説明

水溶性エラスチンとそれを含む食品及び医薬

【課題】機能性食品や医薬品として利用できる低分子量で純度の高い水溶性エラスチン、及び化粧品や医療材料として利用できる高分子量で純度の高い水溶性エラスチンを提供すること。
【解決手段】エラスチンを構成するアミノ酸の79〜84%がプロリン、グリシン、アラニン、バリンからなり、2〜3%がアスパラギン酸とグルタミン酸からなり、0.7〜1.3%がリジン、ヒスチジン、アルギニンからなり、0.2〜0.4%がデスモシンとイソデスモシンからなる、分子量が約1〜3万の低分子量水溶性エラスチンと、分子量が約3〜30万の高分子量水溶性エラスチンであり、低分子量水溶性エラスチンは、それを含む機能性食品としてあるいはそれを有効成分とする医薬として利用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水溶性エラスチンから得られる高純度の低分子量水溶性エラスチンと高分子量水溶性エラスチン、及び低分子量水溶性エラスチンの食品と医薬用途に関するものである。
【背景技術】
【0002】
エラスチンは、動物、特に哺乳動物の皮膚の真皮、靭帯、腱、血管壁等の結合組織の中に、コラーゲンと共に存在するタンパク質である。エラスチンは、通常、生体内においては、3次元の網目構造の不溶性のタンパク質として存在している。かかるエラスチンを、酸又はアルカリで加水分解したり、酵素で処理することによって、水溶性エラスチンが得られることは広く知られている。そして、水溶性エラスチンは、水分を豊富に保持する能力を有することから、化粧品、特に保湿剤として利用されている他(例えば、特許文献1〜3)、皮膚に弾力を与える等の美容効果があるとして、コラーゲン等と共に健康食品としても利用されている(例えば、特許文献4〜6)。更に、水溶性エラスチンは、人工血管等の再生医療分野においてもその利用が期待されている(例えば、特許文献7〜10)。
【0003】
【特許文献1】特開昭60−258107号公報
【特許文献2】特公平5−20409号公報
【特許文献3】特開2002−205913号公報
【特許文献4】特開平6−7092号公報
【特許文献5】特開2005−13123号公報
【特許文献6】特開2005−13124号公報
【特許文献7】特公平6−30616号公報
【特許文献8】特開平8−33661号公報
【特許文献9】特開平9−173361号公報
【特許文献10】WO2002−96978号公報
【0004】
水溶性エラスチンを得る方法・手段は色々と提案されているが、適度の分子量を有する高純度の水溶性エラスチンを得る方法は未だ十分なものではない。エラスチンは動物の生体組織から抽出されるが、この場合、通常、不要部分の除去や脱脂操作等の前処理を施した動物性生体組織が用いられる。そして、前処理された組織を、ギ酸やシュウ酸を含む所定温度の酸性液に溶解したり、或いは、酵素で処理することによって、動物性生体組織に含まれている不溶性エラスチンを断片化し、水溶性エラスチンを溶解した可溶化液が得られる。しかしながら、かかる方法では、水溶性エラスチンが溶解した可溶化液中に、動物性生体組織に含まれるエラスチン以外のコラーゲンやその他のタンパク質も溶解し、最終的に得られる水溶性エラスチンの純度が低下するという問題があった。しかも、可溶化液に溶解した水溶性エラスチンは、可溶化液に長時間溶解していることによって、水溶性エラスチン分子が更に低分子量のポリペプチドへと細断化されてしまい、低温度帯(例えば35〜40℃)でのコアセルベーション能を失ってしまう。そして、コアセルベーション能を失ったエラスチンは、医用材料分野等の用途には適さなくなるという問題もあった。
【0005】
精製したエラスチンを、熱シュウ酸を用いて抽出処理することによって、水溶性のα−エラスチンとβ−エラスチンが得られることが報告されている(非特許文献1)。しかし、非特許文献1で報告されているα−エラスチンの分子量は70,000で、β−エラスチンの分子量は10,000以下であり、以下に述べる本発明の高純度の水溶性エラスチンとは異なっている。前記特許文献1には、不溶性エラスチンをタンパク分解酵素によって分解し、分子量15,000〜300,000の可溶性エラスチンを得たことが開示されている。しかし、このエラスチンは、分子量の範囲が非常にブロードで、酵素分解の断片等を含み純度の高いものとは考えられない。前記特許文献7にも、不溶性エラスチンをペプシン分解し、分子量が8,300〜640,000の水溶性エラスチンを得たことが報告されているが、このもののアミノ酸組成(特にプロリン、グリシン、アラニン、バリン)から判断する限り、純度の高いものとは考えられない。また、前記特許文献10にも、不溶性エラスチンを熱シュウ酸で処理し、水溶性エラスチンを得たことが報告されており、アミノ酸組成から判断すると高純度のものであることが推定されるが、この文献では、生体適合性機能性材料を得るために、得られた水溶性エラスチンを架橋させている。なお、精製した不溶性エラスチンのアミノ酸組成は、本発明の高純度の水溶性エラスチンのそれと一部重複しており、80〜83%がプロリン、グリシン、アラニン、バリンであり、2〜3%がアスパラギン酸とグルタミン酸であり、0.7〜1.0%がリジン、ヒスチジン、アルギニンであり、0.3〜0.4%がデスモシンとイソデスモシンからなると報告されている(例えば、非特許文献2)。
