説明

水接触インジケータ

本発明は接着物品を開示している。接着物品は、低分子量親水性ポリマー樹脂を含む流体輸送基材を含み、第1の主面と第2の主面とを有する第1の層を含む。接着物品は、更に、流体輸送可能なインクを含み、第1の層の第2の主面と関連している第2の層を含む。接着物品はまた、接着層も含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体、特に水への露出を検出することのできる接着物品に関する。
【背景技術】
【0002】
流体への露出を表示する接着物品、例えば、テープまたはラベルは、多くの用途について望ましいものである。例えば、かかる接着物品は、水密パイプの軽微な漏れを検出する補助となる。更に、これらの接着物品は、エレクトロニクス、特にハンディータイプのエレクトロニクスの水への露出を検出するのに有用である。例えば、水への露出を表示する接着物品は、電子デバイス、例えば、携帯電話、個人用携帯情報端末、ハンディコンピュータ、充電器または小型電気製品のメーカーにとって機能故障を判断する補助として有用である。接着物品は、デバイスの電子部分内、または外部ケースのいずれかで電子デバイスに配置される。デバイスが浸漬されていたり、受感コンポーネントが水のような流体と接触した場合には、保証が無効となったり、故障の原因が判断される。
【0003】
流体表示に用いられる接着物品の中には、基材のインク層と説明されるものがある。インクは、水に露出されると変化するパターンで表示される。例えば、インクは、ストライプまたはドットとしてよく、水に露出されると滲む。更なる接着物品は、水への露出前はインクの汚れを防ぐために透明カバーフィルムを有している。その他の接着物品は、水へ露出されると色が変化するインクを利用している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
市販されている接着物品の中には、高湿条件下で容易に表示され過ぎるものがある。更に市販の接着物品は、高湿条件に露出された後でも全く水との接触を表示しないものもある。水との持続した露出に際して表示するが、高湿環境では表示をしない水表示接着物品が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は接着物品を開示する。接着物品は、低分子量親水性ポリマー樹脂を含む流体輸送基材を含み、第1の主面と第2の主面とを有する第1の層を含む。接着物品は、更に、流体輸送可能なインクを含み、第1の層の第2の主面と関連している第2の層を含む。接着物品はまた、接着層も含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
流体表示接着物品の1実施形態を図1に示す。接着物品10は、流体輸送基材を含む。流体輸送基材は、多孔性層12と低分子量親水性ポリマー樹脂層33とを含む多層構造体である。多孔性層12には第1の主面14と第2の主面16がある。樹脂層33には第1の主面32と第2の主面34がある。樹脂層33の第1の主面32は、多孔性層12の第2の主面16と関連している。本出願において、関連という用語は、定義された表面の同じ側にあり、その表面と直接的か、その他の層により接触していることを意味する。流体輸送インク層18は、樹脂層33の第2の主面34にコートされている。インク層には第1の主面20と第2の主面22がある。インク層18の第1の主面20は、樹脂層33の第2の主面34と接触している。接着物品10は、インク層18の第2の主面22に適用された接着層24を更に含む。
【0007】
接着物品10は、基材12の第1の主面14にラミネートされた透明層26を更に含む。接着物品10はまた、インク層18の第2の主面22の逆の接着層24に配置された剥離ライナ28を含む。
【0008】
本発明の他の実施形態を図2に示す。図2は、透明層26を除いた以外は図1に示したのと同じ実施形態である。
【0009】
基材
