤組成物

【課題】ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸又はその塩に特有の基剤臭を効果的にマスキングし、適度な強さの香りを有する水性洗浄剤組成物の提供。
【解決手段】成分(A)、(B)及び(C)を含有する水性洗浄剤組成物。
(A)ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸又はその塩
(B)炭素数8〜12の脂肪族アルデヒド
(C)テルペン系香料化合物

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸又はその塩を含有する水性洗浄剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
肌や毛髪に対する刺激が少なく、弱酸性系においても安定に配合できるポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸又はその塩は、身体洗浄剤やシャンプー、食器用洗剤などの界面活性剤として使用することが提案されている(特許文献1,2)。
【0003】
しかし、洗浄剤に一般的に用いられているポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸又はその塩には、特有の基剤臭があり、目的の香りの製品ができないことが多いとされている(特許文献3)。
【0004】
【特許文献1】特開平5-112795号公報
【特許文献2】特開平7-61912号公報
【特許文献3】特開2007-230897号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸又はその塩に特有の基剤臭を効果的にマスキングし、適度な強さの香りを有する水性洗浄剤組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、一般に用いられているポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸又はその塩には、その製造法及び原料に起因して、脂肪族アルデヒドが生成し残存しており、これが特有の基剤臭の原因となっていること、この基剤臭は、テルペン系香料化合物を使用することで効果的にマスキングすることができることを見出した。
【0007】
本発明は、成分(A)、(B)及び(C)を含有する水性洗浄剤組成物を提供するものである。
(A)ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸又はその塩
(B)炭素数8〜12の脂肪族アルデヒド
(C)テルペン系香料化合物
【発明の効果】
【0008】
本発明の水性洗浄剤組成物は、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸又はその塩に特有の基剤臭が効果的にマスキングされ、適度な強さの香りを有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
成分(A)としては、例えば一般式(1)で示されるポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸又はその塩が挙げられる。
【0010】
【化1】

