説明

水玉鑑賞装置

【課題】直下型としても明瞭な水玉の形成を可能とするとともに、水玉相互の間隔も相対的に大きく確保することのできる水玉鑑賞装置を提供すること
【解決手段】上部に配置されたタンク11の底部30にホース12を介してノズル13が連結されている。ノズル13は、その吐出口13Aが下向きとなるように配置されている。タンク11には、ポンプPを介して貯水部17の水が供給されるようになっている。ノズル13から噴出する水は、振動板14を振動させることで、水玉Wとなって落下するようになっている。また、タンク11は密閉型であり、給水される水に含まれる空気は、排気手段24によって外部に排出され、これにより、安定した水玉の形成が確保される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は水玉鑑賞装置に係り、更に詳しくは、所定の高さに設けられたタンク内に水を供給し、当該タンクの下部側で下向きに設けられたノズルを介して水を落下させる際に、その流水中に振動を付与することで水玉を形成可能とし、当該水玉が落下する状態を鑑賞することのできる直下型の水玉鑑賞装置に関する。
【背景技術】
【0002】
タンク内の水に振動付与手段で振動を付与し、タンクに接続されたノズルの先端から水玉を噴出するように構成した噴水装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
この噴水装置は、タンクの上部からノズルが突出する状態で接続された上方噴出タイプであり、ノズルは、その先端側が上部傾斜方向に向けられてノズルから噴出する水玉が放物線を描く軌跡に沿って落下するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3639023号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記噴水装置によれば、水玉の存在を顕在化して見る者に鑑賞効果を付与することができる。しかしながら、ノズルから噴出する水玉は放物線の軌跡に沿って落下することから、落下する水玉を受け止める床面上の貯水部を平面的に大きく形成しなければならず、装置が大がかりになる他、スペース的な余裕がなければ噴水装置を設置することができない、という制約を伴うものであった。
そこで、タンクに連結されるノズルを下向きにして鉛直線上に水玉を落下させる、いわゆる直下型の噴水装置とすれば、水玉を受け止める貯水部を小さくして装置全体を小型化でき、設置スペースの制約も小さくすることができる。
【0005】
しかしながら、直下型の水玉鑑賞装置は、水の自重によってノズルから噴出する方式となるため、一台で複数列落下する水玉を形成するためのノズルは、その吐出口の開口径を小さくし、せいぜい4mm〜5mmに制約され、水玉の大きさも5mm〜6mm程度となるものであった。しかも、このような開口径のノズルを採用しても、見た目には、連続した水の流れのように見えてしまい、実用化するには至っていなかった。これは、水玉相互の間隔を大きく確保することができなかったことに起因する。
すなわち、例えば、2mの落差で水玉を落下させる構成とする場合、放物線上に落下する従来タイプの水玉は、それらの相互間隔が40mm〜100mmを実現できるのに対し、直下型タイプは、10mm〜30mm程度でしかなく、物理的には水玉が落下しているものであっても、連続した水の流れのように見えてしまう、というものであった。
【0006】
このような不都合は、直下型タイプが、水の自重によって流下する方式(自然流下方式)であることに起因しているものと推測される。つまり、自然流下方式は、所定高さに配置されるタンク内に水を供給し、その水圧によって常にノズルから水が流れるように作用することになる。従って、水玉がノズルから噴出する際にその噴出抵抗を与えることができなくなり、これが、明瞭な水玉の形成を阻害する要因になっている、という点が考察された。この場合、タンクを密閉型とすれば、自然流下方式のようには水が噴出しなくなるから、水玉が噴出するときに、タンク内が一時的に負圧化するようになり、これによって、はっきりとした水玉を形成することを可能として従来タイプと同様に水玉を噴出させることができることとなる。
【0007】
しかしながら、このような密閉型のタンクを採用した構成としても、安定した水玉を保つことができず、途中で崩れてしまう、という現象がもたらされた。
そこで、本発明者は、更に種々の実験を試みたところ、何らかの要因でタンク内に空気が入り、当該空気がタンクの上部に溜まることで、タンク内の圧力が変化して明瞭な水玉の形成が妨げられているということを知見した。
【0008】
[発明の目的]
本発明は係る従来例の不都合と、新たな知見に基づいて案出されたものであり、その目的は、直下型としても、従来の直下型タイプより相対的に大きく、しかも、明瞭な水玉の形成を可能とするとともに、水玉相互の間隔も相対的に大きく確保することのできる水玉鑑賞装置を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、設置スペースを小さくすることができ、設置スペースの制約を緩和することのできる水玉鑑賞装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するため、本発明は、特許請求の範囲に記載した構成を採用したものであり、具体的には、所定量の水を収容するタンクと、当該タンクにホースを介して連結され、吐出口が下向きとなるように設けられたノズルと、このノズルから噴出して落下する水の貯水部と、当該貯水部の水をタンクに循環させるポンプとを含み、