本発明の流体表示接着物品は、流体を輸送可能な基材(「流体輸送基材」)を含む。流体輸送基材は、基材を通して流体を輸送する。例えば、基材は、米国特許第5,238,623号明細書(ミロジンスキ(Mrozinski))に記載されているようなマイクロポーラスフィルムを含んでいてもよい。通常、流体輸送基材は多孔性層を含む。多くの実施形態において、流体輸送基材は繊維状基材を含む。繊維状基材は、通常、流体を吸収可能である。しかしながら、繊維状基材は、通常、高密度環境において飽和しない。ある実施形態において、基材は吸水基材である。吸水基材は、通常、濡れると粘着形態を維持する材料でできている。好適な基材としては、セルロース系紙のような紙、例えば、ペーパータオルおよびコピー等級の紙が挙げられる。
【0010】
更に、織布および不織布およびポリオレフィンが好適な基材である。ポリオレフィンを、例えば、親水性コーティングで処理したり、ポリオレフィンを親水性ファイバーとブレンドすることにより、処理すると流体吸収性が向上する。しかしながら、ポリオレフィンを親水性とするのに用いるコーティングは、選択した接着剤を妨げたり、負の反応をしないように選択しなければならない。メルトブローンまたはスパンボンド技術を用いてかかる不織ウェブを作成することができる。不織ウェブはまた、例えば、ランドウェバー(RANDO WEBBER)(ニューヨーク州マセドンのランドコーポレーション(Rando Corporation,Macedon,NY)エアレイイングマシーンまたはカーディングマシンで作成することもできる。
【0011】
ポリオレフィンの代表例としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖低密度ポリエチレンおよび鎖状超低密度ポリエチレンおよびポリブチレンが挙げられる。本発明の基材に有用な更なる材料としては、ナイロン、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート)、可塑化および非可塑化両方のポリ塩化ビニルおよびポリ酢酸ビニルなどのビニルコポリマー、エチレン/メタクリレートコポリマー、エチレン/酢酸ビニルコポリマー、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンコポリマーおよびエチレン/プロピレンコポリマーなどのオレフィンコポリマー、アクリルポリマーおよびコポリマー、ポリカプロラクトン、および上記の組み合わせが挙げられる。プラスチック、またはポリプロピレン/ポリエチレン、ポリウレタン/ポリオレフィン、ポリウレタン/ポリカーボネート、ポリウレタン/ポリエステルなどのプラスチックとエラストマー材料の混合物またはブレンドも用いることができる。
【0012】
好適な基材の具体例としては、ケンタッキー州ウィックリフのミードウエストベーコ社(MeadWestvaco Corp.,Wickliffe,Kentucky)より、ウルトラソーブ(Ultrasorb)FP「マット」吸収体セルロース紙およびGWフォーム(FORM)ボンド紙という商品名で販売されているセルロース紙が挙げられる。基材はまた、テネシー州メンフィスのインターナショナルペーパー(International Paper,Memphis,Tennessee)より入手可能なコピープラススタンダードホワイト(COPYPLUS Standard White)という商品名で販売されている紙などの標準重量コピー紙であってもよい。
【0013】
流体輸送基材は、上述した1つ以上の吸収材料を含む単一層または多層であってもよい。多層流体輸送基材の実施形態はまた、色堅牢性、湿度堅牢性および/または流体輸送層のインクの移動を制御するための1枚または複数の追加の層を含んでいてもよい。かかる層としては、親水性樹脂、例えば、ポリエチルオキサゾリン、ポリビニル−アルコール(PVA)またはポリビニル−ピロリドン(PVP)、ビニル−ピロリドン−酢酸ビニルコポリマーなどのビニルポリマーまたはこれらの組み合わせが挙げられる。
【0014】
本発明の流体輸送基材の多層実施形態は、コーティング、ラミネーティングまたは共押出しなどの従来の技術により形成される。追加の実施形態としては、多孔性層に組み込まれる添加剤などの親水性樹脂の添加が挙げられる。
【0015】