【非特許文献1】Biochimica et Biophysica Acta, 310 (1973) 481-486
【非特許文献2】Analytical Biochemistry 64, 255-259 (1975)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、機能性食品や医薬品として利用できる低分子量で純度の高い水溶性エラスチン、及び化粧品や医療材料として利用できる高分子量で純度の高い水溶性エラスチンを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のうち請求項1記載の発明は、エラスチンを構成するアミノ酸の79〜84%がプロリン、グリシン、アラニン、バリンからなり、2〜3%がアスパラギン酸とグルタミン酸からなり、0.7〜1.3%がリジン、ヒスチジン、アルギニンからなり、0.2〜0.4%がデスモシンとイソデスモシンからなる、分子量が約1〜3万の低分子量水溶性エラスチンである。なお、本発明においてアスパラギン酸の含量にはアスパラギンも含み、グルタミン酸の含量にはグルタミンも含むものである。
【0008】
請求項2記載の発明は、エラスチンを構成するアミノ酸の79〜84%がプロリン、グリシン、アラニン、バリンからなり、2〜3%がアスパラギン酸とグルタミン酸からなり、0.7〜1.3%がリジン、ヒスチジン、アルギニンからなり、0.2〜0.4%がデスモシンとイソデスモシンからなる、分子量が約3〜30万の高分子量水溶性エラスチンである。
【0009】
請求項3記載の発明は、エラスチンを構成するアミノ酸の79〜84%がプロリン、グリシン、アラニン、バリンからなり、2〜3%がアスパラギン酸とグルタミン酸からなり、0.7〜1.3%がリジン、ヒスチジン、アルギニンからなり、0.2〜0.4%がデスモシンとイソデスモシンからなる、分子量が約1〜3万の低分子量水溶性エラスチンを含む機能性食品である。
【0010】
請求項4記載の発明は、低分子量水溶性エラスチンの他に、生体に有用な金属を含む請求項3記載の機能性食品である。
【0011】
請求項5記載の発明は、エラスチンを構成するアミノ酸の79〜84%がプロリン、グリシン、アラニン、バリンからなり、2〜3%がアスパラギン酸とグルタミン酸からなり、0.7〜1.3%がリジン、ヒスチジン、アルギニンからなり、0.2〜0.4%がデスモシンとイソデスモシンからなる、分子量が約1〜3万の低分子量水溶性エラスチンを有効成分とする医薬である。
【0012】
そして、請求項5の医薬の特定の用途に関する発明として、請求項6記載の発明は動脈硬化抑制剤、請求項7記載の発明は脂質代謝異常改善剤、請求項8記載の発明は血栓形成抑制剤である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によると、分子量が約1〜3万の低分子量で純度の高い水溶性エラスチンと、分子量が約3〜30万の高分子量で純度の高い水溶性エラスチンが得られる。そして、本発明の低分子量の水溶性エラスチンは、消化吸収性が高いので、機能性食品や医薬品として利用できる。また、高分子量の水溶性エラスチンは、化粧品や医療材料として利用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の水溶性エラスチンは、エラスチンを構成するアミノ酸の79〜84%がプロリン、グリシン、アラニン、バリンからなり、2〜3%がアスパラギン酸とグルタミン酸からなり、0.7〜1.3%がリジン、ヒスチジン、アルギニンからなり、0.2〜0.4%がデスモシンとイソデスモシンからなる、分子量が約1〜3万の低分子量水溶性エラスチンと、分子量が約3〜30万の高分子量水溶性エラスチンである。精製した不溶性エラスチンのアミノ酸組成は、80〜83%がプロリン、グリシン、アラニン、バリンであり、2〜3%がアスパラギン酸とグルタミン酸であり、0.7〜1.0%がリジン、ヒスチジン、アルギニンであり、0.3〜0.4%がデスモシンとイソデスモシンであるとされており、本発明の水溶性エラスチンのアミノ酸組成も殆どこれに近いものであるから、高純度のものであると言える。但し、エラスチンのアミノ酸分析を行うとき、通常、6N塩酸で48時間以上加水分解するが、そのためAsnはAspに変換し、GlnはGluに変換するので、Aspの値はAsp+Asnの合計として、また、Gluの値はGlu+Glnの合計として表される。本発明のアミノ酸組成においても、アスパラギン酸の含量には元々のアスパラギンも含み、グルタミン酸の含量には元々のグルタミンも含むものとして定義されている。