【0011】
〔式中、Rは炭素数12〜14のアルキル基又はアルケニル基を示し、nは平均で0.5〜10の数を示し、Xは、水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム又は有機アンモニウムを示す。〕
【0012】
一般式(1)中、Rとしては、炭素数12のアルキル基又はアルケニル基が好ましく、更には直鎖のアルキル基又はアルケニル基が好ましく、特に直鎖アルキル基が好ましい。エチレンオキシドの平均付加モル数nとしては、1〜6、特に3〜5が好ましい。
【0013】
また、Xとしては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属;カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属;アンモニウム;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン由来のアンモニウム;アルギニン、リジン等の塩基性アミノ酸由来のカチオンなどが挙げられる。
【0014】
成分(A)のポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸又はその塩は、例えば、対応するポリオキシエチレンアルキルエーテルをカルボキシアルキル化し、次いで適宜中和することにより得られる。この工程で成分(B)の脂肪族アルデヒドが生成し残存することになる。
【0015】
なお、本発明の水性洗浄剤組成物は、後述のとおり弱酸性とすることができるが、成分(A)としてポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸を用いる場合には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の塩基性物質を用いて本発明の水性洗浄剤組成物のpHを調整することが好ましい。一方、成分(A)としてポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸のナトリウム塩やカリウム塩を用いる場合には、無機酸、有機酸等の酸性物質を用いて本発明の水性洗浄剤組成物のpHの調整を行うことが好ましい。これらの場合には、成分(A)としてポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸とその塩が共存することになる。
【0016】
成分(A)は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができ、本発明の水性洗浄剤組成物中に、遊離酸換算量として1〜20質量%、特に1.5〜10質量%含有するのが、泡量・泡質及びすすぎ時のストップフィーリング性に優れるので好ましい。ここでストップフィーリングとは、石鹸(脂肪酸塩)で皮膚を洗浄し、水道水で数回すすいだ際に急激に滑らなくなる(抵抗感が増す)ことをいう。これは、石鹸が水道水中のカルシウムイオンと反応して生成する不溶性塩が皮膚に沈着して起こる現象と考えられている。
【0017】
成分(B)の炭素数8〜12の脂肪族アルデヒドは、成分(A)のポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸又はその塩の製造工程に由来する、基剤臭の原因となる成分である。成分(B)の脂肪族アルデヒドとしては、オクタナール、2-エチルオクタナール、ノナナール、デカナール、ウンデカナール、ドデカナール等が挙げられる。成分(B)は、成分(A)の中に通常0.005〜0.5質量%含まれる。
【0018】
成分(C)はテルペン系香料化合物である。テルペン系香料化合物としては、テルペン系炭化水素、テルペン系アルコール、テルペン系エステル及びその他のテルペン系の誘導体があり、具体的には以下の素材が例示される。
【0019】
テルペン系炭化水素としては、α-ピネン、β-ピネン、リモネン、ターピノレン、オシメン、γ-ターピネン、p-サイメン等が挙げられる。テルペン系アルコールとしてはリナロール、ゲラニオール、ネロール、シトロネロール、テトラヒドロゲラニオール、テトラヒドロリナロール、エチルリナロール、ジヒドロミルセノール、ターピネオール、l-メントール等が挙げられる。テルペン系エステルとしては、酢酸リナリル、酢酸ターピニル、酢酸ゲラニル、酢酸ネリル、酢酸シトロネリル、酢酸イソボロニル等が挙げられる。その他テルペン系の誘導体として、シトラール、シトロネラール、1,8-シネオール、シトロネリルニトリル等が挙げられる。
【0020】
これらのうち、リモネン、リナロール、ゲラニオール、シトロネロール、テトラヒドロゲラニオール、テトラヒドロリナロール、ジヒドロミルセノール、ターピネオール、l-メントール、酢酸リナリル、酢酸ゲラニル、酢酸シトロネリル、酢酸イソボロニル、シトラール、1,8-シネオールが好ましい。
【0021】