親水性樹脂を有する実施形態において、親水性ポリマー樹脂の選択によって、高湿条件下で適切な移動バリアを提供しながら、流体輸送基材を通るインク層の移動を可能とさせる適切な水溶性を樹脂が確実に有するようになる。通常、低分子量は、ポリマーの溶解度を予測させるものである。低分子量ポリマーの分子量は500,000未満である。ある実施形態において、低分子量ポリマーの分子量は10,000以下である。
【0016】
多くの実施形態において、流体輸送基材は平坦である。基材は透明、白色または任意の色であってよい。通常、基材は乾燥時には不透明で、基材の下にある層は目視されない。多くの実施形態において、基材はたとえ濡れても常時不透明である。
【0017】
任意に、様々なフィラーまたは添加剤を基材に組み込んで、基材の全体の色および/または不透明度を制御または付与してもよい。かかるフィラーまたは添加剤としては、クレイ、タルク、珪藻土、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化鉄、酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、ケイ酸アルミニウム、有機顔料またはこれらの混合物が挙げられる。
【0018】
流体輸送インク
流体輸送インクを、流体輸送基材の一表面にコートしてインク層を形成する。親水性樹脂層を含む実施形態において、図面に示したようにインクを親水性樹脂層にコートしてもよい。インクは、流体、ペーストまたは粉末として生成された顔料の分散液または染料溶液と定義される。流体に露出されると、流体輸送インクは基材を移動して流体と共に流れる。ある実施形態において、基材の孔がインクを露出し、流体が露出した場合にインクの変位を補助する。
【0019】
例えば、水溶性インクが本発明に好適である。特定の実施形態において、インクは、アイダホ州ボイジーのヒューレットパッカード社(Hewlett Packard Co.,Boise,Idaho)より市販されているHPインクジェットカートリッジ(HP Ink Jet cartridge)51649a印刷青色インクであってよい。その他の例としては、オハイオ州シンシナティのB.F.グッドリッチ(B.F. Goodrich,Cincinnati,Ohio)よりHIDACID AZUREブルーダストレス(HIDACID AZURE Blue dustless)20DA2228という商品名で市販されている青色染料粉末、およびニュージャージー州マウントオリーブのBASF社(BASF Corp.,Mount Olive,New Jersey)よりFASTUSOLレッド43LNおよびBASACIDレッドNB391Lという商品名で市販されている赤色染料が挙げられる。
【0020】
インクは基材に分散させてもよい。他の実施形態において、インクは接着層に分散させてから、基材と接触させる。インクは、特定のインクに好適となるよう選択された様々なコーティングおよび印刷技術を用いて分散してよい。例えば、インクは、インクジェットプリンタ、グラビア印刷、フレキソ印刷、凸版印刷または粉体塗装技術を用いて分散してよい。インクは、様々な適用範囲、例えば、所定のパターン、不規則パターンまたは完全適用で基材に分散させてよい。
【0021】
接着剤
接着層は、インク層表面に、適用、例えば、コートまたはラミネートされる。接着剤は、任意の接着剤、例えば、サーマルボンド(ホットメルト)接着剤または紫外線活性接着剤であってもよい。通常、接着層は、感圧接着剤である。感圧接着剤は、通常、その特性が特徴的である。感圧接着剤は当業者には周知であり、(1)攻撃的および永続的な粘着性、(2)指の圧力より少ない力で基材に接合する、(3)十分に被着体に保持される能力、(4)被着体からきれいに除去できるだけの十分な凝集強度をはじめとする特性を有している。多くの感圧接着剤は、数多くの異なる応力レート条件下でこれらの特性を満足するものでなければならない。感圧接着剤に添加剤を含めて、感圧接着剤の特徴を最適化してもよい。
【0022】
