説明

水栓ハンドル取付構造

【課題】 複数のアダプタを用意しなくても様々なメーカーの既存水栓に水栓ハンドルを取り付けることが可能な取付構造を提供し、環境負荷の低減を図る。
【解決手段】 スピンドル2先端部の雄セレーション21に噛み合わせられる雌セレーションを有するアダプタ3Aが、水栓ハンドル4Aの裏側に形成された嵌合凹部41Aに嵌め入れられ、固定用ネジ5が水栓ハンドル4Aおよびアダプタ3Aを貫通してスピンドル軸心部のネジ孔22にねじ込まれている。固定用ネジ5を挿通しうる孔径を有する複数の貫通孔31a,31bをアダプタに形成し、アダプタの少なくとも2つの貫通孔端部に各々異なるサイズの雄セレーションに噛み合わせられる雌セレーション321,322,323,324を形成する。アダプタと嵌合凹部とは、いずれの雌セレーションが雄セレーションに噛み合わられた際にも互いに嵌まり合うような形状を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、単水栓や2ハンドル式混合水栓等の水栓に関し、より詳細には、水栓ハンドルの取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、図14に示すように、単水栓(1)において、既存の水栓ハンドルに替えて新しい水栓ハンドル(4)を取り付ける場合、スピンドル(2)先端部の雄セレーション(21)に噛み合わせられる雌セレーション(301)を軸心部に有する断面六角形のアダプタ(300a)が、交換用水栓ハンドル(4)の裏側に形成された断面六角形の嵌合凹部(41)に嵌め入れられ、固定用ネジ(5)が、交換用水栓ハンドル(4)の表側から水栓ハンドル(4)およびアダプタ(300a)を貫通してスピンドル(2)軸心部のネジ孔(22)にねじ込まれるように構成されているのが一般的である(例えば、下記特許文献1、2参照)。
水栓本体(10)には、雌ネジ(101a)を有する上方突出筒部(101)が設けられており、雄ネジ(23)を有するスピンドル(2)の下部が、この上方突出筒部(101)にねじ込まれて、パッキン(6)を介してナット(7)により回転自在に取り付けられている。スピンドル(2)の下端部には、弁体(81)を下端に有するコマ(8)が下から差し込まれている。交換用水栓ハンドル(4)は、上壁(42)と、上壁(42)の周縁部から下方にのびた周壁(43)とを備えている。なお、上壁(42)には肉抜きが施されている(後述の図4、5、11、12、13参照)。上壁(42)の中心部には、固定用ネジ(5)を挿通するための垂直貫通孔(421)があけられている。嵌合凹部(41)は、上壁(42)下面における垂直貫通孔(421)の周囲部分に形成されている。上壁(42)の上面には、中間に水平段差を有する断面円形の凹部(422)が形成されており、この凹部のうち段差よりも下部分(422a)に、固定用ネジ(5)の頭部(51)が収容されている。また、凹部のうち段差よりも上部分(422b)に、ネジ頭部(51)を隠すためのキャップ(9)が嵌め込まれている。
【0003】
ここで、スピンドル(2)の先端部に形成される雄セレーション(21)のサイズ(外径、谷径、ピッチ等)は、各メーカー間で統一されておらず、現状では計4種類のサイズの雄セレーション(21)が使用されている。
従って、交換用水栓ハンドル(4)を販売する際には、図15に示すように、各メーカーの雄セレーション(21)のサイズに適合しうるように、これらに噛み合わせられる雌セレーション(301)を備えた4種類のアダプタ(300a)(300b)(300c)(300d)を同梱しておく必要があった。
しかしながら、交換用水栓ハンドルに同梱された4種類のアダプタ(300a)(300b)(300c)(300d)のうち実際に使用されるのは1つだけであって、残りの3つはゴミとして廃棄する以外に用途がなく、無駄が生じていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実願昭53−109431号(実開昭55−26160号)のマイクロフィルム
【特許文献2】実願昭49−45879号(実開昭50−134717号)のマイクロフィルム
【発明の概要】
【0005】