また上記の化合物自体に代えて、上記の化合物を主成分として含む天然精油を用いても良い。具体的にはレモン油、オレンジ油、ライム油、マンダリン油、コリアンダー油、ローズウッド油、ペパーミント油、ハッカ白油等が挙げられる。なお、このような精油を用いる場合でも、本発明の水性洗浄剤組成物中における成分(C)の含有量は、精油中に含まれるテルペン系香料化合物自体の量として計算する。
【0022】
成分(C)は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができ、本発明の水性洗浄剤組成物中に0.001〜5質量%、特に0.01〜2質量%含有することが好ましい。また、成分(B)と成分(C)の質量比(B):(C)は、500:1〜1:1000、特に50:1〜1:200の範囲が好ましい。
【0023】
更に、成分(C)のテルペン系香料化合物に、成分(D)としてローズ調香料化合物を組み合せることにより、マスキング効果をより高めることができる。
【0024】
成分(D)ローズ調香料化合物としては、α-ダマスコン、β-ダマスコン、δ-ダマスコン、イソダマスコン、ダマセノン、ローズオキサイド、ジフェニルオキサイド、エチル2-t-ブチルシクロヘキシルカーボネート(花王商品名フロラマット)が例示される。なかでも、α-ダマスコン、β-ダマスコン、δ-ダマスコン、ダマセノン、フロラマットが好ましい。
【0025】
成分(D)は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができ、成分(C)との質量比(D):(C)は、1:100000〜1:10、特に1:50000〜1:5が好ましい。
【0026】
本発明の水性洗浄剤組成物には、更に、成分(C)、成分(D)のほかに、通常水性洗浄剤組成物に使用される香料を使用することができる。具体的には『香料と調香の基礎知識』(中島基貴編著,産業図書株式会社,1995年6月21日初版)記載の、合成香料、天然香料、調合ベースなどを、着香剤として配合することができる。
【0027】
合成香料としては、フェニルエチルアルコール、3-メチル-5-フェニルペンタノール、2-メチル-4-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンテン-1-イル)-2-ブテン-1-オール(花王商品名サンダルマイソールコア)、1-(2-t-ブチルシクロヘキシロキシ)-2-ブタノール(花王商品名アンバーコア)等のアルコール;エトキシメチルシクロドデシルエーテル(花王商品名ボアザンブレンフォルテ)、3α,6,6,9α-テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フラン(花王商品名アンブロキサン)等のエーテル;α-ヘキシルシンナミックアルデヒド、p-t-ブチル-α-メチルヒドロキシシンナミックアルデヒド(IFF商品名リリアール)、3-(3,4-メチレンジオキシフェニル)-2-メチルプロパナール(IFF商品名ヘリオナール)、4(3)-(4-メチル-3-ペンテニル)-3-シクロヘキセン-1-カルボキシアルデヒド(IFF社商品名マイラックアルデヒド)等のアルデヒド;メチルイオノン、β-イオノン、7-アセチル-1,2,3,4,5,6,7,8-オクタヒドロ-1,1,6,7-テトラメチルナフタレン(IFF商品名イソEスーパー)等のケトン;ジヒドロジャスモン酸メチル、酢酸p-t-ブチルヘキシル、酢酸o-t-ブチルヘキシル、酢酸シス3-ヘキセニル、3,5,5-トリメチルカプロン酸エチル(花王商品名メルサット)、2,2-ジメチルプロピオン酸3-メチル-3-ブテニル(花王商品名ロミラット)等のエステル;5-メチル-5-プロピル-2-(1-メチルブチル)-1,3-ジオキサン(花王商品名トロエナン)、4,4a,5,9b‐テトラヒドロインデノ[1,2‐d]‐1,3‐ジオキシン(シムライズ社商品名インドフロール)等のアセタール;6-アセチルヘキサテトラリン(PFW商品名トナライド)、ヘキサメチルヘキサヒドロシクロペンタベンゾピラン(IFF商品名ガラクソリド)等が例示される。
【0028】
また、天然香料としては、アニス、シナモン、パチョリ等の精油や、オリバナム、エレミ、ベンゾイン、ペルーバルサム、トルーバルサム等のレジノイド等が例示される。
【0029】
本発明の水性洗浄剤組成物には、泡立ちや洗浄性能を向上させるために、更に成分(E)として、成分(A)を除くアニオン界面活性剤を含有させることが望ましい。具体例として、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α-オレフィンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、α-スルホ脂肪酸エステル塩、アシル化アミノ酸塩、モノアルキルリン酸エステル塩、アシル-L-グルタミン酸塩等が例示される。このうち、泡立ち、洗浄性能等から、一般式(2)で表されるポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩が好ましい。
【0030】
【化2】