任意の好適な感圧接着組成物を本発明で用いることができる。通常、感圧接着剤は、例えば、基材での処理による反応により、インクが流体に輸送される能力を妨げるものであってはならない。感圧接着剤成分は、感圧接着特性を有する任意の材料とすることができる。更に、感圧接着剤成分は、単一の感圧接着剤としたり、2種類以上の感圧接着剤の組み合わせとすることができる。
【0023】
本発明に有用な感圧接着剤としては、例えば、天然ゴム、合成ゴム、スチレンブロックコポリマー、ポリビニルエーテル、ポリ(メタ)アクリレート(アクリレートとメタクリレートの両方を含む)、ポリオレフィンおよびシリコーンに基づくものが挙げられる。
【0024】
感圧接着剤は元々粘着性であってよい。所望であれば、粘着付与剤をベース材料に添加して、感圧接着剤を形成してもよい。有用な粘着付与剤としては、例えば、ロジンエステル樹脂、芳香族炭化水素樹脂、脂肪族炭化水素樹脂およびテルペン樹脂が挙げられる。特別な目的で、例えば、油、可塑剤、酸化防止剤、紫外線(「UV」)安定剤、水素添加ブチルゴム、顔料および硬化剤をはじめとするその他の材料を添加することができる。
【0025】
一実施形態において、感圧接着剤は、少なくとも1種類のポリ(メタ)アクリレート(例えば、(メタ)アクリル感圧接着剤)に基づいている。ポリ(メタ)アクリル感圧接着剤は、例えば、イソオクチルアクリレート、イソノニルアクリレート、2−メチル−ブチルアクリレート、2−エチル−ヘキシルアクリレートおよびn−ブチルアクリレートなどの少なくとも1種類のアルキル(メタ)アクリレートエステルモノマーと、例えば、(メタ)アクリル酸、酢酸ビニル、N−ビニルピロリドン、(メタ)アクリルアミド、ビニルエステル、フマレート、スチレンマクロマーまたはこれらの組み合わせなどの少なくとも1種類の任意のコモノマー成分とから誘導される。通常、ポリ(メタ)アクリル感圧接着剤は、約0〜約20重量パーセントのアクリル酸および約100〜約80重量パーセントの少なくとも1つのイソオクチルアクリレート、2−エチル−ヘキシルアクリレートまたはn−ブチルアクリレート組成物、好ましくはイソオクチルアクリレートから誘導される。本発明の好適な実施形態は、約2〜約10重量パーセントのアクリル酸および約90〜約98重量パーセントの少なくとも1つのイソオクチルアクリレート、2−エチル−ヘキシルアクリレートまたはn−ブチルアクリレート組成物から誘導される。
【0026】
接着層は、好適なコーティングまたはラミネーティング技術を用いてインク層に適用される。例えば、接着層は、接着組成物を、伸張剪断力装置(例えば、延伸ダイ、フィルムダイまたはロータリロッドダイ)からホットメルトコーティング、延伸または押出してから、延伸した接着組成物を可動ウェブ(例えば、プラスチック)またはその他好適な基材と接触させることを含む連続形成方法により形成してもよい。これに関連した連続形成方法は、接着組成物と共押出しされたバッキング材料をフィルムダイから押出して、層状生成物を冷却して接着テープを形成するものである。他の連続形成方法は、接着組成物を高速移動の可動ウェブまたはその他好適なプリフォームされた基材と直接接触させるものである。この方法を用いると、回転ロッドダイなどの可撓性ダイリップを有するダイを用いて接着組成物が移動中のプリフォームされたウェブへ適用される。接着層は、更に、非連続コーティング方法により形成してもよい。
【0027】
別法によれば、接着剤は、接着組成物の成分をトルエン等の溶剤に溶解して、基材に鋳造することにより作成してもよい。
【0028】
透明層
本発明の水表示接着物品は、任意に、流体輸送基材に透明フィルムを含む透明層を有している。透明層は、インク層の逆の基材表面にある。透明層は、基材端部を超えて延在していてもよいし、基材と同じサイズであってもよい。通常、かかる層は耐水性である。かかる層は、水表示接着物品を、人が取扱い中に、水分から、そして露/結露から保護する。更に、追加の層は、長く浸水させたときに水表示接着物品を保護し、湿気エージング条件での特定の水表示テープの寿命を延ばす。ある実施形態において、インクジェット印刷、熱転写印刷およびフレキソ印刷をはじめとする様々な印刷技術を用いて、透明層は印刷可能である。更に、透明層は、例えば、米国特許第6,117,530号明細書(ジョンザ(Jonza)ら)に開示されているような多層装飾フィルムであってもよい。