この発明は、スピンドル先端部の雄セレーションに噛み合わせられる雌セレーションを有するアダプタが、水栓ハンドルの裏側に形成された嵌合凹部に嵌め入れられ、固定用ネジが水栓ハンドルおよびアダプタを貫通してスピンドル軸心部のネジ孔にねじ込まれている水栓ハンドル取付構造に係るものであって、その目的は、数種類のアダプタを用意しなくても様々なメーカーの既存水栓に交換用の水栓ハンドルを取り付けることが可能なものを提供し、もって環境負荷の低減を図ることにある。
【0006】
この発明による第1の水栓ハンドル取付構造は、固定用ネジを挿通しうる孔径を有する複数の貫通孔がアダプタに形成されているとともに、アダプタの全ての貫通孔端部のうち少なくともいずれか2つの貫通孔端部に各々異なるサイズの雄セレーションに噛み合わせられる雌セレーションが形成され、アダプタと水栓ハンドルの嵌合凹部とは、いずれの雌セレーションが雄セレーションに噛み合わられた際にも互いに嵌まり合うような形状を有しているものである。
【0007】
第1の水栓ハンドル取付構造によれば、上記のようなアダプタを1つだけ用意しておけば、雄セレーションのサイズが異なる2種類以上の水栓に、交換用水栓ハンドルを容易に取り付けることができるので、冒頭の従来技術のように使わなかった無駄なアダプタを廃棄するような事態を招くことがなく、環境負荷の低減に寄与しうる。
【0008】
この発明による第1の水栓ハンドル取付構造の実施態様として、アダプタが、隣り合うものどうしが直角に交差して1垂直回転方向に連なる4つの同形同大の平面を少なくとも有する略直方体形のものであって、2つの貫通孔が、それぞれ前記4つの平面のうち対称位置にある2つの平面の中央部に両端が開口するように形成されている場合がある。
ここで、「略直方体形」としては、正六面体(サイコロ形)等の直方体が挙げられる。但し、正六面体以外の直方体の場合、1垂直回転方向に並ぶ4つの平面(例えば、上面、左側面、下面、右側面)が同形同大であるものに限られる。また、「略直方体形」には、直方体の残りの2方向の面がそれぞれ四角錐台形となされている立体(十二面体)も含まれる。
【0009】
この実施態様の水栓ハンドル取付構造によれば、1つのアダプタによって、2種類ないし4種類のサイズの雄セレーションを備えたスピンドルに水栓ハンドルを取り付けることができる。また、この実施態様では、アダプタを垂直方向に順次回転させて、使用する雌セレーションの選択を行うことができるので、取付作業が簡単である。さらに、この実施形態によれば、アダプタが比較的コンパクトであって、これが嵌め入れられる嵌合凹部の面積をそれ程大きくとらなくてもよいので、小径の交換用水栓ハンドルにも採用することができる。
【0010】
この発明による第1の水栓ハンドル取付構造のもう1つの実施態様として、アダプタが、正四面体の4面に相当する位置関係に配された4つの同形同大の平面を少なくとも有する略四面体形のものであって、4つの貫通孔が、正四面体の中心に相当する点を通りかつ一端が前記4つの平面それぞれの中央部に開口するように形成されている場合もある。
ここで、「略四面体形」としては、テトラポッド、正四面体、切頂四面体(正四面体の各頂点を切り落としたもの)といった立体形状が挙げられる。
【0011】
上記態様の場合も、1つのアダプタによって、2種類ないし4種類のサイズの雄セレーションを備えたスピンドルに水栓ハンドルを取り付けることができる。また、この実施態様によれば、アダプタの貫通孔端部のサイズが比較的大きく、ここに十分な高さ(深さ)を有するセレーションを形成することができるので、取り付けられた水栓ハンドルにガタツキが生じ難い。
【0012】
次に、この発明による第2の水栓ハンドルの取付構造は、水栓ハンドルの嵌合凹部が、スピンドル先端部が配される中心部と、中心部に連なってその両側に設けられた1対のアダプタ収容部とよりなり、アダプタが、各アダプタ収容部に収容される1対のアダプタ部材よりなり、各アダプタ部材には、それぞれ異なるサイズの雄セレーションに噛み合わせられる複数の雌セレーションが周方向に並んで形成されており、アダプタ部材と水栓ハンドルのアダプタ収容部とは、いずれの雌セレーションが雄セレーションに噛み合わせられた際にも互いに嵌まり合うような形状を有しているものである。
【0013】
第2の水栓ハンドル取付構造によれば、上記のような1対のアダプタ部材を用意しておけば、雄セレーションのサイズが異なる2種類以上の水栓に、交換用水栓ハンドルを容易に取り付けることができるので、冒頭の従来技術のように使わなかったアダプタを廃棄するような無駄がなく、環境負荷の低減に寄与しうる。