【0031】
〔式中、R1は炭素数10〜18のアルキル基又はアルケニル基を示し、mは平均で0.5〜5の数を示し、X1は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム又は有機アンモニウムを示す。〕
【0032】
一般式(2)中、R1としては、炭素数12〜14のアルキル基がより好ましい。また、エチレンオキシドの平均付加モル数mは、1〜4が好ましい。
【0033】
また、X1としては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属;カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属;アンモニウム;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン由来のアンモニウム;アルギニン、リジン等の塩基性アミノ酸由来のカチオンなどが挙げられる。
【0034】
成分(E)は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができ、本発明の水性洗浄剤組成物中に1〜20質量%、特に3〜13質量%含有するのが、泡立ちの速さ・泡量及びすすぎ時のストップフィーリング性に優れるので好ましい。
【0035】
本発明においては、成分(A)及び成分(E)の質量比(A):(E)が、85:15〜25:75、特に75:25〜35:65であるのが、泡立ち・泡量・泡質及びすすぎ時のストップフィーリング性に優れるので好ましい。また、全組成中における、成分(A)及び(E)の合計含有量は、5〜25質量%、特に7.5〜20質量%であるのが、泡立ち・泡量・泡質に優れるので好ましい。
【0036】
更に、本発明の水性洗浄剤組成物には、泡の質感、泡の滑り感、洗浄時のきしみ低減、乾燥時の滑らかさの点から、成分(F)としてカチオン性ポリマーを含有することができる。カチオン性ポリマーとしては、例えばカチオン化セルロース、カチオン性澱粉、カチオン化グアーガム、ジアリル四級アンモニウム塩のホモポリマー、ジアリル四級アンモニウム塩/アクリルアミド共重合物、四級化ポリビニルピロリドン、ポリグリコールポリアミン縮合物、ビニルイミダゾリウムトリクロライド/ビニルピロリドン共重合体、ヒドロキシエチルセルロース/ジメチルジアリルアンモニウムクロライド共重合体、ビニルピロリドン/四級化ジメチルアミノエチルメタクリレート共重合体、ポリビニルピロリドン/アルキルアミノアクリレート共重合体、ポリビニルピロリドン/アルキルアミノアクリレート/ビニルカプロラクタム共重合体、ビニルピロリドン/メタクリルアミドプロピル塩化トリメチルアンモニウム共重合体、アルキルアクリルアミド/アクリレート/アルキルアミノアルキルアクリルアミド/ポリエチレングリコールメタクリレート共重合体、アジピン酸/ジメチルアミノヒドロキシプロピルエチレントリアミン共重合体(米国サンドス社製カルタレチン)、特開昭53-139734号公報、特開昭60-36407号公報に記載されているカチオン性ポリマー等が挙げられ、特にカチオン化セルロース、カチオン化グアーガムが好ましい。
【0037】
(F)カチオン性ポリマーは、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができ、洗浄時の泡質向上と、乾燥後の髪のまとまり、感触の向上の点から、本発明の水性洗浄剤組成物中に0.02〜5重量%、更には0.05〜1重量%、特に0.1〜0.3重量%含有することが好ましい。
【0038】
本発明の水性洗浄剤組成物には、乾燥後の仕上がり向上のため、更に成分(G)としてシリコーン類を更に配合することができる。シリコーン類としては、例えば以下に示すものが挙げられる。
【0039】
(1) ジメチルポリシロキサン
例えば下記一般式で表されるものが挙げられる。
(Me)3SiO-[(Me)2SiO]d-Si(Me)3
〔式中、Meはメチル基を示し、dは3〜20000の数を示す。〕
【0040】
(2) アミノ変性シリコーン
各種のアミノ変性シリコーンが使用できるが、特に平均分子量が約3000〜100000の、アモジメチコーン(Amodimethicone)の名称でCTFA辞典(米国,Cosmetic Ingredient Dictionary)中に記載されているものが好ましい。このアミノ変性シリコーンは水性乳濁液として用いるのが好ましく、市販品としては、SM 8704C(東レ・ダウコーニング社)、DC 929(ダウコーニング社)等が挙げられる。
【0041】
(3) その他のシリコーン類
上記以外に、ポリエーテル変性シリコーン、メチルフェニルポリシロキサン、脂肪酸変性シリコーン、アルコール変性シリコーン、アルコキシ変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、フッ素変性シリコーン、環状シリコーン、アルキル変性シリコーン等が挙げられる。
【0042】
(G)シリコーン類は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができ、乾燥後のなめらか感や、ツヤ向上の点から、本発明の水性洗浄剤組成物中に0.01〜10重量%、更には0.05〜6重量%、更には0.5〜3重量%、特に2〜3重量%含有することが好ましい。
【0043】
本発明の水性洗浄剤組成物は、更に高級脂肪酸及び/又は高級アルコールを含有することができる。高級脂肪酸及び高級アルコールは、それぞれ直鎖のものが好ましく、また炭素数が10〜18、特に炭素数12〜15のものが好ましい。
【0044】
級脂肪酸及び/又は高級アルコールを含有することにより、通常、身体洗浄を行う洗浄剤の希釈倍率よりも高い希釈倍率においては、泡の量を抑制できるため、使用したボディタオルに残った泡の消えやすさ(泡切れ)、また、身体から洗い流した後の排水口に残る泡の消えやすさ(泡切れ)が良好なものとなる。
