説明

水洗大便器と手洗い器の排水接続構造

【課題】水洗大便器と後ろ壁との隙間の小さくすることが可能な水洗大便器と手洗い器の排水接続構造を提供する。
【解決手段】ボウル部の底部から後方に延びる排水トラップ管路を備えた水洗大便器1本体と、前記排水トラップ管路と接続し、前記水洗大便器1本体の後方に設けられた排水ソケットと、排水口を備えた手洗い器と、前記排水口と前記排水ソケットとを接続する手洗い器の排水管24と、を備えた水洗大便器1と手洗い器の排水接続構造であって、前記手洗い器の排水管24は、前記水洗大便器1本体の後方であって、前記水洗大便器1の側方から導入され、前記排水ソケットと接続する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水洗大便器と手洗い器の排水接続構造に関する発明である。
【背景技術】
【0002】
特開2008-115589号公報には、便器及び手洗い器の排水接続方法が記載されている。この排水接続方法では、便器の後方にキャビネットが設けられ、便器の排水管と手洗い器の排水管とがキャビネット内で排水接続管を介して接続されている。
【0003】
特開2005−264469号公報には、貯水タンクとポンプを備えた水洗大便器が記載されている
【0004】
【特許文献1】特開2008−115589号公報
【特許文献2】特開2005−264469号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特開2008−115589号公報記載の水洗大便器においては、キャビネットのスペースだけ後ろ壁に対して便器が前に出ることになり、トイレ空間が狭くなるという問題があった。
【0006】
従って、本発明は、水洗大便器と手洗い器の排水接続構造であって、キャビネットがなく、さらに水洗大便器と後ろ壁との隙間の小さくすることが可能な水洗大便器と手洗い器の排水接続構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための本発明は、
水洗大便器と手洗い器の排水接続構造であって、
ボウル部、及びこのボウル部の底部から後方に延びる排水トラップ管路を備えた水洗大便器本体と、
前記ボウル部の後方に配置され、前記ボウル部を洗浄する洗浄水を加圧する加圧ポンプと、
前記ボウル部の後方に配置され、この加圧ポンプによって加圧すべき洗浄水を貯水し、前記加圧ポンプに連結た貯水タンクと、
前記水洗大便器本体に対し、前記加圧ポンプと前記貯水タンクを支持する取付部とを備えた水洗大便器と、
前記排水トラップ管路と接続し、前記水洗大便器本体の後方に設けられた排水ソケットと、
排水口を備えた手洗い器と、
前記排水口と前記排水ソケットとを接続する手洗い器の排水管と、を備えた水洗大便器と手洗い器の排水接続構造であって、
前記手洗い器の排水管は、前記水洗大便器本体の後方であって、前記水洗大便器の側方から導入され、前記排水ソケットと接続することを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、水洗大便器と手洗い器の排水接続構造であって、キャビネットがなく、さらに水洗大便器と後ろ壁との隙間の小さくすることが可能な水洗大便器と手洗い器の排水接続構造を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明を実施するための最良の形態を説明するのに先立って、本発明の作用効果について説明する。
【0010】
本発明にかかる水洗大便器と手洗い器の排水接続構造は、
ボウル部、及びこのボウル部の底部から後方に延びる排水トラップ管路を備えた水洗大便器本体と、
前記ボウル部の後方に配置され、前記ボウル部を洗浄する洗浄水を加圧する加圧ポンプと、
前記ボウル部の後方に配置され、この加圧ポンプによって加圧すべき洗浄水を貯水し、前記加圧ポンプに連結た貯水タンクと、
前記水洗大便器本体に対し、前記加圧ポンプと前記貯水タンクを支持する取付部とを備えた水洗大便器と、
前記排水トラップ管路と接続し、前記水洗大便器本体の後方に設けられた排水ソケットと、
排水口を備えた手洗い器と、
前記排水口と接続された手洗い器の排水管と、
前記排水ソケットと前記手洗い器の排水管とを接続する排水エルボ、とを備えた水洗大便器と手洗い器の排水接続構造であって、