また、第2の水栓ハンドル取付構造によれば、アダプタの高さ方向のサイズを比較的小さくすることができるので、高さの低い水栓ハンドルへの採用も可能である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】この発明の第1の実施形態に係る単水栓の垂直断面図である。
【図2】図1の単水栓を分解して示す垂直断面図である。
【図3】第1の実施形態で使用されるアダプタを示すものであって、(a)は斜視図、(b)は一部を切り欠いた断面図である。
【図4】第1の実施形態で使用される水栓ハンドルの底面図である。
【図5】この発明の第2の実施形態に係る単水栓の垂直断面図である。
【図6】図5の単水栓を分解して示す垂直断面図である。
【図7】第2の実施形態で使用されるアダプタを示すものであって、(a)は斜視図、(b)は一部を切り欠いた断面図である。
【図8】第2の実施形態で使用される水栓ハンドルの底面図である。
【図9】この発明の第3の実施形態に係る単水栓の垂直断面図である。
【図10】図9の単水栓を分解して示す垂直断面図である。
【図11】第3の実施形態で使用される水栓ハンドルとアダプタとを分離して示す下方斜視断面図である。
【図12】第3の実施形態で使用される水栓ハンドルの嵌合凹部にアダプタを嵌め入れた状態の下方斜視断面図である。
【図13】第3の実施形態で使用される水栓ハンドルの底面図である。
【図14】従来の水栓ハンドル取付構造を示すものであって、単水栓の垂直断面図である。
【図15】従来の水栓ハンドル取付構造を示すものであって、単水栓の分解垂直断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
まず、図1ないし図4を参照して、この発明の第1の実施形態を以下に説明する。
この実施形態は、この発明による第1の水栓ハンドル取付構造を、単水栓における交換用の水栓ハンドルの取り付けに適用したものである。
【0016】
図1および図2に示すように、単水栓(1)の水栓ハンドル(4A)は、スピンドル(2)先端部の雄セレーション(21)に噛み合わせられる雌セレーションを有するアダプタ(3A)が、水栓ハンドル(4A)の裏側に形成された嵌合凹部(41A)に嵌め入れられ、固定用ネジ(5)が水栓ハンドル(4A)およびアダプタ(3A)を貫通してスピンドル(2)軸心部のネジ孔(22)にねじ込まれることによって、スピンドル(2)先端部に取り付けられている。
【0017】
図1および図2に示す単水栓(1)の基本構造は、図14および図15に示す従来技術と同じであるので、ここでは説明を省略する。なお、本発明は、ここに例示する以外の基本構造を有する単水栓(例えば、スピンドルが昇降しないノンライジングタイプのもの)にも適用しうる。
【0018】
図3に示すように、アダプタ(3A)は、隣り合うものどうしが直角に交差して1垂直回転方向に連なる4つの同形同大の平面を少なくとも有する略直方体形のものであって、固定用ネジ(5)を挿通しうる孔径を有する2つの貫通孔(31a)(31b)が、それぞれ前記4つの平面のうち対称位置にある2つの平面の中央部に両端が開口するように形成されている。アダプタ(3A)の計4つの貫通孔端部には、各々異なるサイズの雄セレーション(21)に噛み合わせられる雌セレーション(321)(322)(323)(324)が形成されている。
より正確には、アダプタ(3A)は、上面、左側面、下面および右側面が同形同大の縦長方形の平面となされ、前面および後面がそれぞれ四角錐台形となされた略十二面体よりなる。2つの貫通孔は、上面および下面の中央部に両端が開口した垂直貫通孔(31a)と、左側面および右側面の中央部に両端が開口した水平貫通孔(31b)とで構成され、両者(31a)(31b)はアダプタ(3A)の中心で直交している。
従って、図4に示すように、垂直貫通孔(31a)の軸心を通るアダプタ(3A)の垂直断面と、水平貫通孔(31b)の軸心を通るアダプタ(3B)の水平断面とは、同形同大の正六角形となる。
これに対応して、水栓ハンドル(4A)の嵌合凹部(41A)も、アダプタ(3A)の前記断面とほぼ同一の正六角形の横断面を有するものとなされている。
以上の構成により、アダプタ(3A)と水栓ハンドル(4A)の嵌合凹部(41A)とは、4つの雌セレーション(321)(322)(323)(324)のうちいずれのものが雄セレーション(21)に噛み合わせられた際にも、互いに嵌まり合うようになっている。