前記ノズルから水を噴出させる際に、振動付与手段を介して振動を付与することにより、水玉を噴出するように構成された水玉鑑賞装置において、
前記タンクは密閉型に設けられ、その頂部に排気手段を設けることにより流水中に含まれる空気を外部に排出するように設けられる、という構成を採っている。
【0010】
振動付与手段としては、市販のバイブレータを用いることができる。このバイブレータの振動周波数は、30〜100Hzであり、好ましくは55〜75Hzである。周波数が30Hz未満では水玉を形成することができなくなる一方、100Hzを越えると水玉が相互にくっついて連続流となる傾向をもたらすためである。
また、ノズルは、その吐出口の開口径が4mm〜15mmのものが好ましい。4mm以下では水玉が目立ち難くなり、装飾的効果を顕在化させるには不十分となる。この一方、15mmを越えると水玉が崩れ易くなって当該水玉を安定的に発生させることが困難になる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、タンク内の空気が排気手段によって外部に排出されるため、タンク内の圧力を安定化させることができ、ノズルを通じて噴出する流水に振動を付与することで、その振動の周波数に基づく相互間隔で水玉を噴出させることができる。
また、噴出する水玉は、鉛直方向下部、つまり真下に落下することから、貯水部の平面積を小さくすることが可能となり、装置全体の設置スペースを小さくすることができる省スペースタイプの水玉鑑賞装置を提供することができる。
しかも、自然流下方式に必要であったオーバーフロー用の配管も削減することができるため、この点からも設置スペースを小さくでき、且つ、設備の簡略化を達成できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本実施形態に係る水玉鑑賞装置の概略正面図。
【図2】図1のA部拡大断面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照しつつ、本実施形態に係る水玉鑑賞装置を説明する。
図1に示されるように、水玉鑑賞装置10は、所定量の水を収容するタンク11と、当該タンク11にホース12を介して連結され、吐出口13A(図2参照)が下向きとなるように設けられたノズル13と、当該ノズル13の外周に形成されたフランジ部13Bを介して支持された振動板14と、この振動板14に支持された振動付与手段15と、ノズル13から噴出して落下する水玉Wの貯水部17と、当該貯水部17の水をタンク11に循環させるポンプPと、コントローラ19によって点灯制御されるストロボ20と、タンク11の頂部22に設けられた排気手段24とを備えて構成されている。
【0014】
前記タンク11は、横方向に長い直方体形状に設けられ、特に限定されるものではないが、本実施形態では、左右幅が1280mm、前後幅が100mm程度の大きさに設けられ、その側端部に接続された配管25を通じて水が供給されるようになっている。このタンク11の底部30には、その長手方向に沿う所定間隔毎に接続用の管31が設けられており、当該管31に前記ホース12の上端部が連結され、ホース12の下端部には、ノズル13がそれぞれ取り付けられている。なお、タンク11の底部30には、ホース12に連通するエア抜き管33が、ホース12毎に配置されている。
【0015】
前記ノズル13は、特に限定されるものではないが、例えば、ポリプロピレン等の合成樹脂によって構成されている。このノズル13は、ホース12の内側に嵌合する外形を備えたフランジ付きの筒状をなし、その中心軸線に沿う通路の内径が下方に向かうに従って次第に縮径するタイプのものが用いられている。本実施形態におけるノズル13は、特に限定されるものではないが、吐出口13Aの開口径が5mmとなるものが用いられ、また、中心軸線は垂直線上に位置する状態でホース12に接続されている。
【0016】
前記振動付与手段15は、商用電源からの電力で動作するタイプのものが採用されている。この振動付与手段15は、ホース12及びノズル13内を流れる水に振動を付与するものであり、所定周波数、例えば、60Hzの周波数で振動が付与され、この振動が流水中に伝達されることによって、ノズル13から水玉Wを噴出させることが可能になっている。この水玉Wには、マルチストロボ20による光が照射され、空中に噴出した水玉Wの鮮明なる認識が可能となる。なお、振動付与手段15は振動板14に支持されているため、当該振動板14を介して全てのノズル13に対して振動を付与することができる。また、ここでは図示省略しているが、周波数変換器を介して振動付与手段15による周波数を適宜可変調整となっており、これによって、水玉Wの噴出間隔を変化させることが可能となっている。従って、振動付与手段15による振動周波数を60Hzとして水玉Wを発生させる場合を標準とした場合、例えば、周波数変換器の設定周波数を30Hzにした時は、水玉Wの噴出間隔が大きくなる一方、周波数を80Hzにした時は、前記噴出間隔が狭くなることになる。