【0015】
かかる水溶性エラスチンは、本発明者が既に提案した、以下の様な方法によって製造することができる。先ず、第1の方法は、動物性生体組織からコラーゲンやその他の不要タンパク質の除去処理を行って不溶性エラスチンを得、次いでこの不溶性エラスチンをシュウ酸等の可溶化液に浸漬・溶解させ、水溶性エラスチンを製造する。コラーゲンやその他の不要タンパク質の除去処理は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウムの少なくともいずれか一つを含むアルカリ性溶液であって、このアルカリ性溶液中に添加した水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウムの総量を、1Lあたり0.05〜0.15molで90〜105℃としたアルカリ性溶液中に、動物性生体組織を10〜20分間浸漬して行うのが好ましい。また、コラーゲンやその他の不要タンパク質の除去処理に際しては、アルカリ性溶液による処理の前に、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化バリウムの少なくともいずれか一つを含む塩溶液に、動物性生体組織を浸漬させる浸漬処理(前処理)を行うのも好ましい。
【0016】
動物性生体組織としては、特に制限はないが、エラスチンの含量が多い点で、豚、馬、牛、羊などの哺乳動物から得られた項靱帯や大動脈血管を使用することが好ましい。動物性生体組織は、先ず、ホモジナイザーを用いてホモジナイズするのが良い。ホモジナイズはミキサー、ミートチョッパーなど動物性生体組織を細断できれば良く、好ましくは3ミリメートル角以下、さらに好ましくはペースト状に細断できる器具を用いると良い。細断した動物性生体組織の粒が小さいほど、コラーゲンやその他の不要なタンパク質の除去効率を上げることができるので好ましい。ホモジナイズした動物性生体組織は、例えば、熱水又は熱希薄アルカリ水溶液で煮沸するか、もしくは有機溶媒で処理することによって脱脂処理を行っても良い。
【0017】
前記可溶化液としては、シュウ酸、蟻酸、酢酸、コハク酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、ベタイン、ジフルオロ酢酸、トリフルオロ酢酸、リン酸、スルファミン酸、過塩素酸、トリクロロ酢酸の少なくともいずれか一つを含む酸性溶液が用いられる。そして、この酸性溶液の酸の総量は、1Lあたり0.1〜0.5molとし、かつ、液温を90〜105℃とするのが好ましい。
【0018】
前記可溶化液は、また、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウムの少なくともいずれか一つを含むアルカリ性溶液であっても良い。このアルカリ性溶液中に添加した水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウムの総量を、1Lあたり0.05〜0.5molとし、かつ、液温が90〜105℃のアルカリ性溶液とするのが好ましい。
【0019】
本発明の水溶性エラスチンを製造する第2の方法は、動物性生体組織の不要部分の除去処理、動物性生体組織の脱脂処理、動物性生体組織の細断処理の少なくともいずれか一つを含む前処理工程と、前処理された動物性生体組織をアルカリ性溶液に浸漬して濾別するアルカリ溶解工程と、アルカリ溶解工程を所定回数繰り返し、濾別により水溶性エラスチンを含む濾液を得る濾液回収工程と、濾液から水溶性エラスチンを生成する水溶性エラスチン生成工程とを順次行って水溶性エラスチンを製造する方法である。前記アルカリ溶解工程で用いるアルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウムのいずれか一つ又は混合物が好ましい。
【0020】
この操作は、前記の、組織からコラーゲンやその他の不要タンパク質を除去して不溶性エラスチンを得て、次いで、この不溶性エラスチンを可溶化して水溶性エラスチンを得る第1の方法とは異なり、組織から不溶性エラスチンを得ることなく、直接水溶性エラスチンを得る方法である。即ち、1Lあたり0.05〜0.15molで90〜105℃としたアルカリ性溶液中に、脱脂、細断処理した動物性生体組織を10〜20分間浸漬し、エラスチン以外のコラーゲンや不要タンパク質を除去した処理組織を得、次いで、この処理組織を1Lあたり0.05〜0.5mol(アルカリ液の濃度がより高濃度)で90〜105℃のアルカリ性溶液中に60〜240分間(時間がより長い)浸漬して溶解し、水溶性エラスチンを得る方法である。