アダプタ(3A)の内部には、スピンドル(2)先端面を受ける前後2つの突起(33)が形成されている。
アダプタ(3A)の材質としては、例えばアルミニウム等の金属が用いられるが、ポリアセタール(POM)等の合成樹脂であってもよい。
【0019】
次に、以上のハンドル取付構造によって、交換用の水栓ハンドル(4A)を単水栓(1)に取り付ける作業手順の一例を説明する。
まず、付け替え作業の前提として、固定用ネジ(5)をドライバー等を用いて外すことにより、既存の水栓ハンドルをスピンドル(2)先端部から取り外しておく。
次に、アダプタ(3A)の4つの雌セレーション(321)(322)(323)(324)のうちスピンドル(2)先端部の雄セレーション(21)のサイズに合致するものを選択し、これ(321)を雄セレーション(21)と噛み合わせる。この際、アダプタ(3A)を垂直方向に90°ずつ回転させれば、各サイズの雌セレーション(321)(322)(323)(324)が順次下面側に配置されるので、雄セレーション(21)とのサイズ合わせを容易に行いうる。
そして、水栓ハンドル(4A)をアダプタ(3A)の上に被せて、嵌合凹部(41A)にアダプタ(3A)が嵌まり込むようにする。
その後、固定用ネジ(5)を、水栓ハンドル(4A)およびアダプタ(3A)の貫通孔(421)(31a)を介して、スピンドル(2)のネジ孔(22)にねじ込む。
最後に、水栓ハンドル(4A)の凹部の上部分(422b)にキャップ(9)を嵌め被せる。
こうして、交換用の水栓ハンドル(4A)が単水栓(1)に簡単に取り付けられる。
この実施形態によれば、単一のアダプタ(3A)によって、様々なサイズの雄セレーション(21)を備えた単水栓(1)への取付が可能であり、従来技術のように使用しなかった数種類のアダプタを廃棄するようなことがない。
また、この実施形態によれば、アダプタ(3A)がコンパクトであって、これが嵌め入れられる嵌合凹部(41A)の面積も小さくて済むので、小径の水栓ハンドルの取付構造にも適している。
【0020】
図5ないし図8には、この発明の第2の実施形態が示されている。
この実施形態も、この発明による第1の水栓ハンドル取付構造を、単水栓における交換用の水栓ハンドルの取り付けに適用したものであって、以下の点を除いて図1ないし図4に示す第1の実施形態とほぼ同じである。
【0021】
この実施形態の水栓ハンドル取付構造において、アダプタ(3B)は、正四面体の4面に相当する位置関係に配された4つの同形同大の平面を少なくとも有する略四面体形のものであって、固定用ネジ(5)を挿通しうる孔径を有する4つの貫通孔(31a)(31b)(31c)(31d)が、正四面体の中心に相当する点を通りかつ一端が前記4つの平面それぞれの中央部に開口するように形成されている。
より正確には、アダプタ(3B)は、隣り合うものどうしが120°の角度で放射状に交差する4つの脚部(34)を備えたテトラポッド形のものである。4つの貫通孔(31a)(31b)(31c)(31d)は、一端が各脚部(34)の先端面中央部に開口し、他端が、アダプタ(3B)の中心を通って前記先端面と反対側に位置する脚部付け根部(35)に開口するように形成されている。脚部(34)の先端面に開口した貫通孔(31a)(31b)(31c)(31d)の一端部には、各々異なるサイズの雄セレーション(21)に噛み合わせられる雌セレーション(321)(322)(323)(324)が形成されている。
図8に示すように、いずれの雌セレーション(321)(322)(323)(324)が下になるようにアダプタ(3B)を回転させた状態においても、下面から見たアダプタ(3B)の輪郭形状は、3つの脚部(34)が等間隔で放射状にのびる三つ又状のものとなっている。
これに対応して、水栓ハンドル(4B)の嵌合凹部(41B)も、アダプタ(3B)の前記輪郭形状とほぼ同一の三つ又状の横断面を有するものとなされている。
以上の構成により、アダプタ(3B)および水栓ハンドルの嵌合凹部(41B)は、4つの雌セレーション(321)(322)(323)(324)のうちいずれのものが雄セレーション(21)に噛み合わられた際にも、互いに嵌まり合うようになっている。
アダプタ(3B)における各雌セレーション(321)(322)(323)(324)の内端部には、スピンドル(2)の先端面を受けるための環状内方凸部(36)が形成されている。