【0017】
前記排気手段24は、チェック弁と、このチェック弁に接続されたフロートベントとの組み合わせにより構成されている。フロートベントは、例えば、株式会社ヨシタケ製の「TA−11・11L型」を用いることができる。この排気手段24は、タンク11内に入り込んだ空気が集積されると、当該空気を外部に排出するように構成されている。
【0018】
次に、本実施例における噴水装置10の動作について説明する。
【0019】
所定の電源を投入してポンプPを作動させることによって、貯水部17の水が配管25を介してタンク11内に入り込む。この段階で振動付与手段15を振動させ、ストロボ20を点滅させておいてもよい。
前記給水は、ノズル13から水が自重で抜け出ても、タンク11内を水で満たすことができる給水量とされる。つまり、吐出量よりも給水量が多く保たれる。給水動作の初期段階では、タンク11及びホース12内には水が貯まっていないため、内部の空気は排気手段24を通じて連続的に排気される。この際、ホース12内に入り込んだ空気は、エア抜き管33の存在によって上方に抜けるようになり、エア抜きがスムースに行われてホース12内に水を満たすことができる。
【0020】
タンク11内に水が完全に供給された段階で給水量を抑制する。この抑制後の給水量は、ノズル13から抜け出る水の量と等しい量であり、これにより、タンク11内は常に一定量の水で完全に満たされた状態となる。
【0021】
前記給水動作が完全に終了したとき、つまり、タンク11内に水が完全に満たされたときに、振動付与手段15による振動板14の振動で、それまで鉛直下方に繋がって流れ落ちていた水が、水玉Wに変化し、前記振動の周波数に応じた相互間隔で水玉Wが落下するようになる。そして、この水玉は、ストロボ20の点滅に伴う人間の目の残像作用によって、点々と輝いて落下する態様として明確に視認することができる。因みに、本実施形態では、開口径5mmのノズル13を用い、振動周波数を50Hzとした状態で運転したときに、直径10mmの水玉Wが形成でき、それら水玉Wの相互の間隔を50mm以上とすることができた。
【0022】
本実施形態では、タンク11を密閉構造としていることから、ノズル13から水玉が流下することを抑制するようにタンク内に負圧が作用するため、その作用によって、水玉の相互間隔が狭くなってしまうような不都合が改善され、これにより、個々の水玉を明瞭に認識することが可能となる。
このような効果は、タンク11内に入り込んだ空気が排気手段24によって排気され、タンク11内の圧力変化が抑制されることで得られるものと推測でき、これにより、直下型タイプとしても、水玉Wの状態を安定的に保つことができ、鑑賞装置としての信頼性を確保することができる。
【0023】
以上のように、本発明を実施するための最良の構成、方法等は、前記記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。
すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示、説明されているが、本発明の技術的思想及び目的の範囲から逸脱することなく、以上説明した実施形態に対し、形状、位置若しくは配置等に関し、必要に応じて当業者が様々な変更を加えることができるものである。
【0024】
例えば、前記実施形態では、振動付与手段15が振動板14上に支持されている構成としたが、当該振動板14に吊り下げ保持されるようにしてもよい。また、振動付与手段は、振動板14を振動させることができる限り、バイブレータ以外の装置を利用することもできる。
また、ノズル13の吐出口13Aの中心軸線は、必ずしも垂直線上に一致していなくてもよく、落下方式の範囲内で傾斜している場合も含む。
【符号の説明】
【0025】
10 水玉鑑賞装置
11 タンク
12 ホース
13 ノズル
13A 吐出口
15 振動付与手段
17 貯水部
22 頂部
24 排気手段
P ポンプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定量の水を収容するタンクと、当該タンクにホースを介して連結され、吐出口が下向きとなるように設けられたノズルと、このノズルから噴出して落下する水の貯水部と、当該貯水部の水をタンクに循環させるポンプとを含み、
前記ノズルから水を噴出させる際に、振動付与手段を介して振動を付与することにより、水玉を噴出するように構成された水玉鑑賞装置において、
前記タンクは密閉型に設けられ、その頂部に排気手段を設けることにより流水中に含まれる空気を外部に排出するように設けられていることを特徴とする水玉鑑賞装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−91019(P2013−91019A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−233758(P2011−233758)
【出願日】平成23年10月25日(2011.10.25)
【出願人】(598136714)株式会社ウォーターパール (2)
【Fターム(参考)】