【0029】
透明層は、透明層を基材に接合する接着層を有していてもよい。別法によれば、透明層を高温ラミネーションにより基材に接合して、基材と透明層との間の接着層の必要性を排除してもよい。透明層は、接着物品表面を、汚れ、異物および取扱い汚染物質から保護して、インジケータを長期間にわたって水に浸漬したときに、紙の色を保持する役割を果たす。保護フィルムのない接着物品を長期間にわたって浸漬すると、ブリードや色褪せして、元の非表示色(白色)に戻り始めて、水に露出されなかったという誤った読取りを与えるという問題が生じ得る。また、基材の材料によっては、長期間にわたって浸漬すると保護フィルムのない接着物品は崩壊し始めることがある。しかしながら、保護カバーフィルムの付いた接着物品は、紙の色の変化を保持し、長期間浸漬後もブリードしたり崩壊したりしない。本発明に好適な透明層の具体例としては、オハイオ州メディナのエムテックエマルジョンテクノロジーズ(Emtech Emulsion Technologies,Medina,OH)よりFM046092クリアポリエステルラベルストック(clear polyester label stock)という商品名で市販されているようなUPVCの付いたテープ、ミネソタ州セントポールの3Mカンパニー(3M Company,St.Paul,MN)よりスコッチプレミアム透明フィルムテープ(Scotch Premium Transparent Film Tape)600、スコッチボックスシーリングテープ(Scotch Box Sealing Tape)375という商品名で市販されているポリプロピレンテープおよびスコッチボックスシーリングテープ(Scotch Box Sealing Tape )355または3M(登録商標)熱転写押印フィルムテープ(Thermal Transfer Imprintable Film Tape)7861という商品名で市販されているポリエステル付きテープが挙げられる。
【0030】
追加の層
本発明の水表示テープは、追加の層を含んでいてもよい。例えば、ある実施形態は、接着層とインク層との間に追加の流体透明基材層を含んでいる。水表示テープはまた、テープを表面に接合する準備が整うまで、接着剤に接合したシリコーンコート紙またはフィルムなどの剥離ライナを含んでいてもよい。
【0031】
テープがロールで販売されていると、剥離材料(例えば、低接着力バックサイズ)を接着剤の逆のテープ側に追加すると有利である。
【0032】
製造方法
本発明の水表示接着物品は、通常、流体透明基材を、既述した単層または多層のいずれかで流体輸送可能なインクでコートすることにより製造される。ある実施形態において、流体輸送基材は多孔性基材と親水性樹脂層とを含む。親水性樹脂層は、多孔性基材にコートされてもよい。ある実施形態において、親水性樹脂層は、添加剤(例えば、二酸化チタン)を含む。その他の追加の層をまたコートして、流体輸送基材を形成してもよい。基材は、シートの形態であってもよいし、最終製品をテープのロールへと巻くのに好適な長いストリップであってもよい。インクをコートして、基材を完全にカバーしてもよいし、セグメントまたはデザインでコートしてもよい。インクが基材からブリードしないようにインクをコートしなければならない。例えば、インクを剥離ライナにコートしてから、基材に移す。
【0033】
次に、上述した通りにして、接着剤をインクに適用する。基材およびインクは、接着剤で完全にコートしてもよいし、接着剤のセグメントでコートしてもよい。かかるセグメント接着剤は、基材が接着剤に影響を受けるコーティングを有する実施形態において望ましい。次に、接着剤を、所望であれば、剥離ライナでカバーする。
【0034】
他の実施形態において、接着組成物を、完全またはセグメントのいずれかで、剥離コーティングでコートされたライナ、または2枚のライナ間でコートすることにより転写テープに作成することができる。2つのライナ間でコーティングにより転写テープを作成する場合には、転写テープのライナの1つを除去すると、接着表面が露出する。接着表面をインク層に適用したり、接着表面を流体輸送可能なインクでコートして、基材をラミネートしてもよい。残りの剥離ライナが接着剤を基材に転写するのを補助する。