アダプタ(3B)の材質としては、例えばポリアセタール(POM)等の合成樹脂が用いられる。
【0022】
この実施形態の場合も、第1の実施形態と同様に、アダプタ(3B)の4つの雌セレーション(321)(322)(323)(324)のうちスピンドル(2)先端部の雄セレーション(21)のサイズに合致するものを選択し、これ(321)を雄セレーション(21)と噛み合わせておいてから、水栓ハンドル(4B)を上から被せて嵌合凹部(41B)にアダプタ(3B)が嵌まり込むようにした後、固定用ネジ(5)を水栓ハンドル(4B)およびアダプタ(3B)の貫通孔(421)(31a)を介してスピンドル(2)のネジ孔(22)にねじ込むことによって、水栓ハンドル(4B)の取付を行うことができる。
また、この実施形態の水栓ハンドル取付構造によれば、アダプタ(3B)の貫通孔(421)(31a)端部のサイズが大きく、ここに十分な高さ(深さ)を有するセレーション(321)(322)(323)(324)を形成することができるので、取り付けられた水栓ハンドル(4B)にガタツキが生じ難い。
【0023】
図9ないし図13は、この発明の第3の実施形態を示したものである。
この実施形態は、この発明による第2の水栓ハンドル取付構造を、単水栓における交換用の水栓ハンドルの取り付けに適用したものである。
【0024】
この実施形態による水栓ハンドルの取付構造では、水栓ハンドル(4C)の嵌合凹部(41C)が、スピンドル先端部が配される中心部(411)と、中心部(411)に連なってその左右両側に設けられた1対のアダプタ収容部(412)とよりなる。
中心部(411)は、最も大きいサイズの雄セレーション(21)の外径よりもやや大きい径を有するものであって、ネジ挿通孔(421)の下方にこれと同軸上に形成されている。
1対のアダプタ収容部(412)は、中心部(411)の径よりも大きい径を有する断面円形状のものである。但し、アダプタ収容部(412)の断面形状は円形に限られるものではなく、その他、例えば正方形等の正多角形であってもよい。
【0025】
アダプタ(3C)は、水栓ハンドル(4C)の2つのアダプタ収容部(412)それぞれに収容される1対のアダプタ部材(37)よりなる。
各アダプタ部材(37)は、アダプタ収容部(412)に回転自在に収容しうる円柱体の周面に4つの雌セレーション(321)(322)(323)(324)を、周方向等間隔おきに形成してなるものである。4つの雌セレーション(321)(322)(323)(324)は、それぞれ異なるサイズの雄セレーション(21)に噛み合わせられるサイズを有している。なお、この実施形態では、雌セレーションの数を4つとしたが、適宜増減可能である。また、この実施形態では、各アダプタ部材(37)を円柱体から形成しているが、アダプタ収容部(412)の断面形状に合わせて、四角柱体等の多角柱体から形成することも可能であり、多角柱体の場合、各面に1つずつ雌セレーションが形成される。
以上の構成により、アダプタ部材(37)および水栓ハンドル(4C)のアダプタ収容部(412)は、4つの雌セレーション(321)(322)(323)(324)のうちいずれのものが雄セレーション(21)に噛み合わせられた状態においても、互いに嵌まり合うようになっている。
アダプタ部材(37)の周面における各雌セレーション(321)(322)(323)(324)の上端部には、スピンドル(2)の先端部を受けるための凹弧状リブ(38)が形成されている。
アダプタ部材(37)の材質としては、例えばポリアセタール(POM)等の合成樹脂が用いられる。
【0026】
この実施形態において、交換用の水栓ハンドル(4C)を単水栓(1)に取り付ける場合、例えば、まず、各アダプタ部材(37)を、これらの4つの雌セレーション(321)(322)(323)(324)のうちスピンドル(2)先端部の雄セレーション(21)のサイズに合致するもの(321)が嵌合凹部(41C)の中心部(411)に臨むように、アダプタ収容部(412)内において適宜水平回転させておく。
そして、この状態で、スピンドル(2)先端部を水栓ハンドル(4C)の嵌合凹部の中止部(411)に差し込んで、雄セレーション(21)と両アダプタ部材(37)の雌セレーション(321)とを噛み合わせる。
その後、固定用ネジ(5)をスピンドル(2)のネジ孔(22)にねじ込み、水栓ハンドル(4C)の凹部の上部分(422b)にキャップ(9)を嵌め被せる。