【0021】
なお、前記第1の方法では、不溶性エラスチンを反応系から実際に取出すので、取出した不溶性エラスチンのアミノ酸組成等を解析し、その純度を検証できるというメリットがある。また、不溶性エラスチンは安定であり長期間の保存が可能であるし、可溶化方法は酸処理でもアルカリ処理でも選択できるという利点がある。一方、第2の方法は、不溶性エラスチンを取出すことがないので、工程が簡便で、アルカリ液の濃度と反応時間を調節するだけで、高純度の水溶性エラスチンを得ることができる。そのため、後者の方が高収率で水溶性エラスチンが得られるという特徴がある。
【0022】
前記のごとく第1又は第2の方法で得られた水溶性エラスチンは、次いで、それを相分離によって低分子量(分子量約1〜3万)水溶性エラスチンと高分子量(分子量約3〜30万)水溶性エラスチンに分画する操作を行なう。即ち、水溶性エラスチンを30〜50℃に加熱すると相分離して白濁し、そのまま放置すると2層に分離する。この上層画分の平衡液相から低分子量水溶性エラスチンを回収し、下層画分のコアセルベート相から高分子量水溶性エラスチンを回収する。それらの分子量測定の結果と、アミノ酸組成の測定結果から、本発明の低分子量水溶性エラスチンと高分子量水溶性エラスチンはいずれも高純度であることが評価できる。
【0023】
また、低分子量水溶性エラスチンと高分子量水溶性エラスチンのコアセルベーション特性即ち、温度上昇で濁度が上昇し、温度降下で濁度がもとに戻る可逆的な性質の検討の結果、高分子量水溶性エラスチンは加熱すると白濁することが確認できた。従って、その濁度曲線が可逆的であるので、高分子量水溶性エラスチンは、化粧品や医用材料に応用できることが期待される。一方、低分子量水溶性エラスチンは、加熱しても白濁しないので化粧品や医用材料に用いるのは困難である。しかしながら、低分子量水溶性エラスチンは、分子量サイズが小さいので消化吸収の面で利点になるので、食品素材や医薬品に適していると考えられる。
【0024】
コラーゲンの溶液は加熱すると白濁するが、温度を下げても白濁したままで、元の透明な状態には戻らない(非可逆性)。しかし、水溶性エラスチンの溶液は、加熱すると白濁し、温度を下げると元の透明な状態に戻る(可逆性)という違いがある。かかる特性を利用して、コラーゲンとエラスチンをそれぞれ適当な医用材料に応用することができる。また、製造された水溶性エラスチンの濁度曲線が、可逆的であるかどうかによって、コラーゲンの混入の有無を検証するのにも利用できる。
【0025】
本発明の、水溶性エラスチンのうち、エラスチンを構成するアミノ酸の79〜84%がプロリン、グリシン、アラニン、バリンからなり、2〜3%がアスパラギン酸とグルタミン酸からなり、0.7〜1.3%がリジン、ヒスチジン、アルギニンからなり、0.2〜0.4%がデスモシンとイソデスモシンからなる、分子量が約1〜3万の低分子量水溶性エラスチンは、消化吸収性に優れているので、機能性食品として利用できる。現在、健康食品市場が急拡大しているが、高コレステロール、高中性脂肪あるいは高血圧などの症状に個別的に対応する機能性食品はあっても、動脈硬化を総合的に予防し、抑制する万能対応型機能性食品はこれまで皆無である。血管を構成する主成分はエラスチン(約30%)で、次いでコラーゲン(約18%)であるが、コラーゲンは美肌効果を有する食品素材として広く普及してきたものの、エラスチンを素材とした動脈硬化予防・抑制対応型機能性食品は未だ開発されていない。
【0026】
なお、食品産業センター技術研究報告書No.27, 2001, 21-26頁には、エラスターゼ活性を持つ酵素処理によって製造した水溶性エラスチン(分子量は不明)を、高脂肪食負荷ラット及び健常者に投与したところ、血中の総コレステロール、中性脂肪等が低下し、血中脂質代謝異常が改善されたことが報告されている。しかし、この報告で用いた水溶性エラスチンは、これまで高純度と評価されている水溶性エラスチンとはアミノ酸組成がかなり異なっている(プロリン、グリシン、アラニン、バリンが68%に過ぎない)ばかりでなく、エラスチンに特有のアミノ酸であるデスモシン及びイソデスモシンも検出されていないことから、極度に低純度のもの、あるいはエラスチンとは異なるものではないかと推定される。
【0027】
本発明の低分子量水溶性エラスチンは、後述のごとく、コレステロールの上昇抑制、中性脂肪の上昇抑制、LDL-コレステロール(悪玉コレステロール)の上昇抑制