【0035】
例えば、シートをダイカットすることにより、シートを個々のラベルに変換することによって、個々のラベルを作成してもよい。シートは、サークルや正方形といった任意のサイズまたは形状へとダイカットされる。例えば、取扱い易くするために、直径が5ミリメートルを超えるサークルにシートをダイカットしてもよい。具体例としては、情報ラベル用に用いる矩形のもの、または電子デバイスが内側に配置される小さなサークルが挙げられる。
【0036】
基材を個々のラベルへ変換する前に、任意の透明層を基材にラミネートまたは接合してもよい。
【0037】
接着物品の使用
本発明の接着物品はテープのロールであってもよい。接着物品はまた個々のラベルであってもよい。これらの実施形態において、接着物品は携帯用電子デバイスといったデバイスに配置される。ある実施形態において、接着物品は印刷され、例えば、接着物品は、流体露出のインジケータとしての作用に加えて、保証情報を含むことができる。
【0038】
流体に露出されると、本発明の接着物品は、流体と接触したことが明らかになる。接着物品に用いるインクおよび基材によって、流体としては、アルコールのような極性溶剤、非極性溶剤、体液および水が挙げられる。通常、接着物品は、インクが流体に可溶で、流体が基材を輸送される場合に流体に露出されたことを表示できる。具体的には、本発明は、消費されるアルコール飲料などの水を含む流体に露出されたことを表示するので有利である。露出時、流体輸送可能なインクは、流体輸送基材を移動して、流体輸送基材の少なくとも一部の色を大幅に変える。大幅な色の変更とは、例えば、白色から赤色と定義される。
【0039】
本発明の目的および利点を、以下の実施例によりさらに説明する。これらの実施例に挙げた特定の材料およびその量、ならびにその他条件および詳細は、本発明を不当に限定するのに用いられないものとする。
【実施例】
【0040】
【表1】

【0041】
以下の実施例には、水接触インジケータの作成および試験が記載されている。全実施例において、プロセスの順番を変更しても、本発明の様々な実施形態の同じ最終構造体が得られるものと考えられる。
【0042】
以下の水分散性溶液をまず調製した。特に断りのない限り、濃度は全て重量/重量パーセントである。
【0043】
【表2】

【0044】
実施例1〜4
コーティング番号1〜4を、吸収基材Aの4枚の別個のシートに、200ピラミッドコーティングシリンダを用いて、ニュージャージー州ローゼルのパーマルコテクノロジーズ社(Parmarco Technologies, Inc.,Roselle,NJ)より入手可能なパマルコ(PAMARCO)ハンドプルーファーにより、それぞれ適用することにより実施例1〜4を作成した。試料は全てホットエアガンを用いて乾燥した。コーティング番号1〜4と同じ手段により赤色染料を実施例1〜4の4つの全てのシートのコート側に適用した。転写接着剤を実施例1〜4の各シートのコート/乾燥側にラミネートした。吸収基材の非コート/乾燥側を透明保護フィルムにラミネートした。直径14mmのいくつかの小さなサークルを、実施例1〜4の作成したシートからダイカットして、インジケータ試験のためにポリエステル保持シートに適用した。
【0045】
ポリエステル保持シートを用いて、インジケータサークルを追跡して、インジケータサークルを適用する基材をシミュレートした。
【0046】
「1分水接触試験」という手順に従って実施例1〜4を試験した。水道水1滴を1分間サークルの端部に適用して、いかに良好に試料が表示するか確かめた。赤色に変わる(実施例の)サークルの面積が広ければ広いほど、得られる赤色がより強くなり、表示が良好になされる。1分後、残った水をペーパータオルで拭き取る。表示のレベルの数字による格付けは1〜5であり、1=表示なし、または表示が非常に少ない、2=不良、3=普通、4=良好、5=優良。実施例1〜4の「1分水接触試験」の結果を表3に示す。