こうして、交換用の水栓ハンドル(4C)を、単水栓(1)に簡単に取り付けることができる。
この実施形態によれば、1対のアダプタ部材(37)によって、様々なサイズの雄セレーション(21)を備えた単水栓(1)への水栓ハンドル(4C)の取り付けが可能であり、従来技術のように使用しなかった数種類のアダプタを廃棄するようなことがない。
また、この実施形態の水栓ハンドル取付構造によれば、アダプタ(3C)の高さ方向のサイズを小さくすることができるので、高さの低い水栓ハンドルの取付構造にも適している。
【0027】
なお、上記各実施形態はあくまでも例示にすぎず、特許請求の範囲に記載されたこの発明の要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更を加えた上で、この発明を実施することは勿論可能である。
【符号の説明】
【0028】
(1):単水栓
(2):スピンドル
(21):雄セレーション
(22):ネジ孔
(3A)(3B)(3C):アダプタ
(31a)(31b)(31c)(31d):貫通孔
(321)(322)(323)(324):雌セレーション
(37):アダプタ部材
(4A)(4B)(4C):水栓ハンドル
(41A)(41B)(41C):嵌合凹部
(411):中心部
(412):アダプタ収容部
(5):固定用ネジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スピンドル先端部の雄セレーションに噛み合わせられる雌セレーションを有するアダプタが、水栓ハンドルの裏側に形成された嵌合凹部に嵌め入れられ、固定用ネジが水栓ハンドルおよびアダプタを貫通してスピンドル軸心部のネジ孔にねじ込まれている水栓ハンドル取付構造において、
固定用ネジを挿通しうる孔径を有する複数の貫通孔がアダプタに形成されているとともに、アダプタの全ての貫通孔端部のうち少なくともいずれか2つの貫通孔端部に各々異なるサイズの雄セレーションに噛み合わせられる雌セレーションが形成され、
アダプタと水栓ハンドルの嵌合凹部とは、いずれの雌セレーションが雄セレーションに噛み合わられた際にも互いに嵌まり合うような形状を有していることを特徴とする、水栓ハンドル取付構造。
【請求項2】
アダプタが、隣り合うものどうしが直角に交差して1垂直回転方向に連なる4つの同形同大の平面を少なくとも有する略直方体形のものであって、2つの貫通孔が、それぞれ前記4つの平面のうち対称位置にある2つの平面の中央部に両端が開口するように形成されていることを特徴とする、請求項1記載の水栓ハンドル取付構造。
【請求項3】
アダプタが、正四面体の4面に相当する位置関係に配された4つの同形同大の平面を少なくとも有する略四面体形のものであって、4つの貫通孔が、正四面体の中心に相当する点を通りかつ一端が前記4つの平面それぞれの中央部に開口するように形成されていることを特徴とする、請求項1記載の水栓ハンドル取付構造。
【請求項4】
スピンドル先端部の雄セレーションに噛み合わせられる雌セレーションを有するアダプタが、水栓ハンドルの裏側に形成された嵌合凹部に嵌め入れられ、固定用ネジが水栓ハンドルおよびアダプタを貫通してスピンドル軸心部のネジ孔にねじ込まれている水栓ハンドル取付構造において、
水栓ハンドルの嵌合凹部が、スピンドル先端部が配される中心部と、中心部に連なってその両側に設けられた1対のアダプタ収容部とよりなり、
アダプタが、各アダプタ収容部に収容される1対のアダプタ部材よりなり、
各アダプタ部材には、それぞれ異なるサイズの雄セレーションに噛み合わせられる複数の雌セレーションが周方向に並んで形成されており、
アダプタ部材と水栓ハンドルのアダプタ収容部とは、いずれの雌セレーションが雄セレーションに噛み合わせられた際にも互いに嵌まり合うような形状を有していることを特徴とする、水栓ハンドル取付構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−117478(P2011−117478A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−273064(P2009−273064)
【出願日】平成21年12月1日(2009.12.1)
【出願人】(000128980)株式会社カクダイ (17)
【Fターム(参考)】