説明

水抜装置

【課題】水口に取付けられた水抜栓をワンタッチで開閉でき、作業性を向上した水抜装置を提供する。
【解決手段】排水流路を有する水口体10と、水口体10に取付けられる水抜栓50を備え、水口体10には、水抜栓50の取付部71を誘導する第1のガイド部21と、第1のガイド部21に隣接し、取付部71を誘導する第2のガイド部22と、第2のガイド部22に隣接し、取付部71を周方向に誘導する第3のガイド部23が形成され、取付部71は、隣接するガイド部間を移動可能であると共に、第2のガイド部22の一部及び第3のガイド部23の一部に係止され、水抜栓50は、取付部71が第3のガイド部23に誘導された際に閉状態をロックし、取付部71が第2のガイド部22に誘導された際に、閉状態と開状態とを切り替え、取付部71が第1のガイド部21に誘導された際に水口体10から取外し可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種機器内から湯水等の液体を外部に排出させる水抜装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、床暖房機器や温水器等のように、機器内を湯水が循環する、あるいは機器内に湯水が残留または貯留される各種機器では、当該機器内に存在している湯水を外部に排出させる目的で、通常、水抜装置が配設されている。このような水抜装置としては、例えば、機器の配管に設けられた水口(排水口)の内周面に雌螺子を形成し、水抜栓の外周面に当該雌螺子に螺合する雄螺子を形成することにより、前記水抜栓を水口に螺子止めする構成のものが使用されている。(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、機器の配管に水抜栓を水密に挿入する開口部(水口)を形成し、前記水抜栓の頭部を押えて固定する水抜栓ロックと、前記開口部の外周の全周または一部に凸部を突設し、前記水抜栓ロックには、前記水抜栓の頭部と前記凸部を挟み込み固定する孔部または凹部を有してなる水抜装置が紹介されている。(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
そしてまた、水抜用筒体(水口)の内面に雌螺子を設けると共に、当該内面下部に軸芯方向の水路溝を刻設し、前記水抜用筒体に前記雌螺子に螺合される雄螺子を具備した栓体を設け、当該栓体は、前記雄螺子の基端側に前記筒体の端面に当接される輪状端面の形成された把手部を設けると共に、当該雄螺子の先端側には前記雌螺子に密状に内嵌される円周面を具備した案内部を設け、前記輪状端面は、筒体の端面とパッキンを介して当接されてなる魚釣用保冷箱の水抜装置も紹介されている。(例えば、特許文献3参照)。
【特許文献1】特開2006−16813号公報
【特許文献2】特開2005−171542号公報
【特許文献3】実開平8−633号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の水抜装置は、水抜栓(栓体)を水口に対し螺子の螺合により取付けているため、水抜栓を開閉する際に、当該水抜栓を複数周回転させる必要があり、水抜栓の開閉に手間がかかる。また、水抜栓の水口に螺合される側とは異なる端部に、例えばホース等が取付けられている場合、水抜栓を複数周回転させると、ホースが捩れ、作業性が低下する虞もある。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであり、水口に取付けられた水抜栓を複数周回転させることなくワンタッチで開閉することができ、作業性を向上することが可能な水抜装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的を達成するため本発明は、機器内から液体を外部に排出させる水抜装置であって、前記機器の配管に接続され、当該配管を流通する液体を外部に排出する排水流路を有する水口体と、前記水口体に着脱可能に取付けられる水抜栓と、を備え、前記水抜栓は、前記排水流路に挿脱可能に挿入される挿入部を有する栓本体と、当該栓本体に配設され、当該栓本体を前記水口体に着脱可能に取付ける取付部と、を有し、前記水口体の外周面には、前記取付部を前記挿脱方向に誘導する第1のガイド部と、前記第1のガイド部の一方の周方向側に隣接し、当該取付部を前記挿脱方向に誘導すると共に、前記第1のガイド部の前記挿入方向先端よりも当該挿入方向側に延びた第2のガイド部と、前記第1のガイド部よりも前記挿入方向側に配設されると共に、前記第2のガイド部の前記挿入方向側且つ他方の周方向側に隣接し、前記取付部を前記周方向に誘導する第3のガイド部と、を有するガイド領域が形成されてなり、前記取付部は、前記隣接するガイド部間を移動可能であると共に、前記第2のガイド部の一部及び第3のガイド部の一部に係止され、前記水抜栓は、前記取付部が前記第3のガイド部に誘導された際に閉状態をロックし、前記取付部が第2のガイド部に誘導された際に、前記閉状態と開状態とを切り替え、前記取付部が第1のガイド部に誘導された際に前記水口体から取外し可能となる水抜装置を提供するものである。