【0047】
【表3】

【0048】
実施例5〜11
更なる水分散性溶液(コーティング)を実施例5〜11の作成のために処方した。
【0049】
【表4】

【0050】
実施例1〜4と同じやり方および装置で、吸収基材Cの別個の片にそれぞれコートしたコーティング番号5〜11を用いて実施例5〜11を作成した。赤色染料および転写接着剤を、実施例1〜4と同じやり方で実施例5〜11のコート側に適用した。透明保護フィルムは、基材Cの非コート/乾燥側にラミネートしなかった。直径14mmのいくつかの小さなサークルを、実施例5〜11の作成したシートからダイカットして、インジケータ試験のためにポリエステル保持シートに適用した。
【0051】
実施例5〜11を、55℃/95%RHの温度および湿度条件に7日間露出した。この露出試験を実施して、かかる厳しい温度および湿度条件下での水接触で試料がファールスポジティブを表示したかどうか求めた。
【0052】
実施例5〜11を温度/湿度チャンバから取り出した後、室温および湿度に平衡させた。実施例5〜11は、水接触にファールスポジティブは示さなかった。全実施例が示した色表示は非常に僅かで、液体水接触に露出されたと考えるには不十分であった。
【0053】
更に、実施例5〜11に「1分水接触試験」を行った。その結果を表5に示す。
【0054】
【表5】

【0055】
実施例12〜15
実施例12〜15は全て吸収基材Bを用いて製造ライン条件下で作成した。実施例12および14は、15%/35%/50%の濃度のPVP#1/TiO2/脱イオン水からなるコーティング番号12でコートした。
【0056】
【表6】

【0057】
コーティング番号12および赤色染料を、ミズーリ州セントルイスのマークアンディ社(MarkAndy Inc.,St Louis,Missouri)より入手可能なマークアンディ(MarkAndy)4150フレキソ印刷プレスを用いて吸収基材Bに適用した。コーティング番号12を、300ラインアニロックスシリンダを用いて適用した。赤色染料を360ラインアニロックスシリンダで実施例12〜15に適用した。転写接着剤を実施例12〜15の各シートのコート/乾燥側にラミネートした。実施例14および15の吸収基材Bの非コート/乾燥側を透明保護フィルムにラミネートした。直径14mmのいくつかの小さなサークルを、実施例12〜15の作成したシートからダイカットして、インジケータ試験のためにポリエステル保持シートに適用した。実施例12〜15を、55℃/95%RHの温度および湿度条件に7日間露出した。実施例5〜11と同じく、実施例12〜15のいずれも水接触露出にファールスポジティブを示さなかった。ただし、実施例12〜15が示した色表示は非常に僅かで、液体水接触に露出されたと考えるには不十分であった。更に、長く温度および湿度露出した後、実施例12〜15に「1分水接触試験」を行った。実施例13以外は、試料は全てポジティブの水接触表示を与えた。様々な予備試験および後試験条件下での実施例12および13の外観については、表3を参照のこと。
【0058】
実施例16〜24
以下の修正を行って、実施例1〜4に記載した通りにして実施例16〜24を作成した。表7に示すコーティング溶液16〜24を作成し、吸収基材Cに適用した。実施例16〜24の「1分水接触試験」の結果を表8に示す。
【0059】
【表7】

【0060】
【表8】

【0061】
実施例25〜33
以下の修正を行って、実施例16〜24に記載した通りにして実施例25〜33を作成した。透明保護フィルムは、基材Cの非コート/乾燥側にラミネートしなかった。この構造では、実施例32(上記実施例23に対応するものであるが、保護フィルムはない)をコートおよび乾燥して、試験試料とすることはできなかった。直径14mmのいくつかの小さなサークルを、実施例25〜33の作成したシートからダイカットして、インジケータ試験のためにポリエステル保持シートに適用した。実施例25〜33を、上記実施例5〜11で記載した温度および湿度条件に露出した。実施例25〜33は、水接触にファールスポジティブは示さなかった。全実施例が示した色表示は非常に僅かで、液体水接触に露出されたと考えるには不十分であった。次に、調湿試料に「1分水接触試験」を行った。結果を表9に示す。