、HDL-コレステロール(善玉コレステロール)の低下抑制、過酸化脂質の上昇抑制などの血中脂質代謝異常の改善作用、及び血管内腔表面の硬化病変抑制作用や、血管弾性機能の低下抑制作用を持つことが証明できたので、動脈硬化予防・抑制万能対応型機能性食品として開発されることが期待できる。
【0028】
また、本発明の低分子量水溶性エラスチンは、後述のごとく、コレステロールの上昇抑制、中性脂肪の上昇抑制、LDL-コレステロール(悪玉コレステロール)の上昇抑制
、HDL-コレステロール(善玉コレステロール)の低下抑制、過酸化脂質の上昇抑制、酸化LDLの上昇抑制などの血中脂質代謝異常の改善作用、血栓形成の抑制作用、及び血管内腔表面の硬化病変(硬化プラーク)抑制作用や血管弾性機能の低下抑制作用等の生理作用を有する。従って、本発明の低分子量水溶性エラスチンは、それを有効成分とする色々な治療又は予防用医薬、例えば、動脈硬化抑制剤、脂質代謝異常改善剤、血栓形成抑制剤等の医薬としても開発が期待できる。
【0029】
本発明の低分子量水溶性エラスチンを食品又は医薬として用いる場合には、それを有効成分として含むものであれば良く、生体に有用な金属、例えば、マグネシウム、カルシウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、アルミニウム、亜鉛などのアルカリ土類金属や遷移金属を併用しても良い。用いる金属によっては、相乗的に効果が得られる。
【0030】
本発明において機能性食品は、その形態は特に限定されるものではなく、分子量が約1〜3万の低分子量水溶性エラスチンをそのまま飲食品として調製したもの、各種タンパク質、糖類、脂肪、微量元素、ビタミン類等を更に配合したもの、液状、半液体状若しくは固体状にしたもの、一般の飲食品へ添加したものであってもよい。また、食品とは、健康食品、健康補助食品、特定保健用食品等を広く含む意味で用いられる。そして、本発明の機能性食品は、血中脂質代謝異常の改善や血管内腔表面の硬化抑制効果、血管弾性機能の低下抑制効果が期待できるので、動脈硬化予防・抑制万能対応型の機能性食品として提供することができる。
【0031】
本発明において医薬は、有効成分である分子量が約1〜3万の低分子量水溶性エラスチンと、薬学上許容される添加物とを混合することにより製造できる。本発明の医薬は、経口投与または非経口投与することができる。経口剤としては、顆粒剤、散剤、錠剤、丸剤、カプセル剤、シロップ剤、乳剤、懸濁剤が挙げられる。非経口剤としては、注射剤や点滴剤が挙げられる。これらの製剤は、製剤分野で通常行われている手段・方法により、薬学上許容される担体を用いて製剤化することができる。
【0032】
本発明の機能性食品の摂取量は、成人1人1日当たり、エラスチン換算で30〜6000mg、好ましくは60〜3000mgが適当である。また、医薬として投与する場合は、被投与者の年齢、体重、症状、投与時間、剤形、投与方法、薬剤の組み合わせ等に依存するが、例えば、本発明の有効成分を医薬として経口投与する場合は、成人1人当たり0.5〜100mg/kg体重、好ましくは1〜50mg/kg体重である。
【実施例1】
【0033】
[水溶性エラスチンの製造]
動物性生体組織として牛の項靱帯を用い、付着している脂肪や筋肉などエラスチン含量の低い部分を刃物などを用いて削ぎ落とし、動物性生体組織をホモジナイザーを用いてホモジナイズした。ホモジナイズした動物性生体組織を、沸騰水中で1時間、脱脂のための煮沸を行い、その後水切りした。なお、この脱脂工程は複数回行っても良く、また脱脂効率を良くするためには、希薄アルカリ溶液処理あるいは有機溶媒処理を行っても良い。
【0034】
容器にホモジナイズして脱脂した動物性生体組織を入れ、その動物性生体組織の重量に対して10倍容量(重量1g当たり10ml)の1M塩化ナトリウム水溶液を加えて浸漬し、4℃で24時間攪拌した。なお、この不要なタンパク質を除去するための浸漬処理は、必ずしも必要ではなく、また、必要によっては複数回行っても良い。
【0035】
浸漬処理を経た動物性生体組織を10倍容量の0.1Mの水酸化ナトリウム水溶液に入れ、100℃で15分間攪拌し、コラーゲン除去処理を行った。次いで、動物性生体組織とアルカリ性溶液とを分離し、純粋な不溶性エラスチンを得た。なお、分離したアルカリ性溶液を、例えば、ビューレット法にて総タンパク質の定量を行い、アルカリ性溶液中に含まれる総タンパク質量が0.1mg/mL以下であれば、コラーゲンは除かれたと判断した。コラーゲンが除かれていない場合は、この操作を複数回行なえば良い。
【0036】