前記手洗い器の排水管は、前記水洗大便器本体の後方であって、前記水洗大便器の側方から導入され、前記排水エルボと接続することを特徴とする。
【0011】
本発明にかかる排水接続構造によれば、手洗い器の排水管は水洗大便器の側方から水洗大便器本体の後方に導入され、水洗大便器本体の後方で排水エルボを介して便器排水に合流する。よって、水洗大便器を避けて手洗い器の排水管を取り回さなくても良いので、手洗い器の排水管をキャビネット等に隠蔽したり、水洗大便器と壁面との間に手洗い排水管が配置可能な隙間を設ける必要がない。
【0012】
また、前記貯水タンクは前記水洗大便器本体に近い側が局所的に深く、前記水洗大便器本体から遠い側が局所的に浅い構造であることを特徴とする。
【0013】
本発明にかかる排水接続構造によれば、貯水タンクの局所的に浅い構造となっている部分の下方に便器や手洗い器の給水管や排水管を配置することができ、水洗大便器の左右どちらにも取り回すことが可能となる。よって、水洗大便器を設置する様々な現場にフレキシブルに対応することが可能となる。
【0014】
以下、添付図面を参照して本発明の水洗大便器と手洗い器の排水接続構造の好適な実施の形態について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
【0015】
図1は本発明の第1実施形態の水洗大便器と手洗い器の排水接続構造を示す背面斜視図、図2は本発明の第1実施形態の水洗大便器と手洗い器の排水接続構造を示す背面図、図3は本発明の第1実施形態の水洗大便器と手洗い器の排水接続構造を示す側方断面図である。また、図4は本発明の第1実施形態の水洗大便器と手洗い器の排水接続構造を用いた場合のトイレ空間の斜視図である。図5は本発明の第1実施形態における排水エルボの形状を示す斜視図、図6は本発明の第1実施形態における水洗大便器の機能部及びタンクを示す斜視図である。
【0016】
本発明の第1実施形態よる排水接続構造において、水洗大便器1は、水洗大便器本体2と、水洗大便器本体2の上面に配置された便座(図示しない)と、便座を覆うように配置された便蓋4と、水洗大便器本体の後方上部に配置された局部洗浄装置8と、を有する。また、水洗大便器本体2の後方には機能部10が配置されており、この機能部10はサイドパネル6により覆われている。
【0017】
水洗大便器本体2は陶器製であり、汚物を受けるボウル部12と、このボウル部12の底部から延びる排水トラップ管路14と、ジェット吐水を行うジェット吐水口16と、リム吐水を行うリム吐水口18が形成されている。排水トラップ管路14は、ボウル部12の底部から後方、斜め上方に延びた後、下方に向かって延びて排水ソケット20に接続されている。ジェット吐水口16は、ボウル部12の底部に形成されており、排水トラップ管路14の入口に向けて洗浄水を吐出するように構成されている。リム吐水口18は、ボウル部12の左側上部後方に形成されており、ボウル部12の縁に沿って洗浄水を吐出するように構成されている。
【0018】
排水ソケット20にはさらに排水エルボ22が接続され、壁面に設けられた排水管(図示せず)に接続される。図5に示すように、略直角の流水路を有する排水エルボ22には手洗い器30からの排水が流入される手洗い器排水配管ポート23が設けられ、手洗い器排水配管ポート23に手洗い器排水管24が接続されている。また、排水エルボ22と便器排水管26とは、接続アダプタ28を介して接続されている。排水ソケット20及び排水エルボ22は、機能部10の下方であって、機能部10と床面との間の空間に配置され、サイドパネル6により外観上は隠蔽されている。
【0019】
第一の実施形態では、左右のサイドパネル6の一方は一部が切り欠かれた形状となっており、手洗い器排水管24と便器排水管26とが同方向の切り欠き部分を貫通して配置されている。
【0020】
水洗大便器1及び手洗い器40は、便器給水管34及び手洗い器給水管32を介して給水栓30と接続し、水が給水される構造となっている。手洗い器排水管24及び手洗い器給水管32は、手洗い器配管カバー44と壁との間に隠蔽されている。
【0021】