【0062】
【表9】

【0063】
本発明の範囲および技術思想から逸脱しない様々な修正および変更は当業者に明白であろう。本発明は本明細書に規定した例示のための実施形態に不当に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の第1の実施形態の側断面図である。
【図2】本発明の第2の実施形態の側断面図である。
【図3】様々な湿度および水接触露出後の例を示すデジタル記録顕微鏡写真である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
低分子量親水性ポリマー樹脂を含む流体輸送基材を含み、かつ第1の主面と第2の主面とを有する第1の層と、
流体輸送可能なインクを含み、前記第1の層の前記第2の主面と関連している第2の層と、
接着層と、
を含む接着物品。
【請求項2】
前記流体輸送基材が多層構造体である、請求項1に記載の接着物品。
【請求項3】
前記低分子量親水性ポリマー樹脂が親水性ビニルポリマー樹脂である、請求項1に記載の接着物品。
【請求項4】
前記親水性ビニルポリマー樹脂がポリビニルピロリドンを含む、請求項3に記載の接着物品。
【請求項5】
前記低分子量親水性ポリマー樹脂の分子量が10,000未満である、請求項1に記載の接着物品。
【請求項6】
前記流体輸送基材が不透明性向上添加剤を更に含む、請求項1に記載の接着物品。
【請求項7】
前記不透明性向上添加剤が二酸化チタンを含む、請求項6に記載の接着物品。
【請求項8】
前記低分子量親水性ポリマー樹脂が不透明性向上添加剤を更に含む、請求項3に記載の接着物品。
【請求項9】
前記流体輸送層の前記第1の主面に透明層を含む、請求項1に記載の接着物品。
【請求項10】
前記流体輸送基材が多孔性層を含む、請求項1に記載の接着物品。
【請求項11】
前記多孔性層が繊維状層である、請求項10に記載の接着物品。
【請求項12】
前記流体輸送基材が吸水剤である、請求項1に記載の接着物品。
【請求項13】
前記流体輸送基材がセルロース系紙である、請求項1に記載の接着物品。
【請求項14】
前記接着層が前記第2の層と関連している、請求項1に記載の接着物品。
【請求項15】
前記流体輸送可能なインクが水溶性インクを含む、請求項1に記載の接着物品。
【請求項16】
前記第2の層と前記接着層との間に流体輸送基材を含む、請求項1に記載の接着物品。
【請求項17】
低分子量親水性ポリマー樹脂を含む流体輸送基材を含み、かつ第1の主面と第2の主面とを有する第1の層と、
流体輸送可能なインクを含み、前記第1の層の前記第2の主面と関連している第2の層と、
接着層と、
を含む接着物品を提供する工程と、
前記接着物品を液体に露出させる工程と、
を含み、
前記流体輸送可能なインクは、前記流体輸送基材内を移動して、実質的な色に変化を生じる、流体接触を表示する方法。
【請求項18】
前記接着物品が前記液体に露出される前に前記液体の蒸気に露出される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記接着物品を前記液体に露出した後、前記インクが前記流体輸送基材内を移動する、請求項18に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2007−511765(P2007−511765A)
【公表日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−539926(P2006−539926)
【出願日】平成16年11月11日(2004.11.11)
【国際出願番号】PCT/US2004/037909
【国際公開番号】WO2005/049753
【国際公開日】平成17年6月2日(2005.6.2)
【出願人】(599056437)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (1,802)
【Fターム(参考)】