次に、不溶性エラスチンの重量に対して10倍容量の0.25Mのシュウ酸(可溶化液)を加え、100℃で60分間攪拌することで不溶性エラスチンを断片化し、可溶化液に水溶性エラスチンを遊離・溶解させた。その後、不溶性エラスチンと可溶化液とを分離し、分離した可溶化液を25℃以下に冷却した。かかる操作によって、可溶化液の反応性を低下させ、可溶化液中に遊離して溶解した水溶性エラスチンの細断化を防ぐことができる。不溶性エラスチンが残存している場合には、この操作を繰り返すことによって、不溶性エラスチンの可溶化を行うことができる。
【0037】
[高分子量エラスチンと低分子量エラスチンの製造]
次に、水溶性エラスチンが溶解している可溶化液のpHを6〜7に調整して、4〜10℃で96時間(24時間ごとに透析膜外の水を入れ替えて)以上水に対して透析を行い、水溶性エラスチンの精製を行った。その後、透析した水溶性エラスチンは、水溶液の温度を30〜50℃とすることによって、相分離を行い、2層に分離した。上層画分からは低分子量(分子量約1〜3万)水溶性エラスチンを回収し、下層画分からは高分子量(分子量約3〜30万)水溶性エラスチンを回収した。水溶液の温度を30〜40℃に設定すれば、低分子量水溶性エラスチンの回収率を高めることができ、水溶液の温度を40〜50℃に設定すれば、高分子量水溶性エラスチンの回収率を高めることができる。また、水溶性エラスチンの等電点付近のpHであるpH3〜pH7、望ましくは、pH4〜pH6に調整して行えば、高分子量の水溶性エラスチンの回収率を高めることができる。かかる相分離の操作で、水溶性エラスチンを基準として、低分子量画分が20〜50%、高分子量画分が10〜30%回収できる。そして、牛の項靱帯を基準にすると、低分子量水溶性エラスチンの収率は2〜4%で、高分子量水溶性エラスチンの収率は1〜2%である。
【0038】
相分離後の上層画分と下層画分は非還元条件下でSDS(ドデシル硫酸ナトリウム)-PAGE(ポリアクリルアミドゲル電気泳動)を行い、泳動後のゲルを染色して、その染色バンドから、上層画分は分子量約1〜3万の低分子量水溶性エラスチンであることが確認され、下層画分は分子量約3〜30万の高分子量水溶性エラスチンであることが確認された。
【0039】
低分子量水溶性エラスチンと高分子量水溶性エラスチンのアミノ酸組成は、表1に示した通りであった。表1のアミノ酸組成は、総アミノ酸数を1000としたときのアミノ酸組成を示す。また、低分子量とは、分子量約1〜3万の低分子量水溶性エラスチンを、高分子量とは、分子量約3〜30万の高分子量水溶性エラスチンを示す。なお、ヒスチジンの含量は、本発明では、アミノ酸1000残基当たり0.4〜0.5程度であるが、表1では四捨五入により0とされている。
【0040】
【表1】

【実施例2】
【0041】
[水溶性エラスチンの製造]
前処理工程として、動物性生体組織は牛の項靱帯を用い、付着している脂肪や筋肉などエラスチン含量の低い部分を、刃物などを用いて削ぎ落とすことで不要部分の除去処理を行い、次いで、動物性生体組織をホモジナイザーを用いてホモジナイズすることで細断処理を行った。ホモジナイズした動物性生体組織を、沸騰水中で1時間、脱脂のための煮沸を行い、その後水切りした。
【0042】
ホモジナイズして脱脂した動物性生体組織の重量に対して10倍容量(重量1g当たり10ml)の0.1M水酸化ナトリウム水溶液を加え、100℃で15分間攪拌し、エラスチン以外のコラーゲンや不要タンパク質を除去する工程を行った。そして、動物性生体組織とアルカリ性溶液とを分離した。分離したアルカリ性溶液を、例えば、ビューレット法にて総タンパク質の定量を行い、アルカリ性溶液中に含まれる総タンパク質量が0.1mg/mL以下であれば、コラーゲン及び不要タンパク質は除かれたと判断した。コラーゲン及び不要タンパク質が除かれていない場合はこの操作を複数回行えば良い。
【0043】
次いで、上記で得られた動物性生体組織の重量に対して10倍容量(重量1g当たり10ml)の0.1M水酸化ナトリウム水溶液(可溶化液)を加え、100℃で60分間アルカリ溶解工程を行った。その後、動物性生体組織とアルカリ性溶液との分離操作を行い、水溶性エラスチンの可溶化溶液を得た(濾液回収工程)。この際、動物性生体組織が残存している場合には、この濾液回収工程は複数回行っても良い。
【0044】
[高分子量エラスチンと低分子量エラスチンの製造]