【0045】
本発明の水性洗浄剤組成物は、更にパール光沢付与剤を含有することができる。パール光沢付与剤としては、炭素数16〜22の脂肪酸とエチレングリコールとのエステル(モノ、ジ)、炭素数16〜22の脂肪酸とポリオキシエチレン(1〜7)単位を有するポリエチレングリコールとのエステル等が挙げられる。特に、炭素数16〜18の脂肪酸のエチレングリコールエステル(モノ、ジ)が好ましい。
【0046】
本発明の水性洗浄剤組成物には、前記の成分以外に、通常の水性洗浄剤組成物に用いられる他の界面活性剤を含有させることができる。具体的には、例えば、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、アルキルグルコシド、脂肪酸モノ又はジアルカノールアミド、ポリオキシアルキレン型ブロックポリマー、グリセリン脂肪酸エステル、アルキルグリセリルエーテル等の非イオン界面活性剤;第4級アンモニウム塩等のカチオン界面活性剤;カルボベタイン系、スルホベタイン系、イミダゾリニウムベタイン系、ヒドロキシベタイン系、脂肪酸アミドベタイン系等の両性界面活性剤などが挙げられる。
【0047】
本発明の水性洗浄剤組成物には、更に必要に応じて、通常の水性洗浄剤組成物に用いられる各種成分を含有することができる。具体的には、例えば、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、ソルビトール等の保湿剤;水、エタノール等の溶剤;メチルセルロース等の粘度調整剤;トリクロサン、トリクロロカルバン等の殺菌剤;グリチルリチン酸カリウム、酢酸トコフェロール等の抗炎症剤;メチルパラベン、ブチルパラベン、フェノキシエタノール、安息香酸塩等の防腐剤;その他、色素、紫外線吸収剤、酸化防止剤等を適宜含有することができる。
【0048】
本発明の水性洗浄剤組成物は、通常の方法により、配合成分を秤量し、水又は水を主体としアルコール等の他の水溶性溶剤を含む水性媒体に、任意の順序で混合することにより製造することができる。ボディシャンプー、洗顔料、メイク落とし、ヘアシャンプー等の香粧品や、肌に直接触れる食器用洗浄剤等として適用することができる。
【0049】
本発明の水性洗浄剤組成物は、弱酸性に調整されるのが、皮膚への刺激が少なく、優れた洗浄力が損なわれることなく洗浄時の泡立ちが良好となり、すすぎ時のストップフィーリング性、使用感に優れるので好ましい。本発明において弱酸性とは、pHが4.5〜7、好ましくは4.5〜6.5の範囲であることをいい、本発明におけるpHは、イオン交換水で20質量倍に希釈したときの25℃における値を示す。
【実施例】
【0050】
以下の実施例及び比較例において、pHは、組成物をイオン交換水で20倍希釈して5質量%水溶液を得た後、pHメーター(堀場製作所製、型番F-22)を用いて測定した。
【0051】
実施例1〜23、比較例1
表1及び2に示す組成の水性洗浄剤組成物を製造し、各香料素材及び調合香料を表中に示す量添加し、使用前のボトル口、使用中の両場面で香りを官能評価した。各評価結果も表中に併せて示す。
【0052】
(製造方法)
表1及び2に示す成分を秤量してイオン交換水中に添加し、50℃で十分に攪拌して、水性洗浄剤組成物を得た。水酸化ナトリウムを適量添加して、20倍希釈液のpHが弱酸性になるように調整した。
【0053】
(評価方法)
水性洗浄剤組成物の香り(ボトル口での香り、洗浄中の香り)について、評価を行った。評価は5名の専門パネルにより以下の評価基準で行い、その平均値を、表1及び2に示した。
【0054】
「評価基準」
4:脂肪族アルデヒド臭がまったく臭わない。
3:脂肪族アルデヒド臭が若干臭う。
2:脂肪族アルデヒド臭が臭う。
1:脂肪族アルデヒド臭がかなり臭う。
【0055】
(1)ボトル口での香り:
各水性洗浄剤組成物20gを、広口規格瓶(PS-No.6)に入れ、ボトル口から香りを評価した。
【0056】
(2)洗浄中の香り:
各水性洗浄剤組成物約3gを片方の手に取り、水道水を用いて希釈して泡立てた後、両腕(肘から先)を洗浄し、洗浄中の香りを評価した。
【0057】
【表1】

【0058】
【表2】

【0059】
実施例24〜26
表3に示す成分を秤量してイオン交換水中に添加し、50℃で十分に攪拌して、水性洗浄剤組成物を得た。水酸化ナトリウムを適量添加して、20倍希釈液のpHが弱酸性になるように調整した。なお、成分(C)及びその他の香料成分としては、表4〜6に示す香料組成物を使用した。
【0060】
【表3】

【0061】
【表4】

【0062】
【表5】

【0063】
【表6】

【0064】
実施例27(食器用洗浄剤)
常法に従って、表7に示す食器用洗浄剤を調製する。
【0065】
【表7】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
成分(A)、(B)及び(C)を含有する水性洗浄剤組成物。
(A)ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸又はその塩
(B)炭素数8〜12の脂肪族アルデヒド
(C)テルペン系香料化合物
【請求項2】
成分(B)と成分(C)の質量比が、(B):(C)=500:1〜1:1000である請求項1記載の水性洗浄剤組成物。
【請求項3】
更に、成分(D)ローズ調香料化合物を含有する請求項1又は2記載の水性洗浄剤組成物。

【公開番号】特開2009−280532(P2009−280532A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−135412(P2008−135412)
【出願日】平成20年5月23日(2008.5.23)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】