機能部10は、水洗大便器本体への洗浄水の供給を制御するために設けられ、便器給水管34と接続するバルブユニット10aと、ジェット吐水口16へ供給される洗浄水を貯水する貯水タンク10bと、貯水タンクに貯水された洗浄水をジェット吐水口16へ供給するポンプ10cとを備え、バルブユニット10aとリム吐水口18とが第1導水路(図示しない)、バルブユニットと貯水タンクとが第2導水路(図示しない)、貯水タンクとジェット吐水口とが第3導水路(図示しない)でそれぞれ連通連結している。また、機能部10は取付部10cを介して水洗大便器本体2と連結している。
【0022】
バルブユニットは、給水管に取り付けられた定流調弁(図示しない)と、定流調弁の下流側に順に配設した開閉弁(図示しない)及び流路切替弁(図示しない)を具備する構成としている。そして、前記流調切替弁を介して、第1導水路及び第2導水路が給水管に連通連結している。開閉弁及び流路切替弁を制御することで、第1導水路と第2導水路との流路の切換えが可能となる。
【0023】
本実施形態における水洗大便器では、使用者が、円滑に便器洗浄を行えるように、リム吐水口とジェット吐水口とに所定のタイミングで給水する給水制御手段を備えている。この給水制御手段は、リム吐水口に給水した後、第1導水路から第2導水路へ流路を切換えるとともにポンプを駆動して、貯水タンクからジェット吐水口へ給水して汚物を排出し、その後、流路を第1導水路へ切換えてリム吐水口に給水して水洗大便器本体内を水封し、その後、再度流路を第2導水路へ切換えて貯水タンクに所定量まで水補給するように給水制御している。したがって、水洗大便器本体内部の洗浄から汚物排出、さらに、その後の水洗大便器本体内の封水作用を円滑かつ速やかに行うことができる。
【0024】
すなわち、給水管からの水は、便器本体の上部開口周縁に形成されたリム吐水口と貯水タンクとに選択的に給水可能であり、ジェット吐水口に給水する場合は、給水栓から給水されて貯水タンク内に貯留した水をポンプによって強制的に圧送するようにしている。このような構成とすれば、水道の給水圧力が低いところであっても十分な洗浄水量を確保して汚物を確実に排出することができる。なお、水源から前記水道管へ給水される水は、上水に限らず中水であってもよい。
【0025】
また、貯水タンク10bは略L字型の構造をしており、水洗大便器に近い側は深い形状、水洗大便器から遠い側は浅い形状に設計されている。手洗い器の排水管は、貯水タンクの下方であって、特に水洗大便器本体から遠い側に浅い形状に設計された部分の下方の空間に配置される。
【0026】
このような構成とすれば、水洗大便器の側方から手洗い器排水管を導入できるので、水洗大便器と奥壁との間に手洗い器排水管を隠蔽するためのキャビネットを設置する必要がない。また、水洗大便器と奥壁の間に手洗い器排水管を導入させるための隙間を設ける必要がない。
【0027】
さらに、水洗大便器の幅方向全長に渡って、貯水タンクの局所的に浅い部分を設けることで、水洗大便器の左右どちらの方向にも手洗い器排水管を取り回すことができるので、同一の構成の水洗大便器で様々なレイアウトのトイレ空間に対応することが可能となる。例えば、横壁に排水管が立ち上がっているトイレ空間において、壁排水管と同じ側に手洗い器を設置することも、反対側に手洗い器を設置することも可能である。また、奥壁に既存の排水管が立ち上がっているトイレ空間においても、適宜の場所に手洗い器を設置することが可能である。
【0028】
手洗い器排水管は、その一部を可とう性のある蛇腹管で構成することができる。手洗い器の排水口と手洗い器排水管ポートとを手洗い器排水管で連通連結するにあたり、通常手洗い器排水管は手洗い器排水口の高さから手洗い器排水管ポートの高さまで床面に対して略垂直に下降し、さらに床面に対して正の勾配を保って略水平のL字型に配置される。この際に、L字の角になる部分を可とう性のある蛇腹管で構成し、緩やかな曲がりとすることで、手洗い排水が手洗い器排水管にぶつかる衝撃を抑えることができ、手洗い排水が流れた際の自己サイフォン現象によるボコボコ音を防止することができる。
【0029】
図7は、本発明の第2実施形態の水洗大便器と手洗い器の排水接続構造を示す背面図である。なお、図7において、第1実施形態の排水接続構造の構成と同一の部分については同一の符号を付し、それらの説明は省略する。また、第1実施形態と第2実施形態において、水洗大便器の形状は同一である。