次に、水溶性エラスチンを含む可溶化液を、中性付近のpH6〜7で、4〜10℃の温度で96時間(24時間ごとに透析膜外の水を入れ替えて)以上水に対して透析した。その後、透析して得られた液は、水溶液の温度を30〜50℃とすることによって、相分離を行い、2層に分離した。上層画分からは低分子量(分子量1〜3万)水溶性エラスチンを回収し、下層画分からは高分子量(分子量3〜30万)水溶性エラスチンを回収した。水溶液の温度を30〜40℃に設定すれば、低分子量水溶性エラスチンの回収率を高めることができ、水溶液の温度を40〜50℃に設定すれば、高分子量水溶性エラスチンの回収率を高めることができる。また、水溶性エラスチンの等電点付近のpHであるpH3〜pH7、望ましくは、pH4〜pH6に調整して行えば、高分子量の水溶性エラスチンの回収率を高めることができる。かかる相分離の操作で、水溶性エラスチンを基準にして、低分子量画分が50〜70%、高分子量画分が20〜30%回収できる。これは、牛の項靱帯を基準にすると、低分子量水溶性エラスチンの収率は4〜12%で、高分子量水溶性エラスチンの収率は2〜5%である。得られた水溶性エラスチンを、再生医療用の組織培養基材等として利用する場合は、組織培養は35℃〜40℃で行うことが多いので、40℃以下でコアセルベーションを起こす高分子量水溶性エラスチンを効率良く回収するのが望ましい。
【0045】
相分離後の上層画分と下層画分は非還元条件下でSDS(ドデシル硫酸ナトリウム)-PAGE(ポリアクリルアミドゲル電気泳動)を行い、泳動後のゲルを染色して、その染色バンドから、上層画分は分子量約1〜3万の低分子量水溶性エラスチンであることが確認され、下層画分は分子量約3〜30万の高分子量水溶性エラスチンであることが確認された。
【0046】
低分子量水溶性エラスチンと高分子量水溶性エラスチンのアミノ酸組成は、表2に示した通りであった。表2のアミノ酸組成は、総アミノ酸数を1000としたときのアミノ酸組成を示す。また、低分子量とは、分子量約1〜3万の低分子量水溶性エラスチンを、高分子量とは、分子量約3〜30万の高分子量水溶性エラスチンを示す。なお、ヒスチジンの含量は、本発明では、アミノ酸1000残基当たり0.4〜0.5程度であるが、表2では四捨五入により0とされている。
【0047】
【表2】

【実施例3】
【0048】
本実施例では、実施例1及び2で得られた低分子量水溶性エラスチンの生理作用について説明する。
[血中脂質代謝異常の改善作用]
0.5%コレステロールを負荷して実験的に動脈硬化モデル家兎を作成し、これに低分子量水溶性エラスチンを経口投与して、動脈硬化抑制効果と血中脂質代謝異常の改善効果を検証した。ニュージーランドホワイト雄性家兎(体重約2kg)12羽を、4羽ずつコントロール群、コレステロール群、コレステロール群+エラスチン併用群の3群に分け、コントロール群には普通食(ORC4:オリエンタル酵母社製)を90g/日与え、コレステロール群にはコレステロール食(ORC4+0.5%コレステロール)を90g/日与え、コレステロール群+エラスチン併用群にはコレステロール+エラスチン併用食(ORC4+0.5%コレステロール+0.1〜0.5%エラスチン)を90g/日与えた。所定期間後に採血し各種の検査を行った。エラスチンは本発明の低分子量水溶性エラスチンを用いた。
【0049】
血清中の総コレステロールの変化を図1に、LDL−コレステロールの変化を図2に、HDL−コレステロールの変化を図3に、トリグリセレドの変化を図4に、過酸化脂質の変化を図5に示した。これらの結果から、コレステロール群で認められる血中脂質代謝異常は、コレステロール群+エラスチン併用群では改善されていることが分かる。即ち、本発明の低分子量水溶性エラスチンは、血中の総コレステロールを減少させる効果があるが、その内容をみると、いわゆる悪玉のLDL−コレステロールは減少させる一方、いわゆる善玉のHDL−コレステロールは増加させていることが分かる。また、トリグリセリドや過酸化脂質も減少させる効果があることが分かる。
【0050】
この結果、本発明の低分子量水溶性エラスチンは、血中脂質代謝異常の改善作用、ひいては、動脈硬化抑制作用のある機能性食品素材として、また血中脂質代謝異常の改善、ひいては、動脈硬化抑制作用のある医薬としての可能性があることが分かる。
【0051】
[動脈硬化あるいは血管弾性機能低下の改善]
実験に用いた家兎の大動脈の近位部(心臓側)を5mmの幅で切断し、その試験片の両端を挟んで一定速度V=0.01mm/sで伸展させ、ひずみ0から0.1の範囲での平均の縦弾性係数を求め、それをElastic Modulusとして、普通食を投与したコントロール群、コレステロール食を投与したコレステロール群、コレステロール食と同時に水溶性エラスチンを投与したコレステロール+エラスチン併用群で比較検討した。その結果は図6に示した通りであり、水溶性エラスチンの投与により血管の弾性機能の低下が回復していることが分かる。
【0052】
[アテローム性プラークの血管病変の抑制作用]
図7には、血管の血流側の内膜表面の写真を示した。コレステロール食を投与したコレステロール群ではアテローム性プラーク(血管内膜が肥厚し脂質(コレステロールなど)が沈着して粥状物を生じ、線維性の被膜で内膜表面が覆われた隆起状態。この状態が進行すると増々大きな隆起状態になって血液の流れが妨げられるようになり、冠動脈などの非常に細い血管では血管の閉塞がみられ、心筋梗塞を発症する)が内膜表面全体(隆起して白くみえる)に認められる。コレステロール食と同時に水溶性エラスチンを投与したコレステロール+エラスチン併用群ではアテローム性プラークが内膜表面にまばらにわずかに認められる。即ち、水溶性エラスチンを投与するとアテローム性プラーク等の血管病変が抑制されることがこの3枚の写真から分かる。
【0053】
[血栓形成抑制作用]
血中では血小板が凝集すると血栓が形成される。そこで試験管内で、水溶性エラスチンによる血小板凝集阻害実験を行った。低分子量水溶性エラスチンはADP(アデノシン-5´-ニリン酸)、トロンビン、コラーゲンによる血小板凝集を阻害したが、なかでもコラーゲンによる血小板凝集を最も強く阻害した。結果は図8に示した。
【0054】
[血液の粘性]
血液中でコレステロール等の脂質濃度が高くなったり、血小板が粘着・凝集したりすると、血液粘性が増し、ドロドロになるので、血液中の粘性(Viscosity)を測定した。結果は図9に示した。コレステロールの投与で上昇する血液粘性が水溶性エラスチン投与により改善していることが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明によると、低分子量で純度の高い水溶性エラスチンと、高分子量で純度の高い水溶性エラスチンが得られる。そして、本発明の低分子量の水溶性エラスチンは、消化吸収性が高いので、機能性食品や各種医薬品として利用できる。また、高分子量のエラスチンは、再生医療のための組織工学用足場への応用や、高分子量水溶性エラスチンのコアセルベートは60〜70%の水分を含むので、保湿性のための化粧品基材への応用が考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】血清中の総コレステロールの変化を示す図。
【図2】LDL−コレステロールの変化を示す図。
【図3】HDL−コレステロールの変化を示す図。
【図4】トリグリセレドの変化を示す図。
【図5】過酸化脂質の変化を示す図。
【図6】血管の弾性係数の変化を示す図。
【図7】血管の血流側の内膜表面の状態を示す図。
【図8】血小板凝集抑制作用を示す図。
【図9】血液中の粘性を示す図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エラスチンを構成するアミノ酸の79〜84%がプロリン、グリシン、アラニン、バリンからなり、2〜3%がアスパラギン酸とグルタミン酸からなり、0.7〜1.3%がリジン、ヒスチジン、アルギニンからなり、0.2〜0.4%がデスモシンとイソデスモシンからなる、分子量が約1〜3万の低分子量水溶性エラスチン。
【請求項2】
エラスチンを構成するアミノ酸の79〜84%がプロリン、グリシン、アラニン、バリンからなり、2〜3%がアスパラギン酸とグルタミン酸からなり、0.7〜1.3%がリジン、ヒスチジン、アルギニンからなり、0.2〜0.4%がデスモシンとイソデスモシンからなる、分子量が約3〜30万の高分子量水溶性エラスチン。
【請求項3】
エラスチンを構成するアミノ酸の79〜84%がプロリン、グリシン、アラニン、バリンからなり、2〜3%がアスパラギン酸とグルタミン酸からなり、0.7〜1.3%がリジン、ヒスチジン、アルギニンからなり、0.2〜0.4%がデスモシンとイソデスモシンからなる、分子量が約1〜3万の低分子量水溶性エラスチンを含む機能性食品。
【請求項4】
低分子量水溶性エラスチンの他に、生体に有用な金属を含む請求項3記載の機能性食品。
【請求項5】
エラスチンを構成するアミノ酸の79〜84%がプロリン、グリシン、アラニン、バリンからなり、2〜3%がアスパラギン酸とグルタミン酸からなり、0.7〜1.3%がリジン、ヒスチジン、アルギニンからなり、0.2〜0.4%がデスモシンとイソデスモシンからなる、分子量が約1〜3万の低分子量水溶性エラスチンを有効成分とする医薬。
【請求項6】
動脈硬化抑制剤である請求項5記載の医薬。
【請求項7】
脂質代謝異常改善剤である請求項5記載の医薬。
【請求項8】
血栓形成抑制剤である請求項5記載の医薬。






【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−45722(P2007−45722A)
【公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−229589(P2005−229589)
【出願日】平成17年8月8日(2005.8.8)
【出願人】(504174135)国立大学法人九州工業大学 (489)
【Fターム(参考)】