【0008】
この構成を備えた水抜装置は、前記取付部が前記第3のガイド部に誘導された際に閉状態をロックし、前記取付部が第2のガイド部に誘導された際に、前記閉状態と開状態とを切り替え、前記取付部が第1のガイド部に誘導された際に前記水口体から取外し可能となる構成を有しているため、水抜栓をワンタッチで開閉することができる。すなわち、螺子による螺合を利用して水抜栓の開閉を行う、あるいは螺子による螺合を利用して水口体から水抜栓を取外す従来の水抜装置のように、水抜栓を水口体の周方向に複数周回転させる必要がない。したがって、作業性を向上することができる。
【0009】
また、本発明にかかる水抜装置は、前記第2のガイド部の前記挿脱方向両端に、前記取付部を係止する係止部を各々形成し、前記第3ガイド部の前記挿脱方向両端に、前記取付部を係止する係止部を各々形成することができる。このようにすることで、前記水抜栓が閉状態あるいは開状態に位置している際に、当該水抜栓が水口体から不意に外れることを防止することができる。
【0010】
そしてまた、前記挿入部は、前記排水流路を画定する内周面に着脱可能に密着し、当該内周面に密着した際に前記水抜栓を閉状態にし、当該密着を解除した際に前記水抜栓を開状態とする密着部と、中空形状を有し、前記水抜栓が開状態となった際に、前記液体を当該中空部分を介して外部に排出する排水部と、を有してなり、前記排水部の外周面は、前記排水流路を画定する内周面に略接触し、当該排水部の外周面の一部に、複数の環状溝を互いに間隔をおいて形成した構成とすることができる。この構成により、前記排水部の外周面の一部には、前記環状溝と、当該環状溝を形成する環状凸部との繰返しによって形成される、いわゆる「フィン形状」が設けられることになる。このように構成することで、機器内から排出された液体が、前記排水流路を画定する内周面と、当該排水部の外周面との間に進入しようとした際に、当該液体の進入は、前記フィン形状によって阻止されることになる。したがって、前記排水流路を画定する内周面と、当該排水部の外周面との間にOリング等のシール部材を配設することなく、前記機器内から排出された液体を、前記排水部の中空部分に集中して流すことができる。
【0011】
さらにまた、本発明にかかる水抜装置は、前記水抜栓を前記水口体の周方向に所定角度で回転することで、前記取付部が前記隣接するガイド部間を移動するよう構成することができる。このようにすることで、水抜栓を、水口体の周方向に所定角度回転させるという簡単な操作で、当該水抜栓の開閉を行うことができる。また、この構成の場合、前記所定角度は、第1のガイド部、第2のガイド部、第3のガイド部の、前記周方向の長さ(幅)によって決定されるが、前記所定角度は、例えば、90度以下とすることができる。
【0012】
また、本発明にかかる水抜装置は、前記隣接するガイド部間に、前記取付部に所定以上の移動力が付与された際に当該取付部の移動を可能にする堰部を形成することができる。このように構成することで、例えば、取付部は、第2のガイド部から第3のガイド部へ移動させるための力が付与された際に、第2のガイド部から第3のガイド部へ移動し、第3のガイド部から第2のガイド部へ移動させるための力が付与された際に、第3のガイド部から第2のガイド部へ移動することになるため、前記利点に加え、水抜栓の開閉が不意に行われることをさらに確実に防止することができる。また、同様に、取付部は、第1のガイド部から第2のガイド部へ移動させるための力が付与された際に、第1のガイド部から第2のガイド部へ移動し、第2のガイド部から第1のガイド部へ移動させるための力が付与された際に、第2のガイド部から第1のガイド部へ移動することになるため、前記利点に加え、水抜栓が不意に取外し可能位置に位置することをさらに確実に防止することができる。
【0013】