【0030】
第2実施形態においては、左右のサイドパネル106は双方の一部が切り欠かれた形状となっており、手洗い器排水管124と便器排水管126とが別方向の切り欠き部分を貫通して配置されている。
【0031】
このような構成とすることで、手洗い器の設置位置と横壁面に設けられた排水管の位置が水洗大便器を挟んで対向する位置関係であっても、キャビネットを設けたり、便器と奥壁との間に隙間を設けたりすることなく、水洗大便器と手洗い器とを配置することができる。
【0032】
図8は、本発明の第3実施形態の水洗大便器と手洗い器の排水接続構造を示す背面図である。図9は、本発明の第3実施形態における排水エルボの形状を示す斜視図である。なお、図8及び図9において、第1実施形態の排水接続構造の構成と同一の部分については同一の符号を付し、それらの説明は省略する。また、第1実施形態と第3実施形態において、水洗大便器の形状は同一である。
【0033】
第3実施形態において、左右のサイドパネル206の一方は一部が切り欠かれた形状となっており、手洗い器排水管224が切り欠き部分を貫通して配置されている。便器排水管226は、奥壁に設けられた排水管に接続している。
【0034】
このような構成とすることで、便器排水管は外観上露出することなく奥壁に設けられた排水管と接続することができる。また、手洗い器の排水管は水洗大便器の左右のいずれかの側方から導入され、水洗大便器本体後方の水洗大便器内の空間で排水エルボに接続されるので、水洗大便器と奥壁との間に隙間を設ける必要がない。また、手洗い器排水管は手洗い器配管カバーで覆われており、外観上の見栄えもよい。


































【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の第1実施形態の水洗大便器と手洗い器の排水接続構造を示す背面斜視図である。
【図2】本発明の第1実施形態の水洗大便器と手洗い器の排水接続構造を示す背面図である。
【図3】本発明の第1実施形態の水洗大便器と手洗い器の排水接続構造を示す側方断面図である。
【図4】本発明の第1実施形態の水洗大便器と手洗い器の排水接続構造を用いた場合のトイレ空間の斜視図である。
【図5】本発明の第1実施形態における排水エルボの形状を示す斜視図である。
【図6】本発明の第1実施形態における水洗大便器の機能部及びタンクを示す斜視図である。
【図7】本発明の第2実施形態の水洗大便器と手洗い器の排水接続構造を示す背面図である。
【図8】本発明の第3実施形態の水洗大便器と手洗い器の排水接続構造を示す背面図である。
【図9】本発明の第3実施形態における排水エルボの形状を示す斜視図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水洗大便器と手洗い器の排水接続構造であって、
ボウル部、及びこのボウル部の底部から後方に延びる排水トラップ管路を備えた水洗大便器本体と、
前記ボウル部の後方に配置され、前記ボウル部を洗浄する洗浄水を加圧する加圧ポンプと、
前記ボウル部の後方に配置され、この加圧ポンプによって加圧すべき洗浄水を貯水し、前記加圧ポンプに連結た貯水タンクと、
前記水洗大便器本体に対し、前記加圧ポンプと前記貯水タンクを支持する取付部とを備えた水洗大便器と、
前記排水トラップ管路と接続し、前記水洗大便器本体の後方に設けられた排水ソケットと、
排水口を備えた手洗い器と、
前記排水口と接続された手洗い器の排水管と、
前記排水ソケットと前記手洗い器の排水管とを接続する排水エルボ、とを備えた水洗大便器と手洗い器の排水接続構造であって、
前記手洗い器の排水管は、前記水洗大便器本体の後方であって、前記水洗大便器の側方から導入され、前記排水エルボと接続することを特徴とする水洗大便器と手洗い器の排水接続構造。
【請求項2】
前記貯水タンクは前記水洗大便器本体に近い側が局所的に深く、前記水洗大便器本体から遠い側が局所的に浅い構造であることを特徴とする請求項1に記載の水洗大便器の排水接続構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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