そしてまた、本発明にかかる水抜装置は、前記取付部を複数有し、前記水口体の外周面に、前記複数の取付部の各々に対応する前記ガイド領域を形成した構成を備えていてもよい。このようにすることで、前記水口体に水抜栓をより確実に安定した状態で取付けることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明にかかる水抜装置は、前記取付部が前記第3のガイド部に誘導された際に閉状態をロックし、前記取付部が第2のガイド部に誘導された際に、前記閉状態と開状態とを切り替え、前記取付部が第1のガイド部に誘導された際に前記水口体から取外し可能となるため、水抜栓をワンタッチで開閉することができ、作業性を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
次に、本発明の好適な実施の形態にかかる水抜装置について図面を参照して説明する。なお、以下に記載される実施の形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明をこれらの実施の形態にのみ限定するものではない。したがって、本発明は、その要旨を逸脱しない限り、様々な形態で実施することができる。
【0016】
図1は、本発明の水抜装置の外観を示す側面図であり、前記水抜装置の構成要素である水抜栓が閉状態である場合を示す図、図2は、図1に示す水抜装置の底面図、図3は、図2に示すIII−III線に沿った断面図の上下を逆にして示す図、図4は、本発明の水抜装置の外観を示す側面図であり、前記水抜装置の構成要素である水抜栓が開状態である場合を示す図、図5は、図4に示す水抜装置の底面図、図6は、図5に示すVI−VI線に沿った断面図の上下を逆にして示す図、図7は、図6に示す水抜装置の一部を拡大して示す断面図、図8は、本発明の水抜装置の外観を示す側面図であり、前記水抜装置の構成要素である水抜栓が取外し可能位置にある場合を示す図、図9は、図8に示す水抜装置の底面図、図10は、図9に示すX−X線に沿った断面図の上下を逆にして示す図、図11は、本発明の水抜装置の外観を示す側面図であり、前記水抜装置の構成要素である水抜栓が取外される直前の状態を示す図、図12は、図11に示す水抜装置の底面図、図13は、図12に示すXIII−XIII線に沿った断面図、図14は、図11に示す水抜装置の一部を拡大して示す側面図である。なお、前記各図では、説明を判り易くするため、各部材の厚さやサイズ、拡大・縮小率等は、実際のものとは一致させずに記載した。
【0017】
図1〜図14に示すように、本実施の形態にかかる水抜装置1は、図示しない機器の配管に接続される水口体10と、水口体10に着脱可能に取付けられる水抜栓50と、を備えている。
【0018】
水口体10は、中空の管からなる水口本体11と、水口本体11から分岐された中空の分岐部12を有しており、水口本体11の中空部分と、分岐部12の中空部分とによって、液体を外部に排出する排水流路を構成している。水口本体11の上流側は、前記図示しない機器の配管に接続される接続部14となっており、この接続部14の下流側には、接続用のフランジ15が形成されている。
【0019】
分岐部12は、外観が略円筒形からなり、その中空部分が水口本体11の中空部分と連通し、後に詳述する水抜栓50の挿入部51が着脱可能に挿入される挿入孔13となっている。この挿入孔13は、特に図13等に示すように、水口本体11側(基端側)に形成された小径孔16と、小径孔16よりも先端側に形成され且つ小径孔16よりも大きな径を有する大径孔17から構成されている。小径孔16は、後に詳述する挿入部51の密着部52が挿入可能となっており、小径孔16に密着部52が挿入された際に、小径孔16を画定している内周面18と密着部52の外周面との間は、密着部52の構成要素であるOリング53によって水密に保持されるようになっている。大径孔17は、後に詳述する挿入部51の排水部54を挿入可能となっており、大径孔17に排水部54が挿入された際に、排水部54の外周面は、大径孔17を画定している内周面19に接触した状態あるいはほぼ接触している状態となっている。
【0020】
分岐部12の外周面には、特に図14等に示すように、分岐部12の先端(水口本体11から離れた端:以下、こちら側を「先端側」と記す)から分岐部12の基端(水口本体11に近い端:こちら側を「基端側」と記す)に向けて、分岐部12の略中央位置付近まで延びた第1のガイド部21が形成されている。また、分岐部12の外周面には、第1のガイド部21の一方の周方向(図14でいう反時計回り方向)側に隣接した状態で、先端側が第1のガイド部21の略中央付近に位置し、基端側が第1のガイド部21の基端よりも基端側に延びた第2のガイド部22が形成されている。さらにまた、分岐部12の外周面には、第1のガイド部21の基端よりも基端側に配設されると共に、第2のガイド部22の基端側且つ他方の周方向(図14でいう時計回り方向)側に隣接した状態で、他方の周方向側に延びる第3のガイド部23が形成されている。なお、第2のガイド部22の基端と、第3のガイド部23の基端は、同一円周上に位置している。
【0021】
第1のガイド部21、第2のガイド部22及び第3のガイド部23は、凹部から形成されており、第1のガイド部21及び第2のガイド部22は、後に詳述する水抜栓50の取付部71を水抜栓50の挿脱方向に誘導し、第3のガイド部23は、取付部71を分岐部12の周方向に誘導する。そして、取付部71は、第1のガイド部21と第2のガイド部22との間を移動可能であり、第2のガイド部22と第3のガイド部23との間を移動可能であり、第1のガイド部21、第2のガイド部22、第3のガイド部23により、ガイド領域30を構成している。なお、水抜栓50は、取付部71が第3のガイド部23に誘導された際に閉状態をロックし、取付部71が第2のガイド部22に誘導された際に閉状態と開状態とを切り替え、取付部71が第1のガイド部21に誘導された際に分岐部12から取外し可能となる。
【0022】
また、第1のガイド部21の一方の周方向側(第2のガイド部22側)には、堰部25が形成されている。この堰部25は、通常の状態では、取付部71が第1のガイド部21と第2のガイド部22との間を移動することを阻止し、取付部71に、第1のガイド部21と第2のガイド部22との間を移動させるための力(後に詳述するが、水抜栓50を分岐部12に対し周方向に回転させる力)が付与された際に、取付部71が第1のガイド部21と第2のガイド部22との間を移動することを可能にする。また、堰部25は、第1のガイド部21側が低く、第2のガイド部22側が高い傾斜面を有しており、取付部71が、第1のガイド部21から第2のガイド部22へ移動する際に必要な力は、比較的小さく、第2のガイド部22から第1のガイド部21へ移動する際に必要な力は、比較的大きくなる。これにより、水抜栓50を分岐部12に取付ける作業は簡単に行え、水抜栓50が分岐部12から不意に外れる(取付部71が取外し位置に移動する)ことを防止することができる。また、第1のガイド部21は、凹部から形成されているため、第1のガイド部21を移動する取付部71は、第1のガイド部21の基端に位置する側壁によって係止され、これ以上基端側に移動することが阻止される。すなわち、この側壁によって、取付部71を係止する係止部24が形成される。また、第1のガイド部21を移動する取付部71は、第1のガイド部21の他方の周方向に位置する側壁と、堰部25に当接し、水抜栓50の挿脱方向に誘導される。
【0023】
同様に、第2のガイド部22は、凹部から形成されているため、取付部71が先端側に移動しようとした際に、取付部71は、第2のガイド部22の先端に位置する側壁に係止され、これ以上先端側に移動することが阻止される。すなわち、この側壁によって、取付部71を係止する係止部26が形成される。また、取付部71が基端側に移動しようとした際に、第2のガイド部22の基端に位置する側壁に取付部71が係止され、これ以上基端側に移動することが阻止される。すなわち、この側壁によって、取付部71を係止する係止部27が形成される。また、第2のガイド部22を移動する取付部71は、第2のガイド部22の周方向に位置する各々の側壁に当接し水抜栓50の挿脱方向に誘導される。
【0024】
第2のガイド部22と、第3のガイド部との間には、堰部31が形成されている。この堰部31は、通常の状態では、取付部71が第2のガイド部22と第3のガイド部23との間を移動することを阻止し、取付部71に、第2のガイド部22と第3のガイド部23との間を移動させるための力が付与された際に、取付部71が第2のガイド部22と第3のガイド部23との間を移動することを可能にする。この堰部31は凸状のリブから構成されている。
【0025】
第3のガイド部23は、凹部から形成されているため、取付部71が先端側に移動しようとした際に、取付部71は、第3のガイド部23の先端に位置する側壁に係止され、これ以上先端側に移動することが阻止される。すなわち、この側壁によって、取付部71を係止する係止部28が形成される。また、取付部71が基端側に移動しようとした際に、第3のガイド部23の基端に位置する側壁に取付部71が係止され、これ以上基端側に移動することが阻止される。すなわち、この側壁によって、取付部71を係止する係止部29が形成される。第3のガイド部23を移動する取付部71は、係止部28及び29に当接して分岐部12の周方向に誘導される。また、第3のガイド部23を他方の周方向に向けて移動する取付部71は、第3のガイド部23の他方の周方向に位置する側壁に係止され、この位置で移動が停止するようになっている。
【0026】
なお、本実施の形態では、取付部71の第1のガイド部21と第2のガイド部22との間の移動は、水抜栓50を分岐部12の周方向に約45度回転させることにより可能となり、取付部71の第2のガイド部22と第3のガイド部23との間の移動は、水抜栓50を分岐部12の周方向に約45度回転させることにより可能となるようにした。また、本実施の形態では、後に詳述するが、2つの取付部71が、互いに180度ずれた位置に設けられた水抜栓50を使用しているため、ガイド領域30は、各々の取付部71に対応する位置(すなわち、互いに180度ずれた位置)に形成した。
【0027】
水抜栓50は、分岐部12の挿入孔13に挿脱可能に挿入される挿入部51を有する栓本体60と、当該栓本体60に配設され、栓本体60を分岐部12に着脱可能に取付ける2つの取付部71と、を備えて構成されている。
【0028】
挿入部51は、栓本体60の挿入方向側の端部に形成され、小径孔16に挿入された際に、小径孔16の内周面18に密着する密着部52と、密着部52の抜脱方向側に形成され、大径孔17に挿入された際に、大径孔17の内周面19に接触した状態あるいはほぼ接触している状態となる排水部54と、を有している。
【0029】
密着部52は、略円筒形を有し且つ中実である栓部62と、栓部62の外周面に配設されたOリング53を有しており、小径孔16に密着部52が挿入された際には、Oリング53によって、小径孔16の内周面18と密着部52の外周面との間が水密に保持されるようになっている。そして、水抜栓50は、密着部52が小径孔16に挿入された際(図3参照)に閉状態となり、密着部52が小径孔16から抜取られた際(図6、図7参照)に開状態となる。
【0030】
排水部54は、中空の略円筒形を有し、その外周面には、複数の環状溝56(本実施の形態では5本)が、互いに間隔をおいて形成されている。すなわち、排水部54の環状溝56が形成されている領域は、環状溝56と、環状溝56の両側に位置して環状溝56を画定する(形成する)環状凸部66との繰返しとなり、この繰返しによって、いわゆる「フィン形状」が形成される。この排水部54の密着部52が形成されている端面には、水口本体10の排水流路から排出される液体を中空部58に進入させるための孔57が開口されている。この排水部54の密着部52が形成されている側とは反対側には、中空部58に連通する中空部を有する略円筒形の円筒部55が形成されており、排水部54と円筒部55との間には、フランジ61が形成されている。そして、中空部58に進入した液体は、円筒部55の中空部を経て外部に排出される。なお、円筒部55には、ホースや他の配管等を取付けることができる。
【0031】
2つの取付部71は、フランジ61の外周面の互いに対向する位置から水抜栓50の挿入方向に向けて、排水部54の密着部52が形成されている端面付近まで各々延出し、その延出端部の排水部54と対向する面には、第1のガイド部21、第2のガイド部22、第3のガイド部23に受領されて第1のガイド部21、第2のガイド部22、第3のガイド部23を移動可能であり、係止部24、26、27、28及び29に係止される係止爪72が各々形成されている。この取付部71は、前述した所定の力が付与されて堰部25及び31を通過する際に、外側に弾性変形し、堰部25及び31を越えるようになっている。
【0032】
次に、本実施の形態にかかる水抜装置1の具体的動作について、図面を参照して説明する。
【0033】
先ず、水口体10に水抜栓50を取付ける際は、図11〜図13に示すように、取付部71の係止爪72の位置が、第1のガイド部21とほぼ同一直線上になるようにして、水抜栓50の密着部52を分岐部12に形成された大径孔17の先端に挿入する。次に、第1のガイド部21に取付部71の係止爪72を入れ、水抜栓50をさらに挿入する。この動作により、係止爪72は、第1のガイド部21に誘導されて挿入方向に移動して係止部24に当接し、当該移動が停止される。(図8〜図10参照)。次いで、この状態で、水抜栓50を反時計回りに約45度回転させると、係止爪72が堰部25を乗り越えて、係止爪72は、第2のガイド部22に移動する。(図4〜図6参照)。次に、水抜栓50をさらに挿入すると、係止爪72は、第2のガイド部22に誘導されて挿入方向にさらに移動して係止部27に当接し、当該移動が停止される。この時、密着部52は、小径孔16に挿入され、Oリング53によって、小径孔16の内周面18と密着部52の外周面との間が水密に保持され、水抜栓50は閉状態となる。
【0034】
次に、この状態で、水抜栓50を時計回りに約45度回転させると、係止爪72が堰部31を乗り越えて、係止爪72が第3のガイド部23に移動する。これにより、係止爪72は、先端側への移動が係止部28により阻止され、基端側への移動が係止部29により阻止されて、密着部52が小径孔16から外れることが防止され、水抜栓50の閉状態がロックされる。(図1〜図3参照)。この時、フランジ61を分岐部12の先端面に当接させてもよい。
【0035】
次に、水抜栓50を開いて、図示しない機器の配管から排出される液体を外部に排出する際は、ロック状態にある水抜栓50(図1〜図3参照)を、反時計回りに約45度回転させると、係止爪72が堰部31を乗り越えて、第3のガイド部23から第2のガイド部22に移動する。この状態で、水抜栓50を先端方向に引くと、係止爪72が第2のガイド部22に誘導されて先端側に移動し、密着部52が小径孔16から抜取られ(図4〜図6参照)、水抜栓50が開状態になる。水抜栓50が開状態になると、特に図7に示すように、配管から排出される液体が小径孔16から大径孔17に流れ込み、孔57を介して中空部58に進入し、ここから外部に排出される。この時、小径孔16から大径孔17に流れ込んだ液体が、大径孔17の内周面19と、排水部54の外周面との間に進入しようとするが、排水部54の外周面には、複数の環状溝56により形成された「フィン形状」が設けられているため、液体の進路が変更されて進入が阻止される。したがって、大径孔17の内周面19と、排水部54の外周面との間にOリング等のシール部材を配設することなく、前記液体を中空部58に集中して流すことができる。また、係止爪72は、係止部26に係止されると共に、堰部25によって第1のガイド部21に不意に移動することが阻止されるため、水抜栓50が開状態の際に、分岐部12から外れることを防止することができる。
【0036】
水抜栓50を分岐部12から取外す場合は、水抜栓50が開状態に位置している時に水抜栓50を反時計回りに約45度回転させると、係止爪72が堰部25を乗り越えて、第2のガイド部22から第1のガイド部21に移動する。(図8〜図10参照)。この時、水抜栓50を反時計回りに回転させて、係止爪72が堰部25を乗り越えるためには、係止爪72が堰部31を乗り越えるために回転させる力や、係止爪72を第1のガイド部21から堰部25を越えて第2のガイド部22に移動させるために回転させる力よりも大きな力が必要となるようになっている。これによって、水抜栓50が不意に取外し可能位置に移動してしまうことを防止でき、水抜装置1の信頼性を向上させることができる。次に、水抜栓50を先端方向に引くと、係止爪72が第1のガイド部21に誘導されて先端側に移動し(図11〜図13参照)、係止爪72が第1のガイド部21の先端側から外れ、水抜栓50が分岐部12から取外される。
【0037】
以上説明したように、水抜装置1は、水抜栓50を分岐部12に対し周方向に約45度回転させる動作と、係止爪72を第1のガイド部21、第2のガイド部22、第3のガイド部23に沿って移動させるという簡単な動作、すなわち、ワンタッチで、水抜栓50の開閉、閉状態のロック、水抜栓50の取付け、取外しを行うことができ、作業性を大幅に改善することができる。また、従来のように、水口体10の水抜栓50が取付けられる位置(本実施の形態では分岐部12)の内周面に、雌螺子を形成する必要がないため、加工性も向上することができる。
【0038】
なお、本実施の形態では、2つの取付部71を配設した場合について説明したが、これに限らず、取付部71は少なくとも1つ配設すればよい。また、ガイド領域30は、取付部71の配設数に合わせた数で形成すればよいが、所望により、取付部71の配設数よりも多く配設しておいてもよい。
【0039】
また、本実施の形態では、水抜栓50を分岐部12に対し周方向に約45度回転させる場合について説明したが、これに限らず、水抜栓50の回転角度は、ガイド領域30の形状や、取付部71や分岐部12のサイズ等により、任意に決定することができる。しかしながら、作業性等を考慮すると、水抜栓50の回転角度は90度以下であることが望ましい。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の水抜装置の外観を示す側面図であり、前記水抜装置の構成要素である水抜栓が閉状態である場合を示す図である。
【図2】図1に示す水抜装置の底面図である。
【図3】図2に示すIII−III線に沿った断面図の上下を逆にして示す図である。
【図4】本発明の水抜装置の外観を示す側面図であり、前記水抜装置の構成要素である水抜栓が開状態である場合を示す図である。
【図5】図4に示す水抜装置の底面図である。
【図6】図5に示すVI−VI線に沿った断面図の上下を逆にして示す図である。
【図7】図6に示す水抜装置の一部を拡大して示す断面図である。
【図8】本発明の水抜装置の外観を示す側面図であり、前記水抜装置の構成要素である水抜栓が取外し可能位置にある場合を示す図である。
【図9】図8に示す水抜装置の底面図である。
【図10】図9に示すX−X線に沿った断面図の上下を逆にして示す図である。
【図11】本発明の水抜装置の外観を示す側面図であり、前記水抜装置の構成要素である水抜栓が取外される直前の状態を示す図である。
【図12】図11に示す水抜装置の底面図である。
【図13】図12に示すXIII−XIII線に沿った断面図である。
【図14】図11に示す水抜装置の一部を拡大して示す側面図である。
【符号の説明】
【0041】
1…水抜装置、 10…水口体、 11…水口本体、 12…分岐部、 21…第1のガイド部、 22…第2のガイド部、 23…第3のガイド部、 24、26、27、28、29…係止部、 25、31…堰部、 30…ガイド領域、 50…水抜栓、 51…挿入部、 52…密着部、 54…排水部、 56…環状溝、 60…栓本体、 71…取付部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器内から液体を外部に排出させる水抜装置であって、
前記機器の配管に接続され、当該配管を流通する液体を外部に排出する排水流路を有する水口体と、
前記水口体に着脱可能に取付けられる水抜栓と、
を備え、
前記水抜栓は、前記排水流路に挿脱可能に挿入される挿入部を有する栓本体と、当該栓本体に配設され、当該栓本体を前記水口体に着脱可能に取付ける取付部と、を有し、
前記水口体の外周面には、前記取付部を前記挿脱方向に誘導する第1のガイド部と、前記第1のガイド部の一方の周方向側に隣接し、当該取付部を前記挿脱方向に誘導すると共に、前記第1のガイド部の前記挿入方向先端よりも当該挿入方向側に延びた第2のガイド部と、前記第1のガイド部よりも前記挿入方向側に配設されると共に、前記第2のガイド部の前記挿入方向側且つ他方の周方向側に隣接し、前記取付部を前記周方向に誘導する第3のガイド部と、を有するガイド領域が形成されてなり、
前記取付部は、前記隣接するガイド部間を移動可能であると共に、前記第2のガイド部の一部及び第3のガイド部の一部に係止され、
前記水抜栓は、前記取付部が前記第3のガイド部に誘導された際に閉状態をロックし、前記取付部が第2のガイド部に誘導された際に、前記閉状態と開状態とを切り替え、前記取付部が第1のガイド部に誘導された際に前記水口体から取外し可能となる水抜装置。
【請求項2】
前記第2のガイド部及び第3のガイド部は、前記挿脱方向両端に、前記取付部を係止する係止部が各々形成されてなる請求項1記載の水抜装置。
【請求項3】
前記挿入部は、前記排水流路を画定する内周面に着脱可能に密着し、当該内周面に密着した際に前記水抜栓を閉状態にし、当該密着を解除した際に前記水抜栓を開状態とする密着部と、中空形状を有し、前記水抜栓が開状態となった際に、前記液体を当該中空部分を介して外部に排出する排水部と、を有してなり、
前記排水部の外周面は、前記排水流路を画定する内周面に略接触し、当該排水部の外周面の一部に、複数の環状溝を互いに間隔をおいて形成してなる請求項1または請求項2記載の水抜装置。
【請求項4】
前記取付部は、前記水抜栓が前記水口体の周方向に所定角度で回転することにより、前記隣接するガイド部間を移動する請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の水抜装置。
【請求項5】
前記所定角度は、90度以下である請求項4記載の水抜装置。
【請求項6】
前記隣接するガイド部間には、前記取付部に所定以上の移動力が付与された際に、当該取付部の移動を可能にする堰部が形成されてなる請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の水抜装置。
【請求項7】
前記取付部を複数有し、前記水口体の外周面に、前記複数の取付部の各々に対応する前記ガイド領域を形成してなる請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載の水抜装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−84845(P2010−84845A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−254452(P2008−254452)
【出願日】平成20年9月30日(2008.9.30)
【出願人】(000226507)株式会社ニックス (96)
【Fターム